1061. ズートピア
《ネタバレ》 警官にあこがれる子供時代。警察学校での奮闘日記。ズートピアへの初上陸。初勤務。初逮捕。 『モンスターズ・ユニバーシティ』でも感じたことですが、ディズニーはこの『初めて』の描き方が最高に良い。私達が最も胸躍る『初めての瞬間』というものを、ここまで希望に溢れたタッチで描いてくれるのはディズニーだけかもしれません。 中盤からは次第にサスペンスタッチに。ディズニーらしからぬ緊張感。ホラー演出あり。陰謀あり。また、『刑事もの』『バディもの』としても非常によくできています。前半が『わくわく』の面白さなら、中盤以降は『ハラハラドキドキ』の面白さと言えそうです。 それは同時に、前半の良さが後半ではすっかり影を潜めてしまったとも言えます。特に、『夜のシーン』や『暗いシーン』が多くなりすぎたことで、せっかくの色彩豊かな美の世界が、後半ではほとんど見られないのが寂しい。これには、ジュディがズートピアに初めて訪れたときの、あまりにも美しすぎる世界の風景が、反動として効いているのもあると思います。要は、『もっとこの世界を見たい』と思わせておきながら、あまり見せてくれないことへの不満ですね。 序盤で肉食のキツネにいじめられるジュディ。かたや、ニックは子供の頃複数の草食動物から迫害を受けています。ライオン市長から虐げられているように見える羊の副市長が、実は全体の1割しかいない肉食動物をズートピアから排除しようと考えてます。マジョリティのマイノリティに対する在り方の危険性を痛烈に批判。子供のイジメはわかりやすい『数の暴力』。その延長線上に、大人の世界での迫害、ひいては虐殺があるのかもしれません。 更には、『人種』『宗教』『多種多様な価値観』、ズートピアはグローバル化の進んだ現在の世界を感じさせます。 『勇敢なウサギ』『正義感のあるキツネ』『支配欲が強い羊』『スピードをだしまくるナマケモノ』。あらゆる偏見に対する問いかけを、これだけソフトにわかりやすく教えてくれるエンターテイメント作品。まさに名作です。 [ブルーレイ(吹替)] 9点(2017-06-18 22:57:42)(良:1票) |
1062. ソウ2
《ネタバレ》 個人的な好みで言えば1作目より今作のほうが好き。どちらもミステリー要素があるのですが、今作のほうがわかりやすくてスッキリします。 前作で、ジョンに対し事務的に『死』の宣告をしたゴードン医師。それが許せなかったジグソウ。今作のゲームは、今までで最も簡単であり、最も皮肉に満ちています。たった一つの条件、『他者の生を大事にする』、これにさえ気付けば、難なくクリアできるというのが最大のポイント。 全員が力を合わせれば全員助かる『金庫のゲーム』。首の後ろの番号を、虹の色彩の順番に並べるだけで良い。もし『自分さえ助かればよい』という選択をするのであれば、個々人に用意されたゲームへのチャレンジへと移行します。今作の挑戦者が選んだのはこちらのゲーム。ですが、『他者の生を軽んじる選択』に対し用意された個々人へのゲームは、そのほとんどがクリア不能のデスゲームなわけです。 マシューズ刑事にしても、狙われた理由はおそらく他者の人生を踏みにじったからでしょう。そこでジグソウは最後のチャンスを与えることにします。マシューズ刑事が目の前に座る末期癌患者の『生』を尊重するだけでクリアできる、究極の心理ゲーム。この期に及んでもし『自分』と『自分の息子』のことしか考えず、他者の生を軽んじるのであれば、即ゲームオーバー。 結果、マシューズ刑事はこのゲームに失敗。瀕死のジグソウが言い渡す『ゲームオーバー』は自分ではなく、マシューズ刑事に向けてのもの。言葉通りの意味なわけです。 今作でのゲームは『心理トリック』がメイン。物理的なトリックはほとんど引っ掛け問題。その単純な構図がゆえに、鑑賞中の『面白さ』と答え合わせの『衝撃』を共存することができたのかもしれません。 それにしても、『もしかして脱出できるのか。』とやっとたどりついた先が、前作のゲームのステージだったときの絶望感といったら、言葉にできないくらい素晴らしいですね。 末期癌患者最大の生命力をほこるタフネス・ガイ、ジグソウ。悪のカリスマ。ポストレクター。 これからもお元気で。命を軽んじるものたちを正しい道へと導いてください。 [DVD(字幕)] 8点(2017-06-18 14:24:10)(良:2票) |
1063. ホリデイ
