1001. ソーシャル・ネットワーク
まったく予想外にネガティブな話でしたが、十分に堪能できました。こういうひねくれたサクセスストーリーがメジャーレーベルで作られ、しかもヒットすることに、アメリカ映画界の奥深さを感じます。時系列がグチャグチャなのも、退屈な法廷劇になることを避けるためだったのでしょう。 本筋とはあまり関係ありませんが、特にラリー・サマーズ(学長)のシーンが好き。風貌もそっくりだし、つけ上がった若者をいかにもインテリ風にたしなめる姿もカッコいい。まさに「大人」という感じです。まさかこの1~2年後に解任されるとは、本人も思っていなかったでしょう。 それともう1つ、さすがコロムビア映画だけあって、主人公その他が使うPCはいずれも「VAIO」。しかし終盤、机に叩きつけられるPCだけはしっかり「MacBook」。これも「大人」という感じです。 [インターネット(字幕)] 9点(2014-12-07 23:28:29)(良:1票) |
1002. ハンター(2011)
W・デフォーの芸域の広さにはいつも惚れ惚れします。コメディでもサスペンスでも、極悪人でもエリート検事でも、奇人変人でもストイックな聖人でも、違和感なくピタリとハマるところがすごい。この作品もいい感じ。銃を構える姿は、やっぱりサマになってます。ストーリーも演出も地味で抑揚がないけれど。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-12-01 02:15:45) |
1003. 新幹線大爆破(1975)
《ネタバレ》 長さを感じさせない、比較的よくできたサスペンスだと思います。しかし、どうしても解せない謎が2つ。1つは、車内清掃員がいつ、どうやって新幹線車両の下に潜り込んで爆弾をセットしたのか。事実上不可能だと思うのですが。私は、新幹線には爆弾を仕掛けていないんじゃないかとずっと思っていました。夕張のSLを爆破して見せることで、恐喝の材料としては十分だろうと。それに主犯が高倉健である以上、無実の人を皆殺しの危険に晒すことはないだろと。 もう1つの謎は、まさに主犯が高倉健であること。いろいろ回想シーンを盛り込んでいますが、結局犯人グループに同情の余地はありません。「会社を潰してカネに困って奥さんに逃げられた腹いせに」というだけの話です。高倉健が演じる以上、「やむにやまれぬ事情があった」という筋立てを期待したのですが、すっかり裏切られた気分です。 それならそれで、もっと悪役向きの役者が演じたほうが良かった。例えば同じ“恐喝もの”として有名な「天国と地獄」の山崎努が犯人役なら、もっとハラハラドキドキのサスペンス映画に仕上がっていたのではないでしょうか。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-11-28 21:34:31) |
1004. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 ブレブレのカメラのせいで臨場感はありましたが、ストーリーは平板な感じ。いくつかのエピソードが無機的に並んでいる印象です。“敵”の様子がほとんど描かれないのはまだいいとしても、主人公の心の内や素性も描かれていません。なぜ、あれほど超人的なクソ度胸を身につけているのか。それが使命感なのか病気なのか趣味なのか。一方でふつうに家庭を持ち、ふつうに人としての喜怒哀楽も持っているようなので、余計に不思議に見えます。というわけで、何かオチがあるようでない、かといって 「to be continue」と言われてもあまり見る気がしない、徒労感の残る作品です。 [インターネット(字幕)] 5点(2014-11-27 04:25:38) |
1005. ジャッカルの日
《ネタバレ》 「ド・ゴール」という実名が登場する時点で、結末は見えています。焦点は「いかに失敗するか」。けっこういい線行ってたんだけど、やはり多勢に無勢、官憲には叶わないということで。それでもミッションを貫こうとする主人公は立派。どんな業界でも、「プロフェッショナル」の世界は厳しいということですね。スガシカオのナンチャラとかいう曲がよく似合いそうです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-21 12:49:11) |
1006. カンパニー・メン
《ネタバレ》 ドラスティックなリストラはいかにも米国という感じですが、クビになる者の境遇はいずこも同じなんですね。特に盛り上がる場面があるわけではありませんが、けっこう見入ってしまいました。それにしても、これから米国で造船業を立ち上げるっていうのはかなり無理筋だと思いますけど。 何気に豪華な役者陣の中では、マリア・ベロがいい感じ。会社も個人も苦労している中で、この人だけは今後もひょうひょうと立ち回ることができそう。美人でエロくて賢くてしたたかで、他に何が必要でしょうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2014-11-01 16:13:05) |
