1181. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
《ネタバレ》 パニック映画の金字塔と呼ばれる名作。今回かなり久しぶりに見たが、やはり面白い。転覆によって上下がさかさまになった豪華客船からの脱出劇というシンプルなパニック映画だが、きちんと人間ドラマとして見ごたえのあるものになっており、そこがこの映画に深みを与えていて、ただ映像のすごさだけで魅せていくアトラクションタイプのパニック映画とは一線を画している。中でもクリスマスツリーを伝わって上に行くか、残って救助を待つかの判断を迫られて、上に行くことを選ぶスコット牧師(ジーン・ハックマン)と、残って救助を待つことを選ぶパーサー、それぞれに従った人々の運命は大きく変わることになるが、やはり運命というものは紙一重で、そこに留まるか、行動するかで大きく左右されるものなのだという事を思い知らされ、ここはとくに印象に残り、まさに同じような状況に陥った時に自分だったらどうするかを考えさせられるシーンだったと思う。でもそれがあるからこそ、牧師に従って行動した人々の勇気に感動することができるし、見ているこちらも勇気づけられた気持ちになれる。荻昌弘もこの映画の解説で「必ず前進するほうを選ぶ、こうした考え方が、我々を励ましてくれている。」と語っているが、本当にその通りだと思う。でも、ジーン・ハックマン演じる牧師はとても胡散臭く、見ていてこの牧師がイマイチ信用できないので、もし同じような状況になった時にこんな人が説得を始めたら、たぶん自分だったら残る方を選んでしまうかもしれないな。ロゴ役のアーネスト・ボーグナインはやや癖のある演技だが、いい味を出している。製作のアーウィン・アレンは本作の成功を踏まえて「タワーリング・インフェルノ」を製作していて、そちらも面白いが、やはり本作のほうが人間ドラマがよく出来ているように思え、個人的には本作のほうが好きである。そうそう、見たのが今日(大晦日)の未明だったのだが、舞台が大晦日から始まる映画なのでこの年末時期に見るにはピッタリの映画かもしれない。(2012年12月31日更新) [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-02-03 02:47:53) |
1182. 彼奴(きゃつ)を逃すな
鈴木英夫監督の映画を初めて見たのだけど、殺人事件の犯人を目撃したことにより、捜査に協力を求める警察と、いつ自分を殺しにくるかもしれない犯人の両方に追い詰められた主人公の心理がとてもよく描かれていたサスペンス映画の隠れた傑作だと思う。クライマックスである犯人とのやりとりも緊迫感が非常に見ごたえがあり、とても面白かった。ところで主要な俳優陣を見ると「七人の侍」に出演していた人が多く出ているのに気づく。主役の七人の侍のメンバーだった志村喬、宮口精二、木村功の三人が刑事、犯人、目撃者という立場で共演しているのが面白い。木村功の奥さん役が津島恵子というのも「七人の侍」での勝四郎と志乃を思い出して思わずニヤリとくるうれしいキャスティングだ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-02-01 03:35:58)(良:1票) |
1183. 青春残酷物語
《ネタバレ》 松竹映画とは思えぬ展開が新鮮だった。ラストシーンがいちど見たら忘れられないくらい衝撃的。でも、さすがに今の時代に見るとちょっと古めかしく感じてしまうのも事実。個人的に名作映画にはいつまでも語り継がれるような不朽の名作と呼ばれるものと公開当時の世の中の状況を知らないとあまり感動することができないものの2種類に分かれると思うのだが、これは明らかに後者に属する映画だと思う。でも、思っていたよりは面白かったし、完成度も高い映画だと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-01-31 03:25:52) |
1184. 冬の華
