Menu
 > レビュワー
 > 民朗 さん
民朗さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
>> カレンダー表示
>> 通常表示
61.  インターステラー 《ネタバレ》 
多次元的な“愛”を描いた作品だと私は解釈しました。それは家族への愛であり、ガイア理論的な地球への愛であり、未来の子孫に対する愛であり、科学を始めとする知的探究への愛でもある。主人公クーパーが地球の現状、人々は農業に従事して地上に縛られ、誰も空を見上げ宇宙へのロマンを語らない、そんな環境に不満を持っているのは明らかですが、それでも彼は人類という種、また家族の未来の為に宇宙へと飛び出す。ブランド教授が度々引用するディラン・トマスの詩「~穏やかな夜に身を委ねるな。怒れ、怒れ、消えゆく光に対して~」という一節は、絶望的な世界であっても未来を希求する主人公を鼓舞している様に思える。 出発当初、主人公は地球への帰りの燃料を考えていた。それは娘・マーフィーとの約束を守るため。でも地球へ帰るということは、彼の未来への前進を止めることに他ならない。最終的にコンピューターTARSと共にクーパーはアメリアを救うことを優先し、地球への帰還を諦めて、ブラックホールに消える。その結果、五次元空間でマーフィーを介してプランAを成功させ人類を救うのだ。TARSが言っていた運動の第三法則、「何かに到達するには何かを置いていかなければならない」という台詞がすべてを物語っている。人類皆が知的探求を止めた世界において、宇宙を見上げ、前進を止めなかったクーパーは遂に人類を救った。つまりこの映画は広義的には前進する愛を描いた物語。前進を止めた時点で人間は滅び、愛も消える。 徹底的にリアリズムに則った撮影技術の凄まじさは誰もが認めるところでしょう。本物で撮影できるものは全て本物で撮る。実物大の宇宙船内部を作り、精巧なミニチュアのロケットを動かし、水に役者を放り込み、極寒の大地で撮影する。CGを駆使して宇宙空間を作り上げた『ゼロ・グラビティ』とは全く異なるリアリティの追求でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-12-01 00:11:01)(良:3票)
62.  紙の月 《ネタバレ》 
ぶっちゃけ単なる「ヒモ男に入れ込んだバカな中年人妻の不倫話」です。でもこれがお金や欲望、そして善意にまつわる奥深い話になっており、吉田大八監督の演出力に舌を巻きます。 この映画には主人公が本質的に二人いる。一人は勿論、宮沢りえ演じる営業マンの梅澤。そしてもう一人は小林聡美演じるベテラン社員の隅さんです。この二人は恐らく観客の持つ二面性をそれぞれ片面ずつ表しているキャラクターだと思います。それぞれが頭の中の天使と悪魔だと考えれば実に分かり易い。「横領しちゃえばいいじゃない。お金なんて所詮は価値のない偽物よ。唯の札束よ。自由になりましょう」と囁くのが梅澤、「お金じゃ結局自由になれないわよ。人間落ち着く所に落ち着くようになってんの」と囁くのが隅さん。私は観ながら「梅澤みたいには行動できんなぁ……」と思っていましたが(大多数の人はそうでしょう)、梅澤が隅さんに「もっと怒ればいいのに」と言うのも尤もな様に思える。本来唯の紙切れに過ぎないお金に縛られている私達はどうしてもモラルの壁を乗り越えてしまった梅澤にどこか憧憬を禁じ得ない。しかし最後にそんな夢は醒めます。この瞬間の描き方が実に皮肉となっていて素晴らしかった。ヒモ男は若い女を作っていて破局。いやらしいと思っていたお客には枕営業を仕掛けようとしたら「今まで通り真面目にやればいいんじゃないかな」と逆に諭された。隅さんには「お金で買える自由はここが限界」と気付かされる。それでも彼女は窓から飛び出して偽りの自由で生きることを選んだ。ラストシーン、タイで自分が募金した相手の男の子は、別に募金があろうがなかろうが立派に大人に成長していた。彼女の善意はまるっきり無意味なものだった。自由でもなければ、善意にもならず、単に無意味な人生。それが彼女が選んだ偽りの自由の結果なのでしょう。リンゴを無言でほおばる彼女の眼からはそんな人生に対する呪詛すら感じる。 まあ流石にあんな突発的な逃亡の末に、タイまで逃げられるのは無理有り過ぎるとも思ったのですが。もうちょっと上手い見せ方は無かったのかな。
