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プロフィール
コメント数 2454
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1201.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
重力と反重力が存在する双子の世界、このアイデアとプロットはセンス・オブ・ワンダーに満ち溢れていてグッドです。緻密に創りこまれたCG映像もレベルが高くてよかったんですが、この映像は大スクリーンで観ないと真価が判らないでしょうね、なんせTV画面では小さすぎて映像の情報量に全然追いつけないですからね。でも脚本はびっくりするほど稚拙です。リュック・ベッソンの『フィフス・エレメント』じゃないけど、まるで監督が中坊の頃に自分のイマジネーションを書きとめた脚本を映画化したみたいな出来です。そのイマジネーションは確かに凄いんだから、せめて脚本は腕のたしかなプロに任せた方がよかったですね。プロットやディティールには『ブレードランナー』など過去のSF映画からの影響が強く感じますし、何度も出てくるカフェのシーンでは『ガタカ』の世界観と雰囲気が彷彿されました。 「これはまた別のお話し」なんて思わせぶりなナレーションで終わるけど、続編を撮る計画があるのかな?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-13 20:13:29)
1202.  ペントハウス 《ネタバレ》 
これもリーマン・ショック後のアメリカの世相を反映させたってことなんでしょうかね、まあ別に退屈する様な類のお話しではなかったですけど。 とにかくこの映画の最大の欠点は、観た人みんなが同意すると思いますけど、エディ・マーフィの存在感のなさに尽きるでしょう。なんで出演する気になったんでしょうかね、この人『ドリーム・ガールズ』でオスカー逃がして燃え尽きてしまったんでしょうか。スティーヴ・マックイーンが乗ってたフェラーリが登場したところでだいたいオチが見えてきましたし、メイドがあっさり金庫を開ける展開からもそれは察しがつくことでしょう。それにしても自動車が通れる幅の廊下って、このマンションどんだけ広いんだよって感じです。 アラン・アルダの悪役ぶりは憎々しくてよかったですね、こいつならほんと何をしても許される気がします(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-11 22:24:38)
1203.  アウトブレイク 《ネタバレ》 
この映画が今では山ほど製作されたパンデミック・ジャンルの元祖になるんじゃないでしょうか(いや、元をたどれば傑作『アンドロメダ…』でしょうね)。中盤以降の雑な展開は眼を覆うばかりですけど、TVで放映さてるとついつい観てしまうんですよね。突っ込みどころは満載です、まるで紙製みたいに破ける防護服、笑っちゃうほど簡単に見つかる宿主のおサル、あんな近距離にくっついているのにしくじる射撃がド下手なヘリコのパイロット、とまあ呆れるほどのご都合主義な展開です。それでも小さな町で感染が拡がり軍に封鎖されるまでの怒濤のストーリー・テリングは見応えがあります。これもダスティン・ホフマンを始めとする名優たちを揃えることが出来たからでしょうね、ダメな脚本でも何とかなるものなんです。善悪をあまりに単純に分けているのはいかにもハリウッド映画ですけど、それでもドナルド・サザーランドの邪悪な将軍は適役でした。陰謀をたくらむ悪役をやらしたらこの人の右に出る役者はいません。「お前はぜったい将官にはなれん」といじめられてくさっていた大佐がサザーランドを逮捕するときの嬉しそうな顔には笑ってしまいます。この大佐はデイル・ダイなんですが、軍事アドバイザーから俳優になった人で本人も海兵隊では大尉どまりだったから、なんかセルフ・パロディですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-09 20:15:39)
1204.  アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー 《ネタバレ》 
