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プロフィール
コメント数 1682
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1141.  アポロンの地獄 《ネタバレ》 
最初と最後に現代と繋がる部分は正直言ってよー分からんかった。だからその部分を置いて考えると、本質的にはド直球な「古典の映像化」である。勘所はその表現技法であろう。リアリティを無視した、お手製感満載のどこか適当で(小難しく言えば)非実在的・抽象的なそれは、ロケーションやセットには拘りつつも非常に「演劇的」というか、中々に面白い(非・通常映画的な)質感・空気感を醸成することに成功していた。演技面でも、やや大袈裟なそれは大いに舞台劇感を醸していたが、演技自体は確かに力強く、かつそれなりに上質であった様にも思われる。単純に傑作ギリシア悲劇の映画版として観るなら、意外とそこそこ楽しめるのではないか。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-09-22 19:47:24)
1142.  モンパルナスの灯 《ネタバレ》 
これは、地味にキッツイ映画ですね。。モディリアーニが非業の死を遂げるのは織り込み済な訳ですが、その予想された結末に更に人間の底知れぬ悪意を被せてくるという。ただ、それは生前のモディリアーニを決して認めることのなかった(そしてその死後は掌を反して賞賛している)我々「世間」というものに対する、ある種の批判的なメタファーである様にも一瞬ふと思われたり。  とは言え、描かれるモディリアーニ本人は最初から社会人としては完全に破綻しており、その面の彼には中々共感するという所までは至らない様にも思います。感情移入できるのはやはり、ジャンヌとの恋愛事象の方でしょう。男も女もとにかく見映えが史上最高クラスに美しいことを含め、どちらかというと付録にあたる恋愛映画としての見応えの方が意外にも優れていた印象を受けます(だからこそあの残忍なラストには、個人的には少しばかり期待を外した感と、物語全体に対する幾ばくかのアンマッチ感を覚えたのですが)。  ただ、美しすぎるのもそれはそれで、というか、特にジェラール・フィリップをただ美しく撮りすぎですかね。演技はまだともかく、終盤の彼には結核で死ぬ寸前の廃人、尾羽打ち枯らした人生の落伍者というものの雰囲気を、少なくとも見た目からは感じ取ることが出来ません。単純なメイクアップ技術の問題ではあるのでしょうが、そこが少しばかり残念にも思われます。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-22 16:14:40)
1143.  雨に唄えば 《ネタバレ》 
ジーン・ケリーとフレッド・アステアというのは、剛と柔と言うか、『北斗の拳』で言う所のラオウとトキと言うか。ケリーの踊りにはアステアには無いパワフルさ・アクロバティックさを感じ取れ(躰のナリもだいぶんゴツイですしね)、アステア一派の私としてもこっちはこっちで確実に素晴らしいと思うのですよね。  ミュージカル映画の史上最高とも称される今作、力強い踊りのクオリティについては、確かに他の作品に頭一つ抜きん出ていると言えるかも知れません。ケリーの種々のシーンに加え、ドナルド・オコナーの『メイク・ゼム・ラフ』も高度にアスリートな優れた出来だし、私は終盤の『ブロードウェイ・メロディ』も好きですよ(ただ確かに、冗長と言うよりはちょっと挿入が唐突、かつ脈絡も薄いというのは確かなのだけど)。そして『雨に唄えば』という20世紀屈指の名曲と雨中のその挿入シーンは、これも確実に映画史に残る名場面と言えるのだし。  一点、今作はケリーが絶対的メインで、故に女優が活躍するパート(踊りにせよ演技にせよ)がやや少なめだという点が、好みの問題ではあるが私としては少しだけマイナス。ただ、そうは言っても例えばジーン・ヘイゲンのコミカルで特徴的な演技とかは、これも個人的にはかなり面白く観れますのですけどね。
[DVD(字幕)] 8点(2020-09-21 23:15:19)(良:1票)