《ネタバレ》 良く言えば丁寧な作り。悪く言うと丁寧なだけの作品。 『恋愛が上手くいかなかった二人の女性。傷心旅行を兼ね家を2週間交換。その2週間のうちに新しい出会いがあり、恋をする。』 たったこれだけのことを延々2時間以上。このスローテンポでいくのであれば、もっとドラマ性を持たせて欲しい。コメディ調で楽しくしたいのであれば、もっとテンポ良く、メリハリを利かせてほしい。この作品は、キャストの知名度、魅力、演技力におんぶにだっこ。それを巷では『手抜き』って言うんじゃないの? キャメロン・ディアスもケイト・ウィンスレットも好き。だから見たといってもいい作品です。結果は期待はずれ。 出てくる人達は皆良い人。好感が持てる人達ばかり。逆を言えば、その好感度だけで2時間を押し切ろうとしている風にも見えます。 好きなシーンは結構あります。アマンダがグレアムの家を初めて訪ねるエピソード。娘達との交流。アイリスがロスにやってきたジャスパーを追い返すシーン。この辺は結構好き。素直に良かったと思えます。それぞれの人物の魅力が最大限に描かれている良いシーンです。 やっぱストーリーのつまらなさでしょうね。 根本的な解決がされないまま迎えるラスト。雰囲気だけで盛り上がるハッピーエンド。この作品に相応しい、中途半端な終わり方です。 全然関係ありませんが、ラブコメを敬遠される方って、『食わず嫌いな人』が多いと思っています。そんなラブコメと疎遠な方には、逆にウケるかもしれないですね。ラブコメ好きな方は目が肥えていらっしゃるので、今更この作品じゃ盛り上がれないんじゃないかなー。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-06-16 11:20:14)(良:2票) |
1064. ペネロピ
《ネタバレ》 おとぎ話半分、リアル半分といった絶妙なテイスト。時代考証もいつ頃なのかよくわかりません。まあ、それがこの作品の味と言えば味ですね。 ストーリーはハッピーエンドだし、悪くありません。 ですが事の発端になるエピソードはいかがでしょう。 『5代前のウィルハーン家の一人が、使用人に手を出し、妊娠。使用人と結婚すると言ったら笑われ中止。別の金持ちお嬢様と結婚。使用人はショックで自殺。使用人の母怒る。ウィルハーン家に呪いをかける。』 作品全体のテイストは軽いのに、その引き金になったエピソードだけやたら重い。おとぎ話としてしまうには、ちょっと重いかも。 また、この作品のもう一人の主人公であるはずのマックス(本当はジョニー)。中盤から影薄すぎ。『ペネロピを閉ざされた世界から救う王子様』かと思いきや、何か違う。『ジョニーはペネロピの内面に惹かれていた』『ジョニーはペネロピの外見を気にしていなかった』この最大の利点が、劇中で上手く機能していません。とゆーか、前半でしか描かれない。中盤以降はあまりにも疎遠。ペネロピは自分で自分の呪いを解いちゃうし。そこはジョニーの出番じゃないんかーい、と激しくつっこんでいました。そんな関係のまま、最後だけくっついても、感動はできないわけです。惜しいなー。 それにしてもクリスティーナ・リッチ。かわいすぎますね。両親に見つかったときの逃げ出しかたなんて、マジでキュートすぎます。この作品のコンセプトを根底から覆してしまう可愛さです。 だってそうでしょう。ブタの鼻してたって、かわいいもんはかわいい。あの顔を見て全員が逃げ出すっていうのは過剰演出。私だったら、あのペネロピから『私と結婚して』と言われたら、即答でイエス。そんで迷わずあんなことやこんなことまでしちゃいますね。 (あんなことやこんなことっていうのは、チェスやポーカーのことです。) [DVD(字幕)] 6点(2017-06-15 11:42:08) |
1065. バイオハザードII アポカリプス
《ネタバレ》 前作に引き続き、素晴らしい。 ゾンビ、ゾンビ犬、リッカーに加え、今作では『ネメシス』登場。ゾンビサバイバルから、ホラーアクションへ。そう、これがバイオハザードなんです。 『見捨てられる隊員』『ゾンビと特殊部隊との市街戦』『狭い通路を追ってくるネメシス』きてる、きてますね。間違いなく、この映画製作に携わっている人達は、みんなバイオをプレイしていますね。それも『1』『2』『3』『コードベロニカ』あたりまで、やってんじゃないのー?バイオハザードが世界の架け橋に。何が架け橋になるかわからんもんですね。 そしてジル・バレンタイン。ついにキター。レベッカ・チェンバース、クレア・レッドフィールドと並ぶバイオシリーズの3大ヒロインの一人。更にはS.T.A.R.S、待ってましたー。テンションマックスからの、ネメシスに瞬殺。そりゃないよー。バイオが誇る精鋭部隊を何だと思ってんのー。