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プロフィール
コメント数 2335
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 53歳
自己紹介 お世話になっております。
今年もよろしくお願いします。


※映画とは関係ない個人メモ
2025年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1141.  さや侍 《ネタバレ》 
妻に先立たれた野見は、抜け殻でした。それは本身を持たない鞘と同じ。だから“さや”侍。辛い現実を耐えかねた男は、あらゆることから逃げ続けます。背中を斬られ、頭を撃たれ、首の骨をへし折られても、なお死ななかったのは、死という現実からも逃避していたから。しかし30日の業を終えた彼は、自分という刀を取り戻します。愛娘や門番たちと芸を考案し続けた日々。何かを生み出すパワーが、あるいは奇妙な友情が、親子の愛情が、男を甦えらせました。現実と向き合った侍が、逃げ続けた日々の清算をしようとするのは当然の流れ。斬られたら、撃たれたら、へし折られたら、死ぬ。その摂理に、遅ればせながら従います。切腹は必然でした(劇場版『クレヨンしんちゃん』の某作品と同じと理屈と考えると分かり易いです。あるいは『ジョジョ』のブチャラティ)。鞘は大切なものを守るためのもの。娘を守る父親は鞘と言えます。最期に父は、托鉢僧にメッセージを託しました。それは娘に対する全ての父親共通の願い。精一杯の恋文です。竹原坊主の歌声が沁みました。若君を笑わせるため、罪人に課された30日間に及ぶ1日1芸の笑い。大衆から日々新たな笑いを求められ続ける天才芸人・松本人志と、さや侍・野見の姿が否応も無く重なります。ポイントは、本作で要求されているのは爆笑ネタではないという事。かといってセンスが無ければ、観客から容赦ない批判を浴びてしまいます。監督松本が芸人松本に課したハードルはかくも高い。本作で披露された“決して笑わせてはいけないネタ”の数々、自分はお見事だと思いました。監督自らが主演をこなした前2作と体裁は違うものの、一貫しているモチーフは“笑い”です。本作では松本氏のお笑い構造論と観客論を窺うことが出来ました。何をしゃべってもOKな、完全に出来上がった空気の中、一言も口にせず果てた野見。そこに松本人志の求める笑いの美学が、あった気がします。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-16 19:58:10)(良:2票)
1142.  ミスター・ノーバディ 《ネタバレ》 
“右のお菓子と左のお菓子、どちらを買う?”悩ましい選択です。結局、少年はどちらも買いませんでした。確かに今買わなければ“可能性”は残ります。“希望”と言い換えてもいいかもしれない。でも悩んでいる間にお金を無くしてしまったら、元も子もありません。これは人生における課題を端的に表しているエピソードでした。そして本作で伝えたかった事の全てだった気がします。父の元に残る選択、母と共についていく選択、どちらが正しかった?ニモ老人の回想はどれが本物?あるいは全部ニモ少年の空想?この答えを探すことにあまり意味は無いと考えます。大切なのは、自分の選択が正しいと信じること。いや、受け入れること、でしょうか。モラトリアム(執行猶予)も結構だけれど、残された人生の持ち時間を消費していることも忘れてはいけない。ミスター・ノーバディは、誰でもありません。それはすなわち、命ある全ての人間の事でもあります。宇宙が収縮を始め、時間が逆行するとしたら、それは希望でしょうか絶望でしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-13 18:28:39)(良:1票)
1143.  少女たちの羅針盤