[映画館(邦画)] 8点(2014-11-24 23:15:21)
63.  小野寺の弟・小野寺の姉 《ネタバレ》 
予告編を見た時点では、片桐はいりさんの見た目で笑わす感じのコメディなのかなと思っていたので、そういう役者の容姿が悪いことで笑わせるコメディは嫌いなので、良い意味で裏切られました。普通に真っ当なコメディになっていて、特に兄弟同士ののんびりとした会話にはついつい笑ってしまいました。私も姉弟の家族構成なので面白かったです。 数ある伏線がキチンと最後の二人の結末に向かって回収されていくのも良い所。 ちょっと良くないなーと思ったのは山本美月の演技プラン。余りに他人行儀でしゃべっているので、「この娘は多分小野寺・弟のことは特に恋愛感情は抱いてないんだろうなー」と思っていると、普通に惚れてて驚きました。もうちょっとくだけて話す方が自然な気がするのですが、好きなら親密になろうと頑張ってる筈ですし。 それからセクハラ・パワハラが問題になっている昨今で、眼鏡店のおじさんとおばさんが小野寺・姉に男事情のことを何度も聞くのは気になりました。もうちょっと自然な感じで、言葉には直接出ないけど、相手にプレッシャーが伝わるような方法が良かったんではないでしょうか。例えば、願いが叶うと言われている花じゃなく、恋愛成就の花に換えて、小野寺・姉が後で自分で調べてみてそれを初めて知るとか。 あとこれは私の個人的な感情なので、人によっては「そこがいいんじゃない!」という意見もあると思うのですが、頼むからちゃんとピントを合わせて撮ってほしい。ソフトフォーカスも良いけどずっとそれだと単に見辛い。それから逆光で撮るのも止めてほしい。眩しいです。カメラをグラグラグラグラ揺らすのも止めてほしい。主人公二人の心理状態と呼応しているのは分かるけど、ちゃんとフィックスで撮るべき所は撮ってほしい。不自然な照明を当てないでほしい。夜に一人で部屋で泣いているシーンで、バッチリ光が入ってるとおかいいでしょ。街灯でも部屋の真横に立ってるんでしょうか?ちょっとお洒落な画作りに拘り過ぎている気がしました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-21 20:42:13)
64.  西遊記 はじまりのはじまり 《ネタバレ》 
ザッツ・エンターテイメント!な作品。チャウ・シンチーの観客へのサービスが半端ではなく徹底されており、大変楽しい2時間でした。この映画は妖怪が沢山出てくるとは言え、とどのつまりは怪獣映画。その道の達人であるスティーブン・スピルバーグに多大な影響を受けていると思えるシーンがいっぱいあり、怪獣映画としてのクオリティも大変高いです。オープニングから始まるギミックを活かした立体的なアクションは『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』を思わせ、怪魚の動きは完全に『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』。何よりこの一連のシーンで凄いのは普通に残酷なこと。底抜けに楽しいアクション・ムービーかと思いきや、オープニングからある村のお父さんが水中で殺され、大量の血がみるみる広がっていくシーンで、襟を正しました。その後も、少女が無慈悲にも丸呑みされたり、お母さんが怪魚と対峙した場面の「ああ、これは死ぬわ……」という絶望感など、その徹底して甘さの無い脚本は、矢張りスピルバーグに通じるものです。人間の丸焼きのビジュアルや、猪剛列が馬鍬で襲い掛かるシーンなんかも普通に子どもが観たらトラウマ級な気がします(子どもを怖がらすのも映画の立派な役割だ)。 怖がらせるだけでなくお色気要素もキチンと入っているので、そこも楽しい。女妖怪ハンターの段が主人公に惚れる経緯が余りにも雑なのは少し気になったりもしましたが、お色気シーンを入れるためだったのなら仕方が無かったのかも知れません。 あと天丼ギャグが何度も入っていたり、途中から出てくる妖怪ハンター×3のバックボーンが全く分からなかったり、場面転換が唐突過ぎたりする点も少し気になりましたが、全体的にこれほど真正面から観客を楽しませるエンタメ映画を作ってくれれば文句もありません。
[映画館(吹替)] 8点(2014-11-21 19:41:59)
65.  未来世紀ブラジル 《ネタバレ》 
