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プロフィール
コメント数 1693
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1201.  ザ・ボーイ ~人形少年の館~ 《ネタバレ》 
人形に霊が宿っているのかいないのか、という肝心な点を、そこそこ巧みにどっちつかずなまま展開していき、クライマックスで「実はオカルトじゃなくてスリラーだよ!(ババーン)」となるメインの仕掛けに関しては、伏線の張り方もそこまで悪くなく、まあまあビックリできると言えなくもない。しかし、何より腑に落ちないのは、息子を普通に匿っているなら何故生き人形をつくる必要があったのか、というそもそもの部分であるし(心の病を装って色々と誤魔化そうとした、とゆーことかも知れないが、でもあの屋敷マルコムくらいしか来ないやん、と)、そしてもう一つ、オーラスの「あなたは人形なのよ」的なオチ?の部分も、ハッキリ言うがまるで意味不明である。  そこに加えて恐怖描写も凡庸極まりなく、ホラーが観たくて観た場合には正直肩透かしを喰らう様なレベルだとも言える。ただ、所詮B級ホラーにあまり高い完成度を求めるのも詮無いことか、とも感じる。メインの仕掛けがある程度アイディアなことも踏まえ、あくまで暇潰し程度にはギリギリ使えなくもないだろう、という所かと思う。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-07-26 18:03:17)
1202.  フェブラリィ -悪霊館- 《ネタバレ》 
結論から言えば確実にホラー(悪魔憑き系)なのだが、中盤のだいぶ深くまで(残り30分くらいまで)かなりサスペンスに寄った内容である。と言うか、謎を色々と残して進行していくけどあまり大したことが発生しない、くらいな感じで、正直結構に退屈。  かつ、特にその前半は説明描写が不足+あっても非常に分かり辛く、何が起こっているのかもイマイチ伝わらない。残り30分の種明かしを受けて、前半の描写も後から分かってくるとも言えるが、正直もう一回観よう、という気にはならない程度の出来でもある。重ねて、前半が(少なくとも私には)ちょっと辛すぎた。凄惨な殺人描写にはそこそこ見応えがある。あと主演のルーシー・ボイントンはかなり可愛かった。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-07-26 15:36:47)
1203.  ネクロマンティック2【完全版】 《ネタバレ》 
『1』の直接的な続編。前作でも感じたことだが、ブットゲライトは意外と、アート系映画や文芸映画なんかを撮っていたらそこそこイイ作品を生み出したのではないかと思う。なんというか、ショパンが現代に転生したらデスメタルに嵌ってしまいました、みたいな残念さが漂っている感じとでも言おうか。  今作、内容には前作よりもだいぶ奥行きがあり、ひとりのネクロフィリア(女性)の人物像をよりしっかりと描いてゆく。しっかりと描くという点で全体的に尺を相当にゆったり気味に取っており、確かにそこが少し冗長にも感じられる。しかし、心情表現などはこれまたかなりキッチリしていて、総じてお話としては意外な程に見応えがある。特に秀逸だと思ったのが中盤のセックスシーン。死体愛好者の彼女は、普通のセックスでは満足を得られない。陳腐なセックスへの幻滅ぶり、焦燥感、果てはそんな自分の歪んだ性癖への一種の恐怖までが感じ取れる、優れたシーンだった。他にも、少しアーティスティックかつメランコリックなシーンもあったりで、その面で単なるグロ映画とは一線を画しているのは確実である。  とは言え、本作はグロ映画としても、ラストには前作にも引けを取らないド級の倒錯的シーンを平気でブッ込んで来るし、その直前のアザラシ解体シーンも、前作のウサギより汁気が多い分グロ度は上にも思われる。ブットゲライト、やはりこいつは稀代の鬼畜だ。
[DVD(字幕)] 7点(2020-07-26 02:18:38)(良:1票)
1204.  ネクロマンティック1【完全版】 《ネタバレ》 
