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 > 53羽の孔雀 さん
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プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介  映画史や映像技術には全く詳しくないので、単純に面白いと感じた度合いで点数をつけさせていただきます。
 よろしくお願いします。

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101.  ルディ/涙のウイニング・ラン 《ネタバレ》 
やばいぼろ泣き。現在進行形であっても過去形であっても、夢を持ったことがある人にはグッとくるものがある、そんな作品だと思います。  主人公ルディは「熱意」だけは誰にも負けない選手として描かれる。しかしもうひとつ、夢の実現のために必要なのは「勇気」だと思うんですよね。ルディでいえば、例え彼女と別れても、親に反対しても、体格や運動能力に恵まれていないとわかっていても、夢の実現のためにここぞ!というターニングポイントで一歩踏み出す勇気。それこそが最も重要で、最も決断が難しい要素だと思うのです。例え勇気を出して一歩踏み出しても、それが報われるとは限らない。ルディのように夢を実現できなかった人たちが、それこそ数限りなく存在すると思うのです。しかしそこに全てを賭けるからこそ成し得る夢があるというのもまた事実。「人生とは賭けの連続だ」とは言うものですが、それが正しかったのかどうかは本人にしかわからない。逆に言えば、本人が後悔しなければそれは最上の選択なのではないでしょうか。だからこそフィールドの整備士さんの「今辞めたら一生後悔することになるぞ」「証明とは自分自身に対してするものだ」という言葉が突き刺さります。  また一方で、「自分の夢を追うことは他人を傷つけることになる」というのもその通りだと思います。他人の思いを犠牲にして、自分の夢に投資する。もちろんそれが正しいとは絶対に言えないし、自分の夢を犠牲にして家族や彼女の幸せをとる、それは全く間違ってない選択だと思います。だからこそ決断が難しく、自分だけにしか答えの出せない(しかも賭けを含む)難問なのでしょう。そういった意味で涙を禁じ得ない、なんともニクい作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-24 03:10:01)
102.  ビッグ・フィッシュ
非常に練られているし、考えさせられもする。かなり良い映画です。しかし、如何せん自分の苦手分野であり、正直なところ合わなかった・・・。見るタイミングが悪かったのかもしれない。全体的には、ファンタジーとリアルを合体させ、文学的な表現が多い作品だったと思います。前半はファンタジー9割で、後半に進むにつれリアルが浸食、そして全編通して文学的表現が他の映画より強め。国語が得意で、ファンタジーが好きな方にはストライクかと思います。私はその逆なもんだから、「素晴らしい」よりも「合わない」が前面に出てしまった。前半は申し訳ないけど退屈でした。前半にばら撒かれたパーツを後半に綺麗に回収していく様は見事だったけど、「どこまでがリアルか」を含め、全体的にぼやける感じの描き方はどうにも苦手なんですよね・・・。ただ一つ、親父の人生・価値観は凄く羨ましいものであるというのは間違いなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2015-03-08 01:51:01)
103.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 
