101. ドクター・ドリトル(2020)
ダウニーが主演という時点で、動物どもがいくらうじゃうじゃ周りにいてもそれに埋もれない存在を発揮するであろうことは予想されましたが、そのとおりでした。というか、まだこれでも抑えめでしたね。内容自体は、ひねりなしストレートな勧善懲悪モノでした。そのまんまでした。●あと注目ポイントは、エマ・トンプソンは声優としても巧い、という点でしょうか。オウムにしか聞こえなかったぞ。コティヤールはもっと出番欲しかったかな~。それと、「ラブ・アクチュアリー」でひっそりと愛おしい端役を演じていたジョアンナ・ペイジ(この人は基本はテレビのようです)が出ているのはポイントが高い。といっても、ほんの数秒ずつですが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-07-21 00:56:53) |
102. ワンダラーズ
まさにヤンキー映画。登場人物のことごとくが、その日その時をどう刹那的に過ごすかしか考えてないのだが、衝突して暴発しそうなときも何となく収まったりして、この辺の慎み深さはいかにも70年代である。各集団が図式化されているのは分かりやすくもあり、またその中で一際やばそうなグループもあったりするのだが(ビーバップでいえば戸塚水産か?)、その反面としての各人の個性の希薄化は否めない。で、やっぱり、何かが起こりそうで起こらないまま、そこはかとない倦怠感を漂わせながら終幕へ進む。これは裏「アメリカン・グラフィティ」なのかな。 [DVD(字幕)] 5点(2024-07-20 03:00:40) |
103. ハッシュ!
すべてが作為的です。特にヒロインの造形と描写にそれが顕著です。いかにもはみ出しキャラを作り出そうとして、かえって型にはまりかけています。撮り方としても、長回しが何か所にもわたって登場しますが、それほど機能しておらず、むしろ作品自体の停滞感を醸し出しています。唯一の見どころは、兄嫁役の堅実な存在感と演技だったのですが、誰だろうと思っていたら、秋野暢子ですか! [CS・衛星(邦画)] 3点(2024-07-12 00:51:50) |
104. 恋するベーカリー
《ネタバレ》 この監督の場合、どの作品のどの登場人物も「全員が」同じような感じなんですよね。判で押したような笑顔で、根っこはいい人で、でもちょっと悩んで見せたりして。しかも、世代も何も問わず、です。そんなわけであまり期待もしていなかったのですが、本作に関しては、とにかくストリープとボールドウィンを遠慮なく使い倒しまくったのが奇跡的にうまく働いて、それなりに見られる内容になっています。まあ、この2人におんぶに抱っことも言いますが。●一方で、横から出てくる男がスティーブ・マーティンって、こんな朴訥で実直で奥手な男性をこの人にやらせるのは、そりゃ無理ってもんでしょ。大体、彼が真剣におずおずと喋っているだけで、逆に笑いが止まりません。ハッパのくだりなんかは、この設定を生かしていよいよマーティン節炸裂か?と期待してしまいましたが、そんなことはありませんでした。匂いをごまかすあの一言(サービスで入れたのかな?)だけが救いでした。●ただ結局、進行はどこまでもヒロインに都合のいい展開ばかりで、途中からは、あれこれ悩んでいるというよりも、「2人の男から迫られるワタシって罪なオンナ♪」と自分に酔っているようにしか見えず、この辺がナンシー・マイヤーズの限界ですね。ああそれと、主人公の友人らしき3人組は、「こんなにシモの話まで明け透けにできるワタシ達って、やっぱり大親友♪」とそれぞれ自分上げをしているようにしか見えず、実に不快でした。早々に姿を消してくれたので、まだマシでしたが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-07-09 00:52:34) |
105. 引っ越し大名!