ストーリーは主人公が管理社会の中で運命の女を守ろうとするという割と良くあるディストピア映画ですが、鬼才テリー・ギリアムによってかなり変わったテイストになっています。普通のディストピア物ってそのストーリーの都合上、シリアスな雰囲気の映画が多いのですが、この映画は正統派なディストピア物でありながら、兎に角ノー天気。キャラクター達も何となく明るく、深刻な雰囲気は一切ない。サンバのスタンダードナンバー、「ブラジル」のリズムに乗せて悪夢的映像を見せる。そのセンスが凄い。だって水と油ですからね、馴染むわけがない。 例えば、主人公の友人で、情報省に勤めるジャックは、テロリスト(と政府が見なした市民)の尋問で返り血を浴びてもニコニコして娘に接している。こっちとしては困惑してついつい笑ってしまう。 さて、ラストの解釈についても書いておこうと思います。誰もが最初はアン・ハッピーエンドと思うあの救いのない(でもクレジットと共に流れるサンバは矢張り明るい)ラストですが、ある意味どれだけ管理社会が理不尽な暴力を振るおうとも、人間の想像にだけは入り込むことが出来ないとも取れます。いつの時代にも何らかの理由をこじつけて芸術の表現に規制をかける社会は存在しますが、それでも人のイマジネーションは無限であり不可侵だ!という謂わば妄想賛歌ではないかと思います。だから個人的にはアン・ハッピーエンドでもありハッピーエンドでもあるかなと。 因みにこの映画の多分元ネタであるジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』はその人間のイマジネーションすらはく奪する一〇一号室という拷問部屋があるので、その分本作より更に凶悪なディストピア物と言えそうです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-20 20:04:20)
66.  エクスペンダブルズ3 ワールドミッション 《ネタバレ》 
三度集いしオヤジどもの宴。単なるドンパチ映画であることも確かなのですが、個々の役者の見せ場を万遍なく用意している辺りは実は結構考えられている映画なんだなと思えます。しかし人それぞれの好みもあるでしょうが、個人的には前作くらい狂った内容の方が好きだったので、今回はその反動か可也落ち着いたアクション映画に終始しており、簡単に言ってしまうと普通の映画に近くなってしまったと思いました。 なんか世代交代を匂わす様な一作でしたが、今回の若手チームは完全に蔑ろにして次回作は始まるでしょうね、多分。
[映画館(字幕)] 6点(2014-11-19 21:10:27)
67.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
60年代に人気を博した「フォー・シーズンズ」の結成から解散までを描いた音楽映画。彼らの代表曲の数々と、主演のジョン・ロイド・ヤングの素晴らしいファルセット、特に〆の「君の瞳に恋してる」は聴いているだけでゴキゲンになってしまいました。 但し、物語としては正直言うと凡庸かと思います。ある人物の栄光と衰勢というストーリーは作り尽くされているものですし、しかも本来の映画だったら描くであろう部分(家族との不和etc...)等はアッサリと片づけられる。 これから述べることは私の考え過ぎだと思うし、クリント・イーストウッドにそんな意図は無いと信じている。でも気になったのは以下の部分。 この映画では黒人が驚くほどに除外されている。フォー・シーズンズの観客には100人に1人位の割合で黒人女性が映るけど、それ以外には一切映らない。確かにフォー・シーズンズのポップスは主に白人に人気があったのでしょう。黒人音楽と言えばゴスペルを起源とするジャズですが、60年代にその人気は失われていきますが、その後はファンクやR&Bと進化して人気を博し、更にその後はフュージョンとして深化を続けます。そういう音楽はこの映画からは影も殆ど映らない程にオミットされている(パーティー場面で流れるファンキー・ジャズの名曲『モーニン』もお洒落な白人風にアレンジされている)。この映画はフォー・シーズンズを描く映画なのだから他のジャンルはいらないだろうという意見もまあ分かる。でも黒人という要素すら映画から殆ど省いてしまうのは如何なものかと思いました。あの『グラン・トリノ』を撮ったイーストウッドが何故、という気持ちが強かったです。
