1141. g@me.(2003)
《ネタバレ》 読めそうでよめない展開が何気に面白い。 こちらの予想を絶妙な匙加減で裏切ってきます。 例えば、『この娘は実は葛城樹里ではないな。』っていうのは何となく読めても、それ以外の事はよくわからないわけです。 単純そうな謎かけで、いつの間にかいろいろと真相を考えてしまうのは、楽しいものです。 登場人物が意外と少なくて、ごちゃごちゃしていないのも好印象です。 『仕掛けに対してオチが弱い。』 『仲間由紀恵が大根。』 『真相解明のシーンが説明不足でカタルシスに欠ける。』 『恋愛シーンがうざくて、興醒めする。』 などなど、個人的な見解も含め、残念なポイントがいくつかあります。 映画としての完成度はそんなに高くないのかもしれませんね。 そういった点を含めても、やはり中盤以降は面白かったので、鑑賞後の満足度は高いです。 [DVD(邦画)] 7点(2017-02-06 02:10:48)(良:1票) |
1142. レッド・サイレン
《ネタバレ》 序盤はサイコホラー。中盤からはサスペンスアクション。 緊張感があって面白い。 女捜査官に助けを求める娘。『母が家政婦を殺しました。』 これだけで面白そうなのに、娘を助けるもう一人の傭兵あがりの男。偶然娘が逃げ込んだ車が、戦闘のプロの車。随分都合の良い展開ではありますが、そんなことはどうでも良いのです。面白ければ。 アリス、ヒューゴー、スターロ刑事、母親エバ・クリステンセン、それぞれが強い個性をはなっていて良いですね。 母親から逃げながら、同時に死んだと言われている父親に会いに行くという設定も良い。 複雑になりすぎない程度に、複数の要素が絡み合うストーリー展開が楽しい。 アクションの一番の見せ場かもしれないビジネスホテルでの攻防。ここがあまりに暗すぎて何が起きているのか雰囲気しかわからないのがもったいない。その分恐怖感はあります。 冒頭の意味深なプロローグ。警察機構と富豪エバの癒着。スナッフビデオ。 映画に面白い味付けを出来そうな調味料は他にもありましたが、その辺はさらっとスルーされてしまいましたね。 そのぶん、映画がわかりやすくはなっていますが、最後まで見てなんとなく物足りなさも残りましたね。 やや尻すぼみ感のある作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-02-03 13:07:40) |
1143. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 シリーズの中で、一番ついていくのが大変でしたね。 疲れた頭にムチうって、頑張ってついていった結果、『え?それで終わり?』っていうのが率直な感想でしょうか・・。 スパイ系アクションとしては見所満載で高水準。常に相手の一歩上をいく、爽快な頭脳戦は健在。 『記者と接触を試みようとする前半。』 『ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)と行動を共にする中盤。』 どちらも記者やニッキーを守りながらピンチを脱するという展開が今までにないパターンで面白い。 ジェイソン・ボーンはもう無敵感丸出しなので、『ボーンが守るべき対象を守りきれるのか?』というシチュエーションは、新たな緊張感を生み出すことに成功しているようです。 ただ、今までのシリーズと違い、後半からクライマックスにかけてが今いち盛り上がりません。 『迫りくる危機をどう回避するのか?』の1作目。 『最愛の人を奪った者達への復讐』の2作目。 それに比べると、この3作目の動機はパンチが弱い気がするのです。 正直言うと、3作目ともなると、『ボーンはいったい何者なんだ?』っていうのに、・・・そもそも興味が湧かない・・・。 前菜、メインディッシュは凄い良かったんですけどね!やはり〆のデザートも大事っていうことです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-01-30 04:14:02)(良:1票) |
