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101.  真夜中のカーボーイ
オープニングでは金持ちの婦人のヒモになるというトンでもない夢を抱えてニューヨークに旅立つという軽い感じで始まり、そこからニューヨクまでのバスで主人公の過去のトラウマが少しずつ明らかになっていく。ニューヨークという都会の中で結局田舎にいた頃と何ら変わっていない自分。食いぶちに困り店頭の”皿洗い募集”のポスターを見るとそこには今の自分の姿が映っている。こういう現実的なシーンに打ちのめされました。しかも主人公はどうやら田舎で自分の彼女悪い仲間にレイプされて関係を続けられなかったり、育ての親に捨てられ堕落した祖母におもちゃの様に育てられいたりしているんですよね。そういった過去を振り切る意味で都会に出てきて人生をやり直そうとしている。そこで現実という壁にぶち当たる。何とも辛い物語です。サギ師の友人も公衆電話の釣り銭をあさったり、かっぱらいをしたりして生活しているどうしようもない人間。しかしいつしか二人には連帯感が生まれ共にフロリダへの夢を目指し生活していく。フロリダへ行ったら全てが変わるとありもしない事に夢を膨らませる。”夢”という虚構を見つづけ、”現実”を見られない若者達の空しさがひしひしと伝わってきました。ラストでカウボーイ姿を捨てる事になった自分の惨めさ、そして衰えいく体を酷使し夢を見たまま死していく悲しさ。しかしホントに悲しいのはやっぱり友を失い、これから一人で現実に立ち向かわなければいけない主人公でしょう。
7点(2002-12-09 01:46:18)
102.  アパートメント(1996)
やっぱ、ローマンヌ・ボーランジェの魅力がこの作品の核でしょう。同じフランス人で言えばクロチルド・クロー、日本ではあの志保美悦子ばりのキリリとした男眉ですが、苦悩しながらも一途な恋に燃える女性の心情を乳を放り出して演じてました。バンサン・カッセルとその友人のクサイ演技にわざとらしいシーン、には少々鼻につきましたがストーリーテリングの上手さとスタイリッシュな映像が十分カバーしてます。注目すべきは物語の所々に出てくる”偶然”と”必然”。友達の恋人に横恋慕したアリスは計画的に自分に振り向かせようとはするものの、運命の流れに度々それを阻止されてしまう。ラストでも友人のリザが昔の恋人と心中させられ邪魔するものが無くなったのに、彼はたまたま空港で居合わせてしまった婚約者の元に結局戻ってしまうという悲しい結末。仕事は放っぽり出すわ、色んな女の間で優柔不断にフラフラするこの主人公のどこが魅力的なんざんしょ。本編終了後は絶対この男会社をクビになってますよね。一回見た後は巻き戻してもう一回見よう、な映画です。
8点(2002-12-09 00:11:01)
103.  ジェラシー(1980)
作り方がホント上手いですね。自殺しようとした女が救急車に運ばれそれを見守る男から始まるオープニングからパズルのように回想シーンとその過程を組み立てていき、中盤から登場する刑事役のハーベイ・カイテルの現場検証という構成。始めは少し戸惑いますが次第に快感にすら思えてくる。前半では奔放な女性に振り回されていた主人公を哀れな犠牲者に見せておいて、後半ではその正体と愛の儚さを少しずつ露にしていく。テレサ・ラッセルが懇願しながら吐く「愛してよ!!」のセリフにはズドーンと重いもののしかかりました。常に今を見つめこの瞬間を生きようとする女、先の事が気になり相手を分析し束縛する事で愛を認識する男。この二人が相容れる事は無く、そして悲しい結末を迎える事ができない。当然この二人が物語の核ですが、H・カイテルはどことなくA・ガーファンクルに対しホモセクシュアルな感情を抱いているようなシーンや二人の過去を楽しんでいるかのようなシーンが挿入され、直接的に関わっていなくても彼を含めた三角関係とも観れます。「白いドレスの女」のような計画的悪女と言うよりは「ベティー・ブルー」のような憎めない感情的悪女がこの作品でしょう。この監督お得意の”振り返りアップ”のカットはハッとさせられてすごく好きです。
8点(2002-12-04 04:12:30)
104.  わたしが美しくなった100の秘密
