941. ビキニ・カー・ウォッシュ
《ネタバレ》 観終わって「うーん、なんか中身あった?」となっちゃうくらいにペラッペラな内容ではあります。個人的には、あまりアメリカ映画では観たことないレベル(例えば、ベトナムとかフィリピンとかその他辺境の商業作品とかだと、こんな感じで各場面を殆ど何も考えずにつくってるというチープ全開なヤツもワリと在るとは思ってるのですが)。 ここに在るのは、ただ「明るいエロ」ですね。水着も脱いじゃってるシーン・セックスシーンも一応ありますが、それも当然本家のAVとは比ぶべくもないエロ度に留まってます。が、とにかく明るくて、楽しそう。夏の日差し、弾ける泡と女たちの笑顔、焼けた肌の輝き、と、ある意味非常に健全で、こーいうのも偶にはイイかも、とは思ったのですね(私が海外のエロに求めている正にソレ!とゆーのが今作にはあったかと思います)。 一点だけ、如何にも裸で車洗ってそーなお姉さん達とは少し雰囲気の違う、ちょっと清楚で可愛いブリタニーちゃん(実は正ヒロイン)は、見た目的にもキャラ・演技的にも今作の非常に重要なアクセントだったと思うのです。が、彼女に関してはエロスなシーンがなんにも無い。率直に、これは極めて頂けませんですね(サービス意識の問題であります)。 [DVD(字幕)] 4点(2021-05-12 20:11:21) |
942. アングスト/不安
《ネタバレ》 これは、相当に特殊な映画ですね。まず、肝心の主役は完全にサイコですが、いわゆるサイコ・スリラーとかサイコ・ホラーといった映画とは完全に一線を画しており、むしろドキュメンタリにも近いという様なリアルさというモノも醸されています。また、幾つかのエピソード(犯行場面)を通して主役のサイコのキャラクターを描き出してゆく、という様な「よくある」タイプの実録異常犯罪ものとも率直に一線を画しています。つまりそーいう部分の前置きはナレーションで軽く済ませてしまっておいて、肝心の内容はとゆーと、殺人で10年服役した「その男」が出所直後に起こした殺人事件をワンシチュエーションで最初から最後まで淡々と描く、てのがメインな映画になっているのですね。 前述のとおり、所謂ホラーやスリラーの様にショック場面に見応えがあるとか、シンプルな恐怖・スリルを呼び起こすとか、そーいう映画では全くないのです。結局のトコロ本作のメインコンテンツは、描き出される常人には理解不能な狂った思考・行動原理そのものなのですね。そして、これも前述どおりその部分には(実話ベースだから)ある程度のリアリティがある、とゆーのが最大のウリだという映画なのだとも思うのです。「リアリティの在る狂気」とゆーのを垣間見たい人向けという意味では、完全なるマニア向け映画だと言えるでしょう。そして、その部分のクオリティが観たときにその人に運よく「伝わった」としても、そもそもソレに対してどういう感情を抱いたらよいのか、という意味では、結局のトコロこれって非常に評価の難しい映画だろうな…とも言えるかと(個人的には、ままユニークな作品だと思ったのでこの評価、というコトになりますが)。 とは言え、肝心のメイン犯行場面とかもかなりグダグダと長時間のたうち回ってるので、娯楽用とかのシンプルな用途には全く使えない程度の作品なのも間違い無いです(途中でドロップアウトしちゃう人も多そうなレベル)。重ねて、中々高度に「観る人を選ぶ」作品かな~とは感じました。 [DVD(字幕)] 6点(2021-05-11 22:40:29) |
943. 2重螺旋の恋人
