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1021.  危険な女たち 《ネタバレ》 
野村芳太郎監督の遺作となったアガサ・クリスティー原作のミステリー。遺作ということで何の期待もしてなかったにも関わらず全体的に二時間ドラマのような印象でドラマに深みがなく、また、ミステリーとしてもひねりが乏しく思った以上につまらなかった。ところでこのジャンルの映画で石坂浩二と小沢栄太郎が共演していると金田一耕助シリーズを思い出してしまう。実際石坂浩二演じる推理作家が事件の謎に迫ったり、犯人が解明された後の展開は金田一シリーズのパロディーのようにしか見えなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2007-09-18 15:16:07)
1022.  風速40米 《ネタバレ》 
台風災害を描いたパニック映画のようなタイトルだが、実際は小規模な建設会社に勤める父(宇野重吉)を騙して、会社を乗っ取ろうと企むライバルの大規模な建設会社の陰謀に立ち向かう息子の裕次郎の姿を描いた作品。全体的な出来はまあまあという感じだが、アクション映画としてはストーリーがかなりありがちであまり面白くない。タイトルになっている台風もクライマックスの乱闘シーンの背景としてとってつけたように登場するだけなので、なにか物足りなさが残る。裕次郎が劇中歌う「山から来た男」の歌詞が面白すぎ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2007-09-17 12:16:42)
1023.  ハワイの若大将
シリーズ第4作。今回から海外ロケがシリーズの一つの目玉になり、今回の舞台は常夏の島ハワイ。この前に見た「アルプスの若大将」では舞台が雪景色の中だったのでその対比が面白い。ハワイで青大将が世話になってる古屋老人の家の表札がいかにも日本的な表札(しかも、漢字で書いてる。)なのが笑える。レギュラーメンバーでは青大将のどじぶり(このシリーズをずっと見ていると田中邦衛のイメージ変わってしまいそうな気がする。)や田能久のメンバーとのやりとりなどがシリーズも見るの3本目になると安心して見ていられるようになった。(江口役がイデ隊員に代わってるのはそれだけにちょっと残念だけど。)なんかこのシリーズを全て見たくなったような気分だ。ちなみに本作公開当時の同時上映の映画は「マタンゴ」だったんだとか。うーん、同じ南の島が舞台でも受ける印象は全く逆というすごい二本立てだなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-16 15:39:10)
1024.  錆びたナイフ 《ネタバレ》 
裕次郎主演のアクション映画。たぶんそんなに面白くないだろうと思ってあまり期待してなかったが、そんなにつまらなくはなく、まあまあそこそこ面白かった。裕次郎のほかに小林旭と宍戸錠が出ているので、日活三大アクションスター豪華共演という感じがしなくもないが、まだ二人ともそんなに知られてなかったのか裕次郎の引き立て役に終わっているという感じ。杉浦直樹が毒饅頭食べて死んだり、黒幕の男が座頭市みたく仕込み杖を武器に使うあたりは現代劇なのに時代劇を思い浮かべてしまい、つい笑ってしまった。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-09-15 10:50:00)
1025.  道頓堀川
「泥の河」、「蛍川」と同じく宮本輝の「川三部作」の一編を映画化した深作欣二監督作。なのだが、いつもの深作監督の映画のようなパワフルな演出は鳴りを潜め、そのうえ、ドラマ的にもなんだか暗い印象で盛り上がりにも欠けるという深作監督らしからぬ映画に仕上がってしまっている。山崎努と佐藤浩市の親子関係、真田広之と松坂慶子の関係どちらに主観を置いていいのか分からないのが致命的。いくら本来の作風と違うとはいえ、「蒲田行進曲」の快作ぶりに比べると同じ監督による同じ年の映画とはとても思えない。
[DVD(邦画)] 4点(2007-09-11 03:13:44)
1026.  クレージー大作戦
