1281. デブラ・ウィンガーを探して
《ネタバレ》 「なぜデブラ・ウィンガーは引退したのか?」という一応の本筋があり、同世代の家庭を持ち子どももできた女優達の、40代以降の理想の女優像に関するそれぞれの持論、「ハリウッドスターの自分と家庭や育児をしている自分を両立できるのか」という本音、時には愚痴が語られていくのですが、中盤辺りからちょっと飽きてくる・・・。挿入される手持ちカメラの映像のブレは見づらいんですが、女優達が街を行く、マスコミに囲まれインタビューされるといったその場の雰囲気がそのまま伝わってくるようで面白い。しかし赤裸々に本音を語るという趣旨でも、やはりカメラの前では演じているという雰囲気を感じる人もいる。彼女達セレブの、マスコミの姿も無くカメラも回っていない本当のプライベート空間での私生活トークってどんななのでしょうか・・・? [DVD(字幕)] 5点(2011-12-06 21:09:39) |
1282. ボビー・フィッシャーを探して
チェスだけに没頭しのめりこんでいったボビー・フィッシャーの生い立ちとその後の彼の人生を随所に挿入しながら、チェスの腕前を見ればボビーを髣髴とさせる天才チェス少年ジョシュの成長と家族と周りの大人達との関係や、大人達が子どもから学び成長していく様子をも描いていく。幼い頃からチェスだけに没頭したボビーと、野球やバスケ、釣りも楽しむジョシュ。チェスの対局、その戦術などを克明に見せる作品ではなく、人生の貴重な一時期である少年時代の大切さ、普通の子どもとはかけ離れた才能の持ち主だからこそ親や周りの大人達の役割の重要さが伝わってきます。相変わらず静かに控え目に作品を盛り上げるジェームズ・ホーナーの音楽が美しく、ボビーのまわりの大人達、特に母を演じたジョアン・アレンの存在感が一際輝いていました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-06 21:05:32) |
1283. モリー先生との火曜日<TVM>
「死に方さえ分かっていれば人生は変わる。」それが分かっているからこそモリー先生はその瞬間まで、ただ死を待つだけでなく、今を受け入れ己の人生を生き続けることが出来たし、「生」について説く事ができたのでしょう。 遺作となった僕の大好きな名優ジャック・レモン演じるモリー先生の語る含蓄のある言葉の数々。人生の極意についての講義を受けたようだった。しかし、堅苦しさ、重苦しさは感じさせない。ジャック・レモンの最後の素晴らしい演技が感動的でした。 僕は最近転勤になり、仕事も生活の環境も変わったばかり。このタイミングでジャック・レモン演じるモリー先生の講義を受ける事が出来た事をとても嬉しく思います。 [DVD(字幕)] 8点(2011-12-05 18:32:01)(良:1票) |
1284. ランド・オブ・プレンティ
9.11後のアメリカを扱った作品。少々長く感じられもしましたが、「パリ、テキサス」を思い出すアメリカの青い空、音楽の使い方にヴェンダースらしい個性を感じる作品です。 かつてベトナムで傷つき、今はテロに対し神経過敏になりながらも自分がアメリカを、世界をテロから守っているという信念に基づき行動する男。この男の行動はアメリカそのものを象徴しているかのようです。 終盤、この男が悪い夢にうなされている。その叔父の姿を見つめるラナの「叔父の苦しみをやわらげて下さい。平和をお与えください」という台詞がありました。移民、貧困などのアメリカ国内の問題を絡めながらも、ここに込められたヴェンダースの、今のアメリカと世界平和への思いを感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-20 16:22:20) |
1285. LOVERS
序盤の遊郭の華やかな衣装や美術、中盤以降の竹林や真っ赤に燃える紅葉と草原の緑の美しさなど、とにかく綺麗な映画です。この美しい舞台で展開されるアクションシーンも楽しめる。(ただし最後は秋から冬にかけて何ヶ月戦い続けてるんですか?休憩しなくていいんですか?という感じでしたが・・・)ストーリーの方は特に感動や鑑賞後に残るものはありませんが、それよりも画の美しさ、チャン・ツィイーの美しさ(特筆すべきは冒頭の遊郭の舞!)が印象に残る作品です。ただチャン・イーモウに関してはやはり、「活きる」や「幸せ三部作」と呼ばれる作品、今年日本で公開された最新作のような映画をもっともっと撮ってもらいたいですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-11-20 16:17:04) |
1286. 男はつらいよ 寅次郎恋歌
森川信さんがおいちゃんを演じた最後の作品です。3人のおいちゃんそれぞれに味わいがあるのですが、森川信さんと渥美清さんが作り出す間は絶品でした。 特に喧嘩のシーンで「やい!寅!」と寅さんと同じ土俵でがっぷり四つに組んで喧嘩を繰り広げる。初代おいちゃんならではの味わいでした。また、寅さんに皮肉を言われ、「くぅ~~~!」と悔しさをあらわにする森川信さんの芝居も大好きでした。 以降日本中で再会を繰り返す旅の一座と一座の花形大空さゆりちゃん、諏訪先生と諏訪家の人々(ここも兄弟が揃えば揉め事になるなあ・・・)といったお馴染みの顔触れが揃っているのも嬉しい作品です。 諏訪先生がとらやを訪ねる。諏訪先生が孫を抱きかかえる。(志村喬さんの満男への「ばぁ~」が良かったなあ・・・。)さくらが歌う「母さんの歌」。(見るのが辛いほど素晴らしいシーンです)博の母への思い。最後に諏訪先生がさくらに託した息子博への思い。そしてマドンナと一人息子。いつにも増して「親と子」を感じる作品です。 [DVD(邦画)] 8点(2011-11-18 20:32:28)(良:3票) |
