1021. クライモリ デッド・エンド
《ネタバレ》 前作よりホラー特有の緊張感がやや弱くなりましたが、スプラッタ描写はより過激に。 森の中に罠いっぱい。武器もいっぱい。不自然にならない程度に、バリエーション豊かなアタックが満載です。ビジュアル面で、前作よりパワーアップしています。 また、あんま知らない俳優さん達ばかりなので、誰が中心人物なのかよくわからないのも良いですね。 今作では、序盤をマーラ中心の人間ドラマで構築するという仕掛けを行っています。当然見る人達は、なんとなくこの人が中心なのかなー、と思うことでしょう。そのマーラが前半、いきなり瞬殺。意表を突かれます。これで、『いつ誰が狙われてもおかしくない』という不確定要素の強いサバイバルゲームの出来上がりです。 更には、森に住む人食い一家のファミリー描写を、より鮮明に描いたことも前作と異なる部分です。出産、TV、恋愛、晩餐。特に晩餐シーンは『悪魔のいけにえ』を彷彿とさせるような、狂気と気持ち悪さに満ちています。 一番好きなのは、罠にかかった二人が、なんやら感動的な言葉を交わそうかという最中に、矢で瞬殺されちゃうシーン。その直前で、『よし、おまえやってみろ』みたいな感じで、弓矢を渡して一緒に矢を射てあげるんです。ほのぼのとした家族愛が狂気に華を添えています。 スプラッタホラーとして、なかなかの良作ではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-04 13:07:41)(良:1票) |
1022. デビルズ・リジェクト~マーダー・ライド・ショー2~
《ネタバレ》 前作のような荒唐無稽さはなくなり、普通のバイオレンスアクションへ。 スポールディング、オーティス、ベイビーの3人の逃避行が中心のストーリー。そしてそれを追いかける復讐保安官。この保安官の復讐劇がメインの物語なので、もはやホラーとは言い難く、前作とはテイストが全然違います。もはや別物作品と言っても過言ではないくらい。 ただ逃避行中、この3人の犠牲になる家族。このエピソードだけは前作同様の『狂気』を感じられて、サスペンス色の強い仕上がりに。この惨劇が無ければ、凄く物足りない作品になったのは間違いないでしょう。 今回は復讐を誓った保安官が拘留中のマザー・ファイアフライを刺し殺したり、殺し屋を雇ったりとやりたい放題。『毒を以って毒を制す』というのが好きな私にとっては、なかなか見応えのある展開。保安官がクギ打ち機みたいなやつで、被害者の写真を3人に打ち付けていくとこは爽快。もっとやれやれと思っていたのですが、ここがどうやらピーク。後は失速。今まで殺人一家がしてきたことを考えれば、追い込み方が全然足りないです。 よって、全編通してそれなりの見応えはあるのですが、前作のようなイメージを期待して見ると、肩透かしをくらうかもしれません。 正直、どこに焦点をあてて見たら良いのかもよくわからない作品。ジャンル不透明な映画です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-09-02 16:16:44) |
1023. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 はじめての『バットマン』。思っていたより、しっかりと作りこんだストーリー。 液状の『神経ガス』みたいなものを、水道管へ。⇒『水を気化する装置』を使い、神経ガスを町中に散布。 なんだか回りくどい。凝りすぎ。ピンとこない。ストーリーが作りこんであっても、それが面白さにつながっていないのでは意味がないですね。 黒幕も、『チル』⇒『ファルコーニ』⇒『クレイン』⇒『デュガード』へと次々と変わるため、感情移入しづらいです。バットマンことウェインの行動原理は、『両親の敵』というのが根底にあるのだから、次々と倒すべき対象を変えてしまうというのは逆効果だと思います。 アクションシーンはアップが多く、わかりづらい。今作を見るにあたって、やはりアクションシーンを一番期待していたわけです。それだけに、何が起こっているのかわかりづらいアクションの連続にはがっかりです。 ウェインが少しずつバットマンになっていくその過程は面白いです。アルフレッドとウェイン、それにルシウス(モーガン・フリーマン)との関係は良かったですね。 全体的には面白い作品だろうとは思うのですが、正直期待を超える出来ではなかったです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-09-01 16:19:12) |