[映画館(字幕)] 6点(2014-11-09 16:31:14)
68.  ボルベール/帰郷 《ネタバレ》 
ペネロペ・クルスの美しさは余すところ無く堪能できましたが、映画として楽しめたかと言うと微妙な感じ。女同士の繋がりを描いた作品であるのは分かるものの、そこから何か自分の人生の糧になるものを私は汲み取れなかった。 曲がりなりにも殺人を犯してしまった人間が特に裁かれずに終わるのもどうかと思う。いくら父親がクズで情状酌量の余地があったとしても。
[映画館(字幕)] 5点(2014-11-09 16:03:13)
69.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
チャップリンの傑作『ライムライト』を基に、斜陽となった時代劇の衰退と微かに見える未来への希望を描いた作品。「5万回斬られた男」とも言われる斬られ役者の福本清三さんが、ご本人の分身ともいえる主人公を演じます。 確かに時代劇は衰退の一途を辿っていることは間違いないでしょう。近年でも時代劇は度々映画でも公開されているものの、それは若い美形俳優を主役に据えた(本作の中で描かれる『ODANOBU』の様な)アクロバティックな殺陣の作品だったり、ラブストーリーを主軸に置いた作品だったり、コメディに特化した作品だったりする。松方弘樹や近衛十四郎らスター時代劇俳優は既に若者への求心力はないし、ましてや福本清三さんの様な謂わば裏方の時代劇俳優は辛酸を舐める思いで仕事をしているのでしょう。 しかしながらこの映画を観ていると本当に時代劇俳優の、松方弘樹らの殺陣の美しさに惚れ惚れする。終盤の桜が舞い散る中での松方弘樹と敵役を演じる福本清三さんの立ち回りは大変格好良かった。心底この文化が斜陽になり消えかかっている事実に悲しさを感じました。そう思わせるだけでこの映画は勝ちだと思います。まだまだ若い者に時代劇を受け継いで復興させられる筈だ!という時代劇役者たちの矜持を感じました。 私も最近の時代劇は余り足を運ばなくなってしまいましたが、これからは積極的に観に行って時代劇業界を支えてみたくなりました。但し、出来ればやっぱり本作で描かれる様な美しく、また血沸き肉躍る殺陣の作品が観たい所です。 でも手放しで喜べる出来かと言うと断言できない所もありました。一番は悪役が何となく改心してしまうこと。いや、いつ改心したかも明示されないので、本当に脚本の都合で良い奴になったようにしか見えない。せめて主人公の限界を超えた奇跡の立ち回りを見たことで、つい感極まってしまい考えを改める位の理由づけは欲しかった。また根本的な問題ですが、主演の福本清三さんは主演俳優としての演技に慣れてないためなのか、滑舌の問題で聞き取り難い箇所がいくらかあった。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-05 21:26:24)(良:1票)
70.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
短い上映時間も相まって良くも悪くもサクッと観れる一本。それだけに鑑賞後には何も残らない感じでした。VFXはどこか既視感のあるもので特に独自性は感じられず、役者の演技も基本的に一本調子。唯一主人公のルーク・エヴァンスは、悩める君主と、怪物になってしまった自分への畏怖を演じる程度には頑張っていた。脚本には穴ボコが一杯あるのですが、前述した通り気負って観る様な映画じゃないと、分かってからはもうそういう物として観ました。それでも苦言を呈したくなるレベルですけども。 あとは吸血鬼という西洋の怪物の中でも非常に象徴的に奥深いモチーフを使っていながら、結末までヴラド公の英雄譚(?)に終始していたのは何とも残念。折角、民衆が吸血鬼と化した主人公に火を付けたりするシーンを入れるのなら、それは中世の魔女狩りを意識したものにしなくては勿体無い。そこで暗黒時代のキリスト教を批判するとか。最終的に命を落としかけていた民衆が吸血鬼に変わり復讐をなすシーンも同様で、それまで彼らはキリスト教の為に主人公を焼き殺そうとまでしたのだから何かしらのリアクションを入れるべきだと思います。
[映画館(字幕)] 5点(2014-11-04 14:22:20)
71.  イコライザー 《ネタバレ》 
