841. 狼は天使の匂い
フィルム・ノワールというものが好きな方には絶賛されているようですが、ストーリーに無理がありすぎます。 アクションに関していろいろなアイデアを沢山織り込んだのはいいのですが、ラブストーリーや人間関係の部分は矛盾があり、薄っぺらなので私には納得がいきませんでした。 何かしらの形で追われている主人公が別のギャング一家に巻き込まれて、その方棒を担うというお話し。 当時日本で流行ったヤクザ映画を参考にしているようにも覚え、主人公とギャングのボスが親密な関係になっていく過程にも無理がありすぎます。 伏線や小道具もたいしたアイデアではありませんがテンポが速いので、人間ドラマなんかどうでもいい、タランティーノみたいなアクション映画を求めている人には満足できる作品ではないでしょうか。 因みに上映時間は135分でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-24 06:45:53) |
842. 秋のソナタ
《ネタバレ》 リヴ・ウルマンとベイルマンを期待して観たのですが、最後のクレジットまで母親役がイングリッド・バーグマンとはわかりませんでした。 バーグマンが娘が告白する過去の憎しみを聞いて落ちぶれていく過程が、全くバーグマンらしく見えないのは、彼女の演技力がいかに素晴らしいか捉える事ができます。 私も自分の母親とは映画と似たような関係を持ち、やはりお互いの心情をぶつけ合ったことがあります。 その時も、この映画と同じように自分が正論と思って口にしてしまったことを後悔し、母親は母親で、もう語り合いたくないという心境に陥っていました。 年齢もあるのでしょう。年寄りに過去に何があったか具体的に話しても疲れるだけなのかもしれません。 この映画の母親は自分が過去に捨てた娘たち以上に、まだ救いを求める人間がいるから、ラストシーン「死ねばいいのに」とケロッと口に出してしまうのだと思います。 ところで、ある作家が親子愛は読者、または映画では観客は人物関係を理解しただけで「(親子)愛」は存在すると理解すると言ってましたが、私はお互いが全て「親子愛」で永久に結びつくなんて信じてはいません。 意外と邦画では作られることのない稀な映画だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-24 03:03:40) |
843. さらば友よ
男のために作った男の友情映画。とは言っても決してホモセクシャルなものではありません。 映画において決して離れることの出来ない関係とは、家族、そして同じ戦場で戦った経験を持つというシチュエーションだと思います。 主役のアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン。観客はこの二人を格好いいと理解できなければ観賞する価値は見つからないと思います。 ストーリー? あってないようなものです。 二人は「俺は鍛えているんだぞ!」とばかりに上半身裸になり、脱出作業に精を出します。 当時40歳になりかけた頃のブロンソン、この肉体美を作るための食生活は相当苦しかったとのことです。 歴史に残る名シーンもいくつか残した本作。この点数が妥当ではないでしょうか? 因みに私が持っているビデオはフランス語ですが、今回放送されたものは英語でした。どっちが本物なんでしょう? [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-07-14 03:44:53)(良:1票) |
844. ムーンウォーカー
《ネタバレ》 最近マイケルのファンになった方なら満点をつけるかもしれないけど、彼がどんなアーティストだったか知るために観賞する作品ではありませんよ。 実際の登場シーンは半分くらいだし、今回深夜放送で観たのが初めてだったのですが、「スムーズ・クリミナル」「リーヴ・ミー・アローン」「カム・トゥゲザー」など、ほとんどの映像は当時、テレビでフルヴァージョンで流された物ばかりでした。 私は一周忌の今もユーチューブを通してマイケルのライブパフォーマンスを観るのが趣味の一つですが、このDVD、正直買わなくてよかったと思っています。 興味深いのは、アマゾンのレビューも含めて、マイケルが非難されていた時代に書かれた文章の酷さです。 直接会ったこともない人間について、映画を通して非難する人間の心境。メディアというものは偏見というものを簡単にコントロールしてしまうんですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-26 20:48:07)(良:1票) |
845. サラバンド