今回のクレージーの面々はハナ肇が刑務所の看守を演じ、残るメンバーが囚人というドリフターズのコントでよくあるような設定。刑務所を脱走した植木等をはじめとする6人の囚人が植木が持ちかけた10億円強奪計画を実行するというのが大体のストーリーなので、はじめのほうは看守は囚人たちを追跡する立場の役どころかと一瞬、思ってしまったが、そこはクレージー映画。看守もいつの間にか計画に参加して指名手配されてるのが笑える。メンバー全員のホテルでの即興演奏シーンは今ではけっこう貴重のように思う。谷啓が金庫に抱きついて加山雄三の「君といつまでも」のセリフを口走ったり、植木のセリフ「植木等と一緒にしないでほしい。」といったいわゆる楽屋ネタも妙におかしかった。巡査役でワンシーン出てる青島幸男が若い。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-11 00:00:59)
1027.  新・桃太郎
日本の昔話の中でもとくに有名な「桃太郎」を映画化した台湾映画。初めて見たのはまだ幼い頃だったが、とても好きな映画だった。同時期にキョンシー映画にもはまっていたので、キン・トーやテンテンなどキャストがかなりかぶっていたので安心して見ていた記憶がある。10年くらい前の高校生の時に機会を得て再見したが、おばあさんを襲う桃、悪役である赤鬼大魔王の部下の魔女のテンションの高さ、その魔女の二人の息子のキャラクター、ラストの桃ロボットなど、あまりのぶっ飛び具合に驚きまくり。真面目に映画として見てしまうとあまりにもバカすぎる駄作映画かもしれないが、そのぶっ飛んだ設定や展開に大笑いしてしまい、初めて見た時とは完全に別の意味ですごく楽しめたので、思いきって10点。
[ビデオ(吹替)] 10点(2007-09-10 19:21:45)
1028.  チャップリンの放浪者
初期の頃のチャップリン映画なのでたっぷり笑える映画かと思いきや、そうではなく、「キッド」や「街の灯」にも通じるような内容だったのがちょっとこの頃のチャップリン映画では意外に感じた。ほかの短編作品と比べて笑いどころが少なく、笑う気まんまんで見始めた(でもところどころ笑えるシーンはもちろんあったが。)のでそのあたりがちょっと期待外れだったが、初期の1910年代のチャップリンの短編にこんなのがあったなんて正直驚いた。完成度ではさっき挙げた「キッド」や「街の灯」に到底及ばないが、この作品が後年の傑作郡につながっていくのかもしれない。少々、言い方が大袈裟かもしれないが。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-07 02:47:43)(良:1票)
1029.  アルプスの若大将
クレージーキャッツの映画でのとても勢いのある演出が好印象の古澤憲吾監督による若大将シリーズ第7作。若大将が歌うシーンになると、いきなり加山雄三のプロモっぽくなったりして、先月見た1作目からの数年で加山雄三が一気にスターになったことがうかがい知れる。それが僕のような特に加山雄三のファンでもないような身からすると少々気にならないでもないし、それから公開当時に時の人だったと思われるような有名人がカメオ出演していたり、ヨーロッパの観光映画的側面もあるといった部分がちょっと時代を感じてしまうのだが、古澤監督らしい勢いのある作品でとても面白かった。これで若大将シリーズ見るの2作目なんだけど、田中邦衛はたぶんいつもこうゆうキャラなんだろうなあとかだんだんシリーズの楽しみ方が分かってきた感じ。エンドマークを見てパラマウント映画のマークを思い浮かべてしまった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-05 02:48:17)
1030.  時をかける少女(2006)
とても丁寧に作られている印象のアニメで、なかなかの佳作だと思うけど、先週、大林宣彦監督版を見たばかりなのでいけないことだと思いつつもつい比べながら見てしまい、そうすると何かが物足りなく感じてしまった。大林版をあまり意識しないほうが楽しめたかも。ただ、主人公のおばとして登場する芳山和子の存在が大林版を先に見ているとちょっと嬉しかったりもする。
[DVD(邦画)] 6点(2007-09-03 02:43:46)(良:1票)
1031.  狂った果実(1956)
フランス・ヌーベルバーグの監督たちに大きな影響を与え、辛口の映画評論家として知られていたフランソワ・トリュフォー監督が絶賛したという中平康監督のデビュー作。日活の青春映画というと明るくはつらつとしていて健全な印象が強いので、本作には明るさがなく、暗くドロドロとした展開なのはある意味ではすごく新鮮だった。が、ストーリー的には退屈とまではいかないものの、あまり面白さは感じられずに終わってしまった感じ。この年、「太陽の季節」でデビューして2作目の映画出演にして早くも初主演の裕次郎がこの頃から抜群の存在感を発揮していて、既にスターのオーラがムンムン出ているのがちょっと驚かされる。津川雅彦も「ろくでなし」を見た時と同じく今とはまるで違った印象だけど、やっぱり二人とも中年以降のほうがいいなあ。衝撃的なラストにプラス1点。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-09-01 01:35:37)
