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821.  死に花
老いというテーマが背景にあるため、シリアスな部分も当然あるんだけど、基本的には軽いコメディーで、前半あたりに少し退屈な部分があるものの、なかなか楽しめた。時代が時代なら東宝でクレージーキャッツ主演でやっていそうな印象も残り、穴を掘るメンバーに谷啓や青島幸男を起用していたり、メンバーが最終的に7人構成になるあたりはクレージーキャッツの映画を意識していると強く感じられ、クレージーキャッツの映画が好きな身(とはいえ最近は機会に恵まれず見れてないのだけど。)としてはなんかうれしい。しかし、(比べるのもどうかと思うが。)シリアスな部分があるからか、クレージーキャッツの映画ほどの爽快感はなく、最後のシーンあたりはなんか湿っぽく感じてしまったのも事実で、本当に60年代にクレージーキャッツ主演で古澤憲吾監督あたりが手がけていれば、爽快なままラストを迎えたのではないかとつい思ってしまった。とはいえ、山崎努をはじめとする主役の老人たちを演じている俳優たちはみな好演しており、安心して見ていられる。(長門勇が岡山を連想させていて笑える。)それからこの映画はちょうど一週間前に亡くなった森繁久弥の遺作である。出番は少なくセリフも一言だけなんだけど、さすがに登場シーンでは風格が漂い、出てくるだけで圧倒的な存在感を放っていて、まさに名優であると思う。また「社長シリーズ」などの喜劇映画で活躍したこの名優の遺作が喜劇映画なのは偶然ではないような気がする。白寿の老人役なのだが本当にこの映画の役柄のように白寿や百歳まで生きていてほしかったし、あらためて残念に思う。森繁久弥だけじゃなく青島幸男と藤岡琢也にとってもこれが遺作なんだなあと思うとなんだか切ないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-17 20:32:29)(良:1票)
822.  点と線
松本清張初期のベストセラー小説の映画化作品。松竹以外の松本清張原作映画を見るのは初めてだったが、よく出来たミステリー映画としてはそこそこ面白かったものの、どうも主役の刑事(南廣)が一人で息巻いていて一人浮いているような気さえして感情移入できなかった。それに、人間ドラマにあまり深みがないのも残念に感じ、全体としてはやや物足りない。出演者に目を向けると、高峰三枝子は汚れ役のイメージしかなく、とくに「犬神家の一族」の松子夫人の印象が強いのだが、本作ではちょっとだけ松子夫人の原型と感じられるような役を演じていて、ひょっとしたらこの映画がきっかけであの役に起用されたのかと思ってしまった。ただし、貫禄もインパクトも松子夫人の方がやっぱり上に感じる。その夫を演じる山形勲は東映時代劇の悪役という印象がなんといっても強く、この映画でも悪役を演じているのだけど、こういう役はやっぱりはまるなあ。ただ、山形勲を時代劇でしか見たことがなかったせいか、最初は誰だか気がつかなかったけど。のちに「砂の器」で素晴らしい演技を見せる加藤嘉が本作では刑事を演じている。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-12 15:00:00)
823.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
冒頭の有名な「ジュテーム、ジュテーム(愛してる、愛してる。)」の電話口のジャンヌ・モローのせりふからもうかなり印象的で、シンプルなサスペンスながら、白黒の映像が緊迫感を出しているし、ルイ・マル監督の演出はこれがデビュー作とは思えないほどにスタイリッシュで、見ていて思わず惹きこまれた。映画全体の雰囲気がかなりよく、ストーリーそのものよりはこの雰囲気で魅せられてしまう映画だと思う。