ダリル・ハンナの『ジャイアント・ウーマン』の主人公をチアガールにして、ロジャー・コーマンがリメイクしてみましたって感じでしょうか。どっちも身長50フィートですしね。 主人公のチアガール、冒頭ではちょっと賢そうなニキビ面のメガネッ娘だったのが、薬を注射して巨大化してからはセクシーなナイスバディに大変身、なかなかレベルが高いです(なんの?)。巨大女のビジュアルは、チャチというか超原始的な遠近感ででかく見せるという、なかなかプロの映画人では恥ずかしくて使えない様な手法です。後半のフットボール場での大暴れでも単純な合成でしたけどね。ここではライバルのビッチなチアリーダーも巨大化させて、しかも両者トップレスでビンタ合戦に女闘美アクションと、さすがコーマン御大、ツボがよく判ってらっしゃる。懐かしのショーン・ヤング(あのレイチェルがこんなぶくぶくしたおばさんになってしまうとは!)とトリート・ウィリアムズにジョン・ランディスまで、ちょっと地味なムダに豪華なキャスティングはこれもコーマン御大の人徳というか手腕の賜物かな。 この映画を観たらあなたの人生の貴重な時間をムダに費やすかもしれませんが、私は残りの人生の80分余りのひとときを有意義に使うことが出来ました、大した点数はつけてあげられませんけどね(笑)
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-07 20:36:38)
1205.  一刀斎は背番号6 《ネタバレ》 
原作は五味康祐の小説で、奇想天外な野球ファンタジーに下町人情喜劇を合体させた様な感じです。武者修行のために合気道の達人との手合わせを求めて紀州の山奥から出てきた武術の達人・一刀斎が、ひょんなことからプロ球団に入ることに。そのきっかけが、試合前のアトラクションで稲尾和久からホームランをかっ飛ばしたいうのだからふざけてます。この伊藤一刀斎という男、身なりははかま姿でいかにもな格好で天丼が好物でこればっかり食べているというのがこれまたふざけてます。大毎オリオンズに入団してから全打席ホームランで39打席連続本塁打の記録を樹立するというんだから、もうふざけ過ぎです。 まあこの映画は大映がプロ球団を持っていたから撮れたようなもんで、後楽園球場にエキストラを入れてグラウンドでは現役の大毎や西鉄の選手にプレーをさせて撮影するなんて、実に贅沢です。剣の極意で本塁打を量産するのはいいんだけど、野球の事を全然判っていなかった一刀斎は守備はどうしてたんだろう?まあそこはご愛敬ということで(当時まだ指名打者制は導入されてません)。 というわけで野球の描写自体はしごく適当なんですけど、一刀斎を取り巻く下町の人間模様がけっこういい味出してるんです。一刀斎が住んでいる旅館の経営者家族や芝大門の天ぷら屋の親父さん、みんな実にキレの良いセリフのやり取りが笑わせてくれます。監督は誰かと思えば『狸御殿』シリーズの木村恵吾じゃありませんか、彼ならではのスピード感が溢れるユーモアは絶妙です。 ラストのヤンキースとの日米対決戦は予定調和ですけど、余韻を残したラストシーンは清々しさを感じさせてくれました。ちょっとした掘り出し物です、この映画は。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-04 23:49:21)
1206.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
『ラッキーナンバー7』という邦題をつけた配給会社のセンスはある意味で凄い、普通なら『ラッキーナンバー11』じゃないかな? 冗談はさておき、本作はゼロ年代を代表する“キャストがムダに豪華”な一篇じゃないでしょうか。監督はともかく、プロデューサーの腕はかなりのもんだったということでしょう。でも脚本が酷すぎでしょう。冒頭のブルース・ウィリスのムダなおしゃべりでグッドキャットとスレヴンが何者なのかはもろバレで、これでは後半盛り上がる訳がありません。敵対する組織のボス同士が通りをはさんで向かい合ったビルの最上階に立てこもっているというプロットにしても、これは何かの伏線かと思えば全然違って、これはギャグのつもりだったのかと脚本家の意図に首を捻らされます。「カンサス・シティー・シャッフル」にしても何が言いたいんだか不明でしたし、単なる脚本家の独りよがりみたいでした。 まあとにかく、出演俳優陣の皆さまご苦労様でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-04-03 20:01:36)
1207.  エンド・オブ・ザ・ワールド(2012) 《ネタバレ》 
