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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  Mr.&Mrs. スミス 《ネタバレ》 
娯楽コメディ映画としては人を殺しすぎ。銃社会に生きているとこういう演出が平気になるのか?
[DVD(字幕)] 6点(2011-09-16 22:24:23)
82.  Re:プレイ 《ネタバレ》 
病院で目覚めたサイモン(S)は過去2年間の記憶を失っていた。クレアという美貌の女性が現れ去っていくが、彼女は兄の婚約者だと後でわかる。妻のアナが現れ、Sの兄を殺したのはあなただと告げる。ショックを受けるSだったが、気がつくとそこは2年前の世界だった。謎が謎を呼ぶ展開は好意が持てた。特殊効果を加えた映像による心理描写は秀逸。欠点はサスペンスにこだわりすぎて人間ドラマが希薄であること。恋愛に絞ればよかったのに。残念。 ◆それにしても大変わかりづらい映画。2度観ないと理解不能でしょう。ラストで種明かしがあるが説明が必要。改変された未来である2002年のSの自宅。兄は生きていて、Sを寛容に受け入れる。S持参のワインボトルを置くが、そこには何本ものワインボトルがある。これはSが持参してきたもの。つまり同じことを繰り返しているのだ。父の写真があるが、その顔は2002年の事故時の担当医ニューマンだ。つまりすべてはSの妄想で、父の面影を医師に投影したものだった。Sも兄も兄の婚約者のクレアも2000年の交通事故ですでに死んでいる。Sの妻アナは看護師を投影させた架空の人物に過ぎない。それでも時間のループは終らない。兄のうんざりした顔。「俺たちはみな死んだんだ」Sは今度はうまくやると言う。Sはまた2002年の事故直後から架空の人生をやり直すのだった。 ◆2000年での行動が2002年に反映されるのがポイント。何とか兄の命を救おうと過去を改変するが結局はうまくいなかい。運命は変えられないのだ。不幸なうちに人生を閉じた三人の残留思念が病院に残って妄想を観させているのだろう。 【疑問点】 ①Sに危害を及ぼそうとする医者の恰好をしたマスクの男は誰か?強迫観念の賜物か。何の説明も無いのは不親切というもの。 ②クレアは2000年事故で一緒に死んだのか?そうだと推測されるがはっきりとは示されていない。 ③Sは天窓から落ちた兄を車ごと崖から落とそうとするが、その理由が不明。警察には兄があやまって転落したと説明すればよいだろう。完全に息の根を止めようとしたのだとしても放置しておけば済む話だ。 ④2度目にSは天窓から落ちた兄を病院に運ぼうとする。何故救急車を呼ばないのか?死んで判断能力が減っているためか。 ⑤2002年の事故の経緯はどのようなものか。Sが自宅をリフォームしようとして塗料の毒を吸ったのが原因か?全てが妄想であるなら、何でもアリだが。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-29 16:50:13)(良:1票)
83.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
【世界観】納得できない点が多数。世界観が分りづらい。人類に生殖能力がなくなったらしいが、どうして英国以外の国は崩壊してしまったのか。作物が収穫できなくなったわけでもないのに。まさか民衆が絶望して暴動を起こしたのか。何の目的で?主人公の勤めている官庁ではネットがあるが、どうして一般社会で情報(ヒューマン・プロジェクトなど)が伝わらないのか?ケータイは無いのか?反政府組織は、政府が難民を受け入れないのに反対しているだけなのか。どうして一般市民を爆弾テロに巻き込んで殺すのか?それでいてボスであるジュリアンは、平和主義的すぎるという理由で仲間から殺される。 【不妊】人類が同時に不妊になる筈が無い。ウイルスであれ、放射能であれ、影響の及ばない地域がある。あり得ない設定にするのなら、それらしき理由を提示せよ。人類は全力を上げてその原因を追究した筈である。クローン技術はどうした? 【赤ん坊】あんな簡単に赤ん坊は産めないと思うけど。18年ぶりの赤ん坊は人類の宝物。全女性不妊の原因解析にもなるだろう。主人公ファロンは、従兄弟が政府高官という強力なバックグランドがある。実際に通行証も入手している。どうして政府に保護を求めないのか?電話一本で済む話じゃないか。危険を冒してまで、実態も知らない組織に渡す理由が無い。マスコミに知らせるという方法もある。◆反政府主義者はどうして妊娠中のキーの乗っている車を襲ったのか?ジュリアンをを殺すのならいつでもチャンスはある。そもそも彼らはどう利用しようというのか?◆赤ん坊を見て感動を露わにしていた兵士たち。どうして赤ん坊を保護しないのか。最重要任務じゃないか。感動は嘘だったのか。赤ん坊の父親は無視で良いのか。父親も人類にとって重要なのだが。 【カメラ】長回しの失敗例。俳優の横に、こうカメラマンが立って、次はこう向きを変えた、とかが分ってしまうので映画に集中できない。カメラは神の目線なのに、血糊が付くのはおかしい。 【人物】魅力的な人がいない。主人公はいつもおろおろするだけ。元妻はすぐ死ぬ。黒人娘は無愛想。全く母親らしく無い。母性が無いのだ。活躍したおばちゃんは英語がしゃべれない。興行的には失敗で、制作費も回収できなかった点もうなづける。リアルな戦闘シーンだけが見どころ。ジョンレノンに似たおじさんや、ジョンの母ジュリアンの名を何故出すの?リスペクト?
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-19 18:16:14)(良:1票)
84.  ペイチェック 消された記憶 《ネタバレ》 
マイケルは(M)パクリの天才技術者。新3Dディスプレイもたった2か月で完成。機密保持のため開発期間の記憶は消される。そこまでする必要があるか甚だ疑問。◆Mはオールコム(O)社との3年契約の仕事を受諾。誰でも躊躇、リスクが大きく、内容も知らない。動機は金。これでは主人公に感情移入できない。◆Mは未来を見れる装置”未来ビュー”を開発。未来では、未来ビュー発明の影響で戦争が勃発し、核戦争が勃発していた。Mはウイルスで未来ビューを機能不全に。◆Mは記憶を消されるが、それなら自分宛のメッセージを密かに送っておけばよい。例えば切手に暗号化した情報(メモやアイテムの使用方法)を付加しておくとか。恋人に頼むとか。意味不明のアイテムを自分に送っても用をなさないリスクがある。◆刑事がMの煙草を吸うのは偶然。この場面をMが未来ビューで見た筈がない。未来を知ってからアイテムを用意したのだから。煙の中で特殊眼鏡を着用するが、どうしてそれに気づくのか?記憶は無いのだ。メモの数字とロトが一致するのを知るもの偶然。外部とは接触不可なのにエジソン社の鍵を入手している。◆原作ではアイテムは7つ。未来を見て、未来から物質移動させてきたものと説明だ。会社は悪く無く、開発目的は圧制に苦しむ民衆を支援するもの。Mも機械を破壊はせず、会社の経営に参画する。◆途中までアイテムを使ったサバイバル頭脳戦だったのに、アクションになり、最後は機械を爆発させるだけという単純な結末に脱力。だったら最初から爆発するように仕掛けておきなさい。流れも悪い。命がけでO社に侵入したのに、未来ビューのウイルスを除去して自分の未来を見るなんて流暢なことするな。時間が無い。またそのような危険な場所に恋人を連れてゆくな。それに記憶がないので恋人は赤の他人としか見えないはずだが。敵子分もMを追わず自分の未来見てるし。◆未来社会のはずなのにビルや車など現代社会そのもの。「マイノリティ・リポート」に較べるとB級。◆O社の見たMの未来はこうだ。MはFBIに拘束される。それはMの提出した特許(実はO社が勝手に提出)がデッカーの技術を応用したものだったから。残った記憶を調べるめに脳内を操作され脳温上昇で死亡。一方Mの見た未来は、O社で銃で撃たれるというもの。矛盾がある。◆設定は魅力的だが、内容が薄っぺらで、人類を大惨事から救ったというカタルシスを得られない。
[DVD(吹替)] 6点(2011-02-19 09:09:30)
85.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
【謎解き】青年マット(M)がインディ(I)に助けを求める。Mの保護者オックス(O、Iの友人)はペルーでクリスタルスカルを発見、アケトー(古代文明黄金都市)に持って行くと手紙をよこし、消息を絶った。16世紀探検家オレリャーノはアケトーを探して行方不明。スカルをアケトーに戻すとパワーを得られるという伝承がある。Mの母親はOを探しにペルーへ。しかし共に攫われ、スカルを渡さなければ殺すと脅されている。Iは手紙の古代語を読み解きペルーへ。精神病院の床にOの描いた地図を発見。オレリャーノの墓の地図だった。墓に到着し、オレリャーノの遺体とスカル発見。スカルは戻された跡があった。拉致されイリヤ・アラマカに移動。Oと会うが正気を失っていた。Oが表意文字でアケトーの場所を示す。逃走して川を下り滝を落ちて入り口を発見。出口はピラミッドの上。オベリスクを破壊すると砂が落ちて石組細工の鍵が作動。内部に侵入。ゲートにスカルをかざすと開く。世界から集めた考古資料。13の宇宙人の骸骨。パワーとは知識のことだった。スカルを戻すと合体して肉化。巨大UFOで異次元へ。 【安直な部分】アメリカングラフティ無意味。核実験場から鉛の冷蔵庫で脱出。ロズウェルパートは本筋と無関係で不要。13の骸骨が合体して肉化。ベタな巨大宇宙船登場。敵がロシアKGB。敵ボスが女で超能力者。超能力もほとんど使わない。ロープ代わりの大蛇。ターザンごっこ。車が崖から墜ちる。滝の3段落ち。無関係なのに襲ってくる原住民。彼らに対するリスペクト無し、不用意に虐殺。空輸したバイクを使わない。伏線のナイフも肩透かし。 【感想】謎解きパートは良い。適度に複雑で謎解きもあざやか。雰囲気を盛り上げている。今更のロズウェルネタやUFO落ちはいただけない。骸骨が再生するのはやり過ぎ。脇キャラに問題がある。Oもマックもマリオンも年寄り。アクションが弾けない。Oは夢遊病状態、マックは二重スパイで金に執着、マリオンは強気で魅力的だがメタボ体型。Mは行動が無鉄砲で知性的ではなく、Iの息子に見えない。敵ボスが女というのも問題。Iは女性に優しいので合わない。知力に優れた男にすべき。◆新鮮味に欠けるものの、次から次へと飛び出す冒険アドベンチャー、アクションのアイデアに脱帽。軍隊蟻がツボだった。爽快感は魔宮の伝説に匹敵。帽子や鞭の使い方は秀逸。歴史的シリーズの続編として合格。
[DVD(字幕)] 9点(2011-02-15 18:53:02)
86.  地獄の黙示録 特別完全版 《ネタバレ》 
