1221. オリーヴの下に平和はない
《ネタバレ》 当時のイタリア寒村の世相を反映しているのか、金の有る無しが人の心を荒ませるのをジットリ纏わりつくように描かれている秀作です。粗野で強欲な村のボスと、財産の羊も彼女も騙し取られた復員兵の対決は見応え十二分。孤立無援のままの最期を迎えるのかとの予感が外れた霧が晴れたような結末が嬉しい。見たことあると思ったボス役が「眼には眼を」のフォルコ・ルリだったというのが驚きです。 [DVD(字幕)] 8点(2020-10-16 16:05:27) |
1222. 海を飛ぶ夢
《ネタバレ》 ラモンの一言一言から滲み出る聡明さに唸らされます。そんな彼だからこそマヌエラを始めとする家族に感謝の気持ちを一言も残さない事に許せないというか幻滅です。車を見送るマヌエラの万感こもった姿に泣けてしまいました。35歳というのが信じ難いハビエル・バルデム円熟の演技に+5点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-10-16 01:18:05)(良:1票) |
1223. チャンピオン(1949)
《ネタバレ》 カーク・ダグラスの出世作と呼ばれているのも納得で出来る迫力有る餓えた獣ぶりに圧倒されます。手酷く裏切った恩人三人がそれでも自分の事を慮ってくれている事が分からないラストシーンが深い余韻を残します。どつき合いが過ぎる試合模様に引いてしまうものの、マーク・ロブソン監督の持ち味がよく出ている骨太な秀作。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-11 04:43:10) |
1224. 肉体の冠
《ネタバレ》 娼婦マリーに恋した市井の大工マンダの破滅までの物語。口数少ない無骨なマンダの恋愛模様は盛り上がりに欠けますが、レイモンとの友情模様は胸熱にさせられました。パリッとしたお洒落な外見とは裏腹に卑怯で下衆なクズっぷりに血圧が上がったヤクザの親分ルカの存在が三人を引き立てており、物語を盛り上げてくれました。名匠のいぶし銀の秀作。原題「黄金の兜」=マリーの結い上げた髪 これを「肉体の冠」という意味不明なタイトルにした方の感性を疑います。 [DVD(字幕)] 8点(2020-10-10 00:55:14) |
1225. ローラーガールズ・ダイアリー
《ネタバレ》 家族、友人、チームメイト、恋人、それぞれとの関わりのなかで成長してゆくティーンエイジャーの物語。予定調和な展開で we are No.2 が意外でありその爽やかさが心に残ります。小学3年生頃に見た、土居まさるさんの実況による「日米対抗ローラーゲーム」悪役好きな私がどういうわけかアメリカチームのえげつない反則プロレス技に怒りまくって声を枯らして東京ボンバーズを応援していたのを思い出しました。本作での試合は煽るDJとは裏腹におとなしいものでしたが、別に異議も無く。ジュリエット・ルイス似だなぁと思ったのがその人だったのが驚きであります。 [DVD(字幕)] 7点(2020-10-09 02:31:53) |
1226. 幸福の設計
若夫婦を中心にパリ下町の人々の日常が生き生きと描かれています。時折ドキッとする映像シーンがあるものの、何とはなしに先の見える展開で唯一の興味ハッピーエンドかバッドエンドかの結末が強引であっけにとられたところです。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-07 16:39:36)(良:1票) |
1227. さらば愛しきアウトロー
《ネタバレ》 実在人物フォレスト・タッカーの物語。少年時代から強盗脱獄を繰り返し、シニアになっても仲間二人と黄昏ギャングとして銀行強盗を繰り返す。非暴力で誰一人として怪我を負わす事無く被害者に「紳士的で幸せそうな顔をしていた」と言わしめるキャラクター。80年代にこんなスタイルの犯行が成功しているのが信じ難いのどかさで、俳優引退を公言したロバート・レッドフォードなればこそ観られた作品。乗馬姿にサンダンス・キッドの面影が重なり感傷に浸る事となりました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-10-07 16:31:17) |