マイルス・デイビスのジャズも非常に効果的で、この音楽がなければ映画の魅力が半減してしまうのではないかと思うくらいにこの映画の雰囲気に合っていて、特にジャンヌ・モローが夜の街を歩くシーンは彼女の美しさと音楽が見事に調和していて、とても印象に残るし、またこのシーンだけで彼女の心理描写がうまく表現されているのもよかった。実はこの映画を見るのは初めてではなく2回目だったのだが、最初に見た時はまだ中学生(15年くらい前。)でハリウッド映画を中心に映画を見ていたため退屈だった記憶があるのだが、久しぶりに見てみると、このなんともいえない雰囲気に魅了されてしまい、とても良い映画だと思った。やはり映画の感想というのは時を経て変わるものなんだなあと実感できた。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-11-08 15:39:44)
824.  しびれくらげ
「でんきくらげ」に次ぐ増村保造監督と渥美マリのコンビ作で大まかなストーリーやほかの出演者も「でんきくらげ」と似たりよったり。でも、「でんきくらげ」に比べるとこちらの方が面白かった。渥美マリは「でんきくらげ」よりはこちらのほうが確かに洗練されている感じはあるけど、増村作品に登場するヒロインとしてはやっぱり何か物足りないという気がする。「でんきくらげ」を先に見ているからか、主人公の父親役で玉川良一が出てきたときはまた同じような役回りなのかと思ったが、今回は「でんきくらげ」のようなワルな印象の役ではなく、笑ってしまうほどのダメ男の役でなかなかいい味を出している。この父親と主人公のやりとりがスピーディーに展開されるあたりはいかにも増村監督らしいし、ラストの余韻の残し方もうまいと感じさせるものの、本作も増村作品としては凡作の感が否めないのが少し残念。(さっき書いたように「でんきくらげ」よりは面白かったのだが。)そういえばヤクザ役で田村亮が出てるけど、田村三兄弟は全員が増村作品に出演経験があるんだなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-04 16:59:13)
825.  でんきくらげ
大映は倒産直前に「軟体動物シリーズ」と銘打った映画を連作してたみたいで、増村保造監督による本作もそんな1本。去年1年間に10本も増村監督の映画を見ているせいか、かなり久しぶりに見る増村映画という気がする。うーん、渥美マリ演じるヒロインはいかにも「増村映画のヒロイン」という感じだし、クライマックスのヒロインの行動やラストの選択も増村監督らしいと思うし、見る前に思ったよりは面白かったのだが、正直これまで見た増村監督の映画と比べると何か物足りない。渥美マリはせりふ回しは確かに棒読みだけど、それが不思議と見ていて苦にならないしそんなに悪くないと思うのだが、「妻は告白する」や「清作の妻」などの増村映画の顔的存在の若尾文子や、「巨人と玩具」の野添ひとみ、「痴人の愛」の安田道代、「盲獣」の緑魔子といった強烈な印象を残すヒロインたちにくらべれば全然普通の印象しか残らないし、増村監督の演出もなにかいつもに比べて平凡に感じてしまったのは残念で、増村監督としてはこういう題材の映画は得意なはずなのに、圧倒的な「何か」が足りていないような気がする。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-28 18:32:36)(良:1票)
826.  刑事物語 《ネタバレ》 
シリーズ第1作。このシリーズは中学の頃によくテレビで見ていてかなり好きだった(今でも武田鉄矢といえば片山刑事のイメージが個人的には強い。)が、なぜかこの1作目だけは全く放送されず見る機会がなかった。それを今回、DVDにてようやく見ることが出来た。約13年ぶりの片山刑事との「再会」だったが、武田鉄矢演じる片山のキャラクターやハンガーアクションはとても懐かしかったし、基本的にシリアスなストーリーながら高倉健ファンの女刑事を演じる樹木希林や、西田敏行とのやりとりなどこの1作目から笑える部分もあり、それでいて、片山とヒロインである聾唖の女性との恋愛エピソードは切なく感動的で、この部分の武田鉄矢の熱演もそうだが、ヒロインを演じる有賀久代の演技が素晴らしく、彼女の演技がこの映画に深みを与えているのだと思う。