話下手な人の話は、とかく長いものです。それは伝えたい事を全て語ろうとするから(自戒を込めて)。思いが強いと説明過多になってしまう心情は理解できますが、実際は逆効果です。相手の心に届けるためには、ポイントを絞り、相手に考えさせ、想像させる余裕を与えることが肝要と考えます。自身の思いを相手の心で再現してもらう余地を用意するのです。それは映画にも言えること。本作の脚本には、その心得が在りました。まるで程よい間隔の庭園の飛び石を踏む心地良さ。肝となるエピソードは丁寧に描きつつも、省略できる説明は大胆にカット。観客は見えない部分を、自身の頭で補足します。観客の想像力を信頼している良い脚本でした。ミステリーとしては真相部分が弱いものの、謎解きのヒント・伏線・ミスリードは存分に織り込まれているので不満は感じません。本格派ミステリーの風格でした。もっとも本作の見所はミステリーパートにあらず。少女たちの心の内を描いた青春ドラマにありました。対立、葛藤、混乱、そして模索…。彼女らは、その未熟な心と体で、もがき苦しみます。でもそれは何かを創造するために必要な痛み。自分の居場所を確保するための試練。決して無駄な苦しみではありません。現状維持に四苦八苦しているおじさんからすると、それはとても眩しく、羨ましい光景に思えました。人間、若いときに、動けるときに、行動しておかないと後悔しますね。忽那汐里や成海璃子ら実力派の若手女優の熱演が観る者の心を打つ、青春ミステリーの佳作でありました。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-10 18:59:11)(良:1票)
1144.  パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会 《ネタバレ》 
ウォーウィックは何故あのような豪邸に暮らせるのでしょうか。部屋付きの役職(警部補)とはいえ、その給料だけでは到底無理な話。かといって彼が資産家とも思えません。資産家ならば銀行強盗の金を横取りする必要もない訳ですし。推測するに彼は、今まで招待してきた“友人”たちの財産を手に入れてきたのではないかと。招待して、殺して、奪う。その繰り返し。妄想パーティには、レギュラーゲストの4人だけでなく、数多くの来客がありました。その全てが彼の手にかかっていたとすると、途方も無い数の犠牲者がいることになります。恐ろしい。ウォーウィックが銀行強盗の金をせしめるために、あえてテイラーを泳がせたのだとすればかなり面白いのですが…コレは多分違います。テイラーを開放したのは、単純にチェス勝負の約束を守るため。死体を始末するのが面倒だったのかもしれませんが。“銀行強盗が押し入った家の家主はサイコキラーだった”というアイデアの先が重要だったと考えますが、今ひとつの出来でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2012-03-07 18:58:27)
1145.  お墓に泊まろう! 《ネタバレ》 
はんにゃ金田、次長課長の河本ら吉本芸人たちが、実在するテレビ局の番組制作スタッフを演じています。彼らにしてみれば、普段慣れ親しんだ業界が舞台。役作りはちょっと格好付け過ぎかな?と思いましたが、その空気感の創出はお見事だったと思います。テーマは“テレ東バラエティ愛”。くだらない笑い上等、バカバカしい笑い最高!という主張。『ゴッドタン』や『おねだりマスカット』を評価する自分としては、全面的に支持させていただきたいところです(『クイズタレント名鑑』面白かったのになあ…)。でも肝心な主人公に共感出来なくて、もどかしい思いをしました。金田がバラエティに賭ける情熱は理解します。でもだからといって今の仕事を、演歌の仕事を、疎かにしたらいけない。まずは視聴者に楽しんでもらう番組作りを。それは番組ジャンルとは関係ないはずです。前半は金田の愚痴ばかりで辛気臭く、楽しくありません。うっとおしいカメラワークもストレスに。タイトルの『お墓に泊まろう!』制作会議あたりから、やっとテーマに沿った内容にシフトします。テレ東人気バラエティをモジッた中継コーナータイトルの羅列に大笑いしました。この面白さは、企画会議ならではのもの。飲み会での与太話とレベルは変わりませんが、架空のバカ話を本物に変えられるのがバラエティ製作の醍醐味。ですからトンデモ葬儀中継に大いに期待したのですが、どうもポイントがずれていたような。坊さん役に野生爆弾の川島を起用するのは構いません。でも野生爆弾のネタをやらせたらいけない。河本の司会にしてもそう。あれでは芸人個人の力量で笑わせているようなもの。ありきたりな葬式を、演出力と企画力で面白くしてしまうバラエティマジックを、自分は見たかったのです。それがTVバラエティの“ロマン”だと思います。なお社長のコメントビデオでテーマを全て語らせてしまうのも、“芸”が無い話ではないかと。最後に。一応ボケていると思われるので礼儀としてツッこんでおきます。「お墓になんか泊まってないじゃん!」。こういう仕事を引き受けてくれる松方の兄貴に敬意を表して、+1点のおまけ感を。
