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741.  ワイルド・スピード 《ネタバレ》 
-The Fast and the Furious-“速く、そして凄まじいもの”…なんかワイルド・スピードってシンプルな邦題が市民権を得てしまってるので、それはそれで良いのかなー?って。 アメリカ映画に出てくる日本車って、お金が無い学生が乗ってるか、車にこだわりの無い若いオネーちゃんがボロボロのホンダやトヨタに乗ってる印象しかなかったから、この映画でコワモテのオニーさんに、あれだけ日本車がウケてるなんて、当時はちょっと実感湧かなかったっけ。 しかも日本車らしくないケバケバしいカラーリングとピカピカのエンジン。底にネオン仕込んだ車なんて、まだ周りで走って無かったからインパクトが大きく、見慣れた国産車なのに、ちょっと不思議な文化を見てる気持ちになったわ。  このシリーズは2本ほど観ていると思うけど、1作目はたぶん今回初見。ゼロヨンというと『よろしくメカドック』を思い出してしまうけど、レースシーンは熱いしカメラワークも当時にしてはコダワリが感じられた…けど、単純な直線スピード勝負で、ニトロのタイミングで決着が着くゼロヨンでは、“走る・曲がる・止まる”が高次元なバランスの日本車の本来のポテンシャルは出しきれない気がするなぁ。でもそうでないと、最後“早いけど・曲がらない・止まらない”なダッジ・チャージャーの出番がないから仕方ないのかも。  信頼関係が芽生えたブライアンが潜入捜査官で、ドミニクが『裏切られた~』って感じたことより、ドミニクがそのまんまDVD泥棒だった事のほうが、そして“単なる泥棒と見せかけて、実は…”みたいなその先の話が無いこととか、なんか『裏切られた~』って感じ。 でもこの映画、ストーリー云々でなく、ピカピカの日本車が元気に走ってるシーンを、ただボーッと観てるだけで楽しい気持ちになれる。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-13 22:10:02)
742.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 
公開当時は観客入れ替え制ではなかったので、同時上映のホームズと併せて、2回連続で観た初めての映画。 当時の私の年齢を考えると、内容を充分に理解していたとは思えないが、難しいながらも原作漫画も読んでいたし、映画についても子供向けのアニメじゃない、何かとっても凄いものを観ている気持ちになっていた。私にとって、アニメが子供が観るだけの娯楽じゃないと思えた、何かターニング・ポイント的な作品だったのが、このナウシカだ。  10代の頃は金曜ロードショーで放送される度に観ていたけど、そのうちビデオかLDを買おうと考えて録画はせず、20代以降になると一度鑑賞したくらいで、今回…久しぶりの鑑賞となった。高画質の必要性も感じなくなっているので、BDでなくDVDを買うことにしたんだけど、定価が結構高いので、ついケチって中古で買ってしまった。残念なことに中に入ってる説明書(?)がクシャクシャで…ジブリやピクサー作品を中古で買う時は、前の持ち主が小さな子供の場合があるから、注意が必要だわ。  久石譲さんの重厚な音楽、刺繍のような歴史絵巻。オープニングからなんかもう、感無量。 巨大な“蟲”と呼ばれる生命体。腐海と呼ばれる森。まだ謎だらけの巨神兵。騎士と銃と戦車があり、飛行機を船と呼ぶ世界。「父はもう飛べません」「ゴルが風が臭うと言うとります」セリフから創られる広い世界観。一気に公開当時の頃に引き戻される感覚。  ナウシカという不思議な少女。16歳と幼いけど、設定だとユパ様があの容姿で45歳なので、現代ならナウシカも成人以上の立場だと思う。村人に慕われる優しさを持ちながら、コマンド兵を殺す荒さを併せ持つ。今回観ていて気がついたのは、父が殺されて腐海の植物の研究を止めたこと。村人のため研究していたと言いつつ、内面では父親に対してかなりコンプレックスを持っていたようだ。幼少期に父に王蟲の幼生を殺されたことを、彼女の中でどう処理していたのか。原作や当時のガイドブックをもう一回見てみるかな。 一番好きなシーンは、腐海に落ちるバージを救うため、マスクを外して気持ち良さそうに風を受けるナウシカ。混乱する城おじを一発で従わせる行動力。あんな笑顔を見せられたら、誰だって従ってしまうよ。さすが村の長、ナウシカ凄い。  一方で酷い長がペジテの市長。映画観ていて『本当にコイツがラステルやアスベルのお父さんなのか?2人の父は他にいて(ペジテ王とか)、この人はただの行政の長なんじゃないか?』って思ったくらい。娘を人質(手枷が後のラステルの扱いを想像させて痛々しい)にされ、ペジテを放棄して少人数乗りの飛行艇で逃げて、恐らくまだ市民も残るペジテ市を蟲に襲わせるなんて。しかも最後、生存者を巻き添えに船ごと自爆まで考える始末。エンディングで風の谷がトルメキアとの戦争を回避(クシャナが本国に掛け合ったんだろう。)したのに比べ、なんと独善的で利己主義な人物だろうか。 ナウシカが最後に着たラステルの服(だと思う)。胸のマークは海亀だろうか?ペジテと海亀?…飛行ガメ…関係ないな。最後、生き残ったペジテ市民が風の谷で暮らしてるのに、今回初めて気がついた。そういえば、人間以外で今の世界と共通の生物が出てこないなって思ったら、川にカエルが泳いでた。  王蟲の暴走で明らかに跳ね飛ばされたナウシカが、どうして生きていたのかとか疑問は残るけど、映画は映画で特に不満なく観られるし、血みどろの漫画原作とはまた違った、スッキリした魅力があると思う。 安田成美のイメージソングも全然平気で、当時の予告編を観ていると、むしろこの歌と歌声が好きな私がいるのも、驚きの発見だった。
