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81.  ペイチェック 消された記憶 《ネタバレ》 
マイケルは(M)パクリの天才技術者。新3Dディスプレイもたった2か月で完成。機密保持のため開発期間の記憶は消される。そこまでする必要があるか甚だ疑問。◆Mはオールコム(O)社との3年契約の仕事を受諾。誰でも躊躇、リスクが大きく、内容も知らない。動機は金。これでは主人公に感情移入できない。◆Mは未来を見れる装置”未来ビュー”を開発。未来では、未来ビュー発明の影響で戦争が勃発し、核戦争が勃発していた。Mはウイルスで未来ビューを機能不全に。◆Mは記憶を消されるが、それなら自分宛のメッセージを密かに送っておけばよい。例えば切手に暗号化した情報(メモやアイテムの使用方法)を付加しておくとか。恋人に頼むとか。意味不明のアイテムを自分に送っても用をなさないリスクがある。◆刑事がMの煙草を吸うのは偶然。この場面をMが未来ビューで見た筈がない。未来を知ってからアイテムを用意したのだから。煙の中で特殊眼鏡を着用するが、どうしてそれに気づくのか?記憶は無いのだ。メモの数字とロトが一致するのを知るもの偶然。外部とは接触不可なのにエジソン社の鍵を入手している。◆原作ではアイテムは7つ。未来を見て、未来から物質移動させてきたものと説明だ。会社は悪く無く、開発目的は圧制に苦しむ民衆を支援するもの。Mも機械を破壊はせず、会社の経営に参画する。◆途中までアイテムを使ったサバイバル頭脳戦だったのに、アクションになり、最後は機械を爆発させるだけという単純な結末に脱力。だったら最初から爆発するように仕掛けておきなさい。流れも悪い。命がけでO社に侵入したのに、未来ビューのウイルスを除去して自分の未来を見るなんて流暢なことするな。時間が無い。またそのような危険な場所に恋人を連れてゆくな。それに記憶がないので恋人は赤の他人としか見えないはずだが。敵子分もMを追わず自分の未来見てるし。◆未来社会のはずなのにビルや車など現代社会そのもの。「マイノリティ・リポート」に較べるとB級。◆O社の見たMの未来はこうだ。MはFBIに拘束される。それはMの提出した特許(実はO社が勝手に提出)がデッカーの技術を応用したものだったから。残った記憶を調べるめに脳内を操作され脳温上昇で死亡。一方Mの見た未来は、O社で銃で撃たれるというもの。矛盾がある。◆設定は魅力的だが、内容が薄っぺらで、人類を大惨事から救ったというカタルシスを得られない。
[DVD(吹替)] 6点(2011-02-08 02:54:38)
82.  マイノリティ・リポート 《ネタバレ》 
【犯罪予知装置】殺人の被害者と加害者の名前と発生時間は分るが場所は不明。名前は顔認証で分るとしても時間はどうして知るの?未発生の犯罪で逮捕は人権無視。両者に警告をすれば良い。お互い気を付けるでしょう。保護するのも良い。殺人が起きても犯人はすぐ逮捕できる。◆予知者三人の同意はとれているのか?そこをクリアしないと人権無視。【未来社会】あちこちで勝手に網膜認証があり、勝手にCMが始まるプライバシー無視社会は非現実的。目玉移植は体内の拒絶反応があり難しい。コンタクトや義眼でごまかせそう。ロックされた車からはすぐに脱出可能。動く花などの小ネタは不要。◆犯罪予備者を弁明の余地も与えず監禁する制度に問題。刑務所では無く、カプセルの中で眠らされると反省する機会も無い。【目玉】ヤクの売人に目玉が無い。目玉交換手術。網膜認証。目玉っぽい木玉。管理社会のメタファー?【予知者アガサ】自分の母の殺人に関して知っていたのなら、警察に言いなさい。自分を拉致した捜査官アンダートン(A)の味方なのは何故?予知協力がいやなら言えば良いのに。色んな事が分るようだが、それならAの息子ショーンの行方を捜してくれ。【アガサの母親アン殺害】黒幕は殺人者を雇った。男が未然に逮捕されたあと同じ格好、同じ方法で殺害。でも顔と名前と時間は分る筈。それはエコー(残響)として破棄される。黒幕はデータも消したが、マイノリティリポートとしてアガサの頭に保存されていた。それをAが引き出して解決。見事。【Aの殺人】黒幕にお金で頼まれた男がAの息子の殺害犯のふりをして自ら殺されるように誘う。家族へお金を渡したいから。Aは殺害を留まるが、男はAの銃の引き金を無理やり引く。自殺。これはAが予知を知らなければ起きないことで、最大の矛盾点。予知があったから確認しに現場に行った。黒幕はどうやってあの場所にAが出現することをあらかじめ知ったのか?【息抜き場面】殺人サスペンスでは、ヨガや目玉コロコロなどの笑う場面は不要。息抜きなら休息するなどほっとする場面を作れば良い。【Aの妻ララ】目玉一つで簡単にセキュリティを破って侵入、職員を銃で脅してAを救出。不自然。元警官だったなどの伏線が欲しい。殺人ゼロ社会を目指すなら先ず銃規制せよ。【その他】黒幕が小じんまり。しかも殺人ゼロ社会を目指した善意による殺人。だからカタルシス無し。悪を悪として描け。 
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-26 04:46:38)
83.  穴(2001) 《ネタバレ》 
悪女の奸計と狡知により完全犯罪が成功したわけでなく、総て偶然ととっさの嘘の産物。こういう映画を作った関係者を付け上がらせてはいけません。どんどん突っ込みましょう。 ①リズはマイクに片思い。リズの親友フランキーとジェフはラブラブ。野外研究授業をさぼって四人でシェルターで三日間過ごす?あんな不気味なところ誰が行くか!野外授業の方が絶対楽しい。 ②リズが鍵を閉めたわけだが、そのことに誰も気づかない。自然に鍵が閉まるわけがないのに。 ③10日目にフランキーが食道の血管の破裂による心臓麻痺で死亡。それでも言い出さないリズ。水と食料がわずかで、死体と一緒に過ごす方を選択をする理由がわからん。 ④コーラを黙って飲もうとしたジェフをマイクが殴って過失致死。ちょっと不自然。 ⑤18日目リズが扉を開けると、真相を知ったマイクが激怒。リズを殴りにはしごを登って墜落死。マンガだね。 ⑥電燈が徐々に消えてゆき、トイレの水も流れなくなるけどどうして? ⑦警察に電話したときキャーと叫ぶのは芝居? ⑧警察に真相を言えないリズ。