1001. 大砂塵
《ネタバレ》 導入部で、街の面々が酒場になだれ込んでくる。ヒロインはあくまで2階の室内バルコニーから応答し、なかなか降りてこない。キッド一味が闖入してからもそれはそのまんま。この「引っ張り感」がたまらないのです。このシークエンスとその次の一幕という一夜の出来事だけで、30分以上使ってます。●中盤以降も、随所に心理戦の要素を盛り込んでいて(キッドの部下の行動分岐に顕著)、飽きさせません。難点は、エマがとにかく鬱陶しいことと、ラストの対決がいかにも中途半端なこと。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-04-18 02:04:53) |
1002. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 このシチュエーションからは、さぞかし主人公は最後の再会に向けて延々と艱難辛苦を体験し・・・みたいな光景を想像していたのですが、何と予想外に軽い(!)ノリで最後まで押し切ってしまう。主人公が生きていることは割と早々に把握されるし、通信も順調に回復するしね。で、孤独の苦闘系の作品はすでにいくつもありますし、これはこれでOKかと思っていたのですが、実はがくっときたのは最後の講義の場面。ここで一気に、それまで長期間宇宙にいた重みまで半減してしまって、普通のアドベンチャードラマっぽくなってしまいました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-02-26 00:57:23) |
1003. ロック・スター
《ネタバレ》 ストーリーは定番中の定番、というかありがちを通り越してむしろ陳腐ですらあります。主人公の彼女の下積み時代の共働が描かれてないので、スターになった後のギャップも出ない、とか、主人公のスター生活に対する疑念がどこから出たのか不明、とか、突っ込みどころはいろいろあります。しかし、この作品の価値を保っているのは、肝心のライブシーンを、照明や客入れや大道具も含めてきっちり撮りきっていることです(大ステージはもちろんだが、一方でクラブ演奏の方もこの辺の手抜きがない)。で、バンドメンバーがザック・ワイルドにジェフ・ピルソンにジェイソン・ボーナム!(え、ブラス・エリアスも出てた?)そりゃ、ちゃんとしたステージ映像になるってものです。いや、マーク・ウォールバーグ自体、ジャンルはまるで違うとはいえ元マーキー・マークだけあって、ステージ上の動きにもそつがありません。まあ、この辺は、映画というより、よくできたライブ・クリップを見ているような気もしますが、それでも、主人公の初ステージに向けて緊張が盛り上がるくだりなど、つい見入ってしまいます。それと、よくインタビューとかで言われる「音楽性の違い」が、実際はあんな下らない会話の積み重ねだということも分かって、ちょっと笑えます。 [DVD(字幕)] 6点(2018-02-18 00:31:32) |
1004. この首一万石
《ネタバレ》 のんびりした出足でほのぼの進んでいくのかと思ったら、本陣をどっちの藩が取るか、というしょうもない一点と、それをめぐるわずかなすれ違い(権三の到着時のずれ)からいきなりドラマが動き出す(とはいえ、この本陣問題、場面を変えれば今でもありそうだけど)。そこにいろいろ思惑が絡んで、怒濤のラストになだれ込んでいくのです(関西弁を操る相手方の人足頭領がいい味を出しています)。ただ、最後の槍の立ち回りはいらなかったかなあ、せっかくの心理の綾が消えてしまいました。むしろ、権三は結果として容赦なく消されるものの、そこに戻ってきた槍とか奉行とかが絡んでくる、というようにはできなかったのかな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-02-02 03:24:09) |
1005. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 全体的に登場人物の間が抜けているくだりが多く、苛々を感じないではなかったのですが、それでも最後まで緊張を切らず見せ続ける技はなかなかだったので、一応点は甘め。ところで森田に関しては、単調に連続殺人を行っていく場面よりも、最初の公園での煙草の会話の方がよほど怖い。そういうシーンをもっと見たかったのですが。あと、後半の展開は、「陰気ストーカー状態になった安藤が、ガチストーカーの森田とどこかで対峙し、オタクパワーで森田を破ってしまう」か、「実は一番の悪人はユカであって、森田が行ったと思われた犯行のいくつかはユカのものだった」のどちらかと勝手に想像していたのですが、まさかのそのまんまな展開でした。それと、佐津川愛美ちゃんは、いい感じの脱ぎっぷりで、岡田のドキドキ感に観客を同一化させることに成功しています。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-01-23 01:05:42) |
1006. ザ・タイガース 世界はボクらを待っている
《ネタバレ》 タイガースがコンサートをしていたら、あまりの盛り上がりが航行中の宇宙船を直撃、それによってアンドロメダ星の王女様が地球にやってきてしまいました、という衝撃的な出だし。もう、それが象徴しているとおりで、中身は何もないんですけど、例えばコンサートの出待ちや家まで押しかけるファン軍団なんてのは、実際もそうだったんだろうなあ、と興味深く見てしまう。クライマックスの武道館コンサートは、もしかしたら実際のライブ映像とのミックスなのかもしれないけど、それでもきちんと3階までお客さんが埋まって、大盛り上がりですからね。そして、「シーサイド・バウンド」のかけ合いが高まった結果、宇宙に連れ去られそうになったジュリーが取り戻されるという素晴らしい展開(しかもその中には、ジュリーがカメラ目線で「映画館の皆さんもご一緒に!」というちょっと怖いメタ展開も・・・)。なお、全体の選曲面では、まさに人気爆発時期の頃とあって、初期のヒット・シングル満載です。その中でも、メンバーが歌いながら歌詞の通りに花摘む娘軍団(←もちろん2番では白鳥に姿を変えている)との群舞を披露する「花の首飾り」は、必見です。 [DVD(邦画)] 6点(2018-01-04 22:51:55) |
