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861.  のぼうの城
あまり期待せずに見たのだが、素直に楽しめた。なんといってもみなさんが既におっしゃるように野村萬斎演じるのぼう様がハマリ役で、このキャスティングだからこそこののぼう様という人物がとても魅力的に見え、このキャスティングありきの映画のようにも思えるが、本作はそれによって成功している。少数が大群相手に戦うというストーリーが「七人の侍」を思わせているが、冒頭の音楽や劇中の田植えのシーンが「七人の侍」を意識しているのがニヤリとさせられる。それに全体的にコメディタッチで楽しく見られ、それでいて合戦シーンはしっかり迫力のあるアクションに仕上げてあり、そのバランスも絶妙だった。犬童一心監督と樋口真嗣監督の共同監督作品だが、ドラマ部分は犬童監督が、合戦シーンや水攻めシーンといったスペクタクルシーンは樋口監督が担当といった感じがいい。晴れ晴れするようなラストも爽快だった。キャスト陣に石田三成を演じる上地雄輔などバラエティー番組でよく見かける人がチラホラいるが、それも気にならずに見れたのは良かった。しかし、甲斐姫を演じる榮倉奈々だけは背が高すぎるせいか、見ていて少し違和感を感じ、これだけがちょっと気になった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-09-22 12:16:54)
862.  最後の特攻隊 《ネタバレ》 
神風特攻隊を題材にした佐藤純弥監督による東映のオールスター大作戦争映画。1970年というカラー映画であってもおかしくない時代にあえて白黒で撮影されているところにこだわりを感じる。群像ドラマとしてもしっかりと作り込まれていて、見ごたえがあり、とくに中盤以降は渡辺篤史演じる吉川のエピソードを中心に構成されていて、この吉川の話はかなり丁寧に作り込まれている。実家に帰ってきた吉川を母親が涙ながらに叱責し、追い返すシーンや、その直後に自殺しようとする吉川を宗方(鶴田浩二)ともう一人の仲間が止め、必死に説得するシーンが良いし、特攻作戦で死ぬのを恐れていた吉川が空襲で燃えはじめた戦闘機に自ら乗り込み、自爆して最期を遂げるという彼の結末には思わず泣いてしまった。吉川を演じる渡辺篤史もいい演技を見せていて、彼の代表作とも言える役柄だと思う。そのほか、山本麟一と梅宮辰夫の兄弟のエピソードも印象深かった。得てして大味になりがちなこの手の映画であるが、本作はこの二つのエピソードのおかげで印象に残る佳作になっているし、また70年代後半以降に大作映画を多く手掛けることになる佐藤監督の演出にも光るものがあり、今まで見た彼の監督作の中でもいちばん面白い映画だった気がする。ただ一つ、終盤の終戦になったというシーンがえらく唐突に感じたのはちょっと残念。このあたりにもう少し配慮があれば良かったかなと。
[DVD(邦画)] 8点(2015-09-05 18:19:08)(良:1票)
863.  あヽ同期の桜
学徒兵として戦場に散った若者たちの遺稿集を原作とする東映の戦争映画。青春の只中に学徒出陣で軍隊にかり出された若者たちの姿がドキュメンタリータッチに近い演出で描かれているが、いかに軍隊というところが厳しく、そして人間としての尊厳などまるでないところかというのがよく分かる映画になっていて、面白いとかは別にしても見て良かったと思える映画だった。任侠映画全盛期の東映で作られたこともあって出演者の大半は任侠映画で見たことのある人が占めているが、映画自体が任侠映画のような雰囲気にはならず、出演者の演技にもとくに違和感はなく見れたのも良かった。とくに実際に特攻隊にかかわっていた鶴田浩二はこういう軍人役を見るといつもハマっているように思う。ただ、不満を言えば見る前に中島貞夫監督の意に沿わない編集がされた作品というのを知ったが、そのせいか個々の登場人物の人間ドラマとしてはけっこう散漫な印象を受ける部分が多いように感じるのは少し残念だった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-29 12:02:53)