また素晴らしい作品に出合った。「人に影響を及ぼすのは常に人である」。そんな内容だ。本作で描かれるのは白人至上主義、人種差別問題であるが、それ自体は表面であり、本質はもっと深いところ、人の深層だ、と言っているように感じた。  現代日本でも、デレクやダニーのような人は身近にいる。主張が正しいとか正しくないとかそういうことではなく、「自分が絶対的に正しい」と信じて突き進む人。この場合問題なのは本人の中では理屈が成り立ってしまっていることと、それ故に方向転換が非常に効き辛いということだ。故に、発想は「周りが間違っている」であり、そこから自力だけでベクトルを移すのは容易ではない。とすると、つまるところ、自分もデレクやダニーと同じということを否定しきれない。デレクの場合は刑務所という強制力によってベクトルをずらすことに成功したけれど、特殊事例だ。つまり、逆に大多数の人はそれに気付けないことになる・・・。  ラストシーンで黒人が白人を射殺する描写は、いわゆる「黒人だって同じ人間なんだ」「人類皆友達なんだ」という、ありがちなある意味上から目線なテーマを退けている。黒人かどうかなど関係なく、結局重要なのは「人との相互作用による変化だ」と言っているように思える。まあ相互作用による良変化の結果行き着く先は、「人類皆友達」なのかもしれないけど。とにかく、シーツのシーンに集約されるように、荒っぽく(本作でいう「怒り」)だけじゃなく柔らかさをもって接しよ、というのがこの映画の主張なのだと思う。  本作では、白人主義や人種差別という、「潜在的自分主義」が最も顕著に表面化される(映像化し易い)イベントを描き、同時に人が人に影響を及ぼす過程を綿密に描くことで、入り込みやすく、考えさせられる作品に仕上がっていると思う。時にプライドを捨てて、納得できなくても他人の意見に耳を貸すこと。わかっていても、これが中々に難しいんですよね。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-07 03:24:36)
104.  ミッドナイト・ラン 《ネタバレ》 
いやー非常に面白い。ロードムービーといっても、「スケアクロウ」や「レインマン」、「パーフェクトワールド」等とは全然違い、エンターテインメント性がかなり強いですね。渋みや哀愁、郷愁などはほぼ皆無で、どちらかといえば「天使にラブソングを」の屋外版といったほうがしっくりきます。小気味良い会話、シリアスな場面なのに軽快なBGM、そして何より、おっちゃんなのに愛らしいそれぞれのキャラクターが私にはストライクでした。  賞金稼ぎの主人公とそのターゲット、マフィア御一行、FBIの皆様、同業の賞金稼ぎ、それと金貸し屋。この5グループが互いに関連しあいながらドタバタと絡み合い展開されるストーリー。常に目が離せない展開。ちょっとした笑いや決め台詞もきっちり決めて、また見たいなあと思わせるような素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-05 23:28:49)(良:1票)
105.  フォックスキャッチャー 《ネタバレ》 
「面白い映画」というより「良い映画」ですね。終始言葉少ないしっとりと落ち着いた雰囲気で、ちょいちょい強すぎないアクセントが入る。いかにも伝記ものという感じの大人向け作品です。  レスリングを題材としていますが、戦略を練ってチームの皆で力を合わせて勝利!とかいうものでは全くなく、主役級3人による人間ドラマが9割です。よって、レスリングのルールが全くわからなくても無問題です。   マーク、デイヴ、デュポンの3人はレスリングを通して繋がる。それは互いにとって有益なものとなるはずが、心のすれ違いによって真逆の結果を生む。世界一を望むマーク、家族(マーク含む)の幸せを願うデイヴ、自分の居場所を見出したいデュポン・・・その全てが叶わない悲劇。もしそれぞれがもうちょっと上手く関連しあえれば、きっと最強のチームになっていただろうし、全員が幸せになれたのでしょう。なんともやるせないというか、もの悲しい結末です。
[映画館(字幕)] 7点(2015-03-02 16:15:16)
106.  シャイン 《ネタバレ》 
後半はやや冗長(というか見ていて切ない)な感あり。あとピアノが上手いかどうか自体は全くわからん。しかし素晴らしい。私の中では傑作です。  親父は尽きるところ全て「自分のため」なんですね。そこに親子愛が絡んで複雑になる。要は自分は環境が悪く力を発揮できなかったんだ。だから息子には自分ができなかったことのリベンジをさせたい。そしてそんな息子を育て上げたのは俺だ。俺は凄い!という思考。だから自分の手を離れるのを極端に嫌い、最高難度とされるラフマニノフを弾かせたがる。その一方で、デイヴィットには親として離れてほしくないし、かといって純粋に腕を上げてほしいし、デイヴィット自らがラフマニノフの練習をしている(ピアノを好きになってくれている)のがすごく嬉しい、という側面もある。ここら辺のごちゃ混ぜ感が面白い、上手いと感じたポイントです。  