1032.  時をかける少女(1983)
大林宣彦監督の尾道三部作のほかの2作はもうだいぶ前に見てたが、この2作目だけ見てなくて長い間ずっと見たいと思ってたけど、ようやく見ることができた。「転校生」と「さびしんぼう」を初めて見た頃から数年が経過していてなおかつ大林作品を見ること自体がかなり久しぶりで自分の感覚と大林監督の作風が合わなくなってるのではないか、またここの平均点から見て角川のアイドル映画以上のものはないのではないかなど見る前は期待よりも不安の方が大きかった。しかし、その思いは映画を見ているうちに吹き飛び、大林作品の味とでも言うのか、そんなものがとても懐かしく、徐々に大林ワールドに引き込まれていった。「転校生」、「さびしんぼう」には及ばないまでも、三作の中でいちばん芸術性が高く、これもまた傑作だと思った。「桃栗三年、柿八年」のうたももちろん印象に残るのだが、上原謙、入江たか子という二人の往年の名優が演じる老夫婦のラスト近くの会話がとても印象に残る。しばらく見ていなかったけど、大林監督の映画にまた興味がわいた。
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-29 17:09:43)(良:2票)
1033.  激動の昭和史 沖縄決戦 《ネタバレ》 
新藤兼人監督の脚本を岡本喜八監督が映画化した沖縄戦が題材の戦争映画。このコンビはミスマッチなのではと見る前は心配だったが、思っていたよりずっと良かった。題材が題材なだけに展開はとても悲惨で目をそむけたくなるような死の描写の連続だが、反戦を高らかにうたうのではなく、逆にこうすることで観客に訴えかけるのは喜八監督らしい。しかし、良かったと思う反面少しダラダラしている印象もあり、途中でちょっとだけ中だるみを感じてしまったのが残念だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-25 17:56:06)
1034.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
岡本喜八監督の戦争映画というと「独立愚連隊」や「肉弾」といった悲壮感の中にもどこか明るさのあるイメージが強いので、本作はちょっと喜八監督らしくない作品だと思うものの、このような大作映画にありがちなダラダラした中だるみ感がなく、橋本忍脚本による重厚な人間ドラマと喜八監督の演出の力強さによって長時間にも関わらず最後までとても面白かった。昭和20年(1945年)8月15日に玉音放送が流れて終戦に至るまでの経歴という内容も興味深く、宮城事件とかぜんぜん知らなかったのでとても衝撃的だったし、今まで生放送とばかり思っていた玉音放送が録音だったことにもビックリ。オールスター大作なので出てくる俳優陣も脇役・端役に至るまでこれでもかというくらい豪華なメンバーを揃えていて、その点でもみどころ。陸軍大臣を演じる三船の鬼気迫る演技、笠智衆演じる仏様のような総理大臣も印象深いが、やはり特攻隊を見送る伊藤雄之助のあの表情が忘れがたい。 喜八監督の映画の中では異色作かもしれないが、一度は見ておくべき傑作だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-08-25 13:28:30)《更新》
1035.  クレージーの大爆発
クレージー・キャッツの主演したコメディー映画シリーズの中では末期の作品になるので、あまり楽しめないかもと思っていたが、ここでも古澤憲吾監督の演出の勢いは相変わらずで、なかなか楽しめた。ストーリーに前年暮れに起こったばかりの三億円事件を絡めてあったり、月まで行っちゃったりするのが、公開当時の時代が見えて面白い。関西弁の総理大臣を演じる藤田まことが妙に笑える。平田昭彦がこういうコメディーに大きな役で出てるのはちょっと珍しいかも。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-08-24 09:06:09)
1036.  大学の若大将