この作品そこそこ笑えますよ。にこやかで感情的な主人公のキスティン・ダンストもお高くとまる金持ちのお嬢ちゃんのデニース・リチャーズは十分コメディエンヌの素質ばっちり。それ以外のキャラクタも個性的で笑わせてくれる。薄幸な死に顔で参加する前ミスが車椅子にのって点滴しながら踊れば、手話でヘンなバレエを演じる姉ちゃんがいるし、エロっぽいチアガールの奔放振りにも呆れ顔です。ヘタにサスペンスとか人情ドラマにしないでブラックコメディに徹した笑いが良かったですね。主人公が紆余曲折の末全国大会にたどり着くとスポンサーの倒産という強烈なオチ。田舎町の人達のプライドと嫉妬を途切れる事無いギャグでブチ飛ばしてくれました。確かに松田聖子は観てて痛々しいですが、彼女自身このブラックなネタの一つですよ。
6点(2002-12-04 03:49:50)
105.  パリの確率
ちょっと私的には嫌悪感を抱きました。精子がブッ飛んだり、ゲロンパ吐いたり、足元にオシッコかかったり、汚いよ。パッっとしない主人公とその仲間達にも共感は出来ないし恋人役のお姉さんも老けててもう一つ魅力的じゃない。(そのお友達もね)ただジャン・ポール・ベルモント(白髪のロン毛!!)が「パパァ~ン!」と父親(でも年下)に擦り寄ったり、慌てふためいたりするのを観ると応援したくなりますね。納得いかないのはあれだけ物語の中に伏線(J・P・ベルモントを見て「あなた父に似てるの)と女の人の友達が言ったり)や教訓めいた事を散りばめといて何らフォローをしていない所。最終的には恋人の体にムラムラきてエッチしちゃって、終わり良ければ全て良しってのはどうも共感できない。しかも消化不良な謎が多すぎる。例えば主人公を見つめる金髪のカワイ子ちゃんだって物語に前々絡まない割にはちょくちょく出てくるし、未来の世界に繋がってたあの二階の部屋だって繋がったままで終わっちゃうし、未来の世界から現代へやってきた孫だってエッチして何の説明もないままそれで終わり、部屋をブチ壊された兄弟が泣き喚いたりグロッキーになったりあんな長いシーンに何の意味があるのでしょうか?面白い題材ではありますが、それを生かしきれていないのが残念でした。ラストJ・P・ベルモントが砂漠で「ボワンッ!」と消滅しちゃうシーンは悲しく衝撃的で良かったでけどね。
5点(2002-12-04 03:31:47)
106.  白い刻印
淡々とした展開で盛り上がりに欠ける為少し眠くなりましたが、ジェームス・コバーンとニック・ノルディの親子が強烈です。父親の影に怯え、そこから抜け出す事の出来ない子供。父親のようになりたくは無いと思いながらも父親と同じ道を歩んでしまうニック・ノルディの完璧になりきれないヒーロー像。この辺のつくりがすごく上手いですよね。乱暴で身勝手な父親を演じたジェームス・コバーンは嫌悪感を抱いてしまうほどの熱演。その彼から心の鎖を断ち切れずもがくニック・ノルディ。警官と狩りの仕事の両立、分かれた妻と子供の関係、唯一の理解者であるウェイトレスとの新しい恋等何をやっても上手くいかず次第に精神を病んでいく主人公。中年男の心のダークサイドを見事に表現した作品。珍しくまともな弟役を演じたジェームズ・ウッズでしたが物語にはあまり必要がなかったかも。あれが既に死んでいる弟でニック・ノルディの妄想だったらもっと面白かったんじゃないかなぁ。例えば毎晩愚痴ってた電話も、弟にかけてるつもりが全く関係のない所にかけていて電話の向こうでは「いたずら電話はやめてよ!」って言われてても本人は気にせず話を続けて...な事だったら、ゾッとしますよ。子供が家から出て早々父親の態度に気を悪くして「おうちに帰りたい...」って毎回はくセリフには笑えました。
6点(2002-12-04 02:26:38)(良:1票)
107.  カッコーの巣の上で
自由の尊厳とは何か?規則を重んじる精神病院に一人の男が入院した時から次第に彼に影響されていく患者達。強引で粗野な行動ながらも、彼のお陰で本当の自分を取り戻していくドラマに感動しました。後味の悪いラストを感動のラストとして昇華するシーンには胸が躍ると共に目頭が熱くなりました。ルイーズ・フレッチャーとジャック・ニコルソンの対決もさることながら、脇役陣達の演技に驚愕です。愛嬌のあるマルティーニ役のダニー・デヴィートは最後まで本人と気づかなかった程なりきってました。ジャック・ニコンルソンが無軌道に次々と問題を起こす行動には正直共感は出来ませんが、憎めないし頼り甲斐のあるキャラクタをしっかりと演じていました。ジャック・ニコルソンってどことなくレオナルド・ディカプリオに似てません?映らないテレビを見ながらあたかも見ているかの様に患者達が興奮するシーンは感動しました。ジョン・マルコビッチかと思って観てたのは、クリストファー・ロイドでした。
