Menu
 > レビュワー
 > Cinecdocke さん
Cinecdockeさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 895
性別
自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445
>> カレンダー表示
>> 通常表示
821.  バベル
「頭の良い馬鹿ほど受けやすい映画」と誰かが言った。ブラッド・ピットと日本目当てで観たミーハーのほとんどは憤慨し、さしづめ神の怒りに触れて崩壊したバベルの塔のようだ。実のところ4つの物語が深く密接に関係することもなく、その構成を象徴するかのように、言葉も人種も宗教観も価値観も散り散りになっていく地球人のディスコミュニケーションに警鐘を鳴らしても、「だから何だ」で済まされる可能性が高く本末転倒だろう。ただ、2時間半に及ぶ長尺を冗長なくまとめた演出力は評価。賛否両論だが聾唖の女子高生を聖人君子として描かなかっただけ良い方。今の日本も映画のようなディストピアになってきているよね。
[映画館(字幕)] 5点(2015-04-09 19:51:44)
822.  21グラム
単純で辛気臭い話を無意味に時間軸シャッフルして高尚に見せても、ただただ分かりづらく下品にしているだけ。話が飛びに飛び、逆に俳優陣の熱演に集中できなかった。変に高尚にしようと意識しているのがイニャリトゥの悪いところ。
[DVD(字幕)] 4点(2015-04-09 19:49:13)
823.  アモーレス・ペロス 《ネタバレ》 
冒頭のカーチェイスから鷲掴みにされる。 荒削りでギラギラした熱情の一方で冷徹な眼差しのコントラスト。 タランティーノの乾いた暴力とポール・トーマス・アンダーソンの濃厚な悲喜劇の融合だ。 しかし、あくまでイニャリトゥ特有の辛苦さがねっとりしたメキシコの空気を支配する。 三度繰り返される交通事故が及ぼした人間模様はあまりにも容赦なく、もう取り返しのつかない喪失感を際立たせる。  「それでも人生は続く」。 これが監督の取り組む一貫したテーマである。  犬と共に何もない荒野を前に一歩一歩踏み締める姿に、生きる強さを感じざるを得ない。 兄嫁に見放された青年も生きていく。片脚を失った元モデルも生きていく。 絶望を超えて達観している。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-09 19:47:15)
824.  さあ帰ろう、ペダルをこいで 《ネタバレ》 
交通事故で両親と記憶を失ったブルガリア系ドイツ人の青年とブルガリアから飛んできた型破りな祖父がタンデム自転車で祖国へ帰るロードムービーを縦軸に、社会主義時代のブルガリアからの亡命を図った一家の回想を横軸として交差していく。バッグギャモンとタンデム自転車が重要なキーワードになっており、原作付きだから当然とは言え、脚本が素晴らしい。無理なく伏線が回収され、ミニカーと自動車事故がオーバーラップして記憶を取り戻す演出には感嘆。叙情性溢れる音楽も素晴らしく、二人と軌跡を追った気分になれる。亡命が皮肉にも家族の断絶を引き起こし、新天地でも暗い過去を送っていた青年が、祖父と始めたバックギャモンをきっかけに過去と決別し、新しい人生を始めるラストに「世の中捨てたものじゃない」と思わせる力があった。英題は『世界は広い、救いはどこにでもある』。とても良い掘り出し物でした。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-20 22:02:42)
825.  風立ちぬ(2013)
確認のため、地上波で二度目の鑑賞。言いたいことは他の素晴らしきレビューの通りなので多くは語らない。子供には退屈なアニメだし、盛り上がりもなく淡々としているのは構わない。ただ、ゼロ戦完成までの苦闘を描きたかったのか、メロドラマを描きたかったのかどっちつかずで、挿入される夢のシーンも相まって、さらに支離滅裂なものに。劇中で度々描かれる"矛盾"は本作そのものと言える。もっとも「監督が自分自身のために作った」んだから、宮崎&ジブリという理由で話題に振り回されるのはもう御免。いずれにしても、『ひこうき雲』のプロモーション・ビデオとして見たら十分な出来ではないだろうか。