高倉健のヤクザものを初めて見たけど、やっぱ健さんはこの頃がいちばんカッコイイと思う。個人的に降旗康男監督の映画あまり好きではないのだけど、この映画はかなり面白かったし、いい映画だと思う。クロード・チアリのテーマ曲とラストの小池朝雄を殺す健さんの表情が切ない。チャイコフスキーのピアノコンチェルトも効果的に使われていて印象的だった。親分を演じる藤田進(50年代から60年代にかけて出演した東宝の怪獣映画や黒澤映画で見慣れているせいか、最初かなり老けて見えたけど。)が良い。カラオケで歌い続けたりオロナミンCを飲みまくる小林亜星もコメディーリリーフ的な存在で笑える。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-29 16:57:16)(良:1票) |
1185. 浮草
《ネタバレ》 小津安二郎監督が蒲田時代に手がけた「浮草物語」を「彼岸花」で山本富士子を起用したお返しに大映でセルフリメイクした作品。実は初めて見た小津監督の映画が本作だったのだが、松竹での作品を何本か見た後になってあらためて見ると確かにいつもの小津作品とは何か違う印象を受ける。旅役者の一座を描いているが、リメイクだけあって座長(中村鴈治郎)が実の息子(川口浩)に父親と名乗り出ないで伯父さんとして接しているとか、ラストの展開などは松竹的と感じる部分もあるものの、話が妙にドロドロしているのをはじめ、主人公である座長がドスの利いた関西弁でまくし立てるのも上品すぎるほど上品な印象がある小津監督の映画では異色な感じ。そして冒頭からロングショットがあるのも毛色が違う印象で、中でも座長とすみ子(京マチ子)が大雨の中、道一本隔てて向かい合って口論するシーンの激しさは小津監督よりも撮影の宮川一夫や大映自体のカラーが出ているような気がしたし、宮川一夫撮影作品での大雨のシーンということもあってか、「羅生門」を思い起こさせるものがある。京マチ子、若尾文子、野添ひとみといった大映の女優陣がそれぞれ良く、ここは松竹の小津監督の手腕のせいもあるのだろうと感じられた。この時期の大映で川口浩の相手役といえば野添ひとみというイメージがあるのだが、(増村保造監督の「くちづけ」の印象が強いのかも。)本作では一座の若手女優役の若尾文子が相手役。この数年後に増村監督の「妻は告白する」で共演していて、今見るとそのイメージが強いからか、本作のこの二人はイメージがかなり違って見える。ラストは少々強引にキレイにまとめた感がなくはないが、見終わってみればちゃんと小津監督らしい映画になっていたと思うし、せっかくよそでやるんだから、いつもと違うことをしようという小津監督の思いもあったのかもと感じられる。ところで、本作は最初にも書いたように「彼岸花」で山本富士子を起用したお返しに小津監督が大映に出向いて手掛けた作品。でも、その「彼岸花」に出ていた山本富士子が本作に出ていないのはなぜだろう。どうでもいいことかもしれないが少し気になる。(2024年2月25日更新) [DVD(邦画)] 7点(2006-01-25 00:23:53) |
1186. 待ち伏せ
三船、裕次郎、勝新、錦之助に日活で裕次郎とコンビを組んでいた浅丘ルリ子というキャストが豪華な稲垣浩監督の遺作となった時代劇。こういうキャスティングだと映画のスケールも壮大になりがちなのだが、舞台がほとんど一箇所に集中しているため、逆にシンプルなつくりになっていたのが良かった。三船と勝新の共演作を初めて見たけど、二人ともやっぱカッコイイ。股旅スタイルで登場した裕次郎にかなり違和感がある。この映画で役人を演じている錦之助なら旅鴉役はバッチリなので、役を取り替えたほうが良かったのではないかと思った。その錦之助は出番が少ないのが残念だが、さすがに存在感のある演技を見せている。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-01-22 16:06:50)(良:1票) |
1187. 疑惑(1982)
