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コメント数 2534
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自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1021.  鉄道員(1956) 《ネタバレ》 
また私事から始まりますが、2ヶ月ちょっと前に父を亡くし、9日前に愛猫を亡くし、家に一人ぼっちになりました。思えば母を亡くした29年前、それよりもう少し前から家族はどんどんと変容し、壊れ、そして今に至ってとうとうここまで来てしまったんだなぁ、って。そんな私の目に、この映画は大変ツラいです。時の流れの中に入り込んだ様々な要素が家族を翻弄し、形骸化されたものすらも維持できなくなってしまう。それらは、本当は家族一人一人が少し互いを気にかけていれば済む事だけれど、それができない、同じ空間で顔を突き合わせながら距離を置き、隔たってゆく、それが実体験にシンクロして大変リアルに響いてきました。この映画の父親には最後に救済が与えられた上で終わりがやってきます。だけど、この家族にはもう決してそれまでと同じ日常が幸せに続いてはゆきはしないと。この時代のイタリア映画には何か言い様のない芸術の血が流れているみたいで、その淀みない語り口はガッチリと心を捉えて離しません。映画に教えられる事、取り戻す事はできないけれど気付かされる事。時としてそれは思った以上に大切なものなのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2010-04-19 13:17:41)(良:1票)
1022.  のだめカンタービレ最終楽章 後編 《ネタバレ》 
ダレダレ。いくらファンでもここまでダレてるとシンドいです。テレビスペシャル同様、千秋を主役にすると面白いのに、のだめを主役にするとモヤモヤしてダレるという。もっとも、元々原作からしてそうなので、映画化に際してはよっぽど実力がなきゃ、そうなるのは目に見えていたワケで。原作でも千秋の物語とのだめの物語とが上手く絡んでドラマを生み出していたとは言い難く(のだめって存在、持て余したでしょ?みたいな)、そこを上手くまとめられればと思ったのですが、映像化する人々にウデが無かった、むしろ更にダメにした、みたいな。多用されるスローモーションとテレビドラマ版から流用した回想シーンとがウザいです。この映画でちゃんと語れよ、っていう。更に原作に付け加えたラストシーンなんか、無粋なシーン&セリフ続出で全部いらない、切っちゃえよ、ってシロモノで。なんで音楽で語られてゆくハズの物語に、ここまで説明的な映像とセリフを入れなければならなかったのかと。あれらの音楽1つ1つに役割があるって事が最後に及んで判ってなかったのか?と。結局、観客はバカだから、ってドラマ屋の姿勢が表れてしまったんじゃないかなぁ。パラパラと芯のない、ファン祭りみたいな映画。ファンとしてならばなんとか見られる、って点数。
[映画館(邦画)] 5点(2010-04-17 20:06:13)(良:1票)
1023.  第9地区 《ネタバレ》 
アパルトヘイトのみでなく、第二次大戦下のゲットーやベトナム戦争を思わせるような映像で、マジメに差別問題に向き合っているようにも見えますが、これ、基本的には現代を舞台にしたSF設定でマカロニウエスタンをやりたいってボンクラ映画ですよねぇ。実はそんなに裏とか奥行きとかがある映画ではなくって。今の時代にこういうのをやろうとしたら、徹底的に多面的で今日的な描写で埋めてゆく事で大嘘にリアリティが生まれるって感じで計算されていて、全く飽きさせません(後半、アクション映画に突っ走り過ぎた感はありますが)。超辛口『アバター』って感じですけど、アレと同じような気持ちで見に行くとそのグロい描写続出に痛いメに遭います。初日の六本木、途中退場者が二桁に上りました。私もこの映画のグロ趣味は好きではありません。あれ、リアリズムとかではなくて単に好きでやってると思いますし、そういう趣味は私にはないですし。あれこれ理屈をこねくりまわして難しく考えるよりも、ワリと単純に楽しんでこその映画って気がします。つーか、宇宙人出てきてロボット出てきて人体バラバラ!みたいな映画でマジメに差別問題を考えるのってよーく考えたらヘンだと思いません? 『モンティパイソン』や『サウスパーク』程度のモンと捉えるのが吉。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-17 19:47:06)