片山が彼女から田中邦衛扮する恋人を紹介されるラストシーンが特に感動的で片山の涙いっぱいの笑顔が最高に切なく、本当にいいシーンで、以前このシリーズは「男はつらいよ」シリーズを参考にしていると聞いたことがあったが、このラストシーンはまさしく「男はつらいよ」を思わせているし、榊原るみ扮するマドンナが知的障害者という設定だった「男はつらいよ 奮闘篇」で養護教諭を演じていた田中邦衛を起用しているあたりにも「男はつらいよ」シリーズの影響が見られ、やっぱり相当意識して作っているのがよく分かる。全体的に見て映画の完成度自体はそれほど高くないと思うものの、じゅうぶんな佳作といえる映画になっていてとても面白かった。(主題歌の「唇をかみしめて」もやはり名曲。)続編も見直したいが、どうやら本作しかDVDが出ていないのが残念。ぜひ、続編4本もDVD化を願うところだ。
[DVD(邦画)] 8点(2009-10-22 15:18:39)(良:3票)
827.  男はつらいよ 寅次郎の告白 《ネタバレ》 
「男はつらいよ」シリーズの中でこの回だけ一度も見たことがなかった事を思い出し、ようやく見た。時期的にはもうシリーズ末期の44作目で、満男と泉が中心に話が進み、寅さんは出番こそ少なくないが、どうも脇役という印象は拭えなくなってるし、演じる渥美清に若い頃のような威勢の良さが感じられないのが残念なのだが、それでもこのシリーズ自体をかなり久しぶりに見るからか、思ったよりは楽しめた。鳥取砂丘のシーンも印象的だったが、寅さんが泉に自分の母親(ミヤコ蝶々)の話をするシーンは初期作を見ていると妙に懐かしく感じてしまう。今回のマドンナ・聖子(吉田日出子)が自分が結婚してからのことを寅さんに語るシーンは少し切なく感じるものの、昔のシリーズならこのキャラクターもっと掘り下げた描き方したんだろうなあとつい思ってしまうのも事実で、あまり寅さんと聖子のエピソードに深みが感じられないのがちょっと惜しいかな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2009-10-14 02:44:54)
828.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 
先週に「ファンシイダンス」を見てるので、主人公の弟が相撲部に入部するあたりは少し二番煎じかもと思ったが、「ファンシイダンス」に比べて、こちらの方がドラマ的にも感情移入がしやすく面白かった。この手の邦画は今では矢口史靖監督の作品をはじめ結構作られてるけど、「ウォーターボーイズ」なんかと比べてもこちらの方が見ていて相撲にかける情熱と必死さが伝わってきて、リーグ戦や入れ替え戦などはまるで甲子園の高校野球でも見ているかのようだった。(大げさで感傷的な音楽がないのもいい。)笑いのシーンもつぼを押さえていて、中でも過敏性腸炎の竹中直人の演技には爆笑。(中学の頃にもテレビ放送途中から見たことある映画だったが、この下りだけ覚えてた。)あとはやっぱり巨漢マネージャーの正子だろう。相撲部の中でいちばんの存在感を発揮していて、そこにいるだけでも印象に残るのに、男装して試合に出るシーンはやはりかなりのインパクトを残していてとても印象的だった。(演じている女優が全く知らない人なのもさらにこのキャラクターを印象的なものにしている。)ほかの登場人物たちもみな個性的で面白い。主人公兄弟に向かって「若貴兄弟」と言うシーンなど今見ると時代を感じてしまう部分も確かにあるが、この後、多くの亜流を生み出したのも分かる出来で、本作は間違いなく周防正行監督の最高傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2009-10-08 12:33:20)
829.  ファンシイダンス
