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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  ブリット 《ネタバレ》 
常に死と隣り合わせの寂漠たる刑事の日常を描く野心作。残酷な犯罪に不感症になっていく刑事の悲劇を描きたかったのだろう。強烈なガン・アクション、スピード感あふれるカーチェースは見応えがあるが、肝心なサスペンスの妙味がない。ちょっとしたカットで描く独特な人間ドラマ、凝ったカメラワーク、俳優などは一流なのに、あまりにもお粗末すぎる脚本が作品を台無しにしているという勿体無い作品。 冒頭、組織の金をくすねたジョン・ロスが殺し屋に襲われる。弟の援助を得て車で逃走するが、駐車場で待ち構える殺し屋に至近距離から何度も撃たれても当たらない。殺し屋失格だ。ジョンの身代わりのレニックが指示通りにホテルで手紙を受け取ろうとするが、手紙はない。どうして?2つしかない支持書きの1つをペンで消す不自然さ。裁判の証言に立つ予定のジョン(実はレニック)を警察が保護するが、ホテルから移動して保護下に置くことをしない。殺し屋がくるが、わざわざフロントから電話をよこすまぬけぶり。レニックとは段取りがついていたはず。刑事はもっと間抜けで電話で上司に支持を仰ぐ始末。殺し屋は何故か、刑事の脚とレニックの胸を撃ち、とどめを刺さずに去る。次にレニックが運ばれた病院を襲うが、何故か看護婦が男の姿を見ただけで叫び声をあげる。刑事がレニックの女の居場所に行こうとするが、あいにく警察車両がなくて、仕方なく恋人と恋人の車で向かう。そんな馬鹿な!ホテルに着くと、女は殺されていた。殺したのはジョンだが、何故殺した?レニックに旅券を用意させて受け取ればよいだけ。カバンの中身の服がすべて新品なのも謎。ジョンのいる飛行機の座席までわかっているのに逮捕できない。単独行動するからだ。ジョンが拳銃を持っているのもありえない。最終的にジョンを射殺する刑事。証人が消えて組織の勝利。刑事は家に帰って、恋人の待つベッドへ。恋人「暴力と死に囲まれた仕事で不感症になってる」と批判していたのに、いつのまに仲直りしたの。いわくありげな上院議員も刑事の上司も恋人もあまり物語に絡まないのも不満。 最大の謎はレニックがドアの鍵を外した理由。ジョンとどういう取り決めがあったのか?刑事が撃たれて逃走する予定なのはわかるが、殺し屋はどうやってあの場所を知ったのか?ジョンがチクったのか。刑事の買い物姿を描くより、そこのところを描いてほしい。
[DVD(字幕)] 6点(2012-12-09 17:44:01)(良:1票)
62.  フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) 《ネタバレ》 
【ストーリー】フランケンシュタインの不死の心臓、Uボート、死なない兵士の研究、広島原爆投下、放射能研究と被曝少女、急速に巨大化するフランケン、謎の地底怪獣、動き回る手、生命の謎に挑む博士等々、コンテンツがてんこ盛りで興味深い。しかし各々がぶつぎりで存在し、有機的につながっていない。被曝少女の悲劇は小さな扱いだし、放射能とフランケンとの関係も不明のまま、どうも中心となるテーマがないのだ。いっそのことフランケン研究をしていていたドイツのマッド・サイエンティストを日本に連れてくればよかった。そうすれば一本の流れができた。フランケンが心優しき怪人で自己犠牲により地底怪獣と共に地底に沈む。それにより生命の謎も永遠に分らなくなる、こういう大筋にすれば良くなったのではないだろうか。フランケンが沈む時に感情移入できるように作るのが肝要だ。 【演出】被曝少女が博士にプレゼントする刺繍、 水野久美の心尽くしの料理、博士が手に取るこけし、フランケンが手に取る水野のネックレスの宝石、博士の作るバーベキューなど、観客が見たり部分、当然アップで映すべきところを映していない。演出上のきめ細かさがない。監督失格。 【特撮】事故を起こす警察車両、怪獣に襲われる馬、疾走する猪など、本物を使えばよい場面までミニチュア撮影している。特技監督の趣味が出てしまった場面で、子供が見ても本物には見えない。 【フランケン】フランケンかどうか手足を切断しなければ真偽は不明という論議が馬鹿らしい。細胞を調べれば普通の人間と違うのは明白だ。フランケンが猪罠を掘るが、あれだけ大きくて素早いのだから猪は手で楽に捕獲できると思う。もっと知性をもたせるべき。 【怪獣対決】フランケンは心優しき正義の怪人、地底怪獣は人類の敵という図式にしたかったようだ。だがフランケンは顔が気持ちが悪い上に筋肉が貧相で弱そうだ。一方地底怪獣は顔がキュートすぎると思う。家畜や人間を襲うのだが、残虐シーンはカットしてあるので凶暴には見えない。結局美術が失敗している。最大の見せ場である決闘シーンだが、臨場感、巨大感、重量感が不足し、コミカルなプロセスごっこに終始した感がある。せっかくの「火を吐く大怪獣」が台無しである。森林火災だけは存在感があった。蛇足だが、広島原爆爆発シーンは哀れにも美しく、印象的だ。