1024. クライモリ(2003)
《ネタバレ》 前半は不気味なホラー。中盤以降はバイオレンスアクション。プロットが『悪魔のいけにえ』に似ていますが、『狂気』という面では遠く及ばない。ホラーという側面から見ても、これより怖い作品、雰囲気がある作品はいくらでもあります。 なのになぜでしょう。すごくハラハラするし、最後まで目を離せない面白さがあります。脱出劇として凄くスリリングなんですよね。ストーリーがいたってシンプルなのも良いのかもしれません。『森に迷い込んだ』⇒『わけもなく何者かが襲ってくる』。理不尽な暴力。未知なるものへの恐怖。そういったものがよく描けている作品だと思います。 また、襲ってくるものの正体が明らかになった後でも、言語能力を与えなかったことで、一定レベルの恐怖感をキープできています。やはり交渉の余地がないというのは怖いものです。土地勘がない森の中、逃げられそうで逃げられない閉塞感はなかなか。シチュエーション作りはかなり上手いほうじゃないでしょうか。 終盤は一転、反撃に転じるので怖さはほとんどなくなりましたね。その分、アクション映画なみにスカっとする爽快感を味わうことができます。エリザ・ドゥシュクが好きなので、彼女が死ななくて良かったです。 この作品はホラー映画として『突き抜けた面白さ』ではなく、『安定した面白さ』。個人的には好きな部類の良作。友人や家族と『一緒に見よー』と気軽に誘えるレベルのクオリティです。 [DVD(字幕)] 7点(2017-08-30 12:19:33)(良:1票) |
1025. マーダー・ライド・ショー
《ネタバレ》 『悪魔のいけにえ』みたいなのを想像していたのですが、終盤はお化け屋敷状態。「誰?」っていうのが次から次に出てくる出てくる。更にはB級ホラーならではの、『理由』『説明』『動機』というものは一切ありません。強いて言うなら、欲望のおもむくままにやりたいことをやる人達、というところです。ノリと勢いでつっぱしる映画。個人的には嫌いではありません。 スプラッタ描写はたいしたことないですね。ただイカレタ家族の狂気というものはよく描かれていたと思います。 B級ホラーにはこーゆーテイストを求める気持ちが少なからずあります。つまり、私にとってのB級映画のある意味完成形とも言える作品。ただこの作品では被害者側の反撃というものが一切ありません。もちろん作品によってはなくても良いのですが、この作品には欲しいところ。このプロットでやられっぱなしというのは、欲求不満がたまるものです。 それにしてもやたらと画質やカラーの違う画を入れてきていましたが、これは個人的には好きじゃないです。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-27 16:02:29) |
1026. 僕のピアノコンチェルト
《ネタバレ》 IQめっちゃ高くて、ピアノがめっちゃひけて、自分が天才すぎることを悩む少年の物語。 気に入らないことがあると、両親を家からしめだすなど、小さい頃からやりたい放題。 そんなこともあってか、正直主人公ヴィトスには共感できない部分が少なからずあります。その一方で、そこに人間味を感じもします。 プロットは面白いのですが、山場がないので、平坦なイメージが強い作品。 『親も医者もだまして、頭が悪くなったフリをする。』というのは面白いのですが、そこにたいそうな理由や目的意識がないため、いまいち盛り上がりに欠けます。むしろ中盤からは父親が会社で窮地に追い込まれていって、そちらのほうが見応えがあるくらいです。 また、両親が苦しんでいるのに、本人は才能と金を無駄遣いしてじいちゃんと遊んでいる様子が気に入りません。 もちろん、最後は両親を助けてあげるし、ピアノの先生のとこにも行くし、これ以上無いハッピーエンドではあるので、後味はいたって爽やかに仕上がっております。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-25 08:50:36) |
