61. イルマーレ(2006)
《ネタバレ》 2011.1.31鑑賞。韓国のオリジナル版は未見。異なる時制の二人が愛し合うというアイデアは面白く、切ない。ただし、ストーリーがいただけない。タイムトラベルものは、ただでさえ他の映画よりも観客が粗捜ししてやろうと前のめりになって観てしまうものだ。サンドラが、はずみでキスしてしまった男性=キアヌだと思い出した後で、過去に交通事故を目撃し、介抱するという衝撃的な出来事およびその被害者=キアヌであることを思い出さないはずがない。思い出すのがストーリーの後半というのが構成が致命的だし、思い出した途端、今彼をほっぽりだして、挙句に乗り換えるというのも唐突だ。そもそも「今」に生きているというアドバンテージを持ってるのにサンドラの頑張りが足りないんだよなぁ。あとタイムトラベルというSF映画なのに、記憶に残るビジュアルエフェクトが無いというのも欠点だ。 [DVD(字幕)] 3点(2011-02-01 13:42:50)(良:1票) |
62. チョコレート・ファイター
《ネタバレ》 2011.1.30鑑賞。久々に観る本格肉体アクション。しかも清純派アイドルの顔立ちの少女がどエラいアクションをかましてしまう。トニー・ジャーを観て育ったはずが、一発目の格闘シーンでブルース・リーを真似て奇声をあげ始めたときは、この映画の行く末を心配してしまったが、杞憂に終わった。短いカットで繋ぐのではなく、長回しで見せる壮絶なアクション。こっちまで緊張感が伝わってきます。残念なのはトニー・ジャーのマッハ!、トム・ヤン・クンといい、この映画といい、物語があまりにも不幸すぎること。描写が極端で萎えてしまいますね。さらなるトンデモアクションを引き出すための演出なのかもしれませんが、敵を倒してもカタルシスが得られない。ジャッキー・チェン映画を見習って欲しいところです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-01-31 10:58:40) |
63. 肉体の門(1988)
《ネタバレ》 2011.1.26。2回目の鑑賞。前回は躍動する女性達のパワーにただただ圧倒されて観てしまいましたが、今回は冷静に観ることができた。初主演のかたせ梨乃の熱演もさることながら、驚かされるのが西川峰子の悪女ぶり。ぱっと見悪女顔のはずなのに、序盤おしとやかな未亡人を見事に演じてました。脱げば本格派女優と称されると勘違いしつつも、脱ぐ勇気のない今の女優さんたちは見習っていただきたい。ただ、残念なのはかたせ梨乃の後半の失速。渡瀬、名取に見せ場があるのに、かたせは呆けているだけ。もうひとこえ欲しかった。最後の爆破は脳裏に焼きつく日本映画史に残る名爆破シーン! [DVD(邦画)] 7点(2011-01-27 19:34:52) |
64. 完全なる報復
《ネタバレ》 司法取引を批判する映画なのか、刑務所にいながらにして凄惨な犯行を繰り返すサイコサスペンス映画なのか。後者の映画を撮りたいがために、中年層を取り込めるよう、司法取引の批判という知的な社会性漂うコーティングをしてみました的な映画。ジェラルド・バトラーがただの冷血なテロリストにしか見えず(事実暗殺者だが)、共感ゼロです。女裁判官を言い負かすシーンが面白かっただけに残念。 [映画館(字幕)] 3点(2011-01-25 23:09:03) |
65. しあわせの雨傘