1024.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 
※ネタバレです。鑑賞後にお読み下さい※ 最初に日本側で付けた「先入観で見ると云々」「ラストの衝撃を人に話さないで下さい」のせいで、めちゃくちゃ先入観モードに突入してしまい、最初の3分ほどで早々と「これってつまり、~~~って事なんじゃない?」って結論に達してしまい、それは10分も経たないうちに確信に変わり、あとの2時間、ひたすら耐えるモードになってしまい。逆効果ですよ、あれ。でも映画は1時間もすればみんながみんな「そういう事なんでしょ」って思えるような状態で。で、そのオチを前提に見て楽しめるのか、って言うとねぇ。結果的に謎として配置されたものがちっとも謎として機能しておらず、ドラマがきっちり語られるのはラスト10分ほど。その10分のために耐える映画で、そしてその10分も決して気持ちのいいものではなく。スコセッシ&ディカプリオでなければ途中で投げ出したくなるような映画。というか、これ、スコセッシが撮るべきレベルのものなのかなぁ? 創造された世界とディカプリオの熱演とで辛うじて退屈はしないで済む、って状態になってはいるんですが。人の記憶ってものの重さを描くのに、謎になってない謎がジャマをし過ぎ。それにしても戸棚~、「モンスター」に「ゾンビ」って訳付けるなよなー。その言葉がスタンダードになったのは70年代だっての。余計な推理しちゃったじゃないか。なんつーか、日本側で足を引っ張ってます、この映画。
[映画館(字幕)] 5点(2010-04-09 13:20:35)
1025.  ソラニン 《ネタバレ》 
映画に行くたびに『ソラニン』の予告編見て泣くのもいい加減にしましょう、という感じでしたが、本編見てこれでケリ付けられました。若い頃の将来に対する大きな不安と儚い希望、そんな等身大の物語を繊細なタッチで描いた名作でした。信じれば夢はかなう!みたいな過大に夢を見させる甘ちゃんな映画なのかな?とも思っていたのですが、無限の可能性を信じていたハズが、気が付けば未来への道はどんどん狭いものになっていってしまう、そこで戸惑い悩む姿がマジメに描かれています。普遍的で誰もが共感できる感覚でしょう(何ら根拠のない自信の下に平然と人を傷つけるようなタイプはともかく)。一方で現実感とファンタジーの狭間で描かれたようなタッチはコミック起源であるが故だとしても、サラリサラリと心地良い時間を運んでくれます。いや、むしろコミック起源である多くの邦画がそのタッチをポロポロと取りこぼしてしまっている中、これは美しく映画化できているな、と。彼女、彼らが紡ぎ出す「音」が結局のところ、最後までハッキリと完全なカタチでは聴こえてこないのがどうなの?という感じではあるのですが、その「音」が未完成であるがゆえに逆に見えない未来へと続く道を感じる事ができたかもしれません。青春映画としてとても真っ当な作品でした。
[映画館(邦画)] 9点(2010-04-03 15:30:07)(良:1票)
1026.  ニューヨーク、アイラブユー
オムニバス映画で、エピソードごとに出来不出来の差が結構あったりするのが難点ではあるものの、ニューヨークの街と、そこに住み暮らす人々の姿が多彩な形でコラージュされてゆく状態は心地良さを感じます。スタイルや雰囲気が優先で内容なんて実はそんなに重要じゃなかったりするのですが(一応、各エピソードが男と女という共通のテーマで貫かれてはいます)、それもありでしょう。また個人的なハナシをしますが、最近の私のシュミに「街と人」な写真を撮るというのがありまして、この映画のテーマにぴったりとシンクロして、ああ、なんだか感覚的に理解できるなぁ、という感じで。「街に生きる」んでなくて「街と生きる」っていう意識が何気ない日常を少し刺激的なものに変えてゆく、そんな事を考えながら軽く見られた映画でした。この映画で描かれたニューヨークはなかなかにステキでしたが、東京もステキな街ですよ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-04-01 20:01:35)