[DVD(邦画)] 6点(2012-02-24 14:58:41)
63.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
傷害前科2犯で、複数の人を斬って懲役たった3年。寛容な判決ですね。それはともかくも脱獄がメインテーマ。最初の脱獄計画は橘の意に反したもの。チクルわけにもいかず、巻き込まれるのは確実で、そうなれば刑期が延びる。母親が病気に1日も早く会いたい。煩悶する橘。だがそれも老囚人の機転によって脱獄計画は流れ、橘の危惧は杞憂に終った。ほっとしたのも束の間、屋外の伐採作業に向かう途中のトラックから一緒に手錠をつないだ権田が飛び降りた。橘も飛び降りざるをえなかった。途中で橘の弁護士の家を襲い、権田は保護司妻木の妹を傷つけた。それは自首しそうな橘を追い詰めるためだった。トロッコを見つけて漕ぐが、ブレーキがきかず飛び降りる。汽車に手錠を轢かせて切断に成功。その反動で権田は滑落し、怪我を負う。一人で逃げようとする橘に聞こえたのは意識を失った権田の母親を呼ぶ声だった。権田の孤独の心を知った橘は放っておくことができず、背負って病院に運ぼうとする。途中で猟銃を持った妻木に会う。橘の話を聞いた妻木は権田を馬橇で病院にで運ぶことにする。橘の不幸な生い立ちが随時挿入され、感情移入できるようになっている。悪い人ではないのだが、やくざ稼業に身を落し、渡世の仁義で人を斬るはめに。最大のサプライズは老囚人の正体が8人殺しの鬼寅だったこと。牢名主は自分は鬼寅の義兄弟という触れ込みで大きな顔をしていたのでたじたじとなる。うまい演出である。全体に無駄が無くテンポが良い。橘は人間性を取り戻し、妻木も人間を信じる心を取り戻す。良い話です。原作は1597年に出版された小説で1959年には日活で映画化された。本作品は1965年の東映のリメイク版。その際原作の恋愛要素を排除して、母恋と脱獄物語に徹している。映画はヒットしたのでシリーズ化された。だがそのせいで不幸になった人もいる。連続ピストル射殺事件の犯人永山則夫の本籍地は網走市呼人番外地だった。網走刑務所で囚人の子として生まれたのではないかと疑われるのを恐れた(実際からかわれた)彼は戸籍を見られそうになると職場を変えた。仕事が続かず、やむなく窃盗をするようになり、あるとき偶然に米軍宿舎でピストルを盗み、その後の犯罪の悲劇の元となった。ちなみに橘より永山の成育歴の方が遥かに悲惨で痛ましいです。
[地上波(邦画)] 6点(2011-09-18 02:29:25)
64.  大怪獣ガメラ 《ネタバレ》 
ガメラの生態を科学的に推定していく仮定は無理が無く、好感が持てる。第1回遭遇でちどり丸を破壊。第2回遭遇で灯台を破壊するも、少年を助ける。第3回遭遇で自衛隊の秘密兵器冷凍爆弾と発破でひっくり返ってしまうが、手足を引っ込めてジェット噴流を噴射、回転ジェットで空の彼方へ飛び立つ。第4回遭遇で東京タワー倒壊、石油コンビナート破壊。なかなかテンポがよろしい。そして最後に世界中の科学者の頭脳を結集したというZ計画を発動。Z計画実行のための大島へのガメラおびき寄せ作戦も、海上にガソリンで火の回廊をつくる、大島手前で台風の風により鎮火、人工火事を起こす、雨で鎮火、三原山噴火など段階的な盛り上げに成功している。そしてなかなか全貌が語られないZ計画に観客の関心を集中させるように工夫されている。 【少年とガメラ】母親を失い、父の職業が灯台守という関係で転勤が多く、孤独がちな性格になってしまった少年は亀を唯一の心の友としていた。が、あまりに亀を愛慕し、学校にまで持ってくるので先生に注意される始末。父と姉に諭され、少年は亀を捨てるが、実は海岸に匿っていた。そこへガメラ登場。灯台からの転落するところをガメラに助けられた少年は亀がガメラになったのではないかと思う。少年が東京に引っ越すとガメラも東京に出現。少年はガメラは悪い生き物ではないとして大人たちに度々意見をするが聞き入れてはもらえない。何度もガメラに接近を試みる。ガメラを火星に逃がすZ計画には賛同、大人になったら宇宙科学者になってガメラに会いに行くのだという。けなげな少年ですが、ストーリーにあまり絡まないのが難点。ガメラとの心の交流をもっと描き、少年のアドバイスによって計画が成功するような展開にすればよかったのに。少年の活躍にも関わらず、結局ガメラは悪者で終わってしまいました。 【今回判明した事】 ①ガメラはエスキモーの伝承にあった。②北極はかつてアトランティス大陸のあった場所。③ガメラは氷の中で眠っていた。④国籍不明の原爆搭載機の墜落により原発が爆発したために目覚めた。⑤火、原爆、ウラン、高圧電流などのエネルギーを餌とする。 【疑問点】北極圏を東に飛行する国籍不明の原爆搭載機の正体は?電波撹乱塗料は既にあったの?
