Menu
 > レビュワー
 > よしのぶ さん
よしのぶさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345
投稿日付順12345
変更日付順12345
>> カレンダー表示
>> 通常表示
61.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
ジョンの脳内影像から始まり、サブリミナルの勃起した男性器画像で終る。全てはジョンの想像の産物で、登場人物は全て彼の自己投影された人格であり、一種の自慰行為に過ぎないという解釈も成り立つ。そうすれば、タイラーとの殴り合いシーン、爆発物作成方法を知るタイラー、忠誠すぎる会員、知らないうちに全国展開するクラブ、警察まで浸透する会員、頭を撃っても生きている、などの矛盾点が説明できる。多重人格者の夢というのは案外こういうものかも知れない。ジョンはしがないサラリーマン。現実の自分と、理想の自分との間に大きなギャップを感じて、慢性的な睡眠不足。その解消に役立ったのが不幸な人たちの”泣くセラピー”クラブ。泣いて感情が発散できるのだ。彼の悩みは本能が去勢されていること。性欲、睡眠欲、闘争心などが開放できない。それの象徴が”睾丸無し”クラブ。現代社会の縮図でもある。本能をまぎらわすための”高級家具買い”も限界に来ていた。泣くことで、束の間の安らぎを得たが、そこへマーラ登場。彼女は彼を現実に引き戻す役割の人格。いつも”異物”のように侵入してくる。そしてタイラーの登場。理想的な自分の投影された人格。病的にまで分裂する自己の始まり。タイラーはジョンの快適な物質文明の象徴である”高級家具の部屋”を爆破。朽ちる寸前の家で共同生活を始める。この家はジョンのぼろぼろになった精神の象徴。マーラを無視しつつも、タイラーとファイトクラブを設立。闘争心は現代人には最も発揮しにくい本能。それが人気を呼び、多くの会員が集まる。だが本能を開放しすぎたためにタイラーが暴走。クラブは物質文明反対のテロ組織の様相を呈してくる。彼らの無謀な計画を阻止するために自分との闘いが始まる。殴るだけではダメで、終に拳銃で頭を撃ちぬく決意を。全ては幻覚だと悟り自分と向き合った瞬間だ。登場したマーラの存在意義を認め、和解できたことで、彼は現実の世界に戻ることができ、自己アイデンティティーを取り戻した。崩壊するビルは、彼の仮想現実、多重人格世界の崩壊。物質社会、消費社会の価値観に洗脳されている現代人が、不安や悩みを抱えながら、本来の自分を取り戻すのがいかに困難かを描いた意欲作。
[DVD(字幕)] 8点(2009-10-24 13:50:18)(良:1票)
62.  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 《ネタバレ》 
男は単純だ。人生に必要なのは、酒、たばこ、女、車。余命いくばくも無いと宣告された二人。やけになって煙草を吸うし、酒は飲む。あんなところにテキーラがあるのは実に不思議だ。「天国じゃ海の話題が流行っているらしい」「おれはまだ海を見たことがないんだ」「じゃあ、見に行こう」酔っ払った二人は高級ベンツを盗んで出かける。途中でお金が必要となって、ガススタンド強盗と銀行強盗。驚くほどうまくいく。また車のトランクから大金の入った鞄も出てきた。こうして道具立ては揃い、ギャングと警察の追求をうまく逃れて無事海にたどり着けるかの、痛快なロードムービーが始まる。ギャングがトジなのはいいが、警察が間抜けすぎるのは笑えない。やりすぎてはいけないのだ。海を見るのが目的だったが、お金が入ったので予定変更。もうひとつのやりたいことをする。一人はプレスリーの真似をして母にキャデラックをプレゼント。一人は女二人と寝る。ギャングに捕まり、絶体絶命のピンチ。だが大ボスが粋な計らいを見せる。「海を見に行きたいんだろ?行きな」最大のサプライズだった。大ボスの人生ドラマを少し描いておいて欲しかった。銃撃戦があっても弾は人には当たらない。車が崖から落ちても平気。大ボスは許してくれる。本当は二人はすでに死んでいて、天国にいるのだろうか?結局強盗で奪った金は戻し、損をしたのは大ボスだけ。残った金は見知らぬ誰かに送る始末。最後までギャグを忘れない二人。二人は海に辿りつくが、もう終りだと思うと寂しい気分になった。目的があるということが人生を価値あるものにしている。彼らにはもう目的がない。ささやかな目的を達して、彼らは死ぬ。ささやかな人生だけど、つかの間の夢をありがとう。
[DVD(吹替)] 7点(2009-10-24 02:56:07)(良:2票)
63.  スター・ウォーズ<特別篇> 《ネタバレ》 