いやあ驚かされました。このご時世に大資本出資の映画で、ここまでフィルム・ノワールを標榜した画作りの映画が観れるとは。というか何度も挿入される大都市の全景、切り出された様なシルエット、重量感や痛みを感じる硬派なガンアクション、等は否応もなくマイケル・マンの映画を彷彿とされる。 正直その素晴らしい画を観れただけでも満足と言えば満足なのですが、本作はかつてのフィルム・ノワールが特徴としていた作品の閉塞感・虚無感は描かれていない。基本的に敵のマフィアは元CIAのヒットマンであったデンゼル・ワシントンに殆ど反撃する隙も無いままに殺されていく。デンゼル・ワシントン側にも特に「自身の行為が正しいかどうか?」などと悩む様子はなく、彼は正義の法の執行者として敵を刈り続ける。そこにやるせなさを一切感じない所が、傑作アクション映画『ヒート』を生んだマイケル・マンと大きく異なる点ですが、人によって好き嫌いはあるでしょうが、個人的には暗い画には暗く陰鬱な話であった方が好みです。 タンカーの爆破シーンで完全に陰鬱さの靄が吹っ飛んだのが残念。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-28 00:35:06)
72.  メアリーと秘密の王国 《ネタバレ》 
失礼ですが余り面白くなさそうなタイトルにも関わらず、素晴らしいクオリティの子ども向け3Dアニメーションだと思いました。花が芽吹く・木が枯れる等の自然の豊かな動き、鳥に乗った小人のダイナミックなアクション。小人から見たら世界はこんな風に見えるのかなと思える程に良く出来た画が堪能できました。また終盤では舞台が主人公・メアリーの家に移り、小人の世界から見た人間が描かれる。まあジブリの『アリエッティ』と同じ状況な訳ですが、本作の場合、小人から見たら人間は超スローで動く間抜けな生き物という設定やそこで起こるアクションはとても独特で、正直同作よりもずっと面白かった。 またキャラクター造詣が本当に良く出来ている。数々の木々や花々、虫たちが擬人化するとこうも面白くなるのか!と唸ってしまうデザイン。多分、見た目からして『指輪物語』に強く影響を受けているとは思いますが。 物語のストーリーも良く練られている。話の骨子は少女が未知の世界を冒険して、大人になり家に帰るという王道で、テーマは「誰しも誰かの、世界の一部であり、一人では生きられない」という、とても教育効果のあるものでした。 唯一ガッカリだったのが、全ての話が解決し、メアリーが家に帰った後です。父娘のわだかまりも解消し、良かった良かったと思っていると、なんと小人の世界とメアリーがコミュニケーションしている姿が描かれる。硬いことを言う様ですが、こういう旅を通して主人公が大人になる話において、旅の場所とは最終的に決別すべきものだと思います。主人公はその小人の世界を通って、大人に成長し自分の世界に帰還した。つまり小人の世界は主人公にとっては子どもだった頃の世界の象徴なんですから。「最後まで皆仲良くハッピー!」としたくなる気持ちは大変良くわかる(映画が良く出来ている程、その誘惑は強くなるのでしょう)のですが、個人的には只の蛇足に感じました。別れを描いてこその子ども向け映画ではないでしょうか。この辺りは、未だ『トイ・ストーリー3』等のPIXARに及ばない部分だと感じます。
[映画館(吹替)] 8点(2014-10-27 06:58:21)(良:1票)
73.  拳銃の報酬(1959)
あの巨匠ロバート・ワイズがかつてハードボイルド映画を撮っていたという意味では観る価値はあるかもしれませんが、そこまで惹きつけられる何かがあったとは最後まで思えませんでした。爽快感の無いラストや、黒人への差別など、当時としては新鮮な内容だったのかも知れません。
[DVD(字幕)] 6点(2014-10-21 23:50:36)
74.  アイス・エイジ 《ネタバレ》 
人間の赤ん坊を中心に、各々孤独を抱えていた3匹の動物達が、疑似家族を形成していくというストーリー自体は、結構スムーズに出来ていると感じました。また壁画のシーンはややホロリと来てしまったり。 但しギャグが総じて余り面白いとは感じませんでした。いえ、コミカルな雰囲気づくりをしていることは理解できるのですが、その殆どが所謂一発芸に近く、正直大人の鑑賞を考えている作りではないかなと思います。まあハナから完全に子ども向けとして作られたのかも知れませんが、そうすると矢張りPIXAR作品やDream Works作品と並ぶ質の作品とは迚も言い難いものがあります。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-21 23:46:42)