《ネタバレ》 2011.1.20鑑賞。カトリーヌ・ドヌーヴ作品はおろか最近観たフランス映画が「パリより愛をこめて」という私ですが、非常に面白かったです。主人公のこれでもかという陽性なキャラクターにすっかり魅了されてしまいました。夫の体調不良から会社を任されることになったことから、このマダムが妻として母としてそして女として大活躍していく様を笑いとユーモアたっぷりに描いた今のところ今年のベスト1映画!!映画の始まり方も実に見事です。ぴっちりとしたジャージでジョギングをしているのですが、森の中での野生の動物たちを見つける度に乙女のような感嘆の声を上げ、下手くそなポエムを書いては悦に入る。このシーンから、社会から隔絶されている天真爛漫なマダムであることが見て取れます。カトリーヌ女史の演技も見事ですが、夫役の方の演技も良いですね。離婚調停中にベッドに入ってくる様は全くの別人で劇場でも大きな笑いが起きましたよ。 [映画館(字幕)] 9点(2011-01-23 00:18:05) |
66. ドロップ
《ネタバレ》 2011.1.13鑑賞。初監督ながら、なかなかの出来栄え。開始10分くらいは引き込まれることもなく、不良集団の掛け合いもすべってるとしか言いようがない。しかし、小気味よい編集と、ゲスト出演者の演技に救われるかたちで盛り上がっていき、掛け合いがツボにハマるハマる。アクションシーケンスも実に工夫されており、毎回飽きずに観ることができた。姉の彼氏の死はやり過ぎで冷めてしまうが、次回作が楽しみな監督の一人であることは間違いない。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-16 18:54:07) |
67. SPACE BATTLESHIP ヤマト
《ネタバレ》 2011.1.13鑑賞。珍しく字幕での上映。原作未読。恐らく、脚本は膨大な原作を2時間に詰め込みすぎたんでしょう。テンポは非常に良いです。良いのですが、ノれない。いろんなことが説明不足だし、心情描写に割く時間がなかったからかと。原作ファンにはしゃらくさいとは思いますが、「世界に向けて放つ日本初のSF超大作」であればやはり必要です。キムタクが開始20分で操縦桿握ったり、いつの間にやら森雪とキスする関係だったり挙げたらキリがありません。なので、乗員死亡のオンパレードでも全く泣けない。また上記のSF超大作であるのに、過去SF大作の模倣が随所に出てしまうので、海外ではきっとキワモノ映画扱いなんだろうなぁと思った。しかし、全編に渡る映像は目を見張るものがある。邦画もここまで来たんだと感心した。 [映画館(字幕)] 4点(2011-01-14 18:47:28) |
68. アドレナリン:ハイ・ボルテージ
《ネタバレ》 2011年1月10日。近所のレンタル店が100円だったので鑑賞。世の中は成人の日で 「義務」と「権利」はセットだなんだかんだと言ってる堅苦しい日に大の大人が作ったバカバカしい作品を観るこの痛快さ!もの凄く面白い!!エンドロールにステイサムのNGシーンがあるんだけど、そりゃ演じてるステイサムもバカバカしくて笑っちゃいますって。奔走するステイサムの行動も前作以上に笑えるが、それよりも面白いのが脇役の人たち。突然狂ったように踊りだす双子の片割れや、片桐はいりばりの癖のあるストリッパー。いい感じにいつも登場して本編の尺を延ばしてくれます。ステイサム出ずっぱりじゃ話的に持たないので。もちろん、充電の方法も工夫されており、監督独自の映像表現で毎回魅せてくれます。初っ端に外部バッテリー故障のプロットも◎。巨大化した二人の戦いを楽しめるかどうかが最後まで楽しめるかどうかのリトマス紙とみた。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-01-11 19:10:30) |
69. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 監督の前作「サブウェイ123 激突」が面白くなかったので、期待せずに観に行きました。前作と同様に円の動きでデンゼル・ワシントンを何度も映すので、まるで彼が列車ではなく、メリーゴーランドに乗っているみたいでした。前作は突っ込みどころ満載でしたが、今回は「事実に基づいている」のが大きな強みです。たとえば素人はそんなに難しそうではないので、ヘリコプターからの降下を再度行えば簡単に事件は解決するはずなのになぁと思ってしまう。でも「事実」では2回目のトライはしてないからという暗黙の了解を観客に押し付けることができる。観客としては暗黙の了解よりも、ヘリコプター操縦者の心理的ダメージが大きいだとか、もう一度失敗したら軍の体裁が悪くなるなど具体的な理由が欲しいところ。そうすれば、よりデンゼルたちへのプレッシャーだって強くなり、観客は手に汗握る。あと、軍のヘリよりマスコミのヘリの方がよっぽどすごい。マスコミのヘリはずーっとデンゼル・ワシントンに手が届きそうなくらいの場所で並走してるんだから。 [映画館(字幕)] 5点(2011-01-09 09:48:10) |
70. トロン:レガシー
《ネタバレ》 昨年の10月頃から劇場で予告編が流れ始めたほどの超大作だったが、そのときも特に驚かなかった。ひたすら画面が暗いし、登場人物たちのスーツはどこか特撮ヒーローもののスーツに似ているし、目新しい映像表現も無かったからだ。実際に観てみると、まず冒頭に2Dで撮影したシーンもある旨の注意書き。事実、デジタル世界に入り込むまではほぼ3D撮影じゃなかったと思う。肝心の3Dで描くデジタル世界だが、最初のディスクバトルでイヤな予感がし始めた。この映画はハズレなんじゃないかと。敵は無駄にトーマスフレアーなどの技をするだけで、目を見張るシーンは特になく、背景も暗いので、3Dの醍醐味ともいえるスケール感が感じられないのだ。確かに、スーツや後ろに流れる乗り物の光は「AKIRA」のように美しく、背景との対比で鮮やかなのだが、イマイチ入り込めない。ストーリーも気持ちが乗らない。観に行ったのが金曜だったので、これなら夜の街に浮かぶネオンサインに吸い込まれていった方がまだマシだったと独りごちてしまった。 [映画館(字幕)] 2点(2011-01-07 22:51:20) |
71. ミンボーの女
《ネタバレ》 面白いなァ。伊丹監督はNHKスペシャルで取り上げるような硬派なテーマを老若男女わかりやすく、エンターテインメントとして仕上げる職人ですね!民暴対策の羅列で終わるのではなく、大地さん、村田さん、宝田さんとそれぞれにきっちりとした持ち場を与えているので、カタルシスがハンパないです。もし監督が存命でしたら、昨年世間を賑わせた「身元不明の100歳」等をテーマにした作品を撮って欲しかったですね。それにしても大滝秀治さんはおいくつなんだろう?特捜最前線の頃からソフトバンクのCMまで全く変わってませんよね? [DVD(邦画)] 8点(2011-01-04 14:35:07)(笑:1票) |
72. プール(2009)
《ネタバレ》 「かもめ食堂」、「めがね」に続いて同じ座組みで作られた作品。今回も音楽もうるさくなく、ゆったりと俯瞰気味で撮影されており、おしゃれなコマーシャルフィルムのように仕上がってます。ただ、作品のテーマに応じて撮影方法も変えるべきだと思います。「かもめ食堂」がヒットしてこの手の映画がやたらと増え、本家であるこの作品に対してもそのようなスロウな映像を観客が期待しているのは仕方のないことかもしれませんが。伝えたいことがいまいちよくわからず(特にもたいさん)、でも映像を観てるとなんとなく癒されるような気がするからと思いながら睡魔と戦って観るというのは実は癒しでもなんでもなく苦痛でしかなかったりする。 [DVD(邦画)] 3点(2010-12-24 01:41:21)(良:2票) |
73. キック・アス