見る前は今見ると滑ってるかもと思っていたのだが、確かに時代を感じる部分は多いものの、軽いコメディー映画としての楽しさは充分にあり、当時まだアイドルのイメージが強かったであろう本木雅弘やこれが映画デビュー作の田口浩正、それに竹中直人が非常にいい味を出していてとても面白かった。田口浩正がトイレで羊羹を食べて食いつぶれるシーン(その食べっぷりがまたすごい。)などは実際に太った体形の住職を知っているからか失礼ながら「あの住職もこんな感じなのかなあ。」と思いつつも笑ってしまった。往年の東宝映画の脇役俳優である和尚役の村上冬樹がすっかりおじいさんになっていたが、彼もまたいい味を出してくれていて良かった。本作は周防正行監督の初の一般向け映画なのだが、葬式に対してお寺での生活を題材にしていたり、宮本信子をチョイ役で起用していたりと、見るからに伊丹十三監督を意識しているのが分かる作風となっているが、これは「マルサの女」と「マルサの女2」のメイキングを演出した周防監督が伊丹監督から受けた影響が大きいからなのではと思う。劇中音楽として使用される「若者たち」のメロディーも妙にマッチしていて印象に残った。(とはいえ、冒頭のロック調に編曲された同曲を主人公がバンドを従えて歌うシーンは少しひいてしまったが。)
[DVD(邦画)] 7点(2009-10-01 14:08:26)
830.  宮本武蔵(1944) 《ネタバレ》 
溝口健二監督による「宮本武蔵」で、加藤泰監督のものと同じく松竹の作品だけど、原作は吉川英治ではなく、「地獄門」や「真珠夫人」で知られる菊池寛なんで、お通や沢庵和尚などは登場しない。もろに戦時中の作品ということもあってかやや退屈に感じる部分が多かったし、正直言ってストーリーがよく分からなかった。しかし、溝口監督お得意の長回しや映像の美しさといったものがこの作品でも感じられるのはやっぱりさすがと思う。一方で戦意高揚映画という枠の中で作られたゆえかあまり演出に余裕というものが感じられず、全体的な出来としては凡作という印象が残った。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-09-24 02:40:09)
831.  それでもボクはやってない
周防正行監督といえばコメディー映画の印象が強いが、(と言いながらこの監督の映画でこれまで自分がまともに最初から最後まで見たのって「Shall We ダンス?」1本しかないのだが。)痴漢冤罪事件を描いたこの映画は周防監督本人が公開当時某番組で語っていたように全く笑えない硬派な社会派映画。とにかく作り込みがかなり徹底されていて、主人公(加瀬亮)を通して痴漢冤罪被害者の現実が淡々とリアルに描かれていてとてもみごたえがあり、そして見ていてとても怖かった。はっきり言って今時の日本映画でこれだけ社会性が強く、作り手である監督のメッセージがストレートに伝わってくる作品は(とくにこのような大手のテレビ局などが絡んだ大々的に公開される映画では)珍しいのではないだろうか。結末もいかにもありがちな甘いものではなく現実的であり、(裁判長を演じる小日向文世の演技が冷徹で淡々としているのも妙なリアルさがあって怖い。)ここにいちばん周防監督の力強いメッセージを感じることができる。この映画を見ると実際に痴漢冤罪に苦しむ人たちのことを考えさせられるし、なにより自分も電車に乗る(満員電車に乗ることはあまり無いが。)ので気をつけたいという意識が自然と一層強くなった。出演者も実に適役で、中でも主役の加瀬亮はもちろんだが母親役のもたいまさこの抑えた演技が特に良い。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-23 14:46:32)
832.  太平洋の嵐 《ネタバレ》 