[映画館(邦画)] 5点(2015-02-28 17:22:25)
826.  魔法にかけられて
二次元では動物と戯れ、楽しく歌う綺麗なプリンセスも、三次元では浮きまくって痛い女にしか見えない。そのギャップにひたすら引き攣った笑いが止まらなかった。ディズニーらしかぬ自虐さとシニカルさが逆に新鮮。ジゼルとエドワード王子が30代ってあたりも狙っているとしか思えないが、演技派のエイミー・アダムスでなければアニメの世界を実写に持ち込めなかったかもしれない。絵に描いたような薄っぺらいキャラクターが現実に触れることで次第に奥行きを与えられる過程とクライマックスの変化球に、ディズニーの正統進化が感じられた。惜しむらくは、ラストが強引で綺麗に締めてしまったところか。 もう少しブラックな結末にしても良いと思うけど。
[地上波(吹替)] 7点(2015-02-28 16:39:49)
827.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 
アカデミー賞発表の前日に観賞。主要人物の誰かが事故や病気で亡くなったらどうする? 主役の少年が堕落したらどうする? 12年かけて撮るという、簡単そうで撮り直しの利かないリスキーな賭けに勝ったリンクレイターの集大成。ハリポタ、iMac、初代X-BOX、大統領選、レディー・ガガとその時代を象徴するアイコンを散りばめながら、両親の離婚、母の再婚相手からの暴力、学校でのイジメ、母への反発、初恋と失恋を経験しながら成長していく主人公の姿を生々しく等身大に、丁寧に掬い取っていく。ラストの母親役のパトリシア・アークエットが全てを持っていった。息子は自分の背丈を追い抜き、今、自分の元から巣立とうとしている。あとは葬式しかない。時間は平等で同じ瞬間は二度と訪れない。それでも人生は続く。ある少年の冒険譚を見届けた万感の思いを彼女が代弁してくれた。振り返れば、一年前は何をしていたのか、あのときの知人は今どうなっているのか、何事もないように見えて、実は壮大な歴史の一ページを自分達は歩んでいるのではないだろうか。新天地へ旅立つシーンで終わった方が潔かった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-02-25 22:02:23)
828.  エコール 《ネタバレ》 
棺で壁に囲まれた閉鎖的な女学院に拉致され、リボンの色で学年分けされた少女達が生活している。性を意識しない、幼くも妖艶な匂いを漂わせる肢体が背徳感を際立たせる。男に買われた少女や手紙を通じて脱走する少女のエピソードを見ても、明るい未来ではないのは確かで、変態男の性欲の捌け口として搾取される少女の儚さを表現したかったのだろう。おフランスらしい独創的でミステリアスな世界観だが、むしろ少女達の顔の濃さが気になって、エロスや性的興奮を一切感じないどころか、ギャラリーの前でバレエを披露する場面では「もう好き勝手にやってくれ」と思った。溢れ出る噴水は、初潮や性衝動の比喩くらい分かるし、それを描いたところで「だから何?」としか思えない。どうやら自分は真性のロリコンではないようだ。つまり惹き付けられる世界観としてはまだ足りないということ。外の世界は一切描かなかった方がスマートだった。マリオン・コティニャールが出演していたのはちょっと衝撃。
[DVD(字幕)] 4点(2015-02-18 21:26:32)
829.  エンター・ザ・ボイド
テクノビートで刻むスタイリッシュなオープニングに鷲掴みにされ、テンションは最高潮に。しかし、本編が始まってから、シスコンでマザコンの変態ジャンキーの願望に右往左往に付き合わされ、極彩色で彩られたサイケデリックな"TOKYO"はただスッカスカに虚しく輝くだけ。次第にテンションは"無"へ萎んでいく。"輪廻転生"は分かる。「考えるな、感じろ」も分かる。つまり逆に言えば、濃密なストーリーや感情を描ける自信がなく、アンモラルな画しか賭けるものがなかったということ。別に短編やミュージックビデオで十分じゃないか。こんな映画に感じるものなど何も"無"かった。
