101. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
IMAXで見ました。序盤の砂嵐の場面は画面の大きさと音響のおかげで作品世界への没入感がすごかったです。ただそれ以降は迫力があるアクションシーンでもIMAX環境が最大限活かされているとは思えませんでした。クリップやライターのような小道具の伏線としての使い方はうまいです。キャストはパリス役のポム・クレメンティエフが最高ですね、彼女が完全に美味しいところを持って行ってます。しかしとにかく長い…。単に上映時間が長いというだけでなく一つ一つのアクションシーンもやたら長く延々と続くので始まりはワクワクしますが段々とダレてきていつ終わるのかという気分になってきます。ストーリーは現代的なテーマとしてAIの支配に対抗する人間を描いているように見せかけて全部それっぽい雰囲気だけで実態はただトム・クルーズがモテモテで終始美女に囲まれているだけの内容のような気もします。まあそれでも人間同士の信頼関係の重要さを中心に据えたドラマは一応見てよかったと思わせるだけのものはあります。 [映画館(字幕)] 6点(2023-07-28 23:24:07)(良:1票) |
102. 特捜部Q 檻の中の女
北欧ミステリーに関してはほとんど知識がないのですがこれを見る限り日本やアメリカの刑事ものとそこまで印象が変わらないですね。例の中華テイクアウトまで出てきたのには笑っちゃいました。特別なテーマを扱っているわけでもなく捻った展開もありません。相棒だった刑事が負傷し、そこから代わりに若手と組む冒頭の展開から既視感しかなく面白味がないです。ただ主人公が陰気な一方アラブ人の相棒が陽気な性格というのは今まで見たことのないパターンでちょっとは新鮮味がありました、こういうのは逆のパターンが多い気がします。加圧室の中での監禁というシチュエーションもあまりリアリティが感じられず真面目な物語として見るのが難しかったです。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-07-27 22:28:01) |
103. サイコ・ゴアマン
しょーもない内容なのはわかりきっていましたが、まあやっぱりしょーもない映画です。確かに懐かしさも感じさせるおどろおどろしいパッケージには惹かれますが、本編はアクションはろくにないし特殊メイクもCGも大したことないので全然見応えはないです。80年代の低予算特撮へのオマージュなわけですが、くだらない安っぽいとされるそれらの作品の中には良質とされる人間ドラマではあまり触れられることのない文明批判や環境問題をテーマに据えた光る内容を持ったものもあります。安易にビジュアルイメージやチープな演出を真似るだけでなくそういう要素を拾い出そうとするのが本当の愛やリスペクトではないでしょうか。まあ今時それができる人間は権威ある賞からもまともに評価されるのでしょうけど。安っぽくとも真剣さが感じられない作品に真面目に付き合う気にはなれません。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-07-26 23:49:02) |
104. RRR
インド映画のSFX・VFXのレベルはだいぶ上がってますね。虎のCGがよくできてるな、あっこの列車の落下シーンはミニチュアを使っているな、そういうところばかり見てました。そういうところばかり見てしまうのはそこ以外の部分が退屈だったからです。息もつかせぬノンストップアクションみたいなものを想像していたのですが意外と普通の映画と変わらず3時間もの長尺で見せ場のシーンまでだらだら展開するので拍子抜けしてしまいました。ダンスシーンがもっとあると思っていたら本編では有名なナートゥのシーンだけですし、しかもその肝心のナートゥが実際にある伝統的な踊りではなくこの映画のために捏造されたものでしかないというのもげんなりしてきます。ジェニーも善良な英国人というより人格のない都合の良い女という感じで不快感があります。この映画が称揚するヒンドゥーナショナリズムの攻撃対象になるのはイギリス植民地主義だけでなくインドのイスラム教徒のようなマイノリティもそうなり得るというのは頭に入れておくべきでしょう。 [DVD(字幕)] 2点(2023-07-25 23:52:10) |