[地上波(邦画)] 6点(2011-09-17 19:38:04)
65.  にっぽん昆虫記 《ネタバレ》 
不幸な星のもとに生まれた女が、運命に翻弄されながらも時代と共に逞しく生きてゆく物語。とはいえ内容が淫靡かつエグイので、観る人を選びます。苦労の末、最後にようやく愛や成功をつかみとるサクセス・ストーリーでもないので鑑賞後、爽快感はありません。 ◆物語は昭和の歴史的事件をリンクさせながら進行していきますが、それは申し訳程度でさほど意味はありません。これといった後ろ立てのない田舎出の1人の女がいかに世間に揉まれ、運命に翻弄されてゆくかが見どころです。中味は知恵おくれの父親と性関係ができたり、仕事の上司と不倫したり、新興宗教に入れあげたり、騙されて売春させられたり、金持ちの愛人になったり、売春宿を経営したり、暴行を働いて刑務所に入ったりなど、不幸さてんこ盛り。多くの人に騙され、転落人生といってもいいでしょう。褒められるようなことは一つしません。悲しいですね。まともな恋愛はありません。性交場面も美しいものは一つもなく、すべて醜悪に描かれます。性格もどんどんお金に執着していきます。しかし主演女優のキャラが明るいので悲惨さはさほど感じません。考えてみれば不思議な映画です。 ◆題名は、女が自分の娘がパトロンの愛人になったことを知ったときに「私だって人間なんだ」と叫ぶのをモチーフにしています。「女一代記」ではなく「昆虫記」。監督の女に対する態度は同情するでもなく、常に淡々としています。悪くいえば、突き放した印象。昆虫扱いではかわいそうですが、生命力の強靭さを強調したのでしょう。ときおり静止画になり短歌を詠みますが、どことなくユーモラスです。自分を客観的に見る余裕があるんですね。誰も描かなかったクールな視点で描いた「市井の女の一生」と解釈しました。 ◆娘が比較的しっかりしているのが救いですね。学校をやめてしまったのは遺憾ですが、恋人もいて、将来設計を持っています。母親のパトロンに短期間だけ愛人になりますが、すぐに改心してお金を引き出し、仲間と開拓村を始めます。トラクターを運転する逞しい姿には明るい未来が見えます。そしてパトロンに言われて母親が娘を連れ戻しに行くところで終了。娘が戻るわけがありませんが、この女の苦労はまだまだ続きそうです。 
[ビデオ(邦画)] 6点(2011-09-14 19:03:59)
66.  悪名(1961) 《ネタバレ》 
主人公の朝吉は自分の本来の生き方、有り余る力の発散の仕方がわからず、もがいている若者だ。仕事はせず、昼間から賭け事にふけり、女にちょっかいを出す。青白い遊び人とは違い、度胸があり、腕っぷしはめっぽう強い。最大の特徴は頼まれた事は決してあとに引かない男気を持っている事。それで男からも女からもモテる。◆朝吉のやることは矛盾だらけ。ヤクザが嫌いといいながら、やることはヤクザと同じ。軍鶏を盗み、賭け事をし、ヤクザの客分となったり盃を受け取ったり。惚れた芸者を足抜けさせる算段の最中に、堅気の女と婚約する。偽の拳銃でヤクザを騙すが、人妻の嘘の妊娠話には騙されてしまう。色事には強いが酒は弱い。博打でインチキは嫌いといいながらインチキをする。完全無欠のヒーロー像とはほど遠い。その稚気愛すべきといったところ。本質的に「強きをくじき、弱きを助ける」ヒーローでありながら、その容姿、振る舞いはアンチヒーロー。従来のヤクザ映画に当てはまらない新鮮味がある。◆それが最も表れている所はラストシーン。朝吉はバカ正直に芸者を島抜けにさせた因島に戻り、女親分の折檻を受ける。「わいが死んでも、わいのド根性は死なへんわい!」折檻に根を上げない根性を示すことで、借りを返そうとする。女親分もその心意気に惚れ、朝吉を許す。通常のヤクザ映画では、親分の子分らと大立ち回りを演じるところだ。画面から飛び出しそうな朝吉と弟分の貞暴れぶりが魅力。◆だが他の登場人物はステレオタイプで魅力が薄く、脚本もご都合主義。不幸な芸者はいつも小ざっぱりして不幸に見えない。朝吉と妻になる女との恋愛パートはお茶を濁した程度。見せ場である喧嘩も今一つ吹っ切れていない。◆唯一意外に思ったのは駆け落ちする人妻お千代。朝吉には人妻であることを黙っていて近づき、妊娠したと嘘をつき駆け落ちを迫る。駆け落ち先では温泉芸者になりきって客と情事を結ぶ。まさに毒婦だ。その女が中盤で再会すると一変、女を助け出すためと知りながら、協力を申し出て、結果的に資金と拳銃を提供する。朝吉に惚れているための行動だが、男を手玉にとる一種女神のような振る舞いが心憎い。この女性を主人公にして映画ができると思う。ここで得た資金が終盤につながらないのは残念。拳銃は役に立つが、敵より強い武器を持つことになり、ヒーロー度を下げてしまう。◆結局は女に振り回されてばかりいる男の話。
[DVD(邦画)] 6点(2011-09-09 14:06:28)
67.  ゼロの焦点(1961) 《ネタバレ》 
娼婦という忌まわしい過去をもつ女が、不用意な一言により正体がばれ、殺人犯となる。新婚の妻が、夫の過去を調べてゆく中で、連続殺人が起り、犯人の過去が明らかになるプロットは魅力的。回想場面が頻繁に挿入されて見づらい。娼婦時代の哀切さが伝わってこない。 【妻の推理】 妻は、夫が巡査であったことと義兄と旅館で会っていたパンパン風の女の連想から、英語の上手な丸越会社の受付係久子を訪ねる。二人一目会っただけで、会話もしておらず、推理が飛躍している。 【成りすまし】 鵜原はどうして曽根に成りすましたのか?久子との恋の成り染めが、立川での巡査時代に知り合った元娼婦との北陸での再会だとすると、久子も鵜原を知っていた筈。譲って鵜原だけが相手を知っていたとして、どうして偽名を名乗る必要があるのか?相手が元娼婦だからといってそこまで用意周到になるだろうか。のみならず鵜原は、丸越会社社長夫人佐和子の計らいで煉瓦会社の架空社員の身分にまでなっていた。一介の営業マンが重要取引先の社長夫婦にそんなことを頼めるだろうか?