864.  夕やけ雲 《ネタバレ》 
木下恵介監督が自身の妹でもある楠田芳子の脚本を得て手がけた青春映画。主人公の青年が数年前の出来事を回想する形式で、青年の過ぎ去りし日の思い出を描いているが、いかにも木下監督らしい抒情にあふれた佳作となっている。父(東野英治郎)の死や親戚の家にもらわれていく妹、そして望遠鏡でのぞいていた少女や親友ら主人公の大切な周囲の人々との別れや、夢を持ちながらもそれをあきらめ家業の魚屋を継ぐ青年の姿が切々と描かれており、人間が生きていくためにはいろんな別れや時としては自分の夢も捨てなければいけないという人生の厳しさ、そういうものがリアリティーを持ってこちらの胸に迫ってくるのだ。中でも妹との別れのシーンで、いったん帰りかけた青年が引き返し、「必ず迎えにいくからな!」という言葉をかけるところは思わず泣かされた。青年の姉(久我美子)の夫の電話に出た後に倒れた父親の死ぬシーンを直接的には描いていないのもいい。北海道に旅立っていく親友との別れも二人の友情の深さを感じられるような丁寧な演出が良かった。この二人の関係を同性愛的な描き方と評しているものもあるようなのだが、そうは感じなかった。出演者に目をやると青年を演じる田中晋二と彼が望遠鏡でのぞく先にいる病弱な少女役の有田紀子は未見だが木下監督の代表作の一本である「野菊の如き君なりき」の主演コンビというある意味ではお遊び的なキャスティング、それに「女の園」で高峰秀子の恋人役として出演していた田村高廣が本作ではその共演者のひとりである久我美子の恋人役というのが面白い。それにしても木下監督は自身で脚本も手掛けることのほうが多い監督だが、新藤兼人監督が脚本を手がけた「お嬢さん乾杯」しかり、ほかの脚本家から提供を受けた作品でもきちんと良作を作れる監督なんだとこれを見て思う。そういえば本作は監督と脚本に加え、音楽(木下忠司)も撮影(楠田芳子の夫である楠田浩之)も木下監督の親類縁者だ。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-07 01:02:27)
865.  遠い雲
木下恵介監督が「二十四の瞳」の次回作として手がけた恋愛映画。高峰秀子扮する未亡人と彼女を想う義弟(佐田啓二)、そして未亡人のかつての恋人(田村高廣)との関係というともすればドロドロの恋愛劇になってしまいそうなところをそうはせずに逆に味わい深く描いているのが木下監督らしい。ただ、「二十四の瞳」という名作の次回作ということもあるのか、話そのものは平凡な印象で、映画としても凡作という感じ。でも、ラストシーンはけっこう良かった。ヒロインを演じる高峰秀子は先週見た「名もなく貧しく美しく」でも素晴らしい演技を見せていたが、こういう役を演じていても見事にハマっていて、やはりものすごい名女優であると感じさせてくれる。そういう意味で本作は高峰秀子を見るための映画なのだと思う。木下監督と共に脚本としてクレジットされている松山善三と高峰秀子はこの年に結婚した。この二人はこの後、脚本家と女優としても、監督と女優としても数々の映画でコンビを組んでいくことになるのだなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-31 23:29:54)
866.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