ジル・バレンタインも、登場シーンこそかっこよかったものの、アリスがパーティーに加わってからは見せ場らしい見せ場がなくなっちゃいましたね。そこはちょっと残念。 ついでに言うと、『アリスとネメシスのタイマン』『墓の下から起き上がる死体たち』は、バイオハザードとは違うと思いまーす。その辺は全部減点。 それにしても、個人的にバイオハザード・ゲーム版のストーリーテリングの良さっていうのは、『悲劇』だと思うんですよね。数々の悲劇。それでも生きるためにプレイヤーをせっせと動かす。恐怖だけでなく、絶望だけでなく、悲しい真実も体験しながら、それでも自分の力で道を切り開いていくから、このゲームは世界中でヒットしたと思うんですよね。 つまり何が言いたいかっていうと、『アリスをかばって代わりにヘリを撃ち落としてあげるネメシス』っていうのは、このシリーズの本当の良さが理解できていないんじゃないかってことです。 まあちょっと批判的なコメントが続いちゃいましたが、私の評価は8点。 なぜかと聞かれても、『好きだから』としか答えられないです。 『好き』という気持ちは理屈じゃないのよね。『好き』だからこそケチもつけたくなるわけです。 『好き』という感情は、すべての理屈を凌駕する。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-06-14 04:09:21)(良:1票) |
1066. アンダーワールド(2003)
《ネタバレ》 設定は漫画チック。人間関係はやや複雑。状況や位置関係が若干把握しづらい。こーゆー世界観に不慣れな人は、状況を整理するだけでいっぱいっぱいになっちゃうかもしれませんね。 私はマンガ好きでゲーム好き。なので、まあまあ楽しめたほうです。とは言っても、この作品はあらかじめ大筋を予習していたほうが楽しめるんじゃないかな。 長年続くヴァンパイアとライカンの戦争。変身するライカン。数は少ないが固体の能力は高く、パワフル。それに対しヴァンパイア。変身はなし。特殊能力もなし。身体能力はよくわからない。そして武器は銃。おいおい、人間と変わらんぞ。ヴァンパイアならではの必殺技を出さんかい。じゃないと、せっかくの設定が活きてこない。そういった意味では多少物足りない作品ですね。せめてもうすこし『人間社会』を描いてくれれば、相対的にヴァンパイアの能力の高さを証明することだってできたかもしれないのに。終始『ヴァンパイア』VS『ライカン』でストーリーが進むものですから、ヴァンパイアの劣等性ばかりが目についちゃいますね。 また、『アンダーワールド』の名に相応しく、舞台は『夜』。そして『屋敷』『地下』とインドア派。当然色は黒一色。同じような色とコスチューム。2時間ずっと『黒』に統一された世界を見ていると、『飽き』もきやすいというものです。 ただ、ストーリーが何気に凝っていて面白い。 ずっと敵だと思っていたライカンのリーダー、ルシアンが、実は良い人。 そして心の底から信頼していたヴァンパイア界最強のビクターが諸悪の根源というのは、実に気が利いています。 クレイヴンという小悪党も、ビクターの存在を良くみせるというミスリードのための仕掛けなのかもしれません。 理不尽気味のストーリーは作品の雰囲気にあっていて良かったですよ。 ただ、肝心のネタばれシーンは、セリーンが裏切り者の一人に延々と説明させるいう、最高にダサい演出。このシーンだけでも、ちょっと映画作りのセンスの無さを感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-13 02:51:27)(良:2票) |
1067. バタリアン5
《ネタバレ》 『4』はまだ良かったのですが『5』はひどいね。 かろうじて『パニックもの』の要素はあるので、個人的にはアリです。 ですが、全然怖くはない。ホラーとしては0点。映画としても0点ですかね。『生きたままバタリアンになる過程の描写』って今までのシリーズでも結構撮られてきたのに、今作のクオリティは最低ですもん。もともとチープだったバタリアン。今作ではおかげさまで輪をかけてチープになりましたね。それに前半~中盤くらいまでは頑張ってストーリー作っているのに、後半はもうしっちゃかめっちゃか。作り手もどーでもよくなっているんじゃない?ってくらいのやっつけ仕事。まあ期待はしていなかったので、それなりに楽しめたのですが、もちろん満足できる出来ではありません。 で、何でこの点数なのか。 それはもうあのお姉さんたちですね。 ちょっとしか出てないですけど、そのちょっとのシーンが最高の人たちですね。 わかる人にはわかってもらえますよね。 こんな映画に『神』が降りているあのシーンですね。 そうそう、そのシーンです。 でしょ?最高でしょ? [DVD(字幕)] 5点(2017-06-12 00:26:17) |