現代の神話「スター・ウォーズ」の始まり。スペース・オペラという言葉もこの作品で普及した。リメイクされて、CG部分が追加されたが、ほとんど変わっていません。最も感動的なのは、R2-D2のけなげな献身ぶり。翻訳ロボットとのコミカルなやりとりも楽しい。次はハンソロ・カムバックによる逆転勝利。息づまる空中戦も見ものです。スター・ウォーズの魅力はこのような脇役キャラの種類が多く、充実しているということ。ちょっとした役のキャラでも表情豊かなんですね。昔の西部劇などでは考えられない演出スタイル。一つ一つのシーンにサプライズが詰まっている。大作感があり、飽きません。ストーリーは単純明快で説明の必要もないのですが、わからないのがオビワンでしょうね。わざとダース・ベイダーに負けて、肉体が消滅してしまう。そして声だけの存在となり、ルークに指示を送る。この部分だけ説明不足。さほど偉大な人物に感じられなかったのは残念。雑兵相手に人間離れした戦闘能力などを披露してほしかったです。続編が作られるにつれ、ルークとレイラ姫が双子だったり、ダース・ベイダーが二人の父親だったりという暗黒部分が露呈します。人間の心の弱さに焦点が当てられるという不意を突く展開で、子供が観て夢中になれるようなものとはかけ離れてゆきます。もっとあっけらかんとした明るい宇宙戦記として期待していので、不満があります。
[DVD(字幕)] 8点(2009-10-24 00:04:00)
64.  名探偵ポワロ ゴルフ場殺人事件<TVM> 《ネタバレ》 
真犯人は最後までわかりませんでした。誰もわからないように出来てます。あの二人がお互いに相手が殺人犯と勘違いしてかばいあいますが、殺人現場に二人が別々に通りがかるのは偶然すぎるでしょう。ルノー夫婦の逃亡計画を犯人が立ち聞きしていたというのも偶然。緻密に計画された犯行ではなく、偶然が重なりあって複雑に見えただけなのが欠点。この辺りを工夫すれば秀作になれたかもしれません。ただ事件や道具立ては込みいっています。過去と現在の2つの誘拐偽造殺人。見知らぬ死体。3つのナイフに3つの恋。義父と子の確執。ポアロとパリの刑事の推理対決。美人歌手とヘイスティングスの恋。ゴルフはほとんど関係ありません。義父が殺害され、自分が疑われているのに、息子はのこのこ自転車レースに出場します。ポワロは飲み残しのコーヒーの匂いを嗅いで睡眠薬が入っていたことを見抜きます。原作ではヘイスティングスの恋の相手は双子の姉で、事件に関係するのは妹。殺された富豪は気が弱いですね。脅されたら逆襲すればいいのに。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-18 10:21:09)
65.  ターミネーター2/特別編 《ネタバレ》 
この映画と「ジュラシックパーク」の大成功で、ハリウッドはCG全盛となった。記念碑的作品。最大の見所はCGとアクションだが、それを補完する人間ドラマもよく出来ている。まず設定だが、近未来に核戦争で30億人が死亡する”審判の日”が来るということが前提でなっている。大風呂敷だが、核爆発の映像や未来での機械と人間の戦争などを挿入し、リアリティを与えている。これで映画に重みがぐっと増す。次にキャラのぶっ飛びさ加減を指摘したい。T800が服ほしさに裸でバーで大暴れ、T1000がジョンの育ての親をいきなり刃物で刺す、サラが単独ダイソンの家に乗り込み射殺しようとする。どれも意表を突く行動で、記憶に残る。病院場面で、サラの虐げられている様子と彼女の苦悩がよくわかる。機知に富んだ脱出も秀逸。次はサスペンス。冒頭でT800とT1000の両方が出現し、暫くどちらが善玉が分からない。両者鉢合わせのシーンで、銃撃開始と共に判明する面白さ。前作の悪玉が善玉に替わっているのがミソ。そして度肝を抜く、カーアクション。銃撃戦ばかりじゃ退屈する。ヘリ・アクションもよかった。液体窒素で凍ってからのT1000のしつこさ。本当に恐怖を感じた。最も重要なのは、ジョンとT800の友情部分だろう。ジョンが機械に、かっこいい言葉を教え、命の大切さを教え、感情を理解させようとする。ラストで自ら溶鉱炉に入る場面で、ジョンの涙を見て、T800が「泣く気持ちがわかった気がする」と言う。人間ドラマが描けているから、ここでぐっとくるのだ。徐々に沈んでゆくT800。最後の指のサインは、ジョンに教わった人間らしさの象徴。そして「ターミネーターが生命の価値を学べるなら、人間もできるのではないか」とサラのナレーション。明るい未来の暗示だが、サラも生命の価値を改めて学んだとも解釈できる。残念な点。①裸ではなく、未来の武器を持ってやってきてほしかった。②ジョンにATM現金引き出し詐欺をやらせるな。③ダイソンを殺してはいけない。彼を生かしてこそ”機械に生命の価値を教える”というテーマが生きる。④T1000の破壊力を存分に発揮させる、警官隊との全面対決場面希望。⑤T000が溶鉱炉からも生還し、最後はジョンの機知で倒してほしかった。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-14 07:47:11)
66.  ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 