1144.  大地の子守歌 《ネタバレ》 
質感としては『はなれ瞽女おりん』なども想起される(原作小説も映画もほぼ同年代だが、いずれも本作が少しだけ先行だが)。やや後発ではあるが『おしん』などにも通じるそのテーマ面は、苦境にもめげず芯のある女性を描いてゆくという部分であろうか。ある種、この頃の日本人の心象風景の中でまだ尊ばれていた人物像が、今作のおりんにも反映されているということだろう。  かなり凄惨な場面もある中、おりんが逆境に屈しない様子に感情移入していく一方で、その外形上の強さ(強さと言うか、他人を拒絶する「壁」の高さ、と言うか)の中に垣間見える弱さ・脆さといった部分に、個人的にはより深く感じ入った。前述のとおり強い女性を描いているようで、他者と共生する術を持ち得なかったおりんには、私は人間と人間の運命の儚さ・残酷さの方をより強く感じ取るのである。  その「強さの中の弱さ」を見事に内包することも含め、原田美枝子の力強い演技は非常に素晴らしかったと思う。今作時点でまだ18歳、栴檀は双葉より芳し、とは斯くの如くか。
[DVD(邦画)] 7点(2020-09-20 01:02:13)
1145.  ミッドウェイ(2019) 《ネタバレ》 
比較的史実に忠実に、かつその中で創作の人間ドラマの描写に注力すると言うよりは、真珠湾攻撃~ミッドウェイ海戦の実際の軍事的展開を描いてゆくことの方に重きを置いた作品だと感じる。その観点からまず一つ残念なのが、そうであるにも関わらず、率直にイマイチ個々の歴史的事実・イベントの意味とか影響とかが伝わって&繋がってこないことである。ミッドウェイ海戦に至る戦況も大雑把にしか描写されないし、一番肝心だと思われる南雲中将の判断と時間的な「偶然」だとかも、知ってりゃ分かるが知らなきゃ多分伝わってない様にも思われる。あと、ドーリットル空襲を描くのも端的には間違い無く正解だと思うが、一方でそれが日本軍司令部の作戦判断にどう影響したのかがあんまりハッキリとは描かれない、というのでは、正直何がしたくて該当シーンを挿入したのか意味が分からないといって過言でもないであろう。  また、前述どおり人間ドラマには重きを置いていないのでその面の見応えはいかにも薄っぺらいし、CG全開な戦闘シーンも量はともかく質は今日びの映画じゃそこそこ(と言うか若干チープ寄りかも)というレベルでかつバリエーションも少ないし(急降下爆撃で空母沈めるのを4回も観なきゃならんという)、CGがつくりものっぽいから戦場のリアリティや迫力・凄みも希薄で、総じて、昨今の出来の良いリアル戦争映画と比べると、色々と極度に淡泊、という印象を受ける。  ひとつだけ褒めたいトコロとしては、淡泊に、かつ日米どちらにもあまり熱く肩入れせずに描くことで、戦争の勝負ごととしてのカタルシスは感じられないものの、それ故に逆に「勝利者などいない戦争の悲哀」というものは仄かにも確かに感じられた(終盤、若干そっち方面に演出を寄せていましたよね)。まあその部分にしても、泣ける!というホドでもない薄味、だとも言えるのだけど。
[映画館(字幕)] 6点(2020-09-19 02:03:03)
1146.  TENET テネット 《ネタバレ》 
正直、コロナ収束までは完全自粛も已む無し、と腹は括っている。が、今作は別腹だ(文字通り死んでもIMAXで初日に観ると決めていた。モノのついでに『ミッドウェイ』まで観てしまったのは内緒)。  しかし、コレは……率直に、事前情報も無しに一回観ただけじゃどーにもならない映画に思えますですね。んでもって碌に理解もしてないのにレビューもクソも無いとも思うのだけど、とは言え今作、観客に理解とか納得とかキチンとさせてあげようという映画でないのも確かだろう。ならば、とりあえず初見での観たまま・感じたままを記しておくのも無意味ではないのかもと(だから近々に再見してなんか追記すると思います)。  ただ、話の大枠自体は割と単純、かつ結構「よくあるヤツ」に思える。世界を崩壊させかねない「アルゴリズム」。その悪用を企む敵と、それを防がんとする善玉の秘密組織(スパイ組織的なアレ)という。そこからの話の細かい展開の意味するトコロはほぼほぼ理解できなかった(特に主人公が「回転ドア」に入って以降はもう何がどーなってるのやら)のだが、率直に展開運びの全部が鮮やかにキレ好くキマッてるという訳でもない様にも思われたし(ラストなんか、かなり「アレッ」という感じで終わっちゃった様な気もする)、そこまで完成度高く内容の整合性が取れている訳でもない、という可能性も、実は大いにあるのではないか。  しかし、映像面の出来は正に圧巻だった。潤沢な製作費をひしひしと感じさせる、もはや今どき珍しいリアルにやっちゃった・つくっちゃった・建てちゃった各々のシーンも然ることながら、最大のコンセプトたる映像空間における部分的な「時間の逆行」をそこに被せていくCGのクオリティもこれも実写と中々区別のつかない超高品質ぶりで、150分の映像体験は確実に「今まで誰も観たことが無い」というユニークなクオリティを実現していた(ただこれは、チープでチンケなCGで塗り潰された様な『ミッドウェイ』に続けて今作を観た、ということが影響している可能性も捨て切れないが)。その他、ロケーション(風景)、小道具・乗り物、モブキャラに至るまでの各キャストの見映え&演技、更には肝心の個々のシーンの画づくりにせよ、どれを取っても全て監督が拘りに拘り抜いて(かつカネも惜しみなく使って贅沢に)つくり込んだ素晴らしい完成度であった。  結論、映像面の新規性・斬新さと、全体の(話の内容以外の)完成度の高さをもって、一旦のこの評価としたい。このうえ、話の内容の方の完成度が高いか低いかが判断可能になった時点で、±1というトコロだろうか。  ※2020/10/18追記 2回目はIMAXレーザーGTにて。解説サイトを熟読して再見したら、おおよそ全ての場面で十分な理解が得られた様に思う。その意味では、高度なユニークさを備える難解さ、ではあったものの、いったん慣れればそこまで難解すぎるというワケでも無いし、整合性や理解するためのとっかかりは十分に用意された作品だと感じる。ただし、それでも逆行カーチェイス(特にアルゴリズムの動きの部分)と、主人公の腕の怪我の描写については、未だに若干の不可解さが残ったまま、である。  理解が追いついたことで再見時に印象に残ったのは、ニールの存在感である。特にラスト付近は彼の働きが(作戦行動上も、また作品のクライマックスとしても)最も肝心な部分であり、ここをイマイチ理解していなかった初見時とは異なり、終盤が気持ち的にも色々とだいぶん盛り上がって観終わることが出来た。2回目の方が確実に面白かったし、皆様もぜひ2回目を楽しみにしていただければと思います。  まあ、かなり細部までよく出来た話だとは思うが、同時に大枠はやはりシンプルな話だというコトも再度理解した。評点は据え置きで。
[映画館(字幕)] 8点(2020-09-19 01:23:55)
1147.  本当の目的 《ネタバレ》 
ひとつのお話としてそんなに観れなくはないものの、正直言って「だから何?」と言うか、テーマと言うかコンセプトと言うかメインディッシュと言うか、そういったもの(勘所)の存在感が希薄だと感じる。寒々しい演出・演技も悪くはなかったし、ヨーロッパ辺境の社会状況や情景を垣間見れるという意味での価値はあると思うが、個人的にはあまりピンと来なかった。そのうち再見するかも。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-09-18 00:43:08)
1148.  青い体験(1973) 《ネタバレ》 
男どもはとにかく揃いも揃ってバカばかり。特に主役の中坊のバカさ加減は深刻で、将来絶対ロクな大人にならないのを請け合ってもいい(いくら私でもこいつよりは多少マシだったろうと自信を持って言える)。しかし、肝心なお姉さんの方も決して聡明とは言い難い、というか、ほっときゃいいのにこのバカガキに付き合って張り合ってしまうのだよね(冷たく突き放さないだけある種優しい人なのだろうね)。本作に描かれるものというのは、おバカな男と女のマウントの取り合い、つまり、男を黙らせる一番手っ取り早い方法としてのエロ、という訳だ。  