親父はどちらかというと「自分が全て」なのに対してデイヴィットは「自分を押し殺している」という対比。そんな両者を繋いでいる絆的なものがピアノであるし、ただ繋ぎとめているだけではなく両者ともに「好きだから極めたい」と思っているのもまたピアノであると言える。ピアノは互いを距離を縮める要因となる一方で、互いを引き離す要因ともなっているのがあまりにも切ない。  デイヴィットがラフマニノフの3番を弾き終わったときの親父の涙は、「自分が成し得なかった“最高難度”の攻略」「自分の元を離れて正解だったという思いと寂しさ」「立派になった息子の成長が見れた嬉しさ」あるいは「息子への嫉妬」という全ての感情が入り混じった涙であり、故に、最高のシーンだったかと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2015-02-20 05:03:44)
107.  レインマン 《ネタバレ》 
チャーリーの心情が変化する折り返しポイントがハッキリとわかる箇所があり、そこで一気にぐぐっと入り込めるか否かで評価がわかれそうな本作。私は入り込めなかった。それは描写の影響が大きかったと思う。兄が病院に入ったのは自分のためである。自分が心の友達と思っていたのは兄のことだった。それでチャーリーの心情が動くのはわかる。けどその他の部分が尺的にかなりの部分を占めていて、要は「もしレイモンドが300万ドルの遺産を受け継いでいなくても同じ結果になったか」「もしレイモンドに特異な才能が無くても同じ結果になったか」「もしラスベガスで大敗を喫していても同じ結果になったか」という部分にどうしても目が行ってしまう。もちろんそれらはただのきっかけに過ぎないし、こういう描写のほうがリアルなのだけれど、私が入り込めなかった理由としてかなり大きい影響があった。チャーリーの心情が変化する理由として、「事実を知った」「自分でも無意識のうちに兄への思いがあった」以外にあと一つ、あるいはどちらかの描写的な掘り下げがもう少し深ければガラッと印象が変わっていたのではないかと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2015-02-20 01:53:04)
108.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
子どもの成長物語+才能を持つ者にしかできないことをやりなさい論。そして優秀なメンター達が影で支える。さながら少年漫画のような作品だな~というのが見ながらにして思った感想です。が、テーマ的に仕方ないのですが、線を越えるまでが長すぎる・・・しかもただの子どもじゃなくて見た目大人っぽいもんだから、数々の言動にどうしてもイラッときてしまう。さらに別に好きにさせとけば良いじゃん、と思ってしまうのは、自分がまだ子どもだからなのでしょう。もしいつか私が子どもの成長を見届けた親になる時が来たら、きっと今とは違って見える。そんな作品なのでしょう。
[DVD(字幕)] 5点(2015-02-17 23:43:28)
109.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
「なんかすげえ良い」が一番しっくりくる表現。言葉で言い表すのが難しい。「案山子とはカラスを笑わせるもの」「案山子とはカラスを恐れさせるもの」というのがまさに主役の二人。その二人がそれぞれ怒ることを知り、ユーモアを知る・・・あのお店のシーンはすんごい好きです。この場合は成長というより変化のほうが合ってる気がする。もう良い歳した大人二人。それまでの人生があるから性格は凝り固まっちゃって容易には変わらない。しかし、ふとした出会いからわずかな変化は訪れる。良い映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2015-02-16 23:58:42)(良:1票)
110.  パッチ・アダムス