《ネタバレ》 恋愛系サスペンスかと思って観ていたら、終盤は完全にサイコ・スリラーの様でしたね。ただ肝心の結末部分に関しては、ソレっぽいコトを言ってドヤ顔を決め込んで居るだけでお話としては全くケリを付けられていない、と言ってよいでしょう。オシャレ不条理映画とでもゆーならまだしも、ここまで思わせぶりな描写を積み重ねてサスペンス風をカマしておいてこのオチは無いっしょ、とゆーのが個人的結論ですかね(私にとって、モヤっと終わるサスペンスとノンアルコールビールほどに存在価値の分からないものは無いのです)。 ただ、百歩譲ってオシャレ不条理映画と看做すならば、そのオシャレで耽美エロティックな映像面の出来はかなり高水準だったと言ってもよいのではないかと。主演女優さんは単純に美人で、細身でちょっと神経質そうな感じも役柄に非常にマッチしてて、かつ体を張った演技も結構凄めだったので、そこら辺は諸々フツーに褒められるトコロですし。お話の完成度か、映像美&空気感の完成度か、どっちをより重視するかで全体の評価も大きく変わってくる、という作品に思います。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-05-04 18:00:10) |
944. ゴア・ゴア・ガールズ
《ネタバレ》 『ゴア・ゴア・ガールズ』つーのは当然”ゴー・ゴー・ガールズ”のモジり、つまりはストリッパーのことに決まってますよね(迂闊なコトに観始めるまで気付きませんでした)。ストリッパーを狙った連続殺人を、有能を気取ってるケドその実何の役にも立ってない私立探偵が追ってゆく、というのがメインの筋になってますが、ハッキリ言ってソッチはどーでもいいです(私とてそんな部分に期待して観ているワケでは毛頭ありません)。 要は、今までのグロに加えてエロも解禁されてまっせ、というコトですよね。70年代に入ってトップレスは解禁されてますし、基本的にはターゲットのストリッパーがパンイチで踊るのを見せたあと、その娘を嬲り殺す、というパターンで4、5人ヌッ殺してゆきます。その意味では、後々かなりオーソドックスとなるB級エロ入りスプラッタのひとつの原型だと言ってもよいのかと思いますね。 正直、この時代のエロにノスタルジィを感じるという世代でもないので、個人的にはソッチも割とどーでもよいのです。問題はグロの方ですよね。この殺人鬼とゆーのは女の顔を無残に破壊するのが趣味なので、女の頭に見立てた何やらグッチャグチャな肉塊を更にズッタズタに引き裂く様子が何度も何度もドアップで映されまくるのですよ。単純に描写にキレも無いですし、何つーか下品ですよね(お前、グロ映画マニアの分際でナニゆってんの?というご意見は重々承知ですが)。 ひとつ分かったことがあります。こーいう特撮においては、リアルさを追求するのも当然ひとつの重要な目的になり得るのですが、ある一線、どんなにリアルで生々しくても必ずソレが「つくりもの」だと分かるという「安心感」を付与しておくことも、実はまた重要なコトなのだろうなあ、と(こーいうの、本物の肉塊を使っちゃ多分ダメなんですよ)。映画というのは、どこでどーいう気付きが得られるか分からないものですね。 [DVD(字幕)] 3点(2021-04-30 23:17:55) |
945. 血の魔術師(1972)
《ネタバレ》 手品師がショーでやってる人体破壊の手品。一見はトリックだが、実は催眠術かけて本当に切り刻んでた…というアイデアは、監督の作品としてはまま優れてる方。グロ描写も、非常に雑ながらバリエーション変えてタップリ4回あるし、そこそこ気持ち悪いのでその面でもある程度は満足できる。「血の三部作」に比べればまた全体的に向上してる、とも言えるかと。 ただ、全編通して随分とタルいのよね。話の内容には前述のアイデア以上のものは本当に何も無い上に、グロ描写、つまり手品のシーンがまた妙にスローモーなのよ。実際の手品ってステージ上で前振りとか準備とかも色々あるワケだけど、実はソコを手際よく見せるというのが結構重要なステージ技術なのだろうね。今作ではそれを素人がやってるから随分とモタモタしてる、というコトかと(それが4回もあるから尚更)。正直、油断すると寝ちゃう、という類いの映画すね。 [DVD(字幕)] 4点(2021-04-30 19:45:27)(良:1票) |
946. 2000人の狂人