1027.  マイレージ、マイライフ 《ネタバレ》 
登場人物に生き方の多様性を語らせながら結局は一方的な価値観を押し付けてくる困ったちゃんな映画。最終的に自分は、この映画の主人公のようにしか生きられないのが判っているので、送り手側の無神経な悪意すら感じたりします。このまだ若い監督の作品は、前作『ジュノ』にしろこれにしろ、なんだか無邪気過ぎてちょっと腹立たしく感じます。自殺するって主張し、実行した人間に対するドラマとしてのフォローが殆どないあたりに(主人公も若い女の子もさっさと逃げて全く引っ張りもしやしません)、この監督の浅さが表れていて。細かすぎるカット割りのシーンと長いコミュニケーションのシーンとで対比される形式やカタチだけのモノに対する否定と人間同士の結びつきの大切さは、あまりに安直で「いやいや判っちゃいるけれど、青臭さ爆発してるお前に言われたくはないよ」とグチの1つも言いたくなる感じ。まあ、30代前半くらいまでなら有効な映画かもしれませんが。そして私もこれを笑って生暖かい目で見られるところまでは、まだ到達してない状況ではありますが。
[映画館(字幕)] 4点(2010-03-30 16:37:18)(良:2票)
1028.  NINE(2009) 《ネタバレ》 
フェリーニはもちろんですが、いちばんステキだった時代のイタリア映画とフランス映画の知識がしっかりあったらたっぷり楽しめる映画なんじゃないでしょうかねぇ。私は不勉強なものだからハンパに楽しめました、みたいな感じになってしまって。それでも絢爛たるミュージカルの世界を大スクリーンで堪能する悦びを存分に味わえました。中身なんてあってなきが如きモノですけど、ミュージカルなんてそれで正解だと思いますし。いやいや、亡き母の存在を引きずったまま女達を翻弄し、また翻弄されてゆくグイドのイタリア男っぷりも面白いのですけどね。だけど、六本木ヒルズの7番スクリーンを前側ブロックのど真ん中で、って状態で見ながら、これが35ミリなんかじゃなくて70ミリの湾曲スクリーンで、ドルビーデジタルのチャカチャカした音じゃなくて磁気式6チャンネルの音響で見られたら、もっともっとイイのにねぇ、ってすっかり私を懐古モードに突入させたこの映画は、今の映画の世界から失われてるモノを懐古しているような感じもして、映画も私もそれなりにトシを取ったよね、ってちょっぴり切なくもなるのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-23 15:45:08)
1029.  ダレン・シャン 《ネタバレ》 
このテの映画を楽しく見るのはもう無理なのかな。『トワイライト』からラブラブ要素抜いて『パーシー・ジャクソン』のプロットを混ぜたような映画。学校と言うか、特殊な人々のコミュニティを拠点とするのは『ハリー・ポッター』や『パーシー・ジャクソン』と同じですし。一方でこの作品世界の独自ルールがかなり特殊で、置いてゆかれまくり。「親友だ」とセリフで主張すれば、どういう繋がりで友情が成立しているのか全く見えてこなくても(その親友は見た目、およそ魅力に欠けた、ただの粗暴なガキであっても)それは親友であると理解せねばならず、その世界では最初からバンパイアは普通に実在するものと確定していて(バンパイア本に載っていたイラストの人物そのままだからって)、即バンパイアにしてくれと主張できてしまう、と。現実世界を舞台にしつつ、最初から遠い世界のファンタジーみたいなルールで押し通してくるのが無理矢理だなぁって感じました。役者さん達にも魅力が薄く(あの女のコ、「モンキーガール」としてはとっても相応しいけれど、ヒロインとしてはどうなんでしょう?)