81. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 私はまだ独身なので親の気持ちというものはわかりませんが、親はいつだって子を庇うもんなんですね、それがホロコーストの最中であろうとも。戦渦の中、楽しい父親を演じ続けるグイドを見る者誰もが応援したのではないでしょうか。最後の最後まで楽しい嘘を続けながらもあまりにあっさりと自身のラストを迎えてしまったグイドを見て、それまでの雰囲気との対比で逆にこの時代の残酷さを見せつけられた気がしました。また、スピーカーを使ってドーラにメッセージを伝えようとするシーンは文句なしの名場面だと思います。ジョズエを気遣うばかりでなく、全編を通して愛するドーラを常に気にしているグイドの姿も印象的でした。今まで見た映画の中では間違いなく一番の作品です。この映画を思い返すたびに、おかしな気持ちと切ない気持ちが入り交じったような気分になります。 [映画館(字幕)] 10点(2007-01-30 17:03:33) |
82. エアフォース・ワン
テロの脅威が大きくなったここ数年ではこんな映画も作りにくくなったと思います。特にこんな大統領がテロリストと戦うなんていう娯楽作品にしようもんなら国内外から批判がきそうですね、そんな意味で貴重な映画です。ストーリーとしては普通に悪くない映画だとは思うのですが、やはり一国の大統領にあんな体力があるのは不自然に感じましたし、ラストの方の粗いCGは当時にしてもかなりの粗悪品だと思いました。しかしハリソン・フォードのキャスティングはグッドです。 [ビデオ(字幕)] 2点(2007-01-30 16:19:05) |
83. ボーイズ・ドント・クライ
自分が男であるということを自分に言い聞かせ、且つ周りにもアピールをするかのように背伸びし続けるヒラリー・スワンクが何とも切なく見えました。それだけに体が女であることが知れたときの周りの人の衝撃は大きかったでしょうし、かといってラストは酷すぎると気がしました。しかしこの酷すぎるラストによって逆に、性同一性障害に対する理解が深まればいいと製作側は思っているように見えましたし、見終わった私もそう思いました。あくまで内容を実話として克明に反映し、音楽も演出も控えめに徹して描いている意味がそこにはあるように思います。 [ビデオ(字幕)] 4点(2007-01-29 07:52:55) |
84. エターナル・サンシャイン
適度に複雑な構成になっていて時間軸をいじった割には観やすい作品だったと思います。破天荒なケイト・ウィンスレットがどうしても魅力的な女性に見えなかったのが終始残念でしたが、記憶に最後まで縋ろうとするジム・キャリーには何となく共感できました。忘れたい記憶ってのは忘れたいと思ってるから忘れられないわけで、何を思われることもなく忘れ去られてしまう記憶に比べたら、きっと遥かに忘れたい思い出の方が人の人生には貴重なんだろうか、なんて考えてました。それでもやっぱり忘れたくない思い出が一番でしょうが。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-29 07:35:15) |
85. グラディエーター
《ネタバレ》 舞台や衣装、ストーリーなど総合的に完成度が高い映画だと思います。ラッセル・クロウは個人的に嫌いなのですが悔しながらかっこよかったです。ちょっと兵士として完璧すぎる気もしましたが、前半のマキシマスの家族が殺され覆面兵士となってから後半の直接対決まで、気を抜くことなく楽しめました。ただ歴史もの、というよりはヒーローものの舞台を歴史上に移したという感が強く、どうも現代的な作風になってしまっていたのは少々残念です。またマキシマスが家族と再会しているかのような最後のシーンは、薄っぺらい演出に見えて非常に興醒めでした。 [映画館(字幕)] 6点(2007-01-29 07:06:21) |
86. ギルバート・グレイプ
《ネタバレ》 家族を支える苦悩に揉まれながら、本人としては頑張っているのにもかかわらず弟以外の家族や警察から弟のことで文句ばかり言われるギルバートの気持ちが痛いほど伝わってきました。これといった捌け口もなく、毎日をこじんまりした商店と家と、時たま鉄塔との往復で費やす寂しさは言葉にしようがないものがありますね。弟を殴ってしまったと悔やむ様子が特に印象的でした。ベッキーの登場から彼女との恋愛がメインになってしまうのかと思いきや、そうでなかったのも好印象ながら、序盤のギルバートの配達先での不倫は少々不要かと思いました。ともあれ燃える家を見つめる兄弟たちのシーンと、全編にわたる片田舎の映像の叙情的な美しさが素晴らしかったです。名作。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-01-29 06:32:02) |
87. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
《ネタバレ》 ヒット作の名を汚さないためにも作るべきではなかった作品だと思います。ラストの見せ場も、次の年に公開が噂されていた「Godzilla」対策として無理矢理に本土に恐竜を連れてきた感が強く、いくら何でも本土に恐竜が上陸しちゃったら逆にフィクション丸出しで恐怖感も減衰してしまう気がしました。ストーリー性が前作に比べて破綻してしまっていて、前作はパニック状態の中でも何とか生き残ろうとする人間の姿がメインだったのに対し、すっかり今回は主役を恐竜が人間から奪ってしまった感が強かったです。 [ビデオ(字幕)] 2点(2007-01-26 07:43:28) |
88. スウィート・ノベンバー
前半ですっかりありがち且つ強引なラブロマンスの像を印象づけられたせいで、いきなり後半から展開が変わったのでびっくりしました。全く予備知識なしで見たため、全部うまくいって終わるのだろうと思っていたので、思いもよらないラストがやけに心に沁みました。。こんなB級映画にやられてしまうとは…とも思いましたが感動したのが本音なので7点。エンヤの音楽も、音楽の方があまりに有名なために映画とマッチングしているかが微妙でしたが素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 6点(2007-01-26 07:20:31) |
89. ターミナル
コテコテのコメディでもなく、恋愛一辺倒でもなく、空港内でのストーリーだけに起伏の乏しい展開で、なかなか映画として描いた意義を見つけにくい作品のような気がしました。本気で空港から追い出そうとするなら警備局長サイドももっと有効的な策を講じたであろうに、そこはコメディタッチならではのかけ合いということで済ますべきでしょうか。しかし発展しそうで発展のしないトム・ハンクスとキャサリン・ゼタの恋仲がやけにリアルだったり、白を基調とした清潔感溢れる空港の映像など、なかなか好印象の点も多い映画だったことは確かです。 [映画館(字幕)] 4点(2007-01-26 07:09:06) |
90. インビジブル(2000)
透明人間登場という着想まではよかったと思うのですが、やけに中身が薄い映画だったと思います。結局途中までケビン・ベーコンは淫乱な行為しかしていないし、数名の一般人を除いて基本的には研究員の周りとその関係者程度にしか被害が及んでいない点もやけに平和的な透明人間のような気がしました。まぁ結局男は透明になってもそんなに壮大な罪は犯せないということでしょうか。とにもかくにも透明人間の脅威というものが全く生かされていない映画でした。また皆さんもおっしゃってる通りラストのアクションも引き延ばしすぎですね。。 [DVD(字幕)] 2点(2007-01-26 06:50:12) |
91. ぼくの美しい人だから
《ネタバレ》 最愛の人を事故で亡くした主人公だけあって、車に乗ればシートベルトにドアロック、さらに車はボルボ…とここまではよかったもののいきなり飲酒運転とは何ともリアリティがないような気がしました。。まぁそれはご愛嬌としても、恋が発展するまでがまたなかなか破天荒な展開ですね。しかしやけにリアルな後半は、実際こういったカップルが身近にもいそうな設定で引き込まれるものがありました。ただやっぱりジェームズ・スペイダーやスーザン・サランドンの過去の設定があまり生きていないような気もしましたし、探すなと言って消えた割には姉の占い師のところを当たってあっさり身元が割れてしまうのも随分安直な展開だと思いました。 [ビデオ(字幕)] 3点(2007-01-26 06:33:25) |
92. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 映画館の大画面でこの作品を見終わった後の脱力感を忘れることができません。どこか記録映画めいたフィルム映りがやけにリアルで、ここまで哀しいお話でも息子と歌さえあれば生きていけるというセルマの生き様には非常に感動するものがありました。しかしあれだけ簡単に死刑宣告をしてしまうあたりは虚構見え見えで、悲劇にしようとするあまり少々映画として雑になってしまったような感じがしたので残念です。またここまで暗い物語を映画として作ることに何か意味があったのか非常に疑問です。衝撃で立ち上がれなくなった映画といえば「ボーイズ・ドント・クライ」もそうでしたが、何のメッセージもなく単に暗くしたという点ではこちらの方がよっぽど粗悪な映画だと思います。まぁ確かにこの展開で結局セルマが助かるなんていうラストを設けたら逆に非難が噴出しそうな感じではありましたが。。 [映画館(字幕)] 0点(2007-01-25 02:23:46) |
93. パルプ・フィクション
メッセージ性も特になく、物語に起伏もなければ大きなオチもない…にもかかわらず随所にお洒落な描写があったり、あえてうけを狙わずに作ったような感じがなかなかよかったです。ブルース・ウィリスの物語は正直印象として薄いのですが、その前後の2本の物語が見事でした。娯楽作品以外の何ものにもなれない、逆に言えば最高の娯楽作品だと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2007-01-25 01:13:55) |
94. 海の上のピアニスト
寓話としてかなりの出来映えだと思います。「ニュー・シネマ・パラダイス」といい、トルナトーレ監督はどこか懐かしい雰囲気のある物語を描くのが上手ですね。郷愁を帯びたような海を背景にした、男同士の戦いや淡い恋のエピソードのひとつひとつが何ともいい世界を創り出していると思いました。音楽も素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 7点(2007-01-24 14:46:17) |
95. シンドラーのリスト
見終わった後率直に、こういった映画をやはり後世に残すべきなのではないかと思いました。戦時中人の手により行われたことを一方は伝えなければならないし、他方は知らなければならない。そのために史実に基づいた文献があり、映画があるのだと思います。もちろん演出上脚色の加えられた部分も多々あるでしょうが、それもまたリアルさとして映っていると思います。特にモノクロの映像の中に登場する紅いコートの女の子が非常に効果的に作用していて、かなりインパクトがありました。伝えるものの多さゆえにこれだけ長くなったのも頷けますが…やはり重かったです。賞狙いという見方も拭えませんが、良くも悪くも著名になったスピルバーグが描いたことが、この映画にはまた意味があったのではないでしょうか。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-01-23 23:46:09) |
96. インサイダー
とてもかっこいい男たちを描いた映画です。この映画のアル・パチーノのようなジャーナリストが今の日本にはどれだけいるのか、虚偽内容を放送したテレビ局のニュースを見てこの映画を思い出しレビューしてみました。日本の報道を請け負う人々の現状を憂うばかりです。知らなくてもいい事実ばかりを報道することではなく、人々が知らなければならない真実を伝えるのがメディアの本当の仕事だと再確認させられました。しかしインサイダーになるってのは大変なことなんですね。自分がラッセル・クロウならなかなかこんな決心はつかないだろうと思いました。少々長いのが玉に瑕ですが、この映画に関しては長いことによって見応えと価値が損なわれているわけではないと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-22 23:44:42) |
97. コールド マウンテン
単調なストーリーに、純愛に泥を塗るかのような無駄なエロスも間に挟まれていて印象が悪かったです。インマンの逃避行ももう少し山あり谷ありでもよかったのではないでしょうか。ただ連なる山々を背景にした映像はなかなか美しく、インマンとエイダの純愛ぶりも悪くないです。しかし起伏のない物語はやはり面白みに欠け、レンタルで充分な作品と言わざるを得ません。 [映画館(字幕)] 4点(2007-01-21 23:03:15) |
98. スピード2
テレビの吹替で充分な作品でした。DVDのレンタル料金さえも惜しくなるような一作です。いくらキアヌに断られたと言っても、ここまで主役をレベルダウンさせてしまってはなるものもならなくなってしまうと思います。広いハリウッドなら他に誰か出演を受けてくれる人はいなかったのかという感じです。前作のような困難の連続がなく、やけに事態の解決にマイペースな印象を受けました。また前作を見ていても思いましたが、強引に止める方法しかヤン・デ・ボンは思いつかないのでしょうか。白い船が青い空と海の間に浮かんだリゾート的な映像の綺麗さだけが頼りです。前作と比較し過ぎてごめんなさいといった感じです。 [地上波(吹替)] 3点(2007-01-21 04:04:10) |
99. スピード(1994)
《ネタバレ》 スピード感溢れる映像と、緊迫感の滲み出るような演出のお陰でアクション映画の一級品として成り立っていると思います。私は割と地下鉄のシーンも嫌いではありませんが、働き盛りのSWAT隊員と初老を過ぎた爆弾魔の直接対決ならそりゃ勝敗は明らかだろとも思いました(その割にはデニスも大健闘)。あとはバスが途切れた道を飛び越えるシーンですが、あれはあれでありなんでしょうか。。ちょっと無茶しすぎな気がします。この映画を観て以来キアヌのファンです。ヤン・デ・ボンのように一発屋にならなくてよかったです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-01-21 03:46:08) |
100. デイ・アフター・トゥモロー
《ネタバレ》 テーマもタイトルもこの時代ならではで、この映画を作る意味というのはそれなりにあったと思います。問題提起からパニックに陥るまでの展開と映像描写はなかなかいいと思いましたが、結局まとめることができずに終わらせてしまった感が大きいです。人間が何をすべきなのかということではなく、物語が単に親父が息子を助けに行く途中の小冒険と、それまで何とか凌ごうとする息子の寒さと(あと数匹の狼と)の闘いがメインになってしまったのは残念です。まぁ一旦気候が崩れてしまったら人にはなす術はないということなのでしょうか。しかしなす術がなかったのになぜか一件落着するラストにも驚嘆しました。この映画は環境破壊が進んでこういった状況に陥っても一時的な寒ささえ凌げば大丈夫だよ、とでも言いたいのでしょうか?ちょっと地球の危機に対する認識が甘いような気がします。 [DVD(字幕)] 2点(2007-01-21 03:11:58) |