《ネタバレ》 高校の頃にテレビで見て以来、また見たいと思っていた映画だったのだが、今回ようやく念願叶って再見することができた。ストーリー自体はよくある法廷ものであるが、とにかく被告・球磨子がすごくいやな女に描かれていて、またそれを演じる桃井かおりもこの役を演じるために女優になったのではと思うほどのハマリ様で、見る者の被告に対する感情移入を許さない描き方が完璧だし、そんな彼女の弁護を引き受けたもう一人の女・佐原律子を演じる岩下志麻も一癖ある弁護士を熱演していて、ほぼ全編に渡ってこの二人の「悪女」の対決が見ごたえじゅうぶん、迫力じゅうぶんに描かれていて、以前にも見ていて裁判の結末を覚えているにもかかわらず、以前見た時よりも面白かった。とくに桃井かおり、個人的には苦手な女優で、好感も持ったことがないのだが、さっき球磨子を演じるために女優になったのかと書いたように彼女独特のキャラクターが球磨子という女にバッチリ合っていて、まさにこの球磨子はそんな桃井かおりが演じるからこそその悪女ぶりが際立っていて、本当に憎たらしく、演技もそうだが、この配役も素晴らしいとしか言いようがない。こんな誰もが有罪になることを望むような女が最後に無罪になってしまう結末なのだが、ここで終わっていたら後味が悪かったところをそうはせず、ラストで球磨子にもきちんと制裁を加えて終わっているのが良い。このラストの二人がワインをぶっかけ合うシーンは昔見た時よりも強烈で、インパクトが強く、このシーンが本作をより象徴的なものにしている。この時期の野村芳太郎監督の映画にはイマイチなものが多いが、本作は紛れもない日本映画史上に残る傑作だと思う。それは原作者の松本清張自身が脚色に参加した脚本の質の高さもそうだが、やはり主演の二人、桃井かおりと岩下志麻の起用の成功が大きかったのだろう。(2013年12月25日更新) [DVD(邦画)] 9点(2006-01-20 01:24:48)(良:1票) |
1188. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
シリーズ第1作。映画を本格的に見始めた中学の頃に夢中になって見ていたこのシリーズだが、20年以上ぶりに再見。初めて見た当時は「最後の聖戦」と「魔宮の伝説」を先に見ていたため、最後に見た本作はあまり印象に残らず、ストーリーもほとんど覚えていなかったのだが、久しぶりに見てみると派手さは後の2本のほうが確かにあったと思うものの、それでも王道の娯楽映画という感じで今見てもけっこう楽しめた。見せ場がてんこ盛りでとにかく見ている間、何も考えずにただひたすら映画の世界にどっぷりと浸かれるのがいい。スピルバーグとジョージ・ルーカスというヒットメーカー二人の作品ということもあって、捻くれてしまった今初見であればどうせ面白くないだろうと見る前から思ってしまうところかもしれないが、やはりこのシリーズは昔見て楽しかったという記憶があるせいかそれはなかった。(昔見て面白かった映画を今になって見る時にはちゃんと楽しめるだろうかという不安がいつもある。)007のような映画を目指して作られたとあってインディとヒロインであるマリオンのロマンスもそつなく描かれていてそこのところも楽しめた。やっぱりハリソン・フォードといえばハン・ソロやジャック・ライアンよりもこのインディ・ジョーンズのイメージがいちばん強いなあ。(2018年9月23日更新) [CS・衛星(吹替)] 7点(2006-01-19 00:20:46) |
1189. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
シリーズ第2作。昔見たこのシリーズではいちばん記憶にある作品だったが、猿の脳みそだとかトロッコアクションだとか見ていて懐かしかった。ジェットコースタームービーと言われているシリーズだが、トロッコのシーンなんてまさにジェットコースターに乗っているような気分で楽しい。(今やるとしたら間違いなく3Dだろうなあ。)今回はインディとヒロイン、それにインディが連れている少年という三人のメンバーが冒険を繰り広げるわけだが、これが疑似家族のようであるところなど前作に比べてよりファミリー向けな印象でコメディー要素も強く、それが少し意見が分かれるところでもあると思うのだが、個人的にはやっぱり前作よりも娯楽要素の強い本作のほうが好きだな。多少の思い出補正も含めて少し甘めだけど7点を。(2018年9月24日更新) [CS・衛星(吹替)] 7点(2006-01-12 01:14:36)(良:1票) |
1190. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
《ネタバレ》 シリーズ第3作。25年くらい前にシリーズで初めて見たのがコレで、当時は純粋に面白いなあと思って見ていたが、やはり久しぶりに1作目から順番に見返すとこの3作目は少し息切れを感じなくもない。しかし、それをカバーするのが、今回登場したショーン・コネリー演じるインディの父・ヘンリーのコメディ・リリーフぶりで、インディとヘンリーの親子漫才のような掛け合いは今見ても笑えるし、楽しい。冒頭にインディの少年時代が描かれているが、ここでインディの過去を出すことによってこの父親との微妙な関係をさりげなく見せているのが良いし、これがあるから、その父親と再会したあとのこの二人の関係性にも注目することができる。(蛇ぎらいの理由や鞭や帽子など現在のインディの特徴の由来もここで描かれるのはファンに対するサービスの域を出ていないと思うのだが、まあ、いいか。)ショーン・コネリーの出演はこのシリーズが元々「007」シリーズを参考・意識しているためのキャスティングなのだろうが、今回はスパイ映画の風味も加わっているように思う。登場したヒロインが実は悪役だったというシリーズこれまでにない展開もまさにそうなのだが、とくにこの部分は「007」でも似たような展開の作品があったよなあとつい思ってしまった。それにしても、ショーン・コネリー、本作で初めて見たころはヘンリーのひょうひょうとした印象からか、そんな大俳優だとは思ってなかったなぁ。(2019年3月31日更新) [CS・衛星(吹替)] 7点(2006-01-11 02:13:43) |
1191. 隠し剣 鬼の爪
確かに「たそがれ清兵衛」と似たようなストーリー展開で、新鮮味はなかったが、こちらのほうが山田洋次らしい映画だったように思えて、個人的には山田作品としては「たそがれ清兵衛」よりも良かった。出演している役者陣ではきえ役の松たか子が実にいい。実は芝居をしている松たか子を実はこれで初めて見たのだが、アイドルのイメージが強かった(って、何年前の話だよ。)ので、予想以上にいい演技をしているのを見て驚いた。ところで、山田監督の次回作はまた藤沢周平原作の時代劇だそうで、楽しみではあるが、主演がキムタクとのことなのでちょっと心配。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-10 03:35:45)(良:1票) |
1192. 家族(1970)
《ネタバレ》 この2年後にほぼ同じスタッフ・キャストで作られた似たような内容の「故郷」を先に見ていたので、印象がかぶってしまわないかとちょっと心配だったけど、「故郷」とは違い、北海道にたどり着くという一つの目標があり、それを達成するために旅を続ける家族の姿が描かれ、また違った感動がある。東京で娘が倒れてしまい、必死に病院を探す主人公夫婦にとても感情移入してしまった。とくに、倍賞千恵子演じる妻のなんとか助けてあげたいという気持ちが痛いほど伝わってきて、かなり切ない。前田吟や笠智衆も良かった。シリアスな物語の中にあって、チョイ役で出演の森川信やハナ肇、渥美清が出てくるシーンではついほっと一息つける。ドキュメンタリーを見ているかのような撮り方もその時代の空気が伝わってくるようで効果的だと思う。しかし、「男はつらいよ」を始めたこの頃の山田洋次監督の映画は本当に外れが少ないなあ。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-01-04 14:17:00) |
1193. 運が良けりゃ
古典落語をモチーフにした山田洋次監督初期の時代劇コメディー。山田監督の「男はつらいよ」以前の初期作はこれが「馬鹿が戦車(タンク)でやって来る」、「馬鹿まるだし」に続いて3作目の鑑賞だったが、この映画は前の2本と違ってひたすらコメディーに徹していて、妙にシリアスなところもなく、単純に楽しめた。金を餅に包んで食べてしまうばあさん(武智豊子)が「八つ墓村」の濃茶の尼のようで怖い。「男はつらいよ」以降の山田作品では決して見られないようなブラック・ユーモアが出てきたのにはちょっとビックリした。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-01-03 03:14:38) |
