1081. バックドラフト
音楽は重厚なのに、ストーリーはきわめて陳腐。特に、これ以上はあり得ない安直な“オチ”に脱力してしまいました。デ・ニーロの存在感も薄いし。よくある警官アクションものを消防士に置き換えるというアイデアに陶酔し、炎のシーンを何度か撮るだけで満足しちゃったという感じです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-08-25 23:02:25) |
1082. バロン
素直に面白い。ふだん「映画はリアリティこそ大事」と思っている当方ですが、ここまでぶっ飛ぶと脱帽するしかありません。しかもその中に、「賃金上昇率は2・5%」とか「大陸間弾道弾を開発中」など妙にリアリティのあるセリフもあって笑わせてくれます。一般に「人の見た夢の話はつまらない」ものですが、それは「語り部による」ということがよくわかりました。同時に、日本の昨今のドラマや映画がなぜくだらないのかもわかった気がします。即ち、現実世界を舞台にした中途半端なファンタジーだから。やるなら徹底してやらないと。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-08-22 15:44:34) |
1083. シャレード(1963)
テーマ曲と3人の悪党がいい感じ。ちょっとマヌケなところが憎めません。それに、「2度おいしい映画」なところもいい。オチを知った上でもう一度最初から見ると、別の楽しみ方ができます。伏線の張り方とか、いささかご都合主義のところとか。ただし、この作品のヘプバーンにあまり魅力は感じられません。何が悪いというわけではないけれど、けっこう当たり前の行動をしているだけ。「美人は3日で飽きる」の典型かと。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-08-21 00:18:08) |
1084. ボーダー(2008)
もう地位にも名声にも固執する必要のない2人にとって、映画出演は道楽でしかないのかな。特にアル・パチーノの場合、2000年以降の出演作のB級ぶりは異常。何かポリシーでもあるのでしょうか。 それはともかく、「30年間ずっとNY市の警官だった」と言われるより、「十数年前にロスでドンパチやった」「40年前はNYで父子だった」と言われるほうがリアリティのある悲しさよ…。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2012-08-15 01:53:12) |
1085. アキレスと亀
ものすごく薄~いコーヒーを飲まされた感じ。「日本より海外で高く評価されている」と称されるバリスタが、中品種な豆をそろえて淹れてくれたはいいけれど、うまく味を引き出せていないというか…。ひんぱんに人が死ぬのも、薄さをごまかすためにタバスコをぶち込むようなものか。それってもはやコーヒーじゃないですよね。 登場人物はいろいろ出てきますが、結局誰とも深く絡んでいません。だからドラマにもなりようがない。「才能はないけど芸術家志望の男」を捉えた“定点観測ビデオ”の域を出ていないように思います。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2012-08-05 17:26:34) |
1086. デジャヴ(2006)
荒唐無稽な話を大まじめな顔でやられてもねぇ…。というわけで、さして感情移入もできず。こんなマシーンが現実にできたら、世界中のあらゆる事件・事故は撲滅(または抹殺)できますね。メデタシメデタシ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-08-02 00:42:33) |
1087. レオン/完全版
人並みに「映画好き」を自称してきましたが、こんなすばらしい作品を知りませんでした。自らの不明を深く恥じ入るばかりです。主役3人のキャラ設定、呆れるほどの反社会性、ほどよいスリル感、スティングのテーマ曲、そして何より、三者三様のたまらない孤独感と全体に流れる寂寥感。何もかも完璧です。 本筋からはややズレますが、妙にツボにハマったのが、前半でジャン・レノが一人、ほとんど客のいない映画館で笑うシーン。アイロンがけや牛乳買いや観葉植物の手入れや銃の掃除は彼にとって日常でしょうが、映画だけはちょっと違います。いったいどんな思いで喜劇映画を選んだのか、そんな想像を巡らすだけで泣けてきます。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2012-07-27 23:43:38) |
1088. 88ミニッツ
いかにもB級な脚本と、無名&大根ぞろいの役者たちの中、なぜアル・パチーノが出演を決めたのか、興味はその一点に尽きます。拝察するに、自分が出て世間の注目を集めることで、無名&大根たちに飛躍のチャンスを与えようとしたのではないかと。そんな男気や親心を感じつつ、あの老体に鞭打って走ったり転んだりするシーンを見ると、けっこう泣けてきます。さすが“ドン”・コルレオーネです。あくまでも拝察ですが。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2012-07-22 23:04:32) |
