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1061.  十九歳の地図
ひたすら暗く、重苦しい映画で見た後かなりブルーな気分になるのだが、主人公の気持ちがなんとなく分かる気がして切なかった。とくにラストの電話ボックスで涙を浮かべながら脅迫電話をかけるシーンは胸がはりさける思いがした。蟹江敬三と沖山秀子(この二人の演技がすごくいい。)の関係をはじめとした主人公の周囲の人物たちの描き方も生々しくて妙にリアルに感じる。70年代のアート系邦画をひさしぶりに見たが、やっぱりこの頃のこういう映画は独特な雰囲気があってなかなかいいなあ。
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-04-09 17:53:57)
1062.  きけ、わだつみの声 《ネタバレ》 
遅まきながら早坂暁の追悼を兼ね、20年以上ぶりに再見。この脚本家といえば「北京原人」、「千年の恋 ひかる源氏物語」の2本ですっかりぶっ飛んだトンデモ映画の脚本家というイメージが(全盛期の作品をまったく見たことがないこともあり)あるのだが、本作はそれらに比べれば相当まともな作品になっているように思う。戦争の悲惨さはちゃんと伝わってくるし、日本軍の負の部分にも目を背けずに遠慮なく描いているあたりは製作者たちの本気さが分かり、戦争教材としてはわりとけっこうよく出来ていると思うからだ。しかし、純粋に物語としての脚本の構成としてはちょっとと思うような部分も多く、召集令状を拒否して逃げる青年、従軍慰安婦、カニバリズムなどいろんなことを描きすぎてドラマとしての印象が散漫になっているのはもちろん、(それぞれ映画一本のネタとしてじゅうぶん通用する。)軸となるはずの登場人物たちのラグビーへの思いがじゅうぶんに描かれているとは思えず、その部分にあまり感情移入ができないのは痛いし、それだからラストシーンもポカーンと傍観しているしかなく、ちょっと混乱してしまう。現代人(緒形直人)が戦時中にタイムスリップするという設定だが、タイムスリップ後の当人は普通にその時代の人物として描かれ、普通にその時代に両親も登場するというのはいくらなんでも乱暴で、結局本作における緒形直人の役柄の存在が意味不明になっている。(このあたり、後年の「僕たちの戦争」はうまくやっていたなあ。)なにか無理してタイムスリップという要素をとりあえず使ってみただけという感じで、コレだったらオーソドックスに回想形式のほうが分かりやすかっただろう。バンダナ巻いてサイドカーに乗っている大野木(的場浩司)はなんか「独立愚連隊」に出てくるような風貌でつい笑ってしまった。そんな中、芥川(仲村トオル)のエピソードが感情移入しやすく、彼のパートは安心して見れた。それと、織田裕二がこういう戦争映画に出ているのは(あんま似合わないけど。)意外な気がするし、鶴田真由との共演も懐かしい。90年代前半はこの二人の共演がけっこう多かったよなあ。(2018年2月15日更新)
[DVD(邦画)] 4点(2007-04-04 22:40:36)
1063.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 
「ドラえもん」リニューアル後の最初の劇場版となる「のび太の恐竜」のリメイク版。以前にも地上波で放送されたときに見ているが、ノーカット版を見るのは今回が初めて。以前に見た時はオリジナルをあまり覚えていなかったのだが、今回10年以上ぶりに見返すと本作も覚えていない部分が多かった。(笑)でも、そのおかげか新鮮な気持ちで見れたのは結果として良かったと思う。冒頭ののび太が恐竜(正確には首長竜)の卵の化石を見つけるくだりが今になって見ると都合が良すぎる気がしないでもないが、前半は卵から生まれたピー助とのび太の交流が丁寧に描かれていて微笑ましいし、のび太が化石を卵にして羽化させた目的はいつものようにスネ夫を見返すためというのを忘れるほど見入ってしまった。大きくなりすぎたピー助が風邪をひいたのび太に会いたいばかりに家まで来てしまったことにより、世間が騒ぎ始めるという展開は翌年の映画である原恵一監督の「河童のクゥと夏休み」を彷彿させているが、あの映画もやはり旧作からの影響があったのだろう。誤ってピー助をアメリカ大陸へ送っていたことが判明したことから始まるレギュラー5人の冒険はすっかり親世代(未婚で子供もいないけど。)になった今見てもけっこう面白く、またジャングルなどの作画もキレイで丁寧でアニメーターの仕事ぶりも秀逸だった。以前に見た時はラストの展開がオリジナルと違うような気がして、少し違和感を感じた覚えがあるのだが、今回はそれをあまり感じず、むしろ、タイムパトロールの力を借りずに目的地である日本まで自力でたどり着くという結末は他人の力を借りずに目標を成し遂げることの素晴らしさを主たる支持層である子供たちに伝えるメッセージとしてはじゅうぶんだと感じる。恐竜ハンターの雇い主である恐竜コレクターのドルマンスタインの出番が意外に少なくてビックリしたのだが、オリジナルでもこんな感じだったかな。はじめて見た時はまだ新しい声優陣に若干の違和感を感じていたのだが、10年以上たった今では現在のメンバーのほうがしっくりくるようになってる。今では劇場版シリーズは旧シリーズを見ていた世代が監督を手掛けていることが多いのだが、本作は旧シリーズに関わっていた渡辺歩監督が手掛けており、ドルマンスタインの声を野村道子の夫であり、旧シリーズ劇場版の常連悪役だった内海賢二が担当するなど、まだどこか手探りで旧シリーズに引っ張られているような感じがある。でも、映画としてじゅうぶんに面白かったし、これからも「ドラえもん」はずっと続いていてほしいと心から思う。(2018年3月24日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-11 02:42:53)(良:1票)
1064.  ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!
シリーズ初の長編。今までの三本の短編がどれも面白かっただけに90分近い長編になると間延びしてつまらなくなるのではとちょっと心配だったが、そんなこともなくとても面白かった。それは確かなんだが、短編に比べると普通のアニメになってしまっていて、クオリティーも下がった気がするのがちょっと残念。ひとつの作品としてはいい出来とは思うが、このシリーズとしては短編のほうがいい。
[ビデオ(吹替)] 8点(2007-03-06 11:23:52)
1065.  誇り高き挑戦
デビュー2年目の深作欣二監督の映画。「仁義なき戦い」など70年代の絶頂期の頃の深作監督の映画をほとんど見ていないのでいきなりこんな初期の作品を見るのはどうかと思ったが、地味ながらもそこそこ面白い映画だった。出演者がみな若く、梅宮辰夫が面影がないのにも驚くが、八名信夫は出てるの気がつかなかった。ニュー東映のマークを初めて見たんだけど、バックの映像が東映の大海原に対して活火山というのが面白い。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-03-05 19:49:24)
1066.  釣りバカ日誌16 浜崎は今日もダメだった♪♪
前回もそうだったけどメインゲストの男女の恋のエピソードに浜ちゃんとスーさんがほとんど絡んでいないのが残念ではある。おまけに今回は浜ちゃんとボブの絡みのほうに焦点があてられている感じで本来メインゲストであるはずの伊藤美咲と金子昇のエピソードはかげが薄く、また浜ちゃんとスーさんの絡みも少ないので不満がないわけではないが、だからといって面白くないのかといえばそうでもなく、浜ちゃんとボブのかけあいなどでそれなりに楽しめる。鈴木建設の社歌を社員全員がノリノリでうたっているオープニングシーンが強烈な印象を残しており、このシーンが個人的にはいちばん笑えた。
[地上波(邦画)] 5点(2007-01-18 03:11:26)
1067.  十二人の怒れる男(1957)
最初から最後まで裁判所の一室での陪審員たちの討論を描いているので内容的にはものすごく地味なのにだんだん白熱していく討論に目が離せなくなり、引き込まれていった。シドニー・ルメット監督のデビュー作らしいが、今まで見たこの監督の映画(といってもこれを含めて3本くらいしか見てないが。)の中ではいちばん面白い映画だと思う。白黒映画なのも効果が出ていて良かった。ラストシーンも印象的。
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-01-04 19:33:43)(良:1票)
1068.  ALWAYS 三丁目の夕日
そんなに期待してなかったんでまあそこそこって感じ。でも、原作のマンガを何冊か読んだことがあるのでそれと比べるとやっぱり物足りない感じがする。吉岡秀隆はわりと好きなんだけど、「男はつらいよ」や「北の国から」のイメージが強すぎてまわりに渥美清や田中邦衛のような名優がいないとちょっと違和感を感じてしまう。
[地上波(邦画)] 5点(2006-12-14 03:21:33)(良:1票)
1069.  二階の他人
山田洋次監督のデビュー作。同時期に松竹に所属していた新人監督だった大島渚監督や吉田喜重監督のデビュー作のような衝撃的な映画ではなく、新居のローン返済の為にその二階を貸間にしている若夫婦の話という庶民的なテーマなのが山田監督らしい。デビュー作ということもあってか山田監督らしさはそれ以外あまり感じられないが、上京した母親のことで兄弟が口論を始めるシーンは「男はつらいよ」シリーズでの諏訪三兄弟の口論シーンを彷彿とさせていた。その母親を演じる高橋とよがいい味を出している。
[DVD(邦画)] 6点(2006-12-06 02:34:20)
1070.  ズンドコズンドコ 全員集合!!