松林宗恵監督が亡くなって早いもので一ヶ月。この映画は真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までを夏木陽介演じる主人公の視点から描いた松林監督の戦争映画。乗組員を全員退避させたあと沈みゆく戦艦内に二人だけ残った三船と田崎潤は当時の軍人というものの覚悟というものをよく表現していて良かったと思う。その後の海底に沈んだ戦艦内から霊体となった二人が出てきて「これ以上の犠牲者は出したくない」などと語り合うシーンは多少のやりすぎ感を感じなくもないが、松林監督の思いがストレートなメッセージとして伝えられているような気がしてとても印象深い。それに生き残った主人公たちの運命も考えさせられるものがある。ただ、史実をなぞっているためか物語としてはやや大味でドラマとしての深みがあまり感じられなかったのはちょっと残念で、「潜水艦イー57降伏せず」や「太平洋の翼」に比べると少し出来は落ちるかもしれない。そうそう、笑えるシーンこそないが、さりげなく「社長シリーズ」の小林桂樹と加東大介、そして戦前の喜劇映画の大スターである榎本健一(エノケン)を出しているあたりも松林監督らしい。
[DVD(邦画)] 7点(2009-09-17 13:42:30)
833.  太平洋の翼 《ネタバレ》 
先週に続いて見た松林宗恵監督の戦争映画。潜水艦を題材にした「潜水艦イー57降伏せず」に対して本作では新鋭戦闘機を有する松山の飛行隊が舞台となっている。もちろん飛行機に思い入れの強い円谷英二監督の特撮による空中戦も見どころのひとつなのだが、特攻に異を唱える三船の姿や命令を無視して戦艦大和の護衛に向かう夏木陽介ら4人の姿に松林監督の思いが感じられて、ドラマとしての見ごたえも充分ある映画になっている。それでいて全体的に重い雰囲気の中で佐藤允演じる隊長と渥美清演じる彼の部下とのやりとりはどこかコミカルで微笑ましく、松林監督が喜劇も得意としているのがよく分かるし、何よりこの渥美清の演技が素晴らしく、彼の持ち味や魅力といったものがよく出ていて改めて良い俳優だなあと感じさせてくれるのは嬉しい。それに三船との絡みを見ているとつい「男はつらいよ 知床慕情」を思い浮かべてしまう。(あれが最初で最後の共演じゃなかったんだ。)全体を通して見ると戦争の愚かさや空しさといったものをストレートに描いた傑作だと思う。しかし、やっぱり加山雄三と星由里子のシーンはこの当時セットで売ってた関係上仕方ないにしても少しムリヤリ感があるのがちょっと残念。池部良が潜水艦の艦長を演じているのは「潜水艦イー57降伏せず」を見た直後だけにデジャブな感じがした。
[DVD(邦画)] 7点(2009-09-09 18:22:01)(良:1票)
834.  潜水艦イ-57降伏せず 《ネタバレ》 
松林宗恵監督の訃報はとても驚いたし、「社長シリーズ」をはじめまだそんなにたくさん松林作品を見たわけではないのにとても寂しい思いがする。そんな中で松林監督の追悼の意味を込めて本作を見た。潜水艦に女というシチュエーションは「ローレライ」を思わせるが、あり得ないほど荒唐無稽な映画でしかなかった「ローレライ」に対してこちらは一切の荒唐無稽さもなく、時々笑えるシーンをはさみつつもシリアスな戦争映画としてかなり見ごたえのある映画に仕上がっており、池部良や三橋達也ら出演者の熱演もあって「ローレライ」に比べるまでもなくはるかにまともである。これは既に青観さんが書かれているとおり、戦時中松林監督は海軍におり、主演の池部良も戦後しばらくは抑留生活を送っていた経験があるなどこの映画に関わったスタッフやキャストが実際に戦争を肌で感じている世代だからこそ出せるリアリティがあり、今現代の戦争映画とは比べ物にならないくらいの深みを感じられるからだと思う。ドラマに置いても最初は潜水艦の乗組員たちに偏見を持っていたミレーヌが高熱を出したときに乗組員全員が協力して氷を作ってくれ、それがきっかけで偏見を解くという展開は松林監督のメッセージが込められているようでとても印象に残った。乗組員の中に僧侶がいるのも松林監督らしい。それにしても松林監督の戦争映画を見ているとこの監督は必ずしも「社長シリーズ」だけの監督ではないと思えてくる。最後に、松林監督、お疲れ様でした。ごゆっくりとお休みください。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-03 13:47:22)(良:1票)
