1221. ロック・スター
《ネタバレ》 ストーリーは定番中の定番、というかありがちを通り越してむしろ陳腐ですらあります。主人公の彼女の下積み時代の共働が描かれてないので、スターになった後のギャップも出ない、とか、主人公のスター生活に対する疑念がどこから出たのか不明、とか、突っ込みどころはいろいろあります。しかし、この作品の価値を保っているのは、肝心のライブシーンを、照明や客入れや大道具も含めてきっちり撮りきっていることです(大ステージはもちろんだが、一方でクラブ演奏の方もこの辺の手抜きがない)。で、バンドメンバーがザック・ワイルドにジェフ・ピルソンにジェイソン・ボーナム!(え、ブラス・エリアスも出てた?)そりゃ、ちゃんとしたステージ映像になるってものです。いや、マーク・ウォールバーグ自体、ジャンルはまるで違うとはいえ元マーキー・マークだけあって、ステージ上の動きにもそつがありません。まあ、この辺は、映画というより、よくできたライブ・クリップを見ているような気もしますが、それでも、主人公の初ステージに向けて緊張が盛り上がるくだりなど、つい見入ってしまいます。それと、よくインタビューとかで言われる「音楽性の違い」が、実際はあんな下らない会話の積み重ねだということも分かって、ちょっと笑えます。 [DVD(字幕)] 6点(2018-02-18 00:31:32) |
1222. 河内のオッサンの唄 よう来たのワレ
《ネタバレ》 前作から勢い余ってもう2作目、ということなのですが、勢いだけではやはり成り立たなかったことも同時に分かってしまう。この作品は、周辺のおっちゃんおばちゃん連のよく分からないカオス状態が肝だったのに、田中邦衛扮するゲスト的人物を軸に立ててしまったため、その辺の任侠系人情ドラマと同じ次元になってしまったのです。よって、展開も妙にちぐはぐ、川谷拓三の気合も空回り気味。前作で異様にインパクトがあった夏純子嫁も、意外に機能していない。 [DVD(邦画)] 5点(2018-02-17 17:32:48) |
1223. ウルトラマン怪獣大決戦
《ネタバレ》 レッドキング・ネロンガ・バルタン星人・バルタン星人(2代目)・レッドキング(2代目)という5作をまとめた作品。って、レッドキングは67年版でもすでに使っているのに、どんだけ使い回されるんでしょうか・・・しかも、チャンドラーとの対決シーンがなぜか後の方に移されてますが、あれは多々良島到着後いきなり出てくるのが格好いいのに。ネロンガは何で選ばれたのかまったく不明。バルタンは、トップ人気怪獣なので、まあ仕方ないか。で、通して見て意外によかったのがレッドキング(2代目)で、ギガス・ドラコとの3怪獣対決シーンは、絵面としても豪華ですし、各怪獣のリアクションがいちいちコミカルで笑えます。 [DVD(邦画)] 5点(2018-02-12 01:55:21) |
1224. シシリーの黒い霧
《ネタバレ》 何かの嫌がらせかと思うくらい、登場人物の立ち位置や相関関係が分かりにくい。後半は裁判シーンに収束していきますが、みんなが好き勝手に騒いでいるだけなので、それはそれでやはり分かりにくい。ところで、イタリアの刑事裁判のいい加減さは、本題とは別のところで衝撃的でした。これって戦後の話ですよね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-02-09 23:40:05) |
1225. 長篇怪獣映画ウルトラマン
《ネタバレ》 ウルトラ兄弟シリーズのまさに原点であるベムラー、人気面ではトップのレッドキング&ゴモラ(前後編)の回ということで、まさに「基本中の基本」であるわけです。が、ベムラーはいきなり科特隊が倒したように編集されていて、つまりウルトラマンの地球デビュー戦を削除しているわけで、結構大胆な改変かも・・・。レッドキングの回は、多々良島到着後いきなりチャンドラーとの怪獣対決(&それを見て逃げるマグラ)という豪華シーンが、今見てもぞくぞくします。ゴモラは大阪城破壊シーンが有名なのですが、よく見るとその前に中央公会堂を破壊している!あんなミニチュア(それも一瞬だけのために)、よく作ったなあ。 [DVD(邦画)] 5点(2018-02-09 00:21:03) |
1226. ジャッジ 裁かれる判事
《ネタバレ》 法廷以外の場面が緊張感なさすぎでだらっとしている。兄弟、妻、娘、元カノ、その娘といったサブキャラが全然効果的に使われていない。弟が持っているカメラとかコンビニで買った卵とか、伏線なんだろうと思ったら見事に何もなし。登場人物の心の闇や影をあぶり出すのが得意な名手ヤヌス・カミンスキーの撮り方と、暖かく穏やかで力強い方向に物語を向けようとする演出がまったく合っていない。内容の割に尺長すぎ。と、突っ込みどころは満載なのですが、実はびっくりしたのはロバート・ダウニー・Jrの芝居でありまして、ここまで自然で堅実な演技ができる人だとは、今まで気づきませんでした。仕事の実力はあるんだけど人間関係は万事苦手で、何となく距離を置いてしまう・・・という立ち位置を、オーバーアクトすることなく、台詞や動作ではなく「存在」で示しています。この作品は彼に大幅に救われています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-02-06 23:30:41) |
