821. 寒椿
原作未読なのでどこまで改変されているのか不明だが、いろいろと難のある作品ではある。宮尾登美子は女の生き様を描く作家のハズだが、西田演じる女衒の存在がデカクなってしまい、誰が主役かわからない中途半端な作品になってしまった。ラストの殺陣は降旗ならではで、五社ならこうはならなかっただろう。少年のナレーションも不自然だし、全体的に出来損ないの東映ヤクザ映画的だし、配役もミスキャストで、西田は硬軟使い分けて熱演していたとは思うが、やはり過去に見てきた緒方や仲代に比べると違和感はぬぐえない。ナンノも文芸向きではなくミスキャストだし、適役だったのはかたせ梨乃ぐらいか。で、結果として見るべき点はナンノの貧乳だけになってしまったような。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-03-04 09:52:55) |
822. 娚の一生
榮倉奈々は好きな女優なので最後までナントカ見る事はできたが、ストーリーはどうしようもない。まず、榮倉奈々が不倫に疲れた女には見えない。そして、豊川悦司もキャラ作りに無理があり、演技が不自然。そもそも人間の生活・暮らしなど、どうしようもないモノではあるのだが、それをダラダラと映像化・作品化されてもなあという印象。田舎町の生活の雰囲気は出ていたが。現実逃避願望のある女性向けかな。 [地上波(邦画)] 4点(2016-03-03 15:49:58) |
823. 陽暉楼
女を撮るのはウマイと思うんだが、池上季実子は華がないし、浅野温子は文芸向きではないし、キャストがイマイチかな。AKBのような集団モノとして見るしかないのだろうけど。そもそも必要なのかと思われる恋愛部分の描き方が中途半端で「女の生き様」というテーマが弱まってしまったような。男の方は全体的に存在感が薄く、緒形拳には凄みは感じるものの扱いが中途半端。原作をかなり改変して脚本を弄ったようだが、結果、物語があるようで無いような映像で魅せるだけの作品になってしまい、『鬼龍院花子の生涯』と比べてしまうと面白みはない。昭和初期の時代背景、高知の雰囲気は味わえる。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-03-03 12:19:07) |
824. 小早川家の秋
《ネタバレ》 「ああもうこれでしまいか、もうしまいか」については最近よく考える。どんな生き方をしようとも、これが人間最後の本音だろう。「ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを」の世界観。娘たちが好きなように生きていく事を決心するラスト。父親の精神は受け継がれている。死んだらしまいではあるのだが、受け継がれるモノがある事が救いではある。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-03-01 11:24:08) |
825. 河内山宗俊
80年前という時代性、80年という時代経過をどう考えるか。若い監督が80年前に作った作品と考えれば評価すべき点もあるのだろうが、そういった事情を抜きにすると、正直言って「色褪せている」と感じた。そもそも台詞が聞き取りにくいのでストーリーの詳細がよくわからない。これは仕方のない事なのでTV放映時には字幕を付けるべきなんだろう。あとは役者の演技や所作だがコントっぽい(あえてそうしているのか?ならラストへの展開が腑に落ちない)印象で、やっぱり古臭くて見ているのがツラかった。若い原節子にも魅力は感じない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-03-01 09:27:57) |
826. 許されざる者(2013)
《ネタバレ》 復讐は、1、両者で和解してどちらかが謝罪・補償するか、2、第3者が介入して裁くか、3、どっちかが死ぬ のどれかで決着がつくまで続くわけですけど、原則として3は避けなきゃイカンわけで。この時代背景・場所柄?で1,2が機能しなかかっための3ではあるのでしょうけど、新政府・旧幕府とか、アイヌの民族とか意欲的なのは理解しますけど、少々盛り込みすぎで設定に少々無理があったかな。結果的に「許されざる者」としての教訓というかメッセージが弱かったように思います。雄大な風景はよかったですけど、とってつけたようなポット出のセットはちょっとショボイかな。さらには、村人と官憲の数が同じぐらいってのもどうなのかと。 [地上波(邦画)] 3点(2016-02-29 15:52:12) |
827. 鬼龍院花子の生涯
