941. 偽りなき者
《ネタバレ》 恐ろしくて恐ろしくて身の置き所無く感じられる辛い2時間だった。 以下は鑑賞中の気持ちの推移。 ・・あ?何言ってんのこの子。しかもこの園長やばい。専門家もやばい。園長、話聞きなさいよ。子どもは嘘つかないだ?つくわ。どうしよう立証できる術がないじゃないか。ちょっと、息子に暴力ふるうのやめなさいよどこが友人だ(怒)。なんだこの肉屋訴えてやるこんなとこで金輪際買い物しない(激怒)うわああ犬が。酷すぎる。なんなんだお前たちはあっ。 と、取り乱すワタシよりミケルセンはよほど冷静で、ぎりぎりの精神状態で理性的に良く耐えた。あの女児に怒りをぶつけることもしなかった。実に成熟した大人ぶりを憔悴した表情とともに見事に演じている。 人の世の恐ろしさを見せ付けられて気が休まらなかった。しかし、もしも自分がこの女児の親だったらルーカスを100%信じられるだろうかと考えると暗澹となった。・・さてどうしたら良いのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-09 17:48:19)(良:4票) |
942. トランスフォーマー
いやああー長い!戦隊ヒーローもののお話にこんな長丁場で付き合わされては。睡魔と闘うはめになったよこっちは。 なんといってもやはり映像技術は凄いですよね。あのクルマの構造パーツだけであんな高さのロボットになるんかいな、とそこは最後まで引きずったけども。 あと、ジョン・ヴォイト頑張ってるなー。すごくかっちょいい国防長官だ。彼がライフルを手にした場面が、個人的には一番アガりました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-05-09 00:22:37) |
943. SHAME -シェイム-
《ネタバレ》 性交シーンが多く、しかもどぎつくて不道徳とも感じかねないけれども、この話の根っこにあるのは心の飢餓に苦しむ男の孤独である。心が不安定だと依存症になる場合がある。人により、アルコールだったりギャンブルだったり。この男はセックスだった。 キャスティングが容姿端麗なM・ファスベンダーで正解だった。画が生臭くならずに済むし、見た目とのギャップの大きさも強く印象に残る。かなりきわどい性描写もこなし、X-MEN俳優で終わるまい、というあっぱれな役者根性の持ち主とみた。 妹シシーを配した脚本が巧いと思う。シシーは男の映し鏡。欠落しているものが同じなので、自分を見ているみたいでイライラするのである。二人とも孤独で、空っぽだ。 男にとってセックスは渇望を満たすための行為。愛の行為ではないので、好きな女のことはどう抱けばいいのか分からない。この場面は深刻だ。深刻さを解消できぬまま、後半には彼のセックスは自己破壊にも近くなる。 兄妹の生い立ちがどういったものなのか描かれず、つらいまま話は終わってしまう。 男にはセラピーが絶対に必要だ。まだ希望はあると思う。妹が死にかけた時、初めて人間らしく動揺し、男は泣いた。なんとかして、彼が苦しみから抜けられますように。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-07 00:22:27) |
944. ニック・オブ・タイム
《ネタバレ》 スタイリッシュ俳優ジョニー・デップを主人公に据え、画も綺麗な90年代の作品ながら、どこか80年代の野暮ったさを引きずるミョーな手触り。なんだろうこのヘンテコな感じは。 ギャングも海賊もできるJ・デップが今作では非力なおとーさんで、こんなに共感できるキャラクターのジョニデも珍しい。 何度がんばっても悪魔のように現われるウォーケンを知事の選対本部で見つけた時の、驚愕したジョニーのあほ面はまったくワタクシとシンクロしており、ハリウッドスターと同じ表情をするなど、実に稀有な体験でありました。 一般人の範囲内で精一杯奮闘するジョニデのMAXは知事に直訴の場面なのですが、それすら起死回生の一発とならず、(なんせ話しただけでしたな)主人公の一発大逆転を期待するこちらの思惑を外し続ける脚本。なんであんなにホテル従業員が協力的なのか、知事はなぜ警告されたのに手を打たないのか。そして何より皆がつっこむウォーケンへの「あんた自分でやりなはれ」 ・・等々、言いたいことはてんこ盛りなんだけど、結局でも面白かったような気がするんですよ。なんだろうこの変な感じ。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-02 23:39:16) |
945. 下宿人(1926)
観ていて、ほとんど映画史のお勉強という心持ちになってくる。頑張って観ているという感じだ。幸いストーリーがビフォー・ヒッチコック的なサスペンスなのでなんとか寝ずに観られたけれども。 びっしり抑揚無く背後に流れ続けるサロン音楽がぽろぽろぽろぽろ・・、これ結構苦痛。映画音楽というジャンルが確立されている現代に感謝だ。 心理描写はこなれていないし真実は取ってつけたみたいで脚本も粗い。同年代にはキートンやチャップリンといった傑作もすでに世に出ているのだから、この映画が退屈なのは「昔のだから」という訳ではなく、単に作り手の技量の問題か。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-04-30 23:24:01) |
946. パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間
《ネタバレ》 これまで目にしてきたケネディ暗殺事件関連のものは、その事件の真相を追うというテーマがほとんどでしたので、「事件に関わることを余儀なくされた一般市民」を描いたこの映画、ちょっと斬新でした。 狙撃された大統領は運び込まれるわ、その数日後犯人と目されるオズワルドまで搬送されるわで、パークランド総合病院は前代未聞の大騒ぎだったことでしょう。外来受付はきっとストップしただろうな。大統領側近も大変だ。専用機に棺が入らない。こんなことを想定するわけないだろう、と椅子を外しスペース確保に懸命になる彼らの胸中はいかばかりだったか。 他にも描かれるのは、動画を撮影していたアマチュア・カメラマン、オズワルドの家族ら。昨日まで一市民だったのが、歴史上の大事件に突然向き合うことになり、その日から人生の視点も微妙に変わっていったのだろうなあ。神妙な気持ちになります。 キョーレツな印象を残すのはオズワルドの母ちゃん。弟が犯人(とされている)上、母までああではオズ兄の立ち位置は大変キツイ。心から同情した。 オズワルド埋葬の際、兄が一人で穴を掘るのを見かねてマスコミ関係者らが自らスコップを手に手伝い始める。ここ、ちょっといい場面でありました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-25 23:56:12) |
947. 穴/HOLES
《ネタバレ》 お話は変化球なのですが、男の子たちの演技が素直で良く、ストレートな青春&友情ものとして後味の良い作品でした。 矯正施設と聞くと(しかも穴掘り)、想起してしまうのはいじめや暴力、とつい暗くなりそうなのですが、そこはディズニーなので仲間の上下関係のシバキも若人のケンカ程度の描写で収まっております。安心です。 代々伝わる主人公ん家の呪い、その発端がかなりしょうもないです。曾々じいちゃんのうっかりでツキが無いなんて、後世の子孫は迷惑だなあしかし。 女強盗キッシングメアリーの伝説なども通り一遍ではなく厚みを持たせての挿話になっていますし、各話がうまいこと層になって頭に入ってくる脚本の力もなかなかです。 ちょっと変わった味付けの少年少女向けのファンタジーを明るくまとめるのに一役買ったS・ウィーバー、アークウェットら大人たちも良い仕事しました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-04-24 23:36:30) |
948. 脳男
《ネタバレ》 適度にグロテスクな内容といい、眉目秀麗な俳優起用といい、ダークな世界観に惹かれるティーンエイジャー向けの映画です。いい大人が「ほう」と唸るモノでは決して無いんだけど、漫画が実写化されたかのようなそこそこの安っぽさ~例えば所謂「豪邸」の画ヅラとか、爆弾が大病院のあちこちに配置されているくだりのあまりの手際の良さとか、主人公がキラキラしすぎて目が潰れそうだとか~、そういうのに慣れるとけっこう楽しめます。 冒頭では甚だ怪しい脳男氏の立ち位置が微妙に変わってゆく変化球的な展開は意外だったし、死を裁決することへの逡巡といった問題まではらんで、制作側は大真面目です。ラストの松雪逆転負けのエピソードはぴりっと締まって良かったと思います。 なんといっても生田斗真がこの「実写化」テイストの作品にぴったりです。このキャラクターは演技力は要求されないわけで、つまり容姿のみでキャスティングされたであろう彼。「俺は本格俳優になりたいからこんなのはやりたくない」と生田サイドが言わなくて本当に幸いでした。 「まあ俺は賑やかしだから」と判断しての江口のがちゃがちゃうるさい芝居と、いつでも大河風の本格演技を持ち込んじゃう松雪が、どちらもどうも互いにしっくりこない上、映画からも浮くのが惜しい。ふみちゃんも肩に力入りすぎ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-04-22 23:55:27) |
949. 暗くなるまでこの恋を
《ネタバレ》 サスペンスが好きです。なので、導入部の”ほんとの嫁じゃない疑惑”らへんは、とてもそそられました。掴みはOK、です。 けれど、意外や話は失楽園へと突き進む。ちょっとがっかり。そりゃドヌーブは素敵ですけど、社会的地位や生活の糧を投げ打ってまで彼女にのめり込む、というにはベルモンド、やや「狂ってる」感が足りなかった。とはいえ、彼のそれまでの男っぽいイメージを覆すような「女に振り回される」弱さがチャーミングにも感じられ、ああこれはアラン・ドロンにはできない芸当だろうなーと発見できたりもしました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-04-19 22:59:53) |
950. わらの犬(1971)
《ネタバレ》 ”監督of暴力”のサム・ペキンパー、彼の筆致はキューブリックほど洗練されてなくて、人間の本質をむき出し且つぶちまけ型である。単に不快だから、という理由で目を背けて否定しては、ウソつきと言われそうだ。 陰気臭い田舎町と低所得風な労働者たち。そこへ乳首もはっきりわかるぴったりニットの若い嫁。すでに不穏な空気がこの冒頭だけで充満している。イヤな感じしかしない。 半世紀近くも前の作品だけど、女への暴行シーンや彼女の抱えるPTSDの描き方等、これほどショッキングで生々しく痛みを感じさせる作品は他に見た事がない。 猫を殺られても煮え切らなかったヘタレのD・ホフマンが窮鼠の如く、信条と真逆の暴力行為へと狂い出す、この凄まじさ。青白い額に汗を浮かべて妙に座った目つきで油を沸かす。ホフマンの嫁が幼なじみの男連中に気があるような素振りを繰り返すのもなかなかに不気味で気分が悪いのだが、やはりその地の出身者らしく「知的障害者を差し出せ」と暴力発言をするのだ。これにより完全に周囲を暴力で包囲されたホフマン、「二度と帰ってはこれない」地点まで行ってしまう。ああやっちまった。しかし、一番共感をできるのは誰あろうこの人なのだ。震撼するやら呆然とするやら。自分の暴力性まで暴かれた気分だ。こちらも冷たい汗でびっしょりだ。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-19 00:27:59) |
951. 誘拐報道
タイトルから「報道」を取っちゃった方が良いです。誘拐犯サイドの描き込みが圧倒的なんだもの。身につまされるような犯人側の経済的困窮、愚かさ、哀しさ。加えてショーケンと小柳の濃すぎる熱演。比べてマスコミ側は人ばかり多いけど、ドラマが発生せず盛り上がりも無くて、たった二人のショーケン・ルミ子夫婦に押されっぱなし。 今から見るとバブルに差しかかろうかという日本の世相が色々懐かしく、ちょっとイタイ。 ちょこちょことあんまり意味無く出てくる藤谷美和子の、いつも同じコート姿がやけに印象に残る。 ケータイの無い時代の恋愛ってどうやってたの?とネットに疑問が載る昨今ですが、そう、この美和子嬢みたいに彼氏の職場にまで電話をかけるのですよ時間構わず。って、そんなわけはない さすがに。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-04-17 23:42:45) |
952. 冬のライオン
《ネタバレ》 とにもかくにも熱のこもった台詞の応酬が見どころ。いかにも舞台劇っぽい。独特な言い回しや言葉の多さ、役者はやりがいのあることだろう。 しかし映画は舞台と違って、表情のアップだとか過去の映像だとかその場面の空気や天候に至るまで、観る者に送られてくる情報量が多いのでのべつ幕なしにしゃべる必要があまり無い媒体であります。なのでえんえんと夫婦の口げんかが続く中盤などは飽きがきてしまった。 時は1183年、プランタジネット朝初期の王ヘンリー二世の家庭内不和のお話。家族なのにのっけから険悪な雰囲気だが、その原因・詳細は語られずけんかしっ放しで話が進む。同じネタで繰り返し諍っているので「この人たちは言葉で罵り合うことでストレス発散しているのでは?」とも思う。ラストに至っては塔に戻る王妃を見送る王も、送られる妃も何やら晴れ晴れと手なんか振っちゃって、好敵手に対して「一旦休戦す」の趣き。ほんと英王室ってけったいやなーと思った次第であります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-04-17 00:28:01) |
953. にっぽん昆虫記
《ネタバレ》 どえらく濃厚な映画である。ぎょっとしたり呆気にとられたりしてるうちに観終わった。筆致はむしろ淡々としていて感情を煽るような演出は一切無いし、箇条書きのようでもある。だけど、演じる左幸子の演技熱量がもの凄いんである。 女の社会的地位が相対的に低い時代に、娼婦以外に稼ぐ術のない主人公の境遇は大変キツイ。ところが主人公とめのしたたかさときたら。元締めママに取り入るためには見舞いに来てくれた同僚を速攻で売る。売春組織のママに成り代わった後は、人が変わったように毒々しくヤル気に満ち溢れる。置かれた境遇によって、とめって女はくるくるとペルソナをいくつも変えていく。あこぎでキツイ性格ゆえ、男とは長続きしないし、女友達もいそうにない。娘だけが父親亡きあとは真に心を預ける存在だったのに、情婦に堕ちたと知った途端泣き崩れた。この場面は とめの、数少ない真人間ぽい描写の一つ。 日本が貧しかった時代の、東北の寒村のいかにも前時代的な考え方(娘を借金の方に売るとか、赤ん坊が女の子なら口減らしするとか)には心が寒々とするしで、まあラストまでキツイ描写が続くのだが、監督は驚きの展開で話を締める。性の谷底に落っこちず、踏みとどまった信子は、唯一の健康な希望として観客に与えられた。「この子も父無し子を産まなきゃいいが」の婆さんの予言が不吉に響くのではあるが。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-15 18:14:15) |
954. コップランド
《ネタバレ》 おお、スタローンの評価が二分されている。私は評価組の方です。もっさりと鈍重な感じ、彼はいつでもロッキー・バルボアなんですが、この作品においては周りをキレッキレの演技達者で固めているので彼の”使えない”感が際立ちまして、それこそがこの田舎警官キャラに求められている資質なのですな。 お偉いさんのハーヴェイ・カイテルはキレ者でおっかないし、つるんでるレイ・リオッタは安定の小賢しさ、チョイ役デ・ニーロには溢れんばかりの有能さを見せつけられて、ああS・スタローン立ち尽くすのみなのだった。 追い詰められたあげくキレる終盤の、やみくもに突き進む姿は手負いの牛にようでやっぱり重たく、いやスタローン適役だったんじゃないでしょうかね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-04-11 23:58:51) |
955. 渇き。(2014)
《ネタバレ》 制作が「やりたかったこと」はうっすら分かるんですけど、(冒頭が露骨にタランティーノですし)これはもうセンスの問題といいますか、バイオレンスを料理できる人とそうでない人って明確に分けられると思うんですよ。 タラ風にスタイリッシュにしたい、北野風に乾いたバイオレンスを撮りたい、という思いばかりが募った結果、「いつか見た事ある」コラージュの寄せ集めみたいです。 イカれた若者の生態としてクラブで踊らせる、(それもフラッシュ点滅で)、ヤクザは暗い倉庫でリンチの画を撮る、じいさんと女子高生の援交場面を差し挟む。ああこの使い古した画づら。 中2病をこじらせたような内容ですので、ヒロインは3度見するような逸材であってほしい。集団アイドルの中から引っ張ってきたような普通の小娘では持たないです。 そして「狂気」が絶対的に足りない。役所広司はやたらと「クソが」を連発してケータイを叩き付け(よく壊れないものだ)、ヤクザは「ゴミが」の繰り返し。この語彙の乏しいこと。これでは知的レベルの低い”人格障害のひと”でして、狂気ではありません。怖いというより鬱陶しい。 ストーリーはそういえばこれミステリーだったか、と途中で思い出すほど話の構築度はおざなりですし、人が殴られる場面を好むわけでもないので、飽きましたしやや苦痛でした。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2017-04-10 00:08:11)(良:1票) |
