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 > ザ・チャンバラ さん
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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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101.  バーブ・ワイヤー/ブロンド美女戦記
パメラ・アンダーソンが期待以上にハマってるのがいいですね。まぁ、彼女はもともと顔も体も人造っぽいので、その時点でこの役にはうってつけなんですけど。で、アクションの質がエライ高いのにもビックリ。正直、ぜんぜん期待してなかったので、ここまでクォリティーの高いものが見られるとは思ってませんでした。映像のかっこよさには本当に驚きます。願わくば、もっと話が面白ければ・・・。
7点(2004-07-08 18:06:17)
102.  ロング・キス・グッドナイト
『ダイ・ハード2』では空港を、『カットスロート・アイランド』では映画会社をぶっ壊したレニー・ハーリンが、ついに自分の家庭までをぶっ壊したアクション超大作。ブルース・ウィリスやスタローンから「あいつは無茶苦茶だ」と言われるほどの激しい撮影を行うことで知られるハーリンですが、今回は自分の嫁を30mの高さまで吊り上げたり、氷点下の湖にダイブさせたりしています。これだけのことをやらされた挙句に興行的にも批評的にも失敗したのだから、ジーナ・デイビスが怒るのも当然です。。。 そんなこんなで一般には評判の良くない本作なのですが、これが古き良き90年代アクションの魅力全開の作品であり、見る人が見れば傑作の部類に入る仕上がりです。ジョン・ウーやマイケル・ベイの影響が表れ始める前の無骨な爆破アクションをお腹いっぱい楽しめるし、CGよりも実写重視の見せ場は迫力十分です。お話の方はツッコミどころ満載なのですが、これも90年代アクションの風情だと割り切れば、それはそれで楽しむことができます。今どき、こんなボロボロの設定のアクション映画なんて作れませんから。。。 破綻した基本設定はともかくとして、当時としては史上最高額で落札されたという脚本にも、その値段に相応しいだけの見どころがあります。人生に失敗して社会のドン底を這い回る男が、大事件に巻き込まれたことからガッツを取り戻すというシェーン・ブラック定番の物語には相変わらず熱いものがあるし、40歳を過ぎるまで売れない俳優として生きてきたサミュエル・L・ジャクソンが、この役にピタリとハマっています。また、主人公サマンサ・ケインの物語も案外深いと感じました。表面上は記憶喪失の暗殺者という設定となっていますが、実はこれ、多重人格の話ではないでしょうか。良妻賢母として第二の人生を送るサマンサ・ケインは殺し屋チャーリー・ボルチモアとしての記憶を封印していたが、身に危険が迫ったことからチャーリー・ボルチモアの人格が表面に出てきます。そして、水と油だった二つの人格は、娘の存在によって芽生えた母性によって一つに統合されるわけです。なかなかよく考えられた脚本だと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2004-07-08 16:25:12)(良:1票)
103.  ボルケーノ
話はご都合主義の連続で、第一、LAには火山脈が存在しないので、宇宙人に侵略されるよりも無茶な設定だとのこと。ディザスターものの定番の人間ドラマも、正直ダサかったし。でもいいんです。私は特撮魂に燃えました。CGよりもミニチュアを多様した映画って、それだけで手作り感が伝わってきて好感が持るんですよ。微妙なチャチさ加減がこれまた絶妙でして。溶岩への放水でヘリ部隊がやってきた時なんて、もううれしくて仕方なかったですもん。
7点(2004-07-02 12:52:42)
104.  カットスロート・アイランド
中盤ダレるものの、勢いと物量を信じて作られた正当すぎる冒険活劇。「とりあえず爆破しとこう」というハーリン思想の頂点を極めた快作です。ラストの砲撃戦→乱闘→一騎打ち→大爆破のアクション数珠繋ぎは「パイレーツ・オブ・カリビアン」をはるかに凌駕しており、ブラッカイマーでもかなわないハーリンテイストここにありです。dts版DVDの音響がこれまたハンパではなく、映画会社をも破壊してみせた本作の迫力が体感できます。
7点(2004-06-30 12:53:17)(笑:1票)
105.  ボディ・スナッチャーズ 《ネタバレ》 