頼めたとして、社長の関与なしに佐和子の一存だけでそのよう計らいが可能だろうか?架空社員といっても、死後に退職手当も払われていることから、給与も支払われていた。加えて、鵜原が実際に勤めていた会社は鵜原の住所を1年半に渡って知らなかったという。いくら時代が古いからといってでたらめすぎる。 【宗太郎殺し】 鵜原の兄宗太郎は初対面の久子(実は佐和子)と旅館で会う。宗太郎が鵜原から佐和子のことを聞いていたのなら、もっと早くに佐和子に電話連絡をする筈。宗太郎は久子の事を名前程度しか知らなかった。佐和子は何も知らないで押し通せば良いのに。又佐和子はどうして毒入りウイスキーを用意していたのか?宗太郎が誰にも知られずに内緒で久子と会うことをどうして知ったのか? 【その他疑問点】 ◆鵜原はどうして2葉の写真を所持していたのか?久子の家はともかく、佐和子の家はどうして?佐和子の正体は死ぬ直前まで知らなかった筈なのに。 ◆殺人動機は、佐和子が自分の幸福な暮らしを守ろうとした事だが、あの社長じいさんとの暮らしが幸せとは思えない。うらやましいどころか、かわいそうに思える。 ◆青酸カリの出所は? ◆ラストの謎解きパートが間延びし、佐和子の死ぬ場面が無い。
[DVD(邦画)] 6点(2011-07-29 17:03:58)
68.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
犯人に高い知性が感じられない。いつもおどおど、いらいら。こんな犯人なら捜査はラクだ。脚本も穴が多い。 ・犯人は奥さんが死んだのを確認しない。初歩の初歩でしょうよ。それに背後から絞殺というのも解せない。 ・遺体は翌日メイドが発見したはず。重要参考人なのに全く登場しない。 ・愛人と打ち合わせをしてあるにも関わらず、前日のパーティの夜に愛人の家に密会するのは合点がいかない。電話の記録を調べられれば愛人関係がばればれ。 ・犯人は奥さんにいきなり翌日の海外旅行を持ち出すが、普通は簡単に承諾するとは思えない。もっと計画的にしなさい。 ・妻が自宅で殺されたとしたら、先ずは夫が疑われる。離婚話が出ていたのならなおさら。通り魔の仕業と思われる犯行場所を選びなさい。 ・想定の犯人の侵入口はどこから?高層マンションだよね。 ・殺人未遂事件なのに、殺人課の刑事が調べてる。 ・コロンボは犯人が旅行から家に帰ったときに無言だったのが不審と主張するが、不審とは思えない。それをいうなら一度も電話してないことを指摘すべきだろう。喧嘩していても、いつ帰るかぐらいは電話する。 ・飛行機の喧嘩によるアリバイ作りだけど、愛人が若すぎてバレバレでしょ。スチュワーデスに何歳くらいでしたかと聞けばすぐわかる。それにパスポートの写真と会わないはず。監視カメラもあると思うけど。それに奥さんは友人に旅行をとても楽しみにしていると話しているので、喧嘩別れは整合がとれない。 ・宝石や銀の燭台を大量に持ち出しているけど、入国検査でひっかかるのでは?宝石は捨てずに燭台は売ればよかった。別のものを盗品申告すればバレないのだから。 ・愛人は大部屋女優なのに高台の豪華な一軒家に住んでる。 ・俺が犯人だと名乗り出た男の取り調べに、真犯人が同席するのはどうしてもおかしい。 ・最後の告白だけど。犯人が「愛人のことを愛していた」と言ったらどうなった?コロンボがそこまで読んでたのかな。それに警察と愛人が死んだ芝居をするなんて、違法捜査でしょ。それに犯人が現地にいかなければどうしたの?ワナとしてはうまくない。警察がそんなことしちゃだめでしょ。推理で勝負すべき。 
[DVD(吹替)] 6点(2011-04-16 13:20:59)
69.  絞殺魔 《ネタバレ》 
【事実】1931年ボストンでデサルヴォ誕生。両親堕落、アル中、暴力、娼婦を連れてくるような悲惨な家庭環境。17歳で軍隊入り。5年間ドイツに赴任。結婚して娘(障害者)誕生。毎日5,6回性交する性欲過多。1956年9歳女子への性犯罪で軍隊除隊。1960年モデルのスカウトマンと偽り、部屋に侵入し、サイズ測量する犯罪300件。不法侵入罪で逮捕、強制猥褻としては裁かれず。11ケ月服役。妻から「あなたが真人間になるまで」と性交渉停止宣言。1962年6月から1964年1月までボストン絞殺魔事件発生。被害者11~13人、19歳~85歳。基本的に紐状のもので絞殺し蝶結び、強姦、性器露出。1964年11月別件の連続強姦事件で逮捕。被害者300人。1965年精神病院。その言動によりデサルヴォが犯人ではないかと怪しんだ同室の男が弁護士に通報。弁護士にあっさり自白。犯人しか知らない事実を知っていた。司法取引。1967年絞殺魔としては裁かれず、強姦罪で終身刑。1968年映画製作。1973年刑務所の独房で刺殺される。犯人不明。40年後最後の事件の精子DNA鑑定で無罪が確認。次の理由で犯人の可能性大。①性犯罪を繰り返す。②全事件でアリバイ無し。③犯人しか知らない事実の自白。④逮捕後事件が止む。【感想】不思議な事件だ。被害者の年齢の幅が極端に広く黒人も犠牲者。女性そのものへの憎悪があるようだ。警察のプロファイルも「母親を憎悪している若い白人男性」だった。最初の事件では部屋が物色されている。映画では二重人格説を採用。オランダの「超能力探偵」が事件に挑んだのも事実。◆物証が無いと言うが、いくつかある。先ず歯型を較べれば簡単に判定がつく。犯人の遺留品と思われる定規、箒、瓶、ドアノブなどの指紋、現場のススと靴のススの照合。◆次々起る殺人と性犯罪者を片っ端から逮捕する様子を描く前半部分。実験的なマルチ画面を多様しているが効果は薄い。画面に集中できないのだ。それでも次々起こる連続殺人には誰でも自ずと興味が湧く。犯人が判明してからは少々退屈。彼の過去に触れられていないのが不満。動機が提示されない。「人格が変わると殺人者」では誰も納得しない。その理由を示して欲しい。ジギル博士とハイド氏じゃないのだから。彼が裁かれた強姦にも触れていないのはどうしたことか。迫真の演技は良いが、密室でのカメラアングルが平凡で画面から緊迫感が伝わらない。