75.  るろうに剣心 伝説の最期編 《ネタバレ》 
ビックリするほど詰まらなかったです。とにかく脚本に粗が多く、真面目に観ようと努めていても如何しても気になってきてしまう。明治政府が剣心を殺そうとする件が狂言であることを観客に予めばらしてしまう展開には眩暈がします。それでその後の剣心の打ち首シーンが盛り上がるわけないでしょーに。斉藤一が「こんな茶番はおわりだ」って言いますけど、この映画こそ茶番です。ビジュアルは相変わらず良かっただけに、この出来は本当に残念です。 あとこれは前作から気にはなっていたのですが、音楽が酷い。延々と感傷的な音楽が流れるのでいい加減にしてくれないかなとずっと思って観てました。音楽を担当した佐藤直紀さんは山崎貴監督や羽住英一郎監督のお気に入り。どんな音楽でこの映画が占められているのかは自ずと知れるというもの。
[映画館(邦画)] 3点(2014-10-21 00:07:47)(良:1票)
76.  いつも2人で 《ネタバレ》 
スタンリー・ドーネンとオードリー・ヘプバーンとのコンビと言えば矢張り『シャレード』が一番に思い浮かべますが、本作も同じくお洒落な作品。同じくタイトル・デザインを担当しているモーリス・ビンダーもいい感じです。 倦怠期を迎えた夫婦を描いたストーリーも、私はまだ結婚していないとはいえ、いつかは訪れることだと思いますんで興味深かったですし、また勉強になりましたね。二人の馴れ初めや、妊娠初期のラブラブの状態を非常に嫌味なく撮るので、対比としての現在の二人が観ていて物凄く悲しい気持ちになるのですよね。殆ど文無しで旅をしていた時の方が幸せに見え、豊かになった方が不幸に見えるのも皮肉ですねぇ。しかし、どんなに嫌い合っても積み上げてきた二人の歴史に偽りはなく、最後に元鞘に収まるラストも実にリアルだなと。 いろいろなシーンの一部がそれぞれの時代の映像に繋がるキーになっているのも洒落ているし、映像的にも面白かった。テーマがボサノヴァ調だったり、バラードだったり、各シーンに呼応した作りになっているヘンリー・マンシーニのスコアも魅力的です。 個人的にですがオードーリー・ヘプバーンはこの作品でブレイクスルーしたと思います。『シャレード』の時も夫人を演じながらどこか少女的なものを感じてしまったのですが、本作はその少女的な時代と中年になってしまった時代を対比しているので、後者において彼女の少女的な印象は殆ど感じませんでした。大人の女を演じるオードリー・ヘプバーンも個人的には十二分にアリです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-20 23:59:51)(良:1票)
77.  フレンチ・コネクション2 《ネタバレ》 
汚らしいニューヨークを描いた前作から、舞台は麻薬製造元のフランスの港町・マルセイユに移り、画面も徹底したリアリズム溢れる映像から、フランスならではの優雅さを感じられる映像になりました。映像と呼応するように、前作のひりつくような緊張感に包まれ、爽快感もまるで感じられないストーリーとは違い、泥臭い男たちが麻薬マフィアを追う、ジョン・フランケンハイマーらしい暑苦しいストーリーとなりました。 正直前作程の傑出した物は感じられない作品ですが、グッと一般向けによった作りは嫌いではありません。演出上、前作は観た後にドッと疲れを感じた作品だったのですが、本作は最大の敵をやっつけてスパッと終わるので鑑賞後の気分も良かったです。あのラストカットの切れ味は良いですねえ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-20 23:45:42)
78.  ふしぎな岬の物語 《ネタバレ》 