1089. ワールド・オブ・ライズ
命懸け&汗まみれのディカプリオと、子育て中&左ウチワなラッセル・クロウのコントラストがいい感じ。ただし、いま一つ物足りないのは、全体に漂う「甘さ」のせいでしょうか。ディカプリオが妙にヒューマンでお人好し風。虚々実々の舞台で真剣な恋愛なんかしちゃダメでしょ。 少し前、テレビでビンラディン掃討作戦を描いたドキュメンタリーがありました。国防省の周到な準備といい、ホワイトハウスのタヌキぶりといい、現場に突入する精鋭部隊の緊迫ぶりといい、まさに「事実は映画よりも映画なり」という感じ。それに比べれば、この作品はまだまだファンタジーの世界。どうせ映画なんだから、現実をもっとデフォルメして、トラウマになるほど冷徹に、残酷に、シュールに描いてくれればいいのに。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-07-20 22:37:05) |
1090. マンデラの名もなき看守
テーマとしてはおもしろいのですが、インパクトが弱い。登場人物たちが有機的に絡み合っていない感じ。そもそも、なぜ看守氏がマンデラに傾倒していくのか、その理由がよくわからない。「ナントカ憲章」を入手して改心したのかもしれませんが、言葉ではいくらでもキレイゴトを並べられます。彼は民主党の「マニュフェスト」を読んでコロッと騙されるタイプかなと。 それに少年時代に黒人少年と仲がよかったエピソードも、わかったようでよくわからない。それによってもともと偏見が少なかったのなら、なぜ偏見なくして務まらないような看守の道を選んだのか。ドラマとしても、「偏見のない看守がマンデラに心酔しました」というのでは、「で?」と言いたくなるだけです。 一方のマンデラにとっても、看守氏が特別な支えになっていた感じはありません。別に彼かいようがいまいが、世界的な非難や国内世論を考えれば、解放に至る道筋は変わらなかったでしょう。というわけで、何か物足りなさを感じる作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-07-18 11:52:44) |
1091. アイランド(2005)
《ネタバレ》 興行的にはダメだったそうですが、けっこう楽しめました。途中までは「マッドマックス」と「トムとジェリー」を合わせたような感じ。ビルの70階から落下して無傷ってのがすごい。しだいに明らかになる壮大なスケール感は、さすが米国映画です。 しかし、何より興味深いのは「その後」。クローンたちが解放されてハッピーエンド風に終わっていますが、大変なのはこれからでしょう。世の中の事情を何一つ知らない彼らが、どうやって生計を立てていくのか。おそらく生活保護を受けるしかないでしょうが、ただでさえ貧困層に冷たい米国社会の議会が、果たしてそれを認めるでしょうか。それに、彼らが社会に散ったことが知れ渡れば、各地で「こいつはクローンか生身の人間か」という疑心暗鬼が始まります。とんでもない社会不安を巻き起こすでしょう。 しかも、発注元がセレブというのもやっかいです。おそらく彼らにとっては、迷惑な存在でしありません。そこでセレブだけに、いろいろ手を使って保身を図ろうとするはず。そのあたりから「彼らを人間として認めるべきか」という議論が沸き起こり、いっそ殺処分…。とサンデル先生ばりにいろいろ考えさせてくれたという意味で、たいへんおもしろい作品でした。ぜひ「アイランド2」に期待したいところです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-09 15:32:58) |
1092. 御用金
《ネタバレ》 とにもかくにも、仲代達矢の武士姿がカッコいい。その立ち居振る舞いに、凛とした芯の強さを感じます。袴姿で刀指してりゃ武士に見える、というわけではないことを実感。対する丹波も、私利私欲が目的の“悪代官”風情ではないところは好感。所属団体のためにこういう発想をするサラリーマンなら、ゴロゴロいそうです。 ただし、仲代が強すぎます。設定はリアリティがあるのに、チャンバラシーンは劇画のよう。それに丹波の側も、仲代を殺したいのか、生け捕りにしたいのか、逃したいのか、ガバナンスが徹底されていない模様。このあたりはウルトラマンや仮面ライダーに通じるものがある。 そして気になるのが、鯖江藩の行く末。仲代をヒーローに祭り上げるだけであっさり終わったけれど、あれだけ重臣や部下を大量に失い、肝心の御用金も奪えず、領民の信用も失い、おそらく幕府にもバレるとなれば、もう破産かお家断絶しかないでしょう。それが領民にとって本当にプラスだったのか、残された家臣やその家族はどうなるのか、よーく考えてみる必要がありそうです。「地獄への道は善意で舗装されている」とは、誰かの名言です。けっこうおもしろかったけどね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-28 15:49:50) |
1093. ビッグ・ウェンズデー