1227. 炎の城
何とこれ、「ハムレット」の和風翻案版なのです。この時代にこんな作品があったとはねー。いや、蜘蛛巣城はこれより前か。しかし、型を何とかすることで手一杯だったのか、やはり、それを乗り越えた面白さというところまでは至っていません。登場人物については、誰が何のためにそうしているのかという背景がなく、示されたとおりに動いているだけなのです。ただ、まあ、時代劇のスタイルでこれをやろうとした心意気はもちろん買います。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-02-05 00:01:27) |
1228. 31年目の夫婦げんか
作中の夫婦は倦怠して停滞しているという設定なのですけど、ストリープとトミー・リーの芝居までが完全に停滞してしまってるんですよね・・・。肝心のカウンセリングの中身が、同じようなことを同じように繰り返しているだけで、突飛さもなければ鋭さもない。なので、すべてが予定調和にしか見えません。あと、この種の話では主人公周辺の脇役の使い方でいろいろ差が出るんだけど、この作品では脇役が全然機能してない、というかそもそも脇役が存在してない。●バーテンダーの姉ちゃんがエリザベス・シューだったとは!しまった、もっときちんと見ておくんだった・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-02-03 00:13:08) |
1229. この首一万石
《ネタバレ》 のんびりした出足でほのぼの進んでいくのかと思ったら、本陣をどっちの藩が取るか、というしょうもない一点と、それをめぐるわずかなすれ違い(権三の到着時のずれ)からいきなりドラマが動き出す(とはいえ、この本陣問題、場面を変えれば今でもありそうだけど)。そこにいろいろ思惑が絡んで、怒濤のラストになだれ込んでいくのです(関西弁を操る相手方の人足頭領がいい味を出しています)。ただ、最後の槍の立ち回りはいらなかったかなあ、せっかくの心理の綾が消えてしまいました。むしろ、権三は結果として容赦なく消されるものの、そこに戻ってきた槍とか奉行とかが絡んでくる、というようにはできなかったのかな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-02-02 03:24:09) |
1230. 野菊の墓(1981)
《ネタバレ》 当然ただのアイドル映画なんだろうと思いながら見始め、まあ主演2人の大根ぶりは逆に微笑ましくなるくらいなんだけど(ただ、まあ、余計なかっこつけをしていないので、そんなに不快感がないという不思議)、一方で映像関係は、無駄なほどレベルが高いのです。冒頭の川面の鈍い光とか、茄子畑や綿畑の遠景の美しさとか、家の中のシーンの細やかな影とか。あと、今さらなんだけど、この下っ端下女役でこれだけの存在感を示している樹木希林が凄い。特に、暇をもらったことを政夫に伝えに行くシーンのインパクト。●花嫁行列のシーンは、政夫と民さんが「会ってしまった」のが惜しい(あれで緊迫感が逆に壊れてしまった)。あそこは、帰り着いたらすでに行った後だったか、せめて影から何もできず見送るくらいにして、できれば台詞もなしで行ってほしかったのだが。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-02-01 00:19:15)(良:1票) |
1231. 二十四時間の情事
何がしたかったのかよく分からないのですが・・・寓話的・象徴的にいきたいのであれば、現実そのもののデモ行進のシーンなど出すべきではないし、「性」と「生」を絡めて退廃的にいきたいのであれば、もっと「情事」の部分がきちんとしていなければならない。つまり、全体としてフワフワしていて、いろいろと中途半端なのです。「ヒロシマ」はネタにすぎなかったのか、とさえ思ってしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-01-29 23:40:12) |
1232. 離愁(1973)
《ネタバレ》 終盤近くまで、息詰まるような列車内のシーンが続くが、ときおり外でのシークエンスも織り交ぜて、単調にならないように工夫している。で、一番秀逸なのは、病院での妻子との再会を描いていないこと。これによって、アンナが消えたことの「遮断効」を強烈に表すと同時に、主人公にとってより意味が深かったのはどっちだったのかを端的に示すことに成功している。また、ラストも、あれこれくっつけず、一番大事なこと(2人のふれあいと視線)だけをクローズアップして、取調官の本来なら重要な発言もノイズ扱い。だからこそ、列車内のシーンが重みをもって裏返ってきます。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-29 03:10:09) |