《ネタバレ》 まず大前提として、ヤクザと侠客は違います。一応、鬼政は自称侠客。でも、ちょっと単純かつ天然系で、よく言えば純粋で正義感もある。だから労働組合とも愛称がいい。そもそも侠客って本来左翼的なハズだし、だから東映任侠モノは学生運動のヒーローだったわけだし、この組み合わせは興味深く感じた。もっと2人の関係を深堀してもよかった。侠客の娘が労働運動に傾倒する男の妻になるのは、ある意味必然であり、松恵が2人を繋ぐキーパンであるべきなのだが、この辺の関係性の描き方がちょっと弱かった。原作未読だが、どうやら松恵は狂言回しで花子をとりまく人々の物語という構成のようなので、松恵の父と夫の3人が軸とならずに、結果的にこうなってしまうのは仕方のない事ではあるが、脚本はもっと改変してもよかったのではないだろうか。が、夏目効果で映画がヒットしたという事は宣伝が上手かったのだろう。 役者は皆すばらしい(子役の仙道敦子も夏目雅子に引けを取らない)のに、花子役だけは受け入れ難い。どうにかならなかったのだろうか。今となっては本来中心人物である花子が空虚な存在感のない人物になる事によって、うまい具合に「花子をとりまく人々の物語」となっているとも言えるのだが、制作当時その意図があったのだろうか。実話をベースとした話のようだが、松恵の父と夫の3者3様の正義のあり方に信念を貫き通す事による滅びの美学もあるし、3人に関係するその他の人々にも人間ドラマを感じる事はできた。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-02-26 13:59:19) |
828. 銀の匙 Silver Spoon
《ネタバレ》 設定にヒネリはあるものの、ストレートな青春映画で爽快感はある。逆に言えば、登場人物が皆善人ばかりで、少々退屈な所もある。主人公にもう少し影や屈折した思いがあってもよかったし、酪農やりたくないのに無理に学校に来てる子とか居てもよかったかな。あと映画の締めとして、父子の和解はしっかりと描いて欲しかった。ちょっとサラリとしすぎ(原作にはもうちょっといろいろあるのかもしれないが)。何度か出てくる「経済動物」という業界用語?については考えさせられた。別に食用だけでなく、ペットや動物園も経済動物だし、従業員を家畜扱いする経営者によって過酷な労働を強いられ心身を病んでる人間だって経済動物だと言えるのかなと。 [地上波(邦画)] 6点(2016-02-26 10:37:08)(良:1票) |
829. 藏
肝心要の烈役が、子役がダメだし、一色紗英も大根で顔も文芸向きじゃないので、主人公の苦悩・奮闘が伝わってこない。本来は宮沢りえだったのが急遽代役になったようだが、もうちょっとキャスティングをどうにかできなかったのだろうか。原作未読だが、脚本は悪くないし、映像は雰囲気出ていたし、他の俳優陣(かなり豪華)の演技はよかっただけに残念。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-25 15:40:53) |
830. おろしや国酔夢譚
原作未読。これだけ壮大な話を2時間でまとめるのは無理があり、その点で評価が下がってしまうのは仕方ないが、それでも光太夫たちの過酷な各々の人生模様のようなモノは十分に伝わってくる。運命を受け入れつつ、人生を選択していく事の困難さについても考えさせられる。単なる歴史モノに留まらない、雄大かつ深遠な人間ドラマ作品に仕上がっていると感じた。できれば大河ドラマか、少なくとも4~5時間ぐらいの長編で見てみたい。誰かリメイクしないかな。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-25 11:26:47) |
831. 江戸城大乱
太平の時代に跡目争いの陰謀アクションを製作してしまうと、どうしても無駄な殺人シーンが多くなってしまい、結果的に史実からかけ離れてしまって、「そりゃないでしょ~」という作品になってしまう。でも、自分も史実に詳しいわけでもないので、「こんな事あるわけね~だろ?」とツッコミながら、自分でいろいろと調べるようになるので、勉強するキッカケにはなるかな。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-24 12:08:26) |
832. フィラデルフィア・エクスペリメント(1984)
実話?をベースとした設定は中々面白いのだが、肝心の40年後の世界の物語が薄く、正直どうでもいい実験云々の描写が長いのが残念。牧場のシーンはもっと掘り下げて欲しかったな。タイムスリップモノは基本的に大目に見て楽しみたいのだが、それでも作りはかなり雑に感じる。人生80年と考えると、40年前、40年後って微妙なスパンで、人生の折り返し地点にいる自分自身についてもいろいろと考えさせられてしまった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-02-18 11:57:52) |
833. コマンドー
たぶん昔見たような気もするのだが、中身は全く覚えてなかった。この頃はスタローンの二番煎じみたいのが出てきたなあという印象で、あらすじ見てもランボーぽいのかなと思ったら、肉体推しオンリーで想像以上に軽くて中身がない事に驚いた。音楽・テイストが80年代米映画という感じで懐かしくもあり、シュワルツェネッガーはバブル時代ど真ん中の思い出深い俳優ではある。(その後、まさか政治家になるとは思わなかったが) [CS・衛星(吹替)] 5点(2016-02-18 10:15:22) |
