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 > 目隠シスト さん
目隠シストさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2291
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。
2024.6.28
とりあえず1周目クリアしたのでぼちぼち投稿再開しています。
2024.7.19


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1161.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
本作最大の欠点は生還要件が厳し過ぎることです。エイドリアン・ブロディは「船を奪って捕虜となっていたプレデターに操縦させる」と言いますが、幾らなんでも無茶というもの。ある程度現実的な希望がないと、“生き残ってやろう”という気が失せてしまいます。そういう意味では、舞台設定の種明かしは最後でも良かったかと。やっと敵を倒して空を見上げたら月が2つありました的な。結末の感じでは続編製作が可能なので、次作でちゃんとオチを付けてもらいたいと思います。原点回帰とも言えるジャングルでのサバイバル戦は、『プレデター』らしくて良いと思います。ただ、プレデター攻略法としては、さほど目新しい部分は無く、1対1でヤクザに遅れを取ってしまうプレデターはちょっと頂けない。でもお気軽に楽しめるSFシリーズという点を評価し、チョイ甘めですが6点進呈いたします。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-07 19:51:32)(良:1票)
1162.  脇役物語 《ネタバレ》 
主役がスーパースターなら、キャラクター造詣にとやかく言うつもりはありません(ウソ。ちょっとは言うけど)。イチローや石川遼がどんなパーソナリティだろうと、所詮別次元の人間ですから。でも(自分と同じ)脇役が主役となれば、是非とも感情移入したいと思うのです。ところがヒロシという人間がよく分からなかった。倒れている自転車を直す潔癖さ。損な役回りを引き受けてしまうお人好しぶり。これらの性質と、酔っ払って花壇の花を抜いたり、写真を千切って路上に巻いたりする“雑”な部分とが、どうも相容れないのです。後者の描写はドラマでよく目にする典型シーンではありますが、彼にさせるのは間違っていると感じました。この事はアヤの方にも当てはまります。彼女はサッパリした性格。だからといって、売り物の葡萄を無断で頂戴したり、インターネット喫茶のアルバイトに食って掛かったりするでしょうか。キーアイテムを印象付けるため、あるいは彼女に啖呵を切らせるために、無理矢理エピソードを捻じ込んだような。彼ならどうする?彼女ならどう考える?脚本を練る上で必要な人物造詣との調整が、出来ていない気がしました。それに核となる2人の恋愛模様もパッとしません。起承転結の頭と尻尾だけ提示されても困ってしまう。いつ2人は愛を育んだのでしょう。賑やかしの枝葉のエピソードに気をとられて、肝心の本筋が脆弱では意味がありません。物語のコンセプトは気に入りましたし、役者も良い人達を揃えたたけに勿体無いです。以下完全なる余談。松坂慶子について。腐っても鯛。太っても美人女優。さすがにお綺麗です。でも失礼ながら、あの腕ならリキラリアットが打てる。
[DVD(邦画)] 4点(2011-09-04 00:25:01)
1163.  板尾創路の脱獄王 《ネタバレ》 
『脱獄もの』というジャンルは、数多くの名作・傑作を輩出してきた超優良カテゴリー。ただでさえ観客のハードルは高い。そこへ来て、このタイトル。そりゃ期待しますとも。奇想天外な脱獄プラン、看守とのせめぎ合い、手に汗握る脱出劇を!ところが、これら『脱獄もの』の目玉部分について、見応えはありせん。かといって、監獄生活における人間ドラマに重点が置かれている訳でもない。物言わぬ主人公が、脱獄を繰り返し捕まる。その繰り返し。正直、飽きてきます。雰囲気は思いっきりシリアスなのに、脈絡もなく中村雅俊を歌う主人公。観客は戸惑うばかりです。終盤にきてやっと物語の終結点が見えてきたと思ったら、まさかまさかのハングライダー!この土壇場で、ようやく観客は気づく訳です。「なんだコレ、コメディだったのかよ」と。観終えてみれば、首尾一貫“板尾創路の笑い”に違いないのですが、それに気づけというのは無理な話。何となく騙されたような気になってしまう。それが本作の評価にも表れているのだと思います。ただ、ここまで監督の色がハッキリ出ている映画もめずらしい。個人的には“アリ”と判定したいです。2回目以降が面白い映画だと思いました。