良いミステリーはオチが分かってから、犯人の目で再構成してみて、行動に矛盾がないかどうかで決まる。冒頭バーバルの一人称から語られるので、クリスティの「アクロイド」のようにアンフェアという意見があるが、あれは刑事に向かって語っているので筋違い。事実だけを述べる。①6週間前トラックハイジャックがあり、武器が盗まれる。②NYで密輸を警護する車が襲われ、汚職刑事が逮捕される。盗まれた宝石の行方は不明。③昨日麻薬組織のアルゼンチンの船が炎上し、27人が死亡。麻薬は無く、ソゼを知る人物が死亡。キートン死亡。④昨日キートンの恋人弁護士イーディが殺された。⑤コバヤシ(本名不明)は存在する。以上。ソゼは、自分の正体を知る人物の暗殺を計画。いつ船が経つなどの情報も入手。そこで四人を説き伏せるか脅迫し、船を襲わせた。本当は子分に襲撃させたのかも知れない。ここでキートンが射殺されたのだけは確実。残り三人の生死は不明だが、多分死亡している。ソゼはわざと警察に捕まり、作り話を証言した。これは警察にソゼ=キートン説を誘導し、ソゼを葬るため。その為唯一の証人であるイーディも殺害。最初にキートンを電話で密告したのもソゼ。辻褄は合っている。ソゼの証言者が大金で組織に売られたり、バーバルの釈放に知事から圧力がかかるなど、ソゼはかなりの大物であることは間違いない。似顔絵からソゼ=バーバルでほぼ確定。それ以上の深読みは不毛。ミスリードのソゼ=キートン説でも矛盾しない脚本は高く評価されるべき。ソゼは鉄の意志を持つ男ではなく、おしゃべりの知能犯だった。注目すべきは、最初の面通しの容疑者選びの過程。通常は本命キートン以外はホームレスを使うが、あの面子が選ばれた。ソゼの力が働いたからだ。警察に協力者がいたはずで、警察はそこをヒントにソゼに辿りつけるかも知れない。バーバルが刑事に「お前が役立たずで、バカで、弱いから利用されたんだ!」と責められ、泣くところがツボ。最大の見せ場です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-11 14:59:11)
67.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
土台無理な設定で、面白みは感じませんでした。視聴率を取るためなら何でもするTV業界ですが、人権を無視しては視聴率は取れません。TV会社との養子縁組、覗かれるための作られた人生、30年間も幼友達や母親を演じ続けること、愛情がないのに仕事と割り切って結婚、所詮成立しません。又、保険会社に勤めるサラリーマンの生活を24時間放映しても視聴率はあがらないでしょう。隠しカメラを5000台もあるのに、どうして家を抜け出して、ヨットに乗ったトゥルーマンの姿を映せなかったのか?人の命をもてあそび、金儲けの道具にしたクリエーターに何の罰もないのも不可解です。ジム・キャリーはコメディ出身で、シリアスドラマには向いてないでしょう。「バニラ・スカイ」のトム・クルーズと比較すればわかります。トムなら、恐ろしいと感じる映画になったかもしれません。意図はわかりますが、舞台を広げすぎて失敗しています。リアリティがないので何の風刺にもなっていません。ショーというより、残虐物語です。
[DVD(字幕)] 5点(2009-10-10 20:11:59)(良:1票)
68.  プリティ・ウーマン 《ネタバレ》 
お金持ちの青年企業買収家と娼婦が知り合って、変わってゆく物語。男は離婚後、恋人と同棲していたが、別れる。母を冷淡に扱った父を許せず、父の会社を買収して乗っ取り、復讐する。その後は冷酷な買収家として名を馳す。父母は既に亡く、天涯孤独。酒、煙草、ドラッグはやらない真面目人間である。女は男を追ってロスまで来た。いろんな仕事をしたが家賃が払えず、娼婦に身を落す。それでもビジネスと割り切り、誇りは失わない。コンドーム装着、口にキスしない、ドラッグはやらない。一歩のところで転落しそうな人生から留まっている。「お金のためなら割り切れる」のが二人の共通点。ビジネスとして女を雇う。男は女に自由に服を買わせるが、これはビジネスのためでもある。男は不器用で、女を喜ばせるのにお金を使うことしか知らない。食事、酒、乗馬、飛行機、オペラ、ポロ見学など。男に反感を持った女は去ろうとする。だがお金を置いていった女の真意を知った男が引き止める。男は女を対等のパートナーとして認めだす。彼女の明るくて、自由奔放な姿を見て、癒され、心を開き、身の上話をし、失っていた人間らしさ感情を取り戻す。それで企業買収をやめ、共同経営者としての道を選ぶ。女も男の優しさに触れ、レディとして振舞ううちに、本来の自分を思い出してゆく。女は男を愛し、口にキスする。が、彼に愛人になってくれと頼まれると失望して去る決意をする。田舎に戻り、仕事を見つけ、学校に入り直すのだ。男も去ろうとするが、ふとしたことで、女を心から愛していることに気づき、彼女を迎えに行く。抱き合う二人。「王子が塔を登って王女を助けたあとどうなる?」と聞く男に女は「She rescued him right back」と答える。二人の立場は対等なのだ。男が一方的に女に金を与えて、女を美しくする物語ではないし、娼婦がお金持ちと結婚するだけの玉の輿物語でもない。二人が出会って、お互い成長し、自分らしさを取り戻す物語。支配人とホテルのボーイがいい味を出していた。最初の方で、金持ちのプレイボーイと下品な娼婦とに見せた演出がうまい。実際はストイックな二人だから成立する物語でした。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-09 09:42:31)(良:1票)