[DVD(字幕)] 2点(2015-02-18 21:20:04)
830.  ファーゴ 《ネタバレ》 
「これは実話です」と冒頭から大層なBGMを流し、目撃者は変な顔と皆で言い、婦警は何となく犯人のアジトを見つけ、犯罪者コンビはちょっとした分け前で揉めて片割れをミンチ、という信じられないくらいの珍妙さとブラックユーモアのオンパレード。面白いのかつまらないのか分からないのに、どこかしら心の片隅に残る、そんな映画。そういう意味でコーエン兄弟の思惑通りかと。婦警を除いて、男達は自分のことで手一杯で他人を考える余裕がない。正に合理的で私利私欲に満ちたアメリカの縮図そのもの。後の『ノーカントリー』でも言えることだけど、「身の丈にあった当たり前の日常が一番幸せ」というスタンスを貫いていて、ユダヤ系らしかぬ幸福論が興味深い。
[DVD(字幕)] 6点(2015-02-15 18:32:15)
831.  フォックスキャッチャー 《ネタバレ》 
ジョンは母に愛されたかったのだろう。 低俗と貶されたレスリングを母に認めてもらいたかった。 一生遊んで暮らせるほどの金と権力があり、何でも出来ることへの自惚れと幼稚な態度はその裏返しか。  マークを雇ったのも、金で買えない真の友達が欲しかったのだろう。 だが、母を見返すことを優先し、途中からマークを邪険にしてしまうのも、 所有物として見てないセレブ特有のものか。  デイヴも引き込むが、ジョンで憔悴したマークを気遣うばかりでますます擦れ違いが大きくなる。 認められないまま母は死に、チームも良い成績を残せず、 自分の手に入れたかったものが零れ落ちて、残されたものは孤独のみ。 自分の欲しかったもの全てをデイヴが持っていた嫉妬もあって、彼に銃を向けたのでは。  ジョン・デュポンのようなセレブでなくても、中流家庭出身の犯罪者が続発しているのは、 埋め尽くさんばかりの物に溢れている割に心が満たされない見栄と虚無感による、 物質主義と精神主義の衝突があるのかと。 寒々しく晴れることのない風景が先進国の空虚さを捉えているかのよう。  コメディ映画はあまり見ないのでスティーヴ・カレルに偏見はなく、厭世的な狂気を漂わせていたと思うし、 実際にレスリングまでこなしたテイタムとラファロの熱演は言うまでもない。 ただ、賞レースであまり盛り上がらないのは、 ただ事実を提示するだけで、心を掻き立てられないのが大きいのかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2015-02-15 18:23:09)
832.  マネーボール 《ネタバレ》 
視点が面白い。野球をテーマにしてもあくまで裏方のお話。野球試合がメインではないため、物足りないと感じなくもないが、マネーボール理論で合理的に勝利を狙う展開を上手く魅せる。だから逆転ホームランのシーンで一番気分が高揚するわけで。ノウハウが他の球団で使われてしまうシビアさを字幕のみでサラッと見せ、終わりなき主人公の戦いを際出せていた。堅実な作りだけど、それ以上の収穫はなし。製作年から10年近く前の話なのに、パソコンのディスプレイに時代を感じるね。
[映画館(吹替)] 7点(2015-02-15 18:11:05)(良:1票)
833.  カポーティ 《ネタバレ》 
小説家という業の深さを丹念に描写した佳作。冷淡なトーンで静かに進みながらも、作品の完成のために分身と呼べる死刑囚を死なせるまでを迫力ある筆致で綴る。フィリップ・シーモア・ホフマンがカポーティの精神的な死を鮮烈に体現。後に『冷血』の原作を読んだが、一人の死刑囚に対して重きを置いていることを見ても、野心と憐れみの狭間で如何にして心身を削っていったか分かる気がする。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-15 18:03:21)(良:1票)