まず最初に、この映画は1973年製作の「ある結婚の風景」を観ないと状況が全く理解できないと思います。 離婚した夫婦が30年後に再会する話なのですが、孫娘のサブストーリーがメインになっていくにつれて、主人公二人の存在が薄く感じられてしまいます。 以前「男と女」でも20以上経って続編を作られたりしましたが、30年というのは、これまた凄い年月だと思います。 「ある結婚の風景」で美人だった奥さんが、年月が経ち、これだけ老いを感じさせる外見になると、私も「明日は我が身」と思ってしまします。 以前から中途半端で終わった映画を観て、この後、数十年後にこの物語はどうなるのだろうとおもった作品が沢山ありましたが、本作は、まあまあ楽しく観賞できました。 「ある結婚の風景」の登場人物が40歳から始まっているので、30年経つと驚くほど老いを感じさせてくれます。 [地上波(字幕)] 6点(2010-06-22 01:52:28) |
846. ある結婚の風景
上映時間168分と書いてありますが、実際には50分から60分の6話分のドラマなんです。168分というのは、このドラマを編集して劇場版のようです。私は衛星放送でドラマ版を観ました。第1話から、普通の夫婦の平和な生活が描かれていて何もありません。それが第2話から突然夫の浮気が発覚、第3話、第4話は忘れたけど、密室での二人芝居などがあり、セックスして離婚。ドラマに振幅を与えようとすぐがあまり、登場人物の二人の心境についていけないときもあります。最終回は数年後の話しで、お互い別の人と再婚しているのですが、再会してベッドを共にする。平穏な生活をしていない私には、なかなかセリフのやりとりも面白く、「普通」というものが面白く思えましたが、決して万人ウケする映画ではありません。眠ってしまう方も半分以上いると思います。しかし、この30年後に再び、この夫婦が再会する映画「サラバンド」の存在が、この映画、もしくはドラマをもう一度観賞してみたい理由になりました。 [地上波(字幕)] 6点(2010-06-22 01:27:45)(良:1票) |
847. 刑事コロンボ/策謀の結末<TVM>
《ネタバレ》 小池さんの吹き替えで観れるのは貴重らしいですね。アイルランド紛争に関する銃の密売が話しの中心になっていくことで、いったい殺人の動機は何だったのか?考え直してみると、殺す必要はなかったような気がする。コロンボと犯人の詩のやりとりがあるのですが、センスある吹き替えが素晴らしかったように思います。旧シリーズ最終回とのことですが、コロンボも疲れているようにみえました。 [ビデオ(吹替)] 7点(2010-06-14 18:30:59) |
848. ローズ
《ネタバレ》 他のレビュアーが書かれてある通り、本作は主人公のモデルをジャニスに真似ただけで、物語そのものは全て創作です。 でも創作だからこそいいストーリーが出来たのだと思います。 女性はローズも含めて全て気まぐれな生き物。自分のそばにいた男が優しくしてくれば、邪険に扱い、離れていけば泣きながら追いかけていく。 ところで、素人が本作の「ローズ」をよく歌うのを耳にしますが、そんなにいい曲でしょうか? 因みに、映画のローズは薬はやってなかったけど、ジャニスは完全なジャンキーだったことを付け加えておきます。 ジャニス・ジョプリンンについて知りたければ「ジャニス」の観賞をお勧めします。 「ジャニス」はドキュメントですが、見比べてみて、故郷に戻る二人の対照的な描かれ方に気付かれるはずです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-06-07 02:30:57) |
849. プリンス/パープル・レイン
知らない方は、まずプリンスのCD「パープルレイン」を視聴してみてください。いい曲だと思わなかったら、やめた方がいいと思います。 この頃、プリンスはマイケル・ジャクソンと同じくらい日本でも人気で、来日公演をゴールデンタイムで放送していました。 数十年ぶりの観賞ですが「レッツ・ゴー・クレイジー」は、まるでカルチャークラブの曲みたいで古臭さを感じました。まるでアニメソングです。 唯一よかったのがタイトルソングですが、当人のギターの指運も映ってないし、もう一度観たいと思わなかったので、観賞後はHDDからすぐに消しました。 ストーリーは各曲の演奏の穴埋めのために無理矢理詰め込んだシナリオで、内容はあってないようなものです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-06-07 00:32:40) |
850. 刑事コロンボ/さらば提督<TVM>
《ネタバレ》 最終回の予定だっったろうが、ここまで来ると「コロンボ」として楽しめなくなる。 犯行動機や小道具など、いまいちパッとしないし、懐中時計の音を聞いたコメントだけで、犯人だと決めつけてしまうところなど、もうメチャクチャ。付添いの刑事と新入りの刑事のセリフが多いため、コロンボの出番が少ない。第一回放送から5年以上も経てばネタ切れは仕方ないのでしょうか? でも、この後7つもエピソードが作られるんですよね。非常にヘンテコリンな作品です。 パトリック・マクグーハンが監督なのも要因の一つです。この人が監督すると、いつも変…。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2010-05-30 12:21:13) |