《ネタバレ》 期待してたけど、期待以上に面白い!HGのアクション・シークエンスは個人的には「300」以来の突出した出来栄え。低い身長を活かした殺陣は目新しく、えげつない。ナイトスコープ視点での銃撃戦や「リベリオン」のような発砲の光だけによる映像などヒーローもののパロディ映画なのに仕上がりは一流のアクション映画になってます。キック・アスのガドリング銃なんてもろ「マトリックス」ですし笑。アクション部分もコメディ部分もこれまでの「ヒーロー」ものを換骨奪胎してます。「ヒーローものなんて…」という人ほど是非観てもらいたいですね。顔面血だらけになるヒーローなんて観たことありません。ヒーローといえどやってることは暴力なので、本来なら「痛み」こそきちんと伝えないといけないんですよね。HGがシリアルキラーにしか見えず、若干ひいてしまいますが。でも、監督はその辺をきちんと理解していて、最後のボスの倒し方は映画らしく締めています。ここらへんのバランス感覚も素晴らしいと思います。是非続編では「悪役」の立場から撮ってもらいたいですね。 [映画館(字幕)] 9点(2010-12-19 22:30:13) |
74. ラスト・ソルジャー(2010)
《ネタバレ》 MYTH(ドラゴン・キングダムも?)に続くジャッキーの武侠映画。中国でジャッキー映画史上最高の興行収入を獲得したということで公開を待ち望んだ1本です。ですが、あまり楽しめなかったです。娯楽性を追求しすぎるハリウッド映画への出演の反動のせいか、アジアで製作する映画は文芸色が強いですね(新宿インシデントなど)。個人的にはどんなに年をとっても役名そのままのチェン刑事が観たいんですよ。もちろん今回もジャッキー印のコメディーは健在です。狡猾なキャラなので、むしろ笑いのレベルは高かったです。ただストーリーとしてはもう一つ深みが欲しかった。「身寄りのない女」が消化不良で終わったり、将軍兄弟の葛藤ももう少し欲しいところ。ラストシーンもジャッキーの死ではなく、ジャッキーとの関わりを通じて秦との戦争を放棄した将軍の表情で終わることで後味のいい終わり方にして欲しいものだ。悲しすぎてエンドロールのNG集に頭が切り替えできない。次作に期待。でも辛亥革命だもんなぁ。 [映画館(字幕)] 5点(2010-12-18 01:40:37) |
75. [リミット]
《ネタバレ》 びっくりしました。本当に棺おけの中だけなんだもの!90分ぶっ通しの密室でのワンシチュエーション。自主映画のような企画を見事に突っ切っております。映画を劇場で観ると、画面右上に写る黒丸(パンチマーク)が出てくるじゃないですか?アレを見かけると「おっ、あと5秒後には場面切り替わるな」と通ぶりながら思ったりするんですけど、子の映画はパンチマークが出てもやっぱり棺おけの中なんですよ。それを観て「おおっ!」と唸ったのはきっと私だけじゃないはず。棺おけの中という殺風景すぎて「画」が持たない状況を、ライター、携帯電話、サイリウム(何故に?)、懐中電灯(点灯方法が2パターンある)という光源の変化と、監督が用意した7パターンの棺おけというカット割りの変化で切り抜けております。途中で珍客が来ること、どのくらい酸素が持つのかわからず、もう一つ危機感に乏しいことが欠点として挙げられますが、それを差し引いても観るべき映画だと思います。ED曲のチョイスも大好きです。 [映画館(字幕)] 7点(2010-12-15 17:23:07)(良:2票) |
76. アメリア/永遠の翼
《ネタバレ》 女性初の大西洋横断飛行を実現した人の実話ということで、アメリカン・ドリーム的な臭いがプンプンしており、さぞ感動するんだろうなと思って観に行きました。実際この手の作品は「オクトーバー・スカイ」や「庭から昇ったロケット雲」など個人的には涙腺ズッポシな作品が多いので、単館系での公開ながらも期待しておりました。結論から言うと、もっと焦点を絞ればよかったかなと思います。主人公の大空への飽くなき思いを、もっと幼少時代から掘り下げるのか、それとも、人生、ビジネスのパートナーである夫との関係をもっと描くか。史実を忠実に描いたせいか、どちらも中途半端な印象が拭えません。そのため、ラストの終わり方はあっさりと感じてしまい、呆然としました。主人公が非業の死を遂げてなければまた違った映画になったんでしょうけどねぇ。 [映画館(字幕)] 4点(2010-12-15 15:43:36) |