ドリフの映画って初めて見た。筋立て自体はまあ可もなく不可もなくというところなんだけど、みんな若くていきいきとしててとても面白かった。世代的に荒井注が正式メンバーだった頃を知らないのだが、志村けんのいない違和感は全く感じることはなかった。この時代のドリフはいかりや長介が憎まれ役なのは前もって知ってたけど、本当に見ていて腹が立つほど憎たらしい役回りで後半いかりやにいじめられていた加藤茶と立場が逆転した時には思わず爽快感を感じた。女性のような髪型(そのせいで最初誰だか分かんなかったけど。)の宍戸錠も最高。
[ビデオ(邦画)] 6点(2006-11-28 03:10:07)
1071.  釣りバカ日誌10
社長をやめてビルのメンテナンス会社に再就職したスーさんが鈴木建設に派遣される前半がとくに面白く、金子賢と宝生舞の恋のエピソードになる後半はやや失速してしまった感あり。屋上での浜ちゃんとスーさんの無声映画風会話シーンはなかなか楽しめた。ラストの唐突な高木ブーの登場にはちょっと唖然。
[ビデオ(邦画)] 5点(2006-11-21 02:49:52)
1072.  花のお江戸の釣りバカ日誌 《ネタバレ》 
舞台を幕末に移したシリーズ通算第12作。浪人である浜ちゃんと庄内藩主であるスーさんが出会うところからやっているので前半は1作目を江戸時代に舞台を移し変えたセルフリメーク作品みたい。でも浜ちゃんを独身男という設定にすることで完全にそうなるのを避けている脚本は長いシリーズにしては冒険だが、新鮮で面白かった。時代考証的におかしなところがあるのもこのシリーズならば許せる。しかし仕官が叶って庄内藩士となった浜ちゃんの上司が谷啓でなく、中村梅雀だったのはかなり違和感を感じた。ところで庄内といえばこのシリーズの脚本を書いている山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」の舞台となった場所で愛着でもあるのかなと思ってみたり。いつかその山田監督による演出の「釣りバカ」を見てみたいと思ってるのだけど無理だろうなあ。
[ビデオ(邦画)] 5点(2006-11-15 02:58:34)
1073.  キートンの化物屋敷
後半の化物屋敷でのドタバタはドリフのコントのようなチープさがただよってていいんだけど、印象に残るようなキートンのアクションもそれほどなく、全体としては可もなく不可もなくって感じ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2006-11-09 12:32:34)
1074.  眼下の敵
前に見た時ははっきり言って地味な印象しかなかったが、久しぶりに見てみるとめちゃ面白かった。ただひたすら駆逐艦とUボートの戦いを描いているのはすごく分かりやすくてかつスリリング。ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス演じる両艦長ともにかっこよく、また駆逐艦とUボートどちらか一方に比重を置いた描き方をせず、双方が対等に描かれているので偏りがなく二人の艦長が主人公のような扱いなのでこの二人の人間ドラマとしてもじゅうぶんに楽しめた。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-11-07 13:29:23)
1075.  ロープ
全編アパートの一室だけで展開されるサスペンスで最初に犯人が殺人を犯すところを見せるというところに「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」の原点のようなものを感じた。しかし、それなりによく出来ていて面白いと思うものの、ちょっと舞台的すぎてやや退屈な部分もあり映画的魅力をあまり感じなかったのが残念。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-11-01 03:09:25)
1076.  続・サラリーマン忠臣蔵 《ネタバレ》 