「もしブルース・ウィリスが『アルマゲドン』で小惑星の爆破に失敗したら、人類は残された時間をどうやって過ごすだろうか?」という妄想を映像化しました、って感じでしょうか。世界の情勢はほとんど判らず、主人公のカップルの周りで起こっている出来事だけで人類の滅亡を見せるとは、ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』への返歌という意味合いもあるのかもしれません。私は『メランコリア』は未見ですけど、あくまでファンタジーだと判っていても本作で名もない庶民たちが見せる様々なリアクションは微笑ましくも有りまたリアルです。来週も来る気でいるハウスキーパーのおばさんやスピード違反の取り締まりに一生懸命な警官って、人間は恐怖から逃れるために無意識にルーティーン・ワークに没頭したがるものだという本質を突いていますね。 スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイという意表を突いたようなキャスティングも良かったですね。二人とも良い演技でしたし、奇しくもそれぞれ別の作品で今年のオスカー演技賞にノミネートされたのも当然の結果かもしれません。ラストにバート・バカラックの『ディス・ガイ』を流してくれるところなんか、思わず涙がこぼれそうでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-03-30 23:43:01)
1208.  セレブリティ 《ネタバレ》 
観始めてそうそう、「えっ、なんでウディ・アレンの映画に彦麿呂が出てるんだ?」とのけぞりましたが、良く観たらケネス・ブラナ―でした(笑)。ほんと観れば観るほど彦麿呂そっくり、これが稀代のシェイクスピア役者かと思うと情けなくなります、まあそう思わせるぐらいケネス・ブラナ―が上手かったということですが。 それにしても錚々たる顔ぶれの出演陣ですね、まあ超メジャーなのはディカプリオとシャリーズ・セロンぐらいなものですけど、真面目にギャラ払ったらもの凄い製作費がかかっちゃいますよね。亭主に捨てられたと嘆くジュディ・デイビスだったけど、その亭主ブラナ―が実は下げチン男で呪縛が解けたデイビスがセレブの世界でトントン拍子で出世する一方、下げチン男ブラナ―はどんどん落ちぶれてゆくという割と判り易いストーリーではあります。 『スターダスト・メモリー』でアレン版『81/2』を撮ったうえに『甘い生活』にまでオマージュを捧げるとは、この人ほんとフェリーニが好きなんですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-28 21:22:31)
1209.  思春の泉 《ネタバレ》 
石坂洋二郎の小説『草を刈る娘』の映画化で、日活でも吉永小百合と浜田光夫が主演の同名映画がありますが、これは本作『思春の泉』のリメイクなんです。ややこしいことに新東宝版も再公開されたときに『草を刈る娘』に改題されていて、現在観れるバージョンはこのタイトルになっています。 さてこの作品ですがいかにも石坂洋二郎の原作という感じの農村喜劇なんですが、実は掘り出し物でかなり面白いんです。舞台は東北のどこかの山村で、年に一度秋になると近所の集落から集まって馬草用の草刈りが行われます。この草刈りが木の枝や草でテントを作って泊まり込みのキャンプみたいな感じなんです。どっちの集落も長老みたいな婆さんがリーダーで、毎年お互いのグループの男女をカップルにして縁結びするのが愉しみというわけです。この草刈り合宿が実に大らかで好いんです。今年の縁結び候補は宇津井健と左幸子、宇津井はこれが映画デビューでさすが早大馬術部にいただけあって、裸馬をらくらく乗りこなしての初登場シーンはさっそうとしてました。左も本格的な主演はこれが初めてだったそうですが、やはりこの人は天才女優ですね、瑞々しいながらも農村の娘を生き生きと演じきっています。また性に大らかな農村の風俗がまた良いんですよね。左幸子の演じる娘も男性経験はないにしてもヤル気は満々で、「おら一生懸命子ども創るだよ、そして枯れた婆さんになりたいだよ」なんてセリフもあり、よく聞いたらとても生臭いことをこれだけカラッと言える女優は滅多にいないいんじゃないでしょうか。 監督は中川信夫で、朝日新聞で本作が好評だったのを観た森岩雄から東宝復帰のお誘いがかかったそうです。新東宝と言えばレベルの低いエロ・グロというイメージですけど、大蔵貢が来る前はこういう良質な文芸的なエロも撮ってたんですね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-03-25 20:26:48)
1210.  ムーンライズ・キングダム 《ネタバレ》 
シニカルでファンタジックな、まさにウェス・アンダーソン版『小さな恋のメロディ』と呼ぶのが相応しいかも。でも『小さな恋のメロディ』と違うところは、大人の事情というか視点のウェイトが大きいところでしょうか。平行に移動するカメラや劇中劇といったアンダーソン映画のお約束ごとは相変わらずといった感じですが、サムとスージーの森の中の逃避行やたどり着く入江など、いつもは造りこんだ人工的な世界でストーリーテリングするのに自然描写を織り込んでいるのが新鮮でした。家の中でラウド・スピーカーを使うフランシス・マクドーマンドや外界を眺めるのには必ず双眼鏡を使うスージーは、奇妙な暗喩ですけどこの母娘の微妙な距離感を象徴させているんでしょうか。 この監督の映画は観る人の好き嫌いがはっきり分かれる傾向がありますけど、自分はこの作風は好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-24 22:49:48)