835.  メリー・ポピンズ 《ネタバレ》 
「サウンド・オブ・ミュージック」と並ぶジュリー・アンドリュースの代表作。以前にも途中まで見ているが、最初から最後まで見たのは今回が初めて。戦争が絡んで少し重い雰囲気だった「サウンド・オブ・ミュージック」に比べてこちらはディズニー作品だけあってファンタジー色の強い軽い仕上がりで、アニメとの合成シーンも素晴らしくとても楽しい映画で、家族向けには「サウンド・オブ・ミュージック」よりもこちらのほうがお薦めだ。個人的には子供たちが父親の働く銀行に出かける後半あたりから楽しい雰囲気の前半と違い、少し説教臭く感じられてしまったのは少々残念な気もするが、それでも、仕事人間の父親にどこか哀愁を感じたり、「2ペンスの重さ」など、製作陣のメッセージを理解できるのは当たり前だが自分がこの映画を子供とは違う目線で見ているからだと思うし、ちょっぴり感動してしまった。さっきも書いたように前半と後半で雰囲気に少し落差があるのは残念だが、後半の展開もなかなか良いと思うし、出来れば小学生か中学生の頃にも一度見ておきたかったなとも思える。でも好みでいけばやっぱり「サウンド・オブ・ミュージック」のほうが好きかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-27 16:43:06)
836.  東京湾炎上 《ネタバレ》 
丹波哲郎、藤岡弘、鈴木瑞穂、渡辺文雄といった「日本沈没」と「新幹線大爆破」が合流したようなキャストのパニック・アクション映画。テロリストがタンカーをジャックする序盤からわりと緊迫した雰囲気で、船長を演じる丹波哲郎をはじめタンカーの乗組員を演じる役者たちの演技もいいのだが、テロリスト役の外国人キャストが片言の日本語を喋っているのはこういう映画ではさすがにチープに感じられ緊張感をそぐ。それでいて、丹波哲郎が自身の英語力を披露したかったのかワンシーンだけ船長とテロリストのリーダーの会話がすべて英語で交わされるシーンがあるとかちょっとチグハグな印象。藤岡弘の回想シーンは何か意味があるのかと思っていたのだが、取り合えず女優を一人出したかったってだけだったような感じだったし、全体的に見てもドラマに深みが感じられない。ただこの映画一番の見せ場である「リアルな特撮映像によってテロリストの目を欺く」シーンの特撮は中野昭慶監督らしい派手な爆発の連続で、こういう設定なら多少爆発をやり過ぎていても気にならない。その爆発を実況しているのが中江真司で、藤岡弘がいることもあってなんだか「仮面ライダー」が見たくなってしまった。それにしても実際にテレビの捏造放送が問題になっている昨今、このシーンは現代のテレビ業界を予見したかのよう。この捏造放送自体をテーマに社会派映画を一本作っても面白そうだ。
[DVD(邦画)] 5点(2009-08-26 18:52:04)
837.  日本海大海戦
「日本のいちばん長い日」、「連合艦隊司令長官 山本五十六」に続く「東宝8・15シリーズ」の第3作で、日露戦争における日本海海戦を描いた大作映画。先週見た「日本海大海戦 海ゆかば」で東郷平八郎を演じていた三船がこの映画でも同じ役を演じていたりして何人か出演者がかぶっているのだが、こちらのほうが甘っちょろいエピソードもなく、純粋に日露戦争の経緯や政治ドラマが描かれていて見ごたえのある硬派な戦争映画に仕上がっていて面白かった。三船演じる東郷は「日本海大海戦 海ゆかば」でも重厚な存在感を放っていたが、本作では名実ともに主人公として描かれているためか、やはりこちらのほうがより存在感が大きくカッコイイ。「日本のいちばん長い日」と「連合艦隊司令長官 山本五十六」でナレーターを担当していた仲代達矢が役者として出演しているのは満を持してという感じがする。(三船との絡みがなかったのはちょっと残念。)しかし、なんといってもクライマックスのバルチック艦隊との戦闘シーンは三笠側の視点だけでなく、ちゃんとバルチック側の視点も入り、いかにして三笠がバルチック艦隊に勝てたかが非常にわかりやすく描かれているほか、その特撮に関しても同じ戦闘シーンを描いているにもかかわらず「日本海大海戦 海ゆかば」とは全く違う印象で、本作にも助監督として参加している中野照慶監督の自己満足に終わった感が強かったあちらに比べて見ごたえ充分な仕上がりで改めて円谷英二監督の特殊技術の描写のうまさを感じさせるスペクタクルシーンとなっていて素晴らしかった。そういえばこれが円谷監督の遺作だったはず。