1007. ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム
GSはヒット曲自動生産のアイドルグループと捉えられがちなのですが、実は当時のブリティッシュ/アメリカン直系のバリバリのロックをやりたかった(そしてそれも可能だった)メンバーもたくさんいたことは、今ではよく知られています。その意味で、こうしてきちんとドキュメントを残すことは、実に貴重、そして有意義です(ほかのバンドについてもやってほしい)。まあ、前半のインタビュー集は、コメントをそのまま並べただけで、構成や編集などはあまり考えられてないし、後半の再結成ライブも、ややユルい感じではありますが・・・。もっとも、リーダーのデイヴ平尾はもちろんのこと、アイ高野や柳ジョージ、そして清志郎にヒロミツにジョー山中にかまやつ先生と、今では新たに映像を撮ることができなくなってしまった人も次々に出てくるので、この作品自体が、よくこのタイミングで作ってくれた、という意味においてさらに貴重。 [DVD(邦画)] 6点(2017-12-30 02:31:41) |
1008. ザ・タイガース 華やかなる招待
もちろん演技力とか完成度は最初から期待していないわけなのですが、あのタイガースの5人が、歌や演奏以外で5人揃って動いている光景を見るだけで、それは貴重な歴史的資料ないし資産であるといえるのです。(それにしても、このときのサリー(岸部一徳)の演技を見て、誰が現在の名俳優の姿を想像しただろう・・・)挿入曲では、時期が時期だけに、超名盤「ヒューマン・ルネッサンス」からの選曲が中心なのが嬉しい。とりわけ、「リラの祭り」をあんな大事なところで使ってくれるなんて、感涙です。 [DVD(邦画)] 6点(2017-12-29 02:39:15) |
1009. レッド・ファミリー
《ネタバレ》 設定からして、もう面白くなることが推定できる作品。脚本にも、ぐいぐい引っ張っていく勢いがある。最後はちょっと唐突な気がしましたが、あれはよく考えると、2家族合同食事の場面のやりとりとつながっているんですね。●ただし、導入部に見られた、外向きの仲良し家族と中での工作員生活のギャップという部分は、もう少しウェイトを置いてほしかったかも。この前フリがあってこそ、後の迷走や破綻といった部分が生きるからです。●あと、照明やセットが安っぽいのが気になりました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-12-18 03:40:46) |
1010. 命ある限り(2012)
《ネタバレ》 とりあえず、何だかんだあって主人公2人がきちんと恋に落ちるまでですでに1時間超え(笑)。しかもそれはほんの前振りにすぎず、そこからさらに本体ドラマが待ち構えている。この奔放さというか空気読まなさは、正しくインド映画です。しかもそこでは、「心の旅路」や「ことの終わり」を彷彿とさせるような(!)、脇目も振らない一直線の「メロドラマ」が展開されるのです。登場人物の個性という点ではかなり薄味ですが、このブレのなさが良いではありませんか。ただし、肝心の女優2人が、アンディ・マクダウェルとキャメロン・ディアスに似ているのは、見ている間中気になりました。 [DVD(字幕)] 6点(2017-12-11 01:36:57) |
1011. 襲われた幌馬車
《ネタバレ》 冒頭、主人公が復讐の最後に失敗して敵の手に落ちるところまでは、まあ1つの定石。そこで何やら移動中の集団と合流してドラマが始まるんだけど、やたらと身なりが清潔で小綺麗だし、みんな宗教熱心で礼儀正しいし、なぜか美女が3人もいる。というわけでそこからは、随所で予想を外してくる展開が待ち構えているのです。泳ぎから帰ってきた後のシークエンスもインパクト大ですし、忘れた頃に出てきて絡んでくる軍隊の存在も面白い。ただ、いろいろ片付いた後の裁判がどうのこうのというところは、やはり余計だったかな・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-03 22:14:23) |
1012. ボーダーライン(2015)
《ネタバレ》 描写を抑えることによってかえってその底から滲み出てくる恐怖と緊迫感を感じさせるセンスとバランスは、この監督ならでは。ただし、終盤はデルトロの復讐譚一直線みたいになってしまっていて、もっとヴィルヌーヴ独特の人間の業の深さとかどろどろした情感の部分を見たかった。あと、設定から何となく「ゼロ・ダーク・サーティ」と比較してしまいますが、ヒロインのダメージ食らいぶりとそれでも立ち向かう芯の強さみたいなものは、あっちのジェシカ・チャスティンの方が上ですね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-11-29 01:20:16) |
1013. 9-ナイン(2007)
