761. 超高速!参勤交代 リターンズ
《ネタバレ》 前作と比べて脚本が雑。メインの参勤交代が前半で終了し、その設定があまり活かされていない。最終決戦もただ突っ込んで、情で懐柔しようとするだけで、脚本重視の映画においてこれでいいのか? やっぱりヒロイン要らない、敵の親玉がステレオタイプで深みがない、味方側ほぼ無傷・・・あとは肩に力を入れず、勢いで勧善懲悪とチャンバラをやってるだけ。いろいろ盛り込んじゃって、余計なものを捨てる潔さがないのが邦画の悪いところだ。どこが"超高速"なのか。 [地上波(邦画)] 4点(2017-12-31 00:02:08) |
762. 鉄コン筋クリート
《ネタバレ》 原作未読。猥雑で無国籍なスラム街の背景がグリグリ動く、実写映画風のカメラワークは面白い。アニメの表現技法として最高峰だろう。独創すぎる世界観のため好みが非常に分かれ、心の闇をくどくどと観念的に描きすぎてついていけない。だからハッピーエンドを迎えても素直に喜べない感じ。 [DVD(邦画)] 4点(2017-12-20 21:25:56) |
763. インデペンデンス・デイ
《ネタバレ》 異星人交流を掲げて滅ぼされるお花畑民間人、自ら前線に向かう『エアフォース・ワン』よろしくな大統領、異星人撃退を「独立記念日」と言ってのけるあたり、アメリカの脳筋ぶりが際立つ。マイケル・ベイと並ぶ破壊王エメリッヒらしい作り。ジャンクフードの極みなのでそれほど記憶に残らないのは当然として、今見ると特撮のチープさが目立ち、時代の流れを感じた。良レビューで「ドイツ人監督ならではの感性で、アメリカの傲慢さ、馬鹿さ加減をガラス越しから風刺した映画」として狙って作られたのなら高評価なのだが・・・そんなわけないか。 [地上波(吹替)] 4点(2017-12-20 21:13:09) |
764. 昭和歌謡大全集
《ネタバレ》 『バトル・ロワイアル』meets『OUT』で若者チームvsオバサンチームの殺し合いバトルもの。と言えば面白そうかもしれないが取ってつけただけの退屈な凡作。表題の歌謡曲に乗せた殺戮が少ないから名前負けしているような。段々荒唐無稽になっていき、核兵器で締めるラストは思ったほどカタルシスもなく。暴力が暴力を呼び、無関係の人間も死んでいく負の連鎖を伝えるにも、双方の人々が表面的で描き切れてない、または魅せ方が滑っているから、昭和は良かった的な明るい共感と、それと隣り合わせの虚無感が素通りしていくだけだ。 [DVD(邦画)] 4点(2017-12-20 20:56:56) |
765. トロピック・サンダー/史上最低の作戦
《ネタバレ》 畑違いの監督に大作を任せる、酷評された作品が海外では大絶賛、人種を変えるほどの行き過ぎた役作り・・・迷走するハリウッドへの痛烈な風刺と警鐘と憂いを織り交ぜながらも、「それでも俺達はハリウッドが大好きなんだ」とラブレターを送る。ハリウッドで絶大な支持を得たベン・スティラーだからこそ出来た、映画愛に満ちた作品だろう。ただ、アメリカンコメディらしいノリが強く、予告編のような笑いには期待したが正直厳しい。マニアックでブラックな内幕ものとして振り切っている分、ある意味清々しいが・・・。監督爆死→本物のゲリラを俳優だと勘違いするコントみたいなやり取りが唯一の笑いどころ。 [映画館(字幕)] 4点(2017-11-27 19:20:08) |
766. 少林サッカー
あまり笑えなかった。というのも、漫画的表現をCGで実写化しても違和感は拭えないし、「こうすれば笑うだろう」という思惑が画面に出てしまっているから。ベタが悪いのではなく、荒唐無稽さにも最低限のリアリティが必要であり、えげつない下ネタや暴力シーンもまた他のギャグとミスマッチを起こしている。この手のスポーツ系の笑いは本能的なものからくるもので、漫画やアニメだからこそ成立する。『キャプテン翼』や『テニスの王子様』がシリアスに徹すれば徹するほど笑えてくるのと同じで、その天然さには敵わない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-11-07 07:43:30) |
767. シューテム・アップ
《ネタバレ》 「多種多様なガンアクションをやってみたい」という中二病的発想を金かけて映画にしただけなので、中身や倫理はお構いなし。カラクリ屋敷に住む主人公が生ニンジン大好きだったり、黒幕がわざわざ前線に赴いて指揮するあたりがコミック的。B級の面白さがプンプンにおうのに何故か乗れないのは、ガンアクションだけ(一応のストーリーはあれど)ということと、終盤の拷問シーンでもっとB級に徹してもいいのに何故かリアルでそれで醒めてしまったかも。気軽に楽しめたいのに変に凝ってしまうと楽しめない。B級映画って難しい。 [DVD(字幕)] 4点(2017-11-03 21:41:01) |