初見時にはガブリエル・アンウォーの裸しか印象に残らなかったのですが(申し訳ない!)、最近になって見返すと、なかなか出来の良い作品であることに気付きました。最新の「インヴェージョン」を含む4つの映画化作品の中では最良の作品だと思います。軍施設という自由な出入りに制限がなされる環境を舞台に選んだこと、家族や環境に依存しなければ生きていけない10代という主人公の年齢設定等、本作独自の工夫により題材がより活かされています。「この土地、何かおかしい」という不気味な予兆から、疑いが確信へと変わるまでのペース配分などは抜群であり、ベテラン脚本家ラリー・コーエンの手腕が存分に発揮されています。予算に制限があったためか目を引くような見せ場には欠けるのですが、それにしても、人間であることを悟られた時の「ギャ~!!」という叫び声のインパクトは絶大。クライマックスで、ついにボディスナッチされた幼い弟による「ギャ~」には背筋が凍りました。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-29 19:14:18)
106.  陰謀のセオリー 《ネタバレ》 
【2011/10/24レビュー変更しました】 「リーサル・ウェポン」トリオによる作品ですが、撮影監督にジョン・シュワルツマン(マイケル・ベイとよく仕事をする人)、音楽にカーター・バーウェル(コーエン兄弟のすべての作品に関わっている人)、編集にフランク・J・ユリオステ(ポール・バーホーベンと組むことが多い人)と芸術面を支えるスタッフを大幅に一新しており、「リーサル・ウェポン」とは違った映画を作り出そうとする意欲的な姿勢が伺えます。当時気鋭の新人だったブライアン・ヘルゲランドによる脚本はなかなか秀逸で、大胆ではあるが細部まで丁寧に作り込まれています。 東スポレベルの陰謀論を一日中しゃべりまくり、我が家に帰るにもマトモな入口からではなく非常口から出入りし、冷蔵庫の中の食品にまで鍵をかけるジェリー・フレッチャーは完全にキ○ガイなのですが(自分が監視されていると思い込むのはパラノイアの典型的な症状)、ある日彼が拉致されて重傷を負い、そしてその言葉通りに鼻をケガした男が現れたことから、彼の背後には何かがあるということが明らかになります。ジェリーは”Can't Take My Eyes off of You”というアメリカ人なら誰もが知っている有名な曲を知らず、また教科書に載っているためアメリカ人なら誰もがその内容を知っている「ライ麦畑でつかまえて」を読んだことがないと言います。彼の過去には一体何があったのか?この魅力的な序盤で完全にやられました。中でも「ライ麦畑~」の使い方はトンチが利いています。「ライ麦畑~」は古典であるが故にどの書店にでも置いてあるが、古典であるが故に今更買ってまで読む人はいない。ジェリーはこの「ライ麦畑~」を見ると必ず購入するよう擦り込まれており、その購入記録が彼の追跡装置の役割を果たしているというわけです。どうです、このアイデア。本作はこのような素晴らしいアイデアに溢れていて、映画の前半は出色の面白さです。残念なのは後半急速に息切れをすることで、起承転結の「転」の部分で映画がコケてしまいます。ジェリーこそが危険な暗殺者であるとしてアリスは一時的にDr.ジョナスの側に回るのですが、ここで映画は観客の価値観までを振り回すことに失敗しています。さらには、いとも簡単に過去の記憶を取り戻すジェリー、プロの工作員による追撃から全力疾走だけで逃げ切ってしまうアリスなど、後半になるとご都合主義もかなり目立ちます。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-05 16:28:09)
107.  プレデター2
完璧な映画ではありませんが、B級映画の傑作だった第一作の続編としては十分すぎるほどの仕上がりです。前作は正体不明の敵に対して特殊部隊がドンパチ撃ちまくるだけの映画でした。プレデター初登場作品なのでそれだけでよかったのですが、さすがに二作目においても同じような単純な映画にすることはできない。そこでいくつかの点でパワーアップが図られています。まず、舞台をジャングルからLAに移すという大風呂敷が広げられましたが、大都会で好戦的宇宙人が暴れるという設定だけで燃えてしまいます。しかも、大都会を活かした見せ場が作り込まれており、設定に負けないビジュアルがきちんと準備されていることには感心します。物語も、プレデターと刑事の戦いに、麻薬組織間の抗争や、プレデター捕獲を目的とする政府組織までを絡めるという大盤振る舞い。こちらも設定を出して終わりではなく、設定が物語の中できちんと活かされているのですから大したものです。さらにプレデターの設定もより深化させており、武器のバリエーションを増やしたり、彼らの生態や性格に関する追加情報を適度に付加。「AVP」から「プレデターズ」まで現在のプレデター像は本作が基礎となっていることからも、本作におけるキャラクターの深化は正しかったと評価できます。。。と、決して悪くない出来であるにも関わらず本作の評判が芳しくないのは、主演がシュワではないため。私も、「この出来で主演がシュワであれば」と残念で仕方ありません。ダニー・グローバーも悪くはなかったのですが、シュワと比較するとやはり見劣りします。ただしこの主役交代も、「プレデター」というシリーズ全体として見るとあながち悪くなかったようです。というのも、「プレデターさえ出ていれば人間側の主人公は誰でもよい」という自由が生まれたため、一方でシガニー・ウィーバーが主演し続けたために物語の自由度がどんどん制限されていった「エイリアン」シリーズと比較すると、シリーズの続行が格段に楽になりました。「AVP」シリーズがプレデターシリーズを基礎としていることからも、プレデターの世界を広げるために本作における主役交代が効果を発揮していることが伺えます。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-05 15:32:46)
108.  シャイン
偏屈な性格なのでなかなか定職に就けず、他に誇るべきことがないので過剰なまでに家族に執着して狭い世界の中で余計に偏屈度合いが加速していくという、無職オヤジの負のスパイラルが見事に描かれた前半部分は最高に楽しめたのですが、このオヤジが出てこなくなる中盤以降は、普通の良作になってしまったという印象です。 アカデミー賞をはじめとして世界中で多くの受賞歴があるだけあってジェフリー・ラッシュの演技は素晴らしいものの、実はラッシュが出ている中年期が一番面白くありません。父親との関係の清算、後に奥さんとなる占い師との出会い、トラウマを乗り越えてのカムバックなど、このパートは構成要素が盛りだくさんのはずなのに、そのすべてがあっさりと流されてしまうためにほとんど感動がなく、ジェフリー・ラッシュの名人芸を楽しむだけのパートになっています。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-04-08 11:59:04)
109.  クラークス 《ネタバレ》 
Clerks(店員)のある不運な一日を描いた作品であり、店内のトイレで客が死んだり、友人の葬儀を知ったりと結構なことが起こる割には、日常系のほのぼのとした空気が流れ続ける不思議な温度感の作品です。また、彼女がとんでもないヤ○マンであることが判明して心が揺らぐ展開などは後の『チェイシング・エイミー』にも通じているのですが、どの要素もさほど深くは掘り下げられておらず、雰囲気ものの作品だと言えます。相性が合えばすごく愛せる作品になるのでしょうが、私はさほど面白みを感じませんでした。 ただし、一日中ボヤく主人公に対して友人が放つラストの言葉。これは最高でした。  ・誰もお前を引っ張って連れて来たのではない。お前はここにいることを自分で選んだんだろ ・自分が居なければこの店が潰れるような言い方をするな。こんな猿にでもできるような仕事、お前がいなくたっていくらでも代わりはいる。 ・お前は自分に価値があると言いたくて必死だが、出来の悪い店員に過ぎないんだよ。 ・バカな要求をしてくる客を見下しているが、俺らも同レベルだからここにいるんだ。  置かれた環境に文句を言い、誰かを見下すことで自分を優位に見せようとすることって誰にでもあると思うんですけど、そうした姿勢をズバっと切り裂き、その根底にある曲がった根性までを見透かされたような鋭利な言葉でした。しかもこれを主人公以上のダメ人間に見えていた友人に言わせるという点もうまく、このラストの言葉を聞けただけでも、鑑賞の価値はありました。
[インターネット(吹替)] 6点(2018-02-23 19:53:10)
110.  評決のとき 《ネタバレ》 
長期に渡る廃盤により国内での視聴が困難な作品のひとつですが、Netflixにしれっとアップされていたので、1999年の地上波放送以来の鑑賞となりました。 公開当時にはここまで豪華俳優陣という印象は持たなかったのですが、現在の目で見ると凄い俳優が名を連ねているなと驚かされます。つまり、この20年間で主要キャスト達が大成したということであり、将来性のある若手や知名度の低い実力派を起用した本作のキャスティングは神がかっていたと言えます。上映時間の使い方もうまいもので、膨大な要素を扱いながらも混乱なく話を進めていき、これを2時間半程度にまとめてみせた語り口には感心させられました。90年代にはハリウッド有数の職人監督として重宝されていたジョエル・シュマッカーの本領発揮といったところでしょうか。 