1211.  続・雷電 《ネタバレ》 
さて雷電物語も続編でいよいよ佳境です。続編では同時代の有名人である田沼意次や大田蜀山人を無理矢理引っ張り出してきて物語に絡めさせる展開になってます。中でも沼田曜一が演じる蜀山人は太郎吉とおきんの守護神となって八面六臂の大活躍で、沼田曜一も個性を活かしたのびのびとした演技で光ってました。 相変わらずおきんは不幸の連続で、とうとう伊豆の山奥に逃げなければならない羽目になりました。いっぽう力士・白根山として出世街道を驀進中の太郎吉ですが、お抱え大名の松平出雲守からお八重(池内淳子)との婚礼を世話されてしまいます。ここでお約束のようにおきんが江戸にもどって来て太郎吉は板挟みになりますが、力士としての出世を願うおきんが泣く泣く身を引き太郎吉はお八重と婚礼を結ぶためお殿様と出雲に向かうところで物語はお終いです。劇中でおきんはこじらせ女ぶりを発揮してけっこうイラつかせてくれましたが、さすがにこの結末には涙を誘うものがありました。 観通してみての感想は、原作小説あってのことでしょうけど、せっかくの題材なのに予想外に相撲シーンが少なかった印象です。タイトル・ロールで判りますが、当時の現役大相撲力士も出演していたみたいなのにもったいないことです。青春ものとして観ればまあまあの出来かなと思います。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-03-21 19:24:42)
1212.  雷電(1959) 《ネタバレ》 
江戸時代に実在した伝説の最強力士、雷電為右衛門の青春時代を描いた尾崎士郎の新聞連載小説の映画化です。本編はその前編で『続 雷電』と合わせて一本の映画と考えてよく、二本合わせると上映時間2時間40分という新東宝にしては珍しい大作であります。 その雷電為右衛門を演じるのは宇津井健で、この頃の彼はけっこう筋肉質のガタイなのでこの役にはピッタリのキャスティングでしょう。映画はいきなり浅間山の大噴火で始まり、その騒ぎの中で太郎吉(宇津井健)と薄幸の娘おきんが知りあうのですが、この噴火シーンは新東宝としてはかなり頑張った映像かと思います。信州の貧しい農家に生まれた太郎吉がおきんと夫婦の誓いを交わすけど運命に引き離され、太郎吉は相撲部屋で力士の修行おきんは老中本多中務大輔の屋敷で腰元をしているところを江戸で再会する。宇津井健はヘタな演技がかえって朴訥で田舎ものである太郎吉のキャラにピッタリで、なかなかの好演と言えます。でもこいつが怪力無双のくせにかなり優柔不断な奴で、相撲を止めて実家に帰ったり出世するまでおきんと逢わないと誓ってもすぐぐらついてしまうんです。おきんも運命に翻弄される可哀想な娘なんだけど、彼女に災難が襲ってくるたびに太郎吉の足を引っ張っている感じでイライラさせられます。そういうわけでなかなか話しが進行せず、ふたりが心中しようとまで追いつめられたところで前編は終了。 でも監督が中川信夫だけあって、そこそこ良く撮れています。彼が得意とする引きのカメラを多用した映像は堪能できますし、おきん役の北沢典子も良い演技でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2015-03-21 19:23:28)
1213.  フィラデルフィア・エクスペリメント(1984) 《ネタバレ》 
さすが“製作総指揮ジョン・カーペンター”だけあって、広げた風呂敷のたたみ方がなんとも豪快というか強引ですね(笑)。タイムスリップものは個人的には大好きなんですけど、しょせんこのジャンルはバカ話であることも承知しております。でもバカ話であるにしてもプロットや伏線には知恵をしっかり使ってくれなきゃ映画としては困るんで、タイムスリップ映画にはこれが判っていないバカ映画が多すぎるんですよね。 ほぼ同じ実験を40年もたってから繰り返す科学者もどうかしてるけど、この博士がバカに見えてしょうがなくなる大きな理由があるんです。時空間に穴を開けてしまって「世界の滅亡だ!」とあわててますが、エルドリッジ号が40年前には再出現したということはマイケル・パレが電源を切れたからで、つまり始めから時空の大穴がふさがることは判っていたという結論になります。パラレル・ワールド理論ならこの大騒ぎは理解できるのですが、この脚本には端からそこが念頭にないのですからしょうがないですよね。 あとひとこと言わせて頂ければ、ラストの現代に戻ってくるマイケル・パレには浦島太郎みたいに一気に老けてくれたら面白かったんですけど…