851. 歌え!ロレッタ 愛のために
シシー・スペイセクとトミー・リージョーンズが、これほど素晴らしい作品出演しているとは知りませんでした。 シシーの父親との約束を簡単に破って、ロレッタを殴ってしまうトミーですが、最後まで、ロレッタに対する愛を貫き通すところに胸が熱くなるテーマを感じさせます。。 これが「映画」なんです。ドラマなんです! カントリーミュージックが浸透していない日本で、私は最近、アリスン・クラウスとういう歌手を知ることが出来ました。 一昨年、レッド・ツェッペリンのロバートプラントとコンピレーションアルバムをリリースして、アルバム・オブ・ジ・イヤー・グラミーを獲得したので参考までに聞いてみてください。 ところで、シシーは何故歌手活動に転向しなかったのだろう。 映画で歌うシシーは、プロの歌手そのものです。シシー本人が歌っています シシー・スペイセクといえば、「キャリー」が有名ですが、本作を観賞して、見方を変えていただけると嬉しいです。 因みに、本作のモデルとなったロレッタ・リン。HPを見ると、まだ健在なんですね。それに映画のシシーと雰囲気もそっくり。 ロレッタからの制約もあったのでしょう。レイ・チャールズのような悲惨なシーンは少ないですが、タイトルがダサいけど、見る価値「大」の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2010-05-28 05:28:48) |
852. 熱いトタン屋根の猫
《ネタバレ》 下のレビューで書かれた私なりの答えです。 どうしてポール・ニューマン演じる次男は妻を許す気になったか? 一つは、他のレビュアーの言葉を借りて「最後まで熱いトタン(修羅場)」から飛び降りず、兄夫婦を相手に一人で闘い続け、最後は父親に最高のプレゼントを送ったからだと思います。 もう一つは、本当に妻を許したのかという疑問です。 妻は兄嫁に散々な言葉を浴びせられました。字幕でしたが、あれは酷すぎますね。 次男は妻に助け船を送り、部屋に入ってキスをして、ベッドに枕を投げます。 あの枕は、私には「妻への愛」というより、父へのプレゼントを本物にする気持ちの表れだと思いました。 違うという方もいるかと思いますが、私に言わせれば、沢山出回っている本作の解説本の方が間違っていると思います。 意見には個人差があります。 E・テイラーの魅力満載の作品です。 私はP・ニューマンの大ファンだけど全く魅力を感じませんでした。本人も、この作品の演技が嫌いと言ってた記憶があります。 でも、この作品の主人公はP・ニューマンだと思います。だって、この作品のテーマは「父と息子」なんですから。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-22 11:57:20) |
853. 泥棒成金
私はどうしてもストーリーが面白くないと評価を上げないタイプなので、退屈極まりないといった感想しか持てません。 なんとなく、「ルパン三世」を書いたモンキーパンチさんが参考にされたような気がしてなりません。ルパンでも似たような話があったと思います。 私はルパンの方を先に観てるので、こういうスリルを感じさせない映画をヒッチコックスリラーと呼びたくはありません。 時間を無駄にしました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-05-21 21:56:21) |
854. ジュリア
《ネタバレ》 本サイトで高評価だったので期待したが、展開に起伏がないし、何を訴えたいのか全く伝わってこない作品だった。 クリント・イーストウッド主演の「ファイヤーフォックス」と同じく、本作はモスクワで反ナチス運動をしている幼馴染のジュリアにたどり着くまでがメインストーリーだが、冒頭の、なかなか本が書けない主人公の葛藤や成功など、本筋に必要ないエピソードが多すぎる。 ジェーン・フォンダは、まるでファッションショーのように衣装替えが多かったが、それが返って、1938年の舞台設定の雰囲気をブチ壊している。 ジュリアに逢って、自分の産んだ子を探してほしいと頼まれる主人公リリー。 しかし、いかに戦争が始まったとはいえ、この結末は酷過ぎると思う。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2010-05-20 01:50:23) |
855. めまい(1958)
《ネタバレ》 ジェームズ・スチュワートって既に50歳でしょ? こんなオヤジに、なんで20代の美女が恋をするのか、ヒッチコック作品を観るたびに疑問を抱きます。 冒頭から観客の心を掴むテクニックは他のどの作品よりも素晴らしい。 しかし、犯行が成功した後も、主人公のいる近辺に住んでいるキム・ノヴァクは不自然でならない。 私が東京で事件を犯したら最低でも大阪へ逃亡すると思う。 おまけに、死んだはずのヒロインに似た女性を見つけて、同じスーツ、同じ髪型した上、キスまでしておいて、女性が身につけたブローチ一つでようやく彼女が本人だったと知る主人公。はっきり言ってマヌケです。 でも、これらのシーンは、キム・ノヴァクのファッションショーだと気持ちを切り替えれば、なんとか我慢出来ます。 [地上波(字幕)] 6点(2010-05-19 22:58:27) |