105. 仁義なき戦い
序盤の戦後の闇市の様子の再現は良いです。山守親分はこういうタイプの親父いるなあと思いますし、個々の台詞やキャラクターのインパクトはあります。しかしこの映画は正直音楽が酷いと思います。殺人シーンに毎度例の曲が流れるのはほとんどギャグみたいな演出です。また本来は粗製濫造されたプログラムピクチャーの一本に過ぎないので撮影も美術もチープと言わざるを得ません。それが戦後日本の貧しさと猥雑さを表現できていると言えなくもないのですが、役者のアップを多用したカメラで誤魔化しているのも苦しいところです。脚本もこれで良いのでしょうか、事実をベースにしているとはいえ登場人物の出番をうまく整理できていないように感じます。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいですが、気がついたら人物が仲良くなっていたり死んでいたりするのでこっちの感情の持って行き場がありません。海外ではこの映画の評価は必ずしも高くなく国内と異なり日本映画の代表作とは認識されていません。それはやはり描かれる世界の狭さと劇映画としての完成度の低さが原因だと思います。 [インターネット(邦画)] 5点(2023-07-24 23:07:09) |
106. 母性
人物の心情と作品のテーマを全部モノローグと台詞で説明してしまう、典型的なダメな小説の映像化作品という感じです。いい歳してここまで母親に依存する人間とか存在するのか…そう思ってしまう序盤は嘘くさく感じて全然乗れませんでしたが、娘の視点から語られるエピソードに入ってからはある程度リアリティも増し結構楽しめました。それでも性格に問題のある人間の博覧会を眺めるようなあまりよろしくない楽しみ方ではありますが(笑)。戦時下でもないのに火垂るの墓みたいな展開になっちゃうのは笑っちゃいました。ただやはり複数視点から物語を語ることができるのは映画という表現の強みだと思います。ラストはステレオタイプを批判しているようでステレオタイプに収まってしまったような居心地の悪さを感じます。これは映画だけでなく原作の方にも問題がありそうですがあまり確認する気にもなれません。 [DVD(邦画)] 3点(2023-07-23 21:49:47) |
107. ALIVEHOON アライブフーン
去年の一時期イオンシネマに行った際に予告をよく見かけた謎の映画でした。イオンエンターテイメントはたまに漫画原作や人気俳優を使ったような売れ線とはまた違う映画を配給しているところは好印象ではありますが、かといってそういう作品が必ずしも質を伴ったものでもないのは歯がゆいところですね。内容は車好きのおじさんのための映画という感じでそれ以外の人間が楽しむのは難しいと思います。登場人物もステレオタイプの域を出ずドラマは退屈です。CGなしと言っても走行シーンだとカメラの性能が落ちるのかところどころ画質が悪くなっているところがあります。良かったのは中盤のペットボトルを使った訓練のシーンと一部の空撮ぐらいでしょうか。こういうところでIMAXカメラを使用してみせるような挑戦をしないと日本映画はその限界を打ち破ることはできないでしょう。 [DVD(邦画)] 3点(2023-07-22 22:29:18) |
108. ファイナル・デスティネーション
2000年と比較的新しい方の作品にはなるのでしょうが、この時代でも既に映像のルックというのは古びている感じがしますね。事故時の飛行機の内部のシーン等は普通にセットに見えてしまいます。死は日常のすぐそばにあることを気づかせるというアイデアは興味深いものです。序盤の飛行機事故から追悼式の場面まではその辺りを作品のテーマとして掘り下げることができるかと思わせてくれるのですが、結局それ以降は面白殺人ピタゴラスイッチ部分ばかり凝っているのが残念ですね。飛行機での旅行中に事故に遭うかもしれないという恐怖は多くの人間が経験し得ることですが、そこから死の運命に翻弄されるなんて現実とは何の関係もないので身に迫る恐怖に欠けているのがコメディのようにも見えてしまう要因です。編集のテンポはいいので気楽に見る分には悪くないです。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-07-21 23:17:39) |