[DVD(邦画)] 6点(2011-09-01 19:29:37)
1164.  運命のボタン 《ネタバレ》 
(いきなりネタばれあります。ご注意ください) 物語のポイントは“ボタンを押すか否か”ではなく、“夫婦はみな、子を救うために配偶者の命を奪う選択をする”という部分にあると考えます。キャメロンがボタンを押した瞬間と、別の被験者が妻を撃ち殺したタイミングが一致している事から、まるでボタンが別件の射殺の引き金になっている印象を受けますが、違います。箱に送信機能が無いのは確認済み。ボタンは、被験者夫婦の一方を殺す羽目になるスイッチでした(正確には、ボタンを押した者が配偶者に殺される)。宇宙人は多分こう考えています。自分の幸福のために他者に犠牲を強いるエゴイストならば、遺伝子的に無関係な配偶者よりも、血の繋がりのある子供の利益を優先させるだろうと。残ったクズたちは従業員として、こき使えばいいと。でも待って欲しい。最後の選択は、子供をトラブルに巻き込んだ親の罪悪感や責任感がさせること。我が身可愛さの選択とは違います。(もし子の障害が先天性のものなら、障害が消えるとしても夫は妻を撃ったりしない)。それに配偶者を失う事がどんなに辛いことか。血縁でなくても、自分の命と同じ、いやそれ以上の価値を認められる命があるのです。人間には。殺される妻だけでなく、殺した夫もまた苦しみます。だからもう人の弱い心に付け込むような調査は止めて欲しい。利己主義がいけないのなら、地球上全ての生き物の存在が否定されます。目先の欲に溺れてしまうのは愚かだけれど、我が身を犠牲にできる良心を持っているのも人間です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-31 19:26:16)(良:1票)
1165.  BUTTERFLISTA すべては、愛の行為。 《ネタバレ》 
登場人物は、グッドルッキングガイ、わりと綺麗な白人マダム、美香さん、そして恭子お姉さま。基本的に台詞は吐息ですが、BGMで聞こえません。各チャプターの冒頭で(たぶん)美香さんのナレーションが入りますが、言っている意味が解りません。いや解りたくないというのが本音。美香さんが主役のチャプターは何とか我慢できるものの、お姉さまの回は修行僧でも泣いて土下座をするレベル。中でもグッドルッキングガイとお姉さまが××をかます第1チャプターと、着せ替え美香さん人形の第6チャプターの破壊力は、もはや兵器と言っていいでしょう。精神に異常をきたしかねません。自分は円周率20桁を繰り返し暗唱することで、なんとか難を逃れましたが、もしゆとり世代だったらと考えるとゾッとします。悪いことは言いません。真っ当な映画ファンでいたいのなら、いや人の道を踏み外したくないのなら、本作に手を出してはいけません。とくに『死霊の盆踊り』を鑑賞済みで、既に片足を踏み外しているあなた。ダメ、ゼッタイ!
[DVD(邦画)] 1点(2011-08-28 18:58:25)(笑:1票)
1166.  ゴスロリ処刑人 《ネタバレ》 
『平凡ポンチ』で女優・秋山莉奈に興味をもち、本作の鑑賞に至りました。こういうキワモノ役でどれ程やれるのか観てみたかったのです。ところが残念なことに不発でした。もっともこれで秋山を責めるのは酷かもしれません。こんな特殊な役柄をこなせる日本人女優はそうはいないと思われます。まずはルックス面。主人公は漆黒のゴシックロリータファッションに身を包みますが、意外なほどハマっていません。瞳は大きいし、童顔なのに何故?面長だから?一見、鳥居みゆきソックリなのですが、たぶん鳥居の方がこのコスが似合います。『下妻物語』の深田恭子のようにはいきませんでした。次にアクションについて。『芸者VS忍者』の小原監督ゆえアクションの質は悪くありませんが、秋山についてはほぼ吹き替えでした。“下手だけど頑張りました”的な言い訳が無いのは潔いとも言えますが、ここまで露骨だとちょっとガッカリ。感情は常に押し殺し、台詞も少なめ。これで特色を出すのは、今の秋山では難しいでしょう。次回作に期待、としておきます。むしろ独眼2丁拳銃で弾けまくっていたエルちゃんこと百瀬美咲嬢の方が輝いて見えました。作品全体のテンションとしては、『片腕マシンガール』に近いですが、ギャグは上滑りぎみ。根が真面目な監督なのでしょうか。
[DVD(邦画)] 4点(2011-08-25 20:23:41)
1167.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