856. サイコ(1960)
この作品、今の世代に紹介すると、何が怖いの?という感想がほとんど。やはり当時、初めて観賞した人がうらやましいです。 私も途中から、一緒に観ていた奴に「犯人、こいつなんだよ」と言われた時はがっかりでした。それに加え、そいつは「猿の惑星」のエンディングも私に言って喜んでいたので、今でも彼を恨んでいます。 最近BSを観ると、ヒッチコック特集とかいって、ジャネット・リーが殺されるシーンを詳しく解説したりと、作品自体の喜びとスリルをダメにしてしまう番組が多すぎます。 若い人には予備知識なしで観て貰いたいものです。 私にとっては、ヒッチコック最高作品。 BSプレミアムのスタッフに一言物申したい。 「予告でネタバレするな!」 [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-17 03:24:59) |
857. 刑事コロンボ/忘れられたスター<TVM>
《ネタバレ》 放送された頃、ヒッチコックの「サイコ」も放送されたのですが、年代が違うせいか、同じ女優のジャネット・リーが演じているとは思えませんでした。 個人的な意見ですが、コロンボのエピソードの中で一番有名な作品ではないでしょうか? 度々思うのですが、コロンボが犯人を特定する理由がよくわかりません。 特に今回の場合、自殺でも成り立つのではないでしょうか? コロンボが連行するのが犯人ではない唯一のエピソード。その理由には確かに胸が痛くなりますが、私の知り合いに余命2年と宣告され10年経った今もまだ元気にしている方がいます。犯人がこのまま元気に生き続けたらどうするのだろうと、ちょっと首をかしげそうになりました。 でも傑作だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-17 03:11:47) |
858. 刑事コロンボ/仮面の男<TVM>
《ネタバレ》 パトリック・バクグーハンは「プリズナーNo7」以来の大ファンだったのですが、本編と関係ない会話が多く、難しく話しをしようとしたのが裏返り、正直つまらなかったです。肝心の殺人の決め手になる証拠は、いいアイデアだと思いますが、CIAでも捕まえることが出来なかった事件をコロンボが5分足らずで解決してしまうエンディングもあっけなかったです。それから、このエピソード、人間ドラマが全くといっていいほど描かれてありません。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2010-05-17 02:46:52) |
859. ローラーとバイオリン
《ネタバレ》 純粋な少年と大人の「約束」をテーマにした作品です。 DVDで観たのですが、この色、後付けしたように思えます。 子役と俳優さんの表情が、お互いに見たことがないロードローラー(重機)とバイオリンに触れることで生き生きと変化していきます。 当時、コンクールで1位を取ったそうですが、今コンクールで出品されたら……やはり、これはタルコフスキーの作品に触れた人が観る作品でしょう。 46分で終わる可愛い小品です。 [DVD(字幕)] 6点(2010-05-02 00:54:45) |
860. 花の生涯 梅蘭芳
《ネタバレ》 冒頭からテンポのいいリズムとスリルを感じ期待しましたが、ジャケットと予告で『「さらば、わが愛」を越えた』というのが、どうも鼻につきました。 あまりいい宣伝文句とは言えませんね。 頑張ったのは伝わってきますが、正直全体を通していうと越えてはいません。 京劇俳優の女形スターが主人公というのが共通点ですが「さらば~」は三角関係の恋愛模様が中心、本作は梅蘭芳(メイランファン)という主人公の人生を描いた大河ドラマです。 梅蘭芳の役は時代の変化に合わせて二人の俳優さんが演じていますが、二人とも男性とは思えないほど美しい女形に変身しています。舞台の歌声も見事です。 前半は文句無しです。ここまでは一見の価値あり! しかし、冒頭で実話というテロップもあり、それから先の主人公の歴史を無理矢理詰め込み過ぎています。 時間軸を変えない手法はよかったのですが、なんだか、よくある有名人の人生を描いたハリウッド映画のように変わっていきます。 愛人役のチャン・ツィー(絶対ミスキャスト!)も含めて、周りの人物が優しいんだか冷たいんだか性格が定まっていません。 終盤は日本軍の南京侵略の影響をもろに受け、京劇が全く描けなくなってしまいます。 でも、セリフのやりとりもセンスがいいし、「さらば、わが愛」を観賞した人には、一度観てもらいたい作品です。 [DVD(吹替)] 8点(2010-05-02 00:23:18) |