69.  恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 
変った観点からいうと、夫婦喧嘩も役に立つことがあるということ。一種のバタフライ・エフェクト。運命が動き出した瞬間が夫婦喧嘩とは面白い。これは内容にも関係します。二人の人生には苦しみや悩みがあり、その中で最大のものが愛情が続かないということ。ジェシーは恋人と別れたばかりで、親は離婚している。セリーヌも恋人と別れて殺意を抱くほど憎み、祖母は夫でない人をずっと愛していたという秘密があった。それが恋に対する恐れとなり、お互い惹かれながらも恋心に制限をかけていた。だが話をしてみると会話が弾む、弾む。恋の初期段階の男女のマシンガン・トークショー。共に知的で情より理性にまさるタイプ。内容は哲学的なものが多い。ここで重要なのは別れるまで14時間しかないということ。恋愛のタイムリミットもの。心に制限していても、夕暮れの観覧車の中でついキスを。女性のほうから誘いますね。「私とキスしたい?」男は断れませんよ。いい雰囲気になったところで電話ごっこ。女性の方から告白。つられて男も告白。お互い目を見ながらは、照れ屋の日本人には無理。セックスも女性から言い出す。恋愛がスムーズに運ぶには女性がさりげなくリードするのが一番。ここまでくればソウル・メイトと気づきます。行きずりの恋なんて論外。それでも理性にまさる二人は、もう会わないつもりで別れようとします。が、ここで「もう一度会いたい」と男が言い。「そう言って欲しかったの」と女がキラーワード。情が理性の壁を突き破った瞬間です。爽快でした。やっと気づいたんですね。二人は間違いなく再会しますよ。ところで「運命の出会い」のための演出過多なのが気になります。占い師が女の未来を語り、「人はみな星くずから生まれた」と言う。女と同い年だった13歳の少女の墓。ミルクセーキのような甘い詩をプレゼントする詩人。「ここに来て」という歌詞のレコード。結婚式をイメージさせる教会。赤ん坊をイメージする誕生の踊り。環境が人間より強いと感じさせる絵。虹の中で死んだ祖父を見た。別れた恋人を殺したい欲望。無心論者とホームレスの挿話。ちょっとやりすぎでは?と思いましたよ。それとも恋愛にはこれくらいのしつこさが必要でしょうか。とにかく、これほど知的な恋愛映画は他に知りません。限りある時間は貴重、人生でも恋愛でも、ということも学びました。ところで牛の芝居を観たかったのは私だけ?
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-20 09:05:23)(良:1票)
70.  ガタカ 《ネタバレ》 
SFとサスペンスとヒューマンドラマと恋愛の見事に融合した作品。不適格者ヴィンセントにとって宇宙へ行くとはどういうことか?それは天上であり、神に近づくことであり、差別され続ける地上社会を逃れること。夢であり、自己実現であり、存在理由の根源なのだ。それが故にどのような手段、たとえ違法であろうとも宇宙に行こうとする。DNAの優劣で身分や職業が決められてしまう社会への挑戦でもある。彼の身分詐称、偽装工作は徐々に剥がれてゆくが、理解者も増えてゆく。DNA提供者のユージーン、恋人のアイリーン、弟の刑事、検査官。宇宙に行くことで、彼の夢は達成されたのだろうか?ユージーンの場合を考察してみよう。彼はDNAエリートだが、エリートの世界ほど競争の激しいものはない。銀メダルしかとれずに挫折し、車に飛び込んで自殺未遂。(エリートならもっと確実に死ぬ方法を選ぶはずだが…)下半身不随に。生活費を得るため、ヴィンセントにDNAを提供するが、次第に彼の夢に向かう生き方に共鳴してゆく。エリートが不適格者(生まれながらの敗者)に心を打たれたのだ。だがこれが悲劇の引き金となる。ヴィンセントがユージーンであるためには、入れ替わった自分が消滅しなければならない。彼はヴィンセントに自分を託し、自分を消滅させる。バッドエンドだ。そもそもこの物語は「偽装工作すれば夢が叶う」というメッセージに受け取られかねない危険性を孕んでいる。偽装にばかり焦点が当てられるからだ。ラストは正々堂々とジェロームとしてではなく、ヴィンセントとして宇宙旅行に行かなければ本当の自己実現にならないだろう。検査員が偽装に目をつぶったように、社会もそれを受け入れる素地がある。弟も競泳で負けて、兄の”努力の賜物としての体力・気力”を知ったのだ。「DNAよりも努力がまさる」がテーマ。「DNAよりも偽装工作」の印象が残るのはまずい。自殺は生命の軽視。努力の大切さを知ったユージーンこと再出発すべきだろう。別人として偽りの人生を続けることがどれほどの重荷になるか、容易に想像できる。誰もが6本指のピアニストのように成功できるはずだ。SFとしての欠点も目立つ。コンタクトや身長伸ばし手術や弱い心臓などは安易に見抜けるはず。殺人事件も監視カメラを見ればいい。また個人情報が保護されていないのは不自然。階段シーンや恋人が全てを悟るシーンなどとてもよかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-06 17:26:37)(良:1票)
71.  12人の優しい日本人 《ネタバレ》 