《ネタバレ》 予想外にハマりました。当方はサーフィンにまったく興味なし。前半の食堂やパーティのシーンでは嫌悪感すら持ったのですが、それも後半への“伏線”だったんですね。「老い」というには早すぎるが、ある程度年齢を重ねてくると、酸いも甘いもかみ分けて、昔のようなバカはできなくなる。そんな悲哀や焦りのようなものを、しみじみと感じさせてくれました。 特にラスト、せっかく久々に再会したのに、また握手ひとつでバラバラに去っていく場面が印象的です。この清々しさは、さすがにアメリカン。当方なら、きっと名残惜しくて「飲みに行こう」ぐらい言うと思うですが。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-20 00:55:08) |
1094. 恋するトマト
秀作でした。ギャラの高い美男美女なんかいなくても、あるいは壮大なセットや誰かが壮絶に死ぬようなシーンがなくても、地に足のついた脚本さえあれば十分におもしろい作品になるということを、見事に証明している気がします。けっして万事解決せず、問題は問題として残したまま終わる点にも、作り手の良心を感じます。名前ばかり先行し、リアリティのカケラもない浮ついたシナリオばかり書いている脚本家は、この作品を見習うべき。まずは畑仕事からやりなさい。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2012-06-13 14:47:40) |
1095. 秋刀魚の味(1962)
小津作品というものを初めて見ました。セリフ回しは妙にキツいのに、ストーリーとしては温かいという、独特の世界観ですね。ふだん殺伐とした映画ばかり見ているせいか、中盤あたり、そのうち佐田啓二が岡田茉莉子にゴルフクラブで殴りかかるんじゃないかとヒヤヒヤしました。 個人的には、岩下志麻の美女ぶりより、笠智衆のイケメンぶりより、東野英治郎の老けぶりが好き(実は笠より年下なのに!)。あの黄昏感・孤独感がたまりません。しかし、登場人物の多くはもう鬼籍に入ってるんだよなぁ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-10 02:01:43)(良:1票) |
1096. ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
太宰治ファンを当てこんだ、見え透いたあざとさが鼻につきます。前半はセリフまで原作どおりだったりするのに、後半になると一転してオリジナルな展開。それも太宰本人のエピソードをデフォルメしたようなストーリーで、原作を破壊していきます。原作に堤真一(弁護士)なんて出てきません。妻夫木は出てくるが、あんな好青年じゃありません。もっと太宰作品らしい、人間くさいキャラです。それに、大谷にさくらんぼを「まずそうに」食べさせ、サチに「グッドバイ」と叫ばせ、ラストは原作どおりのセリフで幕。まるで落語の「三題噺」を見ているようでした。ただし、広末が意外によかった。あの風貌も、カゲやトゲのあるところも、よく似合ってました。こういう役をもっとやれはいいのに。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-06-03 17:06:42) |
1097. アルマゲドン(1998)
冒頭に「ER」の看護師ヨシ・タカタ、前半にDr.アンスポーを発見して、ちょっと嬉しい気分。興味をそそられたのは、この2シーンだけです。でも、この開き直ったようなバカッぽさは、嫌いじゃない。 [地上波(吹替)] 6点(2012-05-30 01:43:34) |
1098. 相棒 -劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜
「パクリ」とまでは言いませんが、ちょっと前のNHKのドラマ「外事警察」からヒントを得たのかな、という感じ。あちらのほうが緊張感は上でしたが。 それはそうと、当方はドラマ未見なのでよくわからないのですが、この作品に及川は必要だったんでしょうか。「ならでは」の見せ場もなかったし、キャラも立っていない気がしました。「相棒」というより、「アシスタント」「お抱え運転手」「手下」という感じではないかと。 [地上波(邦画)] 5点(2012-05-15 05:31:19) |
1099. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
《ネタバレ》 悲劇の親父・西田敏行はいったどんな顔をして、チェスの華麗で愉快なトリックを考えたんだろう。どうせなら、そのシーンを見たかった。どんな名優でも、演じるのは難しいだろうなぁ…。ドラマは未見、きっと今後も未見。 [地上波(邦画)] 2点(2012-05-11 16:44:58) |
1100. 三銃士(1993)
サプライズのカケラもない予定調和なヒーローもの。こういうのはキムタクにでもやらせておけば十分でしょう。当時絶好調だったはずのC・シーンが、どうしてこんな“地味”な役を引き受けたのか、いささか疑問です。それと、やっぱりJ・バウワーには剣より銃が似合いますね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-04-30 11:38:38) |