いや凄い。これが実話というんだから凄い。事実は小説より奇なりじゃないが、ありがちな医学もの作品よりもよっぽど「え!ほんとに!?」の連続だった。  素人ながらに、医学は科学の結晶、つまりこうだからこうという理屈・論理の積み重ねで成り立っているというイメージがあります。人の生命に直接関わる分野だから、常に客観性に基づいて判断、処置するのが平等と言える。故に、学部長の言いたいことも良くわかります。と、そこに論理という根本を破壊した切り口から侵入を試みるパッチ・アダムス。いや、彼の中では理屈立っているのでしょうが・・・。それにしても凄すぎます。思ったって行動に移せるものではないし、やろうとしたってできることじゃないでしょう。医学そのものにある意味喧嘩を売る彼の発想は、賛否両論あって然るべきだと思います。  生活の質、「QOLの向上」をよく耳にする昨今、それに専心することが正しいことなのかどうかも含めて、ぜひプロの医療従事者の方に見ていただき、感想を聞いてみたくなりました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-02-16 21:19:21)
111.  96時間 リベンジ 《ネタバレ》 
取り立ててつまらないわけではなく、取り立てて面白い!となるわけでもない。至って普通のアクション映画という印象です。前作は「有無を言わさぬ親父無双」が堪能できましたが、本作はそれが薄まってしまっている。娘の助けを借りたり、敵に生きるか死ぬかの選択肢を与えたり。映画としてはそっちがベタなんでしょうが、「96時間」に期待したのは「無双」と「無慈悲」なんですよね笑。その点、ほんとに「普通」という言葉しか出てこない本作でした。
[DVD(字幕)] 6点(2015-02-15 21:37:25)(良:1票)
112.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
面白かったです。が、何回か見直す必要がありそう・・・。  こういうタイムループ系の作品は、①設定を理解し②その上で矛盾ないし不自然な点がないか、というところが面白さに直結すると思います。特に、本作のような終始シリアスな作品は、条件設定にツッコミどころがあれば全てが台無しになる、というリスクがかなり高いと思います。その点、「時をかける少女」よりも「デスノート」に近い感覚を覚えました。  アルファが殺されればオメガが時間をループさせる、アルファの体液を浴びる(取り込む?)とタイムループできるようになる、いう設定は、相当に重要なポイントな気がします。オメガからすれば自分を守るためには目となり矛となり、ループの条件になるアルファが必要だけど、もし人間がアルファの体液を浴びるようなことがあればループ人間が誕生してしまう・・・。上陸作戦が先読みされていたことからも、ギタイはループしている=アルファが殺されているわけで、そんなことを繰り返していたらどの道いつかはループ人間がゴリゴリ誕生していたのでは、とか思ったり。あと主人公視点で、自分ひとりで何とかするんじゃなくアルファの体液を他の仲間にも浴びさせることを目的としてみるのも面白いのでは?とか思ったり。  本作で違和感を感じたのは、車からヘリの一連のシーン。タイムループ系の作品でやっちゃいけないのは、「ループ能力の持ち主(主人公)が私利私欲に走る」ことだと思います。実際に行動しなくても、匂わせた時点でアウトなタブーのレベル。で、ヘリのシーンではそれが垣間見えてしまったんですよね。「リタから見たら私利私欲に見えるが、主人公は本当に心からリタを助けたかった」とは言い切れない違和感・・・。わざわざあんな状況になってる時点で非合理な印象を受けます。それ故に逆に「ミドルネームはローズ」は上手いですね。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-15 00:14:24)
113.  最後の酋長
 タイトル的にインディアンの勇士を謳う作品か、歴史を淡々と描く作品か、対立を描き結局はアメリカ万歳!となる作品かのどれかかと思いましたが、いずれもイマイチしっくりこず。むしろ単純に、人間ドラマ・人間の熱さで魅せる作品かと思います。  フロリダはセミノール族が描かれますが、本作で特徴的なのは少尉の主人公とセミノール族の族長が親友であり、両者を取り持つのがヒロインという人間関係。プラスしてお馴染みの主人公と上官との意見的対立が加わります。それぞれのキャラクターが気持ちを吐露するシーンが多く、ジョン・フォード作品のような「この人の立場ならこう考える」という描きっぷりを堪能するところに本作の面白さがあると思います。  ただ難点はストーリー展開・演出ともにシンプルすぎて、この後どうなる、というのが読みやすすぎるところ。そこに目を瞑れば、私としては割と好きな作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-08 21:50:31)
