761. 守護神
《ネタバレ》 「愛と青春の旅立ち」を基本ベースに、鬼教官側にバックボーンを与えつつ、これまでの幾多もの海難アクション映画の良い部分をつき混ぜて、巧い具合に継ぎ接ぎしたような映画。接着剤が悪くなかったせいか、なかなか面白く観賞させてもらいました。ここ数年ずっと低調で、もしかしたらこのままチョイ悪オヤジ的脇役に甘んじてしまいそうだったコスナーが見事復活!高校時代「ファンダンゴ」を観た時、「この兄ちゃん、スゲーカッチョええ~!」ってサングラス・コスナーに憧れた時の事を懐かしく思い出しました。「守護神」って日本語タイトルは映画を観ればナルホドって思うけど、いまいちインパクトに欠けるような気が。 [試写会(字幕)] 6点(2007-01-27 10:28:14) |
762. 鴛鴦歌合戦
念願叶いようやくスクリーン大画面で観る事が出来ました、世評高い「鴛鴦歌合戦」!この作品の愉しさは既に皆さんに言い尽くされているようなので、さらに自分ごときが言葉を重ねる必要もないんですが、「時代劇オペレッタ」という生まれて初めて観るジャンルの映画で楽しかったです。70年近く前のモノクロ映画にもかかわらず、昨日の東京京橋フィルムセンターは上映前老若男女長蛇の列、ほぼ満席の会場で昔の日本映画が大好きな方たちに囲まれ、これ以上ないと思われる環境で映画を観る事が出来たのは幸せでした。当時の暗い世相を考えたら、突然変異的に生まれた娯楽作品には違いないと思います。でも閉塞的な時代だったからこそ、意図したしないにかかわらず、この映画の作者たちの裏の思惑が自分にはなんとなく伝わってきましたね。国家権力への自己犠牲が当たり前と思われていた時期にもかかわらず、ヒロインお春さん(市川春代)の一見ノーテンキ、実は複雑なこのキャラクター設定はどうでしょう?骨董掘り出し物収集家の父(志村喬)の為、五十両のカタに陽気なバカ殿(ディック・ミネ←いちおう権力)の側女に無理やり召されかけるシーンが後半にあります。私はここでてっきり「おとっつぁんのためならしょうがない、私が殿様のお妾に上がるしかないわね・・・」と決意し、父親とのメソメソした愁嘆場が始まるかと思ってました。ところが彼女は終始甘ったれた声で「いやよ、いやよ、絶対や~よ!」とあくまで「拒絶」という自己主張を貫き、最終的な獲物である若きヒーロー千恵蔵氏の腕の中に飛び込んでいくのである。権力に対する個人意思の見事な勝利ではないか!(←そこまで考えてないっつーのw)いやはや私は参りました、この愛嬌たっぷりのお春さんには諸手を上げて降参です。伊達に「チェ♪」と音に出して発音するだけの事はある。ちびまるこちゃんもびっくり。怒涛のごとく大円団へと流れ込む音楽の処理もお見事!二回目を観たらもっと点数上がるかもしれません。 [映画館(邦画)] 8点(2007-01-24 16:31:59)(良:4票) |
763. 北の国から '89帰郷<TVM>
シリーズ中屈指の類い稀なる傑作「初恋」の存在に阻まれ、かなりこれは印象薄の作品に。今となっては次の「巣立ち」とも内容が混濁状態です。「♪またあのれいちゃんに逢える、れいちゃんに逢えるぞぉ♪」と、我らが永遠のヒロイン「れいちゃん」の登場を、今か今かとブラウン管の前で小踊りしながら待ってたのにもかかわらず、確か最初は電話の声のみで、その後もほんのちょびっとしか出番が無く、なんだか思いっきり熱く盛り上ってた分シラけてしてしまった記憶が。おかげで初々しい蛍の初キスシーンにもあまり感激しないまま、不完全燃焼で終わってしまう羽目に・・・。あうぅぅ・・・。 [地上波(邦画)] 6点(2007-01-21 17:21:52) |
764. ユア・マイ・サンシャイン
《ネタバレ》 そうですかそうですか、難病ラブロマンスのネタが尽きたら次はHIV感染ネタですかあ・・・。韓国映画のここ数年の流れってホント一昔前の日本映画界みたいですね。日本映画界が何十年もかけてやってきた事を、韓国映画界ではここ五年位の間に驚異のスピードで吸収しつつ、しかも商魂逞しく乗り越えようとしてるって印象。「本国で何百万人が号泣!」という宣伝コピーでしたが、この作品に関しては、自分はどこが泣きどころなのかさっぱり理解出来ないままTHE END。あえて言えば、刑務所の面会室で男が無理やり網を乗り超えてヒロイン側によじ登ろうとするトコか?これもコイツちょっとやり過ぎやんって醒めてしまったし・・・。韓国の田舎だとまだHIVに対する認識ってここで描かれてた程度のモノなんですかね。20年位前ならともかく、この話がごく最近起こった実話の映画化なんですって言われちゃうと、ちょっと違うんでないかい?ってついつい反撥してみたくなる。主役のキャラクターが親しみやすい点「連理の枝」なんかよりはずっとまし。ああっ、これでまた「ラブストーリー」の頃の韓国映画への期待感と感動が薄れてゆくよぉ・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2007-01-21 10:44:48) |
765. 僕と未来とブエノスアイレス
自分もアルゼンチン映画自体この映画が初見。同じ南米でもブラジルと比較すると、この国の人は気性が幾分穏やかなんすかねえ?確か気候も似てるって大昔習った記憶があるけど、日本人の心情と相通じるものがあるような気がして、多くの登場人物それぞれの人生模様を楽しんで拝見させて頂きました。佳作と呼ぶにはもうひとつという気もするけど、クレジットタイトル終了後の、イタリアから移民して苦労を重ねてきた主人公のおばあちゃんの笑顔と、気の利いた台詞にやたら心が和んだんで一点オマケしときます。 [映画館(字幕)] 6点(2007-01-20 15:15:14) |
766. マリー・アントワネット(2006)
《ネタバレ》 「ロスト・イン・トランスレーション」に全く乗れず、「スパイダーマン」の弱点がヒロインの存在そのものという自論を揺るぎないものにしてる自分としてはこのお二人のコラボ、正直怖いもの観たさの観賞となりました。・・・意外にも良かったです、いかにも女性目線からの、マリー・アントワネットという一女性を通したフランス小宮廷史。故郷ウィーンからベルサイユへのお輿入れの冒頭シークエンスから、丹念かつ延々と撮っているので、ああこれは彼女の生涯最後までは収めきれないだろうなって思ってたら案の定その通りでした。中盤のしつこい位の王妃ご懐妊お世継ぎ騒動は、ニッポン皇室ウォッチャーの方々に特に受けそうな感じ。衣装やらケーキやらの小道具類等、細部は凝りに凝った丁寧な演出が見られるけど、どうも全体として見ると構成がガッチリしていないというか腰が据わってない印象。あくまでターゲットをプチセレブ願望大の女性観客としてならこれで及第点なのでは?それでもバスチーユ牢獄襲撃スペクタクルシーンくらいは、クライマックスあたりに用意してもらいたかったかなあ・・・。ジュディ・ディビスの使い方がもったいないし、BGMの使い方には疑問百出。 [映画館(字幕)] 6点(2007-01-20 13:19:10)(良:1票) |
767. アメリカン・グラフィティ
おそらく、自分よりも二世代位上くらいの方々のバイブルがこの「アメグラ」や「卒業」じゃないんですかねえ。んでもって、一世代上の方は「ビッグウェンズデー」や「サタデーナイト・フィーバー」あたり?自分にとっての「ファンダンゴ」「スタンド・バイ・ミー」に対する熱い想いと一緒で、この手の青春映画を本気で愛する気持ちっていうのは、感覚的に同時代、同じ空気を吸ってた者同士じゃないとわかり合えないんじゃないかって気がします。自分の評価が平均点に留まったのは、やはり映画を観ながらこの時代の熱気からイマイチのけ者にされたといおうか、置いてきぼりにされてしまったような気がした為。(→TBS名作洋画ノーカット10週にて観賞) [地上波(吹替)] 6点(2007-01-13 12:52:39) |
768. あるいは裏切りという名の犬
デ・ニーロ主演でハリウッドリメイク決定という情報を耳にした後映画を観たので、主役ダニエル・オートゥイユの顔が、段々とデ・ニーロと二重写しに見えて仕方なかったです。いかにもデ・ニーロが演じたくなるような役柄ですね、この役は。女性や子供に迎合した映画がマーケットのほとんどを占めている昨今、こんな中年のオッサン臭さ充満のクライムムービーを見たのは久しぶり。「女子供の甘っちょろい観客なんてハナっから相手にしてねえぜ!」とでも言いたげな作者の開き直りが、逆に自分には爽快で思わず快哉を叫びたくなりました。たぶん女性の方が観たら、あまりに女性への暴力過多のこの映画、良い印象は決して持たれないはず。初盤での展開で、誰が悪党で誰がヒーローなのかよくわかりずらい点も、いつも見慣れてる明快ハリウッド映画と違い含蓄があるようなないような、なんだか自分の映画の鑑識眼を試されているような気分でしたね。全身から哀愁漂わすオッサン二人がとにかく巧い巧い!ドパルデューなんて、前作「ルビー&カンタン」のコメディ演技を見た目には、同一人物とは到底思えない憎々しげな悪役っぷり。骨太な作りのフランス映画の佳作、酸いも甘いも噛み分けた(←自分はどっちも噛み分けてないすが・・・)大人の三十代以降男性におすすめ! [映画館(字幕)] 7点(2007-01-12 12:31:58) |
769. 陽暉楼
「女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥・・・」恐えぇぇっ・・・なんて背筋がゾクゾクする素晴らしいキャッチコピーなんだろう・・・。あいにく映画本編の方は、この宣伝コピーを凌駕するほどの出来でなかったのは残念。宮尾登美子原作ものって一時期五社監督の専売特許でしたよねえ。女優は娼婦を演じさえすれば演技賞への最短ルートっていう、昔ながらの邦画の悪しき慣習をそのまま受け継いだ旧いタイプの映画には違いない。でも佐藤勝の軽快な音楽に合わせ、豪華女優陣がズラッと画面一杯にこっちに向かってくる画つくりは壮観の一語。最近の「大奥」のCMを想起せられよ。 [地上波(邦画)] 6点(2007-01-07 13:43:10) |
770. 恋愛専科
秀作「スペンサーの山」でも書いたけど、デルマー・ディヴィス監督をもっともっと再評価すべき!正直内容的にはたいした事がない通俗的ラブロマンスにもかかわらず、イタリアの観光名所をこれでもかっていうくらいダイナミックにカメラに捉え、観客をうっとり魅了させてくれます。「避暑地の出来事」同様、この監督はロマンチックなムードを画面に醸成させるのが非常に巧いです。観ていて自分とバイオリズムの波長が合うと言ったらいいか。なのにこのレビューに名前すら登録されてないなんて・・・。あうう~。 急に思い出したんですが「ローマでチャオ!」って、昔やってた外国テレビドラマ観てた方いますか~!? [地上波(吹替)] 7点(2007-01-06 14:31:06) |
771. 白と黒のナイフ
《ネタバレ》 「追いつめられて」と同じく、こちらも「衝撃のラスト」宣伝系サスペンス+法廷劇。この作品については、ラストばかりがクローズアップされ、というか「どんでん返し」を喧伝するなら、ああいう結末になるしかない訳で・・・。巧く出来てるとは思うけど、さすがに後続のパンチの効いたサイコサスペンスがほとんど出尽くした今となっては、印象がかなり稀薄なものになってしまったのは否めません。 [映画館(字幕)] 6点(2007-01-06 11:07:31) |
772. 追いつめられて(1987)
《ネタバレ》 いわゆる「どんでん返し」がラストに待ち構えてる映画って宣伝が難しいですよね。この 映画の公開時も、さかんに「衝撃のラストシーン!」って映画雑誌等で喧伝されてました。自分はラストシーンにはさほど驚きはなかったんですが、そこに至るまでの押しの強いサスペンス描写には唸らされました。当時上昇気流に乗っていたコスナーがとにかくカッコ良く、ハックマンも巧い!登場人物全員のキャラが立ってるサスペンス映画って本当に映画館の暗闇で、小踊りしたくなるほどワクワクします。最近観たスコセッシ監督「ディパーテッド」でもマット・デイモンがこの映画と同じ手のシチュエーションで、正に「出口なし」状態で追いつめられていたけど、こっちの方が断然上! [映画館(字幕)] 8点(2007-01-06 10:34:57) |
773. ディパーテッド
《ネタバレ》 オリジナル(9点)にあったはずの、クール且つスタイリッシュな作風はまるで影を潜め、いかにも明快明晰なハリウッド映画に仕上がってますね。レオ&スコセッシコンビ作第三弾ですが、前作「アビエーター」より遥かに万人に受け入れられ易い娯楽作品的志向が強くなってます。全編にわたって役柄そのままに、レオとマット・ディモンは御大ニコルソンの懐の中に入り込んで、手の平の上でコロコロともて遊ばれているって印象。しかも二人とも嬉々としながら転げ廻っているなあって感じを受けました。ニコルソンには太刀打ち出来ないと最初から割り切ったんでしょうか?逆にそれが効を奏したのか、二人とも好演です。無駄に長くなってしまったのは、ストーリーにより深くかかわってくる、カウンセラーの女性部分に比重を置いた為かと思われます。 [映画館(字幕)] 6点(2006-12-24 10:51:56) |
774. イカとクジラ
《ネタバレ》 いわゆる家族崩壊モノですが、そこはかとなくユーモアを交えた会話やストーリー展開、所々に散りばめられた、映画マニアックファンネタが小出しに出されるので退屈はしませんでした。けど、宣伝文句にあった、全米が大絶賛するほどに優れた脚本とも思えなかったんですよね、自分には。脚本書いた人が演出を兼任した時に陥りやすい、決め台詞を極力生かしたいが為に演出がこなれていないような印象も。結局アレですよ、テニスやピンポンをするシーンが結構頻繁に出てくるんだけど、なかなかこの家族ってばみ~んなラリーが全然続かず、ゲームそのものも成立していかない、そういうどっかチグハグで未成立不完全家族の姿をこの監督は描きたかったのかなあなんて思いました。 [映画館(字幕)] 6点(2006-12-23 10:01:48) |
775. 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花<特別篇>
う~ん・・・、これが渥美さんの死後しばらく経って公開された時は、「一体いつまで松竹って会社は寅さんのスネかじりするつもりなんだっ!」と正直怒りに震えた記憶があります。ファン投票で数多い秀作の中から、これが第一位になったっていうの聞いても、もしや内部操作が?って疑惑の眼を向けちゃったし。だってこの時期の松竹って、もう「寅さん」におんぶに抱っこ状態でしたからねえ・・・。自分の偏った私見だけでなくこちらのレビューの評価通り、リリー三部作の出来は「相合い傘」→「忘れな草」→本作の順じゃないですか?(レクイエム「紅の花」は除く)ところどころ、三部作中の感涙の名場面が挿入されるだけで、作品自体の感想は変わりませんね。 [DVD(邦画)] 6点(2006-12-10 17:26:55)(良:2票) |
776. スキャナー・ダークリー
・・・なんだか非常に刺激的な映像体験でした。ドラッグで2時間弱位トリップしてました、ってな状態とでも言ったらいいのか・・・。観終えた後、この映画がご贔屓映画「スクール・オブ・ロック」や「恋人たちの距離」の監督だった事にも二重の驚きでしたね。でも、なにゆえこんなわざわざ手間のかかる事をしたんだっ?って疑問も最後まで頭をもたげ、衝撃と疑問符が交互に鑑賞中襲ってくるというトランス状態で、映画の内容とは全く乖離した部分で僕の頭を悩ませてくれた映画です。ウィノナの最初の登場シーンの台詞は、例の「あの事件」のパロディかと笑わせてもらいましたが、やっぱり最近の彼女はなんとなく痛々しさが見え隠れしてますね。ロバート・ダウニー・Jrは過去の経験を生かした(?)ドラッグ中毒演技が巧かったです。キアヌも良かったけど、こういうタイプの映画だと、彼らの演技でさえ自由に操作出来てしまうんじゃないかって考えてしまいます。外観変化自由自在のウェットスーツみたいな洋服(?)の造形がイマイチ。これまでにない、変わった種類の意欲的実験作には違いないけど、じゃあ好きかどうかと聞かれると、う~ん・・・。 [映画館(字幕)] 5点(2006-12-10 10:44:31) |
777. 忍ぶ川