1144. チルソクの夏
《ネタバレ》 この内容で2時間。果たしてこの尺が必要だったのかどうか・・・。 当時の女子高生の日常を、ただダラダラと見せられるシーンがかなり多いです。 だけど、懐かしさを感じる街や学校や家の雰囲気に惹かれて、結局最後までダラダラと見てしまいます。 でも最後まで見ても、特に面白いシーンも無ければ、感動するポイントもない。 演出や演技は、『台本どおり』というイメージが強く、リアルさを感じない。 特に、アン君が出てくるシーンは、カタコトのせいもありますが、まるで中学生の舞台劇みたいな空気になります。 ジャンル分けするなら、『恋愛』であり『ドラマ』になるのでしょう。 その『恋愛』に関しては、アン君がどうしてそこまで郁子に惹かれたのか、その部分がほとんど描かれないので、説得力はないし共感も生まれません。アン君が郁子に会いに来たときは、あまりにも唐突で違和感しか感じません。 そして『ドラマ』としては、とにかく薄い。 この映画には、これといった『ウリ』がないです。 ひたすら雰囲気押しの2時間。微妙です。 [DVD(邦画)] 5点(2017-01-25 14:28:15) |
1145. ザ・ターゲット(2002)
《ネタバレ》 クリストファー・ランバート演じるヒットマン兼ガードマンのアレックス。 アレックスに身辺警護を依頼する会計士ロバート(デニス・ホッパー)。 二人の間に次第にビジネスの関係を超えて生まれてくる友情。 そして何を考えているのかわからない凶悪な犯罪者と、その信者たち。 さらには、アレックスとロバートの過去には、思いがけない接点があった・・・! と、ここまで面白くなりそうな素材が揃っているのに、中盤以降の中だるみが尋常じゃないですね。 序盤は良かったのに。途中で監督が変わったのではないかと思うくらいの路線変更です。 ピークはロバートの娘を救い出すシーンまでで、それ以降はクライマックスも含め、すべて蛇足に思えます。 唯一良かったのは、ロバートが過去の贖罪をアレックスに打ち明けるシーン。ここは良いですね。 ただ映画としては尻すぼみが酷くて、とても面白いとは言えない代物に。後半になるにつれてテンポが遅くなる作品って嫌いです。 最初からドラマとして見ていれば、『ドラマの割りにアクションに力が入っていて・・・』と、評価が高くなったかもしれません。 ですが、パッケージを見る限り、ごりごりのアクション映画にしか見えません。 アクション映画として見ちゃうと・・・。そして凶悪犯、石投げるだけかーい。 [DVD(字幕)] 5点(2017-01-23 15:00:46) |
1146. ミーン・ガールズ
《ネタバレ》 随分前に見たことがあった。 印象が薄くて見たことを忘れていました。 テンポが軽快。キャラクターに個性があってよい。ストーリーがわかりやすく、気楽に見られます。 その一方で、オチが弱く、パンチに欠けます。 『恋愛』『友情』『心の成長』、すべての面において描かれ方が中途半端です。 『性格の悪い女の子をこらしめるため、同じグループに入って弱みを握りつつ復讐する。』 確かに、『ダイエット食品』と偽って高カロリーのチョコレートバーを食べさせたり、アイデアやプロットは面白いのですが、それを最後まで上手く処理できなかった感じでしょうか。 結局『陰口ノート』の作成者はレジーナなのに、その罪をきせられたケイディ。あれ?最後まで見ても、濡れ衣きせられたままじゃないですか? 謝ってるし。ある意味冤罪事件と変わらない気がするのですが。 肝心な部分は全部ぼかして、なんか雰囲気でまとめられちゃいましたね。 それにケイディは確かにレジーナに対しては『ミーン・ガール』でしたけど、他の人に対しては普通だったと思います。 にも関わらず、何故か気付いたら全校生徒が敵にまわっている。 ・・・うーん、やはり腑に落ちないものが残りますねぇ・・。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-22 05:42:03) |
1147. MAY -メイ-