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-12 00:37:41)
70.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
映像的に随所に見せ場はあるが、人類の終焉を予想させる内容を描いた作品にしては迫力不足。古い作品でオプチカル合成のチープさは言い訳が立つだろうが、脚本のドラマパートのチープさは言い訳が立たないだろう。◆高飛車でいたずら好きな上流階級の女と弁護士の奇妙な出会いは面白い。が、そこから恋愛に発展していくわけでもない。それなのに女が男の家に行きつくまでの描写が長いが、何を言いたいのか?鳥を部屋に置いてくるなんていたずら返しにしては度が過ぎていないか?「鳥」だからペットショップで出会うというのも芸が無いだろう。「ラヴバード」も物語に絡らない。男の母親が不気味で女を嫌っているが何故か?これがあるから、その後母が自分のことを語る場面があるが、共感できない。平凡で幸福そうな家族が動物に襲われてこそ万人が共感する。高飛車なヒロインを応援する人も少ないだろう。女教師と弁護士の過去の恋愛も活かされていない。準主役の女教師が死ぬ場面が省略されている。妹の少女は泣き叫んで逃げるだけの役回り。登場人物がぜんぜん噛み合わないのだ。人間が描けて無いので、苦悩や苦痛が伝わらない。皆が協力して知恵を出し合って危機から脱出するからこそ盛り上がるのだが、逃げ回るだけの登場人物に失望。◆肝心なパニックパートにしても、小さな町を鳥が襲っただけ。小規模な鳥の反乱で終わっている。広がりが無いのだ。警察や軍隊との闘いくらいは見せて欲しかった。大人しい鳥がただ止まっているだけの凡庸なエンディングにはただ、ただ失望。せめて防具つけて松明で鳥を追い払いながら車に移動するくらいの演出がほしい。人類滅亡かと思わせるほどの衝撃的なエンディング希望。「終末だ、世界の終わりだ」とわめく人物が登場するが、滑稽としか見えない。鳥が全人類を敵として攻撃し始めたということを分らせるカットが必要だろう。子供を襲うシーンが多いが、子供は助かるのは分っているので恐怖は感じない。鳥がいる中を避難させるのも不自然。女が二階で鳥に襲われるシーンがあるが、ドアを閉めればいいだけじゃないか。◆確かにサスペンス撮影はうまい。でもアクションが弱い。多カットで見せる細やかな演出も不発ぎみ。人工的すぎるのだ。ただ暖炉から急襲する鳥大群と、飛行している鳥目線で見せる炎上する町の俯瞰カットは素晴らしかった。 
[DVD(字幕)] 6点(2011-01-21 05:04:49)
71.  大魔神怒る 《ネタバレ》 
◆御子柴国は山中で民の生活は苦しく、湖のある豊かな千草国への逃散が後を絶たない。領主弾正は千草征服を決意、五千の兵で乱入。不意を襲われた千草は為すすべなく降伏。領主十郎は辛くも分家の八雲国へ逃亡。十郎を追った弾正は勢いにまかせ八雲をも征服。領主を殺し、若殿を幽閉。十郎を差し出せと命じる。皆が余りにも神之島の神像を崇拝するので、見せしめに爆破。十郎は神之島に漂流。結局捉えられ、若殿とその妹で十郎の婚約者さゆり姫と処刑されそうになる。姫の頬に涙が光ると大魔神登場。悪を踏み潰す。◆悪逆非道の悪者がいて、それを大魔神が懲らしめるのが筋。当然悪逆非道ぶりを際立たせないと成功しないが、そこが弱い。前作の悪者は若くて憎々しかったが、本作は老けていて頼りない。殺す場面もインパクトなし。淡々として、どこかお芝居っぽい。残虐性が薄いので、大魔神が登場してもカタルシスが得られない。◆大魔神の登場シーンは華々しく賞賛に値するが、大暴れシーンは物足りない。兵の損傷がほとんど無い。武将が大岩の下敷きで死ぬシーンがあるが、お粗末な出来だ。弾正があきれるほどあちこち逃げ回って、その度に兵が犠牲になり、とうとう一人になり船で逃げ出すという演出が欲しかった。大魔神の前では人間は虫けらの如き存在でしかない筈。◆弾正は火矢のようなもので船ごと炎上死するが、これも物足りない。火には浄化のイメージがあり死に方として優しすぎる。手でひねりつぶすとか、短剣で刺すなどの原始的なものがふさわしい。残虐性があるからこそ、大魔神を恐れ敬う心が強く刻まれるのだ。◆大魔神は暴れ出したら止められないという前作の方針はどこへやら。礼儀正しく姫を救い、横たえるが、それではダメ!「善悪」よりも「怒りの爆発」が見どころの筈。神像が爆破されても登場しないのに、姫の涙で登場するのも理屈に合わない。「飼いならされた大魔神」は魅力半減。◆神像は早々に爆破され、その後いくつかの怪異が見られ、最終的に大魔神が登場する。この間が悪い。「爆破されて怪異が次々起り、遂に大魔神登場」としないとテンポが生まれない。神像破壊はもっと後の方にすべきだった。【気になった点】①鐘は重要な意味をもつが、何故が屋根がなく、雨ざらし。②国を争う数千人規模の戦闘なのに戦闘があっさり。③子供が若殿を救うのはリアリティがなく減点。④婚約中の二人が愛し合っているシーンが必要。
[ビデオ(邦画)] 6点(2010-09-29 22:48:22)
72.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