、辛うじてフリークスの面々にちょっと個性があったのが救いなくらい。最近の流行りなのか?ってくらいに頭切れたアップ多用しまくりで見づらく、第一話なんてのはこの程度です、って盛り上がらなさも手伝って、またしても二流ファンタジー映画の系譜に仲間が1本増えました、という感じで・・・。あ、メインタイトル部分の影絵風CGアニメだけは素晴らしかったでした。いっそ、あれだけで映画一本撮って欲しいわ。つーか、いくら平日とは言え、いつもなんでも混む六本木の初日初回で観客12人。大丈夫かダレン。頑張れダレン。ちゃんと続編作れるのかダレン。
[映画館(字幕)] 4点(2010-03-19 13:34:37)(良:2票)
1030.  時をかける少女(2010) 《ネタバレ》 
1974年っていうと、私が映画オタクになった年ですなぁ。この映画の中の映画オタクにはあんまりシンパシーを感じなかったけれど。さて、今回の『時かけ』。悪くはないのですが、『時かけ』のルールにぐるぐるに縛られた上、作る方もそのルールゆえの安易な物語作りでラクしてないか?と。原作と大林版とに依存して一本の作品として独立できていない上(芳山&深町の物語が大前提として存在していて)、物語は『時かけ』の縛り(時間旅行者に関わった全ての人間の記憶を消す)を反復するゆえに、過去の『時かけ』をなぞって『時かけ』ループの中に収まり、不幸がまた1セット追加されました、という状態。過去作に配慮して冒険してないんですよね。原作も過去の映画も壊さない、傷付けないための妥協の産物。アニメ版の方がよっぽど冒険してました。原作や大林版、アニメ版から逃げないで(あるいはそのお仲間にさせてねって姿勢でなく)もっと勝負に出て欲しかったですよ。あと、重箱の隅ですが涼太の部屋にあった映画のポスター関連、時代考証ミスが何点か。1974年2~3月時点で公開されてない映画があります。一方で仲里依紗主演の青春映画としては良くできていたと思います。豊かな表情をいっぱい捉えてましたし、チープな画づくりが気になったものの情感に溢れていましたし。なので『時かけ』としては落第、青春映画としては合格というところ。
[映画館(邦画)] 6点(2010-03-17 13:53:40)(良:2票)
1031.  噂のモーガン夫妻 《ネタバレ》 
「夫の浮気で離婚の危機に直面したニューヨーカーな夫婦が犯罪を目撃し、保護のために二人セットでワイオミングの片田舎に身を隠すハメになる」。夫がヒュー・グラント、妻がサラ・ジェシカ・パーカー。はい、頭の中に浮かんだ映画、もうそのまんまです。何から何まで見えちゃうの。お互いの秘書が出てきた瞬間、ああ、この二人も最後には・・・都会もんが田舎暮らしに最初は馴染めなくて、でも田舎の人達と接してゆくうちに・・・どうせクライマックスでサスペンス展開になって、そしてああなってこうなって・・・。そして、おそらくそれで正解なんでしょう。ヒュー・グラントのベタなラブコメディが見たいな、って人をそこそこ満足させて。それ以上でも以下でもなくて。もう少し突っ込んだドラマが見たい気もします。1+1=2って公式のようなセオリーで組み立てられた男女間の恋愛物語は、人生の先輩としての保安官夫婦の存在まで含めて、あまりに当たり前のようで、もっと特異な苦難と試練を与えちゃどうかね?とは思います。でも、勇敢に闘ったり愛に殉じたりするヒュー・グラントを見たがる人はいないでしょうしね。欠点と言えば、セカンドユニットが撮った風景映像以外はビスタサイズをシネスコに無理にトリミングしたみたいな、全編頭づまりの見づらい構図ばっかりだった事くらい。ビスタで撮ればいいのにね。ともあれ、ベタをベタとして割り切れば楽しめる映画でした。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-16 13:59:16)
1032.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