7点(2002-11-30 17:07:11)
108.  ペイネ愛の世界旅行
とにかくエンニオ・モリコーネの切なくも心地よいメインテーマ、そしてアレッサンドローニの様々な楽曲がこの作品の良さを引き出してくれています。オープニングから愛と平和を訴え、観終わった後にはささやかな感動を呼びます。レイモン・ペイネ作のバレンティノ&バレンティナの”恋人たち”が各国を旅しながらそれぞれの愛のメッセンジャー達と出会い、愛と平和をファンタジックに語る。一貫したテーマ性と奇抜なアイデア、そして可愛く微笑ましいキャラクタ達に正直涙が出ました。各国を旅しながら歴史上の人物や各国のイメージを反映させた二部構成ですが、後半は主人公そっちのけで各国の歴史に重点をおいていたので少し退屈感はありました。ラストで「愛と平和は夢でしか無いのか?だとしたら何て哀しいんだろう。」というセリフにこの物語のテーマの重要性を考えさせられます。アニメーションの特性を生かしたサイケな映像&ファンタジックな展開にはわくわくして忘れていた純粋な心を引き出されました。74年公開作品らしいですが、古臭くい感じは無く何度観ても感動します。全体的にはビートルズの「イエロー・サブマリン」に似てます。この作品できればDVDで”旅のガイド”設定ONにして観て貰いたいです。そのシーン後との時代背景は登場人物の字幕付きでより一層楽しめ歴史のお勉強にもなります。平和の象徴である白い鳩がこの作品に度々出てきますが、鳩型飛行機”AIR LOVE”はサイコーに可愛いです。
10点(2002-11-30 16:40:58)(良:1票)
109.  地獄の門
ストーリーはそっちのけで堂々とグロいシーンを見せつけられる作品。神父が自殺した事により地獄の門が開かれ生ける屍が徘徊するようになる。まるで手品師の如く口から内臓をボンボコ吐き出す、ドリルでクリクリと脳天を突き刺す、目からウルウルと血の涙が出る等見たくも無いビックリ残虐描写に腰砕け状態。ここまであからさまに監督がただ見せたいシーンをてんこ盛りにした作品なので逆にフッ切れで見れます。ただストーリーを理解するのは到底無理、登場人物に感情移入しようもんならすぐにおっ死んじゃって不幸のオンパレードなのでお気をつけあそばせ。
3点(2002-11-27 05:06:34)
110.  X-ファイル ザ・ムービー
正直、TV版の豪華なおまけ的作品。全体的に別段悪くも無し、かといって良くも無し。ま、ファンサービスってとこでしょうか?ただTV版で描ききれなかったモルダーとスカリーの微妙な距離感を描いた点ではこの作品の意味があったと思います。キスシーン(実際には違うんだけどね)なんて、「えっ!するの?しないの?ど~なのよっ!」とドキドキさせられました。
5点(2002-11-27 00:07:13)
111.  世界で一番醜い女
病院の看護婦がその生まれた顔みて失神するほど醜く生まれてしまった主人公。彼女は遺伝子治療で手に入れた美貌で、ミスコン荒しをしていくというトホホな展開のサスペンス。彼女の犯罪を食い止めようとするのは義眼で総入れ歯、カツラの刑事。形は違うにしても同じ苦しみを分かち合える彼女に親近感を抱き愛するようになっていく。ホント、スンゴイ展開。何もそこまでしなくてもと思えるほどこの二人の描き様が酷くてついていけない。しかも輪をかけて派手な特殊効果でこれを見せたかったの?と思ってしまう。幼少から彼女の真の素顔を全く見せないカットは前述に矛盾して興味をそそられてしまいましたが、こんな派手にしなくてもねぇ。禁じられた恋に苦悩する近未来の刑事という展開は「ブレード・ランナー」、ミスコン荒しの展開は「デンジャラス・ビューティー」、主人公の素顔は「エレファントマン」等遺伝子整形と言う物語以外はどっかで観たような内容ばかりのつぎはぎ作品。しかもラストはコメディにすら思えてくる。ホント、映像はめっちゃ凝ってるんですけどね...。
3点(2002-11-26 02:10:40)
112.  ファットマン
物語の展開とかBGMtか登場人物の個性的なところは一見「ツインピークス」っぽくて引き込まれます。ただ、一体何がしたいの?って感じでイマイチ納得できない。様々な登場人物達と関係を持ち自分の有利になるよう立ち回る人妻キャリー。その巧みな話術と行動で常に相手に取り入っていくキャリーとそれに翻弄される関係者達。事件は彼女の子供が殺害され彼女自身も大怪我を追って荒野で発見される。その裏には一体何が隠されていたのか?物語は彼女の浮気相手の一人であるレズビアンの女性が当時を回顧する形式で語られていきます。始まって早々彼女が主犯である事が判っているのにそれを色んな登場人物を出す事で話を混乱させようとしているようですが、何もかわっちゃあいない。サスペンス的な要素が無いんですよね。結局彼女の育児ノイローゼによる精神錯乱的な事で解決させようとした所がこの作品にイマイチ魅力が無いところ。たまたま話が彼女に有利に転がり込んだ結果そうなったところがあるので、これが彼女の計画的犯罪という色を濃くした方が数倍面白くなったのでは?と思います。(後半で「私も人生をアートしてきた。」ってなセリフは計画的?と思わせぶりでしたが。)事件を捜査するカウボーイハットの刑事はそのいでたちに反してなよなよしてて共感できなかったです。ベッドシーンで「アハ~ン」とか言うしね。
5点(2002-11-26 00:59:04)
113.  予告された殺人の記録
これといって映像的や展開には目を引くのもはないものの、そのテーマの重さに考えさせられます。資産家の息子の元に嫁いだ町一番美貌の女性アンヘラ。しかし結婚初夜に彼女が処女でなかった事から二人はその日で破談。妹を傷物にされた兄弟はその相手を不確かながらも公前で殺害してしまう。何故彼の殺害を止められなかったのか?果たして本当にアンヘラの処女を奪ったのは彼だったのか?当時彼の親友が27年振りにその真相を突き詰めようとします。様々な関係者達との意見の相違を当時を回顧しながら物語を進行させていきます。現代では殆ど無いと言っても過言ではない婚前交渉までの処女性。それによって引き起こされる殺人という当時の悲しい社会のしがらみ。関係者がこの社会のしがらみに苦しみ、後悔をしている。そう、ラストで無残にフェードアウトしていく死体の悲しさが全てを物語っているのと同じで。「彼は一体何の為に殺されたのか?」この作品を見終ってそのテーマの重要さに衝撃を受けました。
5点(2002-11-26 00:41:51)
114.  ソルジャー(1998)
どうも主人公トッドの行動に納得がいかない。コミューンの仲間達に見捨てられシクシクと泣いちゃうし、惚れた人妻の夫が死んだのを良い事に横取りし父親気取りして子供に取り入る。遺伝子改造された最強戦士が束になってもたった一人で難なくミッションクリアしちゃう強引な強さ。生存者の確認もしないままラストでは悪役達を惑星ごと勝手に爆破し、違う星を目指そうとしている。守るモノがあればどんな強い人間にも負けないということを言いたいのか?それにしちゃ、冷酷非道の殺人マシーンとして育てられた主人公の心の変化は無いし、後半であまりにもサッサと物語を片付け過ぎ。宇宙に彷徨する戦艦のシーンはショボい映像。「イベント・ホライゾン」は好きだったので、一層残念です。心無い戦士の心無い物語でした。
4点(2002-11-25 23:07:57)
115.  甘い嘘
愛を信じない大富豪が仕掛けた陰湿な罠、そしてそれに翻弄される若い夫婦。悲しい結末ですが、これが彼ら達の出した答え。大富豪の愛人がラストで吐くセリフ「愛は勝ったわ」の如く愛によって勝利を勝ち得た二人に完敗です。たとえ大富豪の老人の筋書きどおり翻弄され死を選ぶことになったとしても、この勝負は夫の為に妻が体を売った時点で既に夫婦の勝利。でもどうも後味が悪い...それにしてもこの屋敷の使用人クレメンスは不気味で哀れです。クロチルド・クローはホント眼鏡が良く合います。脱ぎップリもいいですしね。ジャン・ユーグ・アングラードはやっぱり脱ぐのが好きですね。顔はキアヌっぽいですがやることはマイケル・ダグラスです。