109. 子猫物語
興行収入98億、配給収入54億の大ヒット作でありながらある種の異様さを漂わせる作品でどうせくだらない映画だろうと侮っていたのですが、これが意外と楽しめましたね。全く人間が画面に映らないのはこれはこれでプリミティブな映画体験で貴重です。坂本龍一が音楽を担当しているからどうしたという感じではありますが(笑)。美しく雄大な自然の中での動物たちの冒険劇はジブリアニメのような雰囲気もあって悪くないですよ、そういえば豚も出てきますしね。確かに動物虐待にはなるのでしょうが、もし人間がやっていたらかなり危険なスタントですのでハラハラドキドキする迫力のあるシーンを作れていると思います。そこには映画を面白くするためなら何だってする昔の活動屋精神のようなものを感じますね。種族の違う動物同士が仲良くするシーンもよく撮れたものだと感心します。ドキュメンタリーではなくやらせという点が評価を下げているのでしょうが、演技のできない動物で劇映画を構成するにはかなりの労苦があったでしょうしむしろその点を評価してもいいのではないでしょうか。まあ実は心温まるファミリー向け映画というよりグァルティエロ・ヤコペッティのような作家と並べて語るべき作品なのかもしれません。 [DVD(邦画)] 6点(2023-07-20 23:58:49) |
110. ビリディアナ
この程度の作品が上映禁止となるとは随分素朴な時代だったのだなあという感じです。主人公はキリスト教精神を体現しようと最後までがんばりますので現代の視点からだととてもじゃないが冒涜的だとは思えません。主演女優が美人で脚や胸をちょっと見せるシーンがある程度ですのでそういうのを期待しても無駄です。セックスも暗喩でしか表現されません。宗教画へのオマージュも現代のキリスト教をファッションとしてしか利用しない作品の方がよほど宗教を軽視した態度だと言えます。ルイス・ブニュエル監督の作品としては過激さもシュールさも後の作品の方が優れています。キリスト教を馬鹿にしているというより貧乏人を馬鹿にしているような話になっているのもいかがなものでしょう。 [DVD(字幕)] 4点(2023-07-19 21:27:08) |
111. 学校の怪談
この頃からセブンイレブンってあったんですね。有名なシリーズなのでなんとなく見た気になってたのですが、記憶に残っているシーンが全くありませんでした。実は一度も見たことがなかったのか、あるいはそれだけ印象が薄い作品でしかなかったのか。平山秀幸も奥寺佐渡子も大人向けドラマもイケる人材なのに深いテーマや学校や家庭のドラマが描かれるわけでもなく、登場人物にこれといった目標もなく脈絡も統一感もない妖怪が出てくるだけの単純な内容です。セミの鳴き声や古い校舎がノスタルジーを刺激しなくもないのですが、今更90年代の作品を子供の視点を想定して評価しても仕方ないので素直につまんないと言っておきます。しかしこういう最低限映画の雰囲気が作り込まれた子供向けの実写作品は今でも作られてほしいとは思います、悲しいことに需要はないのでしょうけど…。 [DVD(邦画)] 4点(2023-07-18 23:09:52) |
112. Mommy/マミー
一応管理社会のような設定が冒頭で示されますが、描かれるのは何ら特別でない現代社会のようで設定にほとんど意味がないどころか却って物語が陳腐で嘘くさくなっているように感じます。個人の視野の狭い世界を描くという体で社会の方へ目を向けることを放棄しているようにも思えます。1:1のアスペクト比はスマホ画面というより西洋の肖像画に近く、かっちりした美しい構図を生み出しているとは言えるでしょう。しかしいざそのアスペクト比が横に広がり通常のビスタサイズになってしまうとそれは解放感というよりもむしろ通常の映画と変わらない平凡で退屈な画面という印象を受けてしまいます。彼らの望む幸せ自体が平凡なものでしかないという皮肉なのかと勘ぐりたくもなります。スーサイド・スクワッドみたいな妄想シーンがあるのには苦笑いです。ミュージックビデオ風の演出もいかにも通俗的で特筆すべき内容のある映画だとは思えませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2023-07-17 18:06:57) |
113. BROTHER
久石譲の音楽は他の北野武監督の作品では情緒性の強さがミスマッチで好きではないのですが、この映画では感傷性が比較的抑えられたジャズ調の音楽がハードボイルドな雰囲気に合ってていいですね。あくまで劇中のヤクザは理想化されたおとぎ話でしかないにせよ文化や血縁を超えた絆が描かれるのでこれは良いおとぎ話だと思います。いつもの遊びのシーンもこの映画では異文化交流としての意味合いが付与されています。どんなに成り上がったところで根底にあるのは子供の頃の貧乏だった時期への郷愁なのも良いです。…と考えたところで気づいたんですがこれって結局スカーフェイスの二番煎じではあるんですよね、そこは減点要素です。それでも娯楽性と作家性の両立という点ではアウトレイジシリーズよりも上手くいっていると思います。 [DVD(邦画)] 6点(2023-07-16 20:22:00)(良:1票) |
114. TITANE/チタン
さすがに賞を受賞しただけあって撮影や演技はちゃんとしていますし、最低限読み取りが可能なストーリーもあります。問題はそれが現実の問題と何か関係があると思えないところです。主人公は冒頭の幼少時から車中でエンジン音のような唸り声をあげており既に車に狂っているようなのであの手術が何かのきっかけになったように見えません。実際頭の中にチタンを埋め込んだところで性の対象が変化することなどあり得ないでしょう。男だろうとレズビアンだろうと黒人だろうと構わず殺しまくるのでその行動に一貫性はなく何か意味を読み取ろうとしても無駄だと思えてしまいます。消防隊関係のエピソードとなるとあくまで男装の女性の境遇が描かれるだけで、チタンが埋め込まれたことによる肉体変化という基本設定もほとんど活かされていません。アンチモラルというだけで新しいモラルを提示できなければそれが一瞬のインパクトだけで終わってしまうという好例です。 [DVD(字幕)] 4点(2023-07-15 23:26:04)(良:1票) |
115. おとなのけんか
80分でサクっと見られそうという動機で見たのでそれ以上のものを求めても仕方ないのですが、全く面白くないということはないものの本当にサクッと見れる程度のあっさりした内容でしかなく深みはないですね。世間体を気にしているが一皮剥けばエゴ丸出しの俗物、雑学的知識だけ豊富で薄っぺらい現代人を描いているといえばその通りですがこの映画自体がそうした表層的な人間観しか持てていない印象を受けてしまいます。この頃からゲロを吐けば熱演と評価されていたんでしょうか、いくらなんでも成人女性があんなにあっさり嘔吐するのは不自然だと思います。ちゃんと相手に頭を下げればそれで終わる話なのに…喧嘩させるために作られた舞台設定という感じで全て徒労ですのでこっちの人生まで無駄にしたような感覚になります。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-07-14 23:09:29)(良:1票) |
116. 白い牛のバラッド
いま世界で最も人間を厳しく描くことができているのはイラン映画でしょう。経済的にも言論的にも自由度は高くないはずなのに伝統文化と現代社会の問題を巧みに絡み合わせこれだけドラマチックな物語を作れるのは驚異的です。もっともそれはイランの外側から見た場合であって内側では意外と活発に映画産業と言論が育っていることが反映されているかもしれません。劇中でも子どもが映画館に行きたがる場面があり、それはある程度イランのポジティブな現状を反映していると思われます。台詞と音楽は最低限まで切り詰められ、絵画的で象徴的なショットが何度も挿入されます。しかし必ずしも難解な内容ではなく、死刑制度が死刑囚とその親族だけではなく死刑を実行した側の人間にも傷を与えていることを両者の視点から丁寧に描いています。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-07-13 23:08:48) |
117. ライダーズ・オブ・ジャスティス