114.  ビリー・ザ・キッド(1930)
当たり前ですが、さすがに1930年モノとなると現代との感覚の違いや細部の大雑把さの度合いが大きく、馴染めないという点で私にとって大きく影響してしまった。笑いの感覚が合わないのは痛い。ストーリー面でも、基本的にビリーが感情にまかせ突っ走り、独断で判断し、結果関係者が死ぬと怒りあるいは涙し、さらに綺麗にまとまってる風になるというのはどうなのか・・・納得できない部分があります。あと急展開も多し。対してビリーとギャレットの関係の描き方は良かった。状況は深刻なのに互いのさりげない会話が友達だなぁと思わせられてほっこりしますね。
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-01 03:50:18)
115.  征服されざる西部
主人公が全く好きになれない系西部劇。主人公にとっての敵を倒し美女とくっつくという定番の流れでこれほどまでに胸糞悪さを感じたのは初めて。  戦争に負け戦地から帰還したら町は様変わり。あれだけの思いをしたのにいざ帰ってきたら自分は置いてきぼりで居場所がないように感じる。待っていたのは借金を抱えた牧場生活。そんな生活は嫌だ!と野心に燃え家を飛び出す主人公・・・。いや気持ちはわかる、わかるんだけど、その方法論が大間違いでは意味がない。結局のところ冒頭の父親の「金で土地は肥えない。金儲けは偽りの成功だ」という台詞に集約されてますね。  作品全体として終始モヤッとした感じが拭えませんが、そこが味となっていて中々に面白い。主人公の成功と勧善懲悪を軸に据えた西部劇作品たちの中であえて負の側面に焦点を当てた作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-01 03:48:38)
116.  カリフォルニア 《ネタバレ》 
面白いですね。特に台詞回しが良い。お互いの煽り合い含む1対1での小気味良い言葉の応酬がそのまま面白い。オシャレな台詞あり、遠まわしの嫌味あり、ちょっとした笑いあり。中でもファビアンのおっちゃんの「男は危険に身を隠さない」という台詞、しれっと言っちゃってますがかなりカッコ良いです。危険に身を隠さないことが正しいかどうかはどうでもよく、西部劇の主人公達は確かに皆危険に身を隠してないですもんね。また、この作品のポイントである怖さに打ち勝つという点とも一致していて二重に美味しい。本作の登場人物達はそれぞれに過去の恐怖と戦っていますが、最後まで打ち勝てなかったのは悪玉だけです。  展開的には幌馬車隊、カリフォルニアの金、汚い奴らに牛耳られた町、強権力vs民衆、強気の女との恋愛、カリフォルニア独立か合衆国参入か、と小さなものから大きなものまでありがち含め様々な要素があり、前段の台詞の面白さと相まって飽きさせません。むしろ97分の中で綺麗にまとまっていると思います。主人公は当然の如く合衆国参入派、最後は銃で決着とかは様式美。好きな作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-21 07:15:23)
117.  遠い国 《ネタバレ》 
パッケージによればジェフ(ジェームズ・スチュワート)は「人間嫌い」とされていますが、「人間不信」のほうがしっくりきます。自分以外は誰がどうなろうと知ったこっちゃない。他人を信じる必要もない。誰かを信じれば裏切られた時に余計に辛くなるから。それがジェフの発想です。正直最初はジェフのことを全く好きになれない。自分勝手で他人の言うことに耳を貸さず、いらぬ衝突を生みまくる。で、本作はそんなジェフが成長していく様を描いた映画・・・かといったらそうではないでしょう。他人を信じる心を「思い出していく」というのが正確か。ジェフが自分の殻に籠りまくったのは過去女に裏切られたからだし、何より開幕から閉幕までず~っとベンから貰った鈴をつけてますからね。殻に籠っているだけで、心の底の底から「自分が良ければ他人はどうでもいい」と思っているわけではない。そこがジェフとギャノンの違いでしょう。  また、自分一人のことを考えたらジェフの発想も完全に間違っているとは言い難いところが面白いところで、要は「自分良ければ全て良し」ならジェフの考え方になるわけですが、自分を貫き他人を蔑ろにすると結局最後は自分に返ってきて自分が悲しむ(=「自分良ければ」になってない)ことになる、という矛盾があります。本作ではベンの「友情は金では買えん」といった台詞やレネーらの無償の人助けに触れることで少しず~つ人間らしさを取り戻すジェフが描かれます。こういうの、非常に好きです。まあキャッスルの言うように何の根拠もなく人を信じることなど「バカなこと」なのかもしれませんが、だってそれはほら、人間だもの。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-21 07:14:20)(良:1票)