原作は推理モノらしい(未読)のだが、本作は原作のストーリーを主人公・三田静香が研究生として所属する劇団の舞台劇として表現し、メインストーリーは研究生の静香が女優へと成長していく青春ドラマとなっているというのが非常に大胆。静香の年齢を当時の薬師丸ひろ子本人と同じ二十歳に設定することによって役柄と実際に演じる女優をダブらせているのが見事で、薬師丸ひろ子のアイドル時代の出演作は何本か見ているが、本作で三田静香を演じる薬師丸ひろ子はそれらとは違う印象を残していて、とくにラストシーンの静香からはもう映画の役柄とかは無関係に、これからはアイドルとしてではなく、本格的な女優としてやっていこうという薬師丸ひろ子本人の決意のようなものが感じられて、映画と現実をシンクロさせたようなこの配役は成功していると思うし、このラストシーン自体も素晴らしい。本作は紛れもない薬師丸ひろ子の代表作といえるだろう。(以前、何かのインタビューで薬師丸ひろ子が自身の出演作で忘れられない作品として「セーラー服と機関銃」とともに本作を挙げていたが、本作で静香を演じている間はそうとう苦しかったのではないかと思う。)劇中劇として登場する舞台「Wの悲劇」は、劇中にも本人がモデルと思しき演出家役で登場する蜷川幸雄が監修した本格的なもので、劇中劇という扱いなのが勿体ないと感じるほど作り込まれていて、つい最初から最後までこの舞台を見ていたいと思ってしまうほど。(この舞台で刑事役を演じている三田村邦彦演じる五代を見て「危険な女たち」を思い出してしまった。)舞台のストーリー展開と演じる側のドラマが二重構造になっている点も凝っていて、ドラマとしても見ごたえがあるものになっている。そして忘れてはならないのが自分のスキャンダルの身代わりになる代償として舞台の主役を菊池かおり(高木美保)から静香に交代させる大女優・羽鳥翔役の三田佳子の悪女ぶりもすごくハマっていて、苦手な女優なのだが、静香に話を持ちかける長回しのシーンなどはこの人が演じるからこそ出せる迫力というのが確かにあって、印象に残る名シーンとなっている。本作は先ほど書いた薬師丸ひろ子の代表作であると同時に三田佳子の代表作でもあると思う。とはいえ今見ると、「私生活と舞台となんの関係があるの?」という翔のセリフはこの映画の数十年後に次男が逮捕され、それがスキャンダル化して干された三田佳子本人の本音のような気がしてしまう。劇中劇の舞台をもっと見ていたかったのと、後半が少し駆け足気味に感じたのでもっと上映時間が長くても良かったのではと思ったので少し低めの点数にするが、映画としてはじゅうぶんに面白く、今まで見た角川アイドル映画の中でも傑作のひとつと言える映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-18 19:11:49)(良:1票)
867.  早春物語 《ネタバレ》 
原田知世主演の角川アイドル映画の一本。17歳のヒロイン(原田知世)と42歳の独身中年男(林隆三)との恋を描いていて、アイドル映画としてはかなり内容が大胆だが、その大胆さも角川映画らしいと思えば納得がいく。しかし、脚本はグチャグチャで、ドラマとしては面白くもなんともないし、感情移入のしようもない。ヒロイン役の原田知世に対して相手役が林隆三というのはあまりにも濃すぎでこの二人のラブシーンもドキドキするというより、ただただ気色悪いだけで、ラストの空港での林隆三が原田知世に告白するシーンも本当に本心とは思えなかった。それに原田知世の魅力もあまり感じられなかったのも残念だった。ただ、澤井信一郎監督の演出は丁寧で、印象に残るシーンもいくつかはあるのが本作の救いかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-07-15 21:57:28)
868.  潮騒(1964) 《ネタバレ》 
BSプレミアムで再放送中の「あまちゃん」に今頃ハマり、その中の劇中劇として登場した架空の映画「潮騒のメモリー」が気になってモデルと思しき本作を見たのだが、今まで見た三島由紀夫原作モノの中でもとっつきやすく、高尚な文芸映画というよりは無難なアイドル映画という感じで、軽い気持ちで安心して見ていられるつくり。この後も山口百恵や堀ちえみといったその時々の旬のアイドルを起用して映画化されているのも分かる。全体として甘さを感じる部分も多いのだが、アイドル映画だと思って見るとまあこんなもんだろうという感想で可もなく不可もなくというところか。ヒロインの「その火を飛び越してこい。その火を飛び越してきたら。」というセリフが有名なのだが、どういう風に出るのだろうと思っていると、なんかえらくあっさりとしていたのは逆に驚かされた。音楽がギターで通されているが、ちょっと雰囲気的に合ってなかった気がするし、これは比べるのもどうかと自分でも思うが、「あまちゃん」を見ているさなかにその影響下で本作を見たせいか、吉永小百合扮するヒロインは海女という設定なのに海に潜っているシーンがほとんどないのが少し物足りなく感じた。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-09 23:26:59)
869.  競輪上人行状記 《ネタバレ》 
兄の死によって実家の寺を継ぐことになった中学教師の男(小沢昭一)が競輪にハマり、堕ちていく様を描いた作品だが、坊主になった聖職者がギャンブルにはまり込むというこの設定自体がまず面白く、原作を書いた作家が住職というのにも驚かされる。今村昌平監督が参加した脚本は下世話だが、深みがあり、味わい深く人間ドラマとしても見ごたえのある映画になっていて、ただ下世話なだけというふうにはなっていないのが見事だった。主演の小沢昭一も見事にハマっていて、こういうダメな男を演じていてもどこか愛嬌があり憎めないところがあり、こういう演技はこの人ならではだろう。それよりすごいのはやっぱり南田洋子演じる主人公の兄の妻。夫の棺の前で夫の幻影に鞭打たれて悶えたり、死んだ犬の肉を焼き鳥屋に入れてしまうという行動が強烈なインパクトを残しているし、絶対に秘密にしなければいけないような過去をサラリと主人公に告白したりするのもものすごい。葬儀の最中に主人公に葬儀屋(加藤武)が耳打ちするシーンなど、寺や葬式に対しての皮肉めいた批判がストレートに描かれるのも良いし、これと併せて父親(加藤嘉)の死で真面目に坊主になろうと決意し、本当に真面目になった主人公が兄の妻から前述の衝撃的な告白をされたことから再び競輪にのめり込むという展開もどんな聖職者や上人でも結局は一人の人間なのだということがひしひしと伝わってきて素晴らしく、本作で作り手がいちばん言いたかったのはこういうことだと思わずにはいられない。主人公が競輪の予想屋になる(ここでの小沢昭一の口上も素晴らしい。)ラストはどこか主人公に哀愁が漂い、印象に残るものとなっており、この物語を締めくくるには最高のラストシーンだったと思う。また本作は主演の小沢昭一にとって間違いなく代表作の一本といえるだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-27 17:09:52)(良:1票)
870.  ルパン三世 生きていた魔術師<OVA>
今現在再放送でまさにファーストシリーズを見ていて「魔術師と呼ばれた男」もついこの間見たばかりなのだが、かなり面白く、劇場映画にも負けないようなクオリティの高い傑作だと思った。さて、本作はその「魔術師と呼ばれた男」に登場する敵であるパイカルがルパンの敵として再登場する作品ということで取りあえず見たのだが、OVAだからというのもあるのか、なんかこう、印象としては最近のテレビスペシャルのノリのまま無理やりファーストシリーズを意識している感じで痛々しく感じるし、「魔術師と呼ばれた男」がさっきも書いたように傑作だっただけにどうしてこのような作品を作ってしまったのか大いに疑問に感じる。やり方がとにかく中途半端で、どうせファーストシリーズを意識するならもっと徹底的にやってほしかった(例えば音楽はいつものように大野雄二が担当しているが、オープニングは仕方ないにしてもほかの劇中音楽をファーストシリーズのスコア(山下毅雄)にするとか。)し、こんなんで本当に「魔術師と呼ばれた男」を超えられるともしスタッフが思っていたとすればそれは「ルパン三世」という作品をバカにしすぎだし、いい加減にしろと言いたい。あともう一つ、「魔術師と呼ばれた男」に登場していない五右衛門と銭形の扱いに差がありすぎるのも気になる。とにかく見終わった後「魔術師と呼ばれた男」をもう一回見返したくなったのは確か。
[DVD(邦画)] 1点(2015-06-23 08:37:10)
871.  WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ 《ネタバレ》 
これまでオリジナル脚本で個性的な映画を次々と世に送り出してきた矢口史靖監督が初めて手掛けた原作モノということで若干の不安はあったが、最後まで明るく楽しめる映画という矢口監督らしさを損なうことなく、青春ドラマとして締める部分はしっかりと押さえてあって面白かった。主人公の平野(今回は主人公の名字が鈴木ではないのね。)勇気(染谷将太)が最初はいかにも現代的な若者(ゆとり世代と言うのか。)に描かれていて、最初は好感が持ちづらいのだが、そんな彼が新しい環境の中で次第に林業という未知の世界を知っていく過程を見ていくうちにだんだんとこちらも引き込まれた。目隠シストさんが仰るように新しいことを知った人が周囲にひとりもいないという状況の中ではじめるのは相当に勇気のいることで、新しい場所でうまく信頼関係が築けるかが本当に重要になってくる。本作は勇気とヨキ(伊藤英明)の関係を通してそれをうまく描いていたと思うし、これがあるから見ているうちに勇気に対する印象が変わり、ぐっと好感度も増すのだと思う。勇気とヒロイン・直紀(長澤まさみ)とのロマンスもあざとさを感じさせず自然なさわやかさがあり、良かった。(「愛羅武勇」と書かれたタオルを使った告白シーンは強烈。)ラストの別れのシーンは勇気とヨキの抱擁もそうだが、やはり電車に乗った勇気とバイクに乗った直紀がお互いに向かって「さようなら。」「さよなら。」と連呼するところには思わず感動してしまった。でも、この後、勇気が再び村へ向かうというエピローグが存在していたのは「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」でラストにエピローグを描かずにパッと終わらせていた矢口監督だけにこの別れのシーンで終わってほしかったと少々残念な気がする。クライマックスの祭りの躍動感がものすごくここだけでも映画館で見ておけば良かった。ヨキ役の伊藤英明は(「海猿」は見たことがないので比べられないが。)いかにも野性的な感じで山男役が見事にハマっている。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-13 16:18:33)(良:1票)
872.  新選組(1969) 《ネタバレ》 
三船敏郎の近藤勇は風格が漂い、存在感も良い。三国連太郎が芹沢鴨をいかにも胡散臭く演じており、大河ドラマで同じ役を演じた佐藤浩市と見比べるのも面白いだろう。内容は芹沢暗殺から新撰組の結成、近藤が打ち首になるまでの新撰組の歴史が2時間の間にギッシリと詰め込まれ、駆け足ぎみではあるが、最後まで面白く見られる。沖田総司(北大路欣也)が病死するのではなく、カッコよく戦死したのは驚いたけど。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-06-09 22:20:06)(良:1票)
873.  博奕打ち 総長賭博 《ネタバレ》 
東映任侠映画の中でも三島由紀夫が絶賛した不朽の名作と言われている映画で、以前から気になっていたのだが、ようやく見ることができた。ストーリーは任侠映画によくある跡目をめぐる問題を描いたものなのだが、主人公・中井(鶴田浩二)が跡目問題で苦悩し、ついには兄弟分の盃を交わした義弟でもある松田(若山富三郎)に手をかけなければならなくなるという重い悲劇にまるでシェイクスピアでも見ているかのような見事さを感じたし、中井にだけは自分の気持ちを分かってほしかった松田を思うと切なくて仕方がない。仙波(金子信雄)にいいように利用された上に重傷を負わされてもなお立派に二代目としての責任を果たそうとする石戸(名和宏)にも感動させられた。そしてそんな石戸が虫けらのように殺されてしまう展開も悲しい。