768. ネオン・デーモン
《ネタバレ》 完全にカルトムービー狙い。レフンの画の強度の高さは相変わらず流石だけど、中身のないストーリーを2時間近く見させられたら退屈で魅力も半減してしまう。いつもみたいに90分弱で描いていたら違っていたかもしれない。【美こそ全て】な世界なので、ヒロインを初めとする商売敵モデルもメイクアーティストも共感できないのは良いとしても、もっと良い撮り方があっただろうに。したたかなようでいて頭が悪いとしか言いようがない。美しい女の肉を喰らってでも頂点に立ちたい、美しい女の死体と交わりたいというグロテスクさ。人肉を取り込んでも拒否反応で死ぬ女もいれば、それでも目玉を口にする女もいる。その熾烈な世界で生きていく覚悟があるのかと問いかけているようだ。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-08-12 22:57:11) |
769. ハプニング
《ネタバレ》 シャマラン版『自殺サークル』といった趣。元ネタと比べれば演出は格調高く、天罰なら何でもありでそれまでだけど、ヘンテコなオチで締めるよりはマシに見えてしまう。この手の"スピリチュアル系自戒映画"は胡散臭い脅しみたいなものでどうも受け付けない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-08-02 22:59:06) |
770. ザ・ファイター
《ネタバレ》 デヴィット・O・ラッセルは苦手な監督だ。彼の癖がとことん発揮されており、何をしたいのかよく分からない。コンプレックスから親離れしてチャンプになりたい異父弟の話が、いつのまにか異父兄とチャンプを目指す話になっていて、それが盛り上がらずに淡々と進むわけだからカタルシスが感じられない。むしろ主役のマーク・ウォールバーグより、薬物中毒から抜け出そうとする異父兄の話が印象に残り、クリスチャン・ベールの本人になり切った役作りと存在感は感嘆ものである。メリッサ・レオの助演女優賞はよく分からなかった。ボクシング映画としても家族映画としても消化不良。 [DVD(字幕)] 4点(2017-07-11 19:23:43) |
771. フランティック
《ネタバレ》 異国でトラブルに巻き込まれる王道の惹かれる題材なのに、ポランスキーらしくない緩慢で平凡なサスペンス。雰囲気はよく出来ているのに意外性はなく、しかも奥さんは無事で運び屋の娘が取って付けたような最期なのが消化不良。事件の発端になった小道具が麻薬ではなく、核兵器の起爆装置というあたり、当時は冷戦だったということに時代を感じた。フランスとは無縁のバリバリのハリウッドスターであるハリソン・フォードのキャスティングがある意味新鮮で、アメリカに二度と足を踏み入れなかったポランスキーだからこそ撮れた映画かもしれないのに残念。 [地上波(吹替)] 4点(2017-06-19 21:25:36) |
772. 13/ザメッティ
《ネタバレ》 今でこそ"ジョージア"という国だが、この映画を見るまでは"グルジア"という国すら知らなかった。貧困にあえぐ移民の青年がロシアンルーレットに巻き込まれるまでの過程が退屈で幾度か眠りに落ちそうになった。そこを乗り切れば大分引き込まれるが、緊張感と荒削りなモノクロ映像の擦り合わせが足りず、ちょっと消化不良気味。不条理を一度乗りきった青年の死が無駄にならないことを祈りたい。大金が家族の手に渡り、死のゲームを警察に気付かせたのだから。 [DVD(字幕)] 4点(2017-05-22 21:17:26) |
773. ワイルド・スピード
今や超有名シリーズも最初はB級臭あふれる比較的地味なカーアクションものだった。車には興味あるけど、ストーリーに惹かれるものがなく退屈。低予算ならむしろ脚本に力を入れるべきだとは思うが・・・。ほぼリアルタイムで見ていたので、まさかこんなにもシリーズ化されるとは思わなかった。 [DVD(字幕)] 4点(2017-04-30 23:08:27) |
774. コーヒー&シガレッツ
ジャームッシュ初体験。ブラックコーヒーと煙草をガバガバ味わう人には堪らない映画だろう。白黒の室内で繰り広げられる他愛の無い会話に、大きな山場もなく終わる、ハリウッドとは真逆のスタイル。オムニバス形式のため、どこが面白いかは人それぞれ。RZA絡みがちょっと面白かったが、退屈で合わないかも。偶然テレビで流れていたから見た程度で丁度良い。 [DVD(字幕)] 4点(2017-04-28 19:21:28) |
775. トランスフォーマー