834.  ベイマックス 《ネタバレ》 
前作の『アナと雪の女王』に辟易していたため食わず嫌いだったが、意外にも大当たり。硬派なマーベルのテイストを見事にディズニーの世界観に溶け込ませることに成功しており、これほどの熱狂と感動に包まれるとは思っても見なかった。日本に対するディテールもしっかりしており、往年のロボット及び特撮ヒーローへの敬意が払われ、当作品への本気が伺える。黒幕のミスリードが象徴するように復讐の連鎖を如何に断ち切るか、ややご都合主義とはいえ、生前の兄の映像で上手く切り抜ける。努力というものをよく知っている教授が、失敗を繰り返しながらもベイマックスを完成させた兄の姿を見ていたら、ダークサイドに堕ちなかったかもしれない。日本テイストを最高の形で再現させ、尚且つ面白い"ジャパニメーション"をディズニーという米国のアニメスタジオが成し遂げてしまった。宮崎頼りのジブリの衰退を見ても分かる通り、近い将来、日本のアニメが必要とされなくなる時代が来るかもしれない。
[映画館(吹替)] 8点(2015-02-15 17:57:21)(良:2票)
835.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
映像に奥行きがあって凄い凄いと言われても、ストーリーがどうしようもなければ、この3DCG映像なんて30分以内で飽きる。 極めつけは、主人公の失態で原住民の住処が破壊され、彼らから信用を失くしたのにも関わらず、 赤い巨大ドラゴンを操って畏敬されたり、人間の身体を捨ててアバターで生きるラストなんてあまりにも御都合主義過ぎて、 サルでも分かるくらい酷いレベル。 これでアカデミー賞の作品賞を獲っていたら、賞の権威は地に落ちていただろう。 良質だが地味で宣伝する力が弱く、メジャー大作に埋もれてしまう現状に警鐘を鳴らす意味では、会員の判断は正しいと言える。 前例を作ったら、『トランスフォーマー』シリーズにも作品賞をあげても良いことになってしまうので。
[3D(吹替)] 4点(2015-02-01 13:28:03)
836.  ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE
テレビスペシャルで十分な内容。欲張っていろんなキャラを出し過ぎたために、どのエピソードもキャラの掘り下げも中途半端でしかも無駄にゴチャゴチャしすぎて非常に分かり辛いし、さらに一本の線に繋がらないのは致命的。前作の話も絡めてくるのだから尚更。それに夢の共演と言えども、初出のワクワク感がピークで、この組み合わせが当たり前になってしまえば有難みが薄れて飽きるものである。
[地上波(邦画)] 3点(2015-02-01 13:24:10)
837.  KANO 1931海の向こうの甲子園 《ネタバレ》 
サイドストーリーや回想形式が上手く機能しているとは思えないし、一部を除く選手全員を描き切っているとは言えない。字幕を付けなければ聞き取り辛い日本語があったりと、全体で見れば完成度は高いとは言い難い。しかし、人種や歴史的背景を超えて、甲子園に向かってひたむきに走る彼らの姿にのめり込み、気付けば3時間の長尺を忘れるくらい、ギャラリーと気持ちが一体になった高揚感は巨大なスクリーンでしか体験できなかっただろう。負け試合だとは分かっていても、最後まで諦めず全力を尽くす選手たちに、「せめて1点だけでも」と願っている自分がいた。戦前の日本統治を肯定する内容ではなく、分け隔てのない英雄たちのロマンを描いた製作陣に敬意を称したい。前作の『海角七号』『セデック・バレ』も見たくなった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-02-01 13:21:12)
838.  ルネッサンス