1068. 世界最速のインディアン
《ネタバレ》 う~ん、長い、長いですよ。どう考えても要らないシーンやエピソードが多すぎるよ。こんなに尺が必要だったのか、はなはだ疑問です。 『レース会場へ行き、レースに参加することがいかに大変だったか。』それが伝わってくるから、ラストも感動する。それはそうかもしれません。ですが、その大変さは演出で見せてほしいものです。ただ尺を長くし、無用なエピソードを詰め込むだけでは、さすがに芸が無い。私は前半で疲れちゃいました。 ただ淡々と続く『出来事の羅列』。進まないストーリー。人と人との触れ合いは表面的。もう言っちゃなんだけど退屈。 ラスト盛り上がるのですが、『やっと着いた。早くレースやってくんないかな。』って思いに心が支配されちゃってて、今いち感動には至らず。やっぱ『テンポ』『リズム』『スピード』『バランス』は大事だと思います。 良かった点は、出会う人が皆親切で、心がほっこりすること。 ただしラブホに案内したタクシー運転手と花を10ドルで押し付けた女は意地悪でしたね。 アンソニー・ホプキンス演じるバート・マンローのいたって自然体な人柄も抜群に良かったです。 『人間の魅力』は満喫できる作品ですが、ストーリーはつまんない映画です。 実話ベースだって、映画にする以上、人に楽しんでもらうための工夫は必要ですよ。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-11 11:53:29)(良:1票) |
1069. シンデレラマン
《ネタバレ》 実話ベースで、伝記。剛速球で有無を言わさず感動させられた名作。 栄光、衰退、そしてまた栄光。一人の人生とは思えないくらいの激動の人生。そーゆー時代だったんですねぇ。 『株とタクシー会社設立』に手を出さず、堅実に生きていれば、もしかするとそこまで苦労しなかったんじゃ・・。なんて野暮な考えを吹き飛ばす、文句なしの王道サクセスストーリー。 また、夫婦の強い絆を描いた夫婦愛のドラマでもあります。タイトルマッチの前夜。生活がどんなに苦しくても、決して夫を責めなかった妻が、唯一激高するシーン。その理由は、危険な試合をしてほしくないから。家族を貧困のどん底に突き落としたライセンス剥奪のときでさえ、妻は教会で神に感謝していた・・!これぞ至高の愛。奥さんこそ、このストーリーのもう一人の主人公。 ポール・ジアマッティ演じるジョー。彼もまた素晴らしかった。『もっとジムを助けてやれよ』と思っていた自分が恥ずかしくなるくらい、彼も生活に困窮していた。まいった。『最後の家具を売り払って、ジムのトレーニング費用を作った』って、いったいどこまで感動させれば気が済むんだ。もう、この作品にはあまりにも見せ場が多すぎます。 ピンチヒッター戦、ラスキー戦、タイトルマッチ、何もかもがベストバウト。前予想を覆す試合ってのは、かくも感動するものです。 ラスキー戦で、KOされそうになったとき浮かぶ、苦しかった生活、子供達の顔、たまらないですね。そこからの逆転劇。 そう言えば、どん底だったジムに手を差しのべ、仕事場でかばい、ビールをおごったマイク。そのマイクの死のエピソードだけは救いがなくてつらいです。ですがそれもこの時代の一つの真実なんでしょうね。 私が一番涙したのは、お金を恵んでもらいに行くシーン。ジムが唯一悔し泣きをこらえるシーン。そしてこらえることができなかったシーン。男の悔し泣きはマジでやばいっす。 この映画は人生の喜怒哀楽をすべて表現しています。 これを見た後は、『自分はなんて恵まれているんだ。』と思えて、その日一日めっちゃ頑張れます。 でも一日経つと忘れる。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2017-06-09 02:11:06)(良:1票) |
1070. ソウ