956. カオス・セオリー
《ネタバレ》 時間徹底管理男のコメディだっていうから、スケジュールが狂ってパニックになっちゃうどたばた劇なのかなーと思うでしょ。パニックになるにはなるけど、原因が時間管理云々じゃなくて、もっと全然重たいの。重すぎて笑えないんで、コメディというジャンルに入るのかすら怪しい。 結局貞操観念の薄い女と結婚するからそーいうことになるんだよ。と、そもそも論を説いたところでどうにもならないんだけどさ。 「あんな早起きの子 殺しちゃって」とか「あの子が車に轢かれますように」とか、台詞のセンスも所々受け入れ難い。面白いと思って言ってるんだろうか。 どっかの夫婦の家庭事情にえんえん付き合わされただけです。疲れます。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-04-03 23:36:41) |
957. デビルズ・ノット
《ネタバレ》 実際に起きた未解決の事件ですから、もちろん脚色もできないし、映像作品として限界はあるんでしょうけど。でも、極力作り手の主張、怒りとか理不尽に対する糾弾の姿勢とかがもっと発露されるべきです。 この作品の場合、少年3人を殺害した犯人に怒っているのか、容疑者の少年2人を冤罪に追い込んだ閉鎖的な田舎町の気質を批判したいのか、それすらはっきりしません。 コリン・ファースという、客も呼べる演技巧者を呼んだわりに「調査員」というハンパな身分に置いたのも良くなかった。彼は裁判が始まるとただ傍聴するしかない。なぜ弁護士の役にしなかったのか。 見てるこちらは「こんな事件あったのか」と思うばかり。少年の所持していたナイフのくだりをもっと掘り下げてくれるのかと期待を最後まで持ちましたが、映画は終わってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-03-31 00:11:06) |
958. ブラッド・ワーク
老いても頑張るイーストウッド、心臓移植を受け、現役はるか遠くになっても自ら捜査に回り、銃をぶっ放してベッドシーンもこなす。あっぱれなじいさんである。 お話は大きく驚かしたり大どんでん返しがあったりグロテスクだったりしない。ほぼ標準クラスのサスペンス。こぢんまりではあるけど、イーストウッドファンは満足するでしょうし、J・ダニエルズが無害キャラをさらりと演ってて巧いです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-03-30 00:47:43)(良:1票) |
959. フランティック
サスペンスとしてのストーリー性はちょっと弱いんだけど、漂うポランスキーイズムが中毒性ありで、その上ハリソン・フォードの小器用ぶりが発揮されているというお得な二本立てであります。 異国の地で妻がいなくなり、言葉は通じないわ仏警察はヤル気ないわで孤立無援の中、タフガイぶりを捨て去って半べそ顔で奮闘するハリソンがとても共感するキャラを演じてます。これは意外。全裸でぶっ倒れるという余興もこなしております。えらいです。 そしてポランスキーの醸す独特の不安感ときたら。妻の最後の姿のショット、部屋の暗がりにぼうっと浮かぶ不穏な白いスーツケース。屋根の上での足場の定まらない危なっかしさ。画の一つ一つがこちらの平穏をかき乱すのに有効で、この雰囲気だけでも120分見入る値はありました。そう、ラストの妻と彼女の交差する赤いドレス。意味は無くともこの鮮烈なこと。 [DVD(字幕)] 7点(2017-03-27 00:25:31)(良:1票) |
960. ダークナイト ライジング
C・ベールはオスカーを獲ったボクサーものの直後だったのかな。こっちは激ヤセだし、T・ハーディは「ウォーリアー」(あやっぱり格闘技ものだ)の後撮りなのかしら。筋肉ダルマみたいで、顔もはっきり出さないしトムとはわかんなかった。 ヒースのジョーカーという強烈なキャラクターが引っ張った前作には及ばないのですが、今作でやっと女優枠にキレイどころを持ってきたのが良かった。だってアメコミですやん。シリアスな心理ドラマじゃあるまいし、やっぱり”いかにもヒロイン顔”な女子の方が画的にすとんと落ちるというものです。ハサウェイのキャット・ウーマンぶりはM・ファイファーに劣らぬシャープな美しさでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-03-24 18:27:20) |