実写を白と黒の2色のみで表現したようなストイックな世界観に惹き付けられる。ただ、それは最初の10分までで、SFでは手垢の付きまくった設定を如何に見せるかが脚本家の仕事なのに、新しい発見がないまま、退屈で予想通りの展開に終始する。独特のビジュアルを活かした画作りも乏しいために、白黒画面が次第に単調に映えていき、映画全体の足を引っ張る皮肉な事態に。企画倒れとはまさにこのこと。奇をてらったビジュアルだけでは観客を惹き付けられない残念なお手本。
[DVD(字幕)] 3点(2015-01-31 01:43:15)(良:1票)
839.  カラフル(2010) 《ネタバレ》 
一体誰に向けて作った映画なのか。 前作の『河童のクゥと夏休み』はアニメでしか出来ない表現があったが、本作は実写でやれば十分な内容と表現をそのままアニメにしても、ターゲットの中学生にはピンと来ないのではないか? 現に声優陣を俳優で固めるあたりからしてもそうだし、極めつけは鉄道に関するエピソードでまんま実写写真がバーンと映し出される。不倫した母との関係にまだ決着が付いてないのはリアルかもしれないが、アニメでしかできない表現を放棄した先にあるのは、表面を撫でただけの"リアル"と思われる事象の羅列とそれを履き違えている製作者の自己満足。だから伝えたいメッセージの説得力が乏しいし、ケータイ小説の薄っぺらさに通じるものがあった。型に嵌って息苦しく、広がりがないんだな。もっと非現実に描いてこそ、物語内の現実が際立ち、"カラフル"が実感できるのではないだろうか。2000年に既に実写映画化されているんだから、この地点で題材を間違えているとしか思えない。"クレしん監督"のイメージから完全に脱却するのはまだ先のようだ。
[DVD(邦画)] 4点(2015-01-31 01:40:01)
840.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
◆拘束されたソロモンの背中を板が壊れるまで容赦なく殴り付け、今度は鞭で血肉を飛び散らせるほどに切り裂く。この長回しに「早くカットしてくれ」と思うくらい身体を引き攣らせた。奴隷制度というものがどれほど惨たらしいものかを想像させるには十分なワンシーンである。しかし、それは序章に過ぎない。他の自由黒人も家族もろとも拉致され、別々の所有者に引き裂かれて二度と会えない絶望感。逃げ出すも捕まり吊るされる前の奴隷の表情。「逆らっても無駄だ」と諦め、死ぬまで酷使される運命を悟る奴隷達。歴史に埋もれた黒人達の声なき絶叫が痛烈に伝わってくる。◆一見、善人の白人もいるだろう。同情はするし、人間として接するも生活のため、社会的抹殺をされないために平然と裏切る。制度に対して誰も疑問を持たない当たり前の世界。葛藤しつつも結局パッツィーを痛めつけるエップスもまた、現代社会の矛盾を黙殺している我々と同じではないか。◆ソロモンは偶然助かったに過ぎない。家族と再会しても12年の歳月は帰ってくることはなく、背中の傷跡も死ぬまで消えることはない。心は奴隷時代の闇に残されたままだ。「それでも自由黒人であるお前はまだマシな方だ。奴隷黒人と何が違うのだ?」と重く問いかける。◆アカデミー賞で勝利したのにもかかわらず、『アナと雪の女王』と『ゼロ・グラビティ』に埋もれるのは不憫すぎる。単純に「感動しない、つまらない」と切って捨てるのは恥じるべきだろう。娯楽だけが全てではない。日本が社会現象にさせるべきなのは、"Let It Go"ではなく"Roll Jordan Roll"であるはずだ。『タイタニック』並みにメガヒットさせるべきだった。それでも戦前の迫害行為からまだ目を背けるつもりなのか。我々もまた、鞭を振るう側かもしれないのだから。
[映画館(字幕)] 8点(2015-01-24 23:03:51)
020.22%
1202.23%
2202.23%
3434.80%
410211.40%
516218.10%
617018.99%
722725.36%
811212.51%
9273.02%
10101.12%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS