741. 20センチュリー・ウーマン
《ネタバレ》 誰もが新しい生き方を模索することを強制されていた時代、と言えばいいのか。 先進的なところもありつつ、でもやっぱり保守的な部分を捨てきれない。 そんなフワフワした母親の生き方は、それだけで彼の人生の指針になったのかもしれない。 酔ったアビーのジェイミーへの助言は、至言だね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-09-03 23:03:04)(良:1票) |
742. IT イット “それ”が見えたら、終わり。
《ネタバレ》 自転車で冒険に行く、というのは、なぜかワクワクしてしまう。 子どもと自転車って、本当に不思議な組み合わせだ。 あの時代をもう二度と取り戻せない、若干の羨ましさを感じつつ鑑賞。 ただ、のっけからちょっと引き気味に観ることになってしまったのは残念。 腕は噛み切っても切らなくても、ストーリーに影響してこない。なら、やっぱり見たくなかったかな。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-01 02:16:59) |
743. ラン・ローラ・ラン
《ネタバレ》 リミットまで20分しかないのに、それで映画作れんの?って思ったら、そういうことね。 受話器を放り投げるシーンからのスピード感は秀逸。 音楽もいい。 一分一秒を争う映画は、ドイツ語だから可能なんであって、これフランス語なら成立しない気がする。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-21 01:50:44) |
744. GO!GO!L.A.
《ネタバレ》 前半のスピード感が心地よい。 冷蔵庫にもクールって言うヴィンセント・ギャロは相当にクール。 結末は賛否ありそうだけど、惚れた女が戻ってくるなら文句ないかな。 ジュリー・デルピーの扱いだけは、少し物申したい感じ。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-15 12:55:59) |
745. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 虐殺のことは歴史として知っていたけれど、そこには、一人一人の物語があったのだということを改めて考えさせられる。 50万人とか100万人とか、数字にしてしまうと隠れてしまいがちな個人の物語。 ホテル支配人のポールがしたことは、虐殺を止めようなどということではなく、家族を救おう、目の前にいる隣人を救おうというパーソナルなこと。そのために最善の策を考え、最後の切り札は訴追を逃れるための証人が必要だと将軍を脅すこと。 家族を守ろうとする父親は強い。 自分や家族を守ろうとする余裕さえ与えられず、虚しく殺されたその他多くの人に思いを馳せたい。そんな映画だった。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-15 10:47:40) |
746. それでも、愛してる
《ネタバレ》 自分の周囲は嘘に溢れていて、奪われたものを取り戻すためには全てをぶち壊すことが必要だとすると。 ウォルターにとっては、ビーバーを腕につけた後の世界であり、ノラにとっては、優等生としての自分だったのかな。 腕を切り落としたウォルターを支えたのは家族だし、ノラのつらい記憶を受け止めたのはポーターだけだった。 その人の全てに耐え、受けとめること。 それが人を愛するということなのだとすると、この妙な邦題もまあありかも。 それにしてもジョディ・フォスターの青い瞳のなんと美しいことか。 凛とした所作の中に見せる、ふとした柔らかい表情がたまらなく魅力的。 エンドクレジットで監督と知り、だからちょっと抑え気味だったのかとちょっと納得。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-13 00:25:30) |
747. ワンダー 君は太陽
《ネタバレ》 オーギーの語りがとても心地よく耳に響く。 登場する子どもたちそれぞれのドラマにもスポットが当てられていて、そうくると思ってなかったので意外ではあったけど、これがとても良かった。 みんな主役。 オーギーが家族に対する感謝を語るシーン。 「でも、母さんが一番」 うん。そりゃそうに違いない。 ジュリア・ロバーツは、一番に値する名演だったと思う。 かなり貫禄が出て来たのは、ちょっと寂しい気もするけど。 [映画館(字幕)] 9点(2018-08-11 00:04:29) |
748. ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
《ネタバレ》 トム・ハンクスの出る映画、ということで敬遠して観ていなかったのを後悔するくらい、いい映画だった。 父の意図を越えたところで、鍵を巡ってオスカーは少しずつ壁を越えていく。 人からの慰めなんか自分は求めておらず、父の鍵に合う鍵穴だけを探していたオスカーだけど、実は母の愛や、たくさんのブラックさんの温かさに囲まれていた。 最期の瞬間まで、「いるんだろ?」ではなく、「いるのか?」と問い続けた父は、最後までオスカーを気遣ったんだろうなあ。 祖父や母と一緒に、これからも人生に立ち向かっていくであろうオスカーの未来に期待が持てる、本当にいい映画だった。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-31 23:04:47) |
749. NOEL ノエル(2004)
《ネタバレ》 真夏にクリスマス映画を観てしまったのは、スーザン・サランドンが観たかったから。 どの映画も魅力的な人だけど、年を重ねて落ち着いた寛容さがさらに増した感じ。 一人で死にたくないと言ったチャーリーの手を、優しく握るシーンは美しかった。 軽薄な若造に身を委ねることなく、深い愛情に満ちた医師の誘いを受け入れてくれて良かった。 クリスマスに観たら落ち込みそうだから、真夏に観てやっぱり正解だったかも。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-27 00:28:22) |
750. セクレタリー
《ネタバレ》 マギー・ギレンホールが、自分の性癖を受け入れるとともにどんどん美しくなっていく様がとてもいい。 艶めかしく、強い。 谷崎潤一郎の「刺青」と似た物語は、世界共通なんだな。 ハンストという力技で、逆に男を屈服させた感があって、力関係はいつでも逆転し得るのがこの手の性癖の特徴なのかも。 意外に楽しめた。 [DVD(字幕)] 6点(2018-07-24 23:40:43) |
751. レディ・バード
《ネタバレ》 学校や親には反抗的だけど、恋する人には滅法弱い。 我がままし放題のくせに、彼氏には我がままされ放題。 そんな彼女がプラムに行きたいって言った時はなんだかホッとした。 ゲイであることを恥ずかしいと言うダニーを優しく抱きしめてあげる彼女は、ちゃんと人の哀しみを理解できる。 いろんなところで腹がたつけど、この年頃の女の子って多分こうなんだろうね。 ブルックリンといい、主役の彼女は都会を夢見る女の子役がはまる。 しかし、今作は所々明け透け過ぎて、おじさんにはちょっと強烈だったかも。 [映画館(字幕)] 8点(2018-07-23 00:54:44) |
752. ワンダーストラック
《ネタバレ》 半分くらいは無声映画仕様なので、観ていくうちにパズルのピースがはまっていくように腑に落ちていく。 両親と離れようとした祖母と、両親を探し求める孫。 彼の心の空白は、父の遺したジオラマと新しい友人が埋めてくれるのかな。 セリフのないジュリアン・ムーアの柔らかな表情がとても印象に残った。 冒険的な映画の作り方も違和感はなく、もう一度観たいと思ういい映画だった。 [映画館(字幕)] 9点(2018-07-01 00:52:03)(良:1票) |
753. ブルーバレンタイン
《ネタバレ》 夫の何が我慢できなかったんだろう。 その部分がよくわからなくて、映画に入り込めなかった。 昔の男、しかも娘の実の父親とスーパーで出会ったことを、それを知りながら結婚した今の夫にあんなに楽しそうに言うものだろうか。 それを聞いて機嫌を悪くする夫にウンザリって、それはあんまりじゃないかな、と思う。 まあ、何が、じゃなくて、何もかも嫌になってしまうのが男女の末路なのかもしれない。 設定は特殊すぎるけど、身につまされる部分があった感も否めない映画。 [DVD(字幕)] 6点(2018-06-24 22:11:50) |
754. 幸せはシャンソニア劇場から
《ネタバレ》 アコーデオンのメロディが心踊らせてくれるいい映画。 息子が帰ってくるシーンで、そんなとこで真夜中に歌ったら近所迷惑になる…なんて思ってしまう私は小市民だよなあ。 愛すべき登場人物たちだけど、悪役の親玉は終始愛されない感じ。でも、ラストは愛に殉じた形になって、なんだかかわいそうになってしまった。 無理強いだってできたのに、そうしなかった親玉は結構いい奴かも。 心温まるシャンソニア劇場を期待して観たので、乗っけからサスペンスっぽくてちょっと予想外。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-17 23:21:14) |
755. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
《ネタバレ》 事実の持つ力は大きい。 主人公の記憶を呼び覚まし、結果的に彼を故郷に呼び戻した兄が、彼が迷子になったその晩に亡くなっていたことがエンドロール時にテロップで語られる。 優しい兄は、きっと弟を探し回ったことだろう。 列車に轢かれたのは事故だと信じたい。 ラストシーンの兄の笑顔が、とてもまぶしい。 いい映画だった。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-10 00:06:36) |
756. カフーを待ちわびて
《ネタバレ》 原作を読んでからの鑑賞。 幸役のマイコは、多分これ以上ない配役。表情の可愛らしさはもちろん、声に正直参った。 ラストは原作にはないハッピーエンドが用意されているが、映画なんだからこうでないと。 「カフーアラシミソーリ」は心に響く言葉になった。 大切な誰かの幸せを願う、優しい気持ちになれる映画。 [DVD(邦画)] 7点(2018-06-03 00:42:11) |
757. アリスのままで
《ネタバレ》 言語学者という高い知性を必要とされる博士が、言語とともに記憶を失っていく恐怖は、それは耐え難いものに違いない。 でも、時間が経つにつれて、それを恐怖と感じることさえもできなくなっていく。 自分自身がわからなくなっていく不安が、カメラワークと静かなピアノの響きを通しても伝わってくる映画だった。 人間は確かに今の一瞬を生きているけど、記憶を無くしてしまったら、それは単に機械的に生命を維持しているだけで、ただ虚しい。 そう考えると、アリスが将来の自分にあのようなメッセージを送ったのは、仕方のないことなのかもしれない。 そして、夫がアリスの介護を申し出た娘に、お前は自分よりもいい人間だと自分を責める場面は、この病気に直面した家族の現実を伝えているように思えた。自分を責めることはないのに。 最後に、ジュリアン・ムーアの演技は圧巻だった。 [DVD(字幕)] 8点(2018-05-31 23:50:15) |
758. 午後8時の訪問者
《ネタバレ》 淡々と観ていたんだけど、最終的にはフランスが抱える社会問題に焦点が当たる。 フランスだけじゃなく、欧州全体がこの問題に悩んでるんだろうなと。 日本で暮らす私には、遠い問題のような気がしてしまうけど、ひょっとして彼の国でもそういう人が多いのかなと考えさせられた。 こんな問題がありますよ、と声高に訴えるのではなく、見逃してるけど、ここにもこんな問題があるのでは?と町医者の女性が気づいていく。 「私はダニエル・ブレイク」もいい映画だったけど、この映画は静かに社会の抱える闇の部分を描き出していて、訴える力はとても大きいと感じた。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-27 19:39:21) |
759. カフェ・ソサエティ
《ネタバレ》 夢は夢。 人生は喜劇だ。 使い古されたセリフだけど、映画のワンシーンとして観ると、あらためて胸に刺さるなあ。 陰翳のコントラストが印象的で、華のようなブレイク・ライブリーと、幻のようなクリスティン・スチュアートの美しさが際立っていた。 余韻の残るラストが、じんわり切なくていい映画。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-26 01:44:53)(良:1票) |
760. ヒトラーの忘れもの
《ネタバレ》 自国の砂浜に埋設された地雷を除去させるのに、敵国の捕虜ほどうってつけの者はいない。だって彼等の国が埋めたんだから。 ドイツ兵に対する憎しみが軍曹からも、民家のおばさんからも伝わってくる。 理不尽さを感じながらも、無事に片付けて帰るしかない。 帰国してからの夢を語り合うシーンは見ていてつらかった。 自国の復興の前に、自分たちの国が埋設した地雷除去の方が先。 少年だろうが、兵士である以上仕方のない部分ではあるんだろうけど。 命の軽い地雷除去要員が、徐々に一人の人間として軍曹の中で重さを持ち始める描写は、およそ2000人と言われる地雷除去要員にも、一人一人名前や人生があったことをわからせてくれる。 現実にそんなことはなかっただろうけど、軍曹が少年たちとの約束を守ったことに救われた気がした。 [DVD(字幕)] 8点(2018-05-19 00:51:55) |