81. 思い出のマーニー
《ネタバレ》 とにかく躓く(つまづく)。これはこの映画において重要で、きちんと注意深く見なければいけない要素だ。杏奈は一体何回躓いただろうか。躓くという表現は、映画文法的には、自分の世界から他の世界へ出た瞬間を示すらしい。だとしたらいったいどれだけの外の世界があったのか。こうして杏奈は1枚1枚心の壁を(躓くことで)ぶち破っていったのか。 正規の歩道からそれて、茂みやぬかるみを歩いて進む杏奈も何度か描かれる。これは躓きよりも、他の世界への”能動的な”侵攻であろう。ボート乗り場へは茂みをワサワサかき分けてたどり着いていたじゃん。 車も躓いていたことを覚えているだろうか。映画が始まってすぐ、駅にお迎えの親戚2人が到着していて、その車に乗ったけど荷物だらけで狭くて、おばちゃんから「ごめんね、狭くて」とか言われてたとき、車は大きく躓いた。そのはずみでかぼちゃが箱から飛び出て杏奈の膝に転げ落ちた。運転手は「あのでっぱり、まだ直してないのか。」などと言った。今思うとこの躓きすらも杏奈にとって意味のあるものだったのだ。 このような映画的表現を、監督は意識的・効果的に取り入れていたのだろうか。意識していればオッケー。意識していなかったら、それは自然と出来ているということだから映画の天才と言えよう。 そもそもマーニーはなぜ現れたのか?という問いに対し、得た結論 「お盆だったから」 ・・・であるならば、畑で育てていた野菜はトマトであるよりも、ナスであったほうがよかった。そのナスを収穫して爪楊枝を刺して、マーニーはそれに乗って彼岸に還っていくんだよね。 [映画館(邦画)] 7点(2014-07-27 15:18:41)(笑:1票) |
82. ノア 約束の舟
《ネタバレ》 ノアの考えてることに追いつけなかった。まるで「神」に操られているかのようにわけわからねえことをふるまいだすので、ああ監督の悪い癖が出たなあと思った。赤ちゃんを目の当たりにするっていうだけで、あれだけの固い殺害使命感がコロッと折れてしまうものなのだろうか。人間とは、「神」の言うままに、常人では全く理解できないことすらためらいなく出来ちゃうものだ。そういう側面もひっくるめて人間なんだと思う。だからこの映画は、1周回って人間性の否定ともとれる。まあでもあそこで赤ちゃんを殺害しないほうがいいよねそりゃ。そういう人たちの末裔であるならばちょっと自分を誇っていい。 [映画館(字幕)] 7点(2014-06-29 23:10:45)(良:1票) |
83. 塔の上のラプンツェル
《ネタバレ》 映画館ではなく、自宅のノートパソコンのちいさい画面でこの映画を観てしまった自分に、バッカジャネーノと言いたい。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-08 02:06:50)(良:1票) |
84. 凶悪
《ネタバレ》 週刊誌の記者でなくても、人であるならば、好奇心というか興味本位というか、他人の不幸をやじうま感覚で知りたがる。これは仕方ないことだ。山田の妻(俺たちの池脇)は、家庭を全く省みない山田に対し「あなた、楽しかったんでしょ?こんな狂った事件を追いかけるのが。こんな風に殺される人がいるんだー、こんなに悪い奴がいるんだーって。」のように図星をつく。このせりふは我々への断罪であるのだろうが、池脇の口からこれが出ると、山田の犯した悪の性質の方向が変わる。 池脇は介護にくったくたになり、いつからか手を上げるようにもなっていて、なのに仕事ばかりで介護の手伝いをしない山田に、さきほどのせりふと離婚届を突き出している。だから、池脇はあの最後通牒の時、先ほどのせりふよりも、この目の前の家庭を何ともしようとしていない山田を断罪する方が役として嵌る。 どう修正すればいいのかわからないが、もうひとひねりすることで、「凶悪な本性は、誰の中にも眠っているんだよ、それを自覚しろ」という主題が成功しただろう。そうすれば名作だった。 介護施設のあの職員(なんと、リリーフランキーたちに金になりそうな老人を斡旋していたのだ)が、警察を見て「やべえ」って逃げ出して、トラックにはねられてしまう(結果真実は闇の中)というのはよろしくない。例えばビルの屋上から身を投げたり、もう少し走れば陸橋から死ねる高さで飛び降りれただろうから、脚本段階でこっちにすべきだった。あれだとトラックの運転手がかわいそうだ。 [DVD(邦画)] 7点(2014-04-06 23:13:57)(良:1票) |
85. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 よって、二郎は、幼い頃からの夢であるパイロットをあきらめるために、perfectな人殺しの道具を作ることに人生をささげた。そこに菜穂子が入る余地はなかった。『風立ちぬ』は、こんな映画。 でもきっと二郎はふと省みるだろう。はたして私の仕事はなんなんだろうかと。それがあのラストシーンのゼロ戦の死骸たち。だけども死骸は美しくない。二郎は美しいものにしか関心がない。 ブログにつらつらと書いたのでそちらもお願いします。 [映画館(邦画)] 7点(2013-08-27 01:56:50) |
86. 聖☆おにいさん
《ネタバレ》 神2人はもちろんだが、今回は立川の人々のほうが面白かった。特にコンビニの店員がいい。 あと、映画館で観たんだが、ボリュームがやや大きかった。 [映画館(邦画)] 7点(2013-08-27 01:49:52) |
87. 鍵泥棒のメソッド
《ネタバレ》 広末に魅力を感じない。それよりも、ちょいちょい登場する女性達のほうが魅力的。まあ確かに地味な女性という役柄ではあるものの、はっとするような色気というか、『おくりびと』の奥さんのような、実家に帰られたら死にたくなるような女には見えなかった。そんな広末に惚れる立場の香川照之ってのも、おまえが広末と結婚かよって首を傾げてしまう。 そんな香川はさすが役者!この前テレビで市川中車襲名披露口上を見たが、歌舞伎の伝統的口上でさえしれっとやってのけられるくらい上手な役者だなあと感じたものだ。堺雅人はいつも以上にあの顔の皺に頼っていた。 内田作品の醍醐味は、なんといっても巧妙に仕組まれた脚本だろう。序盤まき散らした写真が、ラストのきっかけになるとか、車の警告音が胸キュンの音に重ねられていくとか、とにかく巧妙。 これはまるでピタゴラ装置を見ているときのような、神々しささえ感じる。どうやって考えればこんな台本が考えつくのだろう。制作過程を見てみたい。 [映画館(邦画)] 7点(2012-11-11 18:41:59) |
88. パレード
《ネタバレ》 藤原が犯人であることを、実はみんな分かっている、ということが垣間見える伏線があったのだろうか。そういう伏線の違和感が欲しかった。あと、もうすこしエロが欲しかった。 [DVD(邦画)] 7点(2012-01-26 19:09:58) |
89. ハンナ
《ネタバレ》 うーん、どこかで見たことある感じの映画だ。施設からの脱出のところとか、廃墟公園での戦いとかでもっとエキサイティングにできたと思う。 ちなみに鑑賞環境は映画館としているが、実は飛行機の中で観ました。 [映画館(吹替)] 7点(2011-09-04 19:00:00) |
90. 攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D
3Dの必要あんまないと思う。このシリーズは、2年に一度くらいやってほしい。 [映画館(邦画)] 7点(2011-08-24 21:52:40) |
91. マイ・バック・ページ
《ネタバレ》 あんまりおもしろくなかった。ラストの15分くらい寝た。映像がアナログ放送みたいな感じで荒く、その質感が心地よい。細部まで40年前の風景が作られていて感心。 エロが足りない。若者の映画なんだからエロは必要だろう。 『バーダーマインホフ』『実録日本赤軍 あさま山荘への道程』『パッチギ』あたりを参照。 『真夜中のカーボーイ』を観なきゃいけないなと思った。 あの学生運動の熱気、もう日本には訪れないのだろうか。一部のプロ市民とチャンネル桜と怖い大人たちの週末のサークル活動なんかではなく、東大を入試中止に追い込むくらいのそれを、なんとなく欲している。 [映画館(邦画)] 7点(2011-06-09 21:04:56) |
92. パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉
《ネタバレ》 いまいちワクワクしなかった。インディジョーンズやグーニーズやラピュタをもっとあからさまにパクって面白おかしくやってくれればよかった。 [映画館(字幕)] 7点(2011-05-22 00:25:43) |
93. ソーシャル・ネットワーク
《ネタバレ》 速い展開でスタイリッシュなのは良いのだけども、中盤は物語自体がスローになるので退屈。 舞台化するといいんじゃないかな。三谷幸喜あたりの脚本で。 理系の孤独な秀才が、モテモテの男たちのはなをあかす様子が爽快だった。 [映画館(字幕)] 7点(2011-01-16 23:56:09) |
94. 借りぐらしのアリエッティ
《ネタバレ》 記念すべき600レブー! 最後猫とアリエッティが見つめあい意気投合するが、あれも納得いかない。あの時猫がアリエッティを一飲みするんじゃないかとひやひやした。無言でただ見つめあう。何かテレパシーだったのか。 で少年が生きる希望を持つのだが、あれも不思議。我々映画を観るモノには分からない、何か大きなものを少年はアリエッティから得たのだろうきっと。よかったね。 とまあ『トイストーリー3』にはまだ遥か及ばない感じであったけれども、ステュディオディヴリにおかれましては、こんな感じで若き才能をどんどん開花させていって、ハイペースで作品を送り出してほしい。なにもかの大作クラスは欲しない、今回みたいなさっぱり味の小品、試作品でいいから、2年に3本ペースがいい。もちろん宮崎五郎の新作、日本人は首を長くして待っている! [映画館(邦画)] 7点(2010-08-17 21:02:04)(良:1票) |
95. インセプション
《ネタバレ》 インランドエンパイアを分かりやすくしたかんじ。 街がぐにゃーってまるまるあの夢の中のあいまいな感じを後半欲しかった。強固な要塞とかでなく、インランドエンパイアみたいなぐにゃぐにゃした世界を。 [映画館(字幕)] 7点(2010-08-09 22:11:48) |
96. トイ・ストーリー4
ひっさびさに奥さんと二人で映画館に行ったんだけど、「トイストーリーってこういう映画だっけ?」と首傾げながら出てきた。ちょっと残念。 [映画館(吹替)] 6点(2020-03-30 14:56:11) |
97. ヤクザと憲法
《ネタバレ》 ヤクザもんを排除する社会よりも、ヤクザもんと共生する社会のほうが好きだと思う、憲法は。 [映画館(邦画)] 6点(2020-03-30 14:53:53) |
98. マッドマックス 怒りのデス・ロード
《ネタバレ》 先頭に吊るされた男がギター弾いてる車が面白かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2020-03-27 14:14:18) |
99. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 たとえ一人忘れられたとしても、およそ人類で唯一の体験ができたのだから、それで満足したってよいのではないか。そして、それを疑似体験できるのが、映画のすごさ。 [地上波(吹替)] 6点(2020-03-23 22:25:39) |
100. 愛の渦
《ネタバレ》 体を交わしていくうちに、それぞれの内面が浮かび上がってくると、即席で人間関係が醸成され、生々しい愛憎劇が発生する。しかも場所が場所なので、かなりデリカシーがゼロレベルな愛憎劇。我々観客も映画館でタオル一枚になるとより臨場感を持ってこの映画を楽しめたと思う。 朝になって、カーテンをバーッと開いて朝日に照らされて、恥ずかしがりながら服を着始めるところが泣ける。しかしせっかくマンションの一室のみで進められた密室劇なのだから、ラスト、ファミレスのシーンとか無くしてしまってよかった。あの朝日で十分。 脚本としては、エピソードがややつながっておらず、単発の短いクエストを一個一個クリアしていっている感じだったので、物語としてのダイナミズムは物足りない。次はメンバーを入れ替えて愛の渦2,3、・・・を撮ればよい。設定はそのままで脚本家はその都度公募するかんじで。 [映画館(邦画)] 6点(2014-08-18 23:42:08) |