1007. ア・フュー・グッドメン
なんだか90年代のトレンディドラマを見ている感じ(トレンディドラマがこの映画を真似たのか?)。けっこう重いテーマのはずなのに、どこまでも軽くトム・クルーズ推し。最初はチャラく登場し、適度な試練を与えて絶叫させ、最後に晴れ舞台を用意するあたりは、まさにトレンディの“王道”です。肝心の法廷劇も、理詰めの検証をすっ飛ばして敵失(舌禍)待ちの様相。どこまでもチャラいです。若き日のJ.バウワーとカーター先生を見れたので、よしとしますか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-10-04 13:27:22) |
1008. クラッシュ(2004)
一見バラバラなエピソードが、すべて有機的に結びついていく様が見事。現実にはあり得ないでしょうが、ものすごくリアリティがありました。ちょっとほっこりさせつつ、「でも結局、何も変わらないんだろうなあ」という余韻を残す終わり方もいい感じ。そして何より、登場人物たちの葛藤や多面性を真摯に描いている点がいい。すぐに完全無欠の「カリスマ○○」「天才○○」が登場し、万事解決してしまう日本の映画やドラマとは、えらい違いです。 余談ながら、“主役”のサンドラ・ブロックは、よくぞこんな“端役”を引き受けたものです。当時、暇だったんでしょうか。 [インターネット(字幕)] 9点(2014-09-27 18:06:31) |
1009. ディパーテッド
一歩踏み外せば即抹殺というぐらい、神経をすり減らすようなシチュエーションのはずですが、その緊張感が今ひとつ。お互い、本当のボスと頻繁に電話やメールでやりとりしたり、屋外で堂々と会ったり。すぐ足がつきそうなものですが、そこを簡単にスルーしているので、ご都合主義的なユルさが漂います。 それに、ヒロインも今ひとつ。顔も中身も、現代のハリウッドを代表する2大スターから愛されるほどの女性にはとても見えません。2大スターにギャラを注ぎ込みすぎて、安く上げたんでしょうか。シナリオは緩くても、せめてここは妥協してほしくなかったかなと。 [DVD(字幕)] 5点(2014-09-14 00:10:01) |
1010. スワロウテイル
音楽はすばらしい。挿入歌もBGMもいい感じです。それに英語・中国語・日本語のチャンポンも、いい雰囲気を作っていました。 しかしストーリーは、部屋いっぱいにオモチャを散らかした印象。妙に多い出演者の1人当たり出演時間は短めなので、あまり感情移入もできず。特に友情出演的な有名女優さんたちは、いずれも“取って付けた感”があって浮きまくっていました。こんなことをされると、映像が一気に安っぽく見えるだけなんですけど。 そしてもう1つ。90年代のごく普通の東京の街と、「円都」と称するエキゾチックな貧民街と、「あおぞら」のある荒野が比較的至近距離に立地しているとは、当方な貧困な頭ではとてもイメージできませんでした。三上博史の熱演は良かったけどね。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-09-09 23:40:06) |
1011. 出所祝い
いかにも予定調和な時代劇ながら、仲代達矢の圧倒的な存在感がいい。登場するだけで、画面が引き締まる感じがします。これこそ映画スターというものでしょう。ただこの作品、タイトルで損している気がします。たしかに内容を表してはいますが、なかなか一般に馴染みがないし、興味もそそられません。凄惨な斬り合いの場面で流れるコメディタッチのBGMも妙ですが、こちらはいい感じ。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-08-23 23:24:48) |
1012. バンク・ジョブ
佳作だと思います。迷宮入りした(無理やり闇に葬った?)true storyを、よくぞここまで膨らませたという感じ。いかにもサスペンスなハラハラ感もいいのですが、個人的には胡散臭い反体制運動家の描き方が良かった。現実の運動家も、きっとあんなもんでしょう。一般に知られていない、いろんな“裏”がありそうですね。 そういえば、最近は銀行強盗が皆無になりました。代わりに襲われるのは、コンビニや牛丼屋。どちらも犯罪には違いありませんが、後者のほうが卑怯な感じがします。この作品のようなピカレスク・ヒーローものの素材には、けっしてなり得ないでしょう。 [インターネット(字幕)] 8点(2014-08-20 03:43:46) |