1233. プルートで朝食を
趣旨不明な細切れシーンを2時間以上にわたって見させられる、非常に辛い作品。あの異様に細かい章立ても、何で必要だったんだろう?この監督でこの主演なんだから、もっとじっくりどんより落ち着いた作品を期待していたのですが・・・。 [DVD(字幕)] 2点(2018-01-26 23:50:51) |
1234. バルタザールどこへ行く
何が怖いって、肝心のロバが、走るとか顔を向けるとかとにかく何かするとか、リアクションらしいリアクションを何もしないのですよ。常にただそこに「いる」だけ。だからこそ醸し出される怖さ。そのインパクトは大でしたが、一方、話の内容の方は、やはり観念的で散漫になってしまいました。あと、それとは別に、邦題は秀逸です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-26 23:43:47) |
1235. モネ・ゲーム
キャメロン・ディアスの役は、もっと若くて世間ずれしてなそうな人でないと意味ないでしょ。この人がオッサンたちの思惑など無関係に暴走して、その結果いろいろ変わっていくところに面白みがあるんですから。ここが原動力として機能していないので、コリン・ファースやリックマンの演技も停滞してしまっています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-01-24 04:12:02) |
1236. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 全体的に登場人物の間が抜けているくだりが多く、苛々を感じないではなかったのですが、それでも最後まで緊張を切らず見せ続ける技はなかなかだったので、一応点は甘め。ところで森田に関しては、単調に連続殺人を行っていく場面よりも、最初の公園での煙草の会話の方がよほど怖い。そういうシーンをもっと見たかったのですが。あと、後半の展開は、「陰気ストーカー状態になった安藤が、ガチストーカーの森田とどこかで対峙し、オタクパワーで森田を破ってしまう」か、「実は一番の悪人はユカであって、森田が行ったと思われた犯行のいくつかはユカのものだった」のどちらかと勝手に想像していたのですが、まさかのそのまんまな展開でした。それと、佐津川愛美ちゃんは、いい感じの脱ぎっぷりで、岡田のドキドキ感に観客を同一化させることに成功しています。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-01-23 01:05:42) |
1237. さらば冬のかもめ
《ネタバレ》 ロードムービーが面白くなくなるパターンに、この作品も陥っておりまして。個々のエピソードが単に順番に積み重なっていくだけで、必然性や変化がないのです。ただし、ラストで何も起こらずメドウズが淡々と収監されるところは、かえって全体の虚しさを醸し出していて、作品を救っています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-22 02:07:14) |
1238. サタデー・ナイト・フィーバー
《ネタバレ》 トラボルタが脳天気に踊りまくるアホ青春映画かと思っていたら、むしろ真逆で、雰囲気はひたすらじめじめと鬱屈している。この作り方は前年の「ロッキー」を下敷にしたのかな、と思ったら、主人公の部屋にはポスターが貼ってあるし。しかも、アル・パチーノに似ていると言われた主人公が自分を見立てるのが「狼たちの午後」ですか。ただ、結局はその鬱屈がどこかで凝縮して反転するということなく、最後までそのまま何となくダラダラと終わってしまうし、輪をかけて登場人物の交通整理ができていない(脚本家が思い出した順番に出てくる、という感じ)ので、裏青春映画としても浸ることができない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-21 00:19:55) |
1239. ザ・スパイダースのバリ島珍道中
《ネタバレ》 あまりにも安直だった前作を反省したのか、今度は2作目の風味で、とりあえずギャングっぽい人たちにメンバーが狙われるという設定になっている。のだけど、これがさらにつまらなくなっていて・・・スリルもなければ笑いもなく、ルーチン作業だけで作ってしまったのが丸わかりな水準です。演奏シーンが妙に少ないのもマイナスですが、マチャアキがドラム、ムッシュがギターなしで順とデュエットというシーンは貴重でしょうか。あ、「真珠の涙」は、名曲です。 [DVD(邦画)] 4点(2018-01-19 01:48:38) |
1240. ブンミおじさんの森
ひたすらそれっぽいイメージ映像が続いているだけで、演者は芝居がつけられていない放置状態で、見ていて辛かったです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-01-12 01:32:37) |