《ネタバレ》 何で話が弾まなくて面白くないんだろうと思いながら見ていたのですが、まず、とにかくいろんな箇所で登場人物が騒ぎすぎていて、落ち着きがない。こういうのは、背景のミッションの重さがスタートなのだから、真面目にやっていればこそにじみ出てくる面白さを追求するのが筋でしょう。また、肝心の引っ越し作業あるいは準備についても、課題があるのかないのか分からないうちにたったか先に進んでしまうので、それをクリアしたときのカタルシスもないのです。唯一、行列の途中で一斉にフリ付きで歌うシーンはみんな楽しそうだったので、いっそ脳天気ミュージカル仕立てにした方がまだ良かったのでは、と思いました。ああそれと、曲がりなりにも時代劇という作品のエンディングにああいうテーマを持ってくるセンスのなさにもびっくりですね。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2024-07-08 01:00:31)(良:1票) |
106. 一輪明月 ~弘一大師の生涯~
各方面の芸術にも才能を発揮し、またその後には出家して仏門にも帰依したという弘一大師(李叔同)の伝記作品です。ですが、伝記もののまずいパターンにもろに陥っています。その功績を追いかけて画面上再現するだけで手一杯だった感が満載で、どのシーンも、ぶつ切りで次から次へと落ち着かずに先に行っています。よって、彼が何を考えていたかとかどう優れていたかなど、伝わりようがありません。中国では著名な人物のようなので、作る側が萎縮しちゃったのかな。そんな中でも、画面にふらっと登場するだけで人目を引くビビアン・スーの天性の吸引力は、際立っています。 [DVD(字幕)] 4点(2024-07-07 02:00:56) |
107. マネーボール
直近の実話だからなのか、破綻しないようにまとめようとする方向にベクトルが向きまくっている。ブラピは、自分が前に出すぎるとバランスを欠くと思ったのか、不自然なほど抑制した芝居しかしていない。逆に、監督に怪人P・S・ホフマンを当てていながら、ほとんどその個性が使いこなされていない。また、あえて個々の選手を際立たせなかったのは意図的なのでしょうが、結局収縮したままで終わってしまいました。クリス・プラットはこの頃から堅実な芝居をしていたんだなあ、という発見はありました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-07-05 01:49:48) |
108. 最高殊勲夫人
《ネタバレ》 男も女も社員の誰とくっつくかしか考えてない社内の雰囲気、地下街の人混みと狭い喫茶店や飲み屋でのデートや会食、役員室にツケを取りに来る(という体でやってくる)クラブのママなど、失われた文化がこれでもかというくらい満載で(デフォルメされている部分はあるにせよ)、涙が出てきます。その中でポイントは、主人公2人がくっつくのかどうなるのか、という一点しかありません。周りの人も脳天気で、本命がダメとなったらあっさり第2候補とくっつきます。相手もそれを分かった上で、です。楽しすぎです。敵キャラ的存在の長姉との関係も、割り切らずに余韻を残しているのもいいですね。そうそう、若尾文子の表情の豊かさを撮り切っている点にも注目すべきと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-07-03 00:08:06) |
109. 胡同愛歌
《ネタバレ》 高校生の息子と二人で生活するオッサンが、息子との関係に悩み、また結婚も決まった女性との関係でも悩む・・・というお話。特に後者については、実は離婚していなかった女性の夫が出所してきて、その男とのあれこれに悩まされる。中盤までは各エピソードが散発的に平坦に並んでいきますが、それらが収斂する終盤の迫力はなかなかです。特に、じっと耐えていた主人公が、たった1個のケーキをきっかけに覚醒するドラマの動かし方が強力です。明確に割り切らない面会のシーンも余韻を残しています。●ところでこの邦題、「胡同の街並みに生きる地道な人々を描く」みたいな意味でつけられたっぽいんですけど、別に胡同とかその街並みが強調されているわけではないですよね。それよりも、原題(「駐車場係の7月」)や英題(そのものずばり「駐車場係」)の方が本質を表しています。 [DVD(字幕)] 5点(2024-07-02 00:22:02) |
110. ジェラシー(2013)
三角関係的なラブロマンスみたいなのがやりたかったんでしょうが・・・内容的には、それっぽい映像の断片が積み重ねられているだけで、発展もなければ脈絡もなし。尺の割に長く感じました。モノクロの映像はどれも美しいので、映画というよりもイメージ映像集として捉えれば、それなりに鑑賞できるのではと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2024-07-01 01:08:07) |
111. 空中庭園
《ネタバレ》 そもそも、「隠し事を作らない」などという「ルール」がある時点で、そんな人工的な息苦しい家族は崩壊して当たり前なのだから、実際にあれこれ破綻が起こったとしても、別にドラマになっているわけではない。●ただそんな中でも、大楠道代の存在感はやはり偉大であって、ラブホテルに乗り込んでくる一幕だけで、それまでの作為的な進行を一気に塗り替えている。誕生会のくだりに至っては、一人で全員の芝居を支えている。この誕生会の部分、家庭教師が単に泥酔して退場したり、セフレからの携帯着信の件を何事もなく処理したりと、かなりもったいなかったなあ。もっと続けてもよかったと思うけど。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-06-30 00:17:32) |
112. ニューローズホテル
ウォーケンとデフォーを対決させて、こんなわけの分からない作品だとは・・・。ショットはひたすらアップばかりだし、出てくるのはひたすら台詞だけ。登場人物の各行動もほとんど趣旨不明。何か前衛的なことがしたかったのかもしれませんが、それを探る気力も起きません。 [DVD(字幕)] 2点(2024-06-29 01:50:43) |
113. 22年目の記憶
《ネタバレ》 1972年に、南北首脳会談に備えて、韓国大統領の事前リハのため、ある役者が金日成を演じる特訓をさせられる。しかし、彼は自分自身を金日成だと思い込むようになり・・・という、何とも興味引かれる出だし。その特訓の過程を描く前半は、焦点を絞った演出がびしびし決まっていて、この突飛な設定にも納得させられる。一転して後半は、成長した息子視点になり、若干コメディチックな方向にも振れているが、それはそれで良い。「なぜか息子をサブキャラの美女が慕って追いかけている」とか、「なぜか最後にあのラスボスが登場する」とか、韓国映画らしい無理矢理さもあったりするのだが(大体、あのアルツ状態の主人公を、そういう重要な国家機密プロジェクトに使うか?とかいうツッコミはなしで)、その辺も何となく映画全体の中で収まっているのが、作品としての芯の強さを物語っている。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-06-22 20:14:03) |
114. 美しき獣
吸血鬼であるヒロインが、男といきなりいい感じになってその後どうする、という、B級色が漂いながらもそれなりに魅力的な導入なのですが、続きがさっぱり盛り上がらない。一番の理由は、サブキャラがあれこれ行動する要素を重視したっぽいんだけど、そっちの方に振れまくっていること。つまり、主人公2人って、ほとんど何もしてないんじゃない?ということです。あと、アンナ・ムグラリスの登場には秘かに期待していたのですが、全然美しく撮られてなかったなあ。 [DVD(字幕)] 2点(2024-06-21 23:35:30) |
115. 甘い罠
初期設定からすればスリリングな展開が期待できるし、また映像の雰囲気も落ち着いている。しかし、役者の芝居が騒がしくないのは良いとしても、逆に跳ねてないというか、何が起こっても淡々と処理しているだけのように見えてしまう。そうすると、そもそも何か危機が起こっているのか、という気になるわけです。終盤のシークエンスで、何がしたかったのかは何となく分かりましたが、それに至るまでが平坦でした。 [DVD(字幕)] 4点(2024-06-15 23:24:29) |
116. 東京島
《ネタバレ》 せっかく、無人島で突然集団生活が始まったという美味しい設定なのに、その集団の1人1人にわざとかと思うくらい個性がないのにびっくり。演技者はやっていて苦痛ではなかったのだろうか。大体、無人島のサバイバルなはずなのに、その辺のコンビニでたまっているヤンキーの集団みたいに、みんなぼーっとしている。切迫感も危機感もない。それならば開き直って笑わせてくれればまだいいのに、そちらに振っていこうという方向性も見えない。●で、皮肉なことに、終盤でフィリピン人その他のチームが登場して、やっとドラマが(ちょっとだけ)動いている。それならば、最初からいろいろ放り込んでごっちゃにしていた方が、まだよかったかもね。ただ、役に立っていない(映画の上で)登場人物は多いのですから、その場合でも、人数は1/3くらいに削る必要がありますが。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2024-06-13 01:15:02) |
117. メゾン・ド・ヒミコ
せっかく何人もの人物が同じハウスに集められているのに、それぞれの個性が全然ない時点でダメ。また、ハウス自体の作り物っぽさ、生活感のなさがさらにダメ。その上でこの尺の長さも問題ですが、これだけ使っておいて奥行きも掘り下げもないのも驚きです。何より、結局この主人公、何もしてないよね。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2024-06-12 23:53:06) |
118. ブーム・タウン
《ネタバレ》 2人組の男が偶然出会って、意気投合して石油採掘に突き進む・・・というスタートなのですが、その後も一方の奥さんがどうのとか会社の浮き沈みがどうのとかあって、結構いろんな展開があり、また年月も投下しています。ですがこれ、どう見ても連ドラ向きの素材ですね。何か大事件が起こりそうで起こらず、テンションが上がりそうで下がりそうでというままに、次のステップに行ってしまう。よって、それなりにドラマがありそうであるはずなのに、さほど実感が起こりませんし、また長く感じました。まあ、どこまでも石油採掘一本に軸足を置いた構成には、誠実性は感じますが。 [DVD(字幕)] 4点(2024-06-11 23:50:28) |
119. 四つのいのち
カメラは定点。台詞はなし。ただじっとその場の光景を撮り続ける。動物の登場割合が多いので、そういう作品かと思っていたら、それだけではなくて、(タイトルにもあるとおり)「人間」とか「植物」もテーマであるようです。しかし、意図はそうであると分かっても、作中にそれが反映されているかといえばそうではなくて、つまりどうも自己満足で終わってしまっています。例えば動物の撮影なんかは、定点でじっと(しかもそれほど動かない動物を)撮っているのがかえって迫力を出したりはしていますが、それだけです。よって、雰囲気以上のものではありませんでした。 [DVD(字幕)] 3点(2024-06-10 23:51:22) |
120. 妖怪大戦争(2005)
妖怪の着ぐるみとCGを考えつく限り作ったら、そこで目的を達してしまって、あとはもうどうでもよくなったというのがミエミエでした。まったく芝居の指導をしてもらえなかったとしか思えない隆之介君は不憫ですが、こんなひどい扱いをされても役者の道を辞めなかったのには感心します。とにかく制作側の志の低さに吐き気がします。動く宮部みゆき(しかも一応演技までしている)に1点。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2024-06-07 01:48:26) |