若大将シリーズ見たのは初めてだったけど、加山雄三が無責任シリーズの植木等のように実にいきいきと主人公を演じているのがとても印象的。また脚本家が同じためか映画自体にも無責任シリーズのような得体の知れないパワーがあってすごく面白かった。田中邦衛も「北の国から」以前の出演作は黒澤明監督や岡本喜八監督の映画なんかでいろいろと見てるけど、それでもこの青大将役はなかなか新鮮に感じた。(冒頭のサングラス姿の似合わなさに爆笑。)飯田蝶子演じる祖母がなんとも可愛らしくいい味を出しているのも忘れてはならない。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-08-21 16:23:47)(良:1票)
1037.  ニッポン無責任時代
東宝のすべてのクレージー映画の原点となるこの作品。現実には絶対に有り得ないようなサクセスストーリーだけど、植木等演じる平均の能天気で調子がよくてプラス思考のかたまりのようなキャラクターを見ているとついついこちらも徐々に感化されていって、映画を見終えた後にはなんだかすごく元気が出た。上司役の谷啓とのやりとりは同じく谷啓が上司役の「釣りバカ日誌」シリーズの浜ちゃんと佐々木課長のやりとり見てるみたいだったけど、これを参考にしたのかも。
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-21 12:49:53)
1038.  くちづけ(1957)
溝口健二監督作品の脚本などで御馴染みの川口松太郎の原作を映画化した増村保造監督のデビュー作。この時代のほかの日本映画にはないタイプの映画と書いてたのを見たけど、まさしく増村監督がデビュー前にイタリアに映画留学していた経験が見事に生かされた作品で、日本映画というよりも同じ頃に作られたヨーロッパ映画でも見てる気分になった。のちに結婚することになる主演の川口浩と野添ひとみ(実は二人ともあんまり自分にとっては馴染みない役者だったりする。)の二人も実にいい芝居を見せていて印象に残る。とくに野添ひとみが妙に可愛い。川口浩と三益愛子の親子共演(しかも親子役。)もあって今になって出演者と原作者の名前だけ見ると川口ファミリーの映画のような感じを受けてしまうかもしれないけど、増村監督ののちの作家性をじゅうぶんに感じさせる傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2007-08-13 14:48:59)
1039.  女は二度生まれる
まだ一度しか見てなくてその時は映画としてはよく出来てると思いながらも川島雄三作品として何か物足りなさを感じていたが、これを見た時はまだ川島作品をそれほど見ていなく、フランキー堺が出ているということで、もっと喜劇的な作品を期待してたせいではないかと思えて来た。靖国神社の使われ方が妙に印象に残っているしラストシーンの見ている観客に主人公のその後の人生を想像させる余韻の残しかたも川島監督らしく素晴らしい。もう見てからだいぶ経っているので忘れてる部分も多いが、このラストシーンとバスの中で妻子を連れたフランキー堺と若尾文子がバッタリ出会い、お互いに声をかけることもなく別れるシーンがとても印象に残っている。主演の若尾文子もこれまで見た出演作の中では一番魅力的(というか若尾文子と聞くとこの映画の小えんを思い浮かべるようにいつの間にかなってた。)だと思う。最初にレビューした時、快作どまりと書いてしまったけど、「洲崎パラダイス 赤信号」などほかの川島作品を見ているうちに実はこの「女は二度生まれる」という映画、傑作だったのではないかと思いはじめ、書き直すことにした。川島雄三監督は決して喜劇だけの監督ではなく、このような深いドラマを撮らせてもうまい監督なのだ。 
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-08 17:32:03)(良:2票)
1040.  ルパン三世 霧のエリューシヴ<TVM>
ぜんぜん期待してなかったのだが、前回のスペシャルより面白かった。前作では扱いが酷かった五右衛門が今回は実質主役のように描かれていてとてもカッコイイ。今回敵役として登場した魔毛狂介はテレビシリーズのキャラクターらしいけど、テレビシリーズ全く見た事ないので劇中で名前が呼ばれるたびに「ルパン対複製人間」のマモー(西村晃)を思い出してしまった。でも演じている中村獅童にそれほど違和感は感じなかったのは良かった。逆にお不三を演じていた関根勤の娘の演技には終始違和感を感じてしまったけど。
[地上波(邦画)] 6点(2007-08-04 02:27:42)
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