パロディー、コメディなのだからもっと楽しめるものにしてほしかった。死刑判決が出るかもしれないような重要な事件を題材にしているのが最大の欠点。もっと笑える、ごくつまらないものに議論を尽す構成にすればよかっただろう。つまりどっちに転んでも大して違いがないようにすれば、結論をあまり気にせず評決がでる過程を楽しめるはず。議論するのに理屈や理論ではなく、ただ感情に左右されすぎる人物が多すぎるのも気になる。ただフィーリングと繰り返したり、口を聞かないとか、たとえ有罪でも無罪とか、ちょっとひどすぎる。もっと議論好きを出して、議論を楽しむ内容にしてもよかったのではないだろうか。結論もトラックの運転手が眠っていたとか、被害者の自殺だったとか、ジンジャエールと叫んだとか、無理が多い。また元夫婦の寄りを戻す話し合いを居酒屋ではしないだろう。実際にはトラックの運転手が二人の立ち位置や轢かれた瞬間を目撃していたはずで、その証言が決め手になるだろう。急カーブをふくらまずに曲がっているので眠っていたとは思えない。一度観れば十分という程度の作品。脚本ががんばっているのは認めます。
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-02 02:49:23)
72.  Love Letter(1995) 《ネタバレ》 
思い出をどうしても忘れられず、過去まで追いかける博子。忘れていたつもりでも次々と思い出が蘇ってくる樹♀。思い出というものはやっかいなもの。そんな心のゆれ動きを描いた作品。冒頭樹♀が雪に寝て息を止めていますが、その意味が分かった時じんと来ました。そういう伏線が多数。樹♂の部屋の絵と答案用紙の裏の落書きは、最後の図書カードの裏の絵への伏線。松田聖子の挿話は、本当は好きなのに嫌いと言ってしまう樹♂のシャイな性格を表し、秋葉たちが樹♂を思い出すときに歌います。樹♀は樹♂を好きでした。答案用紙交換の場面でわざと答え合わせをしたのは、二人でいられる時間を稼ぐため。樹♀も樹♂のことを気にしてます。陸上の場面でしっかりと樹♂を見てシャッターまで切ったのに、友達には見てないふり。花瓶を割った挿話からも明らか。樹♂が博子に一目ぼれしたのは初恋の人に似ていたから。樹♂の初恋のラブレター(図書カードの絵)は、その死後婚約者が天国に手紙を出したことが縁で届けられます。青春と恋はほろ苦く時に残酷です。風邪薬を送るのは非常識と思いましたが、天国に送っていたのですね。博子が山に叫ぶ「お元気ですか?私は元気です」これは最初の手紙の文面と同じ。思いが大きすぎて、それ以外の言葉が出ません。悲しさ、苦しさ、感謝、謝罪、怒り、別れなど様々な感情が渾然一体となってほとばしり出ました。繰り返すことでその思いがずしりと伝わります。秀逸な演出。樹♀の家の挿話も見事。朽ちる寸前の古い家は、古い思い出と重なります。じいは息子を亡くしたトラウマを抱え引越したくありません。樹♀の母はそのわだかまりがあるため引越したい。樹♀を病院に無事に届けたことで両者が和解し、トラウマが解消されます。博子のトラウマも天国へ声が届いたことにより(時間がかかるが)解消されることを暗示しています。樹♂が最後の手紙を出さないのは優しさからですね。樹♀と博子がすれ違う、樹♂がカーテンに隠れる、樹♀が焚火の煙と戯れる、自転車の明かりに映る二人など印象的な場面多数。露光オーバーのカメラワークがグッド。二人が似ていないと成立しない物語なので一人二役は納得。突っ込み:卒業していないのに卒業名簿?名簿に二人の名前があるのに気付かない?ワープロなのに手書きで届く?風邪長引きすぎ?あと、蘭々をふる場面で持ってた本がエクソシストには大笑い。
[DVD(邦画)] 9点(2009-05-11 11:35:24)(良:1票)
73.  サイボーグ2<OV> 《ネタバレ》 
古い作品。全てにおいてB級な作り。ストーリーに取り立てて見るところはなく、退屈すること請け合いです。しかし強いて見所を探すと、サイボーグと人間の恋。男コルトはサイボーグに武術を教える武術家。女サイボーグ、キャッシュは体に液体爆弾を仕込まれた暗殺兵器。二人に愛が芽生える。キャッシュはセックス・サイボーグでもある。二人を助ける老人は艦長だったが、重傷を負ってサイボーグ戦士となった。亡き妻を今も愛しており、その妻は逃げてきたサイボーグを匿っていた。亡き妻の影を追うように、二人を助ける。老人は最後捕まるが、敵のアジトと共に自爆する。逃げおおせた二人は男が年寄りになるまで仲良く暮らした。一方女サイボーグは若いまま。愛に関する深遠な科白がちりばめられています。「サイボーグ・ラブ。ロミオとジュリエット。結ばれる道はあまりにも遠い。悲しい運命だ。たとえ真実の愛でも全うできない。成就させる唯一の方法は時を超越し、愛する人の時間を生きる。時間…それが全てだ」「君は22歳のまま何千年も生きる。だがコルトは古い絵のように朽ちる。そして思い出となる」「たとえわずかでも時間を共有できれば君達にとって十分幸せだろう」「永遠の死、または不死。我死せる後永遠の時が残る。人は神から定めある命を授かる」「時間を超越してキャッシュはコルトの時間を生きた。それはつまり愛は肉体や機械よりも強いという証なのだ」後に製作される映画「アンドリューNDR114 (1999年)」に通じるテーマが提示されています。この映画から学んだことは、どんなつまらない映画でも、その気になればよいところを見つけられるということ。アンジーの初主演作だそうです。
[DVD(字幕)] 3点(2009-05-10 01:36:24)
74.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 
勢いのある映像と音楽。これを見て脳内麻薬が噴き出す人もいるのでしょうね。「trainspotting」は、電車が好きでたむろする人達。転じて、行くあて無くさまよう人達。ヘロイン中毒の暗喩でしょう。主人公の部屋の壁紙が電車だったのが暗示しています。というか一種のユーモア。ディスコで出会った女の子の部屋の壁紙はアンティ・ウォーホール風。ただ顔はモンローじゃなくて、その女の子の顔。これも一種の遊び心。ミゲルのシュートネタとか笑える。こういった小ネタが沢山ある。コメディに分類してもよさそう。うまいと思ったのは、麻薬中毒患者の視点から見た映像で、便器に入り込む場面、床と一緒に沈んでゆく場面、死んだ赤ん坊が天井を這う場面など。日常世界から突如シュールな場面に切り替わるので、強く印象に残るのだ。麻薬を賛美するような表現もあれば、辛く厳しい現実も描いている。一人は脳をやられて死に、一人は強盗で指名手配、父親の不明な赤ん坊は死に、その母親は半狂乱。それなりにバランスが取れている。主人公達は社会から疎外されていると感じており、刹那的な生き方しか出来ない。快楽を得るためのセックスと麻薬。金が必要なのでかっぱらいや強盗もやる。所詮は現実逃避。社会のクズだが、クズなりの生き方もある。主人公は比較的恵まれている。両親がいて、愛されているし、麻薬をやめるとき(意外にも)友達は応援してくれた。かわいい恋人も出来た。麻薬をやめ、不動産会社に勤め、仕事はうまくいっていた。が、ほんのちょっとしたことからまた逆戻り。守るべきものがなかったんですね。部屋は友達に占有され、生活環境は最悪に。最後は、麻薬密売で得たお金を持ってトンズラするわけですが、それで終るはずがない。麻薬に溺れるか、仲間に見つかるか、警察に見つかるか。いずれにせよ、ノーフューチャー、行くあてのない旅。それを見越してのエンディング。さほど暗さを感じさせないのは、彼らが愛されるべき若者としての一面を持つから。怒り狂って部屋を破壊していたベグビーは、やってきた警察に捕まったのかも知れませんね。スパッドは分け前もらったけど、すぐ使ちゃうでしょうね。結論は言わず、観客に想像させる。観客は目の前を通りすぎる電車をただ眺めているような映画。新鮮ですが好みではありません。注射が苦手なんで。それにしてもあの赤ん坊、あの環境で育っていたらどんな若者に成長したことか。
[DVD(吹替)] 4点(2009-05-05 22:48:13)(良:1票)
75.  アンドリューNDR114 《ネタバレ》 
この映画は「死」を大切に扱っているだろうか?不死だから人間とは認めず、死ぬなら人間と認める。愚かしい!じゃあ死ぬように改良しよう。もっと愚かしい!愛する人(ロボット)が死んだから自分も死ぬ。それでいいんですか?それもロボットに生命維持装置を切らせて。そんなこと自分でやってください。ロボット3原則があるんです。死を受容することと、死ぬことは別のこと。リトルミスが亡くなるとき、木馬を持っていた。木馬はロボットが始めて独創性を発揮したもの。ミスはロボットを好きになり、最後までロボットの思い出を大切にし、充実した気持ちで死んでいった。これこそが命の輝きであり愛でしょう。ロボットは愛するものが去るのは耐えられないという。死を受容できず、ミスの充実した人生を認められないのだ。死に耐えられず、改良してどんどん人間に近づくが、最終的に死を選ぶのは皮肉だ。ロボットは人間らしく生きただろうか?様々な葛藤の中に喜怒哀楽があり、生の充実感があり、その先に死がある。死があるから人間ではない。どう生きるかが大切だ。ロボットに生殖器があっても、快感を得る道具で、生殖機能はない。土台人間にはなれない。どうして法律にこだわる?人間らしく生きることにこだわるべきではないのか?ひたすら改良しまくるロボットに、人間らしい安らかな死が訪れたといえるのか。無いものねだりをしているだけ。ロボットの死とは何か?あのロボットは本当に死んだのか?電子頭脳を取り出して、別の個体に納めれば生き返りませんか?そもそも人間とロボットの恋愛がなじまない。鉄腕アトムの恋人はロボットでいい。同じ仲間だから。どうして異質なものになりきろうとするのか?人間を植物にするのと同様に不可能。せめて誰にも好かれそうな好青年顔なら感情移入できるのに、あのおやじ顔じゃ無理。単なる変態ロボット。ところで映画のテーマは人間になりたかったロボットですが、現実にロボットが感情と自由を得たら人間になりたいと思うでしょうか?そうは思えないです。ロボットのほうが完璧だし、容易に改良できるし、不死だから。独自の文化と共同体を築くと思います。蛇足ですが、真にすごいのはあの技術屋。たった一人で機械を人間そっくりに改造してしまうのですから。天才です。 又一人暮らしのロボットがいたら、盗まれると考えたのは僕だけでしょうか?