1027. プラダを着た悪魔
《ネタバレ》 特に興味のあるジャンルでもない、にもかかわらず、そんな私に飽きさせることなく見せきった。テンポの良さと演技力、そして音楽で否応無く物語りに引き込むパワーがある作品です。素人にはわかりづらいジャンルであるのは間違いないのですが、少しでもわかりやすく見せようというプロ意識を感じます。おかげさまで全然知らない業界の話なのに、9割以上は理解しました。これって何気に凄いことだと思います。 ストーリーは酷評されがちですが、個人的には好き。 ミランダの解任を知って慌てるアンドレア。でもミランダは周りの人間の何枚も上手。家族のことでは一瞬人間的な弱さも見せるが、仕事では一部の隙も見せない。この徹底した強さと冷徹さが良いですね。この役柄を演じきっているメリル・ストリープの貢献度は高いです。そしてこの人の話し方が、また貫禄と気品を備えていてぐっときます。 エミリーやナイジェルといった仕事仲間も、それぞれプライドと信念をもって仕事しているのがかっちょいいです。そのエミリーやナイジェルに残酷なまでの仕打ちをするミランダ。にもかかわらず、ミランダから離れない二人。手放しで賛成はしがたいですが、カリスマってまさにこーゆーことを言うのでしょうね。 ただ、『ミランダが凄い』というのが、説明台詞でばかり伝えられてくるので、その凄さを実感できるようなエピソードがもう少しあると良かったかもしれないですね。権力をかさに好き放題やってるブラック上司の面ばかりを強調しすぎているような気がしないでもないです。 あと、コレ観た後に仕事すると、なんかモチベーション上がってます。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-08-16 16:10:53)(良:3票) |
1028. アンデッド
《ネタバレ》 つまらねー。ホラーとしてもコメディとしても、とにかくダラダラテンポが悪すぎて全くノれないです。 こーゆー作品に登場する人達は基本バカで構わないのですが、いくらなんでもこの作品に出てくる人達はバカすぎます。バカに寛容な自分でさえイライラするレベル。普通の人だったら、途中で見るのをやめちゃうんじゃないかな。私自信、保安官が壁をよじ登りだしたときには、あまりのつまらない展開にくじけそうになりました。 そう、この保安官二人。やたら武器をとりあげようとする。イニシアチブをとろうとする。そのくせいざとなったら何もできない。そんな自分達に気付いてくれればいいのですが、そんなやりとりを何回も繰り返す。ようやく退場してくれたと思ったら、今度はバカな青年が、そのバカの遺伝子を引き継いでいく。もーいいって!危険や恐怖を演出できないからって、こうも強引な力技を延々と繰り広げられたら、フラストレーションしかたまりません。 極めつけはエイリアンの登場で、ホラー映画としての体裁すら失ってしまいます。もちろんそのアイデアは斬新。ですがそれが映画の面白さにつながっているとは言い難いです。 久しぶりに見た駄作中の駄作。それでも最後のオチだけはちょっと好き。 [DVD(字幕)] 2点(2017-08-15 03:15:47) |
1029. ホステル
《ネタバレ》 問答無用の殺戮ゲーム。かなりグロい上に悪趣味。だから人格を疑われそうで嫌なんですが、このハラハラドキドキ感は本物なので高得点。この作品はもう『脱出劇』として最高にスリリング。また、自分達を騙し、罠にはめた人間たちに逆襲するラストの展開は、爽快感さえあり胸のすく思いです。つまり、基本はスプラッタ要素の強いサスペンスホラー作品に違いない。ですが、ラストのバイオレンスアクション的ノリは、元来やられっぱなしで終わりがちなホラーの常識を、ちょっとだけ爽快なものに変えちゃっているわけです。 だらだらした前半も、『これから何が起きるのか』っていう不穏な空気を纏っているためそれなりに見れます。