《ネタバレ》 前半かったるくて、中盤少し面白くなってきて、後半俄然盛り上がるソリッドシチュエーションスリラー。 こーゆー閉鎖的な空間でのホラーって、低予算でハイリターンとれそうだから、いいですね。 見る前は、『追い詰められた人間の狂気』、そういうものを見れると思っていました。ですが蓋を開けてみると、意外と普通。それもそのはず。雰囲気、プロットは『ホラー』であり『サスペンス』なんでしょうが、どうもこの作品、『ミステリー』の要素が大分強いと気付きます。ですから登場人物はいたってまとも。アダムもローレンスも人道的で理性的。そして常識人。シチュエーションはパンチが効いていますが、ストーリーはかなり正統派のミステリー作品で、手堅く作ってある印象です。予想とは違った種類の面白さでした。 ですから、恐怖感よりむしろ、あまりにも汚い空間への嫌悪感が先にきます。 私は、グロ耐性はあるのですが不潔耐性は全然ない。バスタブ、トイレ、何もかもが汚すぎ。ノーマルな自分でさえ引くくらいですから、潔癖症の人はマジで見ないほうが良いでしょう。『何が出るかな、何がでるかな』で、トイレに手ーつっこむんじゃねーって、もうほんと勘弁してほしい。 それにしても最後のオチは全然予想できなかったので素直にびっくり。それに他の方の解説レビューを読んでて『アダムが一部共犯説』という意見を見て、二重にびっくり。『あーそーゆーことかー。』と思いはするものの、何だろう、真相がわかったときの『すっきり感』がいまいちしない。考えてみるに、私にとってこのストーリーがたいして面白くないからだと思います。 だって、『ジグソーの、死ぬまでにしたい10のこと』に、つきあわされただけですもんねぇ・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2017-06-08 10:23:55)(良:2票) |
1071. ミニミニ大作戦(2003)
《ネタバレ》 スパイじゃないけど、テイストはスパイもの。 チームのメンバーが『リーダー』『金庫』『パソコン』『ドライバー』『爆弾』、飛び入りで『メカニック』と、最小限に抑えたのは良かったですね。とは言え、ジェイソン・ステイサム以外のメンバーもめっちゃ運転上手くて、彼の個性は殺されちゃっています。 冒頭でドナルド・サザーランドがあっさり退場しちゃったのも凄く残念。 そしてエドワード・ノートン。素晴らしい小物っぷり。頭は良いが、意志が弱く、信念がなく、銃と暴力に頼り、スマートさの欠片もない。なんてわかりやすい小悪党。彼がしょぼければしょぼいほど、チャーリー一味のスマートさが際立ちます。 それに、今作のノートンは良い意味で存在感をノーマルにしてくれたので、最初気付きませんでした。正確に言うと、『誰だっけこの人?』くらいの感じです。逆に、なぜかジェイソン・ステイサムのほうが裏切りそうな人相していたので、最初のサプライズはものの見事に、はまりました。もしかするとこのサプライズに驚いていたのは日本で私だけかもしれませんが。 まあなかなか良作だとは思いますが、『スパイもの』としてはいたって平凡。突き抜けたところはありません。 無難にそつなく、面白くなってはいますが、映画そのものが『ミニミニ大作戦』といったところでしょうか。 キャストが豪華メンバーなので、内容的にはB級でも、雰囲気的にはA級のオーラでまくりです。 ラストはこれ以上ないくらいすっきりとした仕上がりで、良いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2017-06-06 05:00:07)(良:1票) |
1072. 夢駆ける馬ドリーマー
《ネタバレ》 サクセスストーリーとして王道中の王道。 丁寧な脚本、演出。優等生。優等生すぎると言っても良い。あまりにもお利口さんすぎるがゆえに、起伏が少なくメリハリに欠ける気がします。映画としての面白みに欠けると言い換えても良いでしょう。まったりと見る分には良いと思いますが。 厳しい見方をすると、この作品には決定的な『ウリ』がありません。 ですが、役者さんたちは皆一様に素晴らしい。ベンにしろ、ポップにしろ、マノリンにしろ、バロンにしろ、魅力のある人物ばかり。もちろん、ダコタ・ファニング演じるケイルは言うまでもありません。正直、彼女とカート・ラッセル、デヴィッド・モースが出ているので見ちゃったくらいです。 ですから、当然映画としては、悪くありません。 ラストではカタルシスだって感じられます。 でもラストを除けば、盛り上がるシーンはほとんどありません。心の底から感動するようなシーンも少ないです。 家族の絆を見せることに、力を注ぎすぎちゃったのかもしれませんね。 なんにせよ、あまりに小奇麗にまとまりすぎてしまっています。ラスト以外にももう少し見せ場が欲しいものです。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-05 03:24:23) |
1073. バイオハザード(2001)