[DVD(邦画)] 4点(2012-03-04 17:58:14)
1146.  デビル(2010) 《ネタバレ》 
密室はミステリーの大定番。とりわけエレベーターは私たちの最も身近にある密室の一つです。数多くのミステリーやサスペンス映画に採用されてきた優秀な舞台設定。エレベーター自体が人を襲うなんていうブッ飛んだホラーもありましたが(邦題『悪魔の密室』又は『ダウン』)。密室形成が簡易であること、高所に吊るされている不安定な状況、形状から来る閉塞感といった長所を有する反面、その極狭のフィールドゆえ展開や可能性が限定されるという短所も併せ持っています。優秀な作品は洩れなく長所を活かしていますし、イマイチな映画は短所を克服できていない印象があります。本作の場合は、後者に該当すると感じました。本来は正統派のオカルトホラー。サプライズを狙った映画でない事は明白ですが、それでも人間犯行説が早々に潰されてしまうのは脚本上の欠点であると考えます。例えば、“ある女の殺害をカモフラージュするために仕組まれた連続殺人だ!”との推理が披露されますが、それを納得する観客はいません。わざわざ故障中のエレベーター内で殺人を敢行する必然性など皆無なのですから。そういう意味では、このウィークポイントを補えるアイデアがあれば、傑作に化けた可能性はあると思います。基本となる物語の骨格は骨太でした。結末はシャマラン監督らしく人間愛を感じさせるもの。あの男に対する赦しは、主人公自身に対する赦しでもありました。復讐大好き韓国映画では、あのような結末は望めないでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2012-03-01 22:51:12)(笑:2票)
1147.  エイドリアン・ブロディ エスケイプ
邦題は『エイドリアン・ブロディ エスケイプ』。確かにエイドリアン・ブロディが出ずっぱりです。でもタイトルに俳優名が入る時には、ある意図があると思って間違いありません。それは役者のネームバリューがプロモーションに必要だということ。物語の真相は観客の想像と寸分違わぬものでしたし、脱出サバイバルとしても面白みはありません。つまり作品自体にセールスポイントが見当たらないのです。特別出来が悪いとは思いませんが、日本劇場未公開だった事も頷けます。
[DVD(字幕)] 4点(2012-02-27 18:56:50)
1148.  市民ポリス69 《ネタバレ》 
タイトルの『69』。この数字が意味するのは“相互サービス”。ギブアンドテイクと言い換えてもいいでしょう。市民ポリス制度における奉仕者のギブとは、治安維持のための労働力提供。対するテイクとは、“公権力を行使する快感”と解します。覆面を被る匿名性と公務執行には、“己が責任を問われない”という恩恵が付いてきます。ここがポイント。日々様々な形の責任というストレスに苛まれている大人にとっては、この上ないご褒美。ある種のやりたい放題。ちなみに女子高生たちがコンビニ強盗を平気でするのは、責任を取る気が無いからです。ですから責任を全うしている善良な市民ほど、公権力という最強の後ろ盾の魅力にハマるのは理解できました。69号や64号は、身の丈に合わぬ力に狂わされ暴走したのです。やっていい事と悪い事の区別が出来なくなる。それは彼らの膀胱のように、始末が悪いものです。ドイツ映画es[エス]でも描かれていますが、自分の価値基準を放棄するのは恐ろしいことです。自分が自分である事を辞めるという意味でもあるのだから。おバカコメディや純愛ストーリー要素にカモフラージュされているものの、物語の本筋は多分こういう事かと。意外とテーマはシリアスでした。テンションが低いというか、シュールというか、結構クセのある笑いは、一般ウケは厳しいと思われます。でも清水章吾にアイフル犬なんてギャグ、自分は一周してアリだと思いました。感性がオッサンですね。黒髪ロング+女子高制服というDVDパッケージで、栗山千明とばかり思い込んでいたため、早見あかりが出てきてビックリ。このへんもオッサンですね。『ウレロ☆未確認少女』で早見の美女ぶりが気になっていたところなので、嬉しい誤算ではありましたが。(以下完全な余談)何気なく動画サイトで『ももいろクローバー』を検索し、そのステージを拝見しましたが、パフォーマンス力に圧倒されました。『キック・アス』のヒットガールに勝るとも劣ら、いや勝る衝撃でした。遅ればせながら、早見あかりとももいろクローバーをこれから追います。早見の「狙い撃ち」…命中ですっ!