1228. レナードの朝
《ネタバレ》 30年ぶりの再見。ロバート・デ・ニーロのキャリア中ベストアクトであるレナードの喜怒哀楽に息を吞みっぱなし。未承認薬使用の功罪を考えさせられる傑作。レナードの母の胸中を思うと胸が詰まる。 [DVD(字幕)] 8点(2020-10-05 12:21:11) |
1229. キャビン・イン・ザ・ウッズ
《ネタバレ》 お金がかかっていない作りに比例した安い物語。不穏な気配は単に思わせぶりなだけだった結末。好評を得ている「キャビン」(未見)の原題を邦題にしているあざとさにに見合った愚作。 [インターネット(字幕)] 3点(2020-10-05 12:07:35) |
1230. ニューヨーク・ニューヨーク
冒頭シーンのお祭り騒ぎが理屈抜きで胸糞悪い。「何時までやっとんじゃい!」辟易したナンパシーン、某作品同様のド腐れ屑キャラぶりがデ・ニーロの名演相まって我慢の限界を超えリタイア(し・つ・こ・い・death 怒怒怒怒怒) ライザ・ミネリのパフォーマンス見たさに数週間経って続きを。 ありがちなストーリーでジミー・ドイルはカスのまま。監督ならではのダラダラ展開。もう、へとへと、何度も一時停止。 母の遺伝子を受け継いでいるのがありありと分かるラストのライザ・ミネリの華やかさに我慢に我慢を重ねた鑑賞が報われた作品。 [DVD(字幕)] 3点(2020-10-04 02:40:22) |
1231. エンド・オブ・トンネル
《ネタバレ》 綿密な作業で強盗達の上前をはねようとするホアキン。強盗団が残忍なのでうっかり彼を応援しそうになりますが目くそ鼻くその類。ベティがパンツ1枚でベッドのホアキンの横に立っているのに「もしかしてこの男はこの幼女を・・・」うさん臭さが増してゆきます。作戦の成否は結構手に汗握るもので強引な決着も許容範囲。ラスト、三人の後ろ姿に冷めた思いが募ります。それとなく匂わす手つなぎショットはインパクトに欠ける演出で物足りません。まぁまぁ面白かった作品。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-10-02 14:52:04) |
1232. スイング・ホテル
《ネタバレ》 ビング・クロスビーの歌声に合わせてフレッド・アステアが踊るお宝映像にウットリ。ホワイトクリスマスを歌うクロスビーにウットリ。爆竹タップダンスのアステアにウットリ。ストーリーなどどうでも良いのですが、起承転結無理筋なくしっかりしており、ラストも丸く収まって言う事無し。まさに That's Entertainment! な傑作。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-10-02 03:29:25) |
1233. ちいさな独裁者
《ネタバレ》 最後に示された実話である事に信じられない思いです。制服を着て大尉を騙ったところで21歳の小僧上等兵がなりすませる程ナチスの大尉は安くない(人間性は別として)のであり、照会すれば即バレる筈です。乱痴気騒ぎで「會議は踊る」での珠玉の名シーン名曲「ただ一度だけ」を合唱しているのに汚物を浴びせられた気分。邦題のイメージとはかけ離れた胸糞悪い作品。考えさせられるエンドロールに+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-30 01:49:59) |
1234. ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years(2016)
初めての出会いは中学3年生、たちまち夢中になりました。貴重な数々の映像に大満足。ファンの狂乱ぶりを肌で感じるメンバーがツアーに嫌気がさすのは当然の事かと。4人の強い絆が切れてゆく顛末は省かれていてホッとしました。そんなの見たくない。 子供が小さいときに何度か行った、年がら年中ビートルズがかかっているファミレスに行きたくなりました。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-09-29 16:08:29) |
1235. シシリアン(1969)