1194. 近松物語
《ネタバレ》 あまりスター俳優を自分の映画に起用したがらなかった溝口が唯一、長谷川一夫を主演に迎えた作品。見る前はどういう仕上がりの映画なのか不安な面もあったが、見事に芸術的な映画になっていた。個人的にあまり好きではない長谷川一夫もこの映画では流し目やドアップもなく、あくまで一役者として芝居をしていてとても良い。それに映画全体が非常に美しく、処刑場に向かうラストの長谷川一夫と香川京子の晴れやかな笑顔も感動的だった。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-01-02 13:22:46)(良:2票) |
1195. 48時間PART2/帰って来たふたり
《ネタバレ》 前作から8年ぶりに作られた続編。先週に1作目を見たのだが、前作ではジャック役のニック・ノルティがトップクレジットだったのに対し、今回はレジー役のエディ・マーフィーがトップクレジットで、それだけでなく自らの会社も製作に参加していて、これだけでも前作からの時の流れを感じるし、話のほうもレジーの存在が重要になっていて、紛れもなくエディ・マーフィーの映画だと感じられるものの、間をおかずに続けて見たせいか前作にあった主人公ふたりのキャラのバランスの良さのようなものがあまり感じられず、前作同様の二人の喧嘩シーンについても確かに面白いのだが勢いがないように思い、この喧嘩の原因含めなにか全体的にムリヤリ感もあったのはちょっと残念。初めて見たのは実は前作よりも先だったのだが、そのほうがやはりこういうことは気にならないだろうと感じる。でも、前作にも登場していたジャックの同僚が今回の黒幕というのは明らかにやりすぎで、これで場合によっては前作の印象まで変わってしまうだろう。敵の一味に前作の敵ボスであるギャンズの弟がいるのだが、これももう少しうまく活かしてほしかった気もする。前作のようなハードアクションの側面も鳴りを潜めている感じだが、それでも冒頭の西部劇のような雰囲気は良いし、普通のアクション映画として見ればそこそこ面白いものにはなっているので、見て損したということはなかったのがまあ良かった。映画館のスクリーンを突き破ってバイクが出てくるシーンは初めて見たときから印象深かったのだが、今見てもここだけはけっこうなインパクトがある。ラストはまたしてもレジーを人質に取った敵をニックがレジーもろとも撃つという前作とまったく同じシチュエーションだが、このラストのシチュエーションと夜の街の陰鬱な雰囲気がこのシリーズらしいところでもある。でも、本作は前作以上にタイトルの意味を感じなかったなぁ。(2023年10月12日更新) [DVD(字幕)] 5点(2006-01-01 01:14:50) |
1196. 48時間
《ネタバレ》 昔、けっこうテレビで何回も見た記憶のある映画の一本だが、やはり今回久しぶりに見た。エディ・マーフィーのデビュー作としても知られているが、トップクレジットがニック・ノルティであり、実際、エディ・マーフィー演じるレジーの登場は映画開始から30分ほど過ぎた頃というのは昔見ていた時はエディ・マーフィーの主演作というイメージだっただけに今見ると少し意外に感じる。それでもデビュー作である本作から既にエディらしさは健在で見ていて懐かしさを感じられたのが嬉しい。それにニック・ノルティ演じるジャックの武骨なはみ出し者刑事のキャラもうまい具合に対比されていてこのコンビぶりを見ているだけで楽しく、何も考えなくても面白く見られるのが良い。一方で真面目な刑事アクションとしての側面もちゃんとあってそこらへんは抜かりない感じなのもまた良し。欲を言えば昔見た時から思っていたことではあるが、やはり今見てもタイトルにもなっているレジーの保釈期限である48時間というリミットをもう少しストーリーの中で生かしていても良かった気はする。(2023年10月7日更新) [DVD(字幕)] 6点(2006-01-01 01:08:37) |