1013. 運命じゃない人
いったいどうやって構想を練ったんだろう、という興味は湧きました。小説のように文章で書き進めたというより、パズルをつくるような感覚でしょうか。見ている側としては、手品とそのネタバレ映像のような感じで楽しめました。しかし哀しいかな、そうであるが故に一度見れば十分で、後には何も残りません。 [インターネット(字幕)] 6点(2014-08-16 21:12:23)(良:3票) |
1014. シティ・オブ・ゴッド
全編にわたって衝撃的な作品ですが、とりわけ印象的なのがオーラスの子どもたちの会話。それぞれ銃を持ち、軽い調子で「○○を殺そう」などと言い合う中で、「この中で字を書けるヤツは?」「俺だ」「ウソつけ」なんていうやりとりもありました。これが、「神の街」の現状を象徴しているのでしょう。こういうセリフを最後に持ってくる脚本の力に、感服せざるを得ません。 [インターネット(字幕)] 9点(2014-08-08 02:51:06) |
1015. 新しい人生のはじめかた
概して米欧の映画やドラマは、「孤独」の描き方が上手いですね。きっとサンプルが豊富なのでしょう。この映画もその1つ。冒頭から30分ぐらいまで、「わかるなぁ」と激しく共感しつつ見ていました。その後の恋愛譚は、当方にとってどうでもいい感じ。鬱陶しいカラミおやじも、ホフマンなら許されるってことですかね。もともとリチャード・シフ目当てで見たのですが、彼が端役だったことも残念。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-03 02:30:56) |
1016. ザ・バンク -堕ちた巨像-
《ネタバレ》 見どころはラストのワンシーンに尽きます。2時間かけて世界を飛び回り、仲間や容疑者を殺され、やっと核心に迫ったと思ったところであっさり水泡に帰す。これほど徒労感のある映画も珍しいと思います。しかし、それがリアルでクールでいい感じ。もしかしたら、どこかのメガバンクがスポンサーにでもなっているんじゃないでしょうか。「追求してもムダだよ」と知らしめるために。 [地上波(字幕)] 7点(2014-07-31 21:42:05) |
1017. 切腹
すばらしいの一語に尽きます。巧妙なストーリー展開もさることながら、とにかく刀ではなく言葉の鍔迫り合いが見事。アクションはほとんどないのに、ずっと緊張感が持続していました。力のある脚本とはこういうものかと、ただただ感服するばかりです。終盤のチャンバラシーンだけ「暴れん坊将軍」のように派手でしたが、これはサービスの一環なのでしょう。 特に印象的なのは、一番最後の三國による冷徹な“後始末”。50年前に作られた、400年前を舞台にした作品であることを一瞬忘れるほど、ものすごいリアリティを感じました。今日のあらゆる組織においても、大なり小なり似たような処理は行われているでしょうから。 [インターネット(字幕)] 10点(2014-07-28 03:18:20) |
1018. スウィート・ノベンバー
最初は「ミザリー」のコメディ版かと思って見ていましたが、単なるベタな恋愛モノだったんですね。観客に「切なさ」を味わわせてやろうという意図が見え隠れ。日本の安ドラマでも年に何本かはありそうです。C・セロンは大好きな女優さんですが、正しい日本語の意味での「役不足」だったように思います。もっとバカッぽい女優や新人でも十分だったかと。余談ですが、「リチャード・フィッシュ」を久しぶりに見ました。がんばってましたね。 [地上波(字幕)] 5点(2014-07-25 02:09:15) |
1019. 闇金ウシジマくん
原作は未読、ドラマも未見。そのせいか、意味不明のキャラも何人か。しかしそれを差し引いても、そこそこ面白かった。ゴルゴ的鉄仮面の主人公にリアリティはありませんが、広くて薄い人脈を誇示したがるチャラい若者は実在しそう。その顛末を見るだけでも、楽しめました。 それにしても、「トゴ(10日で5割)」ってのがすごい。出資者にとっては上得意様でしょう。「トイチ」の萬田金融で借りて出資しても、ごっそり利鞘を稼げますね。 [地上波(邦画)] 7点(2014-07-20 02:48:47) |
1020. サブウェイ
イザベル・アジャーニの絶品の美しさ。最大の見どころはこれでしょう。ストーリーを真面目に追うとイラッとします。でも、こういう地下生活も楽しそうですね。日本でいえば渋谷・新宿あたりはヤンキーに占拠されそうなので、大手町あたりが快適でしょうか。ドロップアウトした元エリートサラリーマンとかがゴロゴロいそうです。 [地上波(字幕)] 7点(2014-06-25 01:25:46) |