そのずば抜けた猟奇性が今なお他の追随を許さない、20世紀最強のグロ映画。映像的にも内容的にもこの上無いグロテスク加減で、特にその内容面のグログロぶりには、どういう頭の中身をしていたらこんなイカレた話を思いつくのかと、監督の精神の在り方の方により深淵なる恐怖を覚えるホドである。  グロ描写の組立てとして秀逸だと思われたのが、例えば序盤のウサギの解体シーン。ウサギの映像はホンモノなのであるが、それと並行して人間の死体の解剖シーン(こっちは当然ニセモノ)を織り交ぜてゆく。すると次第に、人間の方もなんかホンモノに見えてきて、そしてウサギの方もこれまた大変に痛くて気持ちの悪いものに見えてくる。中々にテクニカルな「綯交ぜ」の妙だと思う。似た様なので言うと、死体とのセックス後、死体を壁に吊るしといて(体液とかダラダラ滴ってて)、他方でデカい肉を焼いて旨そうに2人で食ってみたり、これとかも正直オエっとなりましたよね(これも両方の映像を混ぜこぜにしてるし)。  音楽の使い方も巧い。不協和音主体の如何にも狂ってる感じの音も使うものの、ごく平凡な曲やピアノの結構キレイな曲を、死体をいじくったり死体とセックスしたりというシーンに充ててくる。むしろそのことが、それらの行為に潜む狂気を逆説的に際立たせている様にも感じられる。  ド級に狂気、しかし、巧さも在る。ある種、非常に始末の悪い最低映画かもしれませんね。
[DVD(字幕)] 7点(2020-07-26 01:40:17)
1205.  スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!! 《ネタバレ》 
インドの学園ものラブコメ(その意味ではティーン向けかも)。見た目は東出昌大、中身は剣桃太郎みたいな奴が主役。前半、この手のではよく出てくる親が金持ちなエリート野郎と、身の上の差異を乗り越えて友情を育むが、恋愛絡みのハプニングで仲が拗れてメインのNo.1対決へと突入していく。ただ、仲が拗れる場面では、どいつもこいつも「それを言っちゃあ終いだろ」な心にも無い酷い事を言いまくっており、これがインドの風情?とも思う(まあ若気の至りと言えばそーなのだが)。No.1対決の意表を突く終着ののち、ラストは少ーし捻りを効かせてごく爽やかな青春友情物語に仕上げており、抜群とまでは言わないが決して悪くもないかと。  恒例のダンスは全体的にかなり高水準で(若くてガンガン踊れる俳優が揃ってるからかも)、『マサラ・ディスコ』のシーンはYouTubeで偶にそこだけ観てたりしますね。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-07-25 18:55:42)
1206.  死霊院 世界で最も呪われた事件 《ネタバレ》 
ホラー映画界のMCUこと『死霊館』シリーズの隆盛は、邦題だけこれに便乗した数多の輸入ものB級ホラー映画を我々の手にもたらしたが(『悪霊館』とか『怨霊館』とかナントカ人形とか)、それら作品のクオリティは?と言えばどれも、タイトルに釣られて観てしまった自分が情けなくなるような代物ばかりである。  本作はその手の一角としてはだいぶん出来の良い方。まず、主題は悪魔祓いもの(実話ベース)だが、事件の真相をジャーナリストが追っていくという形式にしてあって、これにより少しサスペンス風に観てゆくことが出来る(とは言え、実は本件、悪魔とは何の関係もありませんでした、となるハズは無いので、疑似サスペンスだと言えなくもないが)。  前半は若干大人し目でややもすると少し退屈だが、中盤からは驚かし系の恐怖描写が多少キレが有るのと、終盤は話がスピーディに展開してラストはお待ちかねの悪魔との対決、と、後半は十分に面白く観れる。ロケ地はルーマニアで(元ネタの話が当地産で)、寂れた感じの情景や古い建物がまあまあ独特、かつ雰囲気も結構グッド。あと面白かったのが、聖水を封じるために悪魔が室内に雨を降らすという怪異。そこら辺、随所にユニークな点も見られ、ホラーとしてまあ観て損は無いかなあ、とも感じる。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-07-25 18:55:40)