そしてオリーがいなくなった辺りから、俄然緊張感が増していくわけですが、その種明かしが『人間ハンティング』っていうのは、あまりにも安っぽかったですね。もっと意味のわからない狂気。もしくは国家権力がらみの狂気を想像していたので、少々肩透かし。 また、パクストンが助かるのであれば、パクストン以外の生贄の見せ方が大事だろうと思うのですが、そういった意味ではオリーやジョッシュといった数少ない登場人物を瞬殺しちゃうのはもったいない。 そういえば、ホステルの従業員は明らかにグルなんでしょうが、あの人達は何も制裁受けていないですね。 [DVD(字幕)] 9点(2017-08-14 12:03:18)(良:1票) |
1030. ソウ ザ・ファイナル 3D
《ネタバレ》 『ソウ』シリーズは今までどの作品も高評価をつけていたのですが、最後の最後で期待を裏切られました。 今までのような精神的恐怖感はほとんどなく、あるのはただただスプラッタ映像ばかり。そこに『気持ち悪さ』はあっても、『痛さ』は感じません。 また、いつものように同時進行で起こるゲーム内外のストーリーがどちらもいまいち。前作の『人の命』を商売にしちゃう保険屋に比べ、今作のうそつき男はあまりにも小悪党。そんな人間まで的にかけちゃうなんて、ジグソウ一家、思っていたより器が小さい。 そしてホフマン側の、もう一つのストーリー。これが良くない。ジルは殺しちゃうし、いつの間にかゴードンが黒幕みたいになっているし。そもそもアマンダとは違うのです。、ゴードンはかなり悲惨な目にあっているわけです。足を犠牲にまでして、それでジグソウに加担するのであれば、それだけの説得力ある説明が必要だと思います。いつもだったらその辺の心理をじっくり見せてくれるのに、尺の関係か、説明は一切無し。『ゴードンは実は仲間でした。』その事実を見せるのみ。だったら最初からゴードンはただの復讐者として描いてくれたほうが良かったです。 また、なんだかんだ言っても『ゲーム』を主体に見ているファンにとっては、今作のようにゲームをしている人達が脇役感ばりばりだと、ソウの良さが半減です。 このシリーズのファンなだけに、ファイナルがこのクオリティというのは非常に残念。 これだったら前作のラストでジルがホフマンを処刑して完結しちゃったほうが、よほど後味が良かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2017-08-07 12:32:47)(良:1票) |
1031. マスター・アンド・コマンダー
《ネタバレ》 まず、長い。必要な尺ならまだしも、『アケロン号を追っかけるだけ』の2時間強、これを冗長と言うのでしょう。 そしてこれだけ時間をかけているのに、人物が全然頭に入ってきません。描き方が中途半端で、個性が足りません。 だから、『海に落ちた後見捨てられる人』『自殺する人』『最後の戦いで命を落とす人』と、描かれている戦の悲劇が、観ている側にほとんど伝わりません。それこそが最大の悲劇と言えましょう。何か起こっても、『そもそもあんた誰だっけ』状態です。 で、その分ストーリーで盛り上げてほしいところなのですが、これがまたつまらない。本当に面白くない。 私はラッセル・クロウが好きで、更にはポール・ベタニー演じる船医が凄く良かったので、何とか最後まで見ることができたという感じです。 それに、冒頭とラストの戦闘シーンは緊迫感があって良かったです。 ただ、正直映画として見る価値はほとんど無いようにも思われます。どちらかと言えば、製作サイドの自己陶酔型映画と言えそうです。 ラストのオチも好きじゃない。 こーゆー作風だからこそ、爽快な勝利を信じて最後まで見ていたこちらの気持ちはどーなんの、っていうオチでした。 [DVD(字幕)] 5点(2017-07-27 13:16:08)(良:1票) |
1032. once ダブリンの街角で