《ネタバレ》 小さい頃から自分だけを見てくれる『スージー』 でも生きている人間のお友達が欲しい。 『勇気を出して、仲良くなれそうなアダム。』 『なぜか向こうから好意を寄せてくれるポリー。』 私にも友達ができるかも。 あれ、なぜ私だけを見てくれないの。私の何が気に入らないの。 やっぱり私だけを見てくれるのは、あなただけよ、『スージー』。 あなただけが本当の親友だと、やっと気付いたわ。 ああ、唯一の親友『スージー』がばらばらになっちゃった。 思い出す母の一言。 『友達ができないなら、創っちゃいなさい。』 アダムの手。ポリーの首。アンブロシアの脚。最高のお友達を創るわ。 簡単にまとめるとこんなお話。 サイコ野郎のサイコ野郎によるサイコ野郎のための物語。 MAY主観でストーリーを構成しているため、観る者はMAYへの共感を多少は覚えるかもしれません。 ですが主観が変わればこれはやはりただのサスペンスホラーであります。 アダムもポリーもメイに対して優しい人間。それに対し、自分の事しか考えていないメイ。 もちろん、彼女には間違いなく発達障害があったのでしょう。だからと言って、理不尽に人の命を奪って良い理由にはならない。 彼女に同情の余地はなく、こんな人間が精神鑑定を理由に罪が軽くなったりしたらたまりません。 不快感と後味の悪さしか残らない作品です。 とは言え、映画としては面白い。 『私を見て』という一つのテーマがぶれることはありません。破滅へのストーリーが、ガラスケースがひび割れる音とともに刻まれていくストーリーテリングは不穏で最高。 衝撃のラストは文句なし。 ただ手が動いちゃうのは、余計ですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-20 15:14:55) |
1148. イナフ
《ネタバレ》 いろいろな教訓が得られる社会派ドラマ。 『簡単に人を信用するな。』 『逃げるときはキャッシュで。』 『短時間でも電話は盗聴される。』 『親権裁判前に異性といると不利になる。』 『相手がFBIでもドアを開けちゃいけない。』 『結局は腕力がものを言う。』 ・・・まったくどれもこれも実生活では役に立ちそうにない教訓ばかり。 唯一役に立ちそうなのは、『人の携帯を勝手に見るもんじゃない。』ですかね。 それにしてもこの映画のジャンルって何になるんでしょう。 ラブストーリーからのサスペンスからのスパイもの・・・ いや、これぞ『リアル鬼ごっこ』か。 いやいやいや、私にとってこれは『グラップラー刃牙』でした。 ジェニファーロペスの掌底2点+膝蹴り2点+肘うち2点+目潰し2点、そして何の前触れもなくいつの間にか『伝説のトレーナー』みたいな立ち位置にいた謎のトレーナーに2点、しかし、まるで反撃できない旦那に-2点。 やはりライバルは強くないと、盛り上がらないっすよ。 ところでこれ、何の映画でしたっけ? [DVD(字幕)] 8点(2017-01-19 06:18:26) |
1149. 呪信 999
《ネタバレ》 ホラー映画の定石を踏んだ手堅い作品。 演出やシーンとシーンのつながりに、拙い部分もありますが、最初からクオリティには期待していないので問題なし。 むしろ、プロットが思ったよりしっかりしていて好感が持てます。 発想は『ファイナルディスティネーション』で、ギミックは『着信アリ』ですね。 怖くはありませんが、その手口やグロ描写はそれなりに見応えがあって面白いですね。 この手の作品の登場人物って、誰も人の話を聞かないし、自分勝手だし、うっとうしいし、勝手に死ねよって思っちゃうので見ていて悲壮感はありません。いや、逆に、その辺の馬鹿さ加減って、アメリカもタイも同じなんだー、と変に感心しちゃいますね。こんなところにもグローバル化の波が。 ただ、『レインボー』なる女の子の正体だけは、最後までよくわかりませんでしたね。 もちろんそんな細かく追求するような作品でないことは確かなんだけど、気になります。 あの女の子が電話の主なのか。 それともただの『99999999』の伝導士なのか。 謎を残したまま、女の子は次の標的の元へ。いいですよ、この悲劇が繰り返されちゃう感じ、嫌いじゃないです。 高校の先生が授業で講義していた『パンドラの箱』の好奇心ばなしが、しっかり伏線として効いていたのはなかなか良い。 人は、『かけちゃだめ』と言われるとかけたくなるもの。 単純明快で、何のひねりもないけれど、そのとーりでございます。 [DVD(吹替)] 7点(2017-01-16 04:44:05) |
1150. ネバーランド
《ネタバレ》 『ピーターパン』作成秘話。 『実話』かどうかは知らないのですが、まるで実話のような趣きがありますね。 ジョニー・デップ、良いです。ケイト・ウィンスレット、良いです。 そして何より子供達が良いです。 『ピーター・パン』のモデルのピーターだけでなく、ジョージやマイク、それぞれに個性があるのが良いですね。 ストーリーは抑揚を抑えてあって、派手さは皆無。 ですが、登場人物たちの心の動きが小説のように感じられるので、見ていて飽きることはありません。 そして『ピーターパン公演初日』という見せ所もあり、観客達といっしょにこちらまで気分が高揚します。 『孤児院の子供達用に25席を確保する。』劇の雰囲気を盛り上げるための最後の仕掛けが、まさかの『客席』であり、『子供達の笑い声』というのが素晴らしい。 ただ悲しいかな。歳のせいか、見ていてどうしても心にひっかかる部分があって純粋な気持ちになりきれません。 ジョニデの奥さん。悪い人ではないのに、二人の仲が冷めきっています。そしてその理由は劇中では語られません。だからジョニデの奥さんが可哀想に見えてきちゃいます。その部分ではジョニデの行動に賛成できず、共感もできず、結果感情移入もできません。 夫婦仲は改善されないまま、結局離婚したってことになるのでしょうか。 このエピソードがこの作品に必要だったのかどうかがそもそも疑問。 実話であればもちろん必要なんでしょうね。もしフィクションだと割り切るのであれば、奥さんのことも大事にしつつ、ラスト二人で子供達を引き取るくらいの思い切ったハッピーエンド。そのほうが気持ちが良い。 見終わったあと、心の中になんかほろ苦いものが残っちゃいましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-13 15:19:21) |
1151. LOVERS
《ネタバレ》 はじめの1時間くらいが、ひたすら朝廷の追っ手との追いかけっこで、だるいです。 アクションは悪くないと思うのですが、演劇を見ているようで、映画を見ているという感じがあまりしません。つまり、ぱっとしない。 中盤以降が盛り上がります。 『実は・・・!』『実は・・・!!』のオンパレード。いったいいくつの真相があんねん、っていうくらい新事実が次々と発覚していきます。このストーリー展開が個人的にちょっと面白い。 それにしても、冒頭の切り出し方と、本編に多少の差がある気がするんですが、どうなんでしょ。 『唐の時代の朝廷。求心力が落ち、それに対する反抗勢力が各地で乱立。中でも一際勢力が強く民衆の支持も厚い【飛刀門】』 なんてスタートをするから、壮大な歴史スペクタクルを想像しちゃいました。 蓋を開けてみれば、3人の男女の愛憎劇に終始していて、全然世界が広がっていきません。 そこが期待はずれというか、拍子抜けした部分ですね。 『タイトルをちゃんと見なさい』と言われれば、何も反論できないんですけど・・・。 だとしても、こんな脚本でバッドエンドは嫌ですね。切ない気持ちより、不愉快な気持ちのほうが後に残るだけです。 『アンディ・ラウや飛刀門や朝廷軍が最後の殺し合いをして、お互いに次々と倒れていく中、主人公の二人だけ手をとりあって新天地を目指す』 それくらい明るいハッピーエンドにしてほしかった。 薄い脚本には、その薄さに相応しい軽いノリのハッピーエンドのほうが良いと思うんですけどね。 [DVD(吹替)] 6点(2017-01-10 13:29:10)(良:1票) |
1152. フロム・ヘル
《ネタバレ》 こーゆーミステリーものの醍醐味って、犯人がわかる瞬間だと思うんですよね。 『おまえが犯人かー。』って、見ているほうも味わえる驚きと興奮。この作品にはそれがない。 犯人がすぐわかるわけではないのです。正直ジョニー・デップが犯人かと疑うくらい、さっぱり見当もついてませんでした。 にも関わらず、犯人がわかったとき、『ああ、なんだ、お前か。』ぐらいの感想しかわきません。 なぜなら犯人という人物に、まるで愛着がわいていなかったからです。 『意外』、とも言えない人物。微妙なんですよね、劇中での犯人の立ち位置が。 ストーリーのわかりにくさもマイナスポイント。 少々難解な作品であっても、良作にはちゃんと考える余地があります。この作品については、その部分が不親切。製作側の自己満足で終わっちゃってないですか。 それにストーリーも、蓋を開ければただの口封じストーリーで、面白くありません。 ストーリーやキャラクターに求心力があるからこそ、不快な描写も活きると思います。 この作品では描写のグロさ、不快さでただインパクトがあるのみ。むしろ、そんな意図はないのでしょうが、グロ描写がストーリーのつまらなさをごまかすだけの代物にまで見えてきます。 ついでに言うと、個人的には切り裂きジャックによる猟奇殺人よりも、正常な人間の前頭葉除去手術のほうがショッキングでした。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-01-06 12:16:15)(良:1票) |
1153. シンデレラ・ストーリー
《ネタバレ》 現代版シンデレラ。それ以上でもなく、それ以下でもない。 継母たちは性格が悪く、意地も悪い。主人公のサムをいじめまくります。 ライバル同級生も同様。 そして王子様役は中身も外面もイケメン。 友人や父親、仕事先のロンダはさしずめ、姫の願いをかなえる魔法使いといったところでしょうか。 ご都合主義は当たり前。 何故ならこれは映画だから。 ラストはこれでもかっていうくらいの完璧なハッピーエンド。悪者達はこてんぱんにたたきのめされ、主人公たちはこれ以上無いくらいの幸せを手に入れます。 胸がすく思いというのはまさにこのこと。 『シンデレラ』を見たい人には、まさに期待通りのものを見せてくれる、変化球なしのストレート一本勝負。 観た後はきっと幸せな気持ちに浸れることでしょう。 ですが期待以上のものはいっっっっっっさい出てきませんよー。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-04 05:57:47) |
1154. スター・ウォーズ/フォースの覚醒
《ネタバレ》 シリーズ最新作なだけあって、グラフィックの美しさは過去最高かもしれません。 その一方で、ストーリーは既存のものを流用したようなパターンばかり。残念ながら、そこに新しさや驚きといった新鮮な感情が生まれることはありません。 そして悪役。物足りない。華がない。 私は、リアルタイムで観てきたわけではありません。旧三部作より、アナキン三部作のほうが心に残っちゃっています。 そんなアナキン三部作が好きな自分にとって、さすがに今作のファースト・オーダーの面々は、何とも味気ないのです。 『ハン・ソロとレイア姫の息子、ルークにジェダイとして育てられるが、ダークサイドに堕ちる』 悲劇としては、十分すぎる素材だと思います。 にも関わらず、その深刻さや悲哀といったものが、全然伝わってこないのは痛い。 そして渦中の人物であるカイロ・レンのパンチのないこと。 『カイロ・レンを連れて来い。修行を終わらせるときがきた。』というスノークのセリフに、勇気付けられたファンも少なくないのではないでしょうか。 そういった意味では、やはり次回作を見なければレビュー自体が意味を成さないのかもしれませんが、やはりこれは映画。 この映画一本の面白さで評価を出すというのも大事なのでしょう。 そうすると、後半からラストにかけての既視感、尻すぼみ感が残念極まりないできだったので、面白かったとは言えず、正直にこの点数。 シンプルなSFは大好きなんですけどね。 それは単発だったらの話。 やはりシリーズものの最新作は、多少なりともスケールを大きくしてほしいな。 スケールはダウンし、映像は最新のものに向上。 その映像技術に相応しいストーリー、キャラクターに出会いたいものです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-01-02 02:39:57)(良:2票) |