ここでの歌詞は詩ではなく台詞。日常会話にメロディをつけただけ。ちょっとぞんざいな印象を受けました。で、踊らないんですね。歌も吹き替えだし。オペラの手法に近いわけですね。でストーリーですが、「ギルなしでは生きられない」と言っていた16歳のジェヌ。愛する人の子供をみごもり、まずはめでたしと思っていたら、出産前に別の男と結婚するという怒涛の展開へ。なぜ!なぜ!なぜ!たった9ヶ月も待てないの。男は戦場で死にそうな目にあっているというのに。とても切ないです。「太陽と死が一緒だった」戦場の様子が描かれてないので、女性に同情が集まるのでしょうね。男は不利だ。二人の間に誤解があったわけではないのに。結局、お金のためですか…。女なら愛に生きてほしかったです。カサールはジュヌをろくに知りもしないのに「理想的な女性」などといって結婚を申し込む。妊娠を知っても「僕達の子にしよう」などと平然。どんな性格?カサールは失恋の痛手を知っているのだから、ここは援助だけして、身を引きましょう。帰還したギルの心は荒み、仕事は辞めるわ、娼婦に手を出すわで大変。でも叔母の遺産とマドレーヌの献身のおかげで立ち直る。叔母の遺産というところが安易すぎますが。で、数年後の再会へ。ここはよかったですよ。「元気だったかい?」「ええ」「子供に会う?」「いや」ほんの短いやりとりの中に、数奇な運命をたどった二人の押し隠した心情が思いやられてじーんと来ました。二人とも世間並みに家庭を持ち「不幸ではない」が、もしもあのときという思いが心を去ることはない。でもこの再会で少しはふっきれたことでしょう。余韻の残る東洋的な結末で、感心しました。どうでもいいけど気になったこと:傘店なのに傘がおどろくほど少ない。病床の老いた叔母までが歌わなくてもいいのに。最初の方で二人が歩いてなくて台車に乗って移動するシーンがあったけど、ばればれ。ギルのアパートの壁ぼろすぎ。ジュヌのアパートの壁紙はあんなにきれいないのに。あの娘は大きくなったら本当の父親に会いたくなるんでしょうね。そのときは会ってあげてください。もうひとつの「雨傘(保護者)」として。
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-21 01:40:51)
73.  大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 《ネタバレ》 
お子様向けの怪獣映画と割り切れば、そこそこ見れます。特撮の出来が芳しくないのが最大の欠点です。ピアノ線がよく見えました。さてストーリーです。怪獣の対決は三度。最初はガメラが腕を切られて負け、二度目はギャオスが足を噛み千切られて負け(と思いきや足は再生)、三度目は超音波攻撃から逃げるすべを学んだガメラの圧勝。もう一つの人間とギャオスの戦いは二度。回転作戦はうまくいきかけたが発電所が火災を起し、失敗。山火事作戦はギャオスの消火粉末で失敗に終わりそうだったものの、ガメラをうまく誘い出すことに成功し、勝利。結局人間の知恵がギャオスに勝ったということです。ここで問題なのは、なぜガメラが人間の味方なのかということです。登場人物のだれもがガメラを味方だと信じて疑いませんね。(シリーズの前の作品であるのかもしれませんが)その説明がないのが最大の欠点です。が、全体としてはよくでている脚本と思います。人間側のストーリーは、高速道路の賠償金がらみで村人と村長はお金を吊上げる目的で反対をしていたが、純粋な子供の心に打たれ、村長は対ギャオス作戦として自分の山を焼いてくれと申し出ます。泣ける話じゃありませんか。コース変更と思っていた高速道路も変更なしとわかり、村人も安堵します。人間のストーリーも対ギャオス作戦も一人の子供を中心になされていることは注目に値します。他のこのような怪獣映画はないのではないでしょうか。意欲作といってもいいでしょう。ところでこの映画の最大の見所はギャオスという怪獣でしょう。凶悪そうな顔や姿の造形もよく、高い飛行能力を備え、超音波光線という飛び道具があり、苦手な火事などのために消化粉末を持っています。また高い再生能力もあります。普通に考えればガメラは太刀打ちできそうにありませんね。ただ紫外線に弱いという設定は安直すぎます。能力の一部が弱まる程度にしておけばよかったのです。ところで気になったのは逃げ出した牧場の動物たちの行方です。てっきりギャオスの仕業と思っていたのですが、そうでもなさそうです。
[DVD(邦画)] 6点(2009-04-01 14:28:42)
74.  怪獣大戦争 《ネタバレ》 
【X星人の謎】 ①何故地下で生活している。 ②水は黄金より貴重らしいが、さほど不自由しないとも言う。地球侵略の目的は水か。金と水を交換すればよかったのに。 ③というか「質量がどんなに大きくても宇宙圏に運び出すのは簡単」なのだから水も運べたはずだが。 ④ゴジラ、ラドンをわざわざX星に連れて、キングギドラと闘わせるという小芝居をする手間を惜しまないのは、電子計算機の計算によるんだね。 ⑤P1ロケットをコピーしてわざわざ地球人に与える必要があるだろうか。UFOで送っていけばいいのに。技術力の誇示のため? ⑥X星人が殺人音波に弱いのは理解するが、コンピュータまで狂ってUFOに不具合が起こるのはどういう仕組みか。そもそもUFOを防音にしておけばいいだけなのだが。耳栓するとか。もっと言えば、発明家を拘束するとき、持ち物チェックぐらいしておけ。 ⑦殺人音波を出すレディーガードの発明家と契約しながら、代金を支払わないのはどうして。そもそも発明家を拘束すれば済む話だが。世界教育社ってどうよ。 ⑧波川女史がグレンに言う。「あなたがX星人になって私と結婚すればいいの。計算値にでました」でも、X星に行ったら女性の区別つかないんですけど。 ⑨X星人はわざわざ地球侵略の方法を説明してくれている。 ⑩「我々は脱出する。まだ見ぬ未来に向かってな」自爆しなくても、なにか脱出方法がなかったのか。 ⑪地球征服計画を立て、地球に前線基地を置きながら、調査ロケットが来るのをずっと待ってたの? ⑫で、癌の特効薬は? 【地球人の謎】 ①人類全体に関わる話なのに、日本人だけで全部決めてる。 【感想】X星人の電子計算機はろくな答えを出さない。だから高度な知能をもちながらも自滅した。いや、待てよ。あれはもしかしたら高度になり過ぎたコンピュータの反乱?わざとヘタな答えを出して、自滅させる計画。とすれば「2001年宇宙の旅」の先取り?なわけないか。しっかーし、モロ日本人なX星人て、萎えるな。外人も日本語しゃべるし。キングギドラがアメリカに出現、とかいいながら映像は無し。まあいいんですけど。無敵のゴジラが操られるところがマイナス。円盤をやっつけるのはゴジラではないとダメでしょう。子供たちにとっては十分楽しめますよ。特撮も合格ライン。
