101. ロリータ(1962)
キューブリックらしい演出は、ピーター・セラーズが絡んでくるシーンで顕著に見られるが、物語の核である中年男がロリータに惹かれていく経緯や心理描写が薄くて粗い。 古い映画で、しかもテーマがテーマだけに、ロリータの魅力を表現するにも限界はあるんだろうけど、主人公がトンマなおっさんに見えてしまうことも……。 女の子はかわいいし、中年男の悲哀さと情けなさは十分に伝わりました。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-19 08:29:23) |
102. 白いカラス
序盤では社会派ドラマと思いきや、ヒロインの登場からはややサスペンスぎみ、最後まで見てようやく人間ドラマだと理解できた、ちょっと変わった作りの映画。 ラストで作品のメッセージは伝わるし、決して質の低い映画だとは思わないけど、ヒロインのキャラがあまりにも強すぎて、焦点がぼやけてしまった感あり。 主人公ホプキンスの設定も……これは微妙かな。 日本人にはピンとこない題材に重苦しい展開ということもあり、少々取っつきにくい作品かもしれない。 [DVD(字幕)] 4点(2013-01-17 16:13:49) |
103. 野生のエルザ
実話ベースの映画化作品。原作がヒットして、かなり話題になっていた覚えが。 人間とライオンとの交流を描いたストレートな感動もので、もちろんテーマはよく伝わってくる。 でも結局は人間のエゴのほうが遙かに目立っていて、ライオン側にとってはいい迷惑だとしか思えない。 自然の中で生きている野生動物に、わざわざ人間のほうから近づいていく必要もないと思うんだけど……。 オーソドックスな作りのファミリー向け映画。 [DVD(字幕)] 3点(2013-01-15 09:33:04) |
104. さよならミス・ワイコフ
過激なレイプシーンばかりが注目されてしまった感はあるが、ある保守的な町を舞台に、人種差別、女性差別と、社会派ドラマとしての色合いが濃い作品。 かなり辛辣なストーリー展開ながらも、登場人物が少なく、ヒロインである中年女性の苦悩や葛藤もしっかり表現されているため、感情移入がしやすい。 後半「女の性」という点で、彼女の心情変化の描写が浅薄になってしまったのが惜しまれるけど、ラストシーンで本作のテーマはちゃんと伝わってきます。 とにもかくにも、主演女優アン・ヘイウッドの体当たり演技が光る作品。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-01-13 11:28:55) |
105. アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ
「発情アニマル」(1978年)のリメイク版。 オリジナルに比べると、レイプシーンの描写はかなり緩めでもっさり。そのぶん後半はより過激な描写へと変わり、どうにもバランス感の悪さは否めない。 新キャラの登場でヒロインの心情描写等がカットされ、シナリオの粗もかえって目立つことに。 ストーリーを楽しむような映画ではないので、これでもいいんだけど、ヒロインに魅力を感じなかったのが一番のマイナスポイント。 [DVD(字幕)] 2点(2013-01-11 06:59:37) |
106. 俺たちは天使じゃない(1955)
人情味溢れる脱獄犯三人の描写が面白いコメディ映画。 それぞれのキャラが立っていることはもちろん、特にハンフリー・ボガートはふだんから鉄仮面の顔つきだけに、ギャップが楽しめる。 ハートフルなストーリーもいいが、ややテンポが遅く、総体的にもっさりしている感は否めなかった。 後半はややドタバタぎみの展開で、ちょっと観る人を選ぶかも。良質な作りといった印象は受ける作品。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-09 09:22:08) |
107. 猿の惑星:創世記(ジェネシス)