また、オチのつけ方も素晴らしいと感じました。ほぼ有罪に傾いていた陪審員達を動かした最終弁論の最後の一言「被害者少女がもし白人だったら」、これは非常に重い問いかけだったと思います。主人公ジェイクは必死で差別と戦い、黒人だからという理由で被告が不利益な扱いを受けないよう奔走してきましたが、最後の最後で彼は差別が存在することを明確に認めた上で、「もし白人が同じことをすれば、みなさんは容疑者を無罪放免にしますよね」と説得して無罪判決を引き出すのです。最終弁論の後半でジェイクは涙を流しますが、それは差別という大きな影に勝てず、差別に屈服しなければ容疑者を守れなかった自分自身の不甲斐なさを嘆いた涙だったのでしょうか。勧善懲悪の結末を予想していた私は、この展開には本当に驚かされました。同時に、差別問題の難しさや根深さを見事に言い当てた一幕だと感心しました。 ただし、本作にはハリウッド製作ならではの欠点もあります。「万人にとって分かりやすく」を信条として作られたためか、この裁判が抱える複雑な問題点がどんどん放棄されていくのです。この裁判の論点とは「やむにやまれぬ事情がある場合でも復讐は許容されないのか?」というものですが、この議論は本編からスッパリと落とされています。これは残念でした。また、前述の通り最終弁論でビターな結末を迎えたにも関わらず、その後の無罪判決を受けて勝利を祝福するかのような派手な音楽が流れる一幕は、完全に演出を間違えています。ここで一気に興を削がれました。その他、法廷外ではKKKが暴れ回って爆弾騒ぎや誘拐、暗殺未遂までを起こして州兵が出動するほどの事態となりますが、そうした場外乱闘が法廷内での審理にまったく影響を及ぼさない点も残念でした。法廷内と法廷外のイベントが有機的に影響しあい、事態がどんどんエスカレートしていけば、映画全体がより面白くなったと思うのですが。
[インターネット(字幕)] 6点(2016-05-17 18:18:57)
111.  イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 
文芸作品としての上品な風格とハリウッド映画らしい大作感を両立した作品であり、そのルックスはほぼ完璧。「これは何か賞をやらなければ」と思わせるだけの仕上がりだし、一方で同年には他に突出した作品がなかったこともあって、作品賞を始めとするオスカー大量受賞には納得がいきます。アカデミー会員が求めるものを、ほぼパーフェクトに充たした作品なのですから。ただし「面白いか?」と聞かれると、これはちょっと微妙と言わざるをえません。 ざっくり言うと不倫で身を持ち崩した男の話なのですが、その舞台が第二次大戦前夜というキナ臭い時代だった上に、登場人物達の背景に国際的な諜報戦も絡んできたことから悲劇は雪だるま式に折り重なっていき、最終的には大勢の人の死に繋がっていくという劇的な展開を迎えます。そのまま映画化すればさぞや面白かろうという内容なのですが、厄介なことに、監督とプロデューサーは恐らく意図的に娯楽性の高くなりそうなポイントを外してきています。本作の評価はこの点をどう受け止めるかにかかっており、この手の文芸作品が好きな人にとってはストーリーテリングにおけるこの独特な取捨選択がハマったのかもしれませんが、それ以外の観客にとっては、盛り上がりそうで盛り上がらない中途半端な展開にフラストレーションが溜まる結果となっています。 具体的には、足を負傷したキャサリンを砂漠の洞窟に残して救助を求めに出て行ったアルマシーが、その国籍ゆえにスパイ容疑をかけられてキャサリンを助けに戻れなくなるというくだり。タイムリミットサスペンスの要素とも相まって、詳細に描けばかなり面白くなったであろう展開なのですが、監督は驚くほどアッサリとこのパートを流してしまいます。その過程において売国行為にまで手を染めるという、アルマシーにとって分岐点となったイベントも簡単なナレーションのみで片付けられており、その意思決定の時点でアルマシーが抱えていたジレンマはほとんど描かれません。監督によるこの取捨選択には大きな疑問を持ちました。 他方、無駄に感じたのが看護師ハナの物語全般です。映画は現在パート(1944年)と回想パート(1938年)を行き来しながら進行するのですが、現在パートにおけるハナと爆弾処理兵キップとの恋愛が本筋にうまく絡んでいない上に、この物語がさして面白くもありません。ハナとキップは登場させず、間接的に加害者となってしまったアルマシーと、アルマシーの売国行為によって重大な損害を受けたカラヴァッジョの対話を現在パートの基礎とした方が全体的な話の通りは良くなったような気がします。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2016-01-18 19:18:00)