[DVD(邦画)] 5点(2012-02-24 20:54:53)
1149.  今度は愛妻家 《ネタバレ》 
“今度は”という事は、“今までは”違うという事。確かに妻に対する夫の態度は、愛妻家のそれには見えません。ただし、愛のかたちは夫婦の数だけあります。あれは、あれで、成立していたのだと思います。少なくとも夫の中では。妻から最後通告にしても、夫にとってはいつもの喧嘩の延長。またしばらくすれば元通りさ。でも、その“しばらく”は“永遠”に変わってしまいました。この落差は大きい。頭では妻の死を理解出来たとしても、心が追いつかない。それがこの1年間だったのだと思います。ふと思い浮べれば、目の前には妻の姿。いつもの調子で。いつもの笑顔。決して幽霊ではありません。だから夫の「俺が想像もつかない事を一個でもいいから言ってくれよ」の問い掛けに答えるはずもありません。夫自身が作り出した幻。それは彼とて承知のこと。幻を消せるのは夫自身だけです。むしろ幽霊だったらよかったかもしれない。不幸中の幸いは、夫の傍にオッサン(義父)がいてくれたこと。アシスタント君がいたこと。一緒に駄菓子を食べてくれるオネエサンがいたこと。温かく、根気強く、見守り続けてくれた人たちがいたから、夫は立ち直れたのだと思います。不味いお茶を、ちゃんと不味く感じられたならもう大丈夫。オカマのサンタとその娘共同の、クリスマスプレゼントでありました。物語の構成はややトリッキーながらも、アンフェアな印象はありません。主軸となる主人公の喪失と再生のドラマがきちんと描かれており、好感が持てました。注文を付けるなら、結論部分がやや冗長であった事くらい。人参茶のエピソードが良かっただけに、お口からゴボゴボで十分な説得力があったと考えます。水川ベビーの件は、流れとしてはあの結末しか無いでしょう。失われた命と、生まれ来る命が対比されます。でも本当は慰謝料だの養育費だの、避けて通ってはいけない問題があるのですけれども。『必死剣・鳥刺し』を観てトヨエツは時代劇に専念したら、と思ったのですが考えを改めます。いい俳優です。そして石橋蓮司。滅法上手かった。『アウトレイジ』でも存在感を見せつけましたが、今、自分の中で蓮司ブーム到来中。ゾッコンです。いい役者が揃うと、脚本も喜ぶというものです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-21 19:55:39)(良:1票)
1150.  クライモリ デッド・リターン 《ネタバレ》 
続編となる前作の出来が良かっただけに、シリーズ3作目が制作されたのは理解できます。しかし『ソウ』シリーズにも言えるように、バイオレンスホラーはシリーズ化するとロクな事が無いようです。冒頭の殺戮シーンで3枚に下ろされた被害者を見て、コレは良くない兆候だなと思ったら、案の定グロテスクな方向へ走ってしまいました。そうじゃない。観客が求めている面白さとは、そういう事じゃないのに。襲われる・逃げる・捕まる・脱出(又は救出)・反撃・生還。お約束の流れをきちんと描くこと。必要な条件はコレに尽きます。グロテスクな描写やスプラッタ-表現はあくまで物語を際立たせるスパイス。物語の展開で観客を震え上がらせてナンボです。出汁がいい加減では、どんなに七味をぶち込んだって、ただ辛いだけで旨くありません。また、囚人という第2の脅威を登場させたのも失敗だったと思います。殺人鬼ファミリーへの惹きが弱まり、期待された恐怖の相乗効果は得られていません。そもそもシリーズ化するほど魅力的な設定とも思えないので、もう続編はいいのでは。
[DVD(字幕)] 4点(2012-02-18 21:29:52)
1151.  マジック・ツリーハウス 《ネタバレ》 
『ネズミに変えられてしまった可哀想な魔法使いを助けるために、幼い兄妹が体験した大冒険』は、『すぐに生徒を手助けしてしまう未熟な魔法教師に子供の可能性を知ってもらうため、老魔術師が与えた試練』でありました。一見、子供たちは命懸けの冒険をしたように見えますが、基本は仕組まれた苦難。あくまで教師モーガンに対する教育的指導が目的です。ですから子供たちのピンチには、ちゃんと助け舟が用意されていた訳です。じゃなきゃプテラノドンには乗れないでしょう。これが問題教師再教育プログラム『マジック・ツリーハウス』の正体と解します。子供たちはプログラムに偶然組み込まれた第三者と見るべきか、あるいは初めから存在自体がプログラムの一部だったのか。