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81.  ALWAYS 続・三丁目の夕日 《ネタバレ》 
そう、昭和三十年代はみんな貧乏だったけど、純朴な人情があった。もちろん悪い奴もいたが、今ほど理解を超えた非道ぶりでもなかった......。物語は、なんとなく先の読める展開だけれども、それでいいのだと思える予定調和でした。登場人物に少々家族のような親しみがわいてきました。続編をお願いします。
[DVD(邦画)] 8点(2008-11-12 16:53:26)
82.  陰日向に咲く
原作は読んでいないのでわからないけれども、涙ちょうだいの人情ものと、過去と現在、現実と妄想がないまぜになって展開するテント芝居風物語とを、足して二で割ったような、どちらも中途半端な出来あがりで、役者陣はしっかりしているというのに、感動も無理、残念でした。
[DVD(邦画)] 4点(2008-11-09 04:21:22)
83.  涙そうそう 《ネタバレ》 
 主人公の二人は、筋書き上はいちおう血はつながってないということにしてあるけれども、本当はこれは兄妹近親相姦ものと見た。この手の話は、インモラルゆえに、ハッピーエンドで終わらすわけにゆかず、主人公の少なくともどちらかは死ぬのが決まりみたいなものなので、この作品もこうしたお決まりにしたがっているだけなのだ。ならば、もっと明白に兄妹近親相姦ものでゆくべきだった。でないと、一方の死が唐突すぎるし、観客も納得しにくい。しかし、この二人はさわやかで、よろしゅうございました。
[DVD(邦画)] 7点(2008-10-16 09:20:06)
84.  椿三十郎(2007)
 今時の役者と今時の空気でリメイクすれば、森田芳光じゃなくたって、どうしたってこの程度。オリジナルと比べれば、上等の学芸会並み。まあ、これが呼び水となって、オリジナルに進む人が出てくれば、それで立派に役目は果たしたといえるのだろう。しかしまあ、よくも無謀にもリメイクする勇気があったものだ。
[DVD(邦画)] 3点(2008-10-13 04:07:19)
85.  母べえ
 派手なところや、けれん味は少しもないが、ていねいに作られていて、しかもこれまでの山田洋次くささがなくて(ラストの朗読は少々山田洋次っぽいが、これだけは余分だったように思う)、大変結構でした。子役の二人が良かったし、なかでも浅野忠信がいい味してましたね。彼のデビュー作『青春デンデケデケデケ』にも共通する雰囲気があって、ひょっとするとこうした役どころが、ほんとうの浅野忠信らしいところなのかもしれませんね。笑福亭鶴瓶、中村梅之助、でんでんらも結構でした。かつてこんなに嫌な時代があり、そのなかで人々が懸命に生きた時代があったということを、じっくり感じさせてくれました。
[DVD(邦画)] 9点(2008-10-09 09:23:56)
86.  28週後...