[映画館(邦画)] 9点(2021-12-12 19:25:41)(良:1票)
743.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
-Good Will Hunting-主人公の名前である“善人、ウィル・ハンティング”って意味と、“人の好意を求めて”って2つの意味があるみたい。マット・デイモンがまだカッコいい美青年だった頃の映画で、日常の荒々しさと天才的知能を発揮する場面のギャップが格好良く、バーで大学生を知識で言い負かすのはスカッとする。共演するベン・アフレックも、前に出過ぎない程よい存在感を出せていて、とても好感を持てる。  映画で語られるように、ウィルが本などで得た知識と、実際に実物を目にしての感想は別物。例えば写真で見る清水寺と、実物の清水寺の違い。現地に行かないと感じられない空気感とか佇まいとか。だけどそれは、修学旅行で興味のないガキの時に実物を見ても、あまり入ってこない。でも歴史に興味を持ってからに観る清水寺の、何と素晴らしいことか。そんなコトをぼんやり考えながら観ていた。  マグワイヤもランボーも、スカイラーもチャッキーも、異口同音に今のウィルの境遇を認めたうえで、次のステップを勧める。ある程度まで人間関係が進むと、自ら心を閉ざすウィル。気を許せる幼馴染みのチャッキーの思い『ノックをする前の10秒間』の話はとても心を打った。学がなく単純労働しか出来ないチャッキーが、人間関係に臆病なウィルに勘付かれもせずに、あんな思いを抱いていたなんて。 マグワイヤとランボーが、それぞれの思いでウィルのことを熱く語るところも素晴らしい。出てくる人みんな良い人ばかりだ。 今回久しぶりに鑑賞して、ウィルの最後の決断を勘違い(どこか優良企業に就職したと思ってた)して記憶していた。ウィルと接する登場人物で、思いの変化が一番あったのはスカイラーだと思う。かけがえのない人間関係だけど、あそこで動かなければ生涯失ってしまう関係がスカイラーとの関係なので、まず何より、カリフォルニアに旅立ったのがとても良い終わり方だと思った。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-12-12 17:17:17)
744.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
-Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo-“善玉、卑劣漢(私の観たのでは無頼漢だった)、悪玉”語呂の良さから悪玉が先にくる訳が多い。 もう全然違う邦題で、続編でもなければ、夕日も出ない。賞金稼ぎ詐欺師のイーストウッドのどこが善玉か!って思ってしまうけど、イメージ的に“オイシイ奴、ブザマな奴、ヘタこいた奴”って感じの意味かもしれない。  前作(って書き方で良いのかな?)同様、イーストウッド(ブロンディ)とリー・ヴァン・クリーフ(エンジェル・アイ)が2大主役かと思いきや、物語はイーライ・ウォラック(トゥコ)中心に深堀りされている。音楽や文字の入り方なんか、いかにも懐かしい古典的な西部劇って感じで、この埃っぽい世界観に3時間は、最近の映画に慣れた、西部劇に不慣れな人にはハードル高そうだけど、案外退屈しない作品に仕上がっている。 マカロニ・ウエスタン=低予算のイメージがあるけど、“今度は戦争だ!”と言わんばかりに後半、南北戦争の戦場が舞台になったり、大規模な橋の爆破があったりと賑やか。私の中で西部劇はカウボーイとインディアンの映画で、南北戦争は戦争と家族の映画なイメージがあって、1作品に両方が入っているのは、今回初めて観るかもしれない。  唯一、名前で呼ばれてるトゥコ(他の字幕だとテュコ)だけど、処刑シーンでブロンディが“通称ネズミ”と呼んでいて、やはりこのシリーズは表向き名無しのガンマンの映画になっていた。 このトゥコ、兄との会話から過去が想像できたり、ガンショップでのマニアックな分解→再組み立てのシーンも格好良く、意外や銃の腕もある。状況によってコロコロ態度を変えるのも親しみを感じるキャラクター設定で、最後の戦いから首吊りのシーンは、思わず“助かって欲しい”と思ってしまった。なので最後、ブロンディのワンショットはスカッとさせてもらった。良かったね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-12 16:32:38)
745.  スターリンの葬送狂騒曲 《ネタバレ》 
-The Death of Stalin-“スターリンの死”。邦題と日本版予告編の作りから、もっとゲラゲラ笑える作品だと思ったけど、案外、終始『ふふっ』ってなるくらいに抑えられていて、実際にあったことを割とそのまま描いている(そのままでも笑えてしまうほど雑な当時のソ連の内情)…のかもしれない。ピアニストのメモとか、急造の医師団とか、どこまでが創作なんだろう?  独裁者スターリン。もっとガチガチに自分にも厳しくしてたのかと思いきや、『さっきのコンサートのレコード持って来い!』とか、閣僚たちと遅くまで酒宴開いてて、こんなワガママと贅沢のし放題だったのかと驚かされる。 過去に何十万人も粛清され、現在進行系でバンバン殺されていく国民。そんな国でコンサートが行われてるとか、スターリンの国葬に多くの国民が参列しようとモスクワに集まってくるとか、抑圧されてるんだか自由なんだか、外からはよく分からないソ連の内情が出ていたと思う。でも、国民は簡単に殺されるんだよな。怖いなやっぱり。  勉強不足で、登場人物ではフルシチョフ(の名前)くらいしか分からず、人間関係の整理が追いつかなかったかな。 中心人物のベリヤが、粛清の中止など、国民側からすると人道的に動いていたようにも見えたけど、最後の裁判の罪状で数々の強姦罪が突然出てきて、それが本当なのか、フルシチョフらに罪を擦り付けられたのか、この映画だけではいまいち判断付なかった。“スターリンが死んでゴタゴタしたのは解った。けど、ゴタゴタに終止して結局どんな方向への舵取りに収まったのか?”が、もっとハッキリ解ればなぁって思った。  エンディングの、写真に映る人物に黒塗り加工していく様子が、なんかソ連っぽい。 子供の頃は鉄のカーテンとか言われて謎だらけのソ連だったけど、あの写真の加工のように雑な隠し方から、じわじわと隠された真実が表に出てきて、その途中経過的な作品と思えば、コメディ要素を取り入れた歴史検証映画って言えるかも。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-12 15:34:07)
746.  悪い種子 《ネタバレ》 
-The Bad Seed-邦題まま。“ワルいシュシ”って読んでたけど“ワルいタネ”が正しいそうな。Seedは“子孫”って意味もあるみたい。 どこかで聞いたことがある『月の光に』ってフランス民謡が、とってもとっても印象的に使われている。楽しげに、悲しげに、不気味に。1956年の映画なのに、8歳にしては大人びた少女ローダ(といっても演じたパティ・マコーミックは11歳)。この時代だとまだまだ嘘くさくても、わーい!わーい!と“子供は子供らしく”描かれてる時代だとばかり思ってた。 けどローダは生意気でその辺に居そうで、とてもリアル。特にリロイに対する受け答えとか、8歳にして人を見下した態度なんか、ホントよく表現できてると思うし、犯行を追求されて一気に感情を爆発させるところなんて、とても11歳の子役の演技とは思えない。  殺されたクロードの母ホーテンスの演技がまた迫力があって圧巻。理不尽な怒りをぶつけるのではなく、子供を失った悲しみと怒りがズシンとのしかかるような、観てるだけで重たくなる演技。静かな夫の演技がまたホーテンスを光らせる。 リロイの死をペンマーク婦人の目線で伝える演出も素晴らしい。モトはミュージカルだそうだけど、この“目線だけ”っていうのがとても映画らしい表現。それでいて安直な人が焼ける状況を見せるのを避けたのも上手い。こんな状況だからこそ、テンポよく弾かれるピアノが狂気を感じさせる。  娘に睡眠薬を飲ませるため瓶を移し替える母も怖いし、母を疑って瓶を確認するローダも怖い。 観客に口外を禁じた最後のオチって、ミュージカルとの違い全部のことだろうか?カミナリと復活は意外性というより唐突で、何の解決にもなってないような気がしたけど、ほのぼのとしたカーテンコールとお尻ペンペンはとても大好き。ズウゥゥ~~ンとした重たい空気をいっぺんに軽くしてくれた。冗談みたいなカミナリのシーンまでが、とても緊迫してて丁寧に熱演されていたから活きてくるエンディング。こんな終わり方なら、友達と観終わって「怖かったねー!!」って笑って帰路に着けるわ。  『何だかんだ言っても、あなたはまだ子供なのよ』ってお尻ペンペン。アカデミー助演女優賞にノミネートされながらも、受賞はさせなかったの、まだまだハリウッドも子役の将来を考えられる、大人の余裕な対応をしたのかもしれない。こんな小さな子に、悪女役で賞を与えてしまうと、パティのその後の人生が狂ってしまうだろう。って。 子役スターとして持ち上げられすぎて、その後の人生を駄目にした子って、たくさんいたからね。 …それでも、あの圧巻の演技には、子役賞とかあれば良かったのにって思ってしまうかな。すごかったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-06 13:13:37)(良:1票)
747.  僕の彼女はサイボーグ 《ネタバレ》 
ドラマ“JIN-仁-”のキャストが多く出ているから、なにかそんな流れ的なものがあったのかもしれないけど、どうなんだろ? 第一印象は良く言えば元気な邦画。言い換えると、あちこちに違和感を感じる展開が。監督が韓国の人だそうで、なるほど日本を舞台にした韓国映画って考えると、そうオカシなコトでもないかもしれない。  だけどペットのイグアナを食べる(言葉の説明だけで良いのに生々しい生首映す)。カレー食べてる時に大声でカピパラのフンを食べる話をクドクド。子供のフライドチキンを盗み食い。2008年にロボットダンス。こういうの、どう解釈すれば良いんだ?文化が違うと笑えるのかな? ジロー(ひとりっ子なのにジロー)の子供時代にしてはレトロ過ぎたり、実の母が高齢だからと祖母を装うとかって設定、ちょっと聞いたことないし、そもそもあの長い帰省シーンの意味がわからない。主人公の部屋(あんな物件学生は住めないだろう)のキッチンの窓から見える、怖い男の看板も、何か意味があるのかと思ってたけど、特に意味はなかったのかな。 イグアナのラウルが後半猫になって帰ってきたの、ここの意味もわからなかった…(猫が昔飼ってた初代ラウル、イグアナが2代目ラウルってのは、wiki観てわかりました。)ターミネーターのオマージュが多いから、サラ・コナーのペットのパグちゃん(イグアナ)にしたのかな?  突然の大地震。CGは当時の日本映画にしては迫力あるなと思ったけど、ストーリー上何の伏線もなかったと思うし、唐突に思えた。 違和感はたくさん感じるけど、誕生日に突然現れる名も知らない彼女との交流は面白く(ここの無銭飲食は目を瞑ろう)、1年後のちょっと違う彼女との生活もロマンチック。アラレちゃんみたいな強すぎる彼女(結局名前、付けないんだな)も、当時の“何でもやってみせる”綾瀬はるかが見事に演じてたと思う。演技も頑張ってたけど、マバタキしないのが一番頑張ってた。 だけど、停止したサイボーグ(しばらく一緒に過ごした)と入れ替わりに、未来人の彼女が現れても、容姿は一緒かもしれないけど、違う存在だよなぁ…って思ってしまうなぁ、どうなんだろ? でも、私が批判っぽく書いたことを、日本人の口に合うように直したって、せいぜい素人のラノベ作品程度。この映画より面白くなるとも思えない…
[インターネット(邦画)] 4点(2021-12-06 01:29:25)
748.  マラソン マン 《ネタバレ》 
-Marathon Man-そのものズバリだろうか?“マラソンをする男”“長時間に渡る…男”。数年前にエルトン・ジョンの-Rocket Man-が流行ったから、なんかそれっぽい雰囲気のタイトルにしたのかもしれない。  マラソンして、大学の講義聞いて、恋をしてのベーブの日常生活。一方でドクの暗殺未遂。路上の事故など、序盤からどう結びつければよいのか方向性がわからない展開が続く。ドクが殺されてからの展開、ベーブが誘拐されるシークエンスが怖い。風呂場の蝶番がミシミシ壊され、大声で助けを呼んでも止めない相手に、どう対処したら良いのかわからない恐怖。 「安全か?」「・・・安全か?」なにそれ、どう答えたら正解なの?…ってか、どっちでも拷問される怖さ。意味がわからない怖さ。歯カリカリするの痛い。チュイーン痛い。助けられたと思ったら、またあの部屋に戻される絶望感。変な汗出てくる。 助けてくれない救急車を描いてからのタクシー、変人呼ばわりしていた隣人の助け。エルザの目的。このあたり、序盤にベーブの日常が丁寧に描かれたために生きてきていると思う。そう思う一方で、ドクとベーブの話がなかなか結びつかない序盤が、映画として良く出来ているとも思えないけど。 ジーンウェイ達の最後がアッサリしていて、ちょっと駆け足感あり。でもユダヤ人街でゼルの正体がバレてからのハラハラ感は手に汗握る良い展開。  最後の「ダイヤを飲み込め」。意外な仕返し方法だけど、このダイヤもともとはユダヤ人の金歯だったから、それをナチに飲み込ませるのは、歯の拷問の仕返しとして、妙な上手さを感じた。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-06 00:26:21)
749.  わが母の記 《ネタバレ》 
母親が80歳、物忘れが出だした頃から、89歳で亡くなるまでを描いている。 観ているとどうしても自分の母親(まだまだ元気だけど)と重ねてしまって、これから先、いつ起きるかしれない認知症と、私だったらどう向き合うかとか、ついついそんなコトを考えながら観てしまった。  樹木希林の演技とは思えない熱演がスゴい。洪作の家から自分の家に帰ろうと暴れる怒ったような困ったような顔。懐中電灯を手に徘徊する真剣な顔。息子の書いた『おかあさんと渡る海峡』を詠むときの遠くを見つめる目。 自分のことを息子だと理解してくれない母親に、あくまで優しく接する洪作が、ずっと抱えてた心の引っかかり。捨てられたと思いこんでた過去をぶつけるシーン。育ての母を悪くしか言わない八重に「息子を置き去りにしたんですよね」と、涙を浮かべて問い詰めるシーンがヒリヒリと痛々しい。ここから先は大泣きしてしまう。 奥さんからアッサリと母の秘密が話されるのも、洪作の人(自分の家族)の話を聞かない性格が出てたと思う。空回りといえば空回りだけど、受け入れるのに必要な時間というのも、あったのかもしれない。  昭和な空気も気持ちよくて、誕生会で泊まるホテルの案内板。八重さんが徘徊する食堂の麻雀卓も懐かしさを感じる。夜中の居間に浴衣姿の家族がみんな集まってる画も、なんか良い。 最初まだ学生だった琴子の成長を描くことで、ゆっくりとしていて、それでいて確実に過ぎていく、9年という時間の表し方も上手い。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-11-26 01:38:57)
750.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
-3:10 to Yuma-“ユマ行き3時10分発”。列車の時刻だった。タイトルから西部劇だとは思わなかったわ。 序盤のガトリング・ガン搭載の荷馬車が面白い。実際あんな馬車ってあったんだろうか?それにしても、護衛も無しに単独輸送は、弱点晒しすぎだ。 囚人入れ替え作戦(なるほどウマい)。一人、また一人と命を落とす護送メンバー(この人がそこで死ぬのか)。トンネルを作る中国人労働者(へぇ、この時代に…)。ついつい興味が湧いて観続けてしまう面白さがある。 街について保安官も加勢して、ホッとしたのも束の間、街の人間が金でアッサリ寝返る展開は絶望感があった。  さて、元狙撃部隊所属で連隊イチの腕前。今は足の先を失って、子供にも見下されるような負け犬農夫のダンが、いつスナイパーとしての腕を発揮してスカッとさせてくれるかと見守っていたけど、ついにそんな活躍は無く… 弱い普通の人が、逆境の中勇気を出して、歯を食いしばって頑張る姿を息子に見せる。父親の威厳、本当の格好良さを魅せてくれたのは、逆に好感が持てた。  一方で常に人間の大きさを魅せるベン・ウェイド。とても魅力的な人物だけど、正直何を考えてるのかよく解らなかった。ダンの男気に共感しての、列車までの逃避行。目的は自分を刑務所に移送する列車まで届けること。自分らを襲うのは自分の部下たち。考えてみたら変な状況だけど、それでも勢いがあって楽しめる。そして最後、あれだけベンのために尽くしてきたチャーリーたち部下全員を、あっさり撃ち殺してしまうんだもの、やっぱり何考えてるか解らないわ。 でも、優しい音色の口笛に呼応して、ベンを追いかける愛馬の画は、とてもカッコ良かった。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-26 00:46:24)
751.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
-Skyfall-造語。あるサイトに“天が落ちても正義を成就せよ”というラテン語の格言から引用…って書いてあったけど、真偽の程は定かではない。 クレイグ・ボンドも安定の3作目。前の2作が前編・後編だったので、実質本作からが新しい展開となる。 列車上のアクションで、パワーショベルの橋を渡った後、カフスボタンを直すのが、何とも言えないくらいセクシーで格好良い。アクションヒーローは沢山居るけど、こんな仕草が似合うのはやはりジェームズ・ボンドだなって思う。あと前作にあった“2秒で切り替わる忙しいカメラワーク”も出てこないので、迫力のアクションを安心してじっくり楽しめた。  死んだと思われたボンドが復帰テストを受けるのは新鮮。スパイの秘密兵器を少しずつクレイグ・ボンドのリアル路線の世界に馴染ませてくるのも面白かった。もっとも、現実にありそうな銃と発信機とシンプル。本シリーズは秘密兵器で冒険はしないんだな…と思わせといて、マシンガン搭載のDB5登場にニヤリ。テーマソングの使い方も見事。射出座席もあるよ。って感じにシフトノブの蓋を開けるボンドがお茶目。これ1作目でディミトリオスから巻き上げたDB5(改)だろうか?  前作のボンドが、スパイなのにコマンドー並みに暴れまくってたけど、今回はMI6の仲間との連携、チームワークを感じさせた。Qが若者だったり、現場エージェントが実はマネーペニーだったりと、今までのイメージを覆すお馴染みのキャラの登場のさせかたで、往年の007らしさを上手に取り入れてきたと思う。最高齢のボンドガールをMが熱演。ボンドだけでなくMも人間味がどんどん出ていて良かった。Mの交代劇も『そうなるんだぁ』と納得してしまった。あれ、名字がマロリーじゃなかったら“M”じゃなくなってたのかな?ボンドの手に渡る犬の置物も涙を誘う。  今回ボンドの出生地が舞台で、ジェームズ・ボンドというのがコード・ネームじゃなく本名だったことに軽く驚いた。 エンディングでお馴染みの『JAMES BOND WILL RETURN』も、てっきりコード・ネームだからこそ。と思ってたから…
[映画館(字幕)] 8点(2021-11-25 23:51:08)
752.  極道めし 《ネタバレ》 
囚人には貴重なご馳走、おせちの一品を賭けた戦い。 如何に聞き手の食欲をソソるか?が本作の醍醐味なハズ。だから聞く人に味が伝わりやすいメニューで勝負するハズ。南の海鮮BBQのように、聞き手に伝わらない残念話を交えつつ、“もう一人の囚人”である私が鑑賞後“そうそう、あれ美味しいよな、よしこれから食べるか!”と思わせなきゃいけないんだけど、それが何故か、母ちゃん、息子、飲み屋の女、元カノと、食べ物あるあるより、ホロリと来る人情話ばかりを入れてきた。  原作はいわゆる“飯テロ漫画”だったけど…オムライスにカレーを掛けるまではアリとして、奥にカルボナーラとなると未知の味になる。何よりガチッと厚い卵に覆われた、粘土みたいなオムライスはシズル感がまるで無い。普通のお母さんが作るようなオムライスのビジュアルで良いのに。 土鍋ごはんに産みたて卵(あのオレンジの黄身は美しかった)に醤油だけで充分なのに、バターに焼いたとうもろこし…余計なもの混ぜ過ぎ、入れ過ぎだ。そしてこの元ホストの食べ方が汚い。食べ物を含んだ口の中見るの苦手。でもこれは役者さんの演技のせいではなく、『勢いよく食いながら全身で悲しめ』とか、監督なりの要求であんな事になったんだろう。  原作では大体ひと晩で淡々とバトルが行われたのを、何日も跨ぐモンだから、飯話の合間にオナラとかウンコとか食欲減退シーンを挟んでくる。アレ面白いと思ったんだろうか? チャンコが手紙を食うのも意味が解らない、ってか怖い。それで栗原が独房に入るけど、後ろ手に縛られて食事を犬食いさせられるとか、暴れた栗原が顔ボコボコになるまで暴行受けたりとか…日本の刑務所であんなこと実際あるの?田中要次が人情刑務官っぽく出てくるけど、あの暴行で全部ブチ壊し。 栗原がしおりにした仕打ち(しおりの家に女連れ込むとか)も許せるものじゃなかった。そもそも社会で悪さをした囚人たちが、今まで一番美味かったものの話をする時、つい滲み出る人間臭さがこの物語の魅力だと思っているから、栗原の出所後(お勤めを果たしたあと)がどうであろうと…  俳優さんは皆さん頑張ってるし、牛のアニメ?は工夫の跡が見えたけど、地方の古民家でロケするお金がないからセット。時期的に海岸で撮影できないからセット。人気漫画が原作のグルメ映画だから、時間もお金もケチったって、そこそこお客は入るだろう的な内容。もっと丁寧に作っていれば『極道めし2』も創れただろうに、もったいない。
[インターネット(邦画)] 2点(2021-11-25 01:35:44)
753.  天国は待ってくれる(1943) 《ネタバレ》 
-Heaven Can Wait-マイケル・ジャクソンの曲…じゃなくって邦題のまま。オープニングの刺繍ドット文字が可愛らしい。 先日「地獄に落ちるわよ」でお馴染みの細木数子さんが亡くなったけど、西洋での天国と地獄はどのような所なのか。ヘンリーの審判をする者が“閻魔大王”って訳されてるけど、階級は-Excellency-“閣下”らしい。最上級じゃないけど位の高い存在。  いきなりの床の仕掛けにびっくりした。そういうコメディ映画か?と思いきや、ヘンリーの生涯を回想する内容で、奇をてらわないしっかりとした作りだった。第二次大戦中にこんな作品を作る余裕があることがスゴい。 “女の子にカブト虫をあげると喜ぶ”“体調不良には胸にニンニクを塗り込む”聞いたことのない文化・風習が逆に新鮮。 26歳でブラブラしてて、親にお小遣いをもらうダメ人間だけど、いとこの婚約者を奪って駆け落ちするようなヒドイ奴だけど、妻に内緒で女遊びを繰り返すような最低な奴だけど、地獄に落ちるほどヒドい人間かは疑問。もちろん現代の価値観でだけど。  夫婦仲の悪いストレーブル家はジャスパーの手腕で平和なこと。牛のメーベルちゃん。お茶目な祖父ヒューゴ。憎めないキャラがたくさん出てくる。 ケーキ。ケーキ。ケーキ。ネクタイ。ネクタイ。ネクタイ。時間の経過の表現が素敵。 25年目のマーサの告白「実は怖くなかったの。“もっと早く歩いて”って。」最後の誕生会のダンス。 ヘンリーが本棚から偶然手にする本が『夫を幸せにする方法』にホロリ…こういうジーンとさせる観せ方が上手いなぁホント。 結婚式のときもヘンリーが死ぬときも歌ってたクーパー・クーパー婦人って何歳なんだろう?って思いつつ、天国でマーサに会える可能性を秘めた粋なエンディングも秀逸。 古い映画だから、シンプルだし色々てんこ盛りな内容じゃないけど、こういうのを、観て良かった映画って言うんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-22 16:02:41)
754.  バスケット・ケース 《ネタバレ》 
-BASKET CASE-グリーン・ディの名曲…じゃなくって、“非社交的な除け者”のスラング。モトは戦争で手足を失った兵士は担架(≠バスケット)で運ばなきゃいけなくて、もう役に立たないから。だそうな。ヒドい。 タイトルのモトネタは、兄ベリアルの事ズバリだし、スラングは弟ドゥエインの事も表していて、結構秀逸なタイトルだよね。  身体がくっついて産まれてしまったシャム双生児。同世代ならご存知、ベトちゃんドクちゃんが生まれたのが'81年。恐らくあの痛ましい姿を見て『よし!これだ!!』って思ったんだろうな。ヒドい。…けど、モノを作る人にはそういう発想が大事だし、ホラーなんてどう擁護したって“ヒドい!”としか言えないんだから、どんどん面白い作品を創ってもらいたいところ。  おぞましいバケモノと、血みどろの惨殺場面と女の悲鳴。セクシーなお色気だけあれば充分なB級ホラーなのに、案外ストーリーと登場人物がしっかり描けているので面白い。 主人公兄弟がテレパシーで話せてたこと。切り離されてからは兄から受信できても送信ができないとか、親が話せないベリアルを化け物扱いした背景も見て取れる。ベリアルを切り取る医者3人に獣医が入っていたり適当。兄を助け、かばい、復讐を手助けする弟。不気味だけど兄弟愛が描かれていたり、最後にホテルから落ちて、兄弟一対に戻って死ぬところとか、ちょっともの悲しくも思えて、なんかティム・バートン作品のようなファンタジックさもある。 恋人シャロンを殺しに行くベリアルの姿が、全裸のドゥエインだったりと、もしかして2重人格のドゥエインの単独犯行?とか、色々解釈もできそう。  ホテルの住人も個性的できちんと描かれて好感度高い。一方的に話しかけて一方的に去っていくオバサン。覗き見、侵入、盗みまでするオジサン。セクシーな面倒見の良い売春婦のお姉さん。奇妙な住人のせいでバタバタと忙しい管理人さん。…あれ?これってめぞん一刻?? ※めぞん一刻の方が先('80年~連載開始)でした。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-22 15:02:08)
755.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 
-The Bank Job-想像通り“金庫破り”とか“銀行強盗”のスラング。 ジェイソン・ステイサムだし、気軽に観られるクライム・アクション映画かな。と思って視聴。なんか、冒頭の“1970年カリブ海”の字幕を見逃した私が一番悪いんだけど、ず~~っと現代劇だと思って鑑賞してた。テリーはクラシックカーの修理屋で、携帯とかはたまたま使わず、あのゴツい無線機にも違和感を感じず…。実話ベースなのもエンドクレジットまで気付かず…かなり疲れてたのかな、なんかもったいない観方をしてしまったよ。そんな疲れた状態でも眠くもならず楽しめたから、大した映画だ。  仲間集めからプランニング、穴掘り、警官が見に来るピンチまで、銀行強盗もののお決まりの展開だけど、ペストの死者の墓(?)が出てくるとこが、観てる私にも予想外だったので面白かった。サクサクと進む穴掘り。簡単に穴が開く銀行の床に、『(現代劇だと思ってるから)そんな馬鹿な…』って思いつつも、貸し金庫の中身の多様さが面白い。洗ってないパンツなんて、入れるんだなぁ。 無線傍受から警察出動。16kmより細かく範囲を絞れないなか、一軒一軒警官を送って見回るマゴマゴしさから、救急車を止めて無線の様子を探るグッドアイデア。それを覆す無線機落下のアクシデントは、なかなか手に汗握る展開。ワゴン車を変えての脱出成功に一件落着と思いきやの、その後のたくさんの組織、人間が複雑に絡み合った展開が面白い(この辺から時代設定に薄々気がつく)。  テリー、MI-5、警部、ヴォーゲル、汚職警官らがパディントン駅に集合するゴチャまぜの展開はワクワクするし、最後テリーがヴォーゲルをボコボコにするのは痛快。よく出来たクライム・サスペンスだなぁと観終わってからの、実は実話な衝撃。 チキン・インが本当にあったこと、マイケルXによるゲイル・ベンソンの殺害、'70年代のマーガレット王女の荒れようと、ミック・ジャガーとのウワサ…って、そのミック・ジャガー出てるし。知れば知るほど面白い話でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 14:13:44)
756.  殺人遊戯 《ネタバレ》 