個人的には、主演のラウラ・アントネッリは見た目的には超タイプ。であるし、年齢も絶妙(いわゆる二十シッパチ三十凸凹、という乙なヤツですね)。地味に撮影は名匠ヴィットリオ・ストラーロで、よく見ると中々に凝ってる画づくりが秀逸、なのも相まって、女優の性的魅力というものは確かに出色にも感じる。しかしお話の方は前述どおり、ちょっとバカ過ぎて観ていてだいぶん苦しかった。映画としてはいい大人に勧められる作品とは到底言えないかと。  むしろ、実は子供向けなんじゃねーか、とも思う。観ていて唐突に思い出したが、私もこの映画中学生の頃観てましたわ(多分深夜に)。今作、中学生がコッソリ観る分には実は適切なエロさ加減かとも思う(というか、これぐらいで我慢しとけ、という)。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-09-16 21:30:06)
1149.  NICE 2 MEET U 《ネタバレ》 
何から何まで全くもって「普通の恋愛」な映画なのは確かだが(にしてもフツーすぎる程にありきたりだけど)、それでも爽快さとゆーものは結構素晴らしかったと感じる。いちおう、男女間の民族的・文化的差異を乗り越えてゆくという面を持ち合わせており、その意味では少しだけポリコレの波に乗っている作品だと言えるかも知れないが、その「男女の差」というものは実はごく普遍的なものでもあり(要するに、恋愛に対しやや保守的な男と、少しだけ奔放な女、という)、その面でも特殊な要素を備える恋愛を描いているというよりは、やはり普通のありふれた恋愛を描いた映画だと言ってよいだろう。  普通の、という意味で、美男美女すぎない主演二人にせよ、臨場感を重視した撮り方にせよ、より視聴者目線で身近な質感を引き出す種々の演出も非常に効果的であった。結果的に極めて広範に感情移入しやすい物語になっており、ありふれてはいるが自分ごとの様に引き込まれて観てゆけた、と言える。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-09-16 00:01:40)(良:1票)
1150.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 
雑多な登場人物に加え、描かれる時間軸も多様に切り替わる、が総じて、この映画は10代後半から30歳直前の人生で最も輝かしい時期を様々に生きる若者たちを描き出した作品だと言えるだろうし、そして最も重要な点は、これも総じて彼らがその人生のゴールデンタイムをイマイチ輝かしく謳歌できていなかった様に見える、ということにも思える。  加えて、登場人物には割と受動的で人生に「無為」とも見えかねない熱量の低い人も多く、その意味でも全編通してあまりテンションは高くなってゆかない。群像劇というよりは青春風景のパッチワークというか、物語性も決して明確とは言い難い。繊細な見所を擁する文芸映画、と言う方が確かに実態に近いだろうし、作中の何かしらに引っ掛かることが無いと、そのまま退屈な作品に終わってしまう恐れも大いに在ると言えるだろう。  でも、振り返って人生で一番愛おしいのは、やはりその「やり残し」ではないか、とも感じる。ひたすらに「意味」を積み重ねる人生も、充実してはいるのだろうが少しばかり疲れるだろうと思うし、例えその意味が明白でなくても、人生には絶対に「無意味」な時間はないのだろうとも個人的には考えている。少なくとも私は本作からは、決して悪からぬノスタルジイを汲み取ることが出来た。  人生、人目も憚らずただ泣きながら大声で歌いたくなる時もありますよね。でも、それが許されるのはギリ20代までではなかろうか。30過ぎてもそんなことやってたら、それはもうちょっと変な人だ、とも。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-09-15 21:17:42)
1151.  ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ 《ネタバレ》 