112.  ブラック・ラン<TVM>
『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボンが書いた脚本を、後に『イーグルアイズ』を撮るD・J・カルーソが監督したという、現在から振り返ると何とも豪華な布陣によるTV映画。 『ショーシャンクの空に』でオスカー作品賞にノミネートされ、『プライベート・ライアン』の脚本のリライトにも呼ばれるなど(冒頭のノルマンディー上陸はオリジナルにはなく、スピルバーグからの依頼によりダラボンが書き加えたもの)、当時すでにハリウッド有数の脚本家だったダラボンがなぜ低予算のTV映画に関わることとなったのかは分かりませんが、ロミオとジュリエットのような主人公とその恋人との関係や、警察から犯人だと勘違いされ、主人公が孤立無援の中で戦わざるをえなくなるというシチュエーションなど凝った設定が多く、そこいらのB級アクションとの差をまざまざと見せつけられました。さらには、多くの要素がひしめく作品でありながら大した混乱が起こっておらず、無駄な登場人物がいないためストーリーテリングは極めて滑らか。ダラボンがどれほどの熱量をもってこの企画にあたったのかは分かりませんが、うまい人に作らせれば、一度見で消費されるだけのTV映画でもそれなりのものができるんだなと感心させられました。 ただし、演出の方は安っぽさ全開でイマイチ見栄えがしません。当時流行っていたジョン・ウー風にしたかったのか、いちいちスローモーションになるアクションには古臭さを感じさせられるし、車を使った追っかけがメインの作品なのにスピード感の演出にも失敗しており、結果的にそこいらのB級アクション映画群に紛れてしまう程度の仕上がりに終わっています。せっかく脚本は良かったのだから、もうちょっと丁寧に撮って欲しいところでした。
[ビデオ(字幕)] 6点(2015-11-30 09:14:19)
113.  機動戦士ガンダムF91 《ネタバレ》 
当初はテレビシリーズ用として考えられていた作品だけに、各要素はしっかりと作りこまれています。まず、クロスボーン・バンガードのMSデザインが秀逸。連邦系ともジオン系とも違う個性があり、新たな脅威が現れたという設定をデザインでうまく表現できています。また、クロスボーン・バンガードの創始者マイッツァー・ロナは人格者であり、その主張には一定の哲学と合理性が認められるものの、腹に一物持った部下たちが勝手に動き出したことから結果的にならず者集団になってしまったという展開には、現実の組織論が反映されているようで面白いと感じました。 戦場の描写は壮絶を極め、乳飲み子を抱えた母親がMSの薬莢に頭を割られて死ぬ、主人公グループのムードメーカーらしき人物が初戦で衝突死、大量殺戮兵器バグは子供を切り裂くなど、普通のアニメでは被害者にはならないタイプの人たちの死が克明に描かれており、戦争とは地獄であることを強烈に印象付けています。 作品の落としどころもよく考えられています。主人公は鉄仮面を倒すがそれはあくまで私闘のようなものであり、主戦場では連邦軍がボロ負けしてフロンティアⅠを放棄したという、勝利と敗北の両方が含まれた結末としたことで、一本の映画としてオチを付けると同時に、これから続く(と想定されていた)テレビシリーズにも繋げており、これは本当にうまいやり方だと感心しました。 問題点は、テレビの1クールに相当する分量を2時間に押し込めてしまったために、急な展開が多いこと。舞台が突然変わったり、何人かのキャラクターが唐突な心変わりをしたりと、ついて行けない点が多々ありました。また、テレビシリーズ用の作品だけあってセリフのあるキャラクターが非常に多く、キャラクターの把握にも時間がかかりました。そのキャラクター達は基本的に常識人なのでストレスなく見ることができたのですが、反面、強烈な個性を持った者がいないためにドラマ部分への関心が持続しなかったこともマイナス。登場人物の大半が狂っていた『Ζ』って、なんだかんだで面白かったなぁと遠い目をしてしまいました。 破綻気味のスケジュールで製作されたためか、MS戦の作画クォリティは『逆襲のシャア』どころか、数ヵ月後にリリースされたOVA『0083』にも完敗というレベルで、本家スタッフが再結集した作品としては期待はずれです。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-28 16:03:55)(良:1票)
114.  コップランド 《ネタバレ》 