「サラリーマン忠臣蔵」の完結編。前回ラストで吉良(東野英治郎)に辞表を叩きつけた大石(森繁久彌)たち。そこからの続きとなる本作では大石を社長に新会社を設立して直後から話が始まっているが、寺岡(小林桂樹)が秘書、小野寺(加東大介)が専務になっていて、社長シリーズという感じは前回よりも今回のほうがある。前回同様に真面目に忠臣蔵をパロディー化していて基本的に軽い喜劇なのだが、同時に少しシリアスな部分もあり、やはりそれが従来の社長シリーズとの違いなのだろう。(ほかの作品あまり見ていないのだが。)クライマックスの討ち入りを株式総会に設定しているのはそうきたかという感じだが、吉良は失脚させられるだけで大石たちもお咎めを受けない(つまり誰も死なない。)元の話と違う結末(現代劇の喜劇なのであたり前といえばそうだが。)は本当に大団円という感じで気持ちのいいラストだ。今回も前回に引き続きこの手の喜劇映画には珍しいような豪華な面々が出演していて、そういう面でも楽しめるのだが、本作の翌年に東宝ではオールスター大作として本家「忠臣蔵」が作られているのは面白い。それにこの二部作で共演している森繁久彌と三船が後年テレビの忠臣蔵においてそれぞれ別作品で大石(三船)と吉良(森繁)を演じているのもまた面白い。(2018年3月30日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2006-10-17 14:57:45)
1077.  三匹の侍
テレビ出身の五社英雄監督の劇場映画デビュー作で、自身が手がけたテレビ時代劇の映画版らしい。この監督の映画は晩年に発表した作品群の印象からか、興味範囲外で今までちゃんと見た事なかったけど、非常に男臭い時代劇でなかなか楽しめた。とにかく主役三人がカッコよくて渋く、中でも丹波哲郎と平幹二朗のカッコよさは抜群で思わず惚れてしまいそう。長門勇のいかにも田舎侍って感じの演技も味があって良い。桑野みゆきが「青春残酷物語」の時と役の雰囲気がまるで違うのでちょっとビックリした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-10-12 03:01:50)
1078.  僕たちの戦争<TVM> 《ネタバレ》 
戦争を扱っているので暗いのかなあと思っていたが、笑えるシーンも意外に多く、あまり暗い雰囲気になることなく見れた。それに、そんなに期待してなかったけど全体的になかなか良い作品に仕上がっている。現代の主人公と入れ替わりに現代にタイムスリップした戦時中の主人公に現代人としての意識が芽生え始める過程がなかなか面白かった。ラストも最近の作品には珍しく見る側に解釈を委ねてるのも良い。出演者の中では森山未来が全く違う時代に生きる二人の主人公をうまく演じ分けていて好感が持てるし、これで初めて見た上野樹里も良かった。ただ軍人役の石井正則にかなりの違和感を感じたのがちょっと残念。
[地上波(邦画)] 7点(2006-10-03 13:50:17)
1079.  事件
野村芳太郎監督の法廷ものとしては「疑惑」ほどのインパクトはなかったけど、それでも主役三人のドロドロした愛憎劇と法廷での緊迫したやりとりで充分楽しめた。ラストの大竹しのぶと渡瀬恒彦の会話シーンはなんか意味深。大作らしくキャストも豪華なんだが、あまりに周りが豪華なので被告役の永島敏行がかなり地味に見えてしまうのがちょっと痛いかな。弁護士役の丹波哲郎が最近亡くなってしまったのが残念。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-29 02:49:01)
1080.  ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ<TVM>
ここ数年ルパンのテレビスペシャル見てなかったけど、今年は久々に(5年ぶりくらい)に見た。全体的に軽い作りだし、余計なお笑いに走りすぎているような気がする(五右衛門ってあんなキャラだったっけ。)けど、思ったよりは楽しめた。また来年も見てみようかな。
[地上波(邦画)] 5点(2006-09-17 16:07:50)
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