なかなか波乱万丈な人生であるのは確か(一部、内容の信憑性には議論があるようだが)。ただ、ひとつの仰天な「事実」の暴露と、姉妹のアンビヴァレントな関係性(これも言っちゃあ結構ありがちなモノではあるが)を除けば、ドラマの要素としての質はどれもごく平凡なレベルに留まるし、お話としては全体としてもそこまで深く感動したとも言い難い(あくまで個人的には)。  演技面はそこそこだったか。ワトソン、グリフィスは共に流石の手堅さ。ワトソンは病気になって以降は凄みが出てましたね(逆に、前半からのチェロ演奏のシーンは率直に全く弾いてる様には見えないチンケな出来だったが)。グリフィスは種々の「物言わぬ」シーンが良かったですね(よく見ると意外に美人ですしね)。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-13 01:48:01)
1152.  アンダー・ユア・ベッド 《ネタバレ》 
主人公の孤独で静かな変態性の表現は、そこそこイイ線を突いているというか、部分的には共感すらできなくもないと思う。しかし、結局この彼は自分が何をどうしたいのか自分でもよく分かっていない(これは、そもそもそういう人物を描きたかったのだから、別にそれ自体が悪いという訳ではないのだけど)、ということからの行動のチグハグさというか、端的には目の前で千尋が凌辱されているのに(そのための武器も持っているのに)助けもしない、という部分には、正直言って「な~にやってんねん!」となってあまり感情移入できないし、だからこのキャラには(ある程度共感はできるものの)根本的に魅力や納得というものを感じない。  ヴァイオレンス面の描写の見応えも中々素晴らしいのだが、いかんせん少しやり過ぎたというか、このレベルで殴られてたらもっと早く逃げ出すだろ、という意味で話のリアリティは毀損してしまっている。総じて、お話としては観ていて歯痒い、やるせない、腑に落ちない、心が痛い、ムシャクシャする(→千尋の旦那に)、というネガティブ方面の感想しか出て来ない、という感じ。  しかし、そういう映画も偶には好いのではないか、という意味では、それでいてまずまず優れた見応えも得られる作品とは言えると思う。高良健吾は見映えも良いし(この話を中途半端なブサイクがやったらそれこそ観るに堪えんし)、無感情なモノローグの質も存外に高かったと感じる。一般向けでないのは確かだが、個人的にはそこそこオススメ。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-12 22:17:27)(良:1票)
1153.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 
叙述トリック、との触れ込みであった様に記憶しているが、その部分のクオリティは率直に中の下くらいか。これは要するに時間軸の入替え、1→2→3だったものを2→1’→3にしている、程度の簡単な工夫であり(要は、一連の襲撃シークエンスを序盤と終盤に分割したかった、というコトなだけに思える)、その点についてはやや肩透かし気味な出来かとも思う。  しかし、肝心のヴァイオレンス描写に関しては何の文句も無しに高水準。ロー・ティーンの女の子にここまでする?というレベルの暴虐非道ぶりは極めて高度な見応えを生んでおり、というかこれは一般人向けの水準を完全に凌駕している(まあ、監督には『マーターズ』という「前科」があるので、まかり間違ってなんとなく観に来てしまった方にはご愁傷様と言う他無い)。魔女とバケモノ、と称される恐るべき犯人コンビのホラーモンスター感も中々素晴らしい。ゴスロリ方面に手を伸ばした気味の悪い雰囲気も部分的にかなり上質。とにかく怖い(というか悍ましい、不快な)映像体験を所望しているなら、非常に手堅くオススメできる。
[映画館(字幕)] 7点(2020-09-12 19:25:43)(良:1票)
1154.  ザ・ゴーレム 《ネタバレ》 
イスラエル映画だが、舞台は数百年前のリトアニア、しかし実際にはユダヤ人の村での話なので、ユダヤ系歴史ものホラーというレアジャンル。内容も、復讐のために異形の力を借りるも制御不能に陥る、という点では結構よくある展開だし、宗教的エッセンスを含むこともあってか割とマジメに(あまり色々やり過ぎることもなく)つくられている。バリバリにホラーというほど恐怖心を煽るワケでもないし、怖いというよりは重苦しいという系統のホラーかと。実は個人的には結構好きな部類。  ただ一点、肝心の女主人公というのが、なんつーかこう「思い込み一直線」と言うか、ハッキリ言えば若干サイコな、と言うか。そもそも最初っから村で一人だけ「血には血」という様な好戦的なモチベーションでゴーレムつくった挙句、最終的にはかなり悲惨な結末を招く、というのはあまり主人公のメンタリティでもない様に思う(普通、モブの脳筋キャラのやることだよね)。他にも、旦那を7年も手酷く騙してたのとか、自分の知己をゴーレムが殺しまくってるのは率直にあんま気にしてなかったり、正直言ってかなりアレなお人ですよね、という感じ。  ひとつ褒めておきたいのはゴーレム役の子役(とその面の演出)。別に喋ったり大きく表情つくったりする訳でもないけど、かなり異様な雰囲気を出せていたと思う。子役も単純に見た目可愛いし、他の映画でもちょっと観たいかも。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-09-12 01:05:37)
1155.  恐怖ノ白魔人 《ネタバレ》 
『恐怖ノ黒』シリーズのスピンオフ(嘘)。しかし、監督はあのバスティロ&モーリーなので、多少は期待できる、カモ?  そしてド初っ端のヴァイオレンスシーンは、どういうワケだかは全く分からないのはさておき幸先好くも中々の切れ味で、その期待は否が応にも膨らむ一方。しかし、結論的にはそこから1時間が全く面白くない。話の内容をぶっちゃけちゃうと、恐らくミュータント的な白い異形(実は6歳のガキ)が次々と人々を襲う、というだけの話で、意味のある内容という程のものは無いし、中盤はショックシーンも何故か殆ど無いに等しい(白ガキの襲撃シーンはあるが、肝心なトコロは省略されてて映されないというタイプの手抜き)。  それでもラスト15分くらいは、遂に正体を露にした白ガキ(何故か下半身も全開)が、これまたかなりの切れ味で暴虐の限りを尽くす(加えて白ガキの親父もこれをちゃっかりサポート)ので、最初と最後のヴァイオレンス要素に関してはそれなりに評価できなくもない。ポイントを絞って鑑賞すること前提で、一応のこの評価としておく。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-09-11 21:56:07)
1156.  レナードの朝 《ネタバレ》 
全体的に演出は抑制ぎみな方に思うが、その静けさが残酷な現実をより際立たせている様にも思う。観終わって調べると、若干の脚色・演出はあるものの肝心なトコロは大体事実という超衝撃(世にも不思議な実話)。その意味でも、観る価値は確実に在る作品だろう。  抑え目とは言っても、終盤のダンスシーンなんかは正に号泣もの。昔いっとき通勤電車で映画観てた時期があって、そんなときに山手線で観てて不覚にも車内で大泣きしたのだよね(その後、電車で映画は観ていない)。あと、ロビン・ウィリアムズのこれも静かな演技も流石といってよい出来だが、更にデ・ニーロのは演技の域を軽く超えてしまっている、そのへんも必見。
[DVD(字幕)] 9点(2020-09-09 23:49:41)
1157.  That's Not Me 《ネタバレ》 
ムムム…「私じゃない!」というタイトルどおり、成功した妹と間違えられ続けて段々うんざりしていく双子の姉の話だが、おそらくジャンルとしてはコメディなのだろうが、全編通してかなり鬱々・ジメジメとほの暗いよーな話で正直あんまし笑えない(笑い飛ばすというにはチョイ辛すぎる)。かといってヒューマンドラマになっているかというと、特にそっち方面で盛り上がることがホントになんも無くてラストもただ焚火して終わり(何じゃそりゃ)。結論、お話としては完全にイマイチ(正直、最後まで観るのがだいぶん辛かった)。  主演女優(兼共同脚本)は監督の嫁らしいのだが(オーストラリアのローカルな人たちみたいだけど)、設定は27歳なのだがどーみてもアラフォーにしか見えんぞよ(疲れが顔とお肌に出てる、と言うか)。まあ、二役の妹の方にキラキラ感を出すために、比較対象の姉の方を残念な見栄えにした、という意図的な演出なのだろうけど(にしても、主役にこーも魅力が無いのは率直にどーかと思うケド)。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-09-06 16:46:13)(良:1票)
1158.  厳重に監視された列車 《ネタバレ》 
下世話な内容だが描写は非常に間接的なので、あまり品の悪くない上質なコメディに仕上がっている。ただ、中々に薄い味付けなので人を選ぶとは言えるかも(個人的には結構笑えたケド)。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-06 12:04:09)
1159.  屋敷女 《ネタバレ》 
一部では有名な作品だが、同時期の『マーターズ』に比べれば完成度という点では二回りは劣るか。前段部分がモッタリしたテンポなのはまだともかく、メインのスプラッタ展開に入ってもスピード感を欠いてだいぶモタモタしているし、かなり不自然でザ・突っ込みドコロな場面も多い(母親を殺しちゃうシーンなんかはもうコントですか?て感じだし)。そもそも話にも内容という程のものは無く、あくまで尖鋭的なスプラッタ描写にのみ観る価値があるジャンル映画、というレベルに留まると言って過言でないだろう。  しかし、その肝心要なスプラッタ描写に関しては、その痛さと血みどろ具合が文句無しに最高峰(正に血の河)。個人的にはとにかく、妊婦の腹にハサミ突き立てるというのが私ですらも観てられないという衝撃度で(当方、アンレイテッド版を鑑賞しております)、これまた常人の思い付きとは思えないレベルで酷いったら無い。今作、DVDジャケットには「妊婦の方は鑑賞をご遠慮ください」と注意書きがあるが、さも当たり前な配慮である(万が一「事故」でもあったらどーするのか、という)。  もうひとつ、ベアトリス・ダルはそんなに分かり易く危険人物な演技を色々こなしてるというワケでもないのに、実にデンジャラスなオーラを醸し出していてこの点もグッド。そもそも本人がかなりアウトロー系の人物なよーで、その意味では本質的に適役だった、というコトかも知れない(このジャンルでそれって、それはそれでどーなの?とも思うケド)。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-06 01:54:58)
1160.  マーターズ(2007) 《ネタバレ》 
かなりハイレベルにグログロな映画で、拷問でズタボロになった少女らの「見た目」の悍ましさも然ることながら、特に話の内容の方が欧米映画にしては珍しく際立って悍ましい、という作品である(正直、頭がどうかしちゃってる、というレベル)。ただ、最大のポイントである「死後の世界を見るために『殉教者』をつくり出す」というアイディアは、あくまで個人的には説得力というか映画のコンセプトとしての質の高さを大いに感じるし、話の内容の方にここまで嫌悪感を感じられるというホラー、としても、だいぶん希少価値が高いとも感じられる。  その他の点にしても総じて色々と良く出来ているというか、巧みだと思う。特に、序盤からの訳の分からなさを意図的に残しつつ、パワフルにテンポ良く展開して段々と話が見えてゆく前半の展開運びなんかはホラー的に実に秀逸だと思うし、後半も単純にお話として相当に面白い。恐怖描写も、前半のキレの有る力技も、後半の陰湿な拷問の場面も、どちらも迫力や痛さ・エゲツ無さの点で出色である。全くの救いの無さも含めてネガティブ全開な作品ではあるが、ホラーとしては純粋に一流かと。もし今作が無かったら、2000年代のフレンチ・ホラー・ムーブメントの歴史的評価は、全く異なったものになっていたであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2020-09-05 23:43:18)
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