中井に言われて音吉(三上真一郎)を匿っていたつや子(桜町弘子)が松田の熱意に押されて音吉を引き渡したあとに自らの命を絶つのもつや子の葛藤を考えると泣けてくる。また、その後の雨の中のつや子の墓のシーンで音吉が中井に向かって土下座するシーンは絵的にも美しく印象的だったのだが、やはりここも音吉に感情移入させられてしまった。それから離縁した松田の妻・弘江(藤純子)を宿に呼び寄せたのも音吉の気持ちが痛いほど伝わってくる。そこで弘江が実の兄が夫を殺す場面を目撃してしまうというのもなんとも言えない悲劇だ。「人殺し」という弘江のセリフが胸を打つ。これがあるからラストの中井の「俺はケチな人殺しだ。」というセリフが生きてくる脚本の見事さ。男たちだけではなく、女性側もしっかりとドラマを描いて見せたこの笠原和夫の脚本には本当に隙がないし、山下耕作監督の演出も文芸映画のように格調高く、単なる任侠映画に納まらない深さを持ったまさしく名作と呼ばれるに相応しい本当に素晴らしい映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-06 17:45:04)(良:2票)
874.  原爆の子 《ネタバレ》 
人類史上初めて原爆が落とされた街 広島。その広島出身の新藤兼人監督がGHQの日本占領終了直後に放った広島原爆をテーマとした反戦映画。原爆で家族を失い、今は瀬戸内海の小島で教師をしている主人公 石川孝子(乙羽信子)が、あの日原爆に遭って生き残った教え子たちを訪ね歩くというストーリーなのだが、まだあれから七年しか経っていない広島で実際にロケをしていることもあり、いくらか復興しているとはいえ、原爆の傷跡がまだまだ残る広島の街はここにあの日原爆が落ちたということをリアルに物語っていて生々しく、この街の風景を見るだけで考えさせられるし、つらい。孝子が訪問したその日に原爆症で死んでしまう教え子の父や、少女が教会でもはやいつ死んでもおかしくない状態で横たわっているシーンは原爆が投下直後だけでなく、その後何年にも渡って身体を蝕んでいくという恐ろしさが伝わってきて切なく、胸が締めつけられる思いがした。新藤監督は広島出身の作家としてどうしても原爆投下間もない広島の現状をこの映画で描きたかったんだと思うし、新藤監督の原爆や、戦争、そして故郷への思いが伝わってくる。真夏の太陽の下で元気に遊ぶ子供たちも印象に残るのだが、この子たちに未来を託すという新藤監督の強い願い、戦争のない平和な世の中への願いが込められている気がしてならない。それはこれからの未来を生きるすべての人たちへの普遍的なメッセージなのだと思う。そしてそれは戦後69年経ち、新藤監督自身が亡くなった現在でも決して変わることはないだろう。被爆して間もない広島が舞台ということでも歴史的価値のある映画だが、そんな監督の普遍的なメッセージを発信し続ける映画として、これから先もずっと残っていくべき映画なのだと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2015-05-31 17:45:47)(良:2票)
875.  トラック野郎 御意見無用 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」と並ぶ菅原文太の代表作となるシリーズの1作目。今回シリーズ自体を初めて見たが、得体の知れない勢いとパワー、そして全体からほとばしる熱さにひたすら圧倒されまくりの約1時間40分だった。桃さんが単純バカなのだが、とにかく熱い男で、演じている菅原文太にもヤクザ役とは一味違う良さがあり、賛否は分かれるかもしれないが、個人的にはこういう菅原文太もいいなあと思うし、見事にはまっている。(むしろ「仁義なき戦い」の広能よりも個人的には桃さんのほうが好きかもしれない。)それに愛川欽也演じるやもめのジョナサンとのコンビぶりも1作目というのに既に出来上がっているのがすごい。桃さんとジョナサンの二人を見ていると元気が出るというだけでなく、もう「惚れる」の一言で一気に映画に引き込まれた。