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61.  黄泉がえり
死者もの、記憶ものが大好きなわたしですが、さすがにこれは。。。だめ。平凡な恋愛映画の色づけとして死者が借り出されているにすぎません。まあ、それでもいいんですけど。それになりに面白ければ。しかし、つまらん以上になによりも、そろいもそろって演技が下手すぎ(ただし石田ゆり子と哀川翔は除く)。ことに主演級が。。。悲惨すぎ。全体に中途半端な学芸会の域を出ていません。嘆息。。。
2点(2004-01-19 20:27:19)
62.  みんな元気(1990)
小津安二郎の『東京物語』へのオマージュのつもりだったのかもしれないが、イタリア人らしい我の強い老人を配したことで、若干パロディっぽくなってしまった。可もなく不可もない作品。おそらくこの作品あたりがこの監督の実力を表しているものと思う。
6点(2004-01-18 15:25:55)
63.  北京の想い出
映画の冒頭で流れる物売りの悲しげな売り声が、時代や国を超えて観るものを80年ほど前の北京へと連れて行く。政情不安でやがて父親を飲み込んでしまう民国北京だが、少女英子の目には、ひたすら楽しい毎日だ。ともかく話は淡々と進んでいくばかりだが、そのゆったりとした感覚が心地よい。大都会のさなかでも、子供は脱力空間を昔から持っているんだなあ、とあらためて感動した。大学受験直後、池袋の文芸座で観てから20年ほど経ったが、いまだ印象色あせない一本。またぜひ観てみたい。
9点(2004-01-18 15:15:47)
64.  サクリファイス
わたしの記憶違いでなければ、この作品でタルコフスキーは故国ロシアとのへその緒を断ち切ったような気がします。魔女と噂される女性にかすかにロシア的な香りを認めることができましょうが。自分の残り少ない余命を自覚してか、終末という大テーマに取り組んだ勇気には感銘を受けました。また、一歩誤れば通俗的なイデオロギーに陥りかねない核戦争や禅味を、なんとか緊張感を失わないで描ききったところなどは、さすがといわざるを得ません。加えて個人的な印象にすぎないのですが、その言葉を知らない人においてさえただ響きだけでもって魅惑するロシア語ではなく、こもったような、正直言ってあまり美しくないスウェーデン語(?)に徹したことも今となっては心惹かれるところです。タルコフスキーが英語の作品を残さなかったことはよかった。
9点(2004-01-17 23:00:15)
65.  田舎司祭の日記
教区司祭の哀しみを静かに謳いあげた映画。修道司祭のように修道院で観想三昧に浸ることが許されない教区司祭は、田舎の素朴な、しかしすでに近代人でもある庶民を相手に、腰が引けたままその死を看取るという損な役回りを一手に引き受けている。彼がいかに「奇跡」を引き起こすことができたとしても、結局は受け入れられることがない。それを予感しているため、つねに喜びよりも哀しみが先行してしまう。塀の上を恐々と進むような司祭の歩みを温かみ眼差しで描いていると思う。人の生死に同伴するとはかくも苦しき道なのか。思うこと多し。
9点(2004-01-17 22:37:47)
66.  リトル・ブッダ
ベルトルッチ監督は西洋世界に絶望していたようですね。そして藁を掴む気持ちで一群の東洋系(?)作品を撮っていたらしい。その意味で切なさが漂ってくるような作品です。チベット仏教が過剰なまでに美しく描写されているのも、その願いの反映でしょう。作品よりも先に監督が抱く「西洋人の哀しみ」にたいして感応してしまいました。わたし自身いくぶん雑情報に捉われているようで、すこし反省気分。。。
7点(2004-01-17 22:17:36)(良:1票)
67.  天使のたまご(1985)
大森のミニシアターまでわざわざ足を運んだ記憶があるのですが。。。タルコフスキーの世界をアニメ化しようとして、スッテンコロリと転んだ作品。一緒に観に行ってくれた友人に対して申し訳けなく思ったしだい。勇気と無謀とは似て非なるものだということを監督に伝えておいてください。って、もう20年近く前の作品なんだなあ。。。
5点(2004-01-17 22:05:29)
68.  薔薇の名前