[DVD(邦画)] 6点(2009-03-18 18:37:46)(笑:1票) (良:1票)
75.  燃えよ剣(1966) 《ネタバレ》 
新撰組が結成されるまでの話は面白かった。 七里との対決が何度かあるば決着がつかず、最後までもつれるのだが、劇的なクライマックスになっておらず、竜頭蛇尾の感があることは否めない。 左絵とのからみも濃厚であるが、左絵の心の内面描写が薄いため、感情移入しにくい。 新撰組になってからは、殺伐とした展開が淡々と続き、のめり込めない。 土方歳三という人物を知るにはよい映画だと思う。 主役をはった役者の演技はうまい。
[DVD(邦画)] 6点(2008-12-26 08:27:11)
76.  ローマ帝国の滅亡 《ネタバレ》 
ローマ帝国の崩壊が180年即位のコンモドゥス帝から始まっているという大胆な仮説には首肯しかねる。崩壊の三百年も前の皇帝に崩壊の濫觴を求めるのは無理なのではなかろうか。 史実のように謳っているが、ローマ帝国という舞台とローマ皇帝の名前を借りただけの創作である。 未婚皇女役を豊満な中年女優が演じている点で興ざめし、まともな悲恋物語として見れない。 コンモドゥスは闘剣試合に夢中で、政治には向かない暗愚な人物とされるが、闘剣場面が一度も登場しないのでどういう人物か推測しかねる。彼の心の内に狂気が宿っていたとして、その原因を少しは示唆してほしいものだ。最終場面で、突如として名乗り出た実の父を刺殺し、平和に暮らすババリアン人を虐殺させ、妹を焚刑に処すよう命じ、大衆の面前でリヴィウスと一対一の死闘を演じる。唐突感が半端ではない。コンモドゥスという人物を理解できるように描いてもらいたい。 対するリヴィウス軍指揮官だが、辺境国に対して融和政策をし、恒久平和を実現しようする先進的人物だ。しかし、その主張を元老院にするは部下まかせで、多くの戦闘場面に登場するので、その人となりと主張と行動が一致せず、ちぐはぐな印象だ。平和を主張させるなら平和的人物として描くべきだろう。少なくとも善人顔の俳優が演じてほしい。 巨大舞台装置や大群衆場面も心動かされるものがない。“見せ方”が尋常一様で、画面が迫って来ないのだ。戦闘場面も群集が騒ぐ場面も無難な仕上がりで、そこそこの迫力が出ているが、度肝を抜く演出はない。どちらも広がりがなく、閉塞感漂う印象を受ける。鑑賞後、時間を無駄にしたとも思わないが、佳い映画を観たという実感も湧かない。どの人物にも感情移入できないのはお墨付きだ。
[DVD(字幕)] 5点(2014-09-01 05:29:29)
77.  ネバダ・スミス 《ネタバレ》 
惨殺された両親の復讐に執念を燃やす若者が、その途次に彼を気遣ってくれる大人たちとの交流を通じて成長していき、最後には復讐や殺人の虚しさを悟るという物語。 混血にも16才にも見えない役者が主人公を演じるのには目をつぶるが、首をかしげたくなる場面が多いので高評価はできない。 冒頭、悪漢三人がマックスと会話するが、悪漢の一人が不用意に本名を名乗ってしまう。そして家を訊いたあと、何故か、マックスの馬を脅かして追い払うようなことをする。不審がられて当然の行為。マックスもすぐ家に帰ればよいものを、随分と遅れて帰宅。両親の遺体を埋葬せず、家ごと焼却するという暴挙にでる。三人はマックスの父の馬を奪っているのだから、4匹の馬の足跡を追えばよいはずだが、3匹の馬の足跡を追い、人違いをしたあげくに馬と銃を奪われる始末。未熟さゆえんである。ようやく悪漢の一人目を探したとき「首に切り傷がある」というが、画面で首のアップがなかったので観客にはわからない。銃を持っているのに、最後は何故かナイフ対決となり、刺殺して終了。悪漢の妻からも感謝される。二人目は刑務所の中にいると判明。わざと銀行強盗で捕まり、同じ刑務所へ。悪漢が脱獄に失敗して半死状態になっているのをわざわざ助けて、後に共に脱獄し、射殺するという手の込んだことをする。このとき脱獄に利用した女を見殺しにしてしまう。三人目を見つけたが、油断させるため一旦仲間に入る。馬車を襲って金塊を強奪する計画で、いざというときには裏切ると予想していたら、全員見殺になるまで見守ってから行動開始。悪漢の手足に三発命中させ、「殺す価値もない」と立ち去る。この人、あまり成長していない。子供の手本になるような行動はしない。やることは無法者と変わらない。銃を教えてもらったり、読み書きを学んだり、女性から慕われたり、親父に助けられキリスト教を知ったりと盛りだくさんの挿話があるのに生かされていない。復讐のために払った犠牲の大きさが見えてこない。マックス・サンドがお尋ね者となり、本名を隠してネバダ・スミスと名乗るようになる。それが映画タイトルだが、その意図はよくわかりません。
[DVD(字幕)] 5点(2012-12-09 23:22:43)
78.  氷点 《ネタバレ》 