脚本の筋書きとしては「男はつらいよ」シリーズのパターンを踏襲しているが、寅さんシリーズにはない派手な大立ち回りが見どころになっているのが東映らしいし、中でもドライブインの食堂を舞台にした関門のドラゴン(佐藤允)と桃さんのバトルはコントのように店が無茶苦茶になるという凄まじさでとくに印象に残る。それに今回のマドンナ 洋子(中島ゆたか)の初登場シーンが汚いトイレから出てくるというのも強烈だった。(この汚いトイレから美人が出てくるというのがギャップがものすごくあって笑える。)ラストは洋子に好きな男(夏夕介)がいることが分かって二人を会わせるために11㌧トラックを爆走させる桃さん。惚れた女のためならばたとえ自分の気持ちがどうであれ、その人のことを考えて行動する姿に男気を感じずにはいられないし、そんな桃さんがとてもカッコ良かった。はっきり言って映画としての完成度は低いのだが、そんなことは関係ない。久しぶりに心底惚れられる映画を見た、もうそれだけでこの映画を見て良かったと思えたし、このシリーズにもはまれそうだ。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-31 16:55:10)
876.  兄貴の恋人
森谷司郎監督による加山雄三主演の青春映画。ヒロインが酒井和歌子というのもあってか、翌年からはじまる若大将シリーズ社会人篇のパイロット版と思えなくもないが、若大将シリーズと違ってコメディ色はそれほど強くなく、ある程度のリアリティのある映画になっている。本作では主人公の妹(内藤洋子)が主人公の縁談になると相手にケチをつけまくるというのが若大将シリーズにはない展開で新鮮だった。森谷監督の演出もこの前「動乱」を見たせいか、それとくらべると変に力みがない演出で最後まで安心して見られるホームドラマといった感じの映画に仕上げているのもいい。ヒロインの兄を演じている江原達怡が江口とはまるで違うガラの悪い男を演じていて、最初はだれか分からなかったが、こういうのも若大将シリーズとは違うところでやはり新鮮に感じられる。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-23 17:21:12)
877.  超高速!参勤交代 《ネタバレ》 
参勤交代から帰ったばかりの小さな藩が、その直後に再び5日以内の参勤交代を命じられ、ないないづくしの中、知恵を駆使してそれを切り抜けるという昔からよくあるような娯楽時代劇。タイトルのインパクトに駆られて見たのだが、けっこう楽しめた。主演の佐々木蔵之介演じる殿様や西村雅彦演じる家老もコミカルにいい味を出しているし、伏線の回収の仕方も違和感がなく、よく出来ている。今まで竹光のために刺客に襲われても満足に戦えなかった一行がクライマックスでは真剣を持って戦うというカタルシスもありがちかもしれないが、時代劇として心地の良い展開で、見ていて気持ちがよく、全体的に予定調和な映画かもしれないが、逆にそこがよく、安心して見ていられる。ラストシーンもすっきり晴れ晴れとしていて、さわやかな気持ちで見終われるのもいい。ただ、少し難点をあげれば本筋としてはシリアスな部分も多く、それはいいのだが、本木克英監督はどちらかといえば喜劇映画の監督というイメージが強いだけにもう少しコメディーにてっしていても良かった気はするし、いちいち回想シーンを入れてくるのも少し気になった。深田恭子が女郎を演じているというのもちょっと違う気がする。でも、気軽に楽しめて安心して人に薦められる時代劇映画で、好きな作風の映画だった。もっとこういう時代劇は作られてほしいと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2015-04-23 23:46:36)(良:1票)
878.  シルクハットの大親分