《ネタバレ》 「血の三部作」の中で今作のみは、ワリとお話のアイデア自体の出来も好いし、バカにハイテンションなコミカル風味の演出方針も(どーしてこーいう感じで撮ってるのかイマイチ意図は定かではないケド)軽~いノリで楽しく観れるし、よく考えりゃ高度に狂ってて(ある意味)怖いし、面白み・ユニークな雰囲気とゆーものはかなり出せていると言えるのではないか。観る価値的には三部作随一と言ってもよいかと(後代に全く同じ内容でリメイクされただけはある)。とは言え、コミカル風なだけで別に笑えるシーンがあるワケでもないし、だから4人をそれぞれ嬲り殺すショックシーン以外の部分の展開運びは正直どーでもよいレベルで、かつそのショックシーン自体も(年代的なコトもあって)チープ全開ではあるので、諸々含めて個々の要素に今なお観る価値が大いにあるか、と言われると少し微妙かも知れない(そこは多分、人に依る)。 あくまで個人的には、前述どおりのハイレベルなイカレ具合の面を重視して、暇なら観とけば?くらいのスタンスが丁度好いかと思っている。個々のシーンで個人的に気に入ってるのは「樽回し」。 [DVD(字幕)] 5点(2021-04-29 20:48:03) |
947. 血の祝祭日
《ネタバレ》 スプラッタの歴史上の記念碑的作品とは言え、正直イマサラ観たトコロで何も面白いコトは無いですね。そもそも、ただスプラッタ(=血糊デロデロ+ズルッと生肉)なだけで決してホラー・スリラーにはなってないという超・限定的なジャンル映画ですし、諸々のクオリティも相当に酷い。稚拙な演技、ダサい台詞回し、素人感丸出しのカメラワーク…ツッコミながら観るにしてもチョイとキツイ代物すね。ショックシーン(これも今どき全然ショックでもねーレベルだけど)だけ矢鱈と画質が鮮明なのは、カネの掛け所の適切さを褒めてやってもよいですが。 まあでも、人類のお初でコレをやったろうと思い立って、色々と自分の能力に不足があるのは明らかなのに己を信じて最後までやり通した、という部分にこそ、いちおう歴史に残るだけの価値とゆーものがあったのかも知れない、とも思いますかね。ソコに免じて、1点プラスしておきます。 [DVD(字幕)] 4点(2021-04-29 20:48:02) |
948. SF核戦争後の未来・スレッズ<TVM>
《ネタバレ》 結局のトコロ、本作が主張したいこととゆーのは、全面核戦争が起こってしまったら文明の復興は(少なくとも短・中期的には)困難だ(無理だ)ということなのでしょうね(それはある程度しっかりした科学的なシミュレーションでもそーいう結果が出ている、ということだったのかと)。その意味では、その「全面」という部分に関して、本当にそーいうことになってしまう可能性があるのかどーかを含めての一歩踏み込んだリアリティという部分には議論の余地があるのかも知れませんし、個人的にはもう一つ、事前の備えにせよ事後の事態収拾にせよ、もう少し「団結」してやれることとゆーのはないのか、と少しだけ疑問に思う面もありました。ただ、それは私の想定が甘すぎる、ということだとも感じています。例え現実的な対処方法が「人口の間引き」しかない状況に陥ったとしても、それを許容するだけの「逆」の意味での倫理観あるいはフレキシビリティというものを、もはや現代の人間社会は持ち合わせていないだろう、とも思うのですよね。 ある種、普通の映画とは「目的」が違う作品だと言えますし、だからこそ、鑑賞後感とゆーのも極めてユニークに超ネガティブです。単純にちょっと勉強・知識習得にもなりますし、一味違った作品としての観る価値とゆーのも確実にある映画だと言えるでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-29 17:04:38)(良:1票) |
949. 大いなる罪びと