じっくりと見せてくれる前半部はよかったのだが、後半はシナリオの粗い普通のパニック映画に。 物語の一番の鍵になっているはずの主人公は、単なる狂言回しの添え物になってしまった感も……。 創世記ということは続きがあるのかな。一応テーマも伝わるし、ちゃんとワンエピソード終わらせているという点では評価のできる作品。 猿の顔の表情が豊かすぎて怖かった。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-01-07 08:42:59) |
108. 娘・妻・母
成瀬監督の描く、辛口のホームドラマ。 豪華スター競演ということで、登場人物が多いため、お話がやや分散傾向を感じさせるも、各エピソードが隔たりなくバランスよく描かれてます。 鑑賞後にタイトルを見ると、確かにちゃんと表現されていたなぁと感心するばかり。 こういう内容の映画はまとめるのが難しいとは思うけど、やはり監督さんの手腕が一番印象に残る逸品だった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-01-06 10:29:01) |
109. スペースキャンプ
子供が主役ということで、今イチ緊張感には欠けるも、起承転結のシナリオがしっかりしていてなかなか面白い。 宇宙を舞台にしているので映像もきれいだし、お子さんはもちろん、大人の鑑賞にも堪え得る範囲内ではないかと。 主役の男の子がダサい以外は、登場人物たちのキャラ分けもしっかりできていたと思う。 内容は友情、努力、団結と、こちらもオーソドックスだが、ファミリーで鑑賞するにはお薦めの一本。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-01-03 11:10:35) |
110. 遊星からの物体X
原作を忠実に再現しつつも、登場キャラの設定を映画用に変更。人数を減らしたことが功を奏し、見応えのある内容のSFホラーに仕上がっている。 どうしても宇宙生物のSFX部分にばかり目がいってしまうが、閉塞的な場所での隊員たちの描写が凄まじい緊張感とスリルを与え、クリーチャーのシーンなどなくても、心理サスペンスとして十分に完成されていた。意味深なラストもいい。 ラス前の子供が喜びそうなシーンは余計ながらも、シナリオと演出が秀逸と思わせてくれる作品。 [ビデオ(字幕)] 9点(2013-01-02 11:09:17) |
111. 免許がない!
免許合宿を題材にしたところはいいのだが、プロット自体は一時間ぐらいで収まる内容。 館ひろしは悪くないけど、大物俳優が免許合宿に参加するというギャップの妙味もキャラ設定も、今ひとつ生かされていないように思える。 個性的な教官とのやりとりを描いた序盤はまだしも、中盤以降は描くことがなくなったのか、空回りの連続。コメディーとしては笑えないシーンが多すぎた。 [ビデオ(邦画)] 2点(2012-12-31 08:42:23) |
112. ロミーとミッシェルの場合
BGMの80年代ヒット曲が懐かしいストーリーコメディー。 テーマやメッセージ性はちゃんと伝わるけど、総体的にばかばかしいという印象のほうが強く、主役二人が高校時代にバカにされていたという設定も、この描写ではどうにもピンとこない。 コメディーなので笑えるシーンはあるが、ドラマとしての盛りあがりも今ひとつ。 二人のヒロインはスタイルがよくて、とてもチャーミングだった。 [DVD(字幕)] 3点(2012-12-29 07:58:54) |
113. リアル・スティール
ストーリーはスタローン主演の「オーバー・ザ・トップ」そっくりだし、オヤジのキャラ設定はいい加減、状況説明もほとんどなしと、ひどい作りの映画なのになぜか感動してしまった。 あまりにもど真ん中の棒球すぎて、呆然と見送ってしまった感じ。 親子の絆、再生というオーソドックスなテーマに、ロボットの動きが見所。 小難しい映画もいいけど、小細工なしのストレートな作品も捨てがたい。お子さんとご一緒にどうぞ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-12-27 09:24:57) |
114. あの日、欲望の大地で