松田優作の遊戯シリーズ第2作…何てことは知らずに鑑賞。 松田優作といえば真面目で無口なハードボイルドな面と、探偵物語の工藤ちゃんみたいな饒舌でおちゃらけた面が思いつくけど、この作品ではその両面が楽しめて、ちょっとしたお得感があった。裸の大将みたいな格好しててもスラッとした松田優作はカッコイイなぁ。 「今日、野性の証明観に行かないと…」「ネバーギブアップ!」ラジオから『戦士の休息』と、同年のライバル映画ネタをジャンジャン出してくるのが笑える。たまたま先日観たばっかだし。こちらの音楽も大野さんなので、軽快でオシャレなルパンっぽさも味わえる。  鳴海という人物、照子が殺されて復讐のように花井組を壊滅させるとか、文太に殺人の報酬ぶんの金を全額置いていくような、情に厚い男の一面があるようだ。だけど人質にした美沙子にロシアンルーレット(もともと殺す気はないんだろうけど)をした後に「運が良い」と開放する。最後は自分を撃つ美沙子にキスをして撃ち殺す冷酷な一面もある。 最後の美沙子を殺す必要性がイマイチよく解らなかったけど、最初に殺された会長の秘書だった時は、美沙子はこの会長の愛人だったんだろう。その会長の利権を握ってクラブのママになってからは勝田の愛人だったから、5年前も今も、鳴海が暴れるたびに自分のパトロンを殺されてる。 最後鳴海に向かって撃つのは、きっとロシアンルーレットの仕返しなんだろう。もちろん鳴海に当てる気はなくて“もう運が尽きた”ことを伝えて、あの時に遡って殺してもらうことを望んだんじゃないかと。そう考えると美沙子を撃った鳴海は、一貫して情に厚い男と言えるかもしれない。美沙子の酒は涙でしょっぱかったのか。  寿会の銃撃戦は約3分に及ぶワンカット長回し。扉に穴が空いたりと、撮り直しが難しい中での一発撮りは、この時代結構スゴいことなんじゃないかな。 だけど確かに、殺されるヤクザのオーバーリアクションは、ふざけてるビートたけしみたいで笑えるかも。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-22 12:42:31)
757.  野性の証明 《ネタバレ》 
-野性の証明- 野生(=自然に育つ)じゃなく“野性(=動物の本能)”です。 たぶん兄が、原作の表紙(味沢が頼子を背負う絵)の、新聞の切り抜きをテーブルに置いていて、なんかあの絵の、生気のない頼子が幽霊みたいで怖かったんだ。これは絶対恐い本だ。と。それから数年、テレビでやってるのを観てしまう。これ昔見た恐い表紙の映画だ!と。 怖かったなぁ。テロ鎮圧シーンは大丈夫なんだけど、何も悪くない村人が次々残忍に殺されるのって、とてもショッキングだった。それと朋子の家に暴走族が来て殺されるところ。「家の中(安全地帯)まで入ってきて殺すなんて…」と、あれは逃げ場のない恐怖体験で、夜中に暴走族のバイクの音が聞こえると、家に襲撃に来るんじゃないかと、しばらく心臓パクパクして固まってたわ。 でも何だかんだ最後まで観て、頼子ちゃんが撃たれるのに悲しくなり、味沢の「頼子、行くぞ」に、何か熱いものが込み上げました。音楽も印象的で、メインテーマ(歌じゃない方)が頭の中でリフレインしていました。  大人になって観てみると、東北の羽代市が舞台で、そこでは自衛隊も警察も大場一族が支配しているというマッドシティ設定。ネットの発達で日本が小さくなった今と比べ、中央の力が及ばない地方都市なんてのも、あっても不思議じゃないなって思えた時代だった。犬神家の都市版のような雰囲気がいい感じだ。 朋子の姉を殺したのは味沢か、なぜ味沢が朋子に近づいたのか。野心的な記者の朋子と、保険のセールスマンの元自衛官・味沢。羽代市を支配する大場一族の裏の顔と、防衛省昇格を前に非公認の特殊工作隊を隠したい自衛隊幹部の思惑が交差する。複雑だけど面白い。  「俺たちが助かる方法は3つ。演習中隠れているか、演習地から逃げ出すか、あの22名を倒すかだ」ここまでは凄く盛り上がるんだけど、特殊工作員が一般の自衛官をあっさり殺す意外、特に盛り上がりがない。ここから、今までの面白いドラマが安っぽいアクションに切り替わってしまうのが残念。 エンディングが記憶では『戦士の休息』だと思ってたけど、大野雄二氏の音楽(頭の中でリフレインしてたやつ)だった。大野さんの音楽最高。 そのエンディングで、頼子との回想とか自衛隊との戦闘とかと一緒に、戦車部隊と一緒に歩く味沢の画が、当時も今も謎。  印象的な頼子の最後。撃たれて瀕死だった頼子は、予知能力で父がヘリの隊長に撃ち殺されるのを察知して、それで飛び出したんだろう。トロッコでの別れ際、味沢が「頼子ちゃん」と、他人扱いするシーンからの繋がりで『お父さ~~~ん!』「頼子!」は名場面。 頼子の父が発狂した原因の軟腐病。もしかしたらあの部落だけでなく、このマッドシティ羽代市にじわじわと軟腐病が浸透していたのかもしれない。“演習にかこつけて味沢親子を殺してしまおう”なんて、マトモな人間の発想じゃない。劇中何度も出てくるセリフの通り「狂ってる」。 そして最後の味沢の特攻。戦車と歩兵の大部隊相手に拳銃で戦いを挑む味沢。でも相手は特殊工作員でなく一般の自衛隊員。元特殊工作員ながら人間性・理性を失わなかった味沢も、この時には既に、軟腐病(≒野性)に侵されていたのかもしれない。
[地上波(邦画)] 6点(2021-11-20 11:54:55)
758.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 