【ウィラード】諜報部隊の暗殺要員。故郷では歓迎されず、妻と離婚、戦場に戻るが、戦争の偽善と欺瞞を知っており、精神を病んでいる。カーツ暗殺を命じられるが、戦争の実態とカーツを知るに従い彼に同情し、心の平衡を保てなくなってゆく。カーツの分身でもある。 【カーツ】エリート軍人で、実績も申し分ない人物。戦地で恐怖と狂気を体験し、魂を病む。ベトコンが躊躇なく子供の腕を切断するのを見て、恐怖の克服の仕方を学ぶ。倫理や道義心など捨ててしまうことだ。それに気づいたとき彼の心は自由となり、軍隊を離れ、王国の支配者となる。そこでは彼は神のように振る舞い、処刑された死体がごろごろ転がっている。生と死の境が曖昧だ。一方で苦悩が消失したわけではない。そこでウィラードに自分を殺させ、自分の物語を息子に伝えてくれることを願い、それを演出する。彼にとって自分の死も取るに足らない。魅力的ですらある。 【感想】戦争はどうして止まないか?それは戦争に美しさがあるからではないか。その命題を誠実に追求して完成させた作品。◆ウィラードが前線に到着してからわずか10分足らずで戦争の凄まじさ、悲惨さ、凶器を表現出来ている。監督の力量に脱帽。キルゴアはカーツの対極にある人物。狂気に苛まれているのは同じだが、戦争を楽しんでいる。まだ心の均衡が保たれている。奥地に進むに従い、狂気と混乱が増す。指揮官が居ない前線、もはや誰と戦っているのさえ不明な混沌。正義も大義も無意味だ。兵士たちは戦争に踏みにじられている。農園を守るフランス人は、自らの正当性を主張するが、すでに敗北は決定している。ウィラードの部下も精神を病み、次々と脱落してゆく。カーツの王国は原始的社会。神話が生きている世界だ。カーツ暗殺は、牛を捌く儀式と並行して描かれる。すなわちカールの死も神に捧げる儀式。カーツが死んで神話が完成した。それが「Apocalypse Now(現代の黙示録)」◆戦争の美しさとは何か?神と一如となる体験かもしれない。人間にその原初的な誘惑があるからこそ、戦争は潜在的に魅力的で、無くなることはないのだ。反戦のための映画ではなく、戦争が存在する根源的理由を抉り出した問題作。戦争の美しさは、導入部のナパーム弾と音楽でエレガントに表現できている。監督の狂気だろう。だが心の平衡を保つためには、時に狂気に触れてみるものいいかもしれない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-02-14 14:09:56)(良:2票)
87.  穴(2001) 《ネタバレ》 
悪女の奸計と狡知により完全犯罪が成功したわけでなく、総て偶然ととっさの嘘の産物。こういう映画を作った関係者を付け上がらせてはいけません。どんどん突っ込みましょう。 ①リズはマイクに片思い。リズの親友フランキーとジェフはラブラブ。野外研究授業をさぼって四人でシェルターで三日間過ごす?あんな不気味なところ誰が行くか!野外授業の方が絶対楽しい。 ②リズが鍵を閉めたわけだが、そのことに誰も気づかない。自然に鍵が閉まるわけがないのに。 ③10日目にフランキーが食道の血管の破裂による心臓麻痺で死亡。それでも言い出さないリズ。水と食料がわずかで、死体と一緒に過ごす方を選択をする理由がわからん。 ④コーラを黙って飲もうとしたジェフをマイクが殴って過失致死。ちょっと不自然。 ⑤18日目リズが扉を開けると、真相を知ったマイクが激怒。リズを殴りにはしごを登って墜落死。マンガだね。 ⑥電燈が徐々に消えてゆき、トイレの水も流れなくなるけどどうして? ⑦警察に電話したときキャーと叫ぶのは芝居? ⑧警察に真相を言えないリズ。とりあえず男友達マーティンのせいにする。すぐにばれる嘘をつくな。 ⑨警察はリズに「どうやって出てこれたのか?」を追求すればよかったのに。誰かが鍵を開けたのは明白。身体検査をすれば鍵は発見できた。 ⑩マーティンは釈放されるとリズの家に。リズを糾弾するが逆襲に遭い殺される。鍵をポケットに入れてダムから川に投げ込まれる。弱い男だね。そもそもマーティンは警察に監視されていた筈だが。 ⑪警察はマーティンを自殺と判断するけど根拠がない。そもそもリズ発見の日にはマーティンは海外にいた。どうやって鍵を開けられる?また犯人だとして、いつまでも鍵を持ってないでしょ。捨てるでしょ。 ⑫精神科医にシェルターに行きたいと言い出すリズ。意味不明。勝手に中に入る二人。そこで真相をしゃべるリズ。不自然、不可解。 ⑬精神科医の同僚がやってきて「マーティンが自殺した。まずいことになったな」と精神科医を責めるが、なんでそうなるの?精神科医はマーティンとは接触してないのに。 ⑭「彼は年老いることも私を裏切ることもない、永久に。いつまでも理想の恋人のまま」勘違いも甚だしい。お前が殺したんだ! ⑮誰も手記を残すことを思いつかなかったのか。 ⑯扉の傍ならケータイつながるでしょ。
[DVD(字幕)] 3点(2011-01-26 09:14:18)
88.  マイノリティ・リポート 《ネタバレ》 
【犯罪予知装置】殺人の被害者と加害者の名前と発生時間は分るが場所は不明。名前は顔認証で分るとしても時間はどうして知るの?未発生の犯罪で逮捕は人権無視。両者に警告をすれば良い。お互い気を付けるでしょう。保護するのも良い。殺人が起きても犯人はすぐ逮捕できる。◆予知者三人の同意はとれているのか?そこをクリアしないと人権無視。【未来社会】あちこちで勝手に網膜認証があり、勝手にCMが始まるプライバシー無視社会は非現実的。目玉移植は体内の拒絶反応があり難しい。コンタクトや義眼でごまかせそう。ロックされた車からはすぐに脱出可能。動く花などの小ネタは不要。◆犯罪予備者を弁明の余地も与えず監禁する制度に問題。刑務所では無く、カプセルの中で眠らされると反省する機会も無い。【目玉】ヤクの売人に目玉が無い。目玉交換手術。網膜認証。目玉っぽい木玉。管理社会のメタファー?【予知者アガサ】自分の母の殺人に関して知っていたのなら、警察に言いなさい。自分を拉致した捜査官アンダートン(A)の味方なのは何故?予知協力がいやなら言えば良いのに。色んな事が分るようだが、それならAの息子ショーンの行方を捜してくれ。【アガサの母親アン殺害】黒幕は殺人者を雇った。男が未然に逮捕されたあと同じ格好、同じ方法で殺害。でも顔と名前と時間は分る筈。それはエコー(残響)として破棄される。黒幕はデータも消したが、マイノリティリポートとしてアガサの頭に保存されていた。それをAが引き出して解決。見事。【Aの殺人】黒幕にお金で頼まれた男がAの息子の殺害犯のふりをして自ら殺されるように誘う。家族へお金を渡したいから。Aは殺害を留まるが、男はAの銃の引き金を無理やり引く。自殺。これはAが予知を知らなければ起きないことで、最大の矛盾点。予知があったから確認しに現場に行った。黒幕はどうやってあの場所にAが出現することをあらかじめ知ったのか?【息抜き場面】殺人サスペンスでは、ヨガや目玉コロコロなどの笑う場面は不要。息抜きなら休息するなどほっとする場面を作れば良い。【Aの妻ララ】目玉一つで簡単にセキュリティを破って侵入、職員を銃で脅してAを救出。不自然。元警官だったなどの伏線が欲しい。殺人ゼロ社会を目指すなら先ず銃規制せよ。【その他】黒幕が小じんまり。しかも殺人ゼロ社会を目指した善意による殺人。だからカタルシス無し。悪を悪として描け。 
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-26 04:46:38)
89.  出口のない海 《ネタバレ》 
【時代考証】①学徒出陣壮行会が昭和18年10月21日、その夜に19年9月発売の「ああ紅の血は燃ゆる」を歌う。②男女がアベックで歩く。当時若い男女が歩いていると「軟弱である」という理由で警察に拘置された。実の妹であっても一晩留置された例もある。学校に知れると鉄拳制裁の対象。③駅で旗を振る派手な出征兵士壮行会、昭和19年にこのような光景はない。出征の状況がスパイに筒抜けなので、国が自粛させていた。④明大近くの喫茶店が、そのまんま現代。⑤敵の大型輸送船が単独航行しているが、輸送は護衛艦がつくもの。日本近海での単独行動はありえない。⑥「俺の回天を直せ、直せ!」と泣くシーンがあるが、海軍男子はあんな女々しくは無い。【失望】①唯一の回天攻撃成功シーンが省略。艦内の様子も、轟沈の火柱も出さない。回天を馬鹿にしてる?②主人公並木は演習の事故で死ぬが、事故の詳細が描かれていない。③並木は甲子園のヒーローで大学野球のエース、家はさほど貧しく無く、恋人もいる。非常に恵まれているが、訓練ではヘタレキャラになる。エースがもたついていてはダメでしょ。違和感あり。④並木の死体引揚は20年9月17日以降で、死後2,3ケ月経過しているのに腐敗してない。⑤キャッチャーは最後まで魔球を否定していた。並木とは不仲のまま。⑥現代の価値観から出る言葉を、彼らに語らせている。「この戦争は負ける」「アメリカ兵にも家族がある。戦争とはそういうことだ」「回天を伝えるために死ぬ」「一年が過ぎたら僕のことを忘れてほしい」やたら説教臭く、リアルな人間ドラマが描けていない。⑦並木が妙に物わかりが良く、優等生で、教科書的人物。共感できず、感動もない。教科書を読んで感動できないのと同じ。⑧「出撃して戻ってきた者には冷たい視線が浴びせられた」と語るだけ。憔悴や悩みが描かれず。⑨並木の視点から、整備士の視点になる。⑩生存者のその後が描かれず。⑪「お前は歌がうまい」はずが下手。⑫芝居がへた、特に主役の人。セットも貧相。【感想】回天は魚雷、爆発シーンを描いていないのはどういうことか。意図的なのか、制作費の節約なのか。回天の欠陥だけを描いている。◆主人公とは対照的なマラソン選手との駆け引きはよかった。「軍神になりたい」などと考えるのは小作の子ぐらい。出撃できず失望していたが、また走り出した。それを見て笑う並木。説明してないが言いたいことは伝わる。良い場面。
[DVD(邦画)] 4点(2010-12-29 02:27:38)
90.  二重誘拐 《ネタバレ》 
妻の行動がいちいち癇に障る。夫が誘拐たのにリフレッシュと称してのんきにプールで泳ぎ、孫の誕生日会を開く。夫の元愛人宅を訪れ、「夫はニューヨークが嫌い」「ファックならホテルですればいいのに」と嫌味を言い放つ。涙ひとつ見せない鉄面皮。夫の浮気の原因が分かる気がする。事件後、被害者遺族の家庭はむちゃくちゃになるが、この家庭は何事もなかったかのように暮らし始めるのじゃないか。夫妻が愛し合っていたとは思えない。それに犯人の車のナンバーくらいは覚えておけよな。 ◆犯人と誘拐された夫の登山が一日の出来事なのに、自宅では何日も経つ。少しくらいの時間軸の変更はいいけどこれはやり過ぎ。誘拐が新聞報道までされているのに、犯人が「FBIに知らせるな」は無いでしょう。犯人がぐずぐずしているから誘拐公開にまで踏み切ったわけだよね。 ◆犯人と夫の会話をメインに据えたいのが分るが、土台無理な事。誘拐という異常事態で、本当のことを言うとは限らない。夫は犯人の心を何とか開かせようとしているだけ。妙に落ち着いている。犯人もだらだらしゃべるが、無駄口に聞こえる。自分の過去、妻の事、高跳びの計画、そんなことを話して何になる?殺す予定だったのだからしゃべったのだろうが、本心とは限らず、こんなダメ犯人はいやだ。 ◆夫は成功者でプール付の家を持ち、家庭は円満、二人の子供は既に独立。犯人は貧困層、失業中で、婿養子。犯人は夫を個人的に知っており、誘拐を企み、実行。しかし夫から貧乏だったが皆から尊敬されたという父親の話を聞き、心がぐらつく。犯人は夫を殺害、金品奪取に成功したが、良心の呵責に苛まれ、実質的な自首。両者の違いを際立たせておいて、全く別の世界の住人のように見えても、実も同じ人間として心を通じ合わせることが出来る、という事がテーマなのだろう。完全に失敗である。妻は可愛くないし、夫もさほどの成功者とも見えない。何より犯人の家庭を僅かしか描いてないのが敗因。さほど貧乏には見えない。犯人の妻も登場せず、犯人がどれだけ追い詰められていたのか伝わらない。会話だけで共感は無理。 ◆「二重誘拐」の邦題は、誇大広告、違法広告の部類だろう。裁判を起こせば勝つと思うよ。どうせ誘拐するなら嘘邦題をつけてお金もうけをしている悪い奴らをターゲットにしてほしい。原題は犯人が犯罪を”清算”したという意味 ◆ダイヤと死体はどうなったんだ?
[DVD(字幕)] 3点(2010-12-26 11:24:46)(良:1票)
91.  誘拐犯(2000) 《ネタバレ》 
途中までは十分に楽しめた。”ハプニング誘拐”で、妊婦が予想外の行動を取るとろに魅かれた。赤ん坊の父親が裏社会の人間で、大金持ちという設定が面白い。しかもお金を払えば出元がばれるのでお金は出せないという設定。少々無理があるが許容範囲だ。思わぬ人間関係のつながりが明らかになり、サスペンス度は増す。しかし間違った出口に向かってしまったようだ。最終的には偶然の出来事が重なっただけの錯綜した物語という印象。複雑な人間関係をうまく処理できてない。というより人間が描けてないのだ。◆まず誘拐犯だが、これは生活の必要上、偶然耳にした情報から誘拐をするのだから、悪人であってはならない。いつしか妊婦と心を通わせ、妊婦を守る立場を堅持すべきだった。それが途中で人殺しのプロのような行動を見せるようになり、貧乏なはずなのに高価な銃を何丁も所持し、何人も人を殺す。これじゃあ感情移入できない。妊婦を解放するのが目的に変更したのだから、お金は放っておけばよかったのだ。それでうまく逃げおおせればハッピーエンドで好印象だったのに。 ◆妊婦は自分の子供を奪われたくないからボスの元から逃げ出そうとする。なら誘拐犯と協力をすればいい。それなのに銃をぶっ放す。それに産めば100万ドルの代理母報酬はありえない。相場は5万ドル。代理母なんていくらでもいる。又普通に考えれば、生物学上の母親(卵子提供者)はボス妻の筈だ。どうして妊婦の卵子が使われたのか?医者と普通にセックスして妊娠したということになる。代理母詐欺だ。子供が欲しかったのか、お金が欲しかったのかどっちなんだ。お金が欲しかっただけが、母性が目覚めて心変わりしたのか。医者と恋愛関係にあったのか?また医者はどうしてそんな無理な要求に同意したのか。父親を困らせたかったのか。困らせる方法ならいくらでもあるはずだ。結局赤ん坊は誰の子供として育てられるのか?当然医者の子としてだろう。だから最後のボス妻が妊娠するという都合のよいオチがある。そして妊婦の父が掃除屋だと?観客を馬鹿にするな! 【気になった点】①ボスが代理母に4人ものボディガードをつけて監視している。 ②ボス妻は異常行動が多いのに事件には絡まない。誰の子を妊娠したんだ。 ③女店員のあの目つきは何?④黒人ボディーガードがホテルの経営者を誤射した。⑤掃除屋は誘拐犯の足しか撃たなかった。 
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-26 02:02:34)
92.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
【実話】ウォルター・コリンズは9歳。犯人の甥で共犯者のサンフォードは16歳。拉致された少年達は性的虐待を受け、性的対象として客を取らされていた。それで逃亡出来ても家に帰りたくない心理が働いた。犯人は子供を誘拐するときにはサンフォードではなく、鬼畜の母親が手助けをしている。母親は終身刑。サンフォードは少年院。死体は生石灰と共に埋めたので骨の断片しか残っていなかった。埋葬場所とは別に3人の少年の死体が発見されている。犯人は裁判ではあいまいな供述に終始したが、収監後に罪の重さを悟り、詳細な告白をしている。偽証少年は継母との折り合いが悪く、家に帰りたくなかったのが家での動機。母親は事件の7年後に死亡。【感想】そもそも自分の子供を間違えることがあるだろうか?9年一緒に暮らして、5ケ月離れただけである。顔は違う、身長は7センチも低い。家族や親戚、少年を知っている誰に訊ねても、違うと明白に答えるだろう。映画でも教師や医者が証言している。母親は、最初に出会ったときにはっきりと拒否すべきだった。子供の問い詰め方も甘い。また完全に違うと確信したあとで、新聞に少年の写真を載せてもらい、両親に名乗り出てもらえばよかった。警察も病院も態度や手口があまりにもあくど過ぎる。あきらかに演出過多である。◆殺人事件が発覚してからは物語が動き出した。警察の腐敗体質が明らかになり、対警察の司法対決となる。正義感にあふれる牧師や弁護士、まともな刑事も登場する。◆コリンズが生きているかどうか。映画では逃亡しているが、そのときサンフォードも一緒に車に乗って追いかけている。彼なら顛末を知っているはずである。映画では子供だが、実際は16歳。捕まえたか、逃がしたかくらいは覚えている筈だ。これは希望を持たせるための演出。犯人の極悪母親を出さなかったり、実際にはいない生還した子供が出したり、監督は食わせ者だ。「脚本の95%は実話」という宣伝文句の95%は嘘。売れる映画作りに徹している。主演女優は、老けすぎ。【疑問点】①初対面で母親が違うと言っているのに警察が無理強い。②誘拐の日に子供の面倒を見るのを頼まれた知人が登場しない。③狭い電話交換所でローラースケート。④母親化粧が濃すぎ。寝起きの顔も化粧。⑤アカデミー賞の予想ができるくらい映画を見てる。子供とは見に行けなかったのに。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-24 09:53:59)
93.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
冒頭、陸軍の地図作りの意義について、ロシアの脅威に対して、国内の詳細を知ることが急務であると説明している。戦争と剣岳周辺の地図とに関係があるとは思えないので、無理があると感じた。また登頂を日本山岳部に先を越されるのと良しとしないとも言う。だが、それなら地図作成チームとは別にアタック隊を組めばいいではないか。簡単なことである。初登頂しろと命じながら、のんびりと半年もかけて地図作りをやらせている。筋が通らない。一事が万事この調子で、最後まで盛り上がらない。感動もどきはあるのだが、真の感動には至らない。それは、肩透かしされることが多いからだ。 【肩透かし】 ①ここから最難関の頂上アタックだ、と思ったら、簡単に雪渓登って、岩に取りついたと思ったら、途中省いて、もう登頂。盛り上がるわけないよな。簡単に登れそうな山にしか思えない。 ②さあ登頂したぞ、みんな大喜びするだろう、と思ったら、全員寡黙。景色を見ているだけ。苦労して登頂したのに感動しないの? ③軍部が成功の報を聞いてさぞ喜ぶ、と思ったら、行者に先を越されていたことを知ると、全く喜ばず、なかったことにしたいなどと言い出す始末。地図を作成するのが急務の目的ではなかったのか?目的は達成できたし、山岳会より先んじたはずなのに。 ④陸測部と山岳会の初登頂対決、と思ったら、両者がライバル意識をさほど露わにはせず、最後はなんとなく仲間扱い。陸測部はのんびり、山岳会は良い人。ああ中途半端。 ⑤地元の剣岳信仰の人たちの強い反発がある、と思ったら、特に無し。長次郎の息子も最初は猛反発していていたのに、途中から応援している。どうして思想転換したのか不明。 ⑥未踏峰の登山なのでさぞかし犠牲が、と思ったら犠牲者は無し。数日後山岳部も登頂している。本当に言うものの難登山だったのかという疑問が湧く。 ⑦未熟キャラのノブが山の仲間達との心の触れ合いを通じて成長してゆく物語、と思ったら、そうでも無い。二度も死にそうになったのに、妙に淡々としている。 ◆山を美しく撮り、自然の厳しさは表現できている。山岳映画としては成功。好感はもてる。でも感動は薄い。感動させようという意気込みが見られない。ただドキュメンタリータッチで撮れば良いと思っている。感動は製作者たちの心の中にあるのだろう。 音楽と映像が乖離していた。
[DVD(邦画)] 7点(2010-12-10 03:35:10)
94.  赤い月 《ネタバレ》 
「満州で酒造りに成功した森田、その夫で自由奔放な性格の波子、波子の元恋人の大杉中佐、軍の諜報員の氷室の四つどもえの愛憎歴史群像」を描きたかったことがかろうじて分る作品。「愛」とか「生きる」とか観念的な言葉や教訓じみた理屈がやたら飛び交うが、言葉で説明されても困るのだ。人物の存在感、生き方、情熱などが伝わってこそ、初めて感動が伝わる。感動の要素が詰まっているのに感動が伝わらない典型的な映画。ある意味、こう作ってはいけないという他山の石の教材として鑑賞価値がある。 ◆満州鉄道が単線として描かれていることに違和感がある。車両数も少ない。CGによる機銃掃射、空爆場面は安っぽい。低予算なのだろう。 ◆昭和19年夏の森田の演説で「聞けば16機のB25が本土を襲い、戦局は予断を許さぬ状況」とあるが、それは昭和17年4月のドーリットル空襲のこと。監督も脚本家も歴史には疎いようだ。 ◆後半、波子と氷室の恋がメインとなる。が、氷室は氷のように冷たい諜報部員で、多くの中国人を殺し、ロシア人を拷問した上アヘン中毒にさせ、恋人のロシア人エレナの首を刎ねた人物である。この人物のどこが好きになるのかわからない。感情移入などもっての他だ。氷室は終戦になったとたんに、人が変わったように軍部批判や人生訓を口にする。お笑い草である。この人物が何をしゃべっても嘘っぽく感じる。人物が生きてないのだ。「あなたを愛していることが、今の俺を支えていてくれる」戦前の軍人がこんなことを言うだろうか。 ◆恋多き女、波子。子供がいるのに大杉と縒りを戻すことを考え、氷室とエレナの関係に嫉妬する。夫が亡くなって間もないのに氷室と昼間から愛しあう。「生きるためには愛する人が必要なの」ああそうですか、ご勝手に。主演女優に華がない。 ◆森田こそ悲劇の主人公なのだが、ぞんざいな描かれ方しかされていない。氷室のアヘン中毒の場面が無駄に長いので削って、その分森田を描くべきだった。 【ツッコミ】①エレナは子供たちに何を教えていたの?ロシア語?②おかゆを食べさせるのに口移しはないだろう。③スパイを捕まえた場合、すぐ殺したりしない。情報を引き出すことが重要だからだ。④大杉の漫画のような突撃死に苦笑。⑤森田は大杉と波子を引き合わせた。なのに波子が戻ってくると嫉妬のあまり小指を切断。
[DVD(邦画)] 3点(2010-11-20 01:27:44)
95.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
◆観客動員数は100万人にとどまり、シリーズ・ワースト3。製作費20億円で、興行収入12億円、テレビ放映視聴率もたった5.8%という散々な出来で終わったゴジラ最終作。冒頭の「田中友幸、本田猪四郎、円谷英二に捧ぐ」という文字が痛々しい。内容のほとんどが軽薄なパロディで、ゴジラや怪獣たちに対するリスペクトが無く、ゴジラ映画を愛するコアのファンには見るのが辛い映画となっている。子供が見ても楽しめない。楽しめるのはアンチ・ゴジラ・ファン?「晩節を汚す」という言葉がぴったり。東宝は大いに反省していることでしょう。◆特撮の出来や脚本がうんぬんというより、姿勢の問題なのだ。1984年の復活以来ずっとシリアス路線できたのに、最後の最後でおちゃらけ路線。行きあたりばったりの展開に口あんぐり状態だ。◆気になった点。 ①怪獣の場面が継ぎはぎだらけという稚拙さ。125分もあるのに。 ②馬鹿にするためだけにハリウッド・ゴジラを出している。 ③ロケットランチャーでエビラを倒す。他と整合性がとれない。 ④キングシーサーは正義の味方のはず。モスラだけがいいとこどり。 ⑤「人類にミュータントが見つかる」などというB級設定。 ⑥怪獣映画に不要な人間のアクションパートが多すぎる。 ⑦事務総長など死んだと思った人物が生きていた。 ⑧X星人が仲間割れする。 ⑨X星人に操られた尾崎が小美人からもらったお守りで殴られると正気に戻る。 ⑩ミニラが登場し、途中で巨大化する。
[ビデオ(邦画)] 3点(2010-10-15 07:08:14)(良:2票)
96.  ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 《ネタバレ》 
◆モスラの小美人の主張。「人間がゴジラの骨から戦いの道具を作ったのは過ち」「死者の魂に,人間が手を触れてはいけない」「ゴジラの骨を海に返してくれれば,かわりにモスラがゴジラと戦う」「さもなければ,モスラは人間の敵にならなければならない,それはモスラの望んでいることではない」 ◆小美人の石の言葉「生命は定められた時の中にこそある」 ◆何故小美人はこのような主張をするのだろうか?モスラは自然と調和と平和のシンボルだ。小美人の友人である中条は言う。「ゴジラの骨を使って機龍を作ったことは,神の領分だ。人間は越えてはならない一線を越えてしまったのだ。すでに人類は,原水爆を生むという過ちを犯している」つまり科学技術の暴走で、生命を弄ぶようなことをしては神の罰を受けるという警鐘だ。伏線として前操縦者茜に「もしかすると機龍はもう戦いたくないのかもしれない。このまま修復されずにいる方が幸せなのかも」と語らせている。だが、そう言われても、ゴジラに対抗する手段が他になく、モスラへの信頼もないので、機龍を放棄することはできない。 ◆結果は、機龍のDNAが再びゴジラの咆哮に呼応して暴走、自らの意思で,ゴジラを抱え日本海溝の底に沈んでゆく。結局人間は反省をせず、ゴジラのDNAも廃棄しなかった。それでも総理は言う。「失ったものが大きい。しかし我々は,自らの過ちに気づき,その過ちを認める勇気を得た。その勇気こそが勝利だろう」むなしい言葉だ。 ◆最も英雄的な行為をしたのは機龍だ。「SAYONARA YOSHITO」のメッセージを残し、海中へ沈んでゆく。機龍は仲間のゴジラと闘いたくなかったし、人間と共鳴したことにより、ゴジラが町を破壊するのも見たくなかったのだろう。 ◆この重いテーマに脚本がついていっていない。言葉や観念だけでは感動は生まれない。何より機龍の孤独や葛藤を伝える場面がなさすぎる。誰からも望まれない生命として産まれ、殺され、骨となってからも戦闘マシンにさせられ仲間と闘わせられるという悲劇。もっと生命を感じさせるサイボーグとして描くべきだった。それがないので、最後になっても観客おいてきぼりである。ここが商業的に失敗した主因と思う。心に残るものがないのだ。冒頭のモスラ迎撃シーンだけはかっこよかった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-15 02:53:57)
97.  ゴジラ×メカゴジラ 《ネタバレ》 
◆沙羅は妊娠中の母親を亡くしてから、命というものに人一倍敏感になった。眠り草を母親代わりに話かけている孤独な面がある。茜は天涯孤独の身。「自分は求められて生まれて来たわけではない、つねに戦って自分の居場所を勝ち取って来た」と思っている。沙羅は言う。「この子(機龍)もちゃんと生きているのよ。どうして仲間のゴジラと闘わなければならないのかって、きっと思ってる。水爆でゴジラを産んで、今度はゴジラのサイボーグ。一番悪いのは人間よ。大人は命の大切さをみんな言うけど、本当はそうじゃない。誰もこの子をことを可哀そうと思わないでしょ」茜が答える。「慥に機龍は生きているわ。あいつも私と同じ。求められない命。産まれてきたことさえ疎まれて、本当は生きてはいけない命だった」沙羅は「生きてちゃいけない命なんてあるわけないよ」と反論する。 ◆戦闘中、命がけで闘っている茜の姿を見て沙羅は願う。「あかねちゃん、死なないで」 ◆茜は機龍にシンパシーを感じる。「機龍、お前にはわかるよね。お前と私は仲間だってこと。さあ、そろそろ行こうか!」倒れた機龍の中で気絶しかかる茜を目覚めさせたのは,仲間の笑顔と茜との握手のぬくもりだった。孤独ではないと気づく茜。「機龍、私に力を!」茜の精神と機龍(初代ゴジラ)の精神が共鳴する。 ◆戦闘が終わって茜が沙羅に言う。「あなたに力をもらったわ。皆からも力をもらったわ。生きてちゃいけない命なんかない。あなたの言葉を信じてみるわ」沙羅ももはや眠り草を持っていなかった。命のダイナニズムを受け入れ、少し大人に成長したのだ。 【感想】命に関して深く考えさせられる内容を含んでいる。「生きてはいけない命」とはゴジラのことでもある。人間の科学の暴走が生みだしたゴジラ。そのゴジラを殺さねばならない人類の宿命。どんな命も大切と考える子供の純な心。仲間を死なせてしまったというトラウマを抱える女自衛官の執念。そしてゴジラとの戦いで多くの命が散ってゆく。良いテーマだと思うが、全体の構成として十分活かされていない。重いテーマに踏み込んでいないのだ。沙羅の父親が機龍の開発に無関心だったりするのを見れば分る。彼は「命」より、娘と一緒にいることや茜の気を引くことに終始関心が向く。惜しいと思う。父親をリンクさせれば感動作になっただろう。このシリーズの売り物である破壊シーンや戦闘シーンに特に見るべきものはない。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-15 00:02:45)
98.  ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 《ネタバレ》 
◆現実と違う別の歴史を持つパラレルワールドの設定だが、全く活かされていない。重水素によるプラズマエネルギーをクリーンエネルギーなどといっているが、核融合のことで、破壊されたら大変な環境破壊になる。◆ゴジラが原発施設を狙う理由は何だろうか?憎しみ、それともエネルギー補充?いずれにせよ、どこかの島にエネルギー源を置いて、Gをおびき寄せれば済むのに。そして近くからディメンジョン・タイド発射。これでOK?ところで時空が歪むという欠点は修正したのだろうか。ところでDTの実験でメガヌロンを出現させた責任は誰が取るのか。それとも自分たちのせいだとは気付いていないのか。◆メガヌロンは人類を捕食して成長するのだが、それに対して人間が何の手だても講じないのはどうしたことか。あんなに大繁殖しているのに。渋谷が水没してしまうが、それがメガヌロンの幼虫の仕業によるものなのか、どうか不明のまま。それにトンボだから極楽とんぼ出すとかは、止めた方がいい。日本の誇る「ゴジラ」をリスペクトしてほしい。◆工藤はマイクロマシーンを作るのが得意だとして、ブラックホールとは畑違いだと思うが。それに何の役にも立たない女性博士はいらない。◆自衛官の上司をゴジラに殺された辻森桐子の執念が一貫して描かれる。だが、肝心の二人の関係が少ししか描かれていない上に、ミサイルの効かないゴジラに対してロケットランチャーで攻撃するという意味不明の作戦上での死であることが悲劇性を薄くしている。上官の死はもっと英雄的に描かれるべき。桐子はゴジラとの闘争、アマチュア科学者工藤との関わりなどで、最後には女性らしさを取り戻すという物語にすればドラマとしてまとまったものになっただろう。憎しみだけでは見ていて辛い。成長物語にしてほしい。◆肝心のゴジラ消滅作戦だが、根本的な問題がある。そもそもG消滅は観客の誰も望んでいないのだ。観客のほとんどはゴジラがビルを破壊するのを見ることでカタルシスを得る。日常のストレスの憂さ晴らしであり、生命の偉大さの実感なのだ。消滅方法も日常離れしすぎていて実感が薄い。だからG消滅作戦はきっと失敗するだろうと高を括って見るので、物語にはのめり込めないのだ。作り手もそれは分っていて、ゴジラは生きていることを示して終る。志の中途半端さが分る。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 20:30:42)
99.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
◆一番凄いと思ったのは、ネズミを千匹も捕まえたことかな。実際やってみると大変だと思うよ。それに一匹、一匹に時限爆弾を仕掛けるのだから。 ◆一番不可解なのは、ウェズリーの父親クロスだ。息子を守るのなら、電話するとか、手紙出すとかしなさい。金銭的援助くらいしてやってよかったと思うよ。それに何故息子を轢き殺そうとしたり、実際に腕を撃ったりしたのか。呼び出したいのなら電話するか、弾丸を届ければよい。 ◆一番不思議なのは、貯金の残高が増えたり、減ったりするところ。 ◆一番驚いたのは、親爺の協力者(弾丸製作者)が、川に落ちたウェズリーを救出したところ。いったいどうやったらそんなことが出来たのか?病院に運ばれたのを連れ帰ったのか。 ◆一番がっかりしたのは、フォックス(アンジー)の360度回転同士撃ち+自殺弾。一人一人との対決が見どころになった筈なのに残念。 ◆一番知りたいのは、1000年も続く「運命の機織り機」の正体の謎。暗殺すべき人物の名前が暗号の二進法で織られて出てくるらしいが、同姓同名がいたらどうなるの?「Death Note」じゃないけど、名前を知られていなければセーフ? ◆一番疑問なのは、飛び杼を掴んだり、蝿の羽を撃ちぬいたり、弾丸を曲げることは訓練で可能としても、超ジャンプや超カー・アクションはどうやってできるようになったのかということ。 ◆一番ひっかかるのは、スローンはクロスを殺すのに息子を暗殺者に仕立てるという手の込んだやり方をし事た。普通に考えれば、息子を人質にとり、おびきよせればよかったのだ。 ◆一番バカバカしいと思ったのは、ウェズリー最初の暗殺方法。わざわざ走っている電車の屋根の上から会議室を狙うなんて。相手に近づいて撃てばいいじゃないか。 ◆一番欲しいと思ったのは、あのすぐに傷が回復する風呂。特許で食っていける。 ◆一番哀れなのは、ウェズリーに勘違いで射殺されたネズミ爆弾男。「流れ弾にやられた」なんてウェズリーを庇っている。
[DVD(字幕)] 5点(2010-10-13 05:53:22)
100.  ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 《ネタバレ》 
◆ゴジラの大きさ、強さ、怖さが良く描けている。バトルの見せ方がうまい。飛ばされた怪獣に人間が吹き飛ばされるシーンや自衛隊が粉砕されるシーンなどは、などは最高級のできばえ。怪獣特撮にかけては申し分ない。ただし安直なCGはいただけない。 ◆使い古された中古怪獣に新キャラをつけても所詮は二番煎じ。モスラもギドラも何度登場させたら気が済むのやら。東宝の商売上の姑息さとアイデアの枯渇を感じる。 ◆「大和の国を守る聖獣」といいながら、無軌道な行動をする若者達がまず犠牲になる。ゴジラの犠牲になるのならともかくも、こんなことでいいのでしょうか。怪獣の吐いた糸で繭に包まれた状態で遺体で発見されるというニュースがあったが、それを見せてもらいたかった。 ◆ゴジラには、太平洋に眠る日本の英霊とアジア、米国で亡くなった人たちの霊魂が宿っている。だから白目で、通常兵器は効かない。原子力潜水艦を襲ってパワーアップ。日本を襲うのは、人々が戦争で死んでいった多くの人の叫びを忘れているから。理屈に合っているようで合っていない。ゴジラは一般に言われている核で巨大化した恐竜の生き残りで良いではないか。結局最後は通常兵器で自爆したし。怪獣映画に霊魂などを持ち出すからややこしくなるのだ。 ◆石には古代大和民族の霊魂が詰まっている。石に封じ込められた霊魂を解放し、大和怪獣たちに憑依させて復活させようとするのが「護国聖獣伝記」の著者の伊佐山老人。それで聖獣が復活するのだが、その伊佐山が亡霊だったとはどういうことか。 ◆キングギドラは成長途中ながら、モスラの鱗粉を吸収し、完全体に成長。でもたいして強くなっていない。あとは海中での戦闘でよく見えない。そこへ石が落ちてきて完全覚醒?とってつけたような展開。理屈はともかくかっこよく撮れてればいいのだが。ギドラに関しては不合格。 ◆バラゴンはゴジラの強さを際立たせるための「噛ませ犬」。でも存在感があった。 ◆ヒロインと自衛隊員の父との愛情などの人間ドラマ部分は良く描けているだけに残念。父親は生還するが、物語の流れからして彼の犠牲なくしてはゴジラを封じ込めることはできないと思う。多くの犠牲を描きながら、彼だけ何故生還できたのだろうか。 ◆由里が墜落するシーン。頭から落ちるのに手をつかまれる。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-10-13 02:07:08)
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