《ネタバレ》 念願の初鑑賞。アラン・ドロンにゾッコンだった当時とは違い、ジャン・ギャバンはもとより、リノ・ヴァンチェラと比べても格下感があり、一太刀も浴びせられなかった最期は別の意味で哀れさがありました。宝石強奪の件は無理筋過ぎて冷めてしまいますが、そこから結末まではなかなかの見応えでした。モリコーネの手による音楽は物憂げで一族の胡散臭さ(ビョヨ~ン)を感じさせる印象深いものです。 余談ながら、大盛りにも程があるパスタは先日の「他人の家」でエドワード・G・ロビンソンが同様に取り分けていて、イタリアンファミリーの日常なのかと驚きました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-29 13:14:02) |
1236. 赤い手のグッピー
木に登って行くトンカンがやるせない。(+5点) 狭量な一族のやり取りをダラダラ見せられてぐったりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2020-09-29 12:28:06) |
1237. くたばれ!ハリウッド(2002)
昨年89歳で亡くなられた(合掌)ロバート・エヴァンスの自伝作品。多くの人々の共同作業で作り上げる映画でヒト、モノ、カネの決定権を握るプロデューサーの重要さを思わされます。自分視点の自分語りなので真実はわかりません。しかしながら、落ち目のパラマウント社を業界首位に引き上げたのは真実であり、ポランスキーを見出してくれた事に感謝したいです。激しかったであろう喜怒哀楽の生涯でも好きな仕事の世界に居られた幸福さが眩しく映りました。彼の主張「映画は脚本が命」に激しく同意するところです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-28 12:22:32) |
1238. 人生模様(1952)
3話5話は桂福団治さんに、4話は故・桂福車さんに、1話は桂春若さんに、2話は桂春雨さんに、それぞれ演じて貰いたいと思ったペーソス・エスプリが効いた作品。MIPはリチャード・ウィドマークであり見下げ果てた小悪党を全身全霊で演ずる役者魂に喝采を。僅かに及ばずながらもチャールズ・ロートンのどんなキャラクターでも味わい深さがある演技力に見惚れるところ。20世紀フォックスによるスタッフ・キャスト共に贅沢極まりなく、余韻の深い傑作。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-27 23:14:11) |
1239. 大雷雨
電力会社保線工で親友同士のエドワード・G・ロビンソンとジョージ・ラフト、殉職した同僚の娘マレーネ・ディートリッヒが織りなす三角関係メロドラマ。夢の競演を堪能しました。直情径行なロビンソンもさることながら、クールなラフトが美味しいところをさらっていった感があります。ディートリッヒを往復ビンタで張り倒すお宝映像はリプレイタイム。このディートリッヒが自身のイメージ優先なのかしりませんが、浅い人物像で重みの無い台詞に白けてしまったのが残念。雨中の鉄塔上での対決は勝敗が想像できるものですが、硬直して見入るクライマックスでありました。保線工面々の与太話シーンは爆笑もので名匠の硬軟メリハリ効いた快作です。 [DVD(字幕)] 9点(2020-09-27 20:31:30)(良:1票) |
1240. 他人の家
イタリア移民で理髪師から銀行を設立したジノ・モネッティ。カンヌ男優賞獲得したエドワード・G・ロビンソンが名匠の冴えわたる演出で登場するシーンに思わず拍手。彼の十八番である言いたい放題超絶オレ様キャラは何時もと違う人懐っこさの無いもの。次男のみ溺愛し長男三男四男は飼い犬扱い。血は繋がっていても他人同様である一家の相克模様は目の離せない展開で最悪の結末を覚悟しました・・・・・ 息を吞んだ台詞「鳩にエサでもやっとけ」に+1点 スーザン・ヘイワードとリチャード・コンテのマウント取り合いの会話が鬱陶しく感じたのに-1点 絵から出てきて喋り出すんじゃないかと思える見事な肖像画(欲しい!!!)に+1点 [DVD(字幕)] 9点(2020-09-27 20:02:09) |