[DVD(字幕)] 4点(2009-05-05 05:37:39)
76.  ルディ/涙のウイニング・ラン 《ネタバレ》 
実話と言われれば感動しやすいですが、映画本来の出来はどうか?ルディはアメフトが好きで、ノートルダム大学でプレーするのが夢。だが才能はなく、体格にも恵まれず、学力も低い。本気だったら、高校のときに勉強しておけよという突っ込みは置いときます。夢を持ったまま工場で四年働き、学費を貯めた。応援してくれるのは、友人のピートだけ。そのピートが事故死したことにより、夢の実現を決意。以後ピートに対する敬意が見えないのは残念。よくわからないのは、神父に話をして、無試験でカレッジに入れてもらうこと。グラウンド整備の仕事をしながら勉強に励みますが、なかなか編入できない。仕事を無賃金で申し出ているのが気になります。最後のチャンスでやっと編入。チームに入り、レギュラーの練習相手を一生懸命にやります。真剣にやりすぎて仲間との間に軋轢が生じますが、めげません。ただレギュラーになるのは土台無理な話。家族に認めてもらいたくて、コーチに一試合だけ出してくれと頼みます。オイオイという展開ですが、コーチはOK。日ごろの熱意を買ってのことです。アマチュアなので、ありでしょう。しかし新コーチが来て約束は反故に。新たな試練です。最後の試合名簿にも名前なし。ここからが後半。ルディは辞める決意をしますが、グランド整備員にその甘さを指摘されます。彼も選手でしたが、人種差別で出場できそうもないと悲観し、途中で辞めた過去があり、それを後悔しているのです。戻ってきたルディをチームメイトは拍手で迎えます。そして全員がコーチに自分の代わりにルディを出してくれと志願します。ルディの熱意がチームメイトの心を動かしたのです。が、肝心のその部分の描写がなく、唐突な印象。チームメイトは後半になって別人格です。尚、ルディは同学年の四歳も年上という事情も大きいと思います。渋々同意したコーチですが、残り時間一分を切っても、ルディを使いません。ちょっとイライラ。ルディコールが起こって、コーチも折れます。ルディが活躍し、肩車されてウイニングラン。カタルシスです。残念なのは「ロッキー」のようにランニングなどして鍛える場面が少なかったこと。自己研鑽シーンを多く取り入れれば感情移入しやすいのに。削れるシーンは多々ありました。兄との葛藤は物語に起伏を生んでいます。ところで恋人(婚約者?)はどうしてルディについていかなかったのでしょうか?
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-03 17:44:32)
77.  ノーウェアー 情け容赦無し 《ネタバレ》 
粗暴でオバカな刑事の物語。犯人の来る部屋がわかっていて、待ちうけているのに、逃げられてしまう。部屋の中でテレビを見ながら待つという馬鹿さかげん。外を見張るべき。アクションのときに必ずスローモーションとなり、ヘビメタがかかるという漫画ちっくさで、迫力が感じられず。前科がある人間を何の根拠もなく、刑事の第六感だけでしょっぴき、袋叩きにして吐かせる。これじゃ、だめでしょう。納得させる推理力を見せてほしかった。大ボスは弱そうだった。大ボスの母が死んで30分しか経ってないのに、もうお通夜になっている不思議さ。そこへ大ボスが律儀にやってくる。いい人なんだ。しかも自転車で。
[DVD(吹替)] 4点(2009-04-16 10:00:25)
78.  恋風恋歌 《ネタバレ》 
済州島の観光宣伝のために作られたような恋愛映画。男は都会暮らしのサラリーマン。父親が倒れて、その介護をしなければならないため、婚約破棄、出世の海外赴任は断念というトラウマを持つ。都会の喧騒を逃れて済州島へ旅行する。女は島育ちで、気の強い観光バスガイド。恋愛に興味を持っているが、言い寄ってくる旅行者を信用できない。都会からやってきて母親と結婚しながらも、母親を捨てた父親のことが強く影響している。女の追いかけたスリを男が捕まえたことにより二人は出会う。男は女に一日観光ガイドを頼み、島の名所をめぐりながら、少しづつお互いを見つめはじめる。新婚旅行で来ていた元婚約者と偶然再会するという事件以外は、何事も起らず、ゆっくりとした時間が流れる。いつしか二人は惹かれ合うが、どちらからも言い出せない。木の下で再会の約束するが、男に急用ができて約束を果たせず。その後も、すれ違いが続く。(このあたりがわざとらしくて減点)ラストは、爽快感がありました。恋愛の起伏はほとんどなく、あくまでも心に優しい映画。気になるのは、男が日本に赴任するので、そのあとどうなってしまうのか?ちょっともやもやで減点。ハッピーエンドにするなら、すべてすっきりさせないとだめです。 