“32のルールを駆使して生き残れ!”というキャプションは少々大げさながら、確かに劇中指定のルールを破らなければゾンビ世界を生き抜くのは難しくないと思えます。事実、危機感はあまり感じられません。この温めの空気感が気に入りました。こんなに和んだ気持ちで観たゾンビ映画は久しぶり。ですから、終盤戦4人全滅モードに突入した時には焦りました。なんだよ、結局お決まりバッドエンドパターンかよと。なので、この結末で個人的には万々歳。ただしヒロインを救い出した直後のシーンに異議があります。終始徹底していた「2度撃ち」を何故この場だけやらないのでしょうか?キスの最中に頭にズドーンとやってこそゾンビ映画でしょうに。本作が米国で支持された理由の一つは、「トゥインキー」やローカルな地名、ビル・マーレーを本人役でキャスティングしたセンスに有ると思われます。このニュアンスは日本人には理解し難いところ。トゥインキーは「うま○棒」、ビル・マーレーは竹中直人あたりに置き換えてみればいいのかな?それにしても、ビル・マーレー。ゾンビメイクでゾンビに間違われて殺される。あれはある種の自殺だと考えますが、最高のギャグでした。希望の無い世界で考えるのは、どう生きるかではなく、どう死ぬかなのかもしれません。梅図かずおの『漂流教室』よろしく希望の象徴“遊園地”を目指した主人公たち。彼らだって其処が本物の楽園だとは思っていないはず。手ごろな死に場所を探していたのではないかと。「ヒーローになるな」というルール破った主人公。それは価値観の転換を意味しました。自分の命よりも大切な命の存在を認めること。世界を生きぬくためのルールは、“自分がマシに死ぬための注意書き”ではなく“家族を守るための約束ごと”に変わったのだと思います。決して4人の未来は明るくはないけれど、今彼らが抱いている希望は、本物です。
[DVD(字幕)] 8点(2011-08-22 18:57:18)(良:2票)
1168.  ×ゲーム(バツゲーム)(2010) 《ネタバレ》 
“設定は最高。中身は???なライトノベル”。失礼ながら、それが原作者山田悠介氏の小説のイメージです。本作もご多分に洩れずそのような物語との印象でしたが、もう少しどうにかならなかったものかと思います。復讐のおぞましさや虚しさを訴えかけるワケでもなければ、ゲームの奇抜さや残虐性に見るべき部分もない。観客に何を見せたいのか分かりません。設定だけ頂いて、内容は思い切って変えちゃえばいいのにと思いました(イジってコレなら申し訳ない)。このクオリティで2時間は正直キツいです。DVDパッケージのキャッチフレーズは「これを観るのもバツゲーム」。確かに。
[DVD(邦画)] 2点(2011-08-19 19:28:26)
1169.  ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ 《ネタバレ》 
ラスト、見事に真実の赤林檎が揃いました。それも1人を救うため全員がマイナス覚悟で赤林檎を投じている。感動も一入です。でも自分はここで逆に醒めてしまいました。いくらなんでもそれは無い。ファンタジーが過ぎます。そんなお人好しが集まっているのなら、ハナからこんなゲームは成立しない。もちろん、これまでの投票結果を通じて、プレイヤーは騙し合うことの不毛さを学んだのかもしれない。でも、1億円はオッサン一人を救うために諦められる額じゃない。1億円。それは庶民の生死を左右する額。倫理観の針が捻じ曲がる値。わが身を犠牲にしてまで他者を救いたいと願う神崎の心根は尊いけれど、それを他のプレイヤーにも求めるのは間違っています。彼女の主張からは、“みんな仲良く貧乏暮らしの共産主義”あるいは“手をつないで一緒にゴールする幼稚園の徒競走”のような、似非平等主義の臭いがする。赤林檎の教訓ってそうじゃないはず。“幸せは誰かの不幸のもとに成り立つものではない”そこに気づけたのなら、安易に自らの利益を損なう選択をしてはいけない。その場はよくても、無理は後から必ずたたる。赤林檎は、みんなが幸せになるために揃えられてこそ価値があると思うのです。神崎がどうしても仙道を救いたいのなら、ゲーム終了後に自らの才覚で彼を助ければいいのです。カネの事をマネーと言い換えていることからも判るように、『ライアーゲーム』は騙しあいの駆け引きを、ゲームと割り切って楽しむ趣向。そもそも倫理観を問うものではありません。ですから“流して”観る分には面白いのですが、事の是非を考えてしまうと駄目なんですね。
[DVD(邦画)] 6点(2011-08-16 21:27:19)(良:2票)
1170.  武士道シックスティーン 《ネタバレ》 
皆が竹刀を振るう中、磯山が手にするのは木刀です。武蔵が巌流島で手にした櫂の木刀。少なくとも彼女の意識の中では。“試合”ではなく“死合”、“打つ”ではなく“斬る”なのだと思う。真剣勝負。遊びの剣道に負けられない。負けるはずが無い。その想いが彼女を支えています。一方、西荻が手にする竹刀はどうでしょう。彼女は勝ちたくないと言う。本気で勝負して負けるのが怖いと言う。相手に打ち込む気概の無い刀は、穂竹のように撓るばかり。剣士の刀ではありません。たった一度負けた相手に固執した磯山。一見して“嫌な奴”を慕う西荻。2人が惹かれ合ったのは、自分に欠けている“必要なもの”を相手の中に見つけたからだと思いました。父親の生き様に呪縛された者同士、何か通じるものがあったのでしょうか。まさに“縁”です。異なる価値観を取り入れることで、2人は新たな自分を発見しました。でもそれは楽しい事じゃない。一度獲得した自分の基準を崩すのは苦痛なもの。特に磯山にとっては、自らの生き方を否定しかねない危うい行為でした。事実、磯山の刀は一度折れましたし、西荻の剣は乱れに乱れました。でも乗り越えたからこそ、今の2人が在る。折れた磯山の刀は力強く再生し、西荻の刀には芯が入りました。16歳。青春真っ只中。この時期にどんな人と出会ったか、どんな経験をしたかで、その後の人生が大きく変わる。「私を見つけてくれてありがとう」そんな台詞が言える友と出会えた事は一生の宝物。「剣道をやっていればまた会える」やせ我慢で平静を装う磯山が切ないです。切ないけれど羨ましい。2人はきっと、素敵な大人になってくれることでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-13 21:25:21)(良:3票)
1171.  インシテミル 7日間のデス・ゲーム 《ネタバレ》 
ミステリーファンの琴線をくすぐる各種アイテムが提示される序盤は、まるで『名探偵登場』のよう。しかし次第に本作と同じく藤原竜也主演の『カイジ』と『バトル・ロワイアル』を足して2で割ったような趣向へとシフトしていきます。しかも両作品の長所を引き継いでいません。自分はコレ、ダメだと思いました。説得力を欠く設定や、ルールの不備はこの際置いておくにしても、物語の組み立てで致命的な欠陥が2箇所あると考えます。それは早々に殺人者の1人を特定してしまった事。実験の真相を露呈してしまった事。これは本サスペンスにおける肝。終盤まで引っ張って、あらゆる可能性を残しておかないといけません。“(ログ)インして観る”というタイトルの秘密を、あっさり明かし過ぎです。手品のタネを明かしても観客の興味を惹きつけられるのは、マギー師弟とナポレオンズくらいのもの。この脚本にそれだけのパワーは有りません。それに藤原と綾瀬のドラマ処理も物足りないと感じます。ラスト、綾瀬の後悔と葛藤をきちんと描かないと物語として味気ないものになってしまう。ちなみにホリプロ50周年記念作品とのこと。誰がどの段階で死ぬかで、そのタレントの重用度が分かるようで、その部分は面白かったです。片平なぎさをあんな風に殺して大丈夫なんだ…。
[DVD(邦画)] 3点(2011-08-10 21:49:50)
1172.  アイドル爆弾(OV) 《ネタバレ》 
爆弾装着と解除のルールについて整理してみます。愛里を標的に指定した犯人の証言から判明しているのは以下のとおり。①爆弾はある組織により装着される。②爆弾装着者は、新たな標的を指定し、さらにその者が別の標的を選んだ時点で最初の爆弾が解除される。③標的はフルネームを言える知人に限定される。④複数の標的を指定することが可能。その他、状況から推測されるのは以下。A.爆弾は、脳波や筋肉を感知して爆発する性質を持ち、装着者に多大なストレスを与える。B.装着者が次のターゲットを選んだとき②のルール説明は必須ではない。C.複数の標的を選定した場合でも、そのうち1人が新たな標的を選べば爆弾は解除される。露見しているゲームルールはこれくらいでしょうか。でも、本来はもっと様々な制約があるはずです。例えば④なら人数制限があるはず。一度に100人とか無理でしょう。Bが有効ならば、いくらでも人殺しが出来る。③の“知人”の範囲は何処までOK?自分なら某将軍様を指定しますが。提示されていない“裏ルール”の存在が予想できます。『カイジ』や『ライアーゲーム』は、この部分にポイントを置いた作品でした。一方、本作は“爆弾魔に翻弄されるアイドルちゃん“という事象を披露することに終始します。前述の作品と比べると、残念ながら物足りない。アルバトロスのモキュメンタリーとは思えぬ真面目なつくりだったので(主演のアイドルちゃんも熱演でした)、せめてオチは納得のいくものを用意して欲しかったです。あんな投げっぱなしの結末は良くないです。あ、手榴弾ってことか?
