1181. オーソン・ウェルズINストレンジャー
《ネタバレ》 お目当てエドワード・G・ロビンソンのどっしりと構えた立ち居振る舞いが作品に重厚感をもたらしています。ただ、無欠過ぎて、キレッキレ(映像・音楽・演出に気鋭を見る)オーソン・ウェルズの魔の手にかかる心配を感じられなかったのが残念(贅沢)。併せて彼女の生死や如何に!が見どころの一つであるロレッタ・ヤングが今一つ物語に機能していないのも歯痒いところ。時計塔での決着は「カリオストロの城」が影響を受けたと思われるもので、ウェルズはこのシーンありきで本作を作り上げたのでしょうか? どストレートなサスペンスに満足の逸品です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-12-02 16:34:37) |
1182. 戦場よさらば
原作未読。78分版鑑賞。共に若いゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズのロマンスは、深みが無い幼い印象を受けました。物語のキーパーソンとも言えるアドルフ・マンジューも今一つ物足りなさを感じたところです。 [DVD(字幕)] 5点(2020-11-29 23:55:01) |
1183. 旅愁(1950)
イタリア観光名所案内を兼ねた不倫メロドラマ。そんな都合良くいく筈無いでしょ!展開へのツッコミは、美男美女カップルの色気と、御大フランソワーズ・ロゼー、ジェシカ・タンディの名脇役ぶりと、ウォルター・ヒューストン御自らの歌唱「セプテンバー・ソング」とラフマニノフピアノ協奏曲第2番フィナーレに封殺されました。しょうもないハナシを秀作に仕上げたプロデューサー ハル・B・ウォリスに拍手。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-29 21:12:56) |
1184. ジェニイの家
監督デビュー作にして後の傑作群も当然と思える出来栄え。リュシアンの亡骸の前で初めて対峙する母と娘が浮かんだのですが大ハズレ。病院シーンからFINまで母親にとってこれ以上ない残酷さを、それも運命と受け止める抑制有る姿が更に掻き立てます。演じるフランソワーズ・ロゼー大女優ならではの独断場でありました。 [DVD(字幕)] 9点(2020-11-29 02:21:46) |
1185. 雨粒の小さな歴史
ストーリー的には見るべきものがあるのですが、役者の目つきを始めとする演出のジットリへばりつくような重苦しさに耐えての鑑賞でした。大学生の自主製作というのが驚きで、その才能に敬意を表して+2点です。 [DVD(邦画)] 6点(2020-11-29 01:49:34) |
1186. モンスター(2003)
《ネタバレ》 ドキュメンタリー番組の肉食獣のような人物が女性であるのが特異ですが、実録ものとして手堅い造りの作品です。お腹すいた客引きして金稼いでこいと仄めかすセルビーにこの女は最後に裏切ると確信。ジョン・ヴォイトに見えて仕方なかったシャーリーズ・セロンが信じた者に裏切られる思いがどれほどのものか示す演技力はオスカー受賞に相応しいものでした。真のモンスターを演じるクリスティーナ・リッチの好演も光ります。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-28 18:16:44) |
1187. 足ながおじさん
展開は予定調和でダンスはアステア作品では通常運転。撮影中に愛妻が病死し周囲の励ましで降板を回避したという、何時も以上に素敵に感じた笑顔の裏に隠されていた事実に胸が詰まります。フレッド・クラーク&セルマ・リッターの名バイプレーヤーぶりも心地よい良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-28 17:35:25)(良:1票) |
1188. サムソン 神に選ばれし戦士
ルトガー・ハウアー目当ての鑑賞は彼でなくても良い役柄で印象に残らず空振りでしたが、「ペーパーチェイス」のリンゼイ・ワグナーの枯れたお姿に接し感慨に浸りました(+1点)聖書上の知識ない身にとって気持ち高ぶる事の無い物語でした。肉体の強さに比例していない精神力のサムソンが「苦しいときの神頼み」を何回も行い、何十年経っても成長していない姿に「何じゃこりゃ」白けてしまうところです。中途半端なデリラの存在意義も謎であります。 [DVD(字幕)] 4点(2020-11-27 01:22:27)(良:1票) |
1189. 黄金の七人
《ネタバレ》 初見。11PMのテーマ(違うか)に乗せてオープニングからの作戦決行模様に目が離せない。ちょいちょい訪れるピンチは手に汗握る程で無く、惚れ惚れする仕事ぶりで7トンの金の延べ棒をゲットしちゃう。そこからの裏切り裏切られ模様は血の雨どころかパンチ1発繰り出される事も無い。たどり着いたアチャー!な結末(あの場に出くわしたとして1本12㎏を持って帰れるかなぁ、気合でいけるかなぁ)。上等な小春日和の如き快作で大いに楽しめました。欲を言えば実働部隊6人のキャラ分けをして欲しかったところです。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-25 01:14:01) |
1190. 絹の靴下
アステアが霞んでしまったシド・チャリシーの魅力に尽きます。白眉はレッド・ブルース。元バレリーナならではの身のこなしで軽やかに翻るスカートにクラクラしました。傑作のリメイクも傑作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-24 01:40:00)(良:1票) |
1191. パリの恋人