834. ハンター(1980)
《ネタバレ》 子供の頃にTV放映で何度か見てよく覚えている作品。電車のシーンとか、蜂の巣型の駐車場から車が川に落っこちるシーンとか。シカゴで実物を見た時は感動しました。でもイチバン覚えているのはラマーズ法かな。子供ながらに「ヒッ・ヒッ・フー」の呼吸法には違和感があったし。その後は結局定着しなかったんですかね? マックイーンは子供の頃好きでよく見ていましたが、これが遺作で50歳で死んでいたという事は知りませんでした。名優の作品は遺作効果で評価もいろいろなんでしょうけど、余命わずかで死を覚悟し撮影に臨んだ作品と思えば、作品としてはちょっとアレでも、子供の頃の思い出深い作品でもありますし、点数はカサアゲしてしまいますね。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2016-02-17 10:58:40) |
835. トラック野郎 度胸一番星
《ネタバレ》 桃次郎との結婚が決まったマドンナが死んでしまうという脚本はいかがなものか。だから、ラストの疾走へのつながりがなくなってしまい、タヌキが助手席というのも違和感があり、どうなのかと。原発反対派がカネで賛成派に迎合していくシーンは今見ると感慨深い。それにしてもつくづく思うのは、トラック野郎はテーマが「反権力」なんだよな。只管己の主義主張のために警察権力に逆らう。文太が晩年に反原発運動に加担したのも何かの因縁を感じる。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-02-16 14:22:40) |
836. リリイ・シュシュのすべて
既視感があるというか、いろんな映画や小説を寄せ集めてイメージビデオにしてみました。という印象ですけど、北関東の鬱屈した中学生の雰囲気は充分に伝わってくる。それをリアルと言えるのかは賛否がわかれるのでしょうけど、中学生の不安定な時期にこの程度の逸脱やイジメなら別に珍しくはないような。あらためて中学時代の危うさと瑞々しさは感じる事はできた。あの頃に戻ってみたいようなみたくないような複雑な気持ちにはなる。そういう心を動かされるモノはある。 群像劇なので個々の物語は弱いし、そもそもイメージビデオ的なので、物語性を求めるものではないだろう。詳細な製作過程は知らないのだが、「ネットとリアル」というのがひとつのテーマではあるハズで、そこへのツッコミというか問題提起が弱かったように思う。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-12 14:07:42) |
837. 女殺油地獄(1992)
ストーリはタダの不倫・男女の色恋沙汰でどうしようもないのですが、当時ヘアヌードを解禁させた樋口可南子に怖いモノはないわけで、吹っ切れたオバハン役を思う存分見事に演じているのがスバラシイ。といっても、中年になった今の自分から見たら、当時30半ばの樋口可南子は女ざかりであり、決してオバハンなどではなく、その可愛らしさと妖艶さを兼ね備えた破壊力に圧倒されるのだが。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-12 14:00:40) |
838. 三十四丁目の奇蹟(1947)
古きよきアメリカを感じるにはよいのかもしれない。それよりも、日本が原爆・空襲で焼け野原だというのに、敵国はサンタが居るとか居ないとかで映画を製作していた事に何とも言えない気持ちになった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-02-12 00:10:50) |
839. 第七の封印
不安や恐怖によって神は生み出される。逆に神の存在を信じる必要の無い人には不安も恐怖もないわけで。言い換えれば、不安や恐怖の無い人にとっては神は存在しないわけで。ずっと後者で居られればよいのでしょうけど、死は必ずやってきますからね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-02-10 12:47:57) |
840. 奇跡の人(1962)
親は子供を甘やかす。障害者なら尚更。負い目もあるだろうし。他方、他人だからこそできる、そして同じ障害者としての矜持による厳しい教育。ヘレンを取り巻く各々の大人達の対応が興味深い。他人の子供を教育するって結構難しいからね。相当な覚悟と信念を持って鬼にならないと。親も先生をよく受け入れたと思う。他人にここまで厳しくされたら、普通ならわが子可愛さで我慢できずにクビにするだろう。 作品としては、ヘレン役の子は演技が過剰だし、施設に入って突然改心してしまったり、先生を受け入れていく過程の描き方に不自然さを感じた。もう少し長尺で丁寧に描いてもよかったのではないか。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2016-02-10 10:59:43) |