宗教映画好きのわたしは、家族団らんのときTV放映していたこの作品をみなに半ば無理やり見せて、大顰蹙を買いました。わけがわからん、、、、と。今にして思います。たしかに。。。イングランドのフランシスコ会士で、合理主義に立つ学僧でもあるバスカヴィルのウィリアムは、われわれ近代人のさきがけ。ウィリアムのあとに続いて、つまりアドソにわが身を重ねて、不気味な中世修道院を探検するアドヴェンチャー作品なのかもしれません。わたしとしては、ウンベルト・エコの原作を読みそびれたままになっているのが、心残りです。こっちは迷路的な構図が映画よりもっともっと鮮明らしいです。が、時期を逸したかもなあ。ともかく映画はよく出来ています。(ただし中世の修道院を説明するのにふさわしい素材だとは思いませんが。。。)
8点(2004-01-17 21:52:37)
69.  ニュー・シネマ・パラダイス
若いニーチャンのところはたしかにダレていますが、この箇所を削ることもまたできないと思います。ノスタルジーものの王道を行っています。さて、レンタルビデオ屋に「サスペンス」、「ロマンス」、「歴史もの」なんていうコーナー分けがあるのは周知のことですが、なぜ「ノスタルジー」というコーナーはないのでしょうか。もしかして映画は基本的にすべて、本質的にノスタルジー的なものなのかも、って思いました。
8点(2004-01-17 21:35:06)
70.  マカロニ
いつ、どこで、どのように観たのかさっぱり憶えていないのに、やたら全体の印象が明瞭に残っているっていう作品があります。この作品もそう。マストロヤンニとレモンという大御所二人が出ているのに、軽いノリ。こういう共演は心地よい。これが歌右衛門と千恵蔵だったりすると、撮る方が気にしすぎて主人公の重みで映画そのものが沈んでしまうのですが。憶えてなかでは、最後の鐘の音がすてき。この世に舞い戻ってきたのだとしても、重みに引きずられてではなく、軽くまた遊びに戻ったよーって感じで、嬉しくなってしまいます。
8点(2004-01-17 21:22:38)
71.  エル・スール
寡作で知られるヴィクトル・エリセ監督の作品のなかで、もっともすきなのが本作品。記憶が熟すると人を死に至らしめる。しかしその死を安直に不幸なものと弾じることができるのか。この映画を観たのはたしか20年近く前、有楽町の映画館でしたが、この頃から記憶や郷愁の美しさと恐ろしさを考えるようになりました。そうしたきっかけを作ってくれた映画として感謝の念を覚えます。故天本君が言っていましたね。「スペインは死の国だあ!」。その通りです。
9点(2004-01-17 21:02:55)
72.  たそがれ清兵衛
真田広之と宮沢りえといういま最も安定している役者の起用で、安心して観ることができる作品になっている。ことに宮沢の抑えの効いた態度と着物姿の美しさはすばらしい(ほんま宮沢りえは着物姿がよく似合う)。もっとも、死闘の場面では、敵役の言っていることのほうがまとも。死に場所を探しているようなそのニヒリズムを前半から描いていけば、より深みのある内容になったであろう。そうすれば欧米の映画祭でそこそこの賞を取ることができたかもしれない。でもそこまで尻尾を振る必要はないか。最後のクレジットで、監督名の直前に「文部科学省云々」とあり、萎えてしまった。。。
7点(2004-01-17 20:50:32)
73.  タイタニック(1997)
やたら人が転がります。コロコロコロコロ。。。わたしの期待度も満足度も同じようにコロコロと、そしてズズズズーっと落ちていきました。映画館で観終わったあとに「金返せーっ!」って叫び出しそうになった唯一の作品です。巨大な効果音でごまかされるのも不快です。極限状況にしては、人間描写も薄っぺらです。「なんかデカイもん見たあ」というだけの印象です。もっとも、恋愛映画としては平均的な域に達しているので、4点献上いたしましょう。
4点(2004-01-17 15:23:48)(笑:1票) (良:1票)
74.  ブレイブハート
マッチョな現代西洋男のロマンをたんに中世に投影しただけの作品です。なんぼなんでも中世という時代をバカにしすぎです。オーストラリア人(だったと思う)が、アメリカ資本にのっかってつくった自己満足の域を出ず。マッドマックスのほうがまだマシ。
3点(2004-01-17 15:12:10)
75.  ブレードランナー