1155. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
《ネタバレ》 子供思いで真面目な生活を送っていた人間が、不真面目な生徒の逆恨みにあって人生崩壊していくドラマ。それが最初の印象。見ていて気持ちのいいものではありませんね。 ミステリー要素があるため、サスペンス的な側面もあり。 『死刑廃止論』というテーマをとりあげる『社会派ドラマ』の側面もあり。 ですがこれはタイトルにもあるように、『デビッド・ゲイル』という人間の生き方を綴った人生ドラマなのでしょう。 理不尽な仕打ちの連続に、一度も人生逆転することなく終わりそうだったのが、最後の最後で、命がけの逆転ホームランを打つ復讐劇に見えたのは私だけでしょうか。 デビッド・ゲイルが本当に取り戻したかったのは、『自分という人間の信頼』であり、『人としての尊厳』であったと思うのですが、いかがでしょう。この死刑が冤罪だと証明できれば、過去のレイプ疑惑だって冤罪であった可能性を主張できます。 どうせこのまま、濡れ衣を着せられたまま人生が終わるのであれば、最後自分を裏切り虐げていたすべての人々に、『お前達は全員間違っていたのだよ。俺が正しかったということを今更後悔しても遅いけどな。お前達は取り返しのつかないことをしたんだ。』と証明して死にたかったのではないでしょうか。 私には少しだけデビッドの気持ちがわからんでもないのです。 ただデビッドに感情移入させるために必要であった、デビッド主観の回想シーン。わかるのですが、結論に至るまでが、長い、長いよ。 中だるみしちゃったよ。 ラスト15分は、そりゃあ盛り上がりましたが、あのオチに対してもったいつけすぎではないですか。 映画としての完成度は高いと思います。 ですが、個人的な好み、そしてこのオチに対してこの尺か、という点は評価から差し引きました。 ケイト・ウィンスレットが謎解きをするパート、良かったのですが、若干『泣きの演技』が過剰だったかもしれません。 そこはもう少し冷静に事件を記者として追うほうが、デビッド・ゲイルの悲哀が逆に際立ったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-31 14:14:54)(良:1票) |
1156. フレイルティー/妄執
《ネタバレ》 『うわー、本当に見えていたのかー。』というのが率直な感想。 主観を『父親』にするか、『子供』にするかで、こんなにも映画のテイストって変わるものかと思いましたね。 もし父親主観であれば、『神の啓示を受けたダークヒーローもの』っぽくなったのかもしれません。 その場合、子供に殺されるシーンは悲劇として演出され、その後を継ぐアダムが最終的なダーク・ヒーローに。そして暗黒面に落ちた兄フェントンと最終決戦ですね。 ですが、フェントンを主人公に据え置いたことで、作品は完全なるホラー・サスペンスへ。 そりゃあ父親がいきなり『神』だ『使命』だ『悪魔』だと言い始めて、人を殺し始めたら、ホラー以外の何者でもありません。 よくできてるなー。 視点を変えることで、ジャンルも変わる。大変よくできています。 ただ設定にかなり曖昧ですっきりしない部分がありますね。 例えば、『自分の欲望のために人を殺したことがある』という人たちが悪魔としてリストアップされる。 それはいいのですが、まだ誰も殺していないフェントンまでもリストアップされるってのは、どうなんでしょ。 ラストの『神の手』の犯人は結局誰なのか。どちらがフェントンでアダムなのか。若干混乱した部分がありましたが、どうやらフェントンが『神の手』の犯人。アダムが『殺した』いや、『滅ぼした』のは、悪魔になったフェントンと母親殺しの刑事だけのようですね。 そのあたり、もう少しわかりやすくしてほしいものです。 [DVD(字幕)] 7点(2016-12-31 03:53:04) |
1157. ボーン・スプレマシー
《ネタバレ》 まず冒頭でマリー(フランカ・ポテンテ)が射殺されちゃうのにびっくり。 自分を狙っているのは誰なのか。ボーンに罪をなすりつけようとしているのは誰なのか。 前作より明らかにミステリー色とドラマ性が強い。そして展開が早い。アクションも速い。カーチェイスは凄い。 少年漫画のようなノリはナリを潜め、完全なる『映画』になっていますね。 カメラワークの臨場感も前作を凌いでいる気がします。 手ぶれ撮影が平気、むしろ結構好みな私にとっては、迫力が感じられてとても良かったです。 特にカーチェイスのリアル感は凄い。 今までのカーチェイスであれば、『ありえないでしょ』の神業連発で、なんだかんだ言って切り抜けちゃうのがセオリーっちゃあセオリー。 ところがこの作品は違います。ぶつかる。ぶつかる。 いや、そりゃ急に道路に飛び出したり、車線変更すれば、そりゃそーなるのが普通なんですが、映画ではそーならないのが普通なのに、あえてそれをやっちゃうっていうね。あれ?何を言っているのかよくわからなくなってきました。 個人的にはカーチェイスであんま熱くならないのです。車やレースに興味が無いっていうのもあるんですが。私にとってカーチェイスって、どちらかというと退屈なシーン。であることが多い。 ところがところが。この作品ではもう目が離せません。 すべてのアクションが最高級のレベルで仕上がっていて、それでいて前作の雰囲気を少しも損なっていません。サスペンスアクションの最高級と言ってもいいくらいです。 恋愛要素が完全に排除されたのも、個人的な好みと合致しました。 トレッド・ストーン最後の生き残りとニッキーの使い方が、おいしいけど、ちょっと出番少なくてもったいない気がします。 そしてブライアン・コックス演じるアボット。唯一サプライズ演出をできたかもしれないのに、ステレオタイプの黒幕で悪いやつってのがばればれ。これじゃあダニーが殺されちゃうシーンだって全然驚けません。まさにダニーは無駄死にですね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-12-31 03:13:58)(良:1票) |
1158. ボーン・アイデンティティー
《ネタバレ》 ストーリーはともかくとして、アクションは好き。 『静』から『動』へのシフトが鮮やか。アクションで大事なのはこのメリハリかも。 プロの殺し屋同士の戦いというのは、理屈抜きでワクワクします。少年漫画に慣れ親しんできた者であれば、この作品に心ときめく部分があるはず。 4,000万$(でしたっけ?)かけて作られた人間兵器。その強さの度合いも、比較対象があって初めてわかるというもの。その意味では、ジェイソン・ボーンと戦ったプロの殺し屋たちの強さは合格点と言えるでしょう。また、得意科目に個性が感じられるのも◎ですね。『異種格闘技戦』はこうでなくては。 よって、個人的には、この作品は『ヒーローもの』ではないかと思うわけです。少年漫画で使われても面白そうな題材。こーゆーシチュエーションは、いくつになってもわくわくしちゃいますね。 また、前半から中盤にかけての緊張感は、ミステリー要素が強くてここも◎。この辺りは一級品のサスペンス映画を見ている興奮が味わえます。中盤以降はジェイソン・ボーンの強さがはっきりしちゃって、爽快感は増すのですが、緊張感は半減。要は、『ボーンがこの連中にどう落とし前をつけるのか』ってのが後半最大の見所になるのでしょうが、その点に関しては『賛否』の『否』の意見が多いのもわかる気はします。ただこれは前半の面白さによる期待値の膨れ上がりも要因になっていそうですけどね。確かに大作映画としての深みはそれほどでもないかもしれません。 ですが記憶を亡くした超強い主人公が、機転とずば抜けた戦闘力で次々とピンチを切り抜け、敵を撃破していく。単純だけれども、それだけで映画は十分面白いと感じさせてくれる作品です。 マイナスポイントはやはり恋愛パートかな。個人的にフランカ・ポテンテという女優にあまり魅力を感じません。 だから彼女とのラブシーンも『はあ。』 お金を渡して『逃げろ』って言うシーンも『はあ。』 最後再会できたときだけは、ハッピーエンドで『良かったね。』とは思いましたが、それ以上の感情は湧かず。残念。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-12-25 14:49:43)(良:1票) |