エロジジィですわ。オードリーが繊細な演技を見せるワケですよ、自分が書いた手紙を燃やすシーンとか、冷蔵庫の中でしおれた花を椅子の上にそっと置くシーンとか。でも、その繊細さがエロジジィに向けられていると思うとねぇ、どうもねぇ。つーか、エロジジィもせめて若いイイ男だったらまだいいんですが、下手したらお爺ちゃんと孫くらいの差に見えるワケで、ただの金持ちゆえにモテてるエロジジィにしか映らんワケです。映画は後半、物語がいきなりオードリーからエロジジィ側にシフトして、エロジジィ、妙に純なところを見せたりしますが、つーかお前ずっとエロジジィだったじゃん、ってツッコミ入れたくなるばかりで。オードリーはステキだし、お父さんやバンドの4人、寝取られ男のキャラもいいですが、それらの背後に常にエロジジィ。もうこれぞ名画!って感じのステキなラストシーンも行き着く先はエロジジィ。あの名曲も実はエロジジィが女を落とすための曲。あの曲のタイトルは私の中で今後「エロジジィ」に固定されますな。くるくると服装と髪型が変わってゆくオードリーがとってもステキな、だけど結局はエロジジィの映画でしたな。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-15 13:19:23)(笑:1票)
1033.  プリンセスと魔法のキス 《ネタバレ》 
一時期の迷走しまくったディズニーに比べたら、この映画は安心して見ていられる美しく楽しい定番ディズニーアニメの世界を提供してくれています。「カエルにキスしたら王子様になって二人は結婚して幸せになりました」っていう古典な物語の「じゃあ、なんで見ず知らずの王子といきなり結婚しちゃえるワケ?」って疑問を解きほぐすかのようにエピソードを重ねてゆく、二人が辿る苦難の道によって説明されてゆくのがいいです。脇に、はじめに王子様との結婚ありきなお金持ちのお嬢様を配する事で、更にテーマがクッキリと見えてきますし。しかも彼女を悪役にしていないあたりがまた良いのですよね。ただ、キャラクターデザインが少々ディズニーアニメとしてはツラい感じがなきにしもあらず。ヒロインにエクボなんだかシワなんだか、って線が入ったりするとねぇ。個人的には母と共にレストランを空想するミュージカルシーンでのモダンアート風のタッチで全編見たいと思いましたが、そういう冒険はディズニーじゃ無理なんでしょうね。あと、日本語吹き替え版で見たのですが、歌が微妙です。あの無理矢理元メロディに日本語をハメ込んだような不自然な感じ、ミュージカルシーンが多いがゆえにかなり不自然さがたっぷりって状態で。最近のディズニー作品によくある日本語版には日本語文字っていうのも、いつも味気ないブロック体でかえって興ざめしてしまったりしますし。字幕版で見ていたら、もう1点上がっていたかもしれません。カエルでもロマンスを語れます、って世界はステキでした。
[映画館(吹替)] 6点(2010-03-14 17:58:10)
1034.  シャーロック・ホームズ(2009) 《ネタバレ》 
「『ホームズ』ってなんで『ヤング』といい、犬アニメのヤツといい、これといい、映像化されるとアクションアドベンチャーになっちまうワケ?」と見る前はちょっと苦々しく思ってたのですが、見終わって「まあ、面白ければいいや」と。アドベンチャーワールドと化したロンドンを舞台に繰り広げられるミステリーアクション、既存のキャラをヒネる事で生まれる面白さも手伝って、ワクワクドキドキ楽しめました。イメージで動きを予告して、実際は超速!ってアクションや、凝った編集も楽しく、独特な雰囲気の音楽がこれまた良くて。ホームズはちょっとアイアンマンの社長とイメージがダブっちゃうし、筋の運びが雑だったり(捜査シーンがいちいちアクションやスペクタクルになってドーン!とオチ付けて終了、みたいな)、議員を全滅させたからって世界が変わったり、征服できたりするかぁ?みたいなツッコミどころはありますが、演出、美術デザイン、編集、音楽、特殊効果に独自の色を持っていて、魅力的な作品世界を創造する事に成功していたと思います。最後にあの名前が出て来るなんてのも定番ではありますが、やっぱり続編を期待しない訳にはいきませんね。ところで『ヤング』の方の続編も、ずーっと待ってるんですけど、マダ?