とりあえず男友達マーティンのせいにする。すぐにばれる嘘をつくな。 ⑨警察はリズに「どうやって出てこれたのか?」を追求すればよかったのに。誰かが鍵を開けたのは明白。身体検査をすれば鍵は発見できた。 ⑩マーティンは釈放されるとリズの家に。リズを糾弾するが逆襲に遭い殺される。鍵をポケットに入れてダムから川に投げ込まれる。弱い男だね。そもそもマーティンは警察に監視されていた筈だが。 ⑪警察はマーティンを自殺と判断するけど根拠がない。そもそもリズ発見の日にはマーティンは海外にいた。どうやって鍵を開けられる?また犯人だとして、いつまでも鍵を持ってないでしょ。捨てるでしょ。 ⑫精神科医にシェルターに行きたいと言い出すリズ。意味不明。勝手に中に入る二人。そこで真相をしゃべるリズ。不自然、不可解。 ⑬精神科医の同僚がやってきて「マーティンが自殺した。まずいことになったな」と精神科医を責めるが、なんでそうなるの?精神科医はマーティンとは接触してないのに。 ⑭「彼は年老いることも私を裏切ることもない、永久に。いつまでも理想の恋人のまま」勘違いも甚だしい。お前が殺したんだ! ⑮誰も手記を残すことを思いつかなかったのか。 ⑯扉の傍ならケータイつながるでしょ。
[DVD(字幕)] 3点(2011-01-25 07:44:16)
84.  出口のない海 《ネタバレ》 
【時代考証】①学徒出陣壮行会が昭和18年10月21日、その夜に19年9月発売の「ああ紅の血は燃ゆる」を歌う。②男女がアベックで歩く。当時若い男女が歩いていると「軟弱である」という理由で警察に拘置された。実の妹であっても一晩留置された例もある。学校に知れると鉄拳制裁の対象。③駅で旗を振る派手な出征兵士壮行会、昭和19年にこのような光景はない。出征の状況がスパイに筒抜けなので、国が自粛させていた。④明大近くの喫茶店が、そのまんま現代。⑤敵の大型輸送船が単独航行しているが、輸送は護衛艦がつくもの。日本近海での単独行動はありえない。⑥「俺の回天を直せ、直せ!」と泣くシーンがあるが、海軍男子はあんな女々しくは無い。【失望】①唯一の回天攻撃成功シーンが省略。艦内の様子も、轟沈の火柱も出さない。回天を馬鹿にしてる?②主人公並木は演習の事故で死ぬが、事故の詳細が描かれていない。③並木は甲子園のヒーローで大学野球のエース、家はさほど貧しく無く、恋人もいる。非常に恵まれているが、訓練ではヘタレキャラになる。エースがもたついていてはダメでしょ。違和感あり。④並木の死体引揚は20年9月17日以降で、死後2,3ケ月経過しているのに腐敗してない。⑤キャッチャーは最後まで魔球を否定していた。並木とは不仲のまま。⑥現代の価値観から出る言葉を、彼らに語らせている。「この戦争は負ける」「アメリカ兵にも家族がある。戦争とはそういうことだ」「回天を伝えるために死ぬ」「一年が過ぎたら僕のことを忘れてほしい」やたら説教臭く、リアルな人間ドラマが描けていない。⑦並木が妙に物わかりが良く、優等生で、教科書的人物。共感できず、感動もない。教科書を読んで感動できないのと同じ。⑧「出撃して戻ってきた者には冷たい視線が浴びせられた」と語るだけ。憔悴や悩みが描かれず。⑨並木の視点から、整備士の視点になる。⑩生存者のその後が描かれず。⑪「お前は歌がうまい」はずが下手。⑫芝居がへた、特に主役の人。セットも貧相。【感想】回天は魚雷、爆発シーンを描いていないのはどういうことか。意図的なのか、制作費の節約なのか。回天の欠陥だけを描いている。◆主人公とは対照的なマラソン選手との駆け引きはよかった。「軍神になりたい」などと考えるのは小作の子ぐらい。出撃できず失望していたが、また走り出した。それを見て笑う並木。説明してないが言いたいことは伝わる。良い場面。
[DVD(邦画)] 4点(2010-12-29 02:17:26)
85.  二重誘拐 《ネタバレ》 
妻の行動がいちいち癇に障る。夫が誘拐たのにリフレッシュと称してのんきにプールで泳ぎ、孫の誕生日会を開く。夫の元愛人宅を訪れ、「夫はニューヨークが嫌い」「ファックならホテルですればいいのに」と嫌味を言い放つ。涙ひとつ見せない鉄面皮。夫の浮気の原因が分かる気がする。事件後、被害者遺族の家庭はむちゃくちゃになるが、この家庭は何事もなかったかのように暮らし始めるのじゃないか。夫妻が愛し合っていたとは思えない。それに犯人の車のナンバーくらいは覚えておけよな。 ◆犯人と誘拐された夫の登山が一日の出来事なのに、自宅では何日も経つ。少しくらいの時間軸の変更はいいけどこれはやり過ぎ。誘拐が新聞報道までされているのに、犯人が「FBIに知らせるな」は無いでしょう。犯人がぐずぐずしているから誘拐公開にまで踏み切ったわけだよね。 ◆犯人と夫の会話をメインに据えたいのが分るが、土台無理な事。誘拐という異常事態で、本当のことを言うとは限らない。夫は犯人の心を何とか開かせようとしているだけ。妙に落ち着いている。犯人もだらだらしゃべるが、無駄口に聞こえる。自分の過去、妻の事、高跳びの計画、そんなことを話して何になる?殺す予定だったのだからしゃべったのだろうが、本心とは限らず、こんなダメ犯人はいやだ。 ◆夫は成功者でプール付の家を持ち、家庭は円満、二人の子供は既に独立。犯人は貧困層、失業中で、婿養子。犯人は夫を個人的に知っており、誘拐を企み、実行。しかし夫から貧乏だったが皆から尊敬されたという父親の話を聞き、心がぐらつく。犯人は夫を殺害、金品奪取に成功したが、良心の呵責に苛まれ、実質的な自首。両者の違いを際立たせておいて、全く別の世界の住人のように見えても、実も同じ人間として心を通じ合わせることが出来る、という事がテーマなのだろう。完全に失敗である。妻は可愛くないし、夫もさほどの成功者とも見えない。何より犯人の家庭を僅かしか描いてないのが敗因。さほど貧乏には見えない。犯人の妻も登場せず、犯人がどれだけ追い詰められていたのか伝わらない。会話だけで共感は無理。 ◆「二重誘拐」の邦題は、誇大広告、違法広告の部類だろう。裁判を起こせば勝つと思うよ。どうせ誘拐するなら嘘邦題をつけてお金もうけをしている悪い奴らをターゲットにしてほしい。原題は犯人が犯罪を”清算”したという意味 ◆ダイヤと死体はどうなったんだ?
[DVD(字幕)] 3点(2010-12-26 11:03:06)(良:1票)
86.  誘拐犯(2000) 《ネタバレ》 
途中までは十分に楽しめた。”ハプニング誘拐”で、妊婦が予想外の行動を取るとろに魅かれた。赤ん坊の父親が裏社会の人間で、大金持ちという設定が面白い。しかもお金を払えば出元がばれるのでお金は出せないという設定。少々無理があるが許容範囲だ。思わぬ人間関係のつながりが明らかになり、サスペンス度は増す。しかし間違った出口に向かってしまったようだ。最終的には偶然の出来事が重なっただけの錯綜した物語という印象。複雑な人間関係をうまく処理できてない。というより人間が描けてないのだ。◆まず誘拐犯だが、これは生活の必要上、偶然耳にした情報から誘拐をするのだから、悪人であってはならない。いつしか妊婦と心を通わせ、妊婦を守る立場を堅持すべきだった。それが途中で人殺しのプロのような行動を見せるようになり、貧乏なはずなのに高価な銃を何丁も所持し、何人も人を殺す。これじゃあ感情移入できない。妊婦を解放するのが目的に変更したのだから、お金は放っておけばよかったのだ。それでうまく逃げおおせればハッピーエンドで好印象だったのに。 ◆妊婦は自分の子供を奪われたくないからボスの元から逃げ出そうとする。なら誘拐犯と協力をすればいい。それなのに銃をぶっ放す。それに産めば100万ドルの代理母報酬はありえない。相場は5万ドル。代理母なんていくらでもいる。又普通に考えれば、生物学上の母親(卵子提供者)はボス妻の筈だ。どうして妊婦の卵子が使われたのか?医者と普通にセックスして妊娠したということになる。代理母詐欺だ。子供が欲しかったのか、お金が欲しかったのかどっちなんだ。お金が欲しかっただけが、母性が目覚めて心変わりしたのか。医者と恋愛関係にあったのか?また医者はどうしてそんな無理な要求に同意したのか。父親を困らせたかったのか。困らせる方法ならいくらでもあるはずだ。結局赤ん坊は誰の子供として育てられるのか?当然医者の子としてだろう。だから最後のボス妻が妊娠するという都合のよいオチがある。そして妊婦の父が掃除屋だと?観客を馬鹿にするな! 【気になった点】①ボスが代理母に4人ものボディガードをつけて監視している。 ②ボス妻は異常行動が多いのに事件には絡まない。誰の子を妊娠したんだ。 ③女店員のあの目つきは何?④黒人ボディーガードがホテルの経営者を誤射した。⑤掃除屋は誘拐犯の足しか撃たなかった。 
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-26 02:02:34)
87.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
【実話】ウォルター・コリンズは9歳。犯人の甥で共犯者のサンフォードは16歳。拉致された少年達は性的虐待を受け、性的対象として客を取らされていた。それで逃亡出来ても家に帰りたくない心理が働いた。犯人は子供を誘拐するときにはサンフォードではなく、鬼畜の母親が手助けをしている。母親は終身刑。サンフォードは少年院。死体は生石灰と共に埋めたので骨の断片しか残っていなかった。埋葬場所とは別に3人の少年の死体が発見されている。犯人は裁判ではあいまいな供述に終始したが、収監後に罪の重さを悟り、詳細な告白をしている。偽証少年は継母との折り合いが悪く、家に帰りたくなかったのが家での動機。母親は事件の7年後に死亡。【感想】そもそも自分の子供を間違えることがあるだろうか?9年一緒に暮らして、5ケ月離れただけである。顔は違う、身長は7センチも低い。家族や親戚、少年を知っている誰に訊ねても、違うと明白に答えるだろう。映画でも教師や医者が証言している。母親は、最初に出会ったときにはっきりと拒否すべきだった。子供の問い詰め方も甘い。また完全に違うと確信したあとで、新聞に少年の写真を載せてもらい、両親に名乗り出てもらえばよかった。警察も病院も態度や手口があまりにもあくど過ぎる。あきらかに演出過多である。◆殺人事件が発覚してからは物語が動き出した。警察の腐敗体質が明らかになり、対警察の司法対決となる。正義感にあふれる牧師や弁護士、まともな刑事も登場する。◆コリンズが生きているかどうか。映画では逃亡しているが、そのときサンフォードも一緒に車に乗って追いかけている。彼なら顛末を知っているはずである。映画では子供だが、実際は16歳。捕まえたか、逃がしたかくらいは覚えている筈だ。これは希望を持たせるための演出。犯人の極悪母親を出さなかったり、実際にはいない生還した子供が出したり、監督は食わせ者だ。「脚本の95%は実話」という宣伝文句の95%は嘘。売れる映画作りに徹している。主演女優は、老けすぎ。【疑問点】①初対面で母親が違うと言っているのに警察が無理強い。②誘拐の日に子供の面倒を見るのを頼まれた知人が登場しない。③狭い電話交換所でローラースケート。④母親化粧が濃すぎ。寝起きの顔も化粧。⑤アカデミー賞の予想ができるくらい映画を見てる。子供とは見に行けなかったのに。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-24 09:53:59)
88.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
冒頭、陸軍の地図作りの意義について、ロシアの脅威に対して、国内の詳細を知ることが急務であると説明している。戦争と剣岳周辺の地図とに関係があるとは思えないので、無理があると感じた。また登頂を日本山岳部に先を越されるのと良しとしないとも言う。だが、それなら地図作成チームとは別にアタック隊を組めばいいではないか。簡単なことである。初登頂しろと命じながら、のんびりと半年もかけて地図作りをやらせている。筋が通らない。一事が万事この調子で、最後まで盛り上がらない。感動もどきはあるのだが、真の感動には至らない。それは、肩透かしされることが多いからだ。 【肩透かし】 ①ここから最難関の頂上アタックだ、と思ったら、簡単に雪渓登って、岩に取りついたと思ったら、途中省いて、もう登頂。盛り上がるわけないよな。簡単に登れそうな山にしか思えない。 ②さあ登頂したぞ、みんな大喜びするだろう、と思ったら、全員寡黙。景色を見ているだけ。苦労して登頂したのに感動しないの? ③軍部が成功の報を聞いてさぞ喜ぶ、と思ったら、行者に先を越されていたことを知ると、全く喜ばず、なかったことにしたいなどと言い出す始末。地図を作成するのが急務の目的ではなかったのか?目的は達成できたし、山岳会より先んじたはずなのに。 ④陸測部と山岳会の初登頂対決、と思ったら、両者がライバル意識をさほど露わにはせず、最後はなんとなく仲間扱い。陸測部はのんびり、山岳会は良い人。ああ中途半端。 ⑤地元の剣岳信仰の人たちの強い反発がある、と思ったら、特に無し。長次郎の息子も最初は猛反発していていたのに、途中から応援している。どうして思想転換したのか不明。 ⑥未踏峰の登山なのでさぞかし犠牲が、と思ったら犠牲者は無し。数日後山岳部も登頂している。本当に言うものの難登山だったのかという疑問が湧く。 ⑦未熟キャラのノブが山の仲間達との心の触れ合いを通じて成長してゆく物語、と思ったら、そうでも無い。二度も死にそうになったのに、妙に淡々としている。 ◆山を美しく撮り、自然の厳しさは表現できている。山岳映画としては成功。好感はもてる。でも感動は薄い。感動させようという意気込みが見られない。ただドキュメンタリータッチで撮れば良いと思っている。感動は製作者たちの心の中にあるのだろう。 音楽と映像が乖離していた。
[DVD(邦画)] 7点(2010-12-10 03:31:54)
89.  赤い月 《ネタバレ》 
「満州で酒造りに成功した森田、その夫で自由奔放な性格の波子、波子の元恋人の大杉中佐、軍の諜報員の氷室の四つどもえの愛憎歴史群像」を描きたかったことがかろうじて分る作品。「愛」とか「生きる」とか観念的な言葉や教訓じみた理屈がやたら飛び交うが、言葉で説明されても困るのだ。人物の存在感、生き方、情熱などが伝わってこそ、初めて感動が伝わる。感動の要素が詰まっているのに感動が伝わらない典型的な映画。ある意味、こう作ってはいけないという他山の石の教材として鑑賞価値がある。 ◆満州鉄道が単線として描かれていることに違和感がある。車両数も少ない。CGによる機銃掃射、空爆場面は安っぽい。低予算なのだろう。 ◆昭和19年夏の森田の演説で「聞けば16機のB25が本土を襲い、戦局は予断を許さぬ状況」とあるが、それは昭和17年4月のドーリットル空襲のこと。監督も脚本家も歴史には疎いようだ。 ◆後半、波子と氷室の恋がメインとなる。が、氷室は氷のように冷たい諜報部員で、多くの中国人を殺し、ロシア人を拷問した上アヘン中毒にさせ、恋人のロシア人エレナの首を刎ねた人物である。この人物のどこが好きになるのかわからない。感情移入などもっての他だ。氷室は終戦になったとたんに、人が変わったように軍部批判や人生訓を口にする。お笑い草である。この人物が何をしゃべっても嘘っぽく感じる。人物が生きてないのだ。「あなたを愛していることが、今の俺を支えていてくれる」戦前の軍人がこんなことを言うだろうか。 ◆恋多き女、波子。子供がいるのに大杉と縒りを戻すことを考え、氷室とエレナの関係に嫉妬する。夫が亡くなって間もないのに氷室と昼間から愛しあう。「生きるためには愛する人が必要なの」ああそうですか、ご勝手に。主演女優に華がない。 ◆森田こそ悲劇の主人公なのだが、ぞんざいな描かれ方しかされていない。氷室のアヘン中毒の場面が無駄に長いので削って、その分森田を描くべきだった。 【ツッコミ】①エレナは子供たちに何を教えていたの?ロシア語?②おかゆを食べさせるのに口移しはないだろう。③スパイを捕まえた場合、すぐ殺したりしない。情報を引き出すことが重要だからだ。④大杉の漫画のような突撃死に苦笑。⑤森田は大杉と波子を引き合わせた。なのに波子が戻ってくると嫉妬のあまり小指を切断。
[DVD(邦画)] 3点(2010-11-20 01:27:44)
90.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 
◆観客動員数は100万人にとどまり、シリーズ・ワースト3。製作費20億円で、興行収入12億円、テレビ放映視聴率もたった5.8%という散々な出来で終わったゴジラ最終作。冒頭の「田中友幸、本田猪四郎、円谷英二に捧ぐ」という文字が痛々しい。内容のほとんどが軽薄なパロディで、ゴジラや怪獣たちに対するリスペクトが無く、ゴジラ映画を愛するコアのファンには見るのが辛い映画となっている。子供が見ても楽しめない。楽しめるのはアンチ・ゴジラ・ファン?「晩節を汚す」という言葉がぴったり。東宝は大いに反省していることでしょう。◆特撮の出来や脚本がうんぬんというより、姿勢の問題なのだ。1984年の復活以来ずっとシリアス路線できたのに、最後の最後でおちゃらけ路線。行きあたりばったりの展開に口あんぐり状態だ。◆気になった点。 ①怪獣の場面が継ぎはぎだらけという稚拙さ。125分もあるのに。 ②馬鹿にするためだけにハリウッド・ゴジラを出している。 ③ロケットランチャーでエビラを倒す。他と整合性がとれない。 ④キングシーサーは正義の味方のはず。モスラだけがいいとこどり。 ⑤「人類にミュータントが見つかる」などというB級設定。 ⑥怪獣映画に不要な人間のアクションパートが多すぎる。 ⑦事務総長など死んだと思った人物が生きていた。 ⑧X星人が仲間割れする。 ⑨X星人に操られた尾崎が小美人からもらったお守りで殴られると正気に戻る。 ⑩ミニラが登場し、途中で巨大化する。
[ビデオ(邦画)] 3点(2010-10-15 07:08:14)(良:2票)
91.  ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 《ネタバレ》 