公開当時にも鑑賞したのですが、その際には、他の出演者の演技力と釣り合っていないことや、そもそも弱い男には見えないことから、本作におけるスタローンはミスキャストだと思いました。しかし、現在になって作品を再見すると印象も随分と変わるもので、これはこれでなかなか良いキャスティングだなと納得できました。演技派として名高い俳優の中に、むしろ大根役者として知られるスタローンを放り込んだこと自体が、彼が演じるフレディというキャラクターの立場を表現しているようです。。。 警官が多く住んでおり、犯罪が起こりようのない街、コップランド。その治安を守る保安官はそこにいるだけの存在であり、住民の警察官達からは見下されています。不慣れな社会派サスペンス映画において木偶の棒となり、終始、周りの演技派俳優達に圧倒されまくるスタローンは、警察官に囲まれてバカ扱いされるフレディと同じ立ち位置にあるのです。デ・ニーロやリオッタから早口で煽られても、それに言い返すことのできないフレディの姿は、俳優として行き詰まりはじめていた当時のスタローンと重なります。。。 そんなスタローンが、ラストでは得意の銃を握り締め、彼をさんざんバカにしてきた演技派俳優達をブチ殺しにいきます。ここに来ると映画は完全に西部劇の雰囲気となり、監督もノリノリ。「俺の特技はこれなんだ!覚えとけ!」と言わんばかりにスタローンがショットガンをぶっ放す場面では、拍手喝采したくなるほどのカタルシスが得られました。レイ・リオッタの参戦にも燃えた。社会派サスペンスはどうなってしまったんだという点はこの際置いといて、これはこれで良しとしましょう。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-09-20 01:19:56)
115.  アウト・オブ・サイト
長めの映画談義に、時間軸の解体に、バラバラな意図を持つ大勢の登場人物にと、おもいっきりタランティーノ風をやっている点は「あらあら」という感じなのですが、それでも、タラが苦手とするラブストーリーを作品の核としたことで差別化が図れているし、男社会の中で厄介者扱いされながらも真っ直ぐに頑張る女性を一方の主人公としたことで、従来のクライムドラマとは違った客層の獲得にも成功しています。以上の作品コンセプトはなかなか卒のないものだし、雑多な要素で溢れかえる内容をコンパクトにまとめてみせたスコット・フランクによる脚色、終始落ち着きが感じられ、熱気溢れるタラとはまた違った味わいを見せるソダーバーグによる演出と、あらゆる面で洗練された映画だと感じました。また、ジェニファー・ロペスが驚くほど美しく撮られているという点も素晴らしく、優秀なクリエイター達による質の高い仕事を楽しむことができます。。。 ただし、観客の心を掴むための突出した何かがなかったという点が、本作のリミッターとなっています。主人公二人の関係はおしゃれだけど、会いたくても会えないというもどかしさが表現できていないので、二人の再会場面には感動がありません。また、作品の山場となるリプリー邸侵入についても、命を奪われかねない危険な現場だという煽りが欠けているため、本来宿るべきスリルが生まれていません。粋なラストにしても、「憎いねぇ、大将!」と観客をニヤニヤさせるところまではいっていないし、とにかくすべてが不完全燃焼。枠組みを真似ることは天才的にうまいが、ジャンルの魂の移植にまでは手が回らない、良くも悪くもソダーバーグらしい映画だったと言えます。
[DVD(吹替)] 6点(2014-02-15 15:50:03)(良:1票)
116.  ザ・エージェント
本作の脚本はかなりの変化球です。例えば、やり手ではあるが人間味に欠けていた主人公が、己の仕事の不毛さを知って改心するというドラマティックな展開。通常の映画であればクライマックスに持ってくるべきパートを、なんと冒頭に据えているのです。もしくは、苦難をともにしたシングルマザーへのプロポーズ。これもクライマックスにあるべきパートですが、これを中盤に据えています。本作がやろうとしていることは、通常のドラマが描く綺麗事のその後。「こうして、主人公は新しい道を歩み始めるのでした。めでたし、めでたし」といくほど、人生は甘くない。美しい決断の後には厳しい現実が待ち構えているというひとつの真理を突いた内容としています。こうしたキャメロン・クロウの着眼点の鋭さには、心底恐れ入りました。。。 以上の通り、基本的に本作はビターな内容の映画なのですが、観客にストレスを与えすぎないよう、あくまで王道を装っている点が本作の良いところであり、悪いところでもあります。トム・クルーズは抜群の安定感だし、レニー・ゼルウィガーは爽やか、キューバ・グッティング・Jrはコメディリリーフとして申し分なく、非常に口当たりの良い仕上がりとなっているのですが、その完成度の高さゆえに、ドラマの核心部分に重みを感じないという点が引っかかりました。