1121. 切腹
《ネタバレ》 哲学の問題で、「家族が病気だがカネがない。薬を泥棒するのは許されるか?」という問題があったような。プライドを捨てた武士とメンツを守りたい大名。各々に義はあるのだが、やはり家族の為とはいえ、タカリ・ユスリはまずいだろう。井伊家に配慮が欠けていたのは確かであるが、当時の対応としては間違ってはいないだろうし。そして、家族愛からの復讐劇。これも大儀に欠けており、井伊家にしてみれば迷惑な話でしかないのだが、家族というエロスの関係は大名のメンツや主従関係といったロゴスの関係を超越するものであり、理屈や道理もへったくれもない。この点で忠義の復讐である忠臣蔵とは異なっており、井伊家に悪意や大きな問題があったわけでもなく、復讐劇としては爽快感はない。組織に生きる裏表のある窮屈な人生の滑稽さを、貧困の自由人が暴いてはいるのだが、殆どが組織人である鑑賞者はどちらに感情移入するのだろうか?「仕官を焦るな」に何を感じるか? にもよるだろう。 人生とは何か?生きるとは何か?という事を訴えるくれるという意味では貴重な作品ではあるとは思う。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-17 11:01:04) |
1122. キツツキと雨
息子と同世代の映画監督との交流を通じて、最終的には息子と和解していくという話なのだろうけど、ちょっと説明不足でわかりにくい。息子の存在感が監督に比べて弱いし。「映像で感じろ」という事なのかもしれないが、もう少しストーリーに抑揚があってもいいような。ちょっとアッサリしすぎてるし。父子の葛藤ってこんな簡単なものではないし、そう簡単に和解できるものでもないでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-04-16 10:31:46) |
1123. 築城せよ!
一見バカげた設定・ストーリーのようにも思えるが、過疎化に悩む地方都市の問題や、封建主義と民主主義の対比、過去と現在の主従関係の違い等々、意味深で風刺も効いてる。カネをかければもっと面白い作品になったであろう。 [地上波(邦画)] 7点(2015-04-15 11:31:56) |
1124. 浪人街(1990)
バブル真っ盛りにこういう時代劇が製作された事に驚く。ただし、役者陣に魅力はあるものの、ストーリーは冗長でテンポが悪く間延びしている。もうこういう時代劇は作れないんだろうな。昔と今では役者の迫力が違うし。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-04-15 09:58:04) |
1125. はじまりのみち
どこまで事実なのかわからないが、ちょっと話がデキスギなような気もする。音楽や映像も戦時中を感じさせない。ロングショットの宮崎あおいの不満そうな態度・表情はよかったけど。 言いたい事は木下作品への賛辞のみならず、人間の喜怒哀楽も自由に描けない時代の窮屈さへの反論と、表現の自由の堅持へのメッセージなのかなと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-14 23:01:54) |
1126. ブレードランナー/ファイナル・カット
《ネタバレ》 ロボットが感情を持つ系に初めて触れた作品。中学時代に劇場で見たときはわけがわからず、それ以降敬遠していたのだが、30年ぶりに再見。映像も暗いしテンポも悪くちょっと退屈なのは相変わらずではあったが、年を重ねると見方も変わる。通常ロボットに寿命はないハズなんだが、そのロボットが死の恐怖に怯えるというパラドクス。人間もいつかは死ぬ事は確実なのだが、普段はそれを意識しない。意識するのは大災害に遭遇するとか、大病するとか、70歳過ぎてからだろう。若い時には難しいが、中年ぐらいからは、人生は短い、人間いつかは死ぬ、それを常に意識しながら生きるべきなんだろう。「惜しいですな。彼女も。短い命とは。」の台詞が響く。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2015-04-13 13:10:39) |
1127. 横道世之介
原作にあった青春の葛藤や痛みみたいなものが感じられず(法政・水泳・長崎等々著者の自伝的要素も含まれているような)、田舎から上京してきた世間知らずの人のいい大学生のように描かれてしまった事には違和感があった。が、さすがに映像の力というかバブル時代のノスタルジー感は満載で、『三丁目の夕日』に感動する団塊世代を揶揄できないなと。(遠景のシーンでは近代的マンションが映りこんでしまって、やや粗もあるのが難点。) オチを知った上での台詞や展開を楽しむ事の有意義を感じながら見ていたら中盤でマサカのネタバレで、過去と未来が行ったり来たり。でも、こういう製作手法もこれはこれでよかったのかなという気もする。 横道世之介に対する関係者の想いもそれぞれで、存在すら忘れたり、存在だけは覚えていたり、存在が忘れられなかったり。出会いがあって関係を構築しても、それを維持できなければ死ですら影響を与えられないのだなあと思うと、何とも切ない気持ちになる。 初見のインパクトは弱いが、こういう映画ってあとからジワジワくるんだよね。自分の過去も彷彿とさせるし、夢に何度も出たりして。 中年にはそれなりに響く作品なのかと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-11 23:13:09)(良:1票) |
1128. シャーロット・グレイ
田舎町でこんなに美人でスタイルがよかったら目立ちすぎてスパイは勤まらないだろ!とツッコミたくなるが。いつの時代も権力によって人は翻弄される。保身から権力に擦り寄る者、権力と戦う者。中立的に生き延びようとする者。各々の心理描写もよく出来ていて、派手な戦闘シーンはないものの、戦争の恐ろしさや人間の醜さ等は十分に伝わってきた。吹き替えだったのでわからなかったが、オリジナルは英語なんですね。フランスで英語しゃべるのは違和感あって、それはちょっとシラケルかな。 [地上波(吹替)] 7点(2015-04-10 13:03:43) |
1129. ラブファイト