1207.  爆裂魔神少女 バーストマシンガール 《ネタバレ》 
『片腕マシンガール』のリブート。低予算で血飛沫スプラッシュなスプラッタ路線はそのままだが、世界観は前作にも増してかなり異様で異形。しかし、残虐と淫猥を基調としつつも、どこか昭和テイストで破滅的な滑稽さを纏っていたりする雰囲気は、音楽への妙な拘りも相まってこれまたかなり独特な味わいを出せている。  妙ちきりんな演技・演出だらけだが、キャストはいずれもまずまず振り切れており、個人的にはこれも悪くない様に思える(まあ、全てを素直に直視できる、とは言い切らないケド)。中でも主演の女の子2人(搗宮姫奈と花影香音)は、アクションにせよパンチラにせよイカレたハイテンション芝居にせよ、正に体当たりなチャレンジが健気に本気でこれも好印象。アクション面でも、チープながらも色々工夫し(カメラワーク・早回し&長回し・特殊効果)、粗さをそこそこ上手く消してB級としてはまあまあ観れる出来にも仕上げている。この手の(おふざけ)アイドルアクションとしては間違い無く及第点以上かと。  一点だけ、北原里英が着物の下に白ホットパンツ着込んでるのだけは納得いかん。これがフンドシだったら、もう1点加点してましたですね。
[映画館(邦画)] 6点(2020-07-25 18:55:39)
1208.  モーリス 《ネタバレ》 
原作の小説が書かれたのは100年以上前。それを考えれば、この小説が先進的で本質を捉えた優れた著作だったことに疑いは無く、そしてまた、これを映画化する意義が製作当時でも全く失われていなかったのも間違いの無いところだろう。特に、登場するふたりの人物描写に見られる「相違」、モーリスに対してクライヴがより適応力が高いというか、自分の感情・本能と社会的自己との整合をより器用にこなせるという風に描かれる点には、原作者のこの事柄に対する的確で深い理解を伺わせる(クライヴが、LGBTとしていわゆるバイセクシャルに該当するような個人であったのか、それともこれは彼の恋愛当事者としての特性・個性だったのか、という点は定かである訳では無いとも言えるが)。  ただ、話の内容自体は、昨今のより高度なLGBT映画に比べればだいぶ普遍的、かつシンプルなものだと言える(それが良いのかも知れないが)。その意味で言うと(同様のテーマの作品が他にもあるという意味で)これを鑑賞することの社会的意義が製作当時よりはやや薄れたであろう現在では、実際に本作を観た人々の作品自体の評価もある程度変わってくる様にも思われる。  しかし、時代的で文芸的な雰囲気の素晴らしさに加え、この時代のこの事柄を描いたという史料的な意義からも、その部分での本作の価値は決して今後も損なわれることは無いだろう。むしろ、同性愛に対する偏見が少しずつでも薄れつつある現在の方が、本作の恋愛映画としての純粋な良さというものは、よりコレクトリーに感じ取ることが出来ると言えるのかも知れない。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-07-25 18:33:21)
1209.  ニノチカ 《ネタバレ》 
グレタ・ガルボの魅力にヤラれてしまいましたねえ。年齢的には34歳、なので『グランド・ホテル』や『椿姫』とかのときの方が、見た目にはより瑞々しさがあったと言えるかも知れません。しかし、登場直後のボリシェヴィキ的冷血人間な様子(この時点で既にたまらなくユーモラスですが)からの、それが完全に蕩けだす件の大笑いの名シーン、引き続きメロメロにメロドラマを演じつつ、果ては酔っ払って大ポカをやらかしちゃったり、ガルボがそんな諸々の表情を見せていくサマだけでも十二分に楽しんで観てゆけます。  基本的には共産主義を笑い飛ばすべくつくられた風刺劇で、ガルボが高潔な理想に燃えているにも関わらず、ソ連側の描かれ方はかなり粉々にネガティブだと感じます。一方で、大公妃もまた傲慢極まりない俗物として描かれているため、右か左かというそこら辺に関わるシニカルな笑いの描写には、総じてあまり好い印象を受けなかったのも率直にいって事実であります。  ですから個人的には、あくまでラブコメに徹した部分を楽しもうという風に観ていました。結論的にはその分にしても、かなり面白く観れる作品だと思います。ガルボ・ファンなら絶対に必見と言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-25 01:26:27)(良:1票)