確かに主人公は人生のどん底にいるが、トム・クルーズが演じている以上、最終的には何とかなってしまうだろうという安定感は、本作に必要だったのか?小綺麗なレニー・ゼルウィガーで、シングルマザーの苦境を描ききれるのか?人の良さが滲み出るキューバ・グッティング・Jrが、素行不良でチームから敬遠されるアメフト選手に見えるのか?見終わった後に、多くの疑問符がつきました。演出と演技のレベルの高さが、この脚本のポテンシャルを奪っているように感じます。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-12-23 02:17:52)
117.  デイズ・オブ・サンダー
『俺たちに明日はない』『チャイナタウン』などで知られる巨匠・ロバート・タウンが脚本を書いたとは思えないほど安っぽい話で驚いてしまいました。天才的な才能を持つ青年の挫折と再生を描いた物語はまんま『トップガン』だし、かつてのライバルと友情を結び、新たなライバルとの対決に向かうというクライマックスは少年ジャンプのノリ。他の映画と差別化できるような新基軸も打ち出せておらず、この脚本では批判を受けて当然だと思います。さらには、『トップガン』『ハスラー2』に続いて横柄な天才役を演じるトム・クルーズはいい加減ハナについてきたし、この頃のニコール・キッドマンは演技がイマイチ。当時、「トム・クルーズの嫁」という以外に売りがなかったことにも妙に納得がいきました。この二人が演じるラブシーンはまさに悪夢であり、ラブシーンの演出を不得意とするトニー・スコットの不手際とも相まって、見ているこっちが気恥ずかしくなる代物となっています。。。 とまぁ内容的にはまったくダメなのですが、レースシーンが突出してかっこよかった点は素直に評価できます。この辺りはマシーンの描写を得意とするトニー・スコットの独壇場だったし、クリス・レベンゾンによるドライブ感溢れる編集も作品に大きく貢献しています。さらに、本作はハンス・ジマーが関与した初のアクション大作となるのですが、やはりこの人の音楽は最高にかっこいいのです。クライマックスのレースでは燃えまくりました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-17 00:50:55)
118.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
ブラッド・ピットやキアヌ・リーブスが世界的な人気を獲得する以前、ハリウッドはトム・クルーズのものでした。90年代前半のトムはまさに絶頂期にあり、派手な見せ場のない本作も、アメリカ国内だけで1億3千万ドル(2013年現在の貨幣価値に換算して2億5千万ドル)という規格外の大ヒットとなりました。さらには、アカデミー作品賞ノミネートというオマケまでくっつき、このジャンルの映画としてはかつてない大成功を収めた作品となったのです。。。 上記の通りビジネス面では大ホームランだった本作ですが、トム様の全盛期も今は昔、現在の目で見ると、それほど高評価を受けるような映画ではないというのが率直な印象です。頭は良いがグータラな男と、地味だが真面目一直線の女、そして家庭を愛する地味な男がチームを組んで巨悪に立ち向かうという構図は面白いものの、重要な場面は必ずと言っていいほどトム様の独壇場で、チーム戦としての面白さがまったく追求されていません。劇中、やたらと野球の話が出てくるのでチームワークを描いた映画になるのだろうと思っていたのですが、それは私の思い過ごしだったようです。さらには、彼らに対する悪人達のキャラ造形は非常に薄っぺら。ジャック・ニコルソンとキーファー・サザーランドというカリスマ的な俳優の力によって何とか帳尻は合っているものの、ここまで単純な悪人にはあまり面白みを感じませんでした。。。 本作の原作と脚本を書いたのは、後に『ソーシャル・ネットワーク』を手がけるアーロン・ソーキンです。ソーキン印の勢いある会話劇としてはよく出来ているのですが、証拠を追いかけながら真実に達するという法廷ものの醍醐味はほとんど追求されていません。事実や論理の積み重ねなどはなく、相手の手落ちを誘導する法廷での舌戦のみで話が進んでいき、知的興奮を求めると少なからず裏切られます。ジェセップ大佐が若造の仕掛けた罠にまんまと引っかかって罪を白状するクライマックスなんて、あまりに単純すぎて白けてしまいました。。。 とまぁ悪口を多く書きましたが、スタッフも役者も一流の映画なので、2時間はきっちり楽しめる娯楽作には仕上がっています。全盛期のトム・クルーズは本当にキラキラで、彼を見ているだけでもテンション上がるし。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-12 02:05:00)