《ネタバレ》 こーゆー落ち着いた雰囲気の映画が面白いと言えればかっこいいんでしょうが、やっぱ退屈と思ってしまうんですよね。 『何も起きない。』『淡々としている。』 映画を娯楽と思っている私にとって、この『淡々』というのがどうにも苦手。 もちろん、淡々とした中にも、味わい深いドラマがあれば良いのです。ですが、この作品って雰囲気ばかりもったいぶって、ドラマ性が全然ない。やることと言えば、CDを作ることだけ。恋愛パートは、お互いの身の上を語り合うにとどまります。 どうでしょう。それって面白いですか?せめて、『音楽におけるサクセス』『恋愛』、どちらか片方でも、もう少し盛り上がりを見せてくれれば評価は全然違ったものになったでしょう。 『バスの中でおどけるシーン』『皆で曲を作っていくシーン』など、好きなシーンもあります。そしてそこから期待されるようなドラマが生まれない脱力感。これを『大人の落ち着き』ととるか、『退屈』ととるか。まあ、その辺は人それぞれですね。 [DVD(字幕)] 5点(2017-07-26 02:34:06) |
1033. バイオハザード ディジェネレーション
《ネタバレ》 大きく二つに分かれたプロット。『空港パニック』の前半。『VS.Gウィルス』の後半。 はっきり言って、前半だけなら8点。それくらい、パニックもの、サバイバルホラーとしてよくできています。こーゆーオーソドックスな脱出劇が、なんだかんだ言って一番燃えるわけです。 そこから、後半戦に突入する前の、中休みなんか中だるみなんか、よくわからんワンクッションあり。その分後半戦、盛り上がって欲しかったのですが、残念ながらいまいち。まあ後半戦のほうが、関係者のみのバトルとなって、よりバイオっぽくはあるのですが。これはゲームではなくて映画ですからね。パニック要素は少ない。純粋な脱出劇というわけでもない。よって緊張感には欠けちゃいます。 その分、『黒幕』やら『陰謀』やらのサスペンスストーリーで勝負しようとしているわけですが、これがいかんせん面白くない。しかもわかりにくい。『レオンが何をやろうとしているのか。』『クレアが何をやろうとしているのか。』いまいち判然としていないのです。前半に比べると、後半は状況描写が不親切。作り手サイドの自己満足臭漂う映像集となっています。 つまり、前半はまだ映画として見られるのですが、後半はゲームの挿入動画を並べただけのような印象なんですよね。惜しい。 ただ、バイオシリーズ初期の大ファンとしては、『2』のメインキャラクター達で構成される本作は、それだけで感慨深いというか、素直に嬉しいのも事実。ファン必見の内容と言えるかもしれません。ですが、逆にファン以外の人が見たら、ますます微妙なんじゃないかなぁ、コレ。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-07-24 07:30:11)(良:1票) |
1034. ソウ6
《ネタバレ》 今までのシリーズに負けず劣らずのショッキング映像でスタート。このシリーズのファンなら間違いなく満足できるレベルです。はっきり言って、6作目にきて、いまだ『痛さ』の形容がパワーダウンしないだけでも、非常に頑張っていると思います。 本編では、ジグソウならではのゲームが盛り沢山。今回のテーマは『命の選定』。悪質な保険会社にぴったりのテーマ。保険会社に煮え湯を飲まされた経験がある人ならば、むしろ爽快にすら感じるかもしれませんね。つまりは、今までの犠牲者と違い、同情の余地が極めて少ないのであります。 また、保険会社のウィリアムの回想シーンが非常にわかりやすくバックグラウンドを教えてくれるのが良い。 全滅パターンが多かったシリーズで、今作の『テーマ』と『ゲーム』の性質上、生存者が結構いるというのも大変興味深い。かなりテーマを反映したゲームとなっているのではないでしょうか。 そしていつもの『連続テレビドラマ』のパート。こちらはいつにも増して緊張感があって良かったですね。 生きていたペレーズ捜査官。追い詰められていくホフマン。これだけでも面白いのに、今作ではジル・タックの回想シーンがプラスされ、新たなる事実が次々と判明します。特に、アマンダに対する評価は、この作品を見ると180度変わること間違いありません。 相変わらず今までのシリーズを見ていることが大前提の作品ではありますが、それだけの価値があるクオリティに仕上がっています。 これだけの内容を90分にまとめきるのも何気に凄い。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-23 04:05:49) |