《ネタバレ》 導入部の謎は実に魅力的。パート2に突入するに至ってさらに魅力的。これは一体どう整合させて着地するんだろう、と逆に不安になっていたら、まさかのそっちの方向性でのまとめ方で、それはそれでまあつじつまは合うんだけど、伏線の張り方と引き方は若干雑だったかな。ただこれって、全体としては、主人公=まさに映画を作っている自分たち(監督・脚本家)のメタファーだったんでしょうか。ということはこのラストは、逆に見ている側が作品の中に引きずり込まれてしまいました、という着地なんですね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-12 01:44:58) |
1014. 宇宙人の解剖
《ネタバレ》 この映画の中身自体がそもそもぜーんぶ創作だった、とかだったら面白いなと思いながら見ていたのですが、さすがにベースの話はあったんですね。撮影に集合する友人連中とか、巧いタイミングで再登場するカメラマンとか、脇役の堅実ぶりによって作品が水準を保っています。一方、主役2人はちょっと単調な感じで、特にゲイリーの方はもう少し受けとか変化を見せてほしいところでした。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-06 01:23:53) |
1015. マイヤーリング<TVM>
《ネタバレ》 導入部はちょっとごちゃごちゃしていますが、ヘップバーンが令嬢役で登場すると、やはり途端に引き締まります。そしてその後はど直球のラブロマンス一直線。さらにラストに向けても一直線。この迷いのなさは嫌いではありません。ところでこれって実話ベースだったんですね。期せずして歴史の勉強にもなりました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-26 00:23:12) |
1016. フレンチアルプスで起きたこと
《ネタバレ》 そりゃ、こんなネチネチした底意地の悪い奥さんだったら、かりにあの雪崩の一件がなかったとしても、いつか夫婦関係は崩壊したでしょう、と思ってしまいます。なので、せっかくの設定と内容が絡んでいないのです。もっとも、最後はすべてが吹っ切れた大泣き一発で何となく解決してしまう、というのは痛快でした。それと、定点長回しを多用したカメラが印象的でした。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-20 02:09:40) |
1017. ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間
《ネタバレ》 時折映る客席は、みんな「おとなしく座っている」。暴れている客とか、泥酔している客は、とりあえず見当たらない。一方で、これだけの人数であれば、ごく一部を除いて、ステージは見えないどころか、音が聞こえもしなかったのではないだろうか。察するに、参加者にとっては、ミュージシャンは半分はどうでもよくて、「これだけ仲間がいる」ということがすでに何物にも代えがたいほど心地よかったのではないでしょうか。自分のごく周辺以外の人たちが何をしているのかは、まったく分からなかった時代です。●登場ミュージシャンの私にとってのメインは、ジェファーソン・エアプレインとスライ&ザ・ファミリー・ストーンであり、収録時間もまあまあ長かったので満足。ザ・バンドとかBS&Tも収録されれば、なお良かったのですが。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-10-17 02:15:22) |
1018. ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男
《ネタバレ》 こんな生々しい話の監督がラッセ・ハルストレムだというのにまず驚き。しかし、やっぱりこういう方向の作品はあまり得意でなかったようで、俳優陣との息もどうも今ひとつ合っていない。奥さんとか女性関係がどうのこうのというのも、あまり機能していないし、おそらくは原作にそう書かれていたから入れたんだろうというところも見えてしまう。まあ、元ネタがもともと出発点だけでも十分スリリングな内容なので、そのアドバンテージだけで得はしています。しかし、この主人公はもともと巨大なでっち上げ話を迫真的に作り上げていたわけで、この「自伝」そのものも実はでっち上げとかだったら、それはそれで面白いのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-03 02:12:40) |
1019. 必殺4 恨みはらします
《ネタバレ》 いきなり血しぶきのオープニング、天草四郎か蟇田素藤かという右京亮軍団のいでたち、これでもかというくらい登場人物を詰め込む展開なんかは、まさに深作印全開なのです。したがって、本来の必殺との違いなどはあまり気にしないのですが、それでも、仕事の対象になってない警備侍チームを攻撃してしまうのはまずいでしょ。そもそも、警備に気づかれて乱入される時点でダメであって、仕事人はやっぱり、誰も気づかない間にひっそり闇に潜んでやってくれるのでなければ。●ところで、かつての因縁話に出てくるあのお菊さんって、あの小林ひとみさんですよね? [DVD(邦画)] 6点(2017-09-17 01:20:47) |
1020. 必殺!Ⅲ 裏か表か
《ネタバレ》 このシリーズの中ではマシな方。しかし、当時レギュラーの政と竜に加え、助っ人の壱と参、さらには秀まで引っ張り出しての豪華顔合わせを実現していながら、全然使いこなされていない。というか、前半は仕事人連中がほとんど出てきません。浮気発覚の主水をせんとりつがかばうシーンは想定外のヒットでしたが、その後のお経で台無し、しかもその後のフォローなし。最後の討ち入りは、「チャンバラ映画として」は一流ですが、これってすでに仕事人じゃないでしょ。 [DVD(邦画)] 6点(2017-09-09 01:55:12) |