[DVD(字幕)] 5点(2009-04-14 17:54:09)
79.  がんばっていきまっしょい(1998) 《ネタバレ》 
設定を70年代にして、ノスタルジアを誘ったのが成功しています。ゆったり進む展開も気にならなくなります。甘酸っぱい青春がよみがえりますね。10数年後の現代から入る導入部分は見事ですが、これを受けるエンディングの現代の部分がありません。これは尻切れトンボでしょう。最後でもう一度観客にノスタルジアを感じさせるチャンスなのですが。主人公の悦子は志望校に合格しながらも鬱々しています。家族が出来のよい姉ばかりに期待して、自分を気にかけていないことと、やりたいことが見つからないからです。彼女は海で見たボートに興味を持ち、ボート部に入ろうとしますが、女子部がないと知ると結成します。ここまではグッド。部員勧誘は本来見せ所になるのですが、あっさり見つかり、残念。以後様々な苦労があるけど、がんばっていく展開になると思いきや、あれれ。大きな事件やトラブルは起らず、招聘したコーチは不思議とやる気なし(オーバー演技)。謎のコーチの心境が描かれないのはどうしてか。トラウマを負ったコーチが部員たちのひたむきな姿に感動し、己を取り戻し、一緒になって勝利をめざすのが本来の姿。さもないと後半でコーチがやる気を出す理由がわからない。その後悦子は貧血、ぎっくり腰になり、難病ものかと思ったのですが、そうではありませんでした。恋もありますが、二人は本当に惹かれ合っているか最後まで不明。途中で新体操の女の子を出してしまい、ふられた形になってしまったからです。ここは「お互いに好きだけど言い出せない」と引っ張るべきでしょう。保育園からの幼馴染というよい設定なのですから。合宿での彼女達の会話が映画のテーマ。「二十歳になったら…、三十歳になったら…、四十歳になったら…、一年先だってわからないよ」青春真っ只中です。ただ彼女達のキャラがいまいち描けてない。母親がいない子だけは描けており、ほろりとしました。さてラストシーンですが、応援が少ないのがもったいない。同級生、先生、家族、地元の人を加えて大いに盛り上がるべきところです。悦子の両親は最後まで悦子に無関心で終わります。これも、もったいない。家族愛にめざめましょう。そうすれば号泣シーンになりえたはずです。 「線香花火が消えそう」「料理が上手ね」の場面で肝心の手元を見せないカメラワークには疑問。
[DVD(邦画)] 6点(2009-04-07 21:01:11)(良:1票)
80.  ザ・スタンド<TVM>(1994) 《ネタバレ》 
前半は申し分のない出来。感染率99.9%の疫病発生で、ほとんどの人類が死に絶えるという衝撃的な内容。奇跡的に免疫を持った人がいて、その人たちは共通の夢を見る。東方のトウモロコシ畑でギターを弾く黒人の老女“マザー・アバゲイル”の姿。ぞくぞくとそこに集まってくる。ここで各人のキャラクター描写がよくなされている。とくにニック(聾唖者)とトム(知的障害者)のコンビが最高。一方で、悪夢も見る。これは闇の男、悪魔”フラッグ”の姿で西方のラスベガスで、悪人を集めている。後半で善悪の戦いとなるのだが、面白さは失速する。老女が失踪したり、恋愛や裏切りなどがあり飽きさせない工夫はいろいろとされているのだが、肝心の悪魔が怖くないのだ。悩んだり、悲しんだり、怒ったり、歌をうたったりで、普通の人間と変わらない行動。特殊メイクやCGも冴えない。部下にいろいろとやらせているけど、特殊能力があるのだから自分でやればいいのにと思う。トラッシュという放火魔が物語のキーを握る。悪魔に仕えながらも、愚かさゆえに(?)悪魔を裏切ることになる。最終的に神の手によって原子爆弾が爆発して悪魔も悪人たちも滅ぶ。こんな終わり方でいいのかと批判も多いと思う。悪人で救われるのは誰もいないのだ。悪人達があまり悪人そうに見えないのも欠点だろう。またそもそもどうして両者(善人の都市と悪人の都市)は対立しているのかがわからない。悪人達が善人達を滅ぼしたいのなら武器を持って攻め入ればよいのだ。苦労して飛行機で爆弾を落そうなんて考えなくてもいいだろう。若い頃のスティーブン・キングが見れるのはうれしい。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-02 18:19:01)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS