81. 肉弾(1968)
《ネタバレ》 コメディータッチでテンポよく娯楽作品の匂いをプンプンさせながら、戦争の不条理とそれに翻弄される人々の無力さ悲しさを徹底的に表現している。 「あいつ」とそれを取り巻く人々の状況、心情を、シュールでポップでコミカルな表現でありながら、実感を持って確実に描写できており、映像的には非現実的でコントのようにストーリーが展開するのに、反戦という重いテーマが全くスポイルされていない。いや、逆にその本質が強調されている。 人々が国のために戦うというのは妄想で、自分が守りたい人のために戦うのであって、それですら、戦争に巻き込まれた状況で自分を無理やり納得させて鼓舞する屁理屈に過ぎない、というメッセージがひしひしと伝わってくる。 明るいゆえに、コミカルなゆえに、より悲しく虚しい物に見えるこの手法は、岡本喜八監督ここにあり、という感じでまさにお見事というしかない。 娯楽作品としてお薦めできる映画ではないが、「名作」を見たいという人には是非この映画も見てもらいたい。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-29 17:15:15) |
82. 銀座化粧
《ネタバレ》 当時の普通の町並み、風景、生活を自然に感じられる歴史的価値満点の映画。しかし、映画としての構成力も素晴らしい。 画像、音ともに現代の映画と比べるには、あまりにも土俵が違いすぎるし、ストーリーも粗筋を書いてしまうと凡庸なのだが、風景を映し出す構図がしっかりしており、演出も日本人の琴線に触れる人情とか感情とかが自然に表現されて、しっかりストーリーに引きこまれてしまう。 画像や音がチープな分、画面構成、演出、編集の力量だけが問われるわけで、この時代にこれだけの映画が作れるのはすごい事だと思う。 成瀬巳喜男監督の作品を気を入れてしっかり見たのはこれが初めてだが、さすがに、日本映画史に名を残し多くの作品を撮り続けた監督の力量を感じる。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-16 02:08:04) |
83. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 サスペンス、コメディー、青春の要素をテンポよく明るく描き、時にはクスリ、ホロリとさせ、途中だれることなく一気に引きこまれた。 カミさんが途中居眠りせずに最後まで見たというのは、ピクサーのアニメ以来で、画期的なこと。 時間を前後させていろんな人間関係の糸を解きほどいていく手法は「アヒルと鴨のコインロッカー」同様、リアルと誇張をバランスよく配して緊張を切ることなく笑いを織り込む手法も「チーム・バチスタの栄光」と同様に、非常にうまくまとまっており、監督のウマさが光っている。ツッコミを入れたくなるようなご都合主義も、誇張が過ぎたありえないシチュエーションも、ハラハラドキドキとクスリ、ホロリの絶妙のタイミングの繰り返しで気にならない。 ただし、最後の結末のシーン、堺雅人の演じる主人公に完全に感情移入して感動した後なので、リアルに役者まで変えてしまよりも、若干のメイク程度で堺雅人が演じたほうが、見る側が堺雅人と完全に判っても誇張した演出として許せるし、感動がさらに大きくなったかも。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-15 23:56:00)(良:1票) |
84. 上意討ち 拝領妻始末
《ネタバレ》 理不尽な組織の押し付けに怒り反抗するも最後は虚しさだけが残るというストーリーは、小林正樹監督の代表作「人間の條件」と通じるものを感じる。 しかし、三船敏郎の殺陣を見せたかったという意図かもしれないが、ちょっと人を殺し過ぎ。 この作品の中での女性の扱い、家制度、武士の建前の理不尽さは充分に理解できるし、感情移入できるのだが、主人公が反抗することで殺される雑兵達の理不尽な死のほうが逆にとても気になってしまった。 映像は叙情的でさすがに小林監督という感じだし、三船敏郎、仲代達矢はじめ出演者の演技も素晴らしく、良作には違いないのだが、個人的には、同じストーリーで主人公達と主たる悪役以外は一切死なないシナリオにすればもっと名作になったと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-15 20:30:36)(良:1票) |
85. いのち・ぼうにふろう
《ネタバレ》 日本の巨匠の一人、小林正樹監督の叙情的な映像表現が発揮されて、ぐっと引き込まれる人情物映画。 心にぐっとくるものがある点では名作なのだが、娯楽として気楽に見るにはあまりにも重く暗すぎる。 ハリウッドだと同じようなストーリーでも、もっと軽快に陽気につくるんだろうなと思いつつ、ハリウッドはおろか最近の日本映画でもめったに見られないテイストで、これはこれで凄い。 このところ、仲代達矢の出演映画を立て続けに見ているが、監督の意図通り、どんな役もぴったりハマッてこなしてしまうすごい俳優だと、改めて感心してしまった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-10 20:11:17) |
86. ブルークリスマス
体制による陰謀、プロパガンダ、いわれなき差別の怖さを真正面から描いた怖い映画。 ストーリーはしっかりしており、絵作りも演技も非常に真面目に作られているのだが、原因がUFOというのが、作品を非常にチープにしているのが惜しまれる。原因は全く不明で、プロパガンダでUFOを持ち出すほうが良かったように思う。 また、仲代達矢の記者のストーリーと、竹下景子の恋愛のストーリーが、それぞれ別々にある感じで、もっとしっかり融合させるか、あるいは、どちらかに絞って深めて欲しかった。 ラスト近くのシーンは、思わず涙が出てしまうほど情緒的に撮られており、悪い映画ではないのだが、テーマ、ストーリーが極めて重く、反体制の岡本喜八精神のみが発揮され、軽妙コミカルな娯楽の要素の岡本喜八ワールドの出番が全くなかったのも残念。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-09 19:52:28) |
87. 斬る(1968)
《ネタバレ》 反体制精神を目一杯こめながらも、娯楽映画として、テンポ良くコミカルに創り上げた快作。 「椿三十郎」とストーリーも似ており、尺も短く気楽に見られる軽妙時代劇として同じような娯楽作品であるが、まさに、黒澤監督と岡本監督の作風の違いがハッキリと見て取れる。 黒澤監督は、コミカルで軽妙ながらも静と動を使い分け、どこかに重厚さを感じさせるのに対し、岡本監督のこの作品は、テンポよく流れるようにラストまで持って行くように作られている。映画を芸術として捉えると黒澤監督に軍配が上がるが、身構えずに見る娯楽として捉えると甲乙付けがたい。 岡本監督のエッセンスがふんだんに詰まった作品である。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-09 19:38:28) |
88. ヤッターマン(2008)
《ネタバレ》 アニメの実写化で、ここまで元の世界観を維持できたのは驚異的。 元がギャグアニメであることが幸いして、少ない登場人物がそれぞれにオーバーアクションでしっかり個性を主張し、シナリオの強引さも、セットのチープさも、CGのアラも、味として良い方向に働いた。 昔アニメを見ていたときはドロンジョが実は主役だと思っており、深田恭子のドロンジョがアニメのイメージとは違う配役でどうなるか心配だったが、しっかりと一番の存在感を放っており、堂々とした主役になっていた。 元のアニメを知っていておふざけB級映画好きなら、かなり楽しめる映画だと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-05 01:03:17) |
89. ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲
《ネタバレ》 1作目のオタ心を突いた見事なB級っぷりが完全に消えて、単なる駄作になってしまった。 ストーリーに対して個々のシーンの演出やそのつながりが悪く、ワクワク感もなく、驚きや笑いを意図したシーンもほとんど滑っている。 歌のシーンや戦いのシーンも、映画用の単なる尺伸ばしに思えてしまうほどバランスが悪い。 もっと、ふざけたシナリオや演出であれば、作品として面白くなくても、突っ込んで楽しめるのだが、CGも前作より頑張り、ちゃんと作ろうとしている分、このダメダメ感はなんとも困ってしまう。 1作目は奇抜なアイデアのヒーロー物ということや、哀川翔、渡部篤郎、鈴木京香等が馬鹿馬鹿しい演出を真面目に演じるところが、一部の人のツボに嵌ったのであって、決して名作ではなかった。 その続編である以上、前作以上の突拍子も無い設定や、さらなる大物俳優を無茶に使わなければ、超えることはもともと無理だったと思う。 [DVD(邦画)] 3点(2011-01-04 17:12:58) |
90. マダガスカル2
《ネタバレ》 前作のストーリーとキャラ設定をしっかり残しつつ、全く別のステージでの新たな冒険活劇に仕上げてうまくまとまっている。 最初から最後までノリノリで時間を忘れさせてくれる、まさに「娯楽」作品。 前作同様、擬人化した動物にしっかり感情移入できて不自然さを感じさせないこの勢いは、なかなか良く出来ている。CGならではのありえない動きやカメラアングルが、ダイナミックな躍動感を生み出し、アフリカの大自然をもうまく表現できている。CGであるが故に日本語吹き替えも全く違和感がなく、休日に何も考えずに楽しみたい時にはうってつけの作品。 ピクサーが「名作」映画としての完成度を目指しているのに対して、ドリームワークスは「名作」にはこだわらず「娯楽」映画としての楽しさを目指しているように思う。「娯楽」は見る人の嗜好、気分によって評価が分かれる分、「映画」としての評価は低いかもしれないが、楽しければ充分。 [DVD(吹替)] 6点(2010-12-20 00:10:20) |
91. シュレック3
《ネタバレ》 全体のストーリーの流れは子様向けなのに、映像は暗めで汚いシーンもあり、ブラックなジョークやおとぎ話を小ネタする等々大人向けの演出が随所に施されている。 どちらにも楽しめると取るか、どっちつかずと取るかは人それぞれだが、私は前者。脚本にピクサー程の完成度はないけど、この世界観も結構好きです。 完全に大人向けのストーリーの方がいいのかもしれないが、多分、それでは興行的にきついんだろうなと思うと、許せる範囲。 2が1程の新鮮さがなく、シリーズが進むに連れて駄作になるのかなと思ったが、シュレック1から一貫したこのややダーティーな世界観がちゃんと維持できていて、盛り返している感じ。次の作品に期待がもてる。 [DVD(吹替)] 6点(2010-12-19 22:02:22)(良:1票) |
92. 大誘拐 RAINBOW KIDS
《ネタバレ》 原作の良さを2時間に詰め込んだ脚本はさすがで、役者陣もいい演技で、最後まで一気に引っ張り込むだけの秀作ではある。 しかし、犯人3人組や、警察、被害者家族を、もっとデフォルメした演技をさせても良かったのかもしれないし、全盛期の岡本監督ならやってたかもしれないという残念感が残る。 脚本も、理屈の部分が勝ってしまって、岡本喜八監督独特のブッ飛んだ演出や、シュールな設定が見られなかったのが残念。中盤から終盤へのテンポの良さとか、ヘリコプターの操縦士の描写あたりが岡本監督らしさといえばらしさか。 岡本監督も、制作スポンサー側の意向に対して、自分色を全面に出すのが難しいという事情でもあったのだろうか? でも、「娯楽映画」という観点で見ると、昨今のTV局で派手に宣伝する映画以上のレベルで、十分に楽しめ、昨今の日本映画の中ではなかなかの傑作です。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-12-19 17:21:39) |
93. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 黒澤監督の技量がいかんなく発揮された歴史的名作。場面展開やカメラアングル、映像にグイグイ引き込まれていく。 ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞が物語るとおり「映画」としてすごい、というのは素人の私でもなんとなくわかる。 黒澤監督の技量で一気に見てしまったが、後で考えると、脚本を強引にまとめてしまった感が否めない。「わからない、わからない」から始まって一貫して「わからない」と言っているけど、よくよく考えると、何がそんなに「わからない」のかわからない。私自身が劇中の下人みたいに俗物だからか?(^^; また、人間の身勝手さ、嘘、欲深さに対する問題提起を、黒澤監督映像マジックで一気に見せているのが斬新といえば斬新なのだが、最後に若干の救いを与えたのは個人的には生ぬるく思う。志村喬がやっぱり悪人でしたという終わり方でも良かったかも。 黒澤監督の凄さを感じ、色々考えさせられる映画ではあるのだが、「娯楽」がほしい人向きではないかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-12-18 18:19:59) |
94. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 誰しもが通ってきて感じるであろう人間の成長とおもちゃの関係性を軸において、おもちゃに意思を持たせてその悲哀を背負い込ませて万人に感情移入させ、おもちゃたちの世界の冒険活劇に仕立て上げて最後は納得のいく感動のハッピーエンド。 1、2で築き上げたこの世界観をさらに進化させており、この世界観は、もはや実写でもアニメでも絶対に表現不可能、CGじゃなきゃ出来ない領域に達している。 お子様向けながら大人の鑑賞にも充分に堪えうる練られた脚本、ご都合主義満載なのにハラハラドキドキと感情移入の連続で違和感を全く感じさせない展開、相変わらず秀逸なCG、どれをとっても大人も子供も楽しめる娯楽映画の王道を行っている。 さすがに、ディズニーの企画力とピクサーの技術力の成せる技としか言いようがない。映画ってこんなに楽しい娯楽だって誰もが思えるこのような作品を、これからもどんどん作ってもらいたい。 なんて堅苦しい感想を書いたが、実は、大人気なく声を出して笑って、涙流して感動する2時間でした。 [DVD(吹替)] 8点(2010-12-12 22:20:39) |
95. 一番美しく
《ネタバレ》 黒澤監督が戦前の軍国主義の国威発揚映画を撮っていたという、歴史的価値だけで見た。 こんな脚本、選曲しか駄目だったという当時の情勢でどう仕様も無い事情が大きい分、黒澤監督の画面構成や編集技術の卓越した力が素で一番良く分かる作品かもしれない。 今、背景が分かってこの映画を観る分にはいいが、監督の技術一つで人間の感性に訴えることができるものが、このような時代背景の時に公開されたことに、怖さを感じてしまう。 同じような時期に、ハリウッドではすでにたくさんの名作が作られているが、日本も黒澤監督にこんな作品を撮らせてしまうような時代背景がなければ、充分に娯楽として質の高い映画がつくることができたのにとと惜しくてならない。 映画の歴史や黒澤監督の凄さを知る上では貴重な映画だと思うが、本来の「映画」として個人的に楽しめたかどうかという評価は0点。 [DVD(邦画)] 4点(2010-11-29 00:04:34) |
96. 白痴(1951)
ドストエフスキーの原作が、重い、奥深いのは充分わかったが、私の見たい「映画」ではなかった。 小説は、作者の信条、心理、訴えたいことを、読む側が文章から深く読み取り、噛み砕き、自分の感性と対比させて吸い取ることで成り立つ、すなわち読者が積極的に理解するものであるのに対して、映画は、監督が見せたい物を映像と音を使って観る側に送り込むことで成り立つ、すなわち観客が受動的に感性で受け入れるものであると思って、私自身それぞれ楽しんでいる。 監督は、この重い、深いテーマを、映像、役者の演技を使って見せたかったのだろうが、「映画」を楽しみたいのに、監督の映像、役者の演技が凄い分、原作の重いテーマを無理やり押し込まれた感じで、小説を解説付きで読まされた感が拭えない。 テーマがもう少し単純で明快な小説だったら、映画として監督の押し付けがあっても、小説が単なる原案で、それを監督が「映画」としてオリジナルの作品を作ったという形態となって、違和感はなかったかもしれない。 しかし、この作品のテーマはあまりに重く、深すぎた。重い、深いことが充分に伝わる監督の映画的手腕、役者の演技が凄い故に、原作のテーマの重さ、深さを無理に映像で送り込まれるような違和感を感じてしまう。 文学作品としては、きっとすごい映画なのだろうが、「映画」そのものを楽しみたい私には、この映画は辛い。 [DVD(邦画)] 4点(2010-11-28 01:12:14) |
97. 蜘蛛巣城
《ネタバレ》 セットのスケールの大きさや、土の匂い、泥臭さは黒澤監督そのものなのだが、アップショット、静寂、間を多用して、まるで舞台劇を見てるかのような展開は、他の時代劇とはかなり異質に感じてしまう。 シェークスピアの舞台劇マクベスが原作で、原作の持つメッセージ性や雰囲気をそのままに、黒澤流の日本時代劇に仕立て上げましたという名作。 映像表現はさすがの一言で、監督の見せたい表現したいものが、ダイレクトに伝わってくる。 「映画」としては文句無く一級品なのだが、最初から最後まで、重い、暗いで、私好みの映画ではなかった。 やっぱ他の黒澤監督(とその仲間達)のオリジナルの脚本のほうがいいな。 [DVD(邦画)] 6点(2010-11-23 18:47:32) |
98. 生きものの記録
《ネタバレ》 狂気とエゴとの戦い。 狂気は、誰もが持っている不安をことさら大げさに考えるもので本当に狂気なのかどうか判らない、むしろ、家族を思う気持ちが強いゆえの狂気。 エゴも、誰もが持っている現状満足を壊されたくないという些細なエゴで、他人を不幸にしようという意思はない。 最後は、狂気が負けて本当に狂人になってしまうが、誰も喜んでいない、とても後味の悪い作品。 三船敏郎の老け役を筆頭に、すべての役者の演技も見事、画面作りや、テンポよく見せる手法は、さすが黒澤監督なのだが、問題提起をして、見る者にひたすら考えさせて、ぐっと盛り上げる場面、娯楽的な場面、感動を呼ぶ場面などは全くなく、淡々と話を進めて後は勝手に解釈してくれというようなストーリーは、黒澤作品としては異色かも。 [DVD(邦画)] 6点(2010-09-12 00:50:48) |
99. 宇宙大怪獣ギララ
《ネタバレ》 宇宙船の中のシーンがやけに多いんだけど、画面が始終揺れてるんですよ。狭いセットの中で変化のない画面をどうしようかということで、宇宙船=船=揺れる、となったのかどうだか。 宇宙船の中で重力があって人が普通に生活してるのは、なんかそんな仕掛けがあると仮定して許しましょう。でも、全く何も無い宇宙空間を飛行するときに、海の上みたいに揺れるのは、仕掛けの仮定しようがない。ていうか、普通にしてても揺れないものを、わざわざ揺らす必要ないし。 同じ時期のガッパも変なシーンは随所に出てきて、その都度「なんでやねん!」と突っ込んで楽しめた。 でもこっちは、「宇宙でなんで揺れてんねん!」と突っ込んだ後、静かに飛行する宇宙船のシーンがずっと揺れ続けるのには、非常に対処に困ってしまって、他の変なシーンに突っ込む気力が失せてしまった。 宇宙船の揺れもあって、いろんな意味でクラクラした映画でした。 松竹も怪獣ブームにチャレンジしたんだという歴史的価値と、もともとのB級好きで、全く楽しめなかったわけではないが、ガッパに比べればB級ぶりは数段劣ります。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-07-21 12:55:29) |
100. マルコヴィッチの穴
《ネタバレ》 脚本のアイデアは奇抜で映像もそれなりに凝っていて、悪くはないが、惜しいかな、練りこみが足りない。 人形遣いであることだけが、大きな伏線で生きてるだけで、それ以外の天井の低いフロアや動物を飼っていることなどが、シナリオとうまく絡んでこない。 全体のトーンも暗めでサイコ風なのだが、もっとホラー風にしてもよさそうだし、逆にコメディーにもできそうだし、とにかく中途半端。 ストーリーは非常に斬新でよい素材であるだけに、細かい脚本と演出が残念である。かといって、同じストーリーで作り直そうにも、アイデアが光りすぎていて、もういいやって感じ。 決して駄作ではないのだが、もったいない作品である。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-07-21 01:39:51) |