119.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
鑑賞前には「『果てしなき想い』って何だよ。日本の配給会社は相変わらずセンスのない邦題を付けるなぁ」などと思っていたのですが、実際に本編を見ると、このダサイ邦題に負けず劣らずの安っぽい内容にガッカリしました。まるで昼ドラです。物語を進めるために人が死にまくる安直なストーリー展開に、「私が私が」ばかりで感情移入の余地のない登場人物達。3兄弟を渡り歩くスザンヌは自己憐憫に浸る身勝手女に見えてしまうし、本能のままに生き、家族や社会に対する一切の責任を放棄して自分探しの旅に出るトリスタンも無責任男でしかありません。ラドロー大佐も、ただの偏屈なオヤジだし。必死に頑張って社会的地位を築き上げた長男・アルフレッドを邪険に扱い続けるラドロー一家には、なかなか感情移入しがたいものがありました。。。 さらには、シチュエーションの作り方も巧くなくて、妻を殺されたトリスタンが泣き寝入りせざるをえなかった理由がよく伝わらなかったために(目撃者が大勢いた上に、犠牲者は下院議員の親戚。常識的に考えれば汚職警官もヤクザも一巻の終わりでしょう)、ラストの復讐劇に感情がうまく乗っかりませんでした。さらには、戦場で弟を殺された際には悪鬼の如く暴れ回ったトリスタンが、妻を殺された際には意外と大人しく振舞っていた点にも納得がいかず、作品内での整合性の点でも問題を感じました。。。 以上の通り、決して出来の良い映画ではないのですが、オスカー受賞の素晴らしい撮影に、ジェームズ・ホーナーによる壮大な音楽、スター俳優の共演によって見られる映画にはなっています。さらには、エドワード・ズウィックの演出は映画の肝どころをきちんと押さえており、2時間はきっちりと楽しめる作品となっています。
[DVD(吹替)] 6点(2013-06-11 01:41:31)
120.  インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
アン・ライスは5歳の娘を病気で亡くしたことの絶望から『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の執筆を開始しましたが、その際には、生きる目的を失い、死人同然となった当時の自分の姿をルイに、厳しい運命を受け入れた上で自由奔放な生き方を選択するという、自分にとっての憧れの姿をレスタトに反映させたと言います。この点に注目して本作のキャスティングを見ると、なかなか意義深いものを感じます。ルイを演じるブラッド・ピットはレスタト役のトム・クルーズとたった1歳差であるにも関わらず、キャリア的には10年の遅れをとっていました。仕事がない時期にはストリッパーの運転手までして食い扶持を得ていた苦労人であり、厳しい下積みを経てようやくキャリアに日の目を見はじめたのが本作製作当時のピットの状況だったのです。対するクルーズはデビュー直後からヒット作に恵まれ、さらにはオスカー受賞作への出演も多いという正真正銘のスターでした。当時の状況を比較すると、両者はまさに陰と陽。ルイとレスタトを演じさせるには最高の組み合わせだったと言えます。クルーズが企画に参加する以前にはダニエル・デイ・ルイスやルトガー・ハウアーがレスタト役の候補として上がっていましたが、彼らではクルーズとピットのような微妙な関係性を見せることは出来なかったはずです。。。 以上、本作はキャスティング面では成功を納めているのですが、残念ながら肝心の内容はイマイチでした。美青年ヴァンパイア達の美しいお姿と、彼らのホモっぽい日常を見せることに全力を投入しているために、ホラーとしてもドラマとしても突っ込みが甘いのです。前半においてルイは、自分が生きるためには他人を殺さねばならないという宿命に心を痛めていましたが、後半部分ではその話題は映画から完全に姿を消します。数百年間、彼は人を殺しながら生き続けてきたわけですが、そのことに対する後悔や反省というものがまったく描かれないのでは、前半と後半でドラマが断絶していると言わざるを得ません。また、数百年を生きるヴァンパイアのドラマでありながら、時代の変化を目で見せる工夫がなされていないために、設定の美味しい部分が死んでしまっています。基本的な演技も演出もしっかりしていただけに、設定を煮詰めきれなかった脚本の不出来が悔やまれます。
[DVD(吹替)] 6点(2013-04-19 22:30:48)
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