《ネタバレ》 面白い。賭博(とそれによる堕落・破滅)をテーマとするシナリオは一見比較的シンプルに見えるのであり、中盤、グレゴリー・ペックが大勝ち→調子に乗ってスッカラカン、くらいまでは「だ~から、言わんこっちゃない!」てな感じで(ここまででも十分面白いケド)よくあるヤツとして観てたのですが、そっから先が更に二段ぐらいまた面白いというか、尻上りにどんどん面白くなってったという感じでしたね。賭博者はカネと同時に「魂」をも賭けている、という台詞が身に沁みます(賭けても何も「実の在る」見返りは無いのかも知れませんが)。 演技面でも、脇役からしてコレがウォルター・ヒューストン、メルヴィン・ダグラス、エセル・バリモア、アグネス・ムーアヘッドと綺羅星の如く豪華で、実際の演技もいずれも実に申し分無い。エヴァ・ガードナーもこれまた最高に美人。ただ、何と言っても今作は主演のペックの抜群さでしょう。上品で澄ました前半の出で立ちからの、尾羽打ち枯らした無様な後半に漂わせる哀愁は絶品でしたすね(特にその虚ろな目が素晴らしい)。コレを観ずしてギャンブル映画を語るなかれ。 [DVD(字幕)] 8点(2021-04-29 13:16:07)(良:1票) |
950. 回転
《ネタバレ》 大昔に観たときは、率直によー分からん映画だと思ったのですね。それは、この映画を単純に幽霊映画・ホラーだと思って観ていたからだった、と思うのですが、今回、原作を読む機会があったのでそれを機に観直してみました。 そもそも原作と言うのは、幽霊がメインの要素である以上は間違いなく怪談の類いなのですが、その中でより注力して描写されるのは主人公の心理的葛藤、すなわち、思わせぶりな態度を取り続ける子供たちが実際に「黒なのか白なのか」という部分の疑心暗鬼、或いはグロース夫人との関係性(協調または敵対)の部分に生まれる緊迫感であり、そういった主人公の不安・不穏な感情を描くものとしては確実に(心理的)サスペンスという方が適切なのです。その観点からすると、非常に控えめな幽霊自体の描写、端的なデボラ・カーのヒステリックな感情表現、豪奢ながら寂寥とした屋敷や物悲しいオルゴールの音色が形づくる全体の陰鬱な雰囲気、結局白黒がハッキリしない不可解な結末、といった部分の仕上げ方・出来映えを勘案しても、確かにこれは比較的優れている・的確な方の文芸映画だと言えるのではないかと感じるのですね。 ただ、よく言われることですが「小説(原作)か映画か」という観点で言うと、今作は原作と比較すると実は色々随分と簡略化されている、という部分に若干の残念さを覚えるのも事実です。子供たちに対する主人公の猜疑心というものは、原作では非常に地味な描写の繰り返しによって(最初から最後まで一貫して不穏な空気に包まれつつも)極めて緩慢に形成されてゆくのであり、それが彼女の最終的な狂乱状態に説得力を与えるとともに、その長きにわたる「不穏さ」を味わう、という意味でのサスペンスの醍醐味を同時に生み出しています。が、映画の方は率直にそれが全体的に結構にアッサリしたものに変わっちゃってて、小説を存分に楽しんだ身からすると少しばかり物足りない、という感じなのですよ。 その意味で言うと、映画では特にグロース夫人との関係が非常に軽い描き方になってしまっているのがだいぶ気になります。ジェスルの幽霊がフローラにもグロース夫人にも見えなくて、結果フローラとの関係性が瓦解する場面というのは、同時に唯一の味方であったグロース夫人との協調関係が反転するという点で小説ではココイチ衝撃的な場面だったと言えるのですが、映画ではそれが残念ながらそーいうものにはなっていないのです。そういった部分も含めて(前述どおりかなり上質な映画化だとは言え)やや原作の持つ「ウリ」というものが分かり難くなっている映画、だとも言えるかと思うのですね。 とは言え、全体としてはまま悪くない出来だと思います。私の本当のオススメは小説の方ですが、こちらも決して観て損も無いかと。暇なら是非。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-29 09:49:38)(良:2票) |
951. もみの家