◆モスラの小美人の主張。「人間がゴジラの骨から戦いの道具を作ったのは過ち」「死者の魂に,人間が手を触れてはいけない」「ゴジラの骨を海に返してくれれば,かわりにモスラがゴジラと戦う」「さもなければ,モスラは人間の敵にならなければならない,それはモスラの望んでいることではない」 ◆小美人の石の言葉「生命は定められた時の中にこそある」 ◆何故小美人はこのような主張をするのだろうか?モスラは自然と調和と平和のシンボルだ。小美人の友人である中条は言う。「ゴジラの骨を使って機龍を作ったことは,神の領分だ。人間は越えてはならない一線を越えてしまったのだ。すでに人類は,原水爆を生むという過ちを犯している」つまり科学技術の暴走で、生命を弄ぶようなことをしては神の罰を受けるという警鐘だ。伏線として前操縦者茜に「もしかすると機龍はもう戦いたくないのかもしれない。このまま修復されずにいる方が幸せなのかも」と語らせている。だが、そう言われても、ゴジラに対抗する手段が他になく、モスラへの信頼もないので、機龍を放棄することはできない。 ◆結果は、機龍のDNAが再びゴジラの咆哮に呼応して暴走、自らの意思で,ゴジラを抱え日本海溝の底に沈んでゆく。結局人間は反省をせず、ゴジラのDNAも廃棄しなかった。それでも総理は言う。「失ったものが大きい。しかし我々は,自らの過ちに気づき,その過ちを認める勇気を得た。その勇気こそが勝利だろう」むなしい言葉だ。 ◆最も英雄的な行為をしたのは機龍だ。「SAYONARA YOSHITO」のメッセージを残し、海中へ沈んでゆく。機龍は仲間のゴジラと闘いたくなかったし、人間と共鳴したことにより、ゴジラが町を破壊するのも見たくなかったのだろう。 ◆この重いテーマに脚本がついていっていない。言葉や観念だけでは感動は生まれない。何より機龍の孤独や葛藤を伝える場面がなさすぎる。誰からも望まれない生命として産まれ、殺され、骨となってからも戦闘マシンにさせられ仲間と闘わせられるという悲劇。もっと生命を感じさせるサイボーグとして描くべきだった。それがないので、最後になっても観客おいてきぼりである。ここが商業的に失敗した主因と思う。心に残るものがないのだ。冒頭のモスラ迎撃シーンだけはかっこよかった。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-15 02:53:57)
92.  ゴジラ×メカゴジラ 《ネタバレ》 
◆沙羅は妊娠中の母親を亡くしてから、命というものに人一倍敏感になった。眠り草を母親代わりに話かけている孤独な面がある。茜は天涯孤独の身。「自分は求められて生まれて来たわけではない、つねに戦って自分の居場所を勝ち取って来た」と思っている。沙羅は言う。「この子(機龍)もちゃんと生きているのよ。どうして仲間のゴジラと闘わなければならないのかって、きっと思ってる。水爆でゴジラを産んで、今度はゴジラのサイボーグ。一番悪いのは人間よ。大人は命の大切さをみんな言うけど、本当はそうじゃない。誰もこの子をことを可哀そうと思わないでしょ」茜が答える。「慥に機龍は生きているわ。あいつも私と同じ。求められない命。産まれてきたことさえ疎まれて、本当は生きてはいけない命だった」沙羅は「生きてちゃいけない命なんてあるわけないよ」と反論する。 ◆戦闘中、命がけで闘っている茜の姿を見て沙羅は願う。「あかねちゃん、死なないで」 ◆茜は機龍にシンパシーを感じる。「機龍、お前にはわかるよね。お前と私は仲間だってこと。さあ、そろそろ行こうか!」倒れた機龍の中で気絶しかかる茜を目覚めさせたのは,仲間の笑顔と茜との握手のぬくもりだった。孤独ではないと気づく茜。「機龍、私に力を!」茜の精神と機龍(初代ゴジラ)の精神が共鳴する。 ◆戦闘が終わって茜が沙羅に言う。「あなたに力をもらったわ。皆からも力をもらったわ。生きてちゃいけない命なんかない。あなたの言葉を信じてみるわ」沙羅ももはや眠り草を持っていなかった。命のダイナニズムを受け入れ、少し大人に成長したのだ。 【感想】命に関して深く考えさせられる内容を含んでいる。「生きてはいけない命」とはゴジラのことでもある。人間の科学の暴走が生みだしたゴジラ。そのゴジラを殺さねばならない人類の宿命。どんな命も大切と考える子供の純な心。仲間を死なせてしまったというトラウマを抱える女自衛官の執念。そしてゴジラとの戦いで多くの命が散ってゆく。良いテーマだと思うが、全体の構成として十分活かされていない。重いテーマに踏み込んでいないのだ。沙羅の父親が機龍の開発に無関心だったりするのを見れば分る。彼は「命」より、娘と一緒にいることや茜の気を引くことに終始関心が向く。惜しいと思う。父親をリンクさせれば感動作になっただろう。このシリーズの売り物である破壊シーンや戦闘シーンに特に見るべきものはない。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 23:58:36)
93.  ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 《ネタバレ》 
◆現実と違う別の歴史を持つパラレルワールドの設定だが、全く活かされていない。重水素によるプラズマエネルギーをクリーンエネルギーなどといっているが、核融合のことで、破壊されたら大変な環境破壊になる。◆ゴジラが原発施設を狙う理由は何だろうか?憎しみ、それともエネルギー補充?いずれにせよ、どこかの島にエネルギー源を置いて、Gをおびき寄せれば済むのに。そして近くからディメンジョン・タイド発射。これでOK?ところで時空が歪むという欠点は修正したのだろうか。ところでDTの実験でメガヌロンを出現させた責任は誰が取るのか。それとも自分たちのせいだとは気付いていないのか。◆メガヌロンは人類を捕食して成長するのだが、それに対して人間が何の手だても講じないのはどうしたことか。あんなに大繁殖しているのに。渋谷が水没してしまうが、それがメガヌロンの幼虫の仕業によるものなのか、どうか不明のまま。それにトンボだから極楽とんぼ出すとかは、止めた方がいい。日本の誇る「ゴジラ」をリスペクトしてほしい。◆工藤はマイクロマシーンを作るのが得意だとして、ブラックホールとは畑違いだと思うが。それに何の役にも立たない女性博士はいらない。◆自衛官の上司をゴジラに殺された辻森桐子の執念が一貫して描かれる。だが、肝心の二人の関係が少ししか描かれていない上に、ミサイルの効かないゴジラに対してロケットランチャーで攻撃するという意味不明の作戦上での死であることが悲劇性を薄くしている。上官の死はもっと英雄的に描かれるべき。桐子はゴジラとの闘争、アマチュア科学者工藤との関わりなどで、最後には女性らしさを取り戻すという物語にすればドラマとしてまとまったものになっただろう。憎しみだけでは見ていて辛い。成長物語にしてほしい。◆肝心のゴジラ消滅作戦だが、根本的な問題がある。そもそもG消滅は観客の誰も望んでいないのだ。観客のほとんどはゴジラがビルを破壊するのを見ることでカタルシスを得る。日常のストレスの憂さ晴らしであり、生命の偉大さの実感なのだ。消滅方法も日常離れしすぎていて実感が薄い。だからG消滅作戦はきっと失敗するだろうと高を括って見るので、物語にはのめり込めないのだ。作り手もそれは分っていて、ゴジラは生きていることを示して終る。志の中途半端さが分る。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-10-14 20:30:42)
94.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 
◆一番凄いと思ったのは、ネズミを千匹も捕まえたことかな。実際やってみると大変だと思うよ。それに一匹、一匹に時限爆弾を仕掛けるのだから。 ◆一番不可解なのは、ウェズリーの父親クロスだ。息子を守るのなら、電話するとか、手紙出すとかしなさい。金銭的援助くらいしてやってよかったと思うよ。それに何故息子を轢き殺そうとしたり、実際に腕を撃ったりしたのか。呼び出したいのなら電話するか、弾丸を届ければよい。 ◆一番不思議なのは、貯金の残高が増えたり、減ったりするところ。 ◆一番驚いたのは、親爺の協力者(弾丸製作者)が、川に落ちたウェズリーを救出したところ。いったいどうやったらそんなことが出来たのか?病院に運ばれたのを連れ帰ったのか。 ◆一番がっかりしたのは、フォックス(アンジー)の360度回転同士撃ち+自殺弾。一人一人との対決が見どころになった筈なのに残念。 ◆一番知りたいのは、1000年も続く「運命の機織り機」の正体の謎。暗殺すべき人物の名前が暗号の二進法で織られて出てくるらしいが、同姓同名がいたらどうなるの?「Death Note」じゃないけど、名前を知られていなければセーフ? ◆一番疑問なのは、飛び杼を掴んだり、蝿の羽を撃ちぬいたり、弾丸を曲げることは訓練で可能としても、超ジャンプや超カー・アクションはどうやってできるようになったのかということ。 ◆一番ひっかかるのは、スローンはクロスを殺すのに息子を暗殺者に仕立てるという手の込んだやり方をし事た。普通に考えれば、息子を人質にとり、おびきよせればよかったのだ。 ◆一番バカバカしいと思ったのは、ウェズリー最初の暗殺方法。わざわざ走っている電車の屋根の上から会議室を狙うなんて。相手に近づいて撃てばいいじゃないか。 ◆一番欲しいと思ったのは、あのすぐに傷が回復する風呂。特許で食っていける。 ◆一番哀れなのは、ウェズリーに勘違いで射殺されたネズミ爆弾男。「流れ弾にやられた」なんてウェズリーを庇っている。
[DVD(字幕)] 5点(2010-10-13 05:53:22)
95.  おろち 《ネタバレ》 
◆一草、理沙は裕福な家に住む美少女姉妹。母は有名女優の門前葵。母の愛情は音楽的センスのある理沙に注がれ、一草の心は次第に歪んでゆく。何故演技力ではなく、音楽的センスなのかは疑問。母の愛を渇望した一草は母にあこがれ、母そっくりの女優になる。◆門前家は呪われた一族で、女性は29歳になると醜く変身してゆく宿命がある。一草はまもなく訪れるであろう恐ろしい運命におののいていた。理沙は死ぬ間際の母から「お前は養子」と教えられる。それを知った一草は理沙を虐待する。理沙は姉の心中を察し、虐待に耐える。◆理沙は佳子という身寄りの無い家政婦を連れてきた。佳子と一草の血を入れ替えれば、運命を変えられると考えたのだ。一草は佳子を殺害し、手術を試みるが、佳子が血液型を偽っていたため失敗。絶望した一草は自ら火焼け棒で顔を焼く。それを見た理沙は実は養子は一草の方であると告白。復讐のために嘘をついていたのだ。その後門前家には狂死した一草と得体の知れない醜い女の姿があった。【感想】「永遠に美しく」と同テーマ。冒頭の嵐の屋敷シーンで監督の技量が知れる。安っぽい仕上がりだ。ライティング、音楽、カメラワークに工夫を凝らさないと重厚さはでない。5人の女優に美しさを感じられなかったのは残念。恋人ももっと二枚目であるべき。美と醜を際立たせることで成立する物語だ。木村佳乃が母娘二役演じるのも疑問で、混乱を招くだけ。◆物語は他に、おろち百年に一度の眠り、佳子の意識がおろちに入れ替わる、姉妹で恋人の取り合いという要素もからむ。だがどれも空回り。必然性がない。◆手術前に血液適合テストくらいはやりましょう。最大の欠点。◆人間には美しいままで永遠に生き続けたいという欲望がある。それを体現しているのが「おろち」という謎の少女。その正体は不明のまま、狂言回し役に終始する。この部分が未消化。おろちという神の目線で人間の心の醜さを描くのが原作。この心の醜さも徹底していない。理沙が真実を隠しながら、一草の手術の成功を願うのは矛盾がある。そもそも手術の必要がないのだから。絶望感を味あわせるための仕掛けとすべきところだろう。◆忘れてならないのは佳子の悲劇。幸せになりたいが故に、ほんのちょっとした嘘をついたことで死ぬ運命に。不幸の果の死はむごい。この挿話があることで、作品に奥深さが出ている。
[DVD(邦画)] 5点(2010-09-24 18:55:34)
96.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
◆物語はサクセスストーリーの王道。炭坑町の貧しい少年がクラッシック・バレエを目指すという視点は興味深い。 ◆最大の見せ場はビリー少年の踊り。気迫とパワーは感じる。でも体は固いし、足は上がってない、高度な業はなし、軸もぶれている。バレアは体の柔軟性を求められるので、あれでは不合格か。「特別な素養」は感じられず。吹替えでよかったのに。 ◆違和感のあったのは音楽。T・レックスのブギー、クラッシュのパンク、ジャムのロック。少年の目指していたのは何か。ロックに陶酔してバレエを目指す人はいないと思う。 ◆あの旧弊で頑固な親爺はバレエなんか絶対理解しないと思う。町を出たこともなく、炭坑のことしか知らない。文化には無関心の男。ラストの男だけの白鳥の湖なんて反吐が出るのじゃないかな。妻のピアノを薪にする男だ。普通売るよね。その親爺が息子のダンスを見て急変し、性格も手の平返しの家族愛、自己犠牲モード全開。こういうのは徐々に変わっていかなきゃ不自然。兄も同様。弟なんかと馬鹿にしきっていたのに、「Imiss you」。二人が偏見を捨てて少しずつ理解を示してゆく様子が人間ドラマの見せ場も筈。周囲の偏見もあっという間に無くなり、資金援助。 ◆父のスト破りが感動場面。兄に咎められて男泣き。これはよかった。史実としてストの暴動で死者が出たし、スト破りには凄惨なリンチがあった。 ◆師弟愛が中途半端。最大の功労者の女教師は、何故ショーに招待されないのか?ビリーが「あなたは負け犬だ」と詰った罪は償われていない。両者の関係は最後までよく解らないままでしたね。普通は合格目指して猛特訓とか、強い絆が出来る場面があるのですが。 ◆ビリーは本当にバレエを目指していのか。ダンスが好きとは言うけど、バレエが好きとは言わない。自ら臨んで試験を受けたいという場面がなかったような。試験に臨んでもやる気ない態度だし、話しかけてきた少年は殴る。どこでバレエに目覚めたのかあやふやです。 ◆ホモの少年マイケルは、ビリーと同じ異端者、アウトサイダーとして登場。でもお互い理解しあっているのか。マイケルはビリーに惚れていたのですけど。大人になって女装して、恋人が黒人、それで幸せなのかな。 ◆祖母は痴呆症と思うんだけど、直るんですね。 ◆最大の謎、開始15:10のところで車の影になった教師の娘の姿が消える。
[DVD(字幕)] 7点(2010-07-23 22:20:59)
97.  Dear Friends ディア フレンズ 《ネタバレ》 
◆「友達と命」をテーマにした薄っぺらな難病もの。極端にベタな展開、ご都合主義のオンパレードで、何度も苦笑。登場人物があまりにステレオタイプで実感が湧かない。さながらギャグのよう。脚本家の頭の中でキャラが踊っているだけ。どこにもいそうになり人たちばかりでは、真の人間ドラマは描けない。物語は起伏があって飽きない。◆リナは美人でスタイル抜群の女子高生。カリスマ読者モデルで、夜はクラブクイーン。美貌故に周囲から持て囃され、多くの取り巻きがいる。男友達も多い。学校はよくさぼる。性格は悪く、常に高飛車で、友達の男を寝取っても「友達は必要な時に利用するもの」と嘯く。自分が悪いのに文句を言ってくる同級生にはブス呼ばわり。母のスープは叩き落し、盲人に席も譲らない。◆何故そんな性格になったかというと、父親が多忙で家族を顧みず、母親は愛情過多タイプで甘やかされて育ったと言いたいらしい。◆リナがダウンし、入院。難病の幼女カナエが話しかけてきて、「押しかけお友達」に。ミキという女子高生も「友達だから」と見舞いに来る。でもリナに彼女の記憶はない。◆退院するが癌と判明し、再入院。抜けだしてクラブに行くがカツラが取れ、雨の路上で泣き崩れる。偶然通りががったミキに助けられる。◆カナエが坊主姿になり、「死ぬかも」と弱気。リナは「死ぬな。仲間なんだから」と元気づける。カナエ転院する。◆ミキは小、中、高とリナと同じ学校。リナの誕生会に呼ばれて優しくされ、オルゴールをもらう。理由を聞くと「友達だから」。ミキはいじめられっ子でリストカットを繰り返してきたが、オルゴールに何度も勇気づけられてきたと。ミキにとってリナは心の友達だった。 ◆リナは癌が乳房に転移したこととカナエの死を知る。飛び降り自殺を試みるが、ミキが自分の胸を切って思いとどまらせる。ミキはカナエから「マキちゃんがリナを助けてあげてね」と託されたことを語る。そして二人ともリナから勇気をもらっていたとも告げる。「生きていたからリナちゃんのような友達と巡り会えた」◆リナ乳房切断し、退院。ミキの姿なし。胸を恋人に見せて振られる。再び病院で飛び降り自殺を試みるが、ミキが現れて説得。ミキは難病で動けない体になっていた。ミキに心配させたかくなかったから黙っていたのだ。◆リナはミキを看病するために看護婦になる。ミキ死亡。
[DVD(邦画)] 3点(2010-07-23 02:38:54)
98.  シャーロットのおくりもの(2006) 《ネタバレ》 
◆平凡、普通であることがキーワード。「普通の生活の中に起きる奇跡」が主題。ごく普通の町の普通の農家の普通の子豚の奇跡の物語。「平凡なものがタイミングよく二つ揃うと、お互いが輝きだすことがある。子ブタと臭い納屋のように」それぞれは平凡でも、両者に絆が出来れば奇跡が起こることがある。 ◆発育不良で殺されそうになる子豚の生命が少女によって救われる。「私が育てる」小さな生命を助けたい素直な心の叫び。これが最初の奇跡。ウィルバーと名付けられて人格が生じる。 ◆納屋の動物達は皆元気がなかった。でも子豚が泥遊びをしたり、無邪気に「遊ぼうよ」と話しかけてくることによって心を開くようになり、元気を取り戻してゆく。これが第二の奇跡。 ◆子豚は嫌われものの蜘蛛と友達になる。「君は美しいよ」無邪気さの中に真実を見抜く眼がある。蜘蛛の美しさは生命の美しさそのもの。蜘蛛は初めて友を得て喜ぶが、彼女は子豚を導く母のような存在でもあった。 ◆やがて子豚は家畜の運命を知る。冬まで生きられないのだ。蜘蛛は誓う。私が助けてみせると。そして奇跡を起こす。巣に「たいした子豚」という文字を編んで。 ◆あくまで子豚は普通の豚だが、蜘蛛にとっては”特別”な存在。両者に絆が出来たからだ。星の王子様ときつねとの関係と同じ。 ◆人間にとって家畜とは、その命を断って、人の命を継ぐもの。だが家畜の立場に立てば、そうは割り切れない。「食べられる生命の問題」に簡単な答などない。蜘蛛は生きるために蝿を獲る。そして生命と引替えに卵を産む。卵から子供が生まれた。子豚に死と新しい生命の連環を示した。生命の問題に対して間接的な回答を提示したのだ。これが最後の奇跡。主人公はあくまで蜘蛛。子豚は受け身なだけ。◆誰でもいつか死ぬ運命。故に「生きていること」は奇跡。生命の躍動する日常はどんなに平凡に見えても奇跡に充ちている。だからこそ我々は毎日を大切に生きなければならない。これが原作者のメッセージ。監督がこれを理解していないのは残念。少女にボーイフレンドを作らせたり、大人が心ない発言をするなど、不要な要素を混入したので主題が解りにくい。原作では少女が動物達の話を完全に理解できるのだが。名作童話が平凡、普通の映画になったのは皮肉か。ただCGは素晴らしく、子供たちに是非見せてあげたい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-07-20 23:30:02)
99.  インビジブル2 《ネタバレ》 
◆透明人間を兵器として考えた場合。ものを携帯できない。冬は寒くて外出できない。雨の日もだめ。足音がする、足跡が残る。ビデオカメラには映る。などで余り役に立ちそうにない。ケータイで連絡もできないし、銃も持てないのだ。だからさほど怖くはない。待ち伏せてインクでも大量に噴射すればOKだ。網でもよい。軍は何故それらを用意しなかったのだろうか?インクをかければただの素っ裸の男である。刑事も水鉄砲くらい用意すればいいのに。 ◆透明人間は悪ではない。人体実験に使われ、自らの生存をかけて緩衝材を求めているのだ。復讐に燃えて残忍になってしまったのは残念である。軍隊を悪として描き、透明人間の復讐に正当性をもたせればもっとましな映画になっただろう。無実の女刑事を殺してしまったことで、おかしな展開になった。透明人間が暴走しただけでは内容が薄い。この人物に感情移入できるような挿話が欲しかった。そうすれば観客は彼を血肉ある人物として認識できた。単なるモンスター映画で終わっている。そしてモンスターとして見れば魅力がないのだ。いくらでも膨らませる話を小さくしている。女博士を奪う話に終始するのはもったいない。最後は殺鼠剤とスコップ刺しの刑。ああ、あわれ。可哀そうとも、爽快とも感じない。透明人間という魅力的なキャラに頼り切っただけのB級映画に成り下がっている。モンスター映画でも人間を描かなければ感動を与えることはできない。 ◆透明人間はいきなりパーティ会場で暴れるが、これはいただけない。正体がばればれではないか?透明人間の知能指数の低いこともわかってしまう。他人のいないところで尋問をすべきだった。 ◆女博士を襲う前、隣の家に侵入していたが、あれは何のためだろうか?しかみ家の人(バカップル)に居ることがばればれではないか。この手の映画は、悪キャラが狡知を尽くしてこそ魅力あるのだ。 ◆刑事が透明人間になって、透明人間と対決するのはグッドアイデア。続編が作られそうな終わり方である。
[DVD(字幕)] 6点(2010-07-05 18:17:43)
100.  マーシャル博士の恐竜ランド 《ネタバレ》 
◆SFアドヴェンチャーの形式を取っているけど、本質はオバカ路線のB級コメディ映画。70年代の同名TVドラマのリメイク。ラジー賞(最低映画賞)も2部門受賞している。 ◆マーシャル博士は異次元空間やタイムワープの研究をしていたが、誰も相手にしてくれない。 そこへホリーという若い女性が登場。博士の仮説は正しいと力説し、彼女が発掘した2億6千万年以上前の化石にライターの刻印があったのを見せる。それは博士のライターだった。しかも彼女はタキオンの純粋な結晶を発見したという。 翌日彼女が再訪すると博士は食べ過ぎで爆睡していた。問い質すとワープマシンは完成しているという。試す勇気がなかっただけと言う。ワープマシンはリュックサック型で何故かミュージカルの名作コーラスラインの曲"I Hope Get It"が鳴り、とてもチープな作り。二人はさっそく化石を発見した砂漠地帯へ向かう。そこは時空間の歪みがある場所だ。着くと奇妙なものばかり売っている店があり、そこの店員ウィルが案内をしてくれることに。そして三人でタイムワープする。 ◆それ以降の話はあって無きが如し。帰還するために失くしたワープマシンをひたすら探し求める話。類人猿、トカゲ人間、恐竜が登場する。ホリーは動物園で働いていたので類人猿と会話が出来る。類人猿はコーラスラインの曲を歌える。トカゲ人間の一人はワープマシンとタキオン結晶を利用して宇宙を征服しようと企んでいる。T-REXは何故か博士の言葉を理解する。ウィルだけその時代に残るが、類人猿の村に着くと人間の美女が大勢いた。このように時代も設定も支離滅裂だ。パラレルワールドに紛れこんだようだ。 ◆下ネタなど下品なギャグが多いのでついていけない人が多いと思う。日本人の感性と合わないのだ。コーラスラインの曲など知っている人は少ないだろう。大蟹が一瞬にして茹蟹になってしまうのはいいが、ワープしてきたアイスクリーム屋の店員が一瞬に恐竜に食べられるのはどうだろうか。感性がついてゆくだろうか。ギャグヒット率が低いのがイタイ。その原因を考えるとT-REXやトカゲ男の造詣が怖ろしいことに由来する。マンガのようにもっとかわいいキャラに仕立てて、絶対に殺されないことがわかれば、お笑い世界に没頭できただろう。 
[DVD(字幕)] 4点(2010-07-05 13:17:05)
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