 恐ろしく哀しいお話。強烈な映像......。しかし個人的な好みでいわせてもらうと、私めが最も魅かれたのは、初期のキング・クリムゾン調の音楽でした。懐かしの音、メロトロン......。さすがブリティッシュ、全体にひと味違う。
[DVD(吹替)] 8点(2008-10-07 04:36:10)
87.  トニー滝谷
仮に画面を消して、音だけで聴いたとしても、一編のラジオドラマとして成立しないこともないぐらいの言葉による説明ぶり。ということは、一人前の映画とはいいがたいのだ、これは。ただ、淡いパステル画のような独特の雰囲気は捨てがたい。とはいえ、尺が短かすぎて、少々食い足りない。もっと映画として熟させれば名作になったかもしれない、残念な作品。
[DVD(邦画)] 6点(2008-10-03 03:04:44)
88.  真珠の耳飾りの少女
作家の想像力が、一枚の名画から、こんなスケベエでドロドロしたお話を作り上げよった! なにか清純なものが汚らわしいものによって陵辱された気分が残る。それにしても、画面は極上に美しかった。撮影・照明・美術・衣装に引き寄せられて8点。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-28 04:33:34)
89.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
 明らかに存分に金がかかっているにもかかわらず、なんとも子供だましのチャチな一本。ふだんの本多猪四郎+伊福部明のかもしだす誠実で暗い雰囲気と、アメリカ側の明るいファンタジー的な雰囲気とが、不釣り合いにかみ合っておらず、全体に未消化で、どうしようもない残念な駄作となってしまった。第一、話が古風なのやら現代風なのやら、一貫してない。ラストときては、『カリガリ博士』か! ジョセフ・コットンといえば、『第三の男』や『市民ケーン』の名優のはずだが、こんな経歴汚しの出演作もあったのだ。
[DVD(邦画)] 2点(2008-09-22 03:20:32)
90.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
のっけからあの溝口健二の名作、『近松物語』のパロディーに始まって、狸が恩返しにサイコロに化けて博打に勝たせる古典落語の『狸賽』もあり、これ全体が一編の落語のよう。画面も演技も手を抜かず、しっかり作ってあるので、素直に楽しめました。
[DVD(邦画)] 8点(2008-09-17 02:56:45)
91.  ロズウェル 《ネタバレ》 
『未知との遭遇』とか『ET』みたいなメルヘンでもなく、かといって攻撃性まみれの宇宙侵略戦争ものでもなく、実際あったとしたら、たぶんこんな話だっただろう、と思わせるに十分な、ドキュメンタリー・タッチのUFOもので、この点わたしは高く評価しますね。宇宙人そのものよりも、事実を世間から隠蔽しようとする軍や政府とのあつれきが緊迫感を生んでいる。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-09-10 01:48:34)
92.  グッド・シェパード 《ネタバレ》 
なんだか登場人物が錯綜して、よくわからなかったが、とにかくキューバ危機からケネディ暗殺にいたるちょっと前の頃に焦点を置いて、当時の諜報機関による謀略・暗殺なんでもありいの、いやあーな時代のいやあーな雰囲気を、いやあーなふうに忠実に描いて、いやあーな気分が残った。楽しい気分になりたい方には、オススメできない。
[DVD(吹替)] 6点(2008-09-04 03:49:48)
93.  おはん 《ネタバレ》 
昔の日本家屋のセットの出来が、なんともすばらしかった。俳優陣からすると、前年の『細雪』の余勢で撮りました、というところか。しかし、主人公のダメ男のもて男の、漫画的なほどのご都合主義と薄っぺらさには、ついてゆきがたい。ひょっとするとこういうのが、『夫婦善哉』といい、関西の伝統的もて男の典型なのだろうか。それに、世のサユリストには申し訳ないが、吉永小百合の演技は、どうしてこういつも吉永小百合になってしまうのだろう。こちらも、ファンでないと少々ついてゆきがたい。ミヤコ蝶々はさすがに味ありました。とにかく、男より女の、それも昔気質の女の意地と生き様を描いております。そこがどうも小生の琴線には触れなかった。7点は、美術と撮影に対しての高評価にひっぱられての点数。つけくわえておくと、しょっぱなのタイトルで流れる五木ひろしのド演歌が、意外にも新鮮でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-06 03:58:08)
94.  HERO(2007)
話の造作がイマイチなうえに、演出は浮ついているし、やたらと配役を色どって観客を呼び込もうとする魂胆が透けて見える。キムタク・ファンでもない限り、高い入場料払って観るような映画でない。
[DVD(邦画)] 3点(2008-07-23 08:44:39)
95.  わが町(1956)
 織田作之助原作というと、まず豊田四郎『夫婦善哉』というところだろうが、これもそれに劣らぬ傑作。いや『じゃりんこチエ』にもつながるような、大阪下町界隈ものなら、むしろこちらだ。いまは亡き新国劇の大御所、辰巳柳太郎の代表作でもある。殿山泰司、北林谷栄、大坂志郎、小沢昭一......、かつての名脇役たちも、よろしおまんなあ。
[DVD(邦画)] 10点(2008-07-09 23:28:01)
96.  白い巨塔
 これはもう山本薩夫のベストといっていい代表作で、出てくる多くの俳優陣たちにとっても、これを代表作の一つにあげないといけない。まず主演の田宮二郎。そのオーバーアクトぎみの軽々しい演技は、勝新太郎の『悪名』シリーズでたっぷりおがめるわけだが、ここでは彼自身とダブるともいわれる強烈な出世欲が前面に出て、しばしば滑稽なほど生な人間像が画面に充溢した。傑作なのは石山健二郎。黒澤明の『天国と地獄』では、いい味をだしていたけれども、スタッフを悩ますところもあったらしい。こっちのほうが実に生き生きしてる。東野英治郎に、田村高廣、小沢栄太郎、下條正巳......。藤村志保もこの頃が一番美しい。それから加藤嘉と滝沢修の堂々たる演技がすばらしい。伊福部明の弟子にあたる池野成も、このなんとも重苦しい音楽が、映画音楽としての代表作だろう。ちなみに、DVD版では選択を決定するたびに、「ただいまより、財前教授の総回診が始まります」という劇中のアナウンスがはいる楽しい趣向になっている。
[DVD(邦画)] 10点(2008-07-03 04:14:31)
97.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
まあ、イヤな話で、主人公にも共感できず、しかも長ったらしい。幸せいっぱいな新婚たちの指に光るダイヤモンドの背後には、こんな悲惨な出来事が日々くりかえされているのだ、という告発は意義があるだろうが、それならドキュメンタリーで伝えたほうがよくないか。それにつけても、この主演女優があのかつての美少女ジェニファー・コネリーとは、最後まで気づかなかった。
[DVD(吹替)] 5点(2008-06-26 18:39:27)
98.  犯人に告ぐ 《ネタバレ》 
原作は読んでいませんが、劇場型犯罪にいどむ、劇場型捜査とでもいうべきアクティヴな捜査、犯行よりもむしろ警察とマスコミの内幕を丹念に描いて、なかなか秀逸な一作でした。犯人については多くは語られず、ただ「狂気」の雰囲気のみ、「卑劣」なのは本当は警察の上層部とマスコミなのでした。笹野高史演じるところの「津田長」のような、世間的には恵まれない職人的デカが、唯一の救い。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-07 06:18:35)
99.  ゲゲゲの鬼太郎(2007) 《ネタバレ》 
 『釣りバカ日誌』シリーズをいくつか手がけてきた監督だけあって、西田敏行が他の出演者を食っちまった。それは許そう。CG効果の迫力を差し引いても、たしかに大泉洋のねずみ男や、田中麗奈の猫娘は絶品だった。間寛平の子泣き爺や、室井滋の砂かけ婆もはまっていた。そこは良かった。けれども、致命的だったのは、人間の家族や人間の生命に対する愛情は描かれていても、妖怪に対する愛が欠落していることだ。作り手に、自然にたいする畏怖につながるような、妖怪にたいする畏怖がまったく欠けているものだから、おどろおどろしい恐怖感など、まるでどこかへいってしまった。なので、あえて厳しい言い方をすれば、これじゃあせいぜい役者陣の仮装ものまね大会であって、鬼太郎ワールドとはとうていいいがたい。くわえて、人間の女子高校生とデートするイケメンの鬼太郎なんて、興ざめだ。作り直しを要求する。
[DVD(邦画)] 4点(2008-06-01 10:45:07)(良:1票)
100.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
 「しゃべる」ことの、自己表現のへたな人間たちが、ともに悩みながら成長してゆくお話。香里奈の仏頂面が案外魅力的だったし、脇をかためる八千草薫と伊東四朗がよかった。それにつけても、皆さんのいうとおり、故桂枝雀の偉大さよ。子役がまねしてなぞっているだけなのに、思わず笑ってしまった。枝雀らくごは永遠なり。
[DVD(邦画)] 8点(2008-05-30 12:22:13)
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