構成とストーリー展開が変わっていて、シナリオに妙味を感じさせてくれる作品。 「女の性」をテーマに、母と娘の知られざる関係がサスペンス性を与え、それがこちらの関心をラストまで引っ張ってくれた。 ずっと記憶に残るような映画ではないかもしれないが、二大女優のシャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーの濡れ場シーンもたっぷりあるので、鑑賞時のインパクトは大きかったです。 内容にやや激しすぎる感はあるも、丁寧に作られているなという印象の女性映画。 [DVD(字幕)] 5点(2012-12-26 09:56:45) |
115. さよなら子供たち
いい映画だなぁ。 夢と冒険、ファンタジー溢れたドラマチックなベタ映画もいいけど、胸をチクリと刺すようなセンスのあるドラマにはなかなかお目にかかれない。 二人の主役のうち、いつも寂しそうな顔をしているユダヤ系の少年が印象的だったが、本作は彼らの交流を淡々と描きながらも、さりげない反戦のメッセージとともに静かな感動と余韻を残してくれる。 いっさいのセリフを排したラストの絵は、彼らの小さな世界で、彼らなりに人生経験を積んでいるんだな、という思いがひしひしと伝わってきた。 言葉など必要ない。映像だけでも、十分心情を表現できる。 久しぶりに映画らしい映画を観たな、という満足感を与えてくれた作品だった。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-24 20:50:30) |
116. さびしんぼう
シナリオ、映像、配役と、バランスの取れた率直にいい映画。 忘れかけていた十代の思い出が甦ってくるようで、郷愁を誘う尾道の映像がストーリーとマッチしてます。 笑いもふんだんに織り込まれているので、途中で飽きるということもなかった。 富田靖子は一人三役でがんばっているけど、ちゃんと別の役者さんを使ったほうがいい。 監督さんのメッセージはこちらのほうがより明確に伝わるし、ヒロインに似ている人を捜すのも大変だとは思うけど、映画だとどうしても安っぽく感じてしまって……。 名作であることに異論はないです。 [ビデオ(邦画)] 8点(2012-12-22 17:16:41) |
117. ルパン三世 東方見聞録 ~アナザーページ~<TVM>
普通に面白いとは思うけど、悪い意味での安定感は否めない。 ルパン一家のキャラ描写もストーリーもワンパターンで、出汁の薄い味噌汁を飲まされているような味気なさを感じてしまう。 テレビのスペシャルドラマに期待するのは酷だとは思うけど、唯一大人の鑑賞に耐えられるTVアニメなのでがんばっていただきたい。 [地上波(邦画)] 3点(2012-12-20 05:33:20) |
118. ソルト
スピード感溢れる、「逃亡者」タイプのサスペンスアクション。 シナリオは粗っぽいし、特別新鮮味も感じないが、起承転結はしっかりしているので、そこそこ満足はできるかと。 アンジェリーナの相変わらずのスーパーウーマンぶりは凄まじいけど、ヒロインの活躍を素直に楽しむのがベストな作品。 女性を意識したキャラ設定が、多少なりともストーリーに厚みを与えてます。 [DVD(字幕)] 4点(2012-12-18 05:46:02) |
119. ギニー・ピッグ 悪魔の実験
ただひたすら残虐なシーンを延々と垂れ流しているだけで、ストーリーはいっさいなし。 最初からやらせに特殊メイクだとわかっているから、笑って観ていられるけど、ほとんどの人が不愉快になることは間違いないかと。 若い頃はこういう残酷な作品を好んで鑑賞していたが、やっぱりちょっとおかしくなってたんじゃないかと思う。 0.1もつけられない、掛け値なしの0点作品。映画じゃないです。 [ビデオ(邦画)] 0点(2012-12-11 07:58:55) |
120. 野菊の如き君なりき(1955)
原作は、伊藤左千夫の「野菊の墓」。 まるで明治の時代にタイムスリップしたかのような映像が素晴らしく、画面から情感が溢れ出てくるよう。 主人公の回顧録といったかたちでお話が進む構成もいい。 ただ全編に亘ってほぼ回想シーンにもかかわらず、画面の四隅に楕円形の白いマスクを張った映像処理は、まったくもって納得できない。 美しい印象的なカットがたくさんあるのに、わざわざ画面を狭めたことで感動も半減、後半からはちょっとイライラした。 名画であることには違いないけど……。 [DVD(邦画)] 6点(2012-12-09 02:28:36) |