1210.  男と女(1966) 《ネタバレ》 
映画というよりも、むしろ詩と歌と絵、いささかミュージックビデオの方に近いとも思われる作品で、実はストーリーはあって無い様なもの、かも知れない。しかし、詩的で抒情的な愛の語らいは洒脱なフランス語で音的にも心地良く(フランス語って、愛を囁くためにある言語ですよね)、そして音楽は何と言ってもフランシス・レイの超傑作ウルトラ・スタンダード・ナンバー。なんと予算不足が原因とのことだけど、モノクロの綯交ぜになった映像面の美しさも実に味わい深く、ここに加えて、フランス的美意識のひとつの到達点とも言うべきアヌーク・エーメの芸術的な美人ぶりが正に至高、という。  愛とは甘さ、であるかの様にただ甘くて、最後に少しだけほろ苦甘く融けてゆく後味の良さも含め、あくまで雰囲気映画だが、その部類では随一、という作品。傑作かと。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-25 01:26:25)(良:2票)
1211.  クォ・ヴァディス(1951) 《ネタバレ》 
古代中華のいわゆる「三王」、夏・殷・周の最後の王はいずれも、悪い(とされる)妃に誑かされて国を滅ぼした。このお話はつまり、神話的類型と不可分である中華古代史の特性を表していると同時に、歴史愛好者にとってのささやかなる希望的観測、即ち、古の人の世に王者たりし男というものは、その人の為に国を滅ぼすという程に深く女を愛するということが可能だったのかも知れない、というひとつの芳しい可能性を包含しているとも言えるのだ。  古代史の中に生きる人々からは、概して、より直情的で純粋な感情を感じ取ることができる。それは彼らが、過去から現在に至る過程で人類が身に付けてきた複雑な倫理観・価値観をいわば脱ぎ捨てた状態に在るからであろう。そして、人が人をただ純粋に愛し抜くには、今の世界もまた複雑すぎると言えるのかも知れない、とも思う。  本作は、キリスト教的価値観に応える部分を除けば、極めて単純な男女の愛の物語だ。尚且つ、男と女が互いに恋に落ちることの理由には何らの説明も為されない。これは、世界がよりシンプルで本質的な史劇の中だからこそ可能となることであり、そして、そこに無造作にも描き出される愛の結実にはまた、却って現代劇では得ることの出来ないひとつの高度な純粋性を感じ取ることが出来る様にも思われる。  最後に一言。史劇にこそ、描かれるべきは人の正しき在り方である。宗教的な価値観の表出に傾注しがちなこのジャンルの作品として、原典の持つその部分のテーマ性を決して疎かにしなかった本作には、個人的には非常に好感が持てるのである。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-25 01:26:23)(良:1票)
1212.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
シンプルですが、実に羨ましい能力ですね。この能力があったなら、私なら高校時代を永遠にループするか、1日を10回繰り返して少しずつ進んでいくか(やり残しをつくりたくないタイプです)、どっちかだと思いますね。  しかし、コメディ的なことではあるのでしょうが、主人公とゆーのが中々に残念なヤツで、この能力が無かったらどーにもならない様な、とでも言いますか。ただ、彼に好感が持てるというのが、あくまで自分と自分の周囲の人の幸せを守るために、ごく謙虚にこの能力を使うこと。私なら、シャーロットにあんな感じで誘われているなら、一回は為る様に為ってから時を戻しますよね。  お話自体は割と平穏でノンビリ観れるというものですが、もう一個印象に残ったのは、女の子がみんな可愛いなあと!地味な所で言うと妹も結構可愛いと思ったのですが、のっけのシャーロットがまずエラい美人さんだなあ、と思ったらこれがまだ若きマーゴット・ロビーでした。しかし、そんなのどーでもいいかもというレベルで可愛すぎるのがレイチェル・マクアダムス。こんな感じに程良くエロくて面白くて、かつ優しくてキュートな女の子と人生を歩んでゆけたらと、誰でも想像してしまいますよね。  個々のシーンでひとつ、嵐の結婚式(大惨事)も好きなシーンですね。大爆笑でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-25 01:26:20)