1035. スカイ・ハイ(2005)
《ネタバレ》 こーゆー学園ヒーローもの、大好きなんですよ。よって採点はかなり甘め。 わかりやすいながらも、道徳性を含んだストーリー。この辺りはさすがディズニー。 汎用性の高い能力を持った『ヒーロー組』。マニアックな能力の『サイドキック組』。個人の性格や人格、努力が入り込む余地は無く、『才能』のみで『勝ち組』と『負け組』に二分される社会。スーパーヒーローである主人公の父親でさえ、その社会通念に支配されています。それに対し、主人公や幼馴染の女の子は、『力』がありながらも、その決まりきった慣習に疑問を投げかけるわけです。『本当にそれは正しいことなのか。』『そもそもヒーローとは。』ってね。 最終的にこの作品では、『力を持つもの=ヒーロー』という図式を崩していきます。ヒーローとしての資質は、その心のあり方が大事なのだと。そして終盤の戦いでは、サイド・キック組が一見役に立ちそうにない能力で活躍します。つまり、どんな才能を持っているかより、持っている才能をどう活かすかが大事だと教えてくれているんですね。そーゆー結論を押し付けがましくない程度に、エンタメにポップに表現しちゃうディズニーはやっぱイイ。 まあいろいろ言いましたが、こーゆー作品はもう難しいこと抜き。『楽しい』か『楽しくない』か。それが大事。そーいった意味では、『スカイ・ハイ』は間違いなく楽しい。見ていてずっとわくわくします。色彩豊かでバラエティに富んだ極上のエンターテイメント作品です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-07-22 04:08:06)(良:1票) |
1036. ハウス・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 かなりゲームを意識しているので、アクション要素が凄く強いです。要所要所では、ホラー映画なりの緊張感もあって、個人的にはかなり面白いです。 ゾンビは大分人間っぽい。だめではないけど、期待していたゾンビじゃないです。 ただのパーティーピーポーだった若者達が、武器を持った瞬間ランボー化する。この悪ノリは嫌いじゃありません。むしろ、ガンシューティングの映画化であればこその、ぶっとんだ内容に満足です。 一人一人、見せ場(死に場)が用意されているのはgood。テンポは良いし、緩急もあるし、バランスも悪くない。 それになにより、この作品を作った人達が、本当にこの元ネタのゲームが好きなんだと伝わってきて、なんだか嬉しくなっちゃいますね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-20 14:13:03)(良:1票) |
1037. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
《ネタバレ》 荒唐無稽と紙一重。衣装ダンスから末っ子のルーシーがナルニアに入国するくらいまでが抜群に面白いです。 もちろん、そこから先が本題なわけで、期待しながら見ていきます。 するとどうでしょう。右も左もわからない子供達に、『あなたたちは予言の人だ。』『救世主だ。』(そんなことは言ってないか?)って無茶振りの連続。そしてだんだんその気になってくる子供達。っていうか、『子供達』なら誰でも良かったのでしょうか。それともピーターたちでないとだめな理由があったのでしょうか。そーゆー説明が欲しかった部分は見事にスルー。 その代わり、あれよあれよという間に、おままごとのようなストーリーが延々と続きます。 ビジュアルは凄く良いので、それを見るだけでも楽しいのですが、もはやそれだけの映画。 最後の一大決戦も視覚的には面白いのですが、なにしろそこに至るまでの必然性を感じられないので、カタルシスは皆無。 続編はもう見ません。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-07-19 12:58:01)(良:1票) |
1038. 運命じゃない人