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-03-19 22:32:53)
1214.  ニューヨーク一獲千金
設定やストーリー・テリングにはちょっと無理がありますが、ドタバタ・コメディとして観ればそこそこ愉しめるでしょう。そこら辺は才人マーク・ライデルが監督ですからツボがよく判ってますよね。ジェームズ・カーンとエリオット・グールドは予想外に良いコンビで、二人の共演が本作だけというのは実にもったいないと思います。この二人がコンビの芸人という設定は終盤のオペラでのドタバタに良く活かされています。それにしてもこの二人は歌も上手いしほんと芸達者です。脇を固めるマイケル・ケインとダイアン・キートンはいつも通りのキャラで手堅いんですけど、マイケル・ケインのコメディ演技ははんと安心して観れます。他にバート・ヤングやチャールズ・ダーニングも出てるし、俳優陣はかなり豪華な小品でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-17 21:23:01)
1215.  ワイルド・ギース 《ネタバレ》 
元祖“漢泣き傭兵映画”として傭兵戦争アクションというジャンルを築いた功績はこの映画にはあるんですけどね… 確かに脚本は秀逸で各キャラも立ちまくっているんですが、監督のアンドリュー・V・マクラグレンの演出力がそのレベルについて行けてないというのは残念なところです。この人ジョン・フォードの弟子で助監督としてフォード西部劇を支えてきた人なんですけど、ひとり立ちしてからはどうも冴えませんでしたね。この映画に限った事じゃないのですが、彼のアクション演出はどうも冗長でキレがないんですよね。言ってみれば昔の西部劇調の演出パターンから脱け出せなかったということです。あと、冒頭とラストに流される歌が、まるで角川春樹みたいなダサいセンスで最低。 リチャード・バートンはじめ傭兵メンバーはちょっとあり得ない様なオッサン軍団なんですが、これが皆いい味出してるんです。苦労して脱出できたのにリンバニは死んでしまうという結末は、傭兵の悲哀が色濃く漂っていて渋い。登場キャラの中では、“軽薄なジェームズ・ボンド”といった風情のロジャー・ムーアの役柄が私の好みです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-13 22:16:22)
1216.  キャビン 《ネタバレ》 
いやあ、ほんとぶっ飛んでますねえ。「なんだこれは?『トゥルーマン・ショー』のスプラッター・バージョンか?」と首をひねりながら鑑賞してると、まさかまさかのジ・エンド・オブ・ワールド! 監督したのは『LOST』の脚本家だと知って何となく納得でしたが、それにしても良くもこんなストーリーを考えつくものです。“怪物倉庫”のふたが開いてからのラスト20分の壮絶なこと、古今のホラー映画の怪物・殺人鬼が総動員ですからねえ。けっこうブラックなユーモアも散りばめられていて、カップルが誰もいない部屋でエッチを始めようとするのを管制室の職員たちが総出で見物していたのは可笑しかった。でも、「生贄には処女がひとり必要」「処女って私の事?」「そう、ほとんど処女だから」というシガニー・ウィーバーとクリステン・コノリーのやり取りには大爆笑でした。“ほとんど”ってどういう意味だよ、ちゃんと説明してみろシガニーさん(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-10 21:49:00)
1217.  映画と恋とウディ・アレン
ウディ・アレンのファンや彼の映画に興味がある人なら必見のドキュメンタリーです。彼の生い立ちからスタンダップ・コメディアン時代の貴重な映像も見せてくれます。『What's Up, Tiger Lily?』の事はまったくスルーで『泥棒野郎』が初監督だとしていることには、やはりなあ、と思わせていただきました。アレンの妹さんが出演してましたが、『ブロードウェイと銃弾』以降のアレン映画のプロデューサーの一人だと知って驚きました。アレンを語るうえで欠かせない二人の女優、ダイアン・キートンはもちろん出てますがやっぱりミア・ファローは無理だったみたいですね。とくに印象深かったのが、ジョシュ・ブローリンやナオミ・ワッツ等の錚々たるハリウッド俳優たちが「アレンを喜ばせたくて一生懸命演技した」と語っているところでしょうね。こんなこと言ってもらえる映画監督は、彼の他にはイーストウッドぐらいのもんでしょう。 アレンの父親は100歳の長寿だったそうですから、ひょっとすると彼もマノエル・ド・オリヴェイラや新藤兼人みたいな“100歳監督”になれるかもしれませんね。彼の書いた名セリフじゃないけど「映画監督はサメに似ている。映画を撮り続けないと死んでしまう」ということなんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-09 20:03:46)