1213.  フルスタリョフ、車を! 《ネタバレ》 
こ、これは中々、難解な…流石ロシア………  舞台設定・登場人物は明確で、スターリン末期の1953年2月、混迷深いソ連において、反ユダヤの陰謀に巻き込まれるひとりの将校(軍医少将)が主人公という。しかし、実際の展開運びは意味不明もいいトコロな代物で、解説が無ければほぼ解読不能というレベル。これならいっそ、中途半端にストーリー(らしきもの)が無い方がむしろマシなのではないかと思わせるホド(ストーリーを追うことが無意味ならば、そうだとハッキリ言ってくれれば無駄な努力もせずに済むのだから)。  作中に盛り込まれる演出のモチーフも多様で異様、かつどれもアンマッチである。ひとりでに開く傘、火吹き芸、理由も分からないままに勃発する取っ組み合いの数々…しかし、台詞回しからカメラワークに至るまで各シーンの実際のつくり自体は非常に綿密、かつ確信的であり、何らかの強力なモチベーションに裏打ちされたものであることだけは十二分に伝わってくる。監督にとっては、今作も会心の出来と言ってよい作品なのだろう。満を持して出品された1998年のカンヌでは、審査員長のスコセッシをして「何が何だかわからない」と言わしめたらしいケド。  ちなみにこの風変わりなタイトルは、終盤に実際の台詞として登場する(ただ別に、これも全然重要な台詞でも何でもないんですけどね)。
[DVD(字幕)] 5点(2020-07-23 22:59:01)
1214.  フレンチ・カンカン 《ネタバレ》 
「ムーラン・ルージュ」って、むかし勝手になんかエロい言葉かと思ってました(スイマセン)。赤い風車、その名を冠するフランスの有名なキャバレーの誕生物語で、歌と踊りを交えつつ進行する構成はミュージカル風、と言ってよいだろう。その分(というのもなんだが)話の内容はかなり他愛の無いラブ&ドタバタ・コメディ風で、ここは気楽に観流してしまっても構わない、といって過言ではない。  圧巻はラストのフレンチ・カンカンである。映画がカラーになるのを待ちかねてました!という様な超絶カラフルな色彩の美しさ、跳ね上がる足の躍動感、弾ける女たちの笑顔。狭いホールに詰め込めるだけ詰め込んだとゆーようなそのギュウギュウなごったまぜ感は、正に一杯に宝物の詰まった宝石箱とでも言うか、実に見事。素晴らしきエンターテインメントの殿堂を時空を超えて仮想体験できる。  カンカン以外にも、ちょいちょい入る歌や舞台芸が結構クオリティ高かったのも印象に残る。4人ほどの歌手がちょっとずつ歌っていく中で唐突にエディット・ピアフ登場(ああ、残り3人も俺が知らないだけでさぞかし高名な歌手なのだろう、と)。あと『天井桟敷』のジャン=ルイ・バローみたいなパントマイマー?が出てきたと思ったら、やるのはなんと口笛、これが巧いコト!(どうやったらあんな澄んだ音が出るのやら)
[インターネット(字幕)] 8点(2020-07-23 17:22:48)
1215.  ブライトバーン/恐怖の拡散者 《ネタバレ》 