《ネタバレ》 1つのストーリーを複数の視点から捉える面白い構成。 宮田君がマンションに戻ってくるたび、実はいろんな人が入れ替わり立ち代わり家に潜んでいたってのは面白いです。 こーゆー作品にしては、ストーリーが複雑すぎず、すっきりまとめられていたのも良かったと思います。これだけ時間が行ったり来たりしていても、全く混乱せずに見られたのは、作り手が見る側を意識している証拠だと思います。 キャラも非常にたっていて、『良い人すぎる宮田くん』『友達思いの探偵』『せこい組長』など、面白い人物が多い。 倉田あゆみはともかく、それ以外の人物は皆善良さがあって、後味も悪くありません。 ラストで会社の先輩が訪ねてくるシーンを重ねたことで、『たった一夜の出来事』を印象づけるやり方も上手いと思います。 映画としての面白さはまあまあ。個人的には、物足りなさが残る作品です。 [DVD(邦画)] 6点(2017-07-17 13:15:19)(良:1票) |
1039. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
《ネタバレ》 『六ちゃんの結婚』『淳之介の小説家デビュー』ドラマ自体は面白いんですけどね。取り上げている題材が、どの時代でも共通のものになったぶん、『この時代ならでは』って感じが弱くなりましたね。 『遊び人だと思われていたお医者さんが、実はとてもマジメで志の高い人だった。』こーゆーオチは良いですね。気分が良いです。 『茶川のライバル作家の正体が実は淳之介だった。』というのも面白い。 今作も、相変わらず良い人ばかり。この作品を見て不快になる人は、まあいないでしょうね。ただ映画作品として面白いかと問われれば、シリーズ中一番凡庸な出来だったことは否めないかもしれないです。 このシリーズにはまっちゃった私にとっては、当たり障りのない内容でも面白いです。 初見の人がこの作品を見てどう思うかは微妙なところでしょうね。テレビドラマとの違いがよくわからないと思うかもしれません。 もはやこの3作目に関しては、1作目、2作目でファンになった人のためのファンサービスのような作品。これ1本での評価は難しいですね。 蛇足ですが、このシリーズで、わたしは『鈴木オート』の面々がかなりお気に入りです。 今作でも、『帽子を深くかぶって気付かれないようにする六ちゃん』『いきなりお医者さんを殴りとばす鈴木パパ』など、狙いすぎだし、ベタですが、そこが面白いです。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-07-13 13:40:19) |
1040. 超酔拳
《ネタバレ》 タイトルは『猿拳』ですよね? 猿拳の達人であり人格者のワン・ビル。運送業。密輸をしている局長と弟の謀略にあい、瀕死の重傷を負って身を隠す。 一方『猿拳の指南書』作成を目指す若者2人。この若者二人とワンビル&娘が出会い、修行をし、局長と弟を倒すという、カンフー映画ではあるあるストーリー。昨今の映画では珍しいくらいのわかりやすいストーリーのため、純粋にカンフーアクションを楽しめる良さがあります。また、局長と弟は徹底的に悪い人間なので、ラストのバトルは否が応にも盛り上がります。 ただ、カンフー映画で必須の『復讐的カタルシス』に関しては、いかんせん弱い。それは、仲間の警察官の犠牲はあったものの、それ以外の犠牲はないからでしょう。 また、コメディパートのセンスの無さが痛い。特に前半。若者二人がワンビルに出会うまでのエピソードは長くて面白くなくて、たるい。しかもやる気がないのか、シーンとシーンがぶつ切りで、映画として非常に雑。まあ、香港映画ってそんな感じのが多いのですが。 こーやってみると、ジャッキー映画の笑いのセンスというのが、いかに秀でていたかがよくわかります。 『酔えば更に強くなる』という特性については、言葉での説明ばかりで、アクションではいまいちその強さが伝わりきれない印象です。酔う前とどう違うのか、よくわかりません。 とは言え、アクションそのものが悪いわけではなく、娯楽作品として水準以上のものであるのは間違いありません。ハッピーエンドのラストも明るくて良いですね。 [DVD(吹替)] 6点(2017-07-10 14:40:22) |