ボクシングを軸として、若者と中年の恋愛を描いている点は興味深いし、各々の役者にも魅力はあるのだが、作品としてはどうも消化不良というか、盛り上りに欠けるというか。 誰が主役なのかわからなくなって焦点ボケしたというか。 古臭いという見方もわからないでもないが、こういうテイストはキライではない。でも若い人にはあんまりウケないのかも。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-10 11:07:46) |
1130. 帰郷(2004)
《ネタバレ》 千葉の田舎漁港から東京に出た独身30男が何も変わらず純朴なまま帰郷する。で、離婚して子連れで戻ってきた女に騙される。30過ぎると人生もいろいろ分かれてきて、人生がうまくいかない自分を肯定できなかったり、変わらぬ同級生に嫉妬したり。 ちょっと安易に騙されてしまったような気もするし、後味もよくはないのだが、南房の風景が荒涼としててなんとも言えない雰囲気がある。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-09 11:08:59) |
1131. ジョー・ブラックをよろしく
死神になってブラピの人間性が全く変わってしまったのに、2人が惹かれあう理由がよくわかりませんでした。女優はよく知らない人でしたが美人なのでその点では楽しめましたが。「死と税金からは逃れられない」という台詞は印象的ですけど、せっかくの蘇り系のプロットを生かしきれなかったような。 [ビデオ(吹替)] 4点(2015-04-09 09:32:23) |
1132. レインマン
学生時代に劇場で見て以来の再見。当時はそんなに感動しなかったので、中年になってどうかなと思ったが、あまり変わらなかった。弟の心変わりのようなものがうまく表現されていないというか、本当に兄を引き取って一緒に暮らしていく覚悟のようなものが感じられなかった。兄に特殊な才能もなくて、カネも稼げなかったらどうなんだろうか?という疑問も残る。本人もよくわからず、感情的に一緒に暮らしたいという判断をしたのかもしれないが。結局まわりの大人が冷静な判断をしたという事なのだろうけど。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2015-04-07 10:12:55) |
1133. カラスの親指
原作は楽しめたのだが、映像化されるとここまでテンポが悪く、原作にあった躍動感・疾走感がなくなってしまうものかなあという印象。配役も総じてよくなかったかな。道尾秀介は売れっ子作家のワリには映画化されたのはこの1本のみで、映像化しにくい作家なのかなあと思ったり。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-04-05 14:38:02) |
1134. 九ちゃんのでっかい夢
今見ても色褪せない倍賞千恵子の美しさ、可愛らしさ。が、それ以外はどうしようもない。山田洋次も変な作品を制作してしまったなあ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-04-05 12:22:07) |
1135. 天国から来たチャンピオン
《ネタバレ》 30年ぶりぐらいに見たが、「蘇り系」の作品として面白かったという記憶だけあった。中年になって見ると、悔いの無い死などはるはずもなく、そして人間いつ死ぬかわからないし、やり直しもきかないという事を痛感させられる。これが「蘇り系」の作品の魅力なんだろう。富豪は嫌な奴だったので殺したくなんたんだろう。でも変化に気づいて妻も改心という展開だとさらに面白かったんだけど。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-04 11:24:47) |
1136. 徳川家康
同じ原作者の『風雲児 織田信長』の錦之助は勢いがあってよかったんだが、6年経過するとずいぶんオッサンになってしまって、ちょっと見劣りするな。『家康』という題名で桶狭間までしか描かれていないのもどうかと思うが、ここから大阪の陣まで戦い抜いたというのはさすがにしぶとい武将だったんだなと思わせるものがある。 <追記>8年ぶりに再見。前回は信長中心に見てしまったが、家康の欣也も若武者らしいよい演技をしているし、秀吉の山本圭も中々の存在感。原作未読だし、どこまで忠実なのかはわからないが、史実に照らし合わせるとかなり脚色されていてツッコミどころは満載だが、演者の存在感でそれなりのレベルには仕上がっている。「時代劇」も現代風にアレンジされがちではあるが、やはりこういう昭和感漂う作品の方が安心・安定感はある。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-03 09:48:45) |
1137. ジャッジ!
説教クサくてコメディーになってない。トヨエツは面白いけど。トヨタのCMは石田徹也のパクリって感じでどうなの?って思うが。 [ビデオ(邦画)] 4点(2015-03-28 12:46:42) |
1138. フライド・グリーン・トマト
黒人解放→女性解放という時代の移り変わりを描きたいのだろうけど、原作では同性愛がテーマらしいので、同性愛解放までは作品として描けなかったというのが91年当時の限界でなんだろうか。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2015-03-27 12:22:20) |
1139. スリーデイズ
ドンキホーテを引き合いに出して、「理性より正義。それが独りよがりだと狂気。が絶望に生きるよりマシ」というコンセプトはいいいんだが、内容的にはご都合主義的逃亡劇。 [地上波(吹替)] 5点(2015-03-27 10:00:30) |
1140. アイランド(2005)
《ネタバレ》 アクション逃亡劇と割り切ればそれなりの面白さ。気になったのは記憶の刷り込み。そんな事したら感情が芽生えるに決まってる。臓器目当てなら家畜のように餌だけ与えて育てりゃいいのに。でもよく考えると、脳障害が起きた場合はクローンとの交換は不可能なんだな。記憶の違いによって肉体は同じでも別人になる。認知症や記憶喪失がそれに近いのだろうけど。そういう事をテーマにしたら面白かったのに。 [地上波(吹替)] 6点(2015-03-26 09:55:46) |