《ネタバレ》 まず、私はこのゲームのファンです。 とは言え、『初期』の、です。『1』~『3』、そして『アウトブレイク』ぐらいまで。 この作品は、そのゲームの雰囲気が感じられる作品です。 例えば、『レッド・クイーン』の電源を落とした瞬間のシーン。施設内のロックが次々とはずれていく様子を、短いショットで見せてくれます。これ、ゲームと同じなんです。『新しい場所へ行ける。』と同時に、『新たなる恐怖の始まり』でもあるこの瞬間。目的を達成したはずなのに、皮肉にもそれが惨劇の幕開けとなる。そう、この期待をはらんだ独特の緊張感こそ、バイオハザードの面白さなんです。 『ゾンビ』に加え、『ゾンビ犬』や『リッカー』など、ファンにはおなじみのクリーチャーを出してくれたことも嬉しい。そして出しすぎなかったことはもっと嬉しい。製作者のみなさんがもし原作のファンであるならば、登場させたかったクリーチャーはもっといたはず。それをぐっとこらえてくれたので、今作では『ゾンビ』、『ゾンビ犬』、『リッカー』を存分に堪能することができました。これには感謝。そして他のクリーチャーは、きっと続編で出てくれるのでしょう。 また、主人公グループが『エージェント』だったり、『特殊部隊』だったり、極めて戦闘能力が高いので、ゾンビやクリーチャーと対等なバトルを繰り広げるのが楽しいです。 その中でも、圧倒的な強さを見せるアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。アリスが強ければ強いほど、ホラー的緊張感が損なわれるのは事実ですが、それを補ってあまりある爽快感を感じられます。 また、普通のゾンビ映画であれば、味方の感染者を除いて、『ゾンビ』は初めから『ゾンビ』。それをこの作品では冒頭で『生前』を見せています。これは従来のゾンビ映画にはなかった新しい試みだと思うのです。ゲームで言うなら、『日記』のような演出にあたると思います。『マットの妹』にしろ、『水死体の女性研究員』にしろ、エンターテイメント色の強い本作において、悲劇のドラマをブレンドするこの演出は、大変効果的かと思われます。 結果この作品は、『アクション』『ホラー』『ドラマ』『スパイサスペンス』『ミステリー』各ジャンルのバランスが完璧にとれた傑作となっています。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2017-06-04 22:57:25)(良:1票) |
1074. バタリアン4
《ネタバレ》 エンターテイメントとしても、ホラーとしても、ちょっとつめが甘い作品。 前半は時間をかけて丁寧に。悪く言えばダラダラ。そして後半、『いよいよ始まるのか?』って予兆を感じさせる間もなく、気付けばあふれ出るバタリアン。なんか丁寧に作るところを間違えている気が・・・。映画における時間配分に異議アリですね。 映像はさすがに今までのものとは雲泥の差で、とってもクオリティが良くなっていて嬉しい。その一方で、シナリオの練り方、演出の拙さが気になります。 バタリアン化&機械化される両親と再会。これはちょっと面白くなってきたぞと、誰もが期待を膨らますでしょう。そしてその期待は裏切られます。息子との心の絆で、他のバタリアンを蹴散らしでもしてくれたら面白かったと思うのですが、ただの敵。しかもそのやられっぷりといったら、モブバタリアンと大差なし。なんてもったいない。 それに、バタリアン化した友人と、両親のバタリアンがいつの間にか仲間になっている経緯も不明。叔父がなぜ両親のバタリアンを解放したのかも不明。生物兵器研究エリアで銃がたくさんあったのに手に入れないのも、『ホラーあるある』ではありますが、非合理的すぎてつっこまざるをえない。もうね、後半になるほど突っ込みどころが増えるのですよ。 前半に時間をかけず、その分後半のパニックや人物描写、感情表現を丁寧に描いていれば、B級ながら傑作になりえた作品です。 また、ストーリーが『巻き込まれがた』や『自然発生型』ではありませんから、どうしても自業自得感がつきまといます。 まあいろいろ文句ばかり並べてしまいましたが、ゾンビ映画としては、結構良いです。 見たいものをちゃんと見せてくれます。それはグロ描写だけではありません。 『パニック』『反撃』『脱出』。このサバイバル要素があるかどうか。これが凄く大事です。 そういった意味で、この作品、なかなか旨みがありますね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-04 02:25:45) |
1075. マッハ!!!!!!!!