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-14 17:37:03)(良:1票)
1035.  ハート・ロッカー 《ネタバレ》 
「人様の食卓に勝手に上がりこんで、糞タレておきながら、てめえのケツを拭くのに苦労してやがる」ってのはあるんですけどさ、そこで思考停止してたら結局戦争を始める連中なんかと同じ視点でしかモノ見てないんじゃねーの?とも思うワケですよ。現場で動いてる人間ってのは、実のところ、国を背負ってたり、義務感を抱いてたりっていう、国家が生産したロボットっていうかクローンみたいなモンではなくってね、自分達と同じ次元に存在している人間なワケです。戦争に行くにも色んな事情を抱えていて。ハナっから好きで戦争に行くようなヤツぁ、そういなくてね、どんどん戦場に慣れて行ったり、どんどん戦場を嫌悪していったり、怪我したり死んだり。仲間同士での意思の疎通もままならない人間が個として責任背負って向き合うには限界があって、その個を呑み込んで政治があり、戦争があると。そのデカいケツを拭かなくちゃならないハメになるのは一体、誰の、何のせいなんだ?と。人としてプロフェッショナル魂と戦争の異常性との折り合いを付ける、あるいは付けられない人々のギリギリな状態を描いた力作だと思いました。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-11 14:40:09)(良:1票)
1036.  アイアンマン 《ネタバレ》 
アイアンマンのデザインがかっちょええですなぁ。細部まできっちりデザインされていて、細かなギミックが組み込まれてて。いらん贅肉パーツをゴテゴテ詰め込んだ、デザインもへったくれもないようなどっかのロボ映画とはエラい違いです。これがガキガキと動いて戦う様は、オモチャ心を刺激してとてもワクワクさせてくれます。だから、単純にそんなメカが悪い奴らをメタメタにやっつける物語だったらば良いのですが、戦争が云々、兵器が云々ってハナシになると、いやいや、そういう事を言い出すと色々と臭ってきちゃうし、矛盾も生じてきちゃうでしょ、と。戦争は悪いんだから、戦争するヤツなんて大量殺戮だ!みたいなね。だったら米軍の兵器も破壊しときましょうよ、って。それに本題は一企業内のゴタゴタ、権力闘争をボコりあいで行いました、ってスケール小さくなっちゃうし。社長のキャラは面白いですし、グウィネス(仕事選ばない)嬢はステキだし、だからこれでもっとシンプルに悪いヤツをがしがしと倒す物語だったら最高なんですけどねぇ。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-03-10 00:43:22)(良:3票)
1037.  パレード(2010) 《ネタバレ》 
「誰が犯人か」みたいなのは、ワリと最初の方で判り易い伏線が出てくるので、謎解きが重要ではなくて、だけど、実はそんな事はみんな気付いてる、ってところがポイントで。この映画で描かれる1つのコミュニティは、各々が「自分にとって都合のいい存在」である事が大前提で結びついています。相手の見えない部分、闇の部分は、だけど自分に対して害を成さない限りは無関係、どうでもいいと。共生関係にある様に見えながら、絶望的な断絶状態にある、個人主義が行き着いた先は、閉ざされた個と、形はどうであれ「繋がっている」実感から生まれる安心感。その繋がりが、たとえ脆弱なものであっても、偽りや打算が編み出したものであっても、それを「絆」と信じて生きるしかない、そしてそこに自覚がありながら決して変化を望まないところに、この映画の深い深い闇があります。一人一人をケーキのように切り分ける構成には疑問が残りましたが(登場人物が相互作用でラストに向かってドラマの流れを作り出さず、映画すらもあくまでバラバラと切れている状態)、現代に生きる人の心の闇を上手く滲み出させた映画でした。
[映画館(邦画)] 7点(2010-03-09 16:55:50)(良:1票)