言うて、自分の子供が「悪」だったら、というのは、結構普遍的でかつ強力なホラー素材と言えるだろう。なんつっても一番怖いのは、人間の「壊れた」やつなのだから、とゆーこともあるし。  ただ、その方面での一番ネガティブな展開、というのは、自分(親)の所為で子供が完全なる悪になってしまったら、という状況に思える。その意味では今作は、肝心のガキというのが所謂「貰い子」で、かつ最初っから「壊れて」いました、というのであるから、私が気にしているよーな話にはなっていない。あくまで今作は『オーメン』の系統である(ホラーとしては)。  しかしこの映画、その一方で『スーパーマン』を代表とするアメコミ映画のアンチテーゼとしての側面を明確に有しており、中盤以降、自分の能力に気づいたガキがそのスーパーなパワーでひたすらおイタを致しまくる、という非常に単純な話になってしまっている。加えて、映画の質感もあまりホラーという感じでもなくなっている。スーパーなパワーによるショック描写の質感とゆーのが、とりわけホラー的ではない、ということのよーにも思える(同じ「超常現象」といってもホラーとヒーローもののそれではやっぱ違うよね、とゆーか)。  結局、ホラーと言うには「怖い!」という感じでもないし、ダーク・ヒーローだと言うてもいくら何でも主役のガキに魅力というか、感情移入の喰い込む隙が無さすぎるでしょ、という感じだし(見た目が子供なだけで、完全に人外ですよね)、どこに観る価値を見出せばいいのかがかなり難しい作品に思える。グロ映画好きな私としては、終盤盛り上がってゆくグロ展開はそこそこ悪くないかとも感じたが、これも些末なことだし。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-07-23 01:23:48)
1216.  ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 《ネタバレ》 
ラストにフリーマンは呟く「この数日は、ローラーコースターだった」と。正にその如く、のっけから犬が腰抜かしただのテロルだの、家を売ったり買ったりも含めて、とにかくま~忙しないコト。「アレ、これシニアな映画ですよね?」という強烈な違和感の源泉は、年甲斐も無く元気「すぎる」主演の二人の若々しさに在る(それ自体は喜ばしいことなのかも知れないが)。そう、この二人、どー見てもこの家を売る必要なんてないのだ。その意味ではこの結末、確実に予定調和なボンクラだと断言できる。  しかし、ま~不愉快な年寄り夫婦でしたね。家を売るってえのも、結局単なる思い付きでしょ?要は暇潰し、小人閑居して不善を為す、てえヤツですよ。他人の迷惑も気遣いも全く己の眼中には無く、自分の感情のみを優先して行動することに微塵の悪びれもせず、その癖カネにだけは小汚い。怖気が走る程にリアリティの在る、正に「老害」そのものでしたね。  リリーがキレるのも無理はねーですよ(てか、彼女にしか感情移入できないすよ本作)。結論、観たかったのとは一周回って更に180度真逆の映画でした。やれやれですね。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-07-22 22:53:19)
1217.  仮面病棟 《ネタバレ》 
速水と瞳が妙にテキパキと「捜査」を進めていくのとか、犯人が碌にエレベータを見張ってないのに誰も逃げようとしないのとか、中盤までは率直に、やや腑に落ちない点が幾つかある。そして、肝心の病院の「秘密」とゆーのが、正直言って「ですよね~」な陳腐な代物だったりで、ここまではハッキリちょっと白けた感じで観ていた。  しかし、そこには実は理由があって、一つの仕掛けでそこら辺をいったん全部綺麗に浚ってくれる最初の種明かしは中々に鮮やかな伏線回収ぶりで、おお見事だ、と思った。ところが、それ以降の終盤にかかる展開がまたイマイチよく分からん妙ちきりんで、よーく考えると分かってくるような気もするが、例えば…  ①相棒は何故殺されたのか  ②最初ファイルに拘っていたのに、それをアッサリ速水に渡してしまうのは何故なのか あたりはやっぱ正直よく分からんかった。前述どおり、1つ目のトリックの質は中々だと思うのだが、全体的には、微に入り細を穿って考え抜かれた、というよりは、場当たり的でややザルな、というシナリオで、最終的な納得度というものは(サスペンスとしては)率直に不十分だと感じる。  役者の演技も特筆するほどに良いと感じられるものは無かった(江口のりこですら無駄遣いなのも率直に勿体無い)。残念作。
[映画館(邦画)] 4点(2020-07-20 20:27:43)
1218.  マタギ 《ネタバレ》 