《ネタバレ》 カンフー、というかムエタイですが、かなり真面目なアクション。 スピード感あり。アイデアあり。迫力もまあまあ。ストーリーはいまいち。なにせ『盗まれた仏像の頭を取り返す』というだけのものです。 それに、ハムレイが序盤かなりイライラさせる。ムエは悪くないのですが、なんだかいてもいなくても良い感じ。姉が死んだときもハムレイが死んだときも同じリアクションで、死ぬのは姉だけでいいんじゃないでしょうか。 ハムレイが死に、ティンが出家して、で、ムエはどうなったかわからないラストはかなり中途半端です。 つまり、アクションは凄い、けど、シナリオの練りはいまひとつ、といったところです。これだったら、『正義』や『人情』で戦うジャッキー映画、ジェット・リー作品のほうが、カタルシスが得られて良い。『怒り』を私達が一緒に感じられるかどうか、これはアクションにおける重要なポイントだと思うのです。 また、『スローモーション』と『リプレイ』が好きじゃないです。個人的に。この作品も他のカンフー映画同様かなり多用されています。その結果、軽快なテンポを犠牲にしています。たとえ『凄いアクション』であっても、『映画作品』であるならば、ストーリーの一部として見せるべき。もっと言うなら、当たり前のようにそーゆーアクションを見せるのだから、人に感動を与えることができるのだと思います。 いつまでたっても『スローモーション』と『リプレイ』は作り手の自己満足と自意識過剰が目についちゃって、好きになれませんね。 『曲芸鬼ごっこ』『なんちゃって天下一武闘会』など、見所が多いのは確か。 とは言え欠点も多いため、良作と言えるかどうか微妙なラインの良作です。 [DVD(吹替)] 6点(2017-06-01 12:48:05)(良:1票) |
1076. ロード・オブ・ドッグタウン
《ネタバレ》 勝手に爽快なサクセスストーリーを期待して見てしまったがために、予想とは大きく違う内容に、期待を裏切られる結果となりました。 スポーツとしてのスケボーを楽しむというタイプの作品ではないみたいです。 どちらかと言えば、スケボーを起点としたそれぞれの人生の在り方、捉え方を淡々と表現しているだけ。 幼馴染?のジェイ、ステイシー、トニーの3人。知名度が上がったことをきっかけに、それぞれ違う道を選択します。違う立場で3人が接する後半は、青春映画ならではの『切なさ』や『ほろ苦さ』みたいなもんが満ちています。特にステイシーとトニーは、成功しているはずなのに、なぜか失くした物のほうが大きい、みたいな、そんな感覚。 スポーツ映画としては物足りないです。 理由。技量。人物。そのどれもが説明不足であり描写不足だと思います。 あれよあれよという間に雑誌に載り、ヘッドハンティングされる。いつの間にか超有名人で、ちやほやされている。なんでしょう、この違和感。 トニーやスキップはわかりやすいのですが、ステイシーやジェイは何をしたいのかがさっぱりわかりません。二人がそれぞれの選択をしても、それが二人の目指していたゴールなのかどうなのか、それすらようわからんのです。人物の心が描けていないのですから、カタルシスも生まれるわけがありません。 『こーゆーことがありましたよ。』っていう事実をただ並べるだけなら、それは映画とは言えない代物だと思います。 個人的にはスキップのエピソードが好きです。 スキップが終盤で、他の人の店でボードを作成しているシーンが、凄く心に残っています。 青春は、何も十代の少年少女の特権ではないのだと感じさせてくれる名シーンです。 [DVD(字幕)] 5点(2017-05-29 14:01:04) |
1077. コーチ・カーター
《ネタバレ》 実話をベースにしたスポーツ系サクセスストーリー。好きなジャンルです。 バスケ部OBのケン・カーターという人物が、母校の落ちこぼれバスケットボールチームのコーチを引き受けます。この流れ。てっきりバスケット中心の物語かと思うじゃないですか。いえいえ。この作品はもっともっと意義のある作品でした。 『チームとしての成長』+『規律』『礼儀』『モラル』『学業』。この作品は教育の本質に迫るドラマです。 カーターは教育者ではありませんが、誰よりも教育者らしい教育者。彼が作ったルール、指導、契約はすべて選手達の未来を見据えたもの。それは一時の勝利の更に先にあるものでした。 『選手』『保護者』、更には味方であるはずの『校長』からさえも支持してもらえない四面楚歌。 それでもゆるがないカーターの信念。そのうちに、一人、また一人とカーターの信念を理解しはじめていく、その展開は本当に見る者の胸を熱くさせてくれます。 そして物語は最高のクライマックスを迎えます。 私にとってのクライマックスは『体育館』。皆が勉強しているときでした。そこからのクルーズの独白。あまりにも臭い演出なのに、もう聞き入っちゃいましたね。ここが最っ高に感動します。個人的にはここで映画が終わっても良かったくらいです。 人は自分が生まれる場所を選べない以上、大人たちが作る地域社会性というものがいかに重要か、この作品を見ると本当によくわかります。そしてそれ以上に、親の姿勢のあり方、これが重要なのだと思います。 貧富の差、境遇は、すぐには良くならないけれど、『考え方』『意識』、そして『生き方』はすぐにでも変えられる。 そう思わせてくれる映画です。実に良い。 [DVD(字幕)] 9点(2017-05-29 02:37:15)(良:1票) |