衝撃を受けた作品でした。それまでどちらかといえばソ連―哲学系のSFを好んでいましたが(基本的にいまでもそうですが)、それとはまったく異次元に思えて。ともかく夜のシーンばかりが記憶にあります。昼間の場面ってあったのかなあ。しかしなんといっても「夢」ですからね。夜で当然なのかもしれません。人類はもっと「夜型」に一度はなりきるべきだと思っています。某大統領のおかげで、またまた能天気な昼型人間になってしまったようです。夜への志向。この作品はその確信を新たなものにしてくれます。
8点(2004-01-17 15:02:58)
76.  青春デンデケデケデケ
わたしより一回り上の世代を描いた作品ですが、舞台となった観音寺と似たような田舎町で高校生活を送ったので、なにかと共感するところ大でした。12年前ロードショーで観たときは、あの坊主のせがれに感心しましたが、今回はドラマー役の「明石のタコ」君に惹かれるものがありました。また、登場する女子学生が本当に美しく、かわいい。後年彼女たちがさほど他の作品に出なかったということは、この作品で瞬間最大風速的な美しさを発揮しつくしてしまったのではないでしょうか。まあ、なにはともあれ、こういった懐古&回顧ものはやはり地方じゃなくっちゃ、ですね。瀬戸内沿岸ことに四国は青春映画の宝庫です。南関東ではこうはいきませんぜ。青春は田舎だっ!これで決まり。
9点(2004-01-17 14:52:18)
77.  Kids Return キッズ・リターン
出来はいまひとつだったが平凡な「優等生」だったぼくにとり、主人公たちは「影」を体現してくれているようで、不思議な親近感を覚えた。ぼくが年をとったからかもしれないけど、最近の茶髪でケータイばかりいじっている無気力そうな若者には、こうした共感を覚えない。いまこの作品を見直すとして、以前と同じように感じるか自分でも自信がない。でも、ともかく、たけしの作品の中では最も好きですね。いつ再び観るかはわからないけど。。。
8点(2004-01-17 14:32:17)
78.  妖婆・死棺の呪い
おどろおどろしくて、でもどこか人間臭さのあるロシアの怪奇物語。中世ロシアの神学生が、夏休みに修道院から実家へ帰る途中、妖怪に取りつかれ、なんとか逃れようと必死の試みをするのだが、あえなく最期を遂げるという内容。ホラーというよりも小泉八雲『怪談』のロシア版というところ。妖婆ということだが、若くきれいな女優が演じている。当然CGなんてない頃の作品で、特撮はご愛嬌だが、ヨーロッパでもアジアでもないロシアの宗教的風土が親しみやすい恐怖を感じさせる逸品。最後になって登場する怪物のヴィーといったらもう。。。水木しげるの世界でもあります。堕落しきった当時のソ連社会において、こうした映画を一生懸命作製していた映画人がいとおしい気分になります。20年ほど前、アテネ・フランセで観ました。懐かしいなあ。
10点(2004-01-17 14:06:22)(良:1票)
79.  青いパパイヤの香り
たしかにオリエンタリズムの香りが避けられない作品です。でも、それは現代ベトナム映画の出発点において不可避の宿命だとも思えます。こうした事情は、たとえば、日本映画の代表ともいえる黒澤明の作品にも言えることでしょう。よく黒澤を欧米人がぱくったと言われますが、そもそも黒澤は欧米人にも受容できる人物設定をしていたことによります。似たような事情がこの作品にもあるようです。こうした「西洋」が染み込んでくる状況下で、土着性を感じさせる要素として、わたしは色使いと全体のスピード感に注目しているのですが、本作品ではやや優等生すぎるきらいはあるものの、合格点に達していると思います。ノスタルジーをめぐっても、抑えが効いていて好感が持てました。
7点(2004-01-16 23:11:56)
80.  打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993)<TVM>
時間的にも内容的にもほどよい佳作です。主人公の及川なずな(奥菜恵)が一番演技が下手だというのもご愛嬌です。しばしばなずなを指して「あんな小学生おるかいっ?!」って言われますが、いますよ。実際。わたしは知っています。もうオバサンになってしまいましたが。。。 (かろうじて面影は残っているようです)
8点(2004-01-16 22:48:11)
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