前者の解釈の方が夢はありますが、2人の行動パターンの不自然さから察するに、後者の可能性も否定できないと考えます。先の冒険はその目的ゆえ無事ハッピーエンドで幕を閉じたものの、老魔術師マーリンに向けられた試練はモーガンの意趣返し。困難度合いは、今回の冒険の比では無いでしょう。マーリン老師、ご愁傷様です。エンドロールで確認したところ、プロモーションは『小学3年生』誌上で行われた模様。つまり観客のメインターゲットは10歳前後という事になります。前述した物語の背景を子供が汲み取るとは思えず、裏付けが無い(ように見える)奇跡の乱発は、かえって子供の冒険心を萎えさせはしないかと心配になりました。結構、子供はリアリティに対して敏感なものです。ちなみに一緒に劇場鑑賞した娘(この春小学1年生)の感想は「面白かった」。ただし大抵この言葉で片付けてしまうので、あまり当てにはなりません(とくに噴火シーンが面白かったそう。何で?)。子供向け冒険ファンタジーとしての完成度は普通レベルかと。なお、萌え要素の入ったキャラデザインは個人的にちょっと苦手な部類。どんなに物語が優れていても、画が感性にフィットしないと受け付けません。作画・デザインはアニメの生命線だと実感します(良い悪いというより、合う合わないの問題ですが)。最後に声優について。驚くべきは北川景子です。クレジットを見るまで、主人公が彼女だと全く気づけませんでした。本職の声優と遜色ないと感じました。お見事です。一方真矢みきは、そのまんま真矢みき。自分が脚本家なら、台詞に「諦めないで~」を入れたと思います。巧妙な悪ふざけとして。
[映画館(邦画)] 5点(2012-02-15 18:29:30)
1152.  HUNGER ハンガー(2009) 《ネタバレ》 
犯人は、かつて生き延びるために母親の肉を口にした経験を持つ男。幼心を襲った衝撃は少年を狂わせるに十分なものでした。彼は自身の行動が正当であった事の裏づけを求めて、拉致監禁という名の“実験”を繰り返します。しかし何度共食いの現場を目の当たりにしても、彼の気は晴れません。それはそうでしょう。“反駁”を受けぬ理論に自信など持てようはずが無い。彼が欲していたのは、極限の飢餓状況においてもなお「人の肉は食べない」という選択をする者の反証です。そんな中、ついに現れました。犯人が捜し求めていた答えを持つ者が。女医がドラム缶の蓋に書いたメッセージは、明らかに犯人をおびき寄せるための餌。それは彼とて承知のこと。だからメッセージを確認するまで、実に3日間を要しました。でも、もう抗えない。長年捜し求めていた答えが其処にあるのです。蓋に書かれていたメッセージとは「太陽に会える」。それはまさしく一つの回答であったと考えます。太陽とは希望。生きること、そのものが希望。生きるために絶望を手にした犯人の胸に、この言葉はどう響いたか。彼がその思いを口にするのを遮るように「私の勝ち」と女医。そう、犯人には心情を語る事すら許されないのです。多くの人の命と尊厳を踏みにじってきた事への報い。極論を言うなら、彼は自動車事故で死ぬべきだったのだと思います。絶望するために生きるくらいなら、希望を抱きながら死ねばよかった。そうすれば無駄な血が流れずに済んだのに。井戸から這い出た女医が目にしたのは眩い陽の光。勝者の頭上に希望が降り注ぎます。倫理も観念も吹き飛ぶ極限状態の中、人が狂っていく様を見事に描いてみせた本作。肝となる人肉食の描写はグロテスク過ぎず、かといってヌル過ぎもせず、的確な表現方法であったと感じます。ワンシチュエーションで100分のドラマを成立させた監督の手腕はお見事。設定に若干の不具合はあるものの、この完成度なら文句はありません。ただ、犯人の動機説明については明らかに過多であったと思います。本来得られるはずの深みと余韻を目減りさせるほどに。其処だけが惜しかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2012-02-12 20:59:13)
1153.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 