本国デンマークではこういう作品がクリスマスに家族で見る映画だったりするのでしょうか。思い込みが強く、しかもそれを実行する力があると大ごとになって大変というお話です。ミステリー調の復讐劇と見せかけてひとひねりある展開で人間ドラマも丁寧に描こうとはしてるのですが、マッツ・ミケルセンが最後まで強すぎな上ギャング連中はやっぱりただの悪党ではあるので最終的にはどっちつかずの中途半端な内容になってしまっています。全体としてブラックコメディの比重が強すぎてリアリティが欠如した場面も散見されますのでシリアスなお話として見るのも難しいところです。ただアイデアもキャラクターも独創的な部分はありますのでそのうち続編かハリウッドリメイクが決まったりしてもおかしくない出来だとは思います。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-07-12 23:57:41) |
118. 特別な一日
古臭い不倫ドラマかなーと思って見ていたらあーそういうオチなんですね。これはむしろ現代の視点で見た方がより高く評価されるタイプの作品だと思います。単にファシズムによる弾圧という範囲を超えた男らしさや女らしさにまつわる抑圧がテーマとなっているからです。二人の個人的な出会いと対比させるためとはいえラジオのプロパガンダ放送が序盤からずっと流される演出にはちょっと単調さも感じてしまいました。冒頭5分近くも記録映像を見せる必要性もあまり感じません。舞台のもぬけの殻となった街の光景はヒッチコックの裏窓も想起させるところもあり単純にワクワクするものがありますね。何かが変わってしまったが変わらない日常を生きていくしかない、余韻を残すラストも素敵です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-07-11 23:04:23) |
119. ひろしま(1953)
実際見てみると言うほど反米という印象は受けませんでした。直接米国への怒りを表明するようなシーンがあるわけでもなくどちらかというと被爆者の苦しみに寄り添うことに比重が置かれていると思います。今までほとんど封印作品のように扱われてきたのは不思議に思えますが、時代の経過のおかげである程度相対化して見られるというのもあるのでしょうね。大きく三つのパートに分かれている構成で、序盤は戦後の広島の学校が舞台となりこのパートは教育や地元紹介目的のビデオのような演出です。中盤は原爆投下前後の広島の様子の再現です。ここが一番時間も長く製作費もかけられた部分でしょうが、今見ると時代の制約上致し方ないのですが絵の具を塗りたくっただけのような特殊メイクには真実に迫った力があるとは言い難いです。そして終盤は戦後の焼野原となった後の広島で生きる子どもたちの姿が描かれます。これが今見ると一番新鮮で、ハングリーとも呼ばれる原爆孤児たちや島から脱走をはかる子どもたちの姿がまるではだしのゲンのようで面白いです。この終盤のエピソードを膨らませて一本の映画としたら面白そうですが、やはり今でははだしのゲンの影響力の方が大きすぎてそちらで十分ではありますね。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-07-10 23:40:54) |
120. 千年女優
今敏監督って海外で高く評価されていると言っても影響を受けたという監督の筆頭がダーレン・アロノフスキーですからねえ。人間よりも技法への興味ばかり突出していると高い評価になるんでしょうか。この映画も昔の日本映画のワンシーンを再現してみたいというぐらいしか創作のモチベーションがなかったとしか思えません。浮世絵を連想させる絵柄のシーンがあるのも安易な日本の伝統文化の利用でしかありません。最大の問題は当時の日本映画という創作物の無秩序なコラージュではあってもその作品が作られた時代背景を十分に描けていないことです。ここにあるのは昔の華やかな日本映画への憧れだけでその時代に生きた人間の苦悩には目が向けられていません。虚構と現実の狭間を描こうとした結果、この映画は結局現実とは何の関係もない映画になってしまっています。 [DVD(邦画)] 4点(2023-07-09 23:44:42) |