ストーリーを気にしたら負け。車が、戦闘機が、ガチャガチャと人型ロボットになって争っているだけの映画。ドラマがお粗末(そもそも製作者は求めてないか)で人類も双方の勢力にも肩入れする意欲を持てず、ただボーっと破壊を眺めている印象。スピルバーグとマイケル・ベイが童心に帰って、撮っているものだと思えば悪くないかもしれない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-04-06 23:53:22) |
776. ヒストリー・オブ・バイオレンス
《ネタバレ》 原題と邦題とで、定冠詞の"a"があるかないかでこの映画の意味が違ってくる。これは、あくまで一人の男の"暴力の履歴"に過ぎないからだ。強盗を鮮やかに倒す暴力から、かつての親玉を射殺する暴力まで、描かれるものは暴力でしかなく、そこにカタルシスは存在しない。いや、それこそが逆らえない人としての本能なのかもしれない。しかし、履歴の証明による、父の血に逆らえない息子と、階段での妻との性行為に、家族の歪みを見逃さない。全てを終えても、あの家族に幸せが戻るとは思えない。刑務所に服役して、全てを清算してから家庭を作れと思うのは野暮か? [DVD(字幕)] 4点(2017-02-16 00:12:31) |
777. ラブライブ!The School Idol Movie
《ネタバレ》 原作テレビアニメ未見。 『映画 けいおん!』でも感じられたことだが、美少女アニオタ男子の妄想を具現化した究極のファンタジーだろう。 モブからして男性は遠景であまり映らない上、ヒロインの父親も素顔を出さないのだ。 出演声優すら100%女性という徹底ぶり。 おまけに深刻な展開になりそうなところは"無事に"スルーされ、アイドルに付きまとう負の側面は排除、 なかよしこよしな少女達の百合百合しい関係を愛でる"やさしい世界"のため、 合わない人にはある種の気持ち悪さを感じてしまうかもしれない。 圧巻は全国のスクールアイドルを巻き込んだ秋葉原のダンスシーンで、 そこに男が入る余地も陰湿さも汚物もない"地上の楽園"という様相だ(悪く言えばファシズム的な)。 テレビアニメの補完で、主要人物の描き込みは知っていること前提。 ファンタジーだと完全に割り切れないと確実に振り落とされる。 先に見ていたら、共感できたりして違う印象を持っていたかもしれないが、 別の意味での濃厚さに胸焼けして遡るにはちょっと厳しいです… [地上波(邦画)] 4点(2017-01-05 18:07:19) |
778. 貞子vs伽椰子
《ネタバレ》 見えない糸に引き寄せられ、誰かを巻き込み、そして誰もいなくなった。人気キャラの○○vs●●という地点で、ギャグホラーとして期待はしていたけど、肝心の貞子と伽椰子の対決が終盤の数分のみでそこまで可笑しいほどでもないので肩透かし。お互いの呪いで打ち消し合うどころか、共通の目的で融合するラストは、双方の映画をよく知らない自分にしては「これで終わり?」程度にしか思えなかった。もっと笑撃的なものを想像していただけに残念だ。 [ブルーレイ(邦画)] 4点(2016-12-19 22:08:14) |
779. ディーパンの闘い
《ネタバレ》 これがパルムドールか・・・『預言者』に続き、フランスに押し寄せる難民問題に焦点を当てるも切り口が平凡。家族と偽りパリに渡った赤の他人三人が如何にして日々を生き抜いているのか、ニュースでは表面的に描かれているだけに関心はあった。しかし、こうも簡単に順調に生活が上手くいくのか疑わしい。二人の"夫妻"がくっついたり衝突するのは描かれていても、"娘"の描写が希薄でいつのまにか影が薄くなっていく始末。次第に積み重なっていく不穏と鬱屈が爆発するアクションのシークエンスは、主人公のみ見せて他はあまり映さないスタンスで、彼のPTSDを追体験させるつもりでも、直後に取ってつけたハッピーエンドのアンバランスさに違和感。イギリスに着いてめでたしとは限らないのに、主人公の妄想なのかひとときの安堵なのか狙っているの? パリ同時多発テロ、イギリスのEU離脱後では呑気にこんな映画は撮れないだろう。エンタメ寄りのオーディアールにしては詰めの甘さを感じる。 [DVD(字幕)] 4点(2016-10-31 21:48:01) |
780. ノア 約束の舟
《ネタバレ》 旧約聖書のノアの箱舟は聞いたことはあれど、興味を持てないとどうでもいい話。たった数行のエピソードを誇大に膨らませるにはあまりに違和感のあるイマジネーションの数々。マッドマックス風の近未来、指輪物語風の中世ファンタジーが闇鍋のようにぶっこまれ、旧約聖書の世界観と上手くマッチしていないのが痛い。家族ドラマとしても現代風でどうでも良くなってしまった感があり(監督ならではの辛辣さがこれまたマッチしていない)、洪水以降の展開がこれまた冗長である。いずれにしても、戒めとして宗教を誕生させながらも都合良く解釈して、人類の過ちが現在でも繰り返されていく。宗教と狂気は紙一重、付き合いは程々に、ってところかな。 [DVD(吹替)] 4点(2016-08-29 19:59:09) |