6点(2002-11-23 21:12:20)
116.  ロミーとミッシェルの場合
学生時代バカにされた腹いせに同窓会でとびっきりのキャリアウーマン像をでっち上げて見返してやろうとするR&M。そのおバカぶりに笑い、空しさに悲しみ共感しました。今の自分には何も誇れるものが無い。でも漠然とした自分に対するプライドはある。誰でもこの気持ちはあると思います。物質社会に溶け込み過ぎて上辺だけの生活になれた現代人を痛烈に表現した作品です。プロムで束ねた髪をブンブン振り回すミラに大笑いッス。「ハブ ア ロミー&ミッシェル デイ!!」は中々ナイスなセリフでした。
8点(2002-11-21 22:01:55)(良:1票)
117.  ロミオ&ジュリエット
映像や躍動感あるカットは斬新だし、キャクタもしっかりしているしオリジナルとして見てもらいたいです。中盤は少しダラダラとしますが全体的には十分面白かったです。ま、この作品のノリについていけるかそうでないかで意見が分かれる作品ではありますが....クレア・ディンズはこの時が一番輝いてますね。
7点(2002-11-20 07:51:06)
118.  ホームドラマ
「ホームドラマ」という皮肉タップリな邦題が気に入りました。笑えない(いい意味で)ブラックコメディで、先読みの出来ない展開。父親が一匹のネズミを家庭につれてきた事から崩壊していく家族。しかし一番正常な父親が死ぬ事で家族それぞれが開放され絆を取り戻すという皮肉なオチ。ゲイの長男、常に新しい刺激を求めSMや自殺願望のある長女、近親相姦に目覚める母親、怠慢なお手伝いさん。物語の展開はむちゃくちゃなのに作品として成り立っている所がフランソワ・オゾンの力量でしょうか。しかもしっかりとラストで物語を昇華させ一種の快感がある。一体彼の頭の中はどうなってるんでしょうかねぇ。
6点(2002-11-19 00:32:26)
119.  海をみる
フランソワ・オゾン独特の狂気がここにあります。そして日常に潜むグロテスク。バックパッカーとして現れる女性の不可解な行動にひきつけられます。教訓は見知らぬ人を泊めるなって事でしょうか...彼女には笑顔の中の恐怖を感じました。特に食卓での会話シーンは背筋がゾッっとしました。(注!)食事中にこの作品を観るとドえらいことになります。後、歯ブラシ使えなくなります。
7点(2002-11-19 00:11:34)
120.  まぼろし
夫への愛情があまりに強すぎた為、彼女は夫の失踪(死)を受け入れることが出来ず、あたかも実在するかのように彼のまぼろしを見るようになる。マリーが新しい恋人に対して「あなたは軽すぎるの!」このセリフの重みが如何に大切であるか。失踪した夫が巨漢であったことから当然物理的な重さもそうですが、あまりに彼女が夫の存在を消し去ることができない心理的重さが彼女にのしかかる。心理的なグロテスクを表現するフランソワ・オゾンの力量がここでも十分かいま見えます。夫の外見的な力強さとは裏腹に内面的なもろさ。妻の夫への執着と解脱。日常的な風景で様々な比喩を盛り込み、残酷なセリフにぶちのめされ、そして全てをも包み込む海の美しさに感動する。ラストでやっと夫の死を受け入れ始め泣き崩れる妻に再度夫の幻覚が見え、彼女はそこに向かって嬉しそうに疾走していく。一見、再度幻覚を見るという救いの無いエンディングですが、観ている側はその砂浜のシーンを次第に彼女が新たに生まれ変わったかのように昇華して見える。実に感動的で不思議なシーン。ホント、フランソワ・オゾンってすごい監督です。当然シャーロット・ランプリングの美しい狂気は彼女無くしては成り立たないでしょう。狂気とは書いてますが彼女が演じるとそれが恐ろしい狂気というモノではなく、幸せですら見えます。先程述べたラストシーンは良く見ると夫として写っていた男の影を追い越しているように見えました。(遠近感的に...)実は彼女はその男の向こうに夫の姿(画面上は写っていない)を見たのかも知れませんね。深読みしすぎ??
7点(2002-11-17 22:03:40)(良:2票)
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