監督の処女作『その男、凶暴につき』への原点回帰とも言える超バイオレンス映画を想像していたのですが、予想は大きく外れました。ブラックユーモアなんて生易しいものではなく、完全なるコメディでした。THE・ヤクザコント。口を開けば「バカヤローこのヤロー」って、お前ら荒井注か!って、何度ツッコんだことやら。今どき居るはずもないステレオタイプな旧式ヤクザを、オールスターキャストがノリノリで演じています。よくもこれだけ味わい深い顔の役者を揃えたものだと感心します。(何故寺島進ちゃんがいない?きっと出たかったでしょうに。)殺したり殺されたり(椎名の殺され方のみちょっとエグいので×ですが)みんな本当に楽しそう。大いに笑わせてもらいました。『みんな~やってるか!』より遥かに完成度の高い“笑い”があったと考えます。キャッチコピー『全員悪人』は勿論ブラフ。本当は『全員馬鹿』が正しい(あるいは『全員荒井注』)。これほどまでに、ヤクザを格好悪く描いた映画を自分は知りません。何なら、教育映画として不良高校生たちに見せたらいいと思います。自分達がいかに滑稽か気付く事でしょう。こんな変化球を投げてくるとは、さすが北野監督。素晴らし過ぎます。続編を作る気になったのも頷ける快作でありました。この出来なら大御所から人気俳優まで続編のキャスティングに困る事は無さそうですが、個人的には死んだはずのキャストを再度起用して欲しいです。それがコントの流儀。石橋蓮司のヘンテコマスクと國村隼のベロチョンパは天丼でお願いしたい。以上、皮肉でも冗談でもない、マジ感想でした。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-09 19:28:22)(良:5票)
1154.  失恋殺人 《ネタバレ》 
映画で女優が脱ぐ必然性とは何でしょう。娼婦やストリッパー等、役柄に必然性が内包されている場合(例:MIE主演『コールガール』)、あるいは物語の展開上脱ぐ必然性が生じる場合(例:綾瀬はるか主演『おっぱいバレー』注:本当におっぱいを出しているかどうかは各自ご確認を)があると考えます。本作はどちらも当てはまりません。宮地が脱ぐ必然性などありませんでした。ただし、脱ぐことでリアリティが増すのであれば、裸になる価値はあります。女がシーツぐるぐる巻きの濡れ場なんて、ウソ臭くって興醒めしますから。でもリアリティのために脱ぐのであれば、それ以外のシーンにもリアリティが求められます。少なくとも、近くに人が居るのが分かっているのに鍵もかからぬ診察室でおっ始めてしまったり、カーテンも閉めずに人を殺したりするのは論外です。「NHKの朝ドラ主演まで務めたこのワシが、せっかくひと肌脱いどんのに、この本じゃ台無しじゃいかいボケ!ワシの乳首を返さんかいワレ!!」宮地の心の叫びが聞こえるような。かなりのガッカリサスペンスでありました。宮地が脱がなくても物語は成立しますが、宮地が脱がないと商業映画としては成立しない。そんな作品であったと思います。それにしても宮地真緒。決して上手い女優だとは思いませんが、癒し系のエロ可愛さにおっさんメロメロです。日本一美しいロバ顔女優の極上のお胸に敬意を込めて、常識はずれの高得点を進呈させていただきたい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-06 20:26:46)
1155.  アベックパンチ 《ネタバレ》 
特殊なルールを持つ架空格闘技を通じて、人と人が繋がる意味を描きたかったものと推測しますが、肝心のドラマがドラマの体裁を成してしない気がしました。イサキとメバルは何時の間に心を通わせたの?ヒラマサはゴルビーナとエツをどう考えている?よく分かりません。彼らはアベックを通じて何を学んだのでしょう。もう一つのお楽しみ、格闘アクションの方も低調でした。原作漫画の表現がどんなものか存じませんが、正直面白みがありません。アベックならではの攻防やテクニックが見たかったし、せめて試合中に看板技の“アベックパンチ”だけは披露しないと。バスケットボールのユニフォームみたいな格好も頂けません。体のラインを見せられないのか、見せたくないのか。決してエロ目当てという訳ではなく(ホントですよ!)女性はプロ格闘家らしくセパレートタイプの水着を着用して観客を魅了して欲しかったと思います。このレベルのアクションでお茶を濁すならば、武田梨奈を起用した甲斐がありません。
[DVD(邦画)] 3点(2012-02-03 18:59:37)
1156.  ピラニア(2010) 《ネタバレ》 