[DVD(邦画)] 4点(2011-08-07 17:57:56)
1173.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
幼子を奪われた母親の心情を思うと遣り切れません。我が命を奪われたようなものです。そういう意味では、希和子は人殺しと同じ。彼女の罪は果てしなく重い。でもその一方、希和子と薫の別れの場面では、涙してしまうのです。犯罪者が捕まって喜ばしい事ではないのか?自分の感情に戸惑いました。“希和子が薫に注いだ愛情は本物だった”。その1点において、自分の心は動かされたのだと理解しました。もっとも実母にしてみれば、これこそが許し難いこと。子に与え、また受け取るはずだった愛情を希和子に横取りされたのだから。希和子は夫ならず娘までも奪った憎い女。憎過ぎる。もし誘拐犯が彼女でなかったなら、恵津子の娘に対する接し方も違ったかもしれない。娘の気持ちを尊重し、大きな愛で包み込むことも出来たのではないか。そもそも、無事に帰ってきてくれたことが奇跡なのです。しかし恵津子には、“もう一人の母”の存在など認められるはずがなかった。希和子の愛情を上書きしようとしたために、実母と娘は苦しみました。ただ、救いがあるとすれば、娘が立派に育ったこと。確かに不倫して身籠るような真似をしたのは、恵津子にとっては痛恨の極みだと思う。でも恵理菜は、まだ顔も見ていないお腹の子を愛おしいと言った。彼女が幼少期に十分な愛情を受けて育ったことの証です。愚か者だけれど、一番大切な“愛する心”は持っている。恵理菜は、人間として合格でもないが落第もしていません。全てはこれからです。これから。子が幸せになること。全ての親の願いはそれに尽きます。
[映画館(邦画)] 9点(2011-08-04 19:30:15)(良:3票)
1174.  忍たま乱太郎(2011) 《ネタバレ》 
(TVアニメの予備知識なし。もうすぐ6歳になる娘と劇場鑑賞しました。)次々と登場するキャラクターの名前と相関を頭に入れる間もなく突き進む物語。誰が敵で誰が味方なのか良く分からない。寝不足もあってか思考停止状態に陥りました。そんな中、しっかりと伝わってきたのは三池映画特有のアクの強さ(要するにう○こですな)と、俳優陣が皆楽しんでいること。とくに大御所俳優のノリノリぶりは凄かった。平幹二朗、松方弘樹、加賀丈史…。素顔が特定できないほどの特殊メイクを施し、忍たま、いや三池映画の世界に浸る様は、アニメの実写版という特有の胡散臭さと相まって、えもいわれぬ雰囲気を醸し出していました。少なくとも子供が理解できる“面白さ”ではないと思う。そう、本作は子供向け映画の皮を被った極めて大人向け作品であると解釈しました。「忍びとはガッツじゃ!」をメインテーマと思い込ませつつ、主人公の努力をいとも簡単に反故にするオチの付け方に痺れます。正直、面白いともツマラナイとも言いづらいのですが、娘曰く「最後、鐘がチーンと鳴ったのが良かった!」そうなので、これはこれでアリなんだろうとは思います。ほとんど採点放棄の5点。
[映画館(邦画)] 5点(2011-08-01 20:13:28)(笑:2票) (良:1票)
1175.  エンジェル ウォーズ
この映画はプロレスだ。本物の、リアル“プロレス”だ。現役プロレスファンは勿論のこと、かつてのプロレス者も是非劇場へ足を運んで欲しいと思う。プロレスについて長く考えた人、深く考えた人は、この映画の意味がよく分かると思う。私たちが何故プロレスを愛したのか、愛しているのか、その答えがこの映画の中にある。惜しむらくは、自分が40歳目前のオッサンだということ。出来ることなら20年前に本作に出合いたかった。限りなく満点だが、満点は付けられない。それが私の20年の道程だ。マイナス1点の大人の自尊心。それが悲しくもあり、嬉しくもある。
[映画館(吹替)] 9点(2011-05-01 22:50:23)
1176.  フィッシュストーリー 《ネタバレ》 
一握りの天才や偉大な指導者のおかげで、私たちの文化文明は発展を遂げてきたのだと考えます。その他大勢はその恩恵を受けてきただけ。何か申し訳ない気がする。人は“社会の歯車”と称されますが、自分の存在などちっぽけ過ぎて、小さなビスにも満たないと思えます。たった今、自分が消えたって何の支障もなく世の中は回っていく。それが現実。生きている意味を考えた途端に、自己の存在価値を見失う。だから、売れないロックバンド『逆鱗』のたった1曲の歌が世界を救うという筋書きに、強く勇気付けられました。自分も生きている意味がある、そう思えることが本当に嬉しい。『フィッシュストーリー』という楽曲にスポットが当たっていますが、見方を変えれば実に多くの人たちが世界を救う役割を担っていたことに気付きます。原作を日本語訳したハーフ顔の男、その本を家に持って帰ったおばさん、正義の味方をコックに雇った汽船会社の人事担当、多部ちゃんに数学の楽しさを教えた先生…。“友達の友達はみな友達だ”ではないけれど、世界中全ての人が何かの役に立っている。こじ付けかもしれない。でも、こんなホラ話なら大歓迎です。ただ、物語の構成自体はテクニカルだとは思いませんし、『アヒルと鴨~』もそうでしたが、ストーリーに中弛みを感じるのは中村監督の短所だと思います。でもキャスティングの的確さとメッセージを伝える技量の高さがマイナスを十分に補っていると感じます。今後も原作伊坂+監督中村のコンビに期待します!
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-30 21:05:33)(良:5票)
1177.  11:46 《ネタバレ》 
邦題からも推測できるように、ヒット作(?)『0:34』と同じく地下鉄構内を舞台としたホラーサスペンス。有名作品あやかり系ゆえ、正直期待値は低かったのですが、それが幸いしたのか予想外に楽しめました。脅かしや無闇な血飛沫等、恐怖演出自体は平凡ですが、“狂集団から逃れて地下鉄構内から脱出しろ!”という目的が単純明快なので感情移入し易い。体裁としては『ゾンビ』と変わりませんが、敵がカルト教団というところがミソ。信者の中には年端のいかない子供も多く、敵の主な武器は短剣。殺傷能力は高くない。「危険だから戦いたくない」というより、「殺したくないから戦いたくない」という心理が働きます。このあたりの微妙な差異が、物語に綾を生みます。本作では比較的アッサリ処理されている部分ですが、もっと膨らませても面白かったと思いました。すわ予言は真実だったのか?!というラストですが、これは見事なミスリード。詳しくは↓【いぬきよ】さんが丁寧に解説して下さっていますので割愛しますが、初見だと真相に気づかないかもしれない。なかなか手が込んでいます。個人的には『0:34』より本作の方が面白かった。掘り出しものでした。
[DVD(吹替)] 7点(2011-03-27 20:20:29)
1178.  コン・エアー 《ネタバレ》 
低予算・低クオリティのB級C級映画は星の数ほど存在しますが、本作のように大金をつぎ込んだA級バカ映画には、年に何本もお目にかかれない。バカを大スケールで、しかもコンスタントに届けてくれるハリウッドには、心から感謝申し上げたい。まるで豪勢な『お笑いウルトラクイズ』を観ているようでした(失礼)。もっとも、本作を観始めた頃は、真っ当なクライムアクションだと思っていました。深刻なトラブルに巻き込まれた主人公を本気で心配した。ところが様子がおかしい。主人公が友達思いなのは分かります。正義漢だということも。だだ、それにしても楽観的過ぎやしないか。ポーにとっては、妻子に会う事が最優先事項じゃないのか?そんな疑問は、爆発炎上を背にダイブする主人公を見て吹き飛びました。ああアレか。“主人公だから死にません”っていう、アレか。娯楽作品のお約束。そういう映画だと分かればシメたもの。こちらも、そのつもりで観させてもらう。そんな観客のスタンスを見透かしたかのように、バカは加速して行きます。空飛ぶスポーツカー。ラスベガス市街地に突っ込む飛行機。大惨事?いえいえ、死者数はゼロに決まってます。777でコインが飛び出す能天気なカットがその事を裏付けている。本作は素敵なバカ映画でした。あんまり素敵なので、クソバカ映画と呼ばせてもらいます。もちろんマジで褒めてます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 18:55:23)(笑:1票) (良:2票)