[DVD(邦画)] 7点(2009-08-18 13:48:42)
838.  日本海大海戦 海ゆかば
確かに三船の演技や仲代達矢のナレーションは重厚だし、伊東四朗や若い佐藤浩市も良かったのだが、肝心の内容は「3年B組金八先生」の生徒役だった沖田浩之と三原じゅん子(金八ファンを動員するためのキャスティングか。)の安っぽくそしてどうでもいい恋愛ドラマなどはっきり言って邪魔だし、なにより全体的に緊迫感が無く、散漫な印象でドラマとしての重厚感に乏しく、クライマックスの戦闘シーンも大事な部分がなにも描けておらず終わりかたも唐突に説明テロップ出してエンドロールでは途中で脚本家が丸投げしてしまったような印象しか残らない。その戦闘シーンにやたら爆発描写が多いのも中野照慶監督らしいと言えばそうだがちょっとやりすぎの感もあり、肝心の中身がスカスカだからだろうか自己満足のようにも思えるし。元々本作よりも同じく三船が東郷平八郎を演じる東宝の「日本海大海戦」が見たかったのだが、どうせなら東映の本作と見比べてみようかと先に本作を見たわけだが、この出来では口直しの意味も含めて余計に東宝の「日本海大海戦」が見たくなってしまう。
[DVD(邦画)] 3点(2009-08-11 14:24:14)
839.  続・忍びの者 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。今回も監督は山本薩夫で前作同様社会派監督らしい目線もあるのだけど、前作の織田信長に加えて今回は徳川家康や豊臣秀吉が登場し、本能寺の変などの歴史上の出来事がわずか93分の間にぎっしりと詰め込まれており、今回のほうが前作よりも娯楽映画としての面白さは上だと思うし、話も前作より面白かった。しかし、少々エピソードを詰め込みすぎな感じがするのはちょっと残念な気もするし、五右衛門が釜茹でにされる直前にエンドマークが出るのもいかにもこの後の3作目につなげようとしている感があってなにかすっきりしないままなのもちょっと不満が残る。それに一部前作と演じる俳優が違う登場人物がいるのもちょっとなあ。でも、さっきも書いたように前作よりは面白いので今回も一応7点。それにしても森蘭丸を演じる山本圭(監督の甥)が若い。
[DVD(邦画)] 7点(2009-08-06 13:15:04)
840.  忍びの者
雷蔵主演の忍者映画。社会派で知られる山本薩夫監督の作品ということでちょっとかたいかなと見る前に思っていたが、確かに単純な娯楽映画という感じは受けないものの、それでもなかなか面白かった。雷蔵の忍者役というのは初めて見たが相変わらずクールでかっこよく、それでいて演技もうまい。しかし、この映画ではそんな雷蔵よりも、やはり二つの顔を持つ忍者集団の頭領を演じる伊藤雄之助の存在感あふれる怪演ぶりがもっとも印象的で、中でも普通の老人という感じから突然ものすごい動きをはじめるあたりはインパクトが大きく、また不気味で怖い。まさしくこの役は伊藤雄之助ならではだと思う。そしてその部下を演じる加藤嘉もなにか不気味な演技を見せていてこちらも印象的。ただ、信長を演じる若山富三郎は体格が良すぎで、以前に見た「尻啖え孫市」で弟・勝新が演じた信長と同じくちょっと違和感を感じるのだが。続編もあるようなのでそちらも見てみよう。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-30 12:39:00)
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