1159. ユー・ガット・サーブド
《ネタバレ》 明るいダンスバトルムービー。かと思いきや。マフィアあり。運び屋あり。ドラッグあり。少年が撃ち殺されたり、シビアな現実がちらほら。ダンスを楽しむ前に、あらためてアメリカは日本と随分違うなと実感。怖い国です。 それに、少年が撃ち殺されたというのに、『あいつとは仲直りできねえ。』とか、小さいことでまだもめているのにも違和感。そもそも、金を作らなければ自分の命だって危ないのだから、そんなことを言っている場合ではないはずなのに。ここの価値観に自分と大きなズレがあります。 ただ映画としては、起承転結がはっきりしていて、まあまあ面白いです。 もちろん細かいことを言い出せばきりがないくらい、言いたいことはいっぱいあります。 例えば、ラストの大会は、デビッドとエルが仲直りして、死んだセイントのために予選から同じチームでやってほしかった、とかね。せめてラストの声かけは、『デビッドからではなく、そこはエルからでしょーが!』と思ったのは私だけ?しかも『足りてる』って、エル、あんた・・・。男気の無さも、ここまでくるとがっかりなんですけど。 ダンスは凄い。ダンスのことはよくわかりませんが、少なくとも今まで見てきたダンスムービーの中では群を抜いています。この作品と比べてしまうと、他のダンスムービーはもはや問題にすらならないでしょう。 そんな中でも、オープニングと中盤のダンスバトルは特に好きです。ダンスって面白い。技だけではないんですね。ダンスを通して演出されるパフォーマンスの数々。『上着の交換』『スローモーション』『下半身のみ二人羽織』『マネキン』。もう様々。ダンスで表現できないものは無いな。と、感心しきりです。 [DVD(字幕)] 7点(2016-12-19 05:36:00) |
1160. マッスルモンク
《ネタバレ》 前半から中盤にかけては面白かったのに。普通に楽しめるサスペンスアクション。クライムムービー。テンポもよく、ノリも良い。 その人の『業』が見える。『業』が見える人は死期が近い。『業』によってその人の死に方も推測できる。面白い試みです。 『サイコメトラー』とか、それに近いテイストになりますね。 『前世がカブトムシってどうなん?』とかも思ったけれど、よく考えると面白い。 女刑事とコンビを組んで、『業』を見て、『筋肉』『カンフー』ふりまわし、悪い奴をやっつけちゃうぜ、っていうよくあるパターン。嫌いじゃないです。むしろ大好き。 犯人も個性的で良い。バッグの中に人を引きずり込むインド人はインパクト大。出だしの相手としては完璧。2番手のウナギのような泥棒も、箸休め的な意味として最適。これは面白い作品に出会ったものだと、非常に満足。 『そしてここから一気にクライマックスのエピソードが始まるわけね。』と勝手にわくわく。 ところがところが。後半は全く違う映画になっちゃいました。 前半であれだけ盛り上がったこの気持ち。いったいどこへ持っていけばいいのやら。 変な宗教観。変な精神世界。アクションはなくなり、女刑事は殺される。女刑事が殺されるところだけが、やたらグロい。 生々しくて、趣味が悪くて、爽快感が無くて、カタルシスもなくて、意味もわからない。 ずっと前半のテイストでいってくれれば、最高に面白い作品になれたのに。 なんでこんなことになってしまったのか、理解に苦しみます。 とてもラストのアンディラウみたいな、爽やかな気持ちになれないんですけど! [DVD(吹替)] 3点(2016-12-18 22:15:07) |