《ネタバレ》 様々な事情から自立支援施設「もみの家」にたどり着いた人たちが、施設での共同生活や農作業、地域社会との交流を通してゆっくりと立ち直ってゆく…というストーリーは、舞台となる地方の農村部のスローライフな雰囲気も相まって、実に穏やかで心地好く描き出されている。そして、単純に人間ドラマとしても実に「手堅い」。その部分、穏やかさ・心地好さを最大に重視した展開運びは、含まれるトラブル描写も最小限で、ややもすると少しばかり手堅すぎる、と言えるかも知れない。ただ、程好くコンパクトでテンポも良好、そして要所では様々に、かつしっかりとハートフルさを醸しているので、色々ととにかく心地好く、そして温かく観てゆける、というのも間違いないだろう。シンプルなそーいうジャンルの映画として、鑑賞しての満足感というものはある程度以上に期待に沿うものになっているのではないか、と感じている。 主演の南沙良ちゃんは、よく見りゃ結構可愛いのだけど、冒頭からのコミュニケーションに難のある様子・自分に自信の無い様子のお芝居は(意外と)そこそこちゃんと出来ていたと思うし、後半にかけて自信や主体性を取り戻し、文字通り「自立」していく様子の人間的魅力や微笑ましさ(あと可愛さ)とゆーのも結構しっかり表現できていたと思う。その他演技面では、施設の運営者夫婦も包容力全開!という感じでとても好かったですね。特に緒形直人、ワタシこの人ホントに好きです。 [DVD(邦画)] 7点(2021-04-28 00:38:07)(良:1票) |
952. 君が世界のはじまり
《ネタバレ》 何故だか色々と人生に厄介事を抱えた高校生たちが織りなす青春群像劇。友情、恋愛、大人への反抗…青春独特の「熱と痛み」を生み出す源たるファクターには、ある部分のソレはシンプルな一方でややトリッキーでダークな要素も含まれており、一風変わった雰囲気も随所に漂わせながらも肝心な部分では「青春って人生って色々あるよね」という部分からの共感というのを誰からも比較的得易いという作品だ、と言えるかと思う。その意味では、誰が観ても全くツマラナイとゆーもんでもないか、とも感じる。 ただ、ある程度共感は出来るとは言え、率直に言ってお話の方にしっかりとした内容・斬新なアイデアのある作品だとはやや言い難い、のも確か。深夜のショッピング・モールでのブルーハーツはまずまず優れた場面だと言ってもよいだろうが、そもそもココでブルーハーツとゆーのも青春ものとしてはハッキリ在り来りだと言ってよいだろうし、個人的にはラストの場面の松本穂香と中田青渚なんかは正直言ってワザとらしいというか、少なくとも私の好みというシーンでは間違いなくなかった。 厄介事を抱えている、という意味では、松本穂香は抱える厄介さが一番穏当で、本作においては(どちらかと言うと)引き立て役・話のまとめ役と言えるかも知れない。キャラ的に出来が好かったのは中田青渚で、コレは彼女のファンが彼女を目当てに本作を観てゆくことが出来る、というレベルかと。片山友希ちゃんと古舘寛治の掛け合いも(オーソドックスながら)中々面白く観れた。男子連中は、正直印象に残らなかった。 [DVD(邦画)] 6点(2021-04-27 21:31:53) |
953. 共喰山
《ネタバレ》 とある山中のキャンプが舞台ですが、虫、ヒル、そして何らかの感染でグロテスクな人外に為り果てる仲間…意味ありげで不気味な洞窟の存在も含め、かなり気色の悪いモノをテンコ盛りで取り揃えた設えは色々と相当に不快で、ホラーとしてはまずまず上々です。感染という要素からゾンビ系統の映画かと思いきや、感染者に咬まれてもこの状態異常は伝染しません。その代わり、感染者の戦闘力・運動能力は(ゾンビとかいうレベルではなく)飛躍的に向上するというコトもあって、戦闘シーンは非常にスピーディで迫力抜群だったりで、(ある種のミスリードな部分も含めて)ちょっと意外性もあって楽しめるという感じではないでしょーか。 ただ、やや冗長な中盤の展開運び、いくらなんでも事態対処能力の低すぎる無能パーティ、そしてイマイチ話の内容の繋がらないシナリオの出来(ラストの親玉モンスター云々は特に)を踏まえると、完成度という面では決して出来が好いとは言えない典型的なB級、とゆーのが結論的評価でしょーかね。とは言え、前述どおりそこそこ面白く観れなくもないシーンもあり、暇潰しには十分かと。個人的には結構楽しめましたすね。 [DVD(字幕)] 5点(2021-04-27 00:29:45) |
954. ブータン 山の教室
《ネタバレ》 ある意味、劇映画と言うよりは確実にドキュメンタリの方に近い作品なのだと思う。ロケ地も現実の村で、登場人物も多くが実際の村の人々で、そして何より、本作が描こうとする彼らの価値観(信念)というものは確かに彼らの中に実在するものである、のだから。 舞台はブータン僻地のルナナ村。標高4800メートル、住民50余人のこの村には、そこへ行きつく容易な手段を含めて殆ど「何も無い」(電気すらあったりなかったり)。しかし彼らには、そこで今までどおり暮らし続けること(そうすることで幸福に暮らしていけるということ)への揺るぎ無い信頼がある。その信頼、そしてその理由というものを、村にやってきた自分の人生に迷う一人の青年の目を通して描き出してゆく。その意味では比較的シンプルな作品であると思うが、だからこそ、描き出される価値観の「確からしさ」というものがより際立って感じられるのであり、それが尚更、彼らに対する一種の尊敬の念をも観る我々に抱かせるのであろう。 非常に珍しい製作国ブータンというブータン映画ですが、感動はひとしおでした。多くの人に是非観ていただきたい作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2021-04-26 20:52:45)(良:1票) |
955. グランド・ジャーニー
《ネタバレ》 稀にみる素晴らしい映画でした。絶滅危惧種の渡り鳥に安全な渡りのルートを教えるという「大いなる旅」は、自然科学・環境保護の観点からの深い意義を孕むと同時に、父の夢、そしてその息子の飛躍的な成長の道程でもありました。特に、日ごとに逞しく、また人と人との繋がりを得て正に子供から青年へと脱皮してゆく息子の姿には、観ているコッチも大いに勇気を貰えたという気がします。そしてそんな中で家族の絆というものも取り戻されてゆきます。人間ドラマとしても満足度は最高でしたし、爽やかなラストもとても好かったと思います。 映画の技術としては、諸々の撮影が非常に見事でした。繰り返される大胆な空撮はヨーロッパの自然の意外なまでの美しさ・雄大さを画面に収めると同時に、実に素晴らしい爽快感・高揚感を映画にもたらしていました。加えて何と言っても鳥たちを使用したシーンの出来の好さ・巧みさが素晴らしい。CGや特撮は未使用とのことなのですが、ちょっと信じられない、という感じですね(動物映画としても十二分に観る価値があるかと)。 邦題『グランド・ジャーニー』も中々悪くないと思いますが、原題の『Donne-moi des ailes』は”翼をください”という意味だそうです。こちらの方も、様々な意味・価値を包含する本作を言い表すものとしては、とても適確な言葉だと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2021-04-23 23:03:18) |
956. 事故物件 恐い間取り
《ネタバレ》 CG全開で思いっ切り出てくるオバケ、なんてのからして私の好みからは完全に外れるが、特に前半は全く何にも怖くない、というワケでもない。そして、お話の進め方も面白みが皆無、というホド酷くはない。題材も、物珍しいと言えば物珍しいので、丸っきり内容に興味が持てない、というコトでもない。諸々、最低限のクオリティとゆーのは有ると言ってよいのではないだろうか。 ただ、あくまで最低限、というコトなのですよね。まずはやはり、あまり、とゆーか殆ど怖くない、とゆーのが痛恨なのですよ。個人的な見解として、やっぱお笑い芸人が出てくるホラーとゆーのは一定以上に怖くはならない、つーことかとも思いますし(お話自体にもなんかチョイチョイ笑かしにかかってる場面があったりで、怖がらせようとするには一貫性を欠くとゆーか)、そして、主役の亀梨クン自体がこの事故物件の心霊現象を全く怖がってない(そーいう素振りが微塵も無い)とゆーのも一因かとも(怖くて恐ろしくてしょーがないケド売れるために仕方なく…的な葛藤とゆーのもほぼ無かったりで)。あとは、根本的にオムニバスホラーであるが故にエピソードごとに状況がリセットされて、全体を通しての「怖さの盛り上がり」とゆーものもやや欠いていた、のではないかと思ったりも(それでもラストはだいぶん派手にオバケ出しまくったりしてましたが、あのね、こーいうのはまず「数」でナントカなるもんじゃねーのですよ、というコトだけは、私は例えソレを理由に死刑になったとしても最後まで主張し続けますですよ)。 もう一点、多少は物珍しいと言ってはみたものの、発生する事象にせよ事故物件の内容(間取り)にせよ驚くほどに在り来りですよね。「畳に血痕が残ってる」「風呂場の鏡が不自然に外されてる」なんて誰でも想像する内容じゃねーかと思いますし、あとは基本オバケの所為で体調が悪くなったりかんたり…程度でしょ。原作がそれなりに売れた本だとすると、もうちょっと奇抜なエピソードや風変わりな事故物件とゆーのは無いもんなのでしょーか?ホラーとしては大して怖くねえ、とゆーのなら、コッチの方面の面白さとゆーのがも少し有れば…という感じでもありますね。 ヒロインの奈緒ちゃんは可愛かったすね(若かりし日の池脇千鶴に少し似てる)。ただ、恐怖の表情が最初(だけ)は結構真に迫ってるなあ、と思ったのですが、それ以降はちょいオーバーリアクション気味でこれもイマイチに思いました。残念。 [ブルーレイ(邦画)] 4点(2021-04-23 01:17:57) |
957. やり切れない
《ネタバレ》 結構シンプルな話だと思いますが、ソコも含めてかなり良質な短編ですね。その意味では、キャストが3人ともまずまずな演技のクオリティだったのも大きいかと。しじみさんは(私この娘の「ファン」だったのですが)少し可愛らしい様な演技も好かったですが、随所でしっかりと狂気を迸らせて、というか、中々イヤ~な怖さのある女性を巧みに演じてましたね。個人的に好きなのは、実は序盤の本妻と対峙するシーンです。一見従順な様に見せかけて、実は心に憎悪を燃え上がらせている、というのがよく伝わって来ました。 モツ煮込みの演出はどーなのですかね~前述どおりの憎悪の結果、というコトなのかも知れませんが、ソレを男に喰わせるのは若干よく分からない様な分かる様な。まあ、その辺の「ワケの分からなさ」も含めてのしじみさんの怖さ、ということだとも思うのですけどね。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-04-21 22:18:27) |
958. 狂武蔵(2020)
《ネタバレ》 宮本武蔵と吉岡一門の決闘を描いた70分一本勝負のワンカット殺陣シーンがウリ!という作品とのこと。しかし、その70分のシーンは九年前に撮られたケドも、何やらほったらかしになっていた…とは如何なる意味かってコトですね。結論から言うと、到底映画レベルとは言えない代物だった…というポンコツでしかありませんでした。。 ①ボクシングは1ラウンド3分ですが、それホド俊敏に動き回るワケではないとは言え、しっかり刀を構えて鋭く斬ったり受けたりを繰り出してゆくのを3分続けたら相当に消耗するものです(普通なら、精々5分程度が限界でしょう)。今作、激しく疲弊の色を見せつつもそれでも最初のシーンで15分強は頑張りましたかね(終盤は演技ではなく疲労困憊してましたが)。それ以降は、大体5分戦って一息入れるというのが続いていくのです。要は、70分ワンカットと言っても70分間戦い続けるワケでも何でもないですし(それは流石に無茶ですケドも)休憩のたびに水すら飲んでますし(運好く近くに水筒が隠してあるという武蔵の用意周到さ)。そもそも、ずっと武蔵を映し続けるワケですらなくて、モブキャラの小芝居のあいだ武蔵はどっかに消えてるということすらあります。正直、何のためのワンカットなのか意味が分かりません。 ②一対多の場合の多勢の戦術は「前後からの挟み撃ち」が基本でしょう。案の定、武蔵が常に壁を背にするとかそーいう工夫も施されないのに、前後から同時に攻撃(というか背後から攻撃)するシーンというのは皆無ですし、何なら武蔵・とその背後1Mから武蔵を撮るカメラとの「間」を敵が横切るシーンすら散見されます。彼らは一体何がしたいのでしょうか(⇒一足一刀の間合の概念というのは無いのでしょうか)。そもそも、吉岡一門は何故に数十人ずつに部隊を分けてそこら辺をうろついているのでしょうか(決闘なんだから一ヶ所にまとまってれば好いじゃないですか)。こーもずーっと同じコトを繰り返されると(コレも正直)段々ウンザリしてきます。 ③もう一つ、肝心の殺陣の出来が非常に微妙です。「斬る」というよりは刀でパシッと「殴る」に近いものが非常に多いですし、他に多いのが敵の体を刀に乗せて一拍置いて「引く」という動作で、キレイに「斬ってる」シーンというのは数えるホドしかありませんです。あと、今作の殺陣は細かい段取りをチャンと決めてやってるというものではなく即興なので、明らかに「間違えた」シーンというのも散見されます(どー考えても受けられないタイミングで複数同時に攻撃してしまったとか、んで受け切れずに武蔵が斬られたのが明白なシーンとか)。ワンカットと言ってもそーいうのを最初からやり直すホドのやる気は無かった…て程度の気合の入れ方・覚悟なのかな、と。 最初に書いたとおり、通常の映画レベルの殺陣アクションが70分続く…という作品では毛頭ありません。個人的にはこれは最早、坂口拓主演による「山の石松百人斬り」という感じかと思います。明らかに「斬られ」に走り込んでくる敵を続けざまに斬り倒してご満悦なシーンなんて、正にそんな感じでしたですね。。 ※冒頭、実家の近所の二岡神社がロケ地だったので1点足しておきます。別にあそこがロケ地の映画は他に幾らもありますケド。 [DVD(邦画)] 3点(2021-04-21 00:43:05)(良:1票) |
959. 海底47m 古代マヤの死の迷宮
《ネタバレ》 ダイビング中で酸素が無い+サメ、という前作から引き継いだ優れた状況設定に、今作では海底洞窟の暗さ・狭さという不快要素も加わり、更にスリリングなシチュエーションになっている…ハズなのですが、なんでしょう、どーも緊迫感が維持されないというか、あまり盛り上がらないのですよね。登場人物が多いので(主人公のパーティだけで4人もいます)ショック描写の量は前作より増えていると思うのですが、総じてちょっとワンパターンで単調、ということかとも思われます(サメの襲撃シーンもそうですし、グロ描写もやや手控え気味かとも)。それでも終盤にかけては色々と工夫もあり、そこまで我慢できればそこからラストまではそこそこ面白く観れるのではないでしょーか。個人的には前作の方が好きです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2021-04-19 18:36:51)(良:1票) |
960. 血ぬられた墓標
《ネタバレ》 お話は率直にさほど面白くはないかと。ただ、見所が無いというワケではありません。冒頭のトゲトゲマスクのシーンなんか結構に陰惨な迫力がありますし、途中のグロシーンやラストの「皺」の特撮等は、中々頑張って工夫してるな、という感じで観ることが出来ます。 なにより、主演のバーバラ・スティールの美貌ですよね。ヒロイン兼ラスボスという美味しい役のひとり占めですが、どちらの演技も(やや大仰ですが)そこそこ上々で、今作は彼女の映画だと言ってもよいでしょう。ホラーの歴史に残る作品でもあり、観る価値はあるかと。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-04-19 16:10:40) |