1078. 旅するジーンズと16歳の夏
《ネタバレ》 オムニバス形式に近い構成のドラマですね。 4人のエピソードはそれぞれに独立していて、直接交じり合うことはありません。 ジーンズに添えられた手紙を通して、お互いの話を聞き、共感し、時には背中を押してあげます。ただそれだけ。 それは現実世界にはわりとよくある話。それに、4人のドラマが交錯することがない以上、シナリオとしての面白さはありません。 また、映画としてスケールが大きいわけでもありません。 はっきり言って、『なぜわざわざこんなものを映像化するの?』という内容です。 ですが、なぜか目が離せません。 こんな地味なエピソードの羅列に、ずっと興味をそそられっぱなしです。不思議なものです。 リアルを感じさせるストーリーというのは、ともすれば『退屈』と紙一重。本作は主人公一人一人が『よくあるプロット』の中、真剣に考え、悩み、行動し、それぞれの答えを探り当てていくので、そこに深い共感を覚えるのかもしれません。また、4人の友情は本物で、こそばゆくもあるのですが、見ていて気持ちが良いんです。 ティビーのエピソードは『病気で死ぬ少女』をだしに涙をさそうあざといものです。ですが少女と接するティビーの姿が非常に良くて、素直に感動します。 カルメンの『父親とその新しい家族』に対して思いをぶつけるエピソードも良い。『ドレスの試着でキレるシーン』『父親への電話シーン』など涙をさそうのですが、何といっても『石を窓にぶつけるシーン』、これが素晴らしい。自分を探しているのかと思ったら、自分のことなんかそっちのけで家族団らん楽しむファミリー。言葉ではなく映像で、カルメンの心の傷が手にとるようにわかってしまうのです。 ストーリーとして面白いのはこの二人でしょう。 リーナとブリジットのエピソードは第三者が見て面白いものとは言い難いです。 ですがリーナを演じるアレクシス・ブレデルが驚異的な可愛さ。ストーリーなんかどうでもよくなります。 ちょっと評価が難しいですが、主役の4人がそれぞれ良い個性を出しながら、その友情も見せてくれるので多分良作。 ただ映画として突出した部分がないのも確かなので、見る人によっては凡作かそれ以下になるのも致し方ないでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-28 12:11:26)(良:1票) |
1079. バタリアン リターンズ
《ネタバレ》 『2』と同じ点数をつけましたが、好みで言えば『2』のほうが好きです。 一応『3』にあたるこの作品。タイトルを変えているだけあって、『1』『2』とはまるで方向性が違います。 『ゾンビ』にしろ『バタリアン』にしろ、私がこの系統の作品に求めるのは『サバイバル』『パニック』なので、この作品はいまいち好みと合致しません。かなり内輪の揉め事に終始していて、フィールドが狭い。パニック要素が弱い。不特定多数の人々を巻き込んでこそ、盛り上がるというもの。 ただ、その狭いフィールドの中で起きるトラブルは、結構なクオリティで魅せてくれます。 『最初の実験体の惨劇』『撃たれた店主の捕食及びバタリアン化』『リバーマンを食べてしまうヒロイン』など、どれも一見の価値はあると思います。グロさはまあまあ、ストーリーも悪くないので、スプラッタ系ムービーとしては十分楽しめるものに仕上がっていると思います。 私はメインのストーリーが『ラブストーリー』だと、どうしても気持ちが乗り切れません。 それに、彼女の死は自業自得も良いとこです。更には主人公である彼氏のあまりに身勝手な行動。たとえB級であっても、主人公にはある程度の常識人を置いてもらわないと、共感も同情もできません。 ある意味、彼氏のエゴを最悪の形で表現した究極のDV作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-27 10:35:12) |
1080. テキサス・チェーンソー ビギニング
《ネタバレ》 もう最っ高ですね。前作とは比較にならんくらい攻めてます。ってゆーかここまで見せちゃうなんて頭おかしーんじゃないのってレベルです。悪趣味の総決算です。 『これはだれの舌だい?』『何のためにこんなことするんだい?』『バランスだよ。』セリフもクレイジーです。 前作では多少誤魔化しちゃった惨殺シーンも、今作では全くの躊躇なし。もうばっつんばっつんいってます。 『悪魔のいけにえ』と言えば、狂気の象徴とも言うべき『晩餐シーン』が個人的に好きなんですが、今作にはばっちり入っていますね。 両足を切断されるおじさんに、舌を切り取られちゃったもう一人のヒロインなど、狂気がもう止まらない。 サブ的に登場するアウトロー男女、これもストーリーに良い変化を与えています。 反吐が出るような残酷なシーンの連続のなか、時折はさまれる爽快なシーン。 これぞスプラッタムービーの最高峰。 窓から飛び出すシーンなんかは、初代『悪魔のいけにえ』へのオマージュも感じさせます。 『ビギニング』ですから、わかっちゃいたけど『目撃者0』。つまり『生存者0』ってことなんですよね。 クライマックスの、希望から絶望への切り返しは息を呑む完成度。 バッドエンディングは嫌いですが、これは完璧。 でも二度と見ないけどね! [DVD(字幕)] 9点(2017-05-25 11:08:39)(良:1票) |