村落を襲う危険な巨熊との最後の戦いに挑む老マタギの話と、チビ犬を立派な猟犬(マタギ犬)に育て上げようとする老マタギの孫の話を軸に、東北の農村の生活風景を季節感豊かに織り交ぜて描いてゆく隠れた秀作。話の内容も普通にまずまず面白く観れるし、本物の熊を使ったクライマックスの対決シーンなどは緊迫感も中々素晴らしい。主演の西村晃は本物のマタギにしか見えない秀逸な役づくりでこの面の満足度も高い。一点だけ、特に前半は登場人物の訛りが非常に強烈で、何を言ってるのか分からないシーンも散見された(字幕が欲しい)。  あと、個人的に印象深かったのは、今は失われたであろう種々の農村の生活風景・風習の興味深い様子である。個々のシーンで特に面白かったのは、警察署長と飲んでるときに「ドブロク持って来い!」と言って署長が顔を顰める場面や、マタギ犬の大会の様子(ツキノワグマと犬を実際に対峙させるという)など。もう一つ、獲物は山神からの授かりものとして命懸けでこれと相対することを旨とし、旧式の猟銃と三発の弾のみを携えて山に赴くというマタギの精神性。これもまた、今は確実に失われてしまった日本人の在り方の一つであろう。
[DVD(邦画)] 8点(2020-07-19 23:47:40)(良:1票)
1219.  セックスと嘘とビデオテープ 《ネタバレ》 
性欲は3大欲求のひとつでありながら、大概の人が常に満たした状態にある他のふたつとは異なり、必ずしも全ての人が常にこれを満たした状態にあるとは言えない様に思う。そもそも、どういう状態にあることが真に性的に満たされていると言えるのか、ということを考えさせられる様な映画である。  本作に登場する4人は、自覚している・していないに関わらず、4人ともに性的に「不健全」な状態に置かれている。中で、最も一見して端的に病的な状況に在る様に思われるグレアムのアプローチ、物理的に不能な自分に対し、やはり性的に「不健全」であろう女性たちに、カメラを通しての精神的な「解放(裸身を曝すこと)」を要求していくという、これも一見高度に変態的な行為が、むしろセックスの本質のひとつの「正常な」側面を明らかにしている。終盤に描かれるアンとグレアムの精神的な解放・結合(自己の曝け出しと他者の受容)こそが、変則的ではあるがセックスの(形而上的な)あるべき姿だとソダーバーグは言いたいのだろう。  あくまで個人的には、このソダーバーグの結論は、万人がこれを認めるというにはやや高尚すぎる、とも思う(それは、もっと高次元の人間の欲求の話だと)。そして誤解を恐れずに言えば、そんなことを言い出すのであれば、生物学的には性欲の最も重要な論点は正に結果、つまりは家庭・子供を持つということに帰結するべきだ、とも私は考えている(性の在り方が多様化する現在、こんなことを言うと、また袋叩きにあってしまいそうだということは重々承知の上で)。しかし、その意味でも本作が描く価値観は、現代でも通用するある種の先見性を備えていた、と言えるのかも知れない。中々どうして、今なお観る価値の深い映画だ、とも思う。
[DVD(字幕)] 8点(2020-07-19 15:12:26)
1220.  スガラムルディの魔女 《ネタバレ》 
スガラムルディはスペイン・バスクの実在の地名で、実際に魔女伝説で有名な村とのこと。ここに迷い込んだボンクラ連中が魔女集団に襲われる、というホラーではよくあるお話(ただ本作はホラーと言うよりはダーク・ファンタジーに近いが)。魔女どもは、人喰いということもあり、端的なイメージとしては吸血鬼かゾンビにも少し近い感じ。まあ、実際の魔女伝説を現代を舞台に一発やったりました、という作品なのだろうと思われる。  で結局、映画としては、コメディとしてもファンタジーとしても(加えて謎にロマンス要素も含むのだけど)非常に大雑把でイマイチ中途半端(描写の色々は結構派手めなんだけど)。ラテン系人種よろしく、おバカで適当でノリの軽い人々しか出て来ないのも要因の一つだろうと率直に感じる。だったらせめてもうチョイ笑える風に仕上げてくれないと、正直キツいっす、てな感じ。
[DVD(字幕)] 4点(2020-07-19 03:12:07)
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