三角関係の1点が崩れて、残った2人が一緒になるというパターンは、フィクションでも現実でもよくある話。しかしながら第三者が客観的にみて2人を祝福できるかどうかは、意外とハードルが高いと考えます。本作はその点、よく配慮されていたと感じました。まず晴男について。ブラジャー事件、ピラニア復讐計画。確実に馬鹿ですが、不器用であるが故のこと。根が悪い奴でない事は伝わってきます。奈津にお金を貸す場面で、一度は見返りを求めてしまう情けなさも憎めない。彼は応援できます。一方奈津はどうでしょう。曽根にフラれた傷心から晴男を求めたのだとしたら、共感し難いところ。でも彼女は最初から晴男に心を開いていました。吃音の症状も少なかったし、彼に体を触られても嫌がったりしなかった。晴男に金の無心に行ったのも甘えがあったから。そもそも2人には最初から妙な信頼関係がありました。ハル(春)とナツ(夏)は惹かれあう存在。素直に2人を祝福できました。ピラニアとは凶暴な魚。それは晴男の持って行き場の無い感情。人は立ち直るために、無駄と思われる時間や不合理な行動が必要だったりもします。そんな情けなくて格好悪い人間が愛おしい。晴男よ、おめでとう。でも今度喧嘩をする時は、負ける覚悟で行ったりしないように。せめて水鉄砲にタバスコくらいは仕込んでいきなさい。本作はエロをコンセプトの一つにしているため、結構な絡みが用意されています。男性としては歓迎すべき部分ですが、最後の性交は蛇足でした。艶のあるシーンで艶消しとはこれ如何に。キス一つで2人の心の繋がりは、十分伝えられたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-31 18:57:16)
1157.  それいけ!アンパンマン ブラックノーズと魔法の歌 《ネタバレ》 
丘で佇むカーナのもとに寄り添うアンパンマン。2人は心の内を語り合います。アンパンマン胸元の笑顔マークのアップ。夕日が映しだす2人の影。この情緒表現、もはや幼児向けアニメとは思えぬクオリティです。アクションのカメラワークもキレていましたし、近年の劇場版アンパンマンは“幼児向け”の一言で片付けられないレベルにあると感じます。ただ、難点があるとすれば脚本部分。設定や展開に注文を付けてはいけないのがアンパンマンワールドのお約束ですが、もう一歩踏み込んで描いて欲しい箇所がありました。それはカーナの気持ち。悲しみと戸惑いは伝わってきましたが、偽りの母に対する情だって残っているはず。この処理を丁寧に行ったならば、もうワンランク完成度を上げる事が出来たと思います。劇場版プリキュアで成功を収めた観客参加型の演出プランが本作でも採用されていましたが、アンパンマンでは遠慮して欲しいというのが本音です。優れたアイデアである事は否定しませんが、乱発してしまうと子供映画がどれも同じテイストになってしまいます。アンパンマンにはぜひとも独自の進化を目指してもらいたいですし、それが可能な素材であると考えます。出来ることなら、北朝鮮の子供達に観てもらいたい作品でした。
[DVD(邦画)] 7点(2012-01-28 19:28:32)
1158.  必死剣 鳥刺し 《ネタバレ》 
兼見と別家の対決、及び多数の家臣たちとの中庭での戦い。剣捌きの良し悪しは素人には判別できませんが、兼見の気迫は伝わってきました。執念が、兼見を家老の下まで辿り着かせたのだと思います。下げ尾を切り落とし、口に咥える演出も冴えていました。必死を表現し、かつ鞘も必要無いという覚悟の表れ。“鳥刺し”とは相手の柄に切先を差し込む技術をさし、“必死剣”とは自らの命と引き換えに相手を絶命せしめる剣と理解しました。兼見という捨て駒を上手く利用しようとした家老。キレ者です。思惑通りに兼見は別家を退けました。しかし家老は人間の心を軽んじ過ぎました。組織にとっては駒であろうと、一人の人間。その矜持の高を見誤ったが故に、家老自らも命を落すハメに。保科は言います。連子が居なくなっても藩政に改善はみられないと。連子を殺めた時点で兼見は命を捨てる覚悟だったのですから、最期に藩最大の癌を取り除く事が出来たと考えれば、救われるというものです。あとは無能な君主が早期に隠居することを祈るのみ。人の命を奪うという事は、自らも同じ事をされても構わないということ。その覚悟は必死剣の理念にも通じます。道理を無視した連子と家老は報いを受け、兼見は道理に従ったという結末でありました。気がかりは里尾。傍からみれば縁談を進めていた方が幸せだったように思えますが、果たしてそうでしょうか。幸せの価値は本人が決めることです。少なくとも里尾はその意思を持っている女。兼見が迎えに来るとの約束を果たせぬであろう事は、最初から分かっていたはずです。でもその思いが嬉しくて、でも切なくて、彼女は泣いたのだと思いました。兼見の忘れ形見と共に、彼女は生きていく。ただ願わくば、思い出の中を生きるのではなく、今を、これからを、生きて欲しい。兼見もそう願っているはずです。正直トヨエツがこれほどやるとは思っていませんでした。殺陣もさることながら、実直な侍役がよく似合っていたと思います。トヨエツは現代劇よりも時代劇の方が向いているのでは。鑑賞済みの藤沢周平原作映画の中では『たそがれ』以来久々に満足できた作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-01-25 18:59:04)
1159.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 
『自殺サークル』『エクステ』『気球クラブ、その後』で、自分は園監督から脱落しました。今回久々の鑑賞に至ったのは『愛のむき出し』(開始から1時間程度しか観ていませんが)を思いのほか楽しめたから。これなら、今の自分なら、園映画を理解できるかなと。信頼できるレビュワー様が軒並み高評価であった事も鑑賞を後押ししました。確かに傑作と呼ばれるのも頷ける出来ばえ。画作り、脚本、演出。全てにおいて躊躇なく振り切れていました。でんでんの顔は当分忘れられそうもないですし、「透明にしちゃおう」はホラー映画史に残る名台詞でしょう。観客を惹き付ける力は抜群です。映画監督としてのセンスが傑出している事は、映画オンチの自分でも理解できました。凄かった。凄過ぎました。そう、自分には“過ぎた”のです。過ぎたるは及ばざるが如し。極上の料理も食べ過ぎれば苦痛であるように、本作の毒を自分は処理仕切れませんでした。美味しいが故に、毒と知りつつも取り込み続けてしまうのが恐ろしい。ついに自分の心は、動きを止めてしまいました。茫然自失のエンドロール。それは、村田の毒に犯された主人公の姿に重なります。この影響力をもってして賞賛の評価を与えることは可能です。むしろその方が妥当でしょう。しかし、主人公が村田に感謝などしていないように、自分も監督を褒め称える気になれないのです。もしこの映画を受け入れてしまったら、自分が監督の奴隷になってしまうような気がするのです。『冷たい熱帯魚』は完璧なる観客調教映画であったと考えます。以下余談。某入浴剤のCMにでんでんが出演しているのですが、もう怖くて仕方が無いです。生田斗真、透明にされちゃわなきゃいいけど…。
[DVD(邦画)] 7点(2012-01-22 19:26:46)(良:2票)
1160.  沈黙の奪還 《ネタバレ》 
私は今年で四十歳になります。中年ど真ん中。今まで自己紹介の折には「映画鑑賞が趣味です」といい続けてきた訳ですが、漠然としているし、ちょっと味気ない気がしてきました。具体的かつ中年らしい、渋い言い回しはないものかと考えた結果、こんな自己紹介に辿り着きました。「セガールを少々嗜んでおります」どうです?コレ。ちょっと良くないですか?!B級をあえて楽しむ大人の余裕というか、ただの馬鹿というか。いずれにしても憧れます。ところが私はセガール童貞。この歳になって初体験というのもお恥ずかしい限りですが、意を決してレンタルDVD屋に足を運んだのでございます。初めてのヒトが『暴走特急』では少々アブノーマルな感じがするし、沈黙シリーズ第1作目かとも思ったのですが、セガールが妙に若々しいのが引っかかりました。最初は年上にリードしてもらいたいのが男心。そこで手に取ったのが本作でした。つい最近観たばかりの『96時間』と同じく、誘拐された娘を奪い返すお話。自分の大好きな設定です。これなら間違いないはず。感動の涙を拭うためのハンカチーフを用意して、セガールの逞しい肉体に身も心も委ねたのですが…まあ何といいますか、“こんなはずじゃなかった”。セガールは盛んに「娘を返せ」とは言うものの、切羽詰った様子が微塵も伝わってこないのです。せっかく誘拐犯の女を確保したというのに、まさかの休憩タイム突入。憎いはずの女と乳繰り合うなんて、娘の安全よりも自分の息子のお世話が優先ですかそうですか。お下劣失礼。脚本もアレでしたが、セガールの演技自体もかなりアレな感じがしました。流石にキングオブB級アクションと呼ばれるだけの事はあります。まだまだセガールの懐は深そうです。素敵な初体験とはなりませんでしたが、私は諦めませんよ。映画ファンとして一皮剥けるために、これからどんどんセガールものを見ていくぞ!
[DVD(吹替)] 3点(2012-01-19 19:53:32)(良:1票)
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