1038.  ある日どこかで 《ネタバレ》 
クラシカルな音楽が素晴らしく、古き時代をソフトフォーカスで彩る映像と共にハマれば存分に酔える映画だと思います。が。「時をかけるストーカー男」話が結果的にどこまで感動作に転じてゆくのか、って期待したのですが、タイムトラベルものとしては穴だらけ(懐中時計、宿帳のサイン等の起源がどこにも存在しないという、無から無理に有が生じている話で)。物語的にもタイムトラベルが何らかの解決をもたらすのかと思ったら、なーんにもなしで、悲劇として終わっちゃう。彼女は彼に対してああいう結末を望んであえて会いに行ったの? それとも会いに行かなければならないのは時の必然だったの? うーむ。理屈っぽく考えないで、ひたすら雰囲気に酔う映画、ってところですかねぇ。その雰囲気は堪能できたのでまあ良しとしますか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-04 14:16:43)
1039.  パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 《ネタバレ》 
うーん、つまんないなぁ。『ハリー・ポッター』の監督が、っていうのをウリにしてますが、元々クリス・コロンバスって何か特別なモノを持ってる人じゃないと思うんですよね(彼の最も面白い映画って『ベビーシッター・アドベンチャー』じゃないかねぇ)。第一、このテの映画って監督のウデよりも題材や脚本こそが重要だったりすると思う訳ですが、アメリカしか見えてなさそうな神々がゴタゴタして、その子供達がアメリカ国内ピンポイントでバタバタする、って程度の物語に、一体どうやって映画的興奮を感じ取ればいいのやら。貧困な発想を元に、貧困な物語とビジュアルが構築されているばかりという感じ。視覚効果に面白味があればいいのですが、清掃員達がヒドラに変化するシーンでは、そのプロセスをすっ飛ばしてしまうという手抜きさ加減ですし、飛行シーンは吊ってます、って状態で。役者にしても、神の子達と言うにはみんなあまりにアメリカン。視野の狭いファンタジーという感じで、『ダンジョン&ドラゴン』とか『エラゴン』とかのお仲間な二流ファンタジーにカテゴライズされる映画でした。原作が好きならこれでも楽しめるんでしょうけれどねぇ。
[映画館(字幕)] 3点(2010-03-03 16:16:09)
1040.  しあわせの隠れ場所 《ネタバレ》 
出来過ぎなハナシではあります。マイケルを受け入れる一家の悪意なき善人っぷりときたら、見ているこちらの方がハラハラしてしまいます。まるで人を疑うという意識が欠落している人々のように見えて、危険な場所にいちいち飛び込んでしまうシーンにドキドキ。かと言って、上流の人々の常識知らずっぷりをシニカルに笑う映画って訳でもないんですよね。一方でマイケルにしても悪い事をするでもなく素直な性格で。しかもこれが実話だっていうのだから、アメリカ人って良くも悪くもおめでたいと言うかなんと言うか・・・。もっとも、そこにあえて色々な疑念を抱くよりは、素直に映画を受け止めてこそ吉ではあるのだろうと思います。本当は周囲に渦巻く偏見や悪意だってもっとキツいものだったでしょう。でも、あえてそこをサラリと流したあたりに、この映画の狙いがあるのでしょう。無償の愛を与え、また受け入れた先にこそ、夢や理想が花開く世界があると。そのピュアっぷりを消化して堪能してこそな映画(その分、ラスト近くの尋問から家出あたりのエピソードがジャマではあるのですが)。もっとも、最大の問題は、映画化が早過ぎるのではないの?という事。この映画の存在が、ここに描かれた実在する人々のこれからの人生を縛り付けやしないのかな? そんなの余計な心配?
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-01 17:34:58)(良:1票)
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