1197. ダンボ(1941)
《ネタバレ》 幼いころに見た時はとにかくダンボが可愛らしかったこととピンクの象が怖かったくらいしかなかったが、今見るとけっこう重い話だったんだなと気づかされる。耳が大きいということだけでほかの仲間の象から差別的な扱いをされ、さらに子供の悪戯から守ろうとした母親のジャンボからも引き離されてしまうダンボがなんとも悲しくて仕方がないし、見ていてこれは人間にも当てはまることのように思え、子供向けではあるが、子供だましではなくちゃんと大人にも伝わるメッセージのある作品だと素直に感じられた。ほかの動物たちと違って主役であるダンボに一言もセリフがないのが印象的だが、それも映画としてなかなか効果をあげていたと思う。ダンボを励まし、支える存在となるティモシーが実に良く、たとえ自分と違っていても他人の気持ちを思いやることの大切さというものをダンボとティモシーの関係を通してうまく描いているし、この「自分と違う他人を認める」ということが本作のテーマではないかと感じた。ティモシーに促されてジャンボの檻の前に来たダンボがジャンボに子守唄を歌ってもらうシーンがとても感動的だ。そしてコンプレックスであった大きな耳を翼にして空を飛ぶクライマックスのダンボのなんとも嬉しそうな表情が忘れられない。まさにコンプレックスを最大の武器にした瞬間で見ていて思わず笑みがこぼれた。ちなみに幼いころに見て怖かったピンクの象のシーンはストーリーとほぼ無関係なのだが、今見てもなかなかインパクトがあり、幼いころに見て怖かったのも納得。でも、今見るとそれが逆にシュールで面白い。(2022年8月4日更新) [DVD(吹替)] 7点(2005-12-30 01:48:11) |
1198. 釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?
《ネタバレ》 江角マキコと筧利夫のエピソードに全く浜ちゃんとスーさんが絡まないのは少し残念だが、今回もそれなりに楽しめた。でも、「麦秋」のワンシーンを先に見せておいてすぐに同じシーンを再現するのはどうだろか。山田洋次の脚本にはこういうのがよく出てきてそれが不思議と映画の中で名シーンになっていることが多いように思うけど、今回はちょっと露骨に感じた。「馬鹿まるだし」や「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」のように元ネタの登場シーンと再現シーンの間がしばらくあいていたら印象は違ったものになったかも。まあ、この映画の脚本自体そんなに作りこまれた様子はなく、見る側も気楽に見てるから本来はこういうことをいうのはヤボというものだけどねえ。 [地上波(邦画)] 5点(2005-12-29 00:12:28) |
1199. 逃亡者 木島丈一郎<TVM>
「交渉人 真下正義」をまだ見ていないので楽しめるかがかなり不安だったけど、後日談ではなく前日談だったのですんなりと入っていけた。個人的に「踊る大捜査線」シリーズは連ドラ時代がいちばん面白いと思っているが、久々に面白いと感じることが出来る作品だったと思う。ただちょっと設定が「グロリア」っぽかったのは気になったけど、まあそこは大目に見よう。木島を演じる寺島進はたけし映画でヤクザ役を演じている印象が強い俳優で、見る前は子連れで逃げ回る姿が想像つかなかったけど、なかなかいい演技をしている。それと子役が何年か前のNHK朝ドラ「私の青空」で田畑智子演じるヒロインの息子を演じてた子で、当時、ほぼ毎日見ていたのでかなり懐かしく思えた。 [地上波(邦画)] 7点(2005-12-23 02:44:28) |
1200. キートンのハード・ラック(悪運)
面白くないことはないし、いつものようにキートンの体を張った超人的な動きももちろん楽しめる。でも、キートンのほかの映画と比べると平凡な印象だった。 オチはシュールな感じで好きなんだけど。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-12-11 11:49:06) |