-Oldboy-“男子卒業生”…いわゆる“OB”ですね。 和製英語だけど原作が日本の漫画とのことで納得。あと“中年の男”って意味にもなるそうな。 いやいやいやいや…なんとも痛々しい映画だわ。肉体の痛みはもちろんだけど、精神的にズンと来るものがあった。 そしてオ・デスの復讐劇に見せて、彼の行動がウジンの復讐になっていたという、見事なシナリオ。 ミドと結ばれるのは、ある意味理想的な…というか、よくある展開だな、と思いきや、あんな気持ち悪い復讐が用意されていたなんて…  このウジン、姉と相思相愛だったのは置いておいて、オ・デスに姉の死の責任を全部おっ被せるのは、八つ当たりとしか思えない。八つ当たりだけど、復讐を生きる糧にして、そのためだけに生きてきたのが、ウジンの最後も含め、悪役ながら悲しいものがある。 そもそもあんな公共の場所でコトを始めたあんたら姉弟が不用心だったんじゃ…?だけど大好きな姉が目の前であんな死に方されちゃ、心を病んでも仕方ないか。最後に写真を撮るシーンなんて何とも言えない美しさがあった。  ミドの所に箱があると知った時のオ・デス、ウジンと姉への心からの謝罪からの行動というより、自分とミドの関係を守るための行動に思えてしまう。そして最後の催眠術師への依頼なんてどう考えても自己保身からで、今後ミドと、親子ではなく恋人のままでいようとしたと思うと、まだ学生だったウジン姉弟より気持ち悪いかもしれない。どうしてミドから自分の記憶(中年男を好きになったこと)を消してもらおうとか、もっと常識的な依頼にしなかったのか。そして抱き合うオ・デスの表情が笑顔から悲しみに変わることから、催眠術は失敗したんだと思う。父親である自覚を持ったまま娘のミドを愛し続ける。地獄だ。 何とも恐ろしく悲しく、そして気持ち悪い。でも、正直言ってスゴい。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-11-19 19:07:30)
759.  斬る(1962) 《ネタバレ》 
序盤から光と影の使い方が効果的。深い影と強烈な光に浮かぶ暗殺前の藤子の肌の色。 足元を反射させる黒光りする床。俯瞰から入る妾の暗殺場面の生々しさと印象的な音楽。序盤との対比で入る、暗殺後の藤子の顔。 弟を逃がすために着物を脱いで戦う佐代の妖艶さ。胸元の汗と流れ落ちる真っ赤な血。この映画は女の描き方が妖艶で美しい。  必殺の“三絃の構え”は神秘的。だけどおそらく実用的な技ではなく、相手の戦意を奪う“はったり技”だったと解釈。 控室で襲い来る主水に、三絃の構えで梅の枝を故意に斬らせ、鋭利になった枝先で主水の胸を突く(この時の技は三絃の構えではない)。もちろん信吾の剣技実力は高く、この技がなくても強いけど。 殿を探す際、広い城中を駆け回る信吾。ここでも俯瞰撮影を多用していて見ごたえがある。  ただ父との再会や、新しい主君との関係、殿が命を狙われる理由、最後の切腹と、どうにもこの映画の目玉、伝えたいことが見えてこない。 序盤以降の、ほのぼのとした家族との暮らし。優しい養父とお殿様。お転婆な芳尾はこの映画の清涼剤だけに、この路線でずぅっと行ってほしかった。 時代を感じさせない映像の美しさはかなりのもの。上映時間の短い作品なので観易いと思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-17 01:42:05)
760.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 
-Terms of Endearment XXX- “愛称” …え?タイトル愛称なんだ?誰か個性的な愛称で呼ばれてたっけ? 意訳の“愛情を受けるための条件”…とかでも良いのかな? タイトルには含まれないけど、タイトル画面の最後のXXXは、手紙とかで書くキス。“Chu!”みたいなものみたい。  先日、瀬戸内寂聴さんが亡くなった。幼い頃から徳の高い尼さんという印象で見てたけど、出家する前は不倫したり娘を捨てたり、本能のままに生きてきたようで、知らなかったから結構びっくりした。人間生まれてから死ぬまで、誰であっても、どんな立場でも、どんな年齢でも、恋愛はするんだなぁ。本作もオーロラとギャレットの熟年の恋愛から、エマとフラップの結婚。お互いの不倫まで様々な恋愛模様が出てくる。  ただ、エマの不倫がねぇ…フラップがまだ浮気疑惑(あの段階でどれほどの確証があったのか?)なうちに、サムと不倫。そこまでは仕方ないとして、不倫してることをオーロラに相談してる事にドン引き。オーロラもフラップが大嫌いだからって、娘の不倫をどんな気持ちで聞いていたのか、とてもモヤモヤする。 妻が死んでいく事を受け入れて、自身の浮気を白状するフラップに対し、自分の不倫は墓場まで持っていくエマ。こんなところも、なんかやっぱりスッキリ出来ない。何が正解か解らないけど、恋愛に対して不誠実に思えた。 長男トミーのエマへの冷ややかな態度から、彼は母親の不倫を知ってたのかな?なんて思ったけど、そう言う描写は無かったな。  人生の最後、必死にトミーに語りかけるエマ、それを面倒くさそうに聞き流すトミーがリアル。これ大人になって絶対後悔する。 併せて、ママを怠け者扱いするトミーに手を挙げるオーロラのシーンも、かなり心に刺さる。叩くオーロラの心も痛い。 エマが死んだときのオーロラの『この子が逝けば苦しみが和らぐと思ってた』ここもとても共感。末期の家族を看病するのって精神的にも体力的にも疲れ果てるから、熟睡できない夜を何日も過ごしてるうち、つい“この状況、いつまで続くんだろ?”って思ってしまうんだよ…人間って弱い。  人は生まれてから死ぬまで、友情、愛情、不倫も含めて人を好きになり、愛を与えあう。 愛する人の死でポッカリ空いた穴は、残された家族と友人とで、時間を掛けて埋められていく。 ジェームズ・L・ブルックス監督って聞いたことあると思ったら、あのザ・シンプソンズのブルックスだった。へえぇ~~、こんなこともする人なんだ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-17 00:30:14)
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