1179.  仏陀再誕 《ネタバレ》 
仮想の敵を創出し民心を掌握するやり口は、お隣の大国の例を見るまでもなく、よくある使い古された手法。サイキックバトルもご指摘のレビュワー様もおられるように、『幻魔大戦』の如きノリ。プロパガンダ映画としてもファンタジーアニメとしても新鮮味はなく、失礼な言い方ながら「子供騙し」にもなっていないと感じます。仏教はある種の人生哲学。生きていく上での心の持ち様を説いたもの。絶対神を信仰しなければ地獄に落ちるという類の宗教ではありません。この一点を取ってみても、本作で推奨されている思想は仏教とは似て非なるものだという事が分かります。というか超常現象の数々を見るにつけ、仏陀とキリストが混同されているような気がしてなりません。よく言えば“良いとこ取り”悪く言えば“節操が無い”。そんな本新興宗教の正体が見えたという意味では、製作者が意図していない部分のプロパガンダは成功していると言えるかもしれません。意外だったのは、再誕の仏陀の名前が「空野」であったこと。てっきり「大川」、じゃなきゃ「大山」「太川」みたいな名前だと思っていたので。このあたり、控えめなのはちょっと微笑ましいです。
[DVD(邦画)] 3点(2011-03-21 18:29:47)
1180.  のんちゃんのり弁 《ネタバレ》 
弁当屋開業初日、支度中の主人公は何故泣き出したのでしょう。夢を叶えた達成感?納得の弁当を作れた充実感?それとも周りへの感謝の気持ち?どれも違うと思う。彼女が泣いたのは自分の責任を自覚したからだと感じました。小料理屋の主人いわく彼女の手は“子供の手”。それはすなわち“大人の手”ではないということ。無論“親の手”でもない。「そういうの何か嫌なんで」そんな理由で彼女は慰謝料も養育費も求めなかった。ただ働きも喜んでした。心意気は悪くない。でも彼女は自分が置かれた状況を判っていない。おそらくは“家を出た”“行き場所が見つかった”という状況の変化に酔っていたのだと思います。夢を追うのに必要なのは情熱のみ。それが許されるのは子供だけです。大人は違う。ましてや人の親ならば。まず考えるべきは生活の糧を得ること。子供を育てること。夢を追うのは次の話です。真っ当な大人は、間違っても恩人の店で暴れたりしない。子供の権利を放棄したりしない。日が昇る前から調理をはじめ、出来た弁当は20個ほどか。確かに美味しそう。でも採算は取れるのでしょうか。趣味の疲労は苦労にあらず。小遣い稼ぎも似たようなもの。でも家計を担う労働は身にこたえます。責任は重圧に変わり疲労を倍化させる。彼女は身をもって働くことの意味を知ったのだと思います。だから泣けた。価値のある涙でした。親子2人が暮らせる利益が出る弁当を作れて、初めて彼女は弁当屋になるのです。その道は易しくない。でも彼女は母親です。涙の向こうには子供の笑顔がある。頑張れるはずです。一日も早く大人の手を、いや親の手を、手に入れて欲しいと願います。身の程知らず、世間知らず、でも一生懸命だから応援したい。そんな微妙なスタンスのヒロインを小西真奈美は好演しました。演技は上手い。表情のみで魅せられる女優さんだと思います。岸辺も貫禄の存在感でした。小料理屋の主人のような大人になりたいものです。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-17 18:28:41)(良:3票)
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