1218.  白線秘密地帯 《ネタバレ》 
新東宝で“海女もの”と並んで異彩を放っている“地帯(ライン)シリーズ”の栄えある(?)第一作であります。製作された昭和33年は売春防止法が施行された年で、その売防法の裏をかく売春組織を描くのが“ライン・シリーズ”の共通したプロットです。そのテーマからすると、同年に撮られている『女体桟橋』が起源という説も有りますが、まあはっきり言ってどうでもイイことでしょう。 トルコ風呂なんて懐かしい代物が最新の風俗業と言うことで時代を感じさせてくれますが、こと色の道になりますと古来より日本人は才能を発揮してきたんだなと素直に感心いたします。主人公の刑事は宇津井健、彼にほとんど芝居をさせずに犬のように売春組織を追いつめてゆく姿を市街ロケを多用してドキュメンタリー・タッチで描いています。そして特筆すべきはこの映画こそ菅原文太の映画デビュー作なんです。役は大友純の子分のチンピラギャングでセリフもほとんどないんですが、これは確かに文太です。 ここでどうしても触れておきたいのは、私が観たのはオリジナルの71分が13分もカットされたバージョンだったことです。つまり上映時間にして2割は短いということで、正直言って観てて筋を追うのがやっとという感じでした。1シーンで5カットあったところを3カットに短縮してる様なものですが、ローアングルを多用した意欲的なカメラワークなのでちょっと残念です。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-03-07 23:30:14)
1219.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
この映画を観た人は誰しもが納得するところだと思いますが、ワン・シーンだけなんですがデ・ニーロが登場してから緊張感が高まりテンポがすごく良くなるんです。そこまではどちらかと言うとモタモタした展開だっただけに、これは監督が狙ったのか映画の神に愛されているデ・ニーロだからこそ成し得る御業なのか、面白いところです。そしてクリスチャン・ベイル、あそこまで醜く肉体破壊してまで役作りに励む役者魂は、彼こそデ・ニーロの後継者たり得る人物なのかもしれません。良く観察してみると、この映画での彼の演技はなんか若いころのデ・ニーロを彷彿させるものがありました。 終わってみれば主要キャラはみなルーザー(負け)でカタルシスのかけらもないし、映画の登場人物に感情移入出来ることを求める人には耐えられないお話しでしょうね。でも俳優の演技を愉しむという観点からは、主要キャラ四人が全員オスカー・ノミネートというのも納得の逸品だと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 23:45:10)(良:2票)
1220.  ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 
このシリーズは始めから三部作で撮る計画だったので、一作ごとに過不足なくアクションが詰め込まれているから私は好きです。ジェイソン・ボーンのアイデンティティに拘った本作では、殺し屋とボーンの対決に的を絞って謎はほとんど残してるので次作も観たいという観客の欲求を狩りたてるような上手い終わり方でした。 マット・デイモンにアクションさせるというキャスティングも絶妙です。セガールのようなプロもどきの格闘達人じゃないので絶妙なカメラワークとカット割りで大胆に肉弾アクションを構成していて、実にこれが説得力ある画になっているんです。ボーンがあまり銃を使わないところも渋い。でも送り込まれる殺し屋は意外と弱くて、クライヴ・オーウェンの呆気ない最期にはちょっと唖然でした。カーアクションも他の二作に比べるとおとなしめでしたが、ミニという車の特性を最大限に活かした撮り方ですね。 それにしてもCIAという組織の悪辣ぶり、自分たちはラングレーの本部から動かず、スイスやフランスの警察をまるで岡っ引きみたいにこき使うって、どこまで実態を反映してるのか判りませんが凄いですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-03-01 20:02:31)(良:1票)
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