~突然、阿部寛は叫んだ。「小百合様、かまわないでくれ。まだ誘惑して私を苦しめるのか。」小百合様が、「行け。」と言われると、阿部寛と竹内結子が良い関係になだれ込み、なんとなく終わった。~ まあ冗談はこの位にしても、余りにも吉永小百合の万能感が前面に出ている作品である印象は拭えない。この映画ではあらゆる事態を吉永小百合演じる悦子(通称:悦ちゃん)が唐突に解決してしまう。それはイエスが相手に触れるだけで病を治したり、モーセが海を割るのと同じことだ。つまり奇跡。カフェに訪れ、彼女に触れた人々は別段大した理由もなく、悔い改め、自己解決して、彼女に感謝を述べて、去っていく。感動できるドラマが生まれる訳もない。中盤では本気で徳さんの胃癌さえ魔法のコーヒーの力で消すのではないかと思った程だ。エンディングで島中の人々が彼女を想って見舞いに行列を成すシーンは、最早「小百合様を教祖とする信徒たち!」としか思えなかった。 終盤に彼女は彼女なりの苦悩を抱えていたことが判明するのだが、それも別段ドラマとして優れているものではないと感じました。 ある関係が崩れ、再構築し、立ち直る。そういう作品は多々ありますが、吉永小百合演じる悦子を前半であまりに万能感たっぷりに描いているため、終盤に彼女が弱さを見せ、崩れ、再出発する様が非常に唐突に見えました。 まあ、そんなに優れた映画には迚思えなかったのですが、モントリオール映画祭はこの映画の一体どこをどれだけ評価したのかは気になる所です。同映画祭の日本映画贔屓は有名ですが、それにしても賞やる程の映画とは一ミリも思えませんでした。
[映画館(邦画)] 4点(2014-10-15 21:52:56)
79.  ゼイリブ 《ネタバレ》 
いつの間にか異星人が紛れ込んでいるという設定はカーペンターの他の作品でも見られますが、アイデア自体は古典中の古典であり大して新鮮味を感じるものではありません。しかし独特のビジュアルとテンポ感、そしてカーペンターおなじみの気の抜けた様なテクノ調の音楽が、凡百のSF映画との大きな差になっていますね。「権力を信じるな!支配されるな!」というテーマも非常にカーペンターらしい。 まあ結構オイオイと突っ込みたくなるシーンが多い映画でもあり、その辺りは笑いながら観てました。その位のテンションで観るのが正解?ですかね。例えば、サングラスに映っているものをそのまま声に出しちゃう主人公とか(そりゃ怪しまれるわ!)、次々と異星人を見破る新兵器を開発してる謎のレジスタンスの設定や、異星人の機器が何故か地球現地語(英語)だったり。
[DVD(字幕)] 6点(2014-10-09 22:21:45)(笑:1票) (良:1票)
80.  イヴの総て 《ネタバレ》 
素晴らしい。クラシカルでありながら今観ても全く色褪せない内容です。大きなテーマの一つは“野心”。誰しも持っているこの感情をイヴに託して意地悪く描きます。イヴは一見生娘の様に純粋な女でありながら、結果として大変大きな野心を持つ女だった訳ですが、その魅せ方が実に上手いです。冒頭の賞を受賞するシーンでスティルに映る彼女や、初めてマーゴと会ったときの彼女は本当に良い娘に見える。逆にマーゴの方が明らかに嫌な感じに映り、マーゴ以外の登場人物も同じように思って、どんどんマーゴの居場所がなくなっていく感覚は、ホラー映画としても十分通用する気味の悪さでした。 カレンを脅迫し始める辺りからは、遂に物語の主役がイヴに移り、その上昇志向ゆえに他人を傷つけ、蹴落としても構わない、その恐ろしい思想が描かれます。ここも前半に皆から好かれるイヴを丁寧に描いているからこその恐怖ですね。またその仮面を付けたり外したりするアン・バクスターの演技がすごいです。 一番恐ろしかったのは、最後に新たなイヴが出現するシーン。賞を受賞した後のイヴの振る舞いは、キャリアの頂点に居たマーゴとなんら変わらず、彼女はこれから若い新人女優の出現に脅かされる日々を送るのでしょう。一瞬の愉悦と、その直後に来る不安。恐ろしいものですね。イヴのコートを着て合わせ鏡に無数に映る新たなイヴは、いつでもどんな時代でもイヴは生まれ続けるという意味かなと思え、最後まで考えさせる内容でした。はっきり言ってホラー映画ともいえる様なこわーい映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-10-03 23:41:11)(良:2票)
050.38%
1171.29%
2362.73%
3584.40%
4977.37%
518313.90%
621116.02%
733925.74%
823517.84%
91138.58%
10231.75%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS