81. 1911
《ネタバレ》 ジャッキー・チェン記念すべき100作目は辛亥革命100周年を記念する歴史物。ということで普段アクション映画はあまり観ない私ですが、観てまいりました。ジャッキーのアクションシーンを求める人にはかなり物足りないでしょう(全く無いことはないのですが)。歴史ものとしても、今ひとつ迫力に缺ける。イデオロギー色は薄くて、孫文という(政治的)英雄を絶対視せずに短所も描いている所はまあ評価できますが、いかんせん主人公を孫文の一の子分で、あまり面白い人物とは言えない黄興をすえたところが、全体的に地味な印象の一番の原因ですね。本作ではちょい役でしたが宋教仁あたりを主人公にした方が面白かったと思います。むしろ主人公たちが打倒すべき清朝側の登場人物の方が魅力的に見えました。特に袁世凱は良かったですね。声の吹替も安心の樋浦勉さん。「三国志 Three Kingdoms」の曹操役でも悪役のふてぶてしさをいかんなく発揮していましたが、樋浦さんの声は悪役にぴったりです。話題作り起用の江角マキコ・中川翔子に関してはシーンが少なかったんで何とも評価しにくいところ。 [試写会(吹替)] 4点(2011-12-07 01:08:25) |
82. 八日目の蝉
《ネタバレ》 原作未読。ドラマ版も知らず、後輩の薦めで観てきました。主人公は井上真央演じる恵理菜なんでしょうけども、完全に視点というか観客が感情移入する対象は永作博美演じる希和子という感じですね。時系列が交錯しつつ進むので、最後までストーリーがどこに落ち着くのか分からないまま、ふわふわした(正直すんなり納得はできない)エンディングとなりました(最後まで恵里菜の方には感情移入できない構成になっていたためかもしれません)。全体的に私は悪くない映画だとは思いましたが、ストーリー的には後味悪く感じる人も少なくないでしょうね。結局救われてないというか。小池栄子は最近はもう立派な女優ですね。最初何かぎこちない演技だと思ってたら、そういうキャラを演じていたのが後で分かって腑に落ちました。 [映画館(邦画)] 6点(2011-12-05 00:31:16)(良:1票) |
83. コクリコ坂から
《ネタバレ》 あまり期待しないで見に行ったせいか、そこそこ楽しめました。ただ、これがジブリ映画でなかったら見に行ってなかったかも…。ストーリーの展開はどんでん返しがあって、なかなか面白いと思います。数十年前の日本の空気や、食事シーンなどの人々の生活感、淡い恋のストーリーなんかはまさしくジブリテイストなので、安心して見られるとは思います(この作品を見る時はゲドのことは忘れてあげましょう…)。少女の成長という意味でも淡い恋という意味でも過去作(魔女宅・耳すま…)には遠く及ばないとは思いますが。ほとんどストーリーを放棄していたポニョやボリューム過小のアリエッティよりは楽しめたかと。すでに指摘されていますが、登場人物の名前(あだ名)に説明がないのがちょっと不親切。あと鈴木Pのこだわりだと思いますが、話題作りとはいえ俳優を声優に使うのはやはり感心しません。今作の俳優さんは極端に下手な人がいなかったのは幸いでしたが、やはり地の声というか俳優の素の人物の声としか聞こえない場面もあり…特に「風間俊」役をジャニーズの岡田准一が演じ、その親友の水沼役を同じくジャニーズの「風間俊介」が演じているので、少々混乱しました(風間が風間に対して「おい風間!」ってどっちがどっちやら(笑))。 [映画館(邦画)] 6点(2011-12-05 00:22:24) |
84. ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON
《ネタバレ》 普通にまあまあ面白いとは思いますが、三谷映画としては今までの5本の中では一番満足できませんでした。細かな笑いは多いのですが、全体的なストーリーが平板で、ご都合主義的な展開があり、ラヂオの時間やザ・マジックアワーのような終盤のカタルシスも少なかったと思います。キャストは豪華で申し分ないのですが…。今回新たに三谷組として出演した役者さんの中では阿部寛が良かったですね。竹内結子はちょっと役不足(力不足じゃないですよ)な感も。とりあえず、監督が思いついたという「弁護士が幽霊に証言を依頼するシーン」から思いついたという言葉の通り、その場面がすべての映画という感じでした。 [映画館(邦画)] 5点(2011-12-05 00:02:18) |
85. ブーリン家の姉妹
《ネタバレ》 トマス・クロムウェルという政治家に興味があったので、彼にまつわるヘンリー8世とアン・ブーリンの映画ということで見に行きました。英国人が見たらどう思うか分かりませんが、そこそこ歴史をなぞっていて、オリジナル要素もあってバランスは取れていたと思います。ただ、結局のところドロドロの愛憎劇なので「だから何なんだ」という感想もあり得るかと。嫉妬に駆られたアンの行動にはちと理解しづらいものもあります。しかしまあ全体的にはそこそこまとまった映画ではないかと。お目当てのクロムウェルは…史実と逆転してジョージ・ブーリンの子分みたいな役で1シーン出てきただけ。残念(ま、これはブーリン家の物語だから仕方ない)。 [映画館(字幕)] 6点(2011-06-04 10:10:17) |
86. プリンセス トヨトミ
《ネタバレ》 原作未読です。何というか、設定がすべて、という感じのストーリーでしたね(予告篇を見るだけで作品全部味わってしまったような映画がたまにありますが)。見に行く前は「大阪国」ってどんな感じの国で、東京の日本政府とどう絡むんだろうなどと想像をふくらませていましたが、実体がほとんどない存在ということでちょっとがっかりでした。題名にもなっているプリンセス・トヨトミ自体があまり重要でない存在というのも(出番も思ったより少ない)肩すかしを食らった感じです。ゲーンズブール君の策謀も伏線がバレバレ(わざとなのかもしれませんが)でしたね。設定自体は良いと思うので、もう少し大阪国というものを掘り下げたストーリーにしてもらえたら良かったのになぁ。ちょっともったいない感じです。などと否定的なことばかり挙げてますが、つまらない映画ではないと思います。まあまあの6点。 [映画館(邦画)] 6点(2011-06-01 01:30:52) |
87. 手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく
《ネタバレ》 手塚作品は過去何度も珠玉の原作を変に今風にアレンジした凡作を見せられて映画館で落胆した経験(メトロポリス・どろろ・MWその他…)を持ちますが、今回は比較的原作に忠実なように思います(いや何も原作通りそのままやって欲しいとは露程も思ってないのですが、なかなか「アレンジした甲斐があった」作品に巡りあえないので)。ちょっと残酷的な表現なんかも今時の映画の割には避けていなくて好感を持てます。ただそんな中、一番目玉の改変であるチャプラとシッダルタの年齢を同じくらいに合わせた点は、あまり生きてないように感じました。というのもこの二人の物語、全く独立・同時並行に進行していてちっとも絡みがないからです(原作でも独立していますが、それは元々年齢がずれているからです)。そのため両者に関わる重要人物であるタッタとバンダカがそれぞれ片方にしか絡まず、ちょっともったいない気がしました。あと、物語上15年経って全員それなりに年を取っているのにタッタだけ少年のままなのが謎です。苦言としては声に俳優を使っていること。元々本職の声優を使わず俳優を使う映画はあまり感心しませんが、本作でもスッドーダナ王の観世清和さんの演技が聞いてられないくらい浮いていました。とはいえ、チャプラ(堺雅人)とお母さん(吉永小百合)が抱き合って死んでいくシーンなどは、分かっていながらもちょっと涙が出てしまいましたね…しかし3部作とのことですが、先が予想しづらい展開ですね。ダイバダッタやアナンダがどう登場するかが楽しみです。 [映画館(邦画)] 5点(2011-05-28 17:15:54) |
88. これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫
《ネタバレ》 原作のエッセイを昔読んだので見に行きましたが…何というか予想通り外していたという感じでした。やっぱり赤塚不二夫に浅野忠信はかなり無理なキャスト。また、全般的にギャグがことごとく上滑りしています。原作(実際)のおバカ編集者(誉め言葉です)の武居氏を女性にしたのは興業上仕方ないのかもしれませんが、やはりスナックでの飲みや編集部内での立ち位置に違和感がありまくりです。バカ騒ぎで飲んだくれているはずの男性役者さんも腫れ物に触るように扱っていて、堀北ファンである私も見ていて恥ずかしくなりました(昨年脚本を読んだ長谷邦夫氏(赤塚の元ブレーン)もブログでこれを演じられる女優はいないんじゃないかと心配していたようです)。また、全体として赤塚という天才(にしてバカ)の人間性を見せたかったのか、3人の女性を中心とする赤塚の周囲の人間模様を描きたかったのか、それとも全体をナンセンスでまとめ上げるギャグ映画にしたかったのか、どの方向性も中途半端で狙いがよく分かりませんでした。懐かしマンガが好きな向きにもそれほどおすすめできません。新漫画党はじめ他のマンガ家は一切登場せず、有名な天才バカボン移籍事件なども全く触れられることはありません(マガジン担当編集者は一応登場しますが)。 [映画館(邦画)] 3点(2011-04-30 23:09:03)(良:1票) |
89. 名探偵コナン 沈黙の15分
《ネタバレ》 まずこの時期(東日本大震災1月後)に「ダムの決壊」をテーマとするこの映画を公開した勇気(蛮勇?)に驚きました。水攻めシーンのために延期した「のぼうの城」のニュースもありましたし…。内容ですが、他の方と同様な感想で、ストーリー的にはかなり強引さと物足りなさが目立ちます。オープニングの地下鉄テロ事件も、あれほど大きな事件になったのに警視庁の面々は後半全く出てきませんね。コナン君のボードテクニックも超人すぎるし、そもそも雪崩ってあんな都合よく起きるかなぁ?あと蘭がらみのエピソードも浮いている感じでした。来年に期待… [映画館(邦画)] 4点(2011-04-30 22:48:49) |
90. 白夜行
《ネタバレ》 サスペンス映画の出来としてはまあまあのところかと思います。伏線も一応すべて回収されていますし。ただ謎解きはそれほど複雑でないので、ラストのカタルシスみたいなものは薄いです。不満と言えばメインキャストであるところの堀北・高良2人の出番があまりに少ないこと。子役の方が出番多いんじゃないかと思うくらいです。出番少ない上に2人とも感情を押し殺した静かな演技なため、むしろ主演は視聴者と同じ目線で動く船越英一郎のようにも思えました。二人のシーンが少ないのと、元が小説ということもあって、次々と登場しては消されていく二人の周囲の人間は、名前を覚える前にいなくなってしまう感じさえしました(名前は漢字表記が出てこなくて音だけだと覚えづらいです)。そんな感じで、堀北目当てのファン(実は私もですが)が見に行くと、ちょっと肩すかしを食うかも。 [映画館(邦画)] 6点(2011-02-04 08:12:32) |
91. 桜田門外ノ変
《ネタバレ》 うーん。この映画は何を伝えたかったんでしょうかね。テロリストを賛美している訳ではないのが救いですが、ドキュメンタリー風の桜田門外の変の再現の後は、ひたすら主人公関鉄之助の逃亡劇を延々と見せられるだけ。で、結局捕まっておしまい。正直、見終わった後に何も残らない映画でした。あまり水戸藩の人間ばかり出さずに、事件の全体像を説明できる薩摩や幕府の人間も出せばもう少し面白みも出たと思いますが。あと、史実に忠実たらんと努めている割には、人の呼び名とか所作の端々に当時の作法と違うものが細々あり、気になりました。 [映画館(邦画)] 4点(2010-12-21 22:27:53) |
92. インシテミル 7日間のデス・ゲーム
《ネタバレ》 原作未読(映画見た後に本屋で立ち読みしました)で見に行きましたが、そこそこ楽しめました。設定(ゲームのルール)がすべてという感じですね。あとは一人一人殺されていくという。ただせっかくの設定が後半あまり意味がなくなるのは残念。石原さとみの狂気な演技は良かったと思います。 [映画館(邦画)] 6点(2010-12-21 22:18:51) |
93. 最後の忠臣蔵
《ネタバレ》 端的に言うと失敗作だと思います。2004年NHKドラマ版(ジェームス三木脚本)の出来が良すぎただけに、どうしても較べてしまいます。ドラマ版では上川隆也演ずる寺坂吉右衛門が主人公で瀬尾孫左衛門(香川照之)が親友だったのを、映画版では逆に孫左衛門を主人公にして、さらに可音がらみのエピソードだけに絞り込んだのは時間の都合上仕方ないと思いますが、そのせいで寺坂と瀬尾の友情の描き方が不十分です。また可音の桜庭ななみというキャスティングは悪くなく、役所広司演ずる孫左との淡い恋情などはよく描かれているとは思いますが、前後の状況説明が足りないため最後の切腹の説得力が減じている気がしてなりません。せっかく寺坂に佐藤浩市という実力者を配したのに実にもったいない。やはりドラマ版のように寺坂を主役にした方が物語が理解しやすい気がしました。ただドラマ版を知らずに映画を見た人にとっては、「こういうものかな」と素直に受け取れるかもしれません。 [映画館(邦画)] 4点(2010-12-21 22:11:58)(良:1票) |
94. 借りぐらしのアリエッティ
《ネタバレ》 何と言ってもボリューム不足が最大の難点。素材的にはもったいないと思います。テーマ性も特にないが、トトロや千と千尋なみに何も考えずに楽しめるという訳でもない。見ていて「さあこれからどうなる?」と思った所で終了。感想に困る映画といったところです。 [映画館(邦画)] 5点(2010-12-21 21:56:34) |
95. 武士の家計簿
《ネタバレ》 うーん…いったい制作者はこの映画で何を観客に訴えたかったのでしょう。地味な公務員一家の数十年を延々と見せられた感じです。山場らしい山場もなく、無理矢理に親子相克っぽいシーンを入れてみたり。なぜ主人公が必要以上に息子に厳しかったのか、息子はなぜ父のことを許したのかもいまいち説明不足で推測するしかありません。元々がノンフィクションの新書原作なので映画化自体に無理があったような気もします。 [映画館(邦画)] 3点(2010-12-21 21:46:55) |
96. シュレック フォーエバー
《ネタバレ》 正直、前作の出来があまり良くなかったので、それほど期待しないで見に行きましたが、まあまあといったところ。パラレルワールドネタというのは、今までのシリーズに飽きた客に新設定で見せようとしてるようにも思えますが、話自体は盛り上がりもあり、いつものようなパロディあり、笑いありでそこそこ楽しめました。慣れない3Dメガネが気になって集中できなかった部分もありましたが…。これで完結ということで心残りはなしです。噂では長靴をはいた猫を主人公にスピンオフが作られるという話ですが… [映画館(吹替)] 7点(2010-12-21 21:42:35) |