クライマックスにヌードシーンがある事で、当初ヒロイン役に予定されていた吉永小百合が拒否して役を下り、栗原小巻が新たにキャスティングされたという逸話が残されている映画。この年のキネマ旬報ベストワンにも選出された作品。全編、ホントにキレイキレイ、まるで栗原小巻が着る丹精こめた手織りの花嫁衣裳みたいにキレイな映画。モノクロ映像も、主役コンビお二人も、ストーリーも、細部に至るまでとにかくきめ細やかな美しさに彩られた作品です。「相寄る魂」っていうのはこの映画の主役二人にあるような言葉みたいです。今はもう残されていないであろう、下町木場洲崎あたりの材木貯水池の情景なんかもすごくいいです。自分、昔の日本映画で舞台になった東京の風景を、暇な休日とかにテクテク歩いて探してみるのが結構好きなんですが、残念ながらもはやほとんど失われているんですよね、30年前のこの頃の風景でさえも。あまり映画の印象と変わらなかったのは柴又帝釈天くらい。・・・なんか悲しいなあ。ついでにこの映画のレビュー数の少なさも。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-12-09 11:14:59)(良:1票) |
778. 十手舞
またもやお騒がせの石原真理子女史ですが、80年代中頃ほんの短期間、彼女のライフスタイルが女性の憧れという事で、毎月女性誌の表紙を華やかに飾っていた時期が確かにあったような気がします。(「ふぞろい」パート2あたりか?)そんで彼女主演の映画が何本か製作されたわけですが・・・。どれもこれも見事なくらいつまらなかった。この映画はまあベテラン五社監督ゆえ、つくり自体の骨組みはカッチリしてたと思うんですが、いかんせん主役の石原と世良公則の印象がとにかく薄い!脇の夏木マリがやたらと目立ってました。新体操のリボン目くらまし作戦が殺陣の唯一の武器っていうのは、「スケバン刑事」の「リリアンの棒」よりさらに上ゆく情けなさ。あっ、でもこの頃ってマンガ「タッチ」も流行ってたんだ。何つう安易な・・・。 [映画館(邦画)] 4点(2006-12-08 18:49:55) |
779. ダイヤルMを廻せ!
ヒッチコックのグレース・ケリー三部作はどれも好きだけど、これも傑作ですよねえ。ディミトリ・ティオムキンのテーマ曲がオープニングに流れてくる発端から、もううっとり恍惚状態でヒッチ先生の術中にはまり、「もうどうにでもしてくれい!」(?)みたいな勢い。バーン!と画面大写しで映るダイヤルMを廻すレイ・ミランドの指→ガチャガチャ音を立てる摩訶不思議な電話回線機→見せ場の「背中にナイフ」シーンの切り替えしといったらもう・・・。忘れがたいシーンが多いヒッチコック映画の中でも、映画的昂奮を味わえる名場面中の名場面ではないかと思います。裁判のシーンを意図的に省略した演出も的確で◎。 [地上波(吹替)] 9点(2006-12-08 13:57:53) |
780. 結婚のすべて
東京京橋フィルムセンターの岡本喜八特集にて先日鑑賞。デビュー作という事ですが、その後数多くの著名作品を送り出されたこの監督の才気を充分感じさせてくれる、勢いある面白いプログラムピクチャーに仕上がってました。新珠三千代という女優さんは、自分の世代だと、映画女優としての全盛期も知らないし、かの有名なドラマ「細腕繁盛記」にも縁がなかったので、女優としてのイメージがいまいちはっきりしなかったんですが、これまで観た映画が全て傑作秀作揃いなんで正直びっくりしてます。この映画でも、一応主役の雪村いづみを完全に喰っていて、彼女なんて脇でちょろちょろしてる小娘にしか見えません。ストーリーは結婚という形態の旧世代、新世代の考え方の相違を問うというテーマになってるんですが、上原謙&新珠組旧世代派の演技力存在感が圧倒的なので、雪村いづみ代表の新世代組がまるで霞んでしまったいう結果に。「ジャンケン娘」では結構可愛かった雪村いづみがイマイチだったのが残念。世界のミフネがほんのちょい役で、ゲイ風の舞台演出家として顔を見せているのもお楽しみ。顔が濃い仲代も、ごくフツーの善良な役なのに、何かたくらんでるみたいで怪しい事この上ないW。鬼才川島雄三映画の新珠三千代をすごく観たくなってきました! [映画館(邦画)] 7点(2006-12-03 11:25:25) |