冒頭、死体であるはずの子供が動いてるのがまるわかりなので嫌な予感はしたのですが……。 DVDの解説に「汝の敵を愛せよ、というキリスト教的主題を愛憎と共に描き出した名編」とありましたが、全く描き出してない駄作でした。「娘を殺した犯人の赤子を引き取る」という異常な設定は心引かれた。夫は、妻が浮気相手と密会していことが娘の死の遠因と考えており、犯人の赤子と知らせずに育てさせることが妻への冷たい復讐となる。尋常ではないが、納得できる設定だ。妻や赤子(娘)が真相を知った時にどう絶望し、どう立ち直るか、夫の心はどう変化するか、それがキリスト教の原罪意識、ゆるしとどう結びつくか、それらが主題となる。しかし結果として赤子は犯人の子供ではないことが判明するという肩透かし。これは逃げでしょう。妻が真相を知ったときの苦悩は描かれているものの、娘へのいじめや夫への復讐心はあっさりで、葛藤不足。娘はあんなに天然で快活だったのに、真相を知らされると罪意識により即自殺するという安直さ。かつて「自分がかけがえのない存在と気づいていたら自殺はしなかったのに」と語っていたのに。殺人者の子供は何故自殺しなければならないのか、十歳の子供でもわかるように説明せよ。それがあなたの道義なのか。この娘役の女優には花がなく、演技力不如意で、この役に合っていない。善を具現したかのように誰にでも愛される存在でなければならないのに。鬼母の方が遥かに美しいのはだめでしょう。兄は歯が浮くような科白ばかりでうんざりさせられる。翻って夫役の人の演技力は優れており、科白を云わなくても、その懊悩ぶりは伝わってきた。結局、逃げにばかり走っている印象がある。主題からして魂の浄化や救済が示されるべきであり、「殺人者の子供ではなかったのでよかった」というのは逃避に過ぎない。そこからは人間性の向上や成長が窺えない。人生と真剣に向き合う姿があってこそ感動は生まれる。
[DVD(邦画)] 5点(2012-09-11 17:53:00)
79.  あゝひめゆりの塔 《ネタバレ》 
低予算、短期間で制作された”重くない”反戦映画。モノクロでごまかしているが、全体的な手抜き、やっつけ仕事の印象はぬぐえない。サイパン陥落のとき、生徒の一人の兄がサイパン守備隊に行っている設定があるが、兵隊でさえ、船に乗って日本を出発してからも自分がどこに行くのか知らされなかった。サイパンにいるなどということが手紙に書けるわけもない。戦死の公報が来て初めて亡くなった場所を知る。対馬丸事件が描かれる。父兄の見送りは校庭までとなっているが、実際は港で見送った。出港は8月20日夕方6時半であり、夜ではない。予算の関係で対馬丸を見せられなかったので夜にしたのだ。見送りの人全員涙を流しているが、そんな姿は見せず、涙は袖に隠した。沈没場面も当然ながら省略。主人公の母が亡くなる重要場面なのに。責任をとって校長が自殺したことになっているが、その事実は確認できなかった。次に沖縄大空襲。借りてきた米軍実写フィルムの垂れ流し。実際にはやってきてないB29が大活躍。沖縄戦に突入。ここも実写フィルムで、やってきてないB29が大活躍。爆弾、銃弾はばんばん飛び交うのに、アメリカ兵は一人も出てこない。すぐおもちゃとわかる艦載機が時々映る。実機はグラマンらしき戦闘機二機と装甲車一台のみ。梶芽衣子が手榴弾で自爆するが、何故かピンを抜くと煙がもくもく。先生が手榴弾の箱を何故か食糧と勘違い。校長と浜田光夫が戦死する浜辺は、何の設備もなく、人の姿が見当たらないのに、滑稽なほど大量の爆撃、機関銃攻撃がされ続けている。艦砲射撃と思うが軍艦がない。そこを強硬突破しようとするのに無理がある。死体を収容するにしても夜を待てばよいものを明るいうちに飛び出すから、あんなことに。遮蔽物のない砂浜を匍匐前進しても意味はない。セット丸わかりの洞窟はご愛嬌として、洞窟からの脱出は夜に出発すればよいのに、朝出発するから、あんなことに。そして誰もいなくなった。主要出演者全員死亡という珍しい映画。辛酸な場面も多い。足を切断する手術とか、手足捨て場に爆弾が落ちて手足が飛び散るとか。「日本ももうおしまいだな」とつぶやいた先生を、女生徒が殴る場面がある。先生は直後、機銃掃射で蜂の巣。狂った女生徒が童謡を歌う場面がこの映画のリトマス紙。滑稽にしか映らなかったのは残念。
[DVD(邦画)] 5点(2012-07-13 22:16:48)
80.  大魔神逆襲 《ネタバレ》 
不出来である。脚本の荒さ、甘さが目立つ。戦国時代の殿様が地獄谷の硫黄を採掘して火薬を作り、武器弾薬を準備して隣国を平らげようと野心を抱く。それはいいがどうして隣国の樵達を拘引して、強制労働させる必要があるのか?総労働者数はたいして数でもなく、自国の民を徴用すれば済む話である。それもたった数日働かせるだけである。それに十数人もの人を拉致すれば、すぐにばれてしまうではないか?又樵に間道を問い質したりするが、自国の樵に聞けば済むと思う。更に言えば、雪の季節に他国に攻め入るのは無謀である。◆子供達が捕まった親族を助けるために独断で出かけるが、どうやって助けるつもりなのか?そこを描いてないので、稚戯で無謀な試みにしか見えない。生命にかかわるほどの危険な冒険な筈だが、画面からそれは伝わってこない。子供たちのこなれていない演技が鼻に付くだけだ。きれいな標準語を話すのも気になる。◆埴輪神像が怒って荒ぶる神に変身するが、さて何に対して怒っているのか?雑兵が神の使いである鷹を殺したからか?それなら雑兵だけを殺せばよいし、雑兵は既に鷹と刺し違えている。殿様が樵を拉致して強制労働させていることに怒っているのだろうが、この殿様だけが特別悪いわけではなく、人間のやる行為としては普通であり、神には関わりが無い筈である。少年が身を捧げたからその願いを受け入れたのだろうが、その前に鷹が少年を助けている。どうして?神域を荒らす者は神の罰を受ける設定の筈なのに。また殿様らに神像を傷つけられた事実もなく、はなはだ不自然である。少年の自己犠牲の精神が尊いといっても、過去のシリーズと比較して、神を動かすほどではないと思える。荒ぶる神だからこそ恐怖を感じるのであり、勧善懲悪の神なら凡庸で水戸黄門と変わらない。◆さて肝心のスペクタクル、大魔神対武士の戦闘だが、武士が弱すぎて話にならない。人数が少ないし、戦略も無きに等しい。あの近距離で大砲が一発も当らないのはどうしたわけか?◆以上のような理由で魔神が怖くないし、魔神が殿様を退治してもすっきりしないのだ。営業的に赤字で、続く予定だったシリーズを終了させたのも納得できる。
[DVD(邦画)] 5点(2011-11-14 04:53:06)(良:3票)
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