118.  西部の二国旗 《ネタバレ》 
北軍に捕虜にされた南軍兵が北軍に加わりインディアンと戦うことを条件に恩赦を受け、収容所を出、北のヘンリー少佐管轄の駐屯地に入る、という騎兵隊もの西部劇です。  主人公は南軍兵であり、駐屯地内部で北軍vs南軍のいがみ合いが起こるんだろうなぁということは容易に想像できるわけですが、その実、真の敵は北軍でも南軍でもなくインディアン(反逆者)だ!立場は違えど、我々は同じアメリカ人だ!という描かれ方がなされています。そう考えるとオイオイって感じですが、中~後半までの人間ドラマやそれぞれの登場人物の熱さは割と嫌いではない。結論がああだったのはもはや伝統芸と言うべきか。  本作を見ていてふと思ったのが、「インディアン」を「エイリアン」に置き換えるとまんま現代にも通用する映画になる気がするという点。将来エイリアンとの交流ができて「人権」ないし「生物権」だか何だかができた際には今の価値観にも物言いがつくんでしょうか。そんなことをしみじみと考えつつ、単純な初見の感想で7点を献上致します。
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-21 07:12:33)
119.  ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 《ネタバレ》 
コメディ色強し!真面目に見て損した・・・笑  細かい沢山の点を最初に撒き、それをこれでもかと繋げまくるのが面白い。特にやられた!と思ったのは女の子がぬうっと起きてきた例のシーン。確かに忘れてた・・・。えっ!?と思って巻き戻して見たら確かに最初からそこにいるし・・・なんという擬態・・・笑  しかし全体としては、そもそもこの作品を取り巻く殺伐とした暗めの雰囲気がイマイチ合わず。マフィアとか犯罪ものには仕方ないことなれど、やはりどうしても点数に影響してしまう。  あと見ながら思ったのは、若々しい作品だな~ということ。ノリにまかせて突っ走るところ、ロック?なBGMをガンガン入れてくるところ、渋みが皆無なところ、等々。残酷描写の残酷さとか稼いだ金の使い方にしてもそうですね。おかげで、「バイオレンスながらもコメディ」という不思議な印象を受けました。
[DVD(字幕)] 5点(2014-12-14 23:03:17)(良:1票)
120.  ジャッカルの日
 個人的に、大好き。映画的なエンタメ性、笑いあり涙ありドラマティックな展開あり、という作品ではなく、常に地味に、常に渋く、常にプロvsプロの仕事っぷりを描く。ただそれだけ。ただそれだけなストイックな作品。ただ、ここまで丁寧に描写されれば文句がありません。   構図としては暗殺のプロvs暗殺を阻止するプロというただそれだけ。ただし、その描写がそれぞれ深く細かい。「暗殺者」なんていうステータスを持ったキャラクターなんて、映画はおろか漫画でもごまんといます。「暗殺者」という肩書を付けるだけでなんか凄そうに見える。  しかし、本当の暗殺者というものを、それが真実か否かは別にして、ここまで説得力を持たせた作品を私は知りません。   キャラクターの深掘りをしないからこそ、「それでも実は愛を求めた」とか「最後に大事なのは人間同士のつながりだ」とかいうテーマが存在しません。本当にただシンプルに、プロvsプロの手順部分を見せる。ただそれだけ。   しかしそれが面白い。1つ1つの手順とか展開に見入らされる。これほどストイックな作品にも関わらず、時間の長さを感じさせません。  数年ぶりに見返しましたが、やはり数年後にまた見るでしょう。そういう作品でした。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-14 17:26:03)(良:1票)
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