「緋牡丹博徒」シリーズのコメディリリーフ的存在である若山富三郎演じる熊寅を主人公にした今でいうスピンオフ作品。「緋牡丹博徒」の登場人物の中でも熊寅というキャラクターは好きなので、こういう外伝的映画の存在は正直嬉しい。緋牡丹シリーズの脚本をずっと手がけ、生みの親でもある鈴木則文監督が演出を手がけている(ちなみに脚本はのちに緋牡丹シリーズ完結編「仁義通します」を手がける高田宏治。)だけあって熊寅の良さはじゅうぶんに出ているし、ハチャメチャな喜劇要素が強く、何より熊寅を演じる若山富三郎も主役で演じているからか脇役の時よりも演技がイキイキとしているように感じる。後半登場するお竜さんも熊寅を食ってしまうのではなく、あくまで脇役として熊寅を引き立てる役回りに描かれているのが逆に良かったし、これによって本来の主役と脇役を入れ替えたような構図になっているのが新鮮。緋牡丹シリーズはすべて見ていて東映のヤクザ映画のシリーズものの中でも好きなシリーズなのだが、そんな自分にとっては本作もやはりじゅうぶんに楽しむことができる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-04-16 23:46:57)
879.  ある殺し屋の鍵 《ネタバレ》 
雷蔵が凄腕の殺し屋を演じる「ある殺し屋」の第2作。前作を見たのが12年ほど前なので少し不安もあったのだが、前作とは設定が違うためかすんなりと入っていけたし、今回もなかなか面白い。でも、前作は脚本を担当した増村保造監督が監督も手掛けているのではと錯覚するような独特の雰囲気があったのに対し、本作はあくまで娯楽作に終始している感じでそこが残念といえば残念。ただ、表向きは踊りの師匠という今回の雷蔵の役柄ははまっていて、前作の料理屋の主人役よりははるかにこちらのほうが良いと思う。今回の主人公は報酬に執着しているところがあり、ラストは金を手にして去っていくのかと思っていたが、そうはならないという捻った終わり方なのは意表をついている。また、そうなっても何事もなかったかのように静かに去っていく雷蔵がストイックでカッコいい。このシリーズは前作と本作2本で終わりというのが惜しい気もするが、のちに作られる同じようなコンセプトの「必殺」シリーズなどはこのシリーズの影響を多大に受けているのだろうなと感じることができる。
[DVD(邦画)] 7点(2015-04-11 18:26:04)
880.  真田幸村の謀略 《ネタバレ》 
「柳生一族の陰謀」に始まる東映大型時代劇の3作目。冒頭、宇宙空間を移動する隕石で始まるというのが意表を突きまくっていて、ここだけ見ると東宝の特撮映画のようだが、それをバックにナレーターの小松方正が関ヶ原の合戦や徳川家康について説明しているというのがなんともシュールだ。ストーリーはその家康(萬屋錦之介)の首を真田幸村(松方弘樹)率いる真田十勇士が狙うというものだが、十勇士の一人である猿飛佐助(あおい輝彦)が実は宇宙人であったというオチや、他人の心を読むことができる能力を持つ三好清海入道(秋野揚子)など「柳生一族の陰謀」よりも荒唐無稽さがアップしていて、どちらかと言えば同じ真田十勇士を題材にした東映時代劇「真田風雲録」に影響されているのかなとも思う。本作はそれまでこの路線の時代劇2本を手がけた深作欣二監督に代わって中島貞夫監督が手がけているが、「柳生一族の陰謀」に比べてテンポがゆっくりとしていて、合戦シーンもなにか物足りなさを感じ、もう少し勢いが欲しかったところか。ラストの家康の首が宙に舞うシーンは思っていたよりも意外にあっさりしているように感じた。出演者の中ではなんといっても悪役である家康を演じる錦之介の存在感が圧倒的で、老けメイクも含めてインパクトのある熱演を見せていて印象的だ。JACの面々が出演しているが、千葉真一がいないなと思ったら後半に松方弘樹演じる幸村の片目に矢が直撃して失明する描写があったのは驚いた。それにしてもこの映画、もし「真田風雲録」と同じ加藤泰監督が手がけていたらどんな映画になっていただろう。ちょっと見てみたかった気もする。
[DVD(邦画)] 6点(2015-04-07 23:36:02)
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