58歳アステアのエンターテイナーとしての輝きは健在で28歳ヘプバーンとのロマンスも違和感はそれほど感じる事も無く。ヘプバーンのカフェでのダンスを目にするアステアは自分の時代の終わりを感じていたのではと思わされます。ツッコミどころ満載のストーリーながらも2人の歌に踊りにファッションに充分楽しませてもらえた良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-22 23:46:32) |
1192. 霧の波止場
フランス映画ならではの哲学的な台詞がゲージュツ的な白けるものではなく、詩情豊かで聞き入りました。ミシェル・シモンとピエール・ブラッスールの見下げ果てたゲスっぷりが際立っており、予感通りの結末に物語が導かれてゆきました。ミシェル・シモンの本質を見抜いていた(!)頑固で義理堅い犬の存在感も印象深い。脱走兵というセリフが皆無であってもそうだと分かる主人公が辿る運命を見事な演出で紡ぎあげた傑作。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-21 22:54:24) |
1193. THE PROMISE/君への誓い
ヒトラーによるジェノサイド以前にオスマン帝国によるアルメニア人ジェノサイドが行われていた事を初めて知りました。90,000,000㌦の大半を出資したアルメニア人大富豪カーク・カーコリアンの想いの丈を感じるところです。一方でナゴルノ・カラバフ戦争を続けるアルメニアに本作での描写(或いはそれ以上)同様の加害者・被害者模様を想像させられます。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-20 09:41:08) |
1194. 大いなる罪びと
《ネタバレ》 ドストエフスキー「賭博者」(未読)を脚色したという本作。作家フェージャが列車内でポーリーヌと出会った事がきっかけで、カジノに触れ、小説の取材からのめり込み堕ちてゆく姿が描かれています。グレゴリー・ペックが見せる小説家の内面が実に生々しく依存症の恐ろしさを見せつけられる絶品演技でありました。神に救いを求める姿は「意志弱き私にお力添えを賜りますように・・・」度々願う私には身につまされました。脇を固めるキャストが贅沢でウォルター・ヒューストン、エセル・バリモア親子、カジノオーナー メルヴィン・ダグラス、死神の如き質屋 アグネス・ムーアヘッド それぞれ重厚で、中でもエセル・バリモアの立ち往生ならぬ座り往生は迫力満点。惜しむらくはエヴァ・ガードナー。華のある美しさなのですが、台詞回しに感じる薄さがキャストの中で浮いていました。賭博依存症を描いた傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-19 00:54:33)(良:1票) |
1195. 風雲児アドヴァース
《ネタバレ》 終わってみれば、ドン・ルイスが誕生したアドヴァースを修道院の門前に遺棄するまでが本作の見どころでした(+2点)。成長したアドヴァースの血沸き肉躍る活躍にいやが上にも期待が膨らんだのですが。都合良過ぎる展開に於いてキャストの青臭い芝居をダラダラ長時間見せられた果てのしょうもない結末に開いた口が塞がりません。一体これのどこが風雲児なのか問い詰めたい邦題にも呆れるところです。いくら超絶男前であっても本作のフレデリック・マーチはダメでした。 2021.3.23 追記 「かなりのコケ具合」作品の中にあってドン・ルイスだけはその憎たらしさが妙に印象に残っていました。クロード・レインズだったというのが先ほど分かりました。「エーッ! 本当に?」と言うことで再見。「本当や!」あの少しかすれた感じの声(WW1従軍時のガス攻撃で右目失明と共に声帯が傷ついたそうです)はまさしく彼のもの。 憎ったらし~さが活かされていない脚本がやはり残念ですが、「損はしていないかな」と言うことで3点追加です。 [DVD(字幕)] 6点(2020-11-17 01:04:04) |
1196. 恐怖ノ黒電話
復縁を迫ってくるDV夫と過去からのストーキング電話を受けるダブルパンチ。なかなか考えられた脚本でグロさが無くとも神経に障る怖さはありました。ただ、パンチに欠けると言うか、本サイト基準そのままの作品でありました。 [DVD(字幕)] 6点(2020-11-14 20:22:34) |
1197. デデという娼婦
《ネタバレ》 ストーリーは他愛なく「新しい人生が始まるのね・・・」ってそうはいく筈もない事が容易にわかります。デデをとりまく3人の男が印象薄く残念。シモーヌ・シニョレの得も言われる唇の美しさに+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-11 01:17:34) |
1198. キューリー夫人
小学生時分に偉人伝として読み偉い人だという認識はありました。部活時代に言われた「出来なきゃ出来るまで千回でも万回でもやるんだよ」をそのまま体現する姿に、大発見はポンと閃いたのではなく執念の果てだったのを初めて知る事に。ご主人と支え合う姿と併せて只々ひれ伏すばかりです。グリア・ガースンはベストなキャスティング。彼女以外には考えられない好演でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-11-10 02:48:44) |
1199. 春の珍事
珍妙な題名通りの珍作。野暮なツッコミは封印して観れましたので、楽しいひと時を過ごさせてもらえました。何より全編を通してのギスギスしていない大らかさが心地よい良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-08 19:29:33) |
1200. トップ・ハット
人違い勘違いラブコメ。ベタな展開はじれったいけれど、そこに文句をつけるのはアステア作品では野暮の骨頂と言い聞かせる。元気をいただけるものではなかったけれど、華麗で優美なステップに魅入ったひと時でありました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-07 15:21:25) |