1287. ベッカムに恋して
サッカーが大好きな女の子のサッカーへの情熱、夢、悩み、友情、恋愛、家族への思い、などなど・・・を爽やかに描きながら、人種やジェネレーションギャップといった問題を巧くミックスさせた、良質の青春映画でした。練習風景や試合風景、街を散歩したりといった際に使われる音楽が素敵で、その使い方も巧い作品です。この邦題が今まで鑑賞を遠ざけていたとも言えるけど、見ると「ベッカムに恋して」という邦題も作品の雰囲気をうまくとらえているんじゃないかなと思います。 [DVD(吹替)] 8点(2011-11-17 23:17:19) |
1288. マネーボール
昔からMLBが大好きな僕には実に嬉しい映画でした。本作の舞台は約10年前のMLB。登場するオークランド、試合相手チームの様々な選手。今は既に引退した選手、往年の力は無いが今もMLBに必死でしがみついている選手、その頃頭角を現し始めた選手・・・。今も現役の選手もほとんどみんな所属チームが変わっている。とても懐かしい思いで見させてもらいました。 冒頭のヤンキースとの試合の中で年俸総額の対比が出てきますが、これがどうしようもないMLBの現実。しかし、ここに今のMLBの楽しさがある。金の無いスモールマーケットのチームにも色々ある。万年弱小のままのチームもあれば、限られた予算の中、創意工夫でしたたかに金満チームと互角に渡り合うチームもある。本作の主人公ビリー・ビーンはその象徴のような人間です。 本作はビリー・ビーンのマネーボールがどうだとか、弱小チームがどうだとか、金満チームがどうだとか、そこには意外なほど触れてなかったように思います。ただ、弱者が強者に対し如何に挑むのかがビリー・ビーンを通して描かれていますが、それが良かったと思います。 僕は正直ヤンキースやレッドソックスには興味が無い。オークランドをはじめ幾つか存在する、チームの創意工夫、独自路線で金満チームに挑み続けるチームを応援しています。それが僕のMLBを見る楽しみの一つであり、その舞台裏を見せてくれたこの映画は僕にとってたまらなく楽しい映画でした。7月31日の各チームのGMとの駆け引きなどもとても面白かったです。 何か大好きなMLBを語っただけになってしまいましたが、最後に一言、ブラピ、良かったぞ! [映画館(字幕)] 8点(2011-11-15 22:03:10)(良:1票) |
1289. マイ・ドッグ・スキップ
犬と家族モノのお馴染みの展開の中に色んな事が含まれていたように思います。大感動する準備万端で見たのですが、全体的に思っていた以上に淡々と流す作風で泣けはしませんでしたが。 主人公のいじめられっ子の少年と、体が大きないじめっ子とその子分の少年、いつも励ましてくれる優等生でみんなの憧れの可愛い女の子。のび太とジャイアンにスネ夫、しずかちゃんを思い出す設定ですね。 でも、ピンチの時に四次元ポケットから便利な道具が出てくる訳じゃない。フットボールではスキップに助けてもらったけど、野球ではスキップの手を借りず自分の力で頑張ろうとした。その後スキップがいなくなった時も自分一人でガキ大将に立ち向かった。少年の成長や、戦争で片足を失った父、地元の英雄である野球選手の隣人が心に傷を負って戦地から帰郷する描写からは戦争についても言及しています。 その父を演じたのはどうしても悪役のイメージがついて回るケビン・ベーコン。機嫌が悪い時とかには(やっぱり顔は怖い)何をしでかすのかとちょっと心配しましたが・・・。成人した主人公の回想となっているので、ラストにスキップがどうなるのかは冒頭から分かるのですが、このテーマの映画は基本的にいい人が中心のいいお話なので気軽に見られるし子どもと見るのにもいい映画です。 [DVD(吹替)] 6点(2011-11-13 15:17:30) |
1290. フィッシャー・キング
ロビン・ウィリアムスは大好きなのですが(またまたお馴染みの役どころです)テリー・ギリアムが苦手ということもあり、見る機会がなかった作品。もう少し短くできたのでは、とも思いますが優しさのある素敵な大人のおとぎ話でした。駅がダンスホールになるシーンが最も印象に残りますが、事情を抱えた不器用な2人が見つめ合い、互いの気持ちを確認し合うシーンも素敵でしたね。その相手役アマンダ・プラマーがとても可愛く見えました。チャイニーズ・レストランでのロビンとの絡みも楽しかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-13 15:05:51) |
1291. カオス・シチリア物語
冒頭で鈴を付けて大空に放たれる1羽のカラス。青空の中、シチリアの上空を飛び回るカラスの眼下に見えてくる岩がむき出しになった険しい山々に乾いた風景、古代遺跡、家々も見える。そして遠くに広がる海。風景、自然、歴史・・・本作の舞台であるシチリアを見る者に提示するプロローグの映像から作品の世界に引き込まれます。そこに描かれるシチリアに生きる人々の物語。時には悲しく時にはコミカルに。親子、夫婦、そして今は亡き人とのつながりが描かれていく。どの話も手抜きが無く、風景も音楽も美しい。3時間越えの長編ですが、全く長さを感じさせない。80年代、タヴィアーニ兄弟の全盛期。本作も素晴らしい作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-11-12 00:12:07) |
1292. 狼たちの街
ニック・ノルティが本領発揮の作品です。タフだけど哀愁漂う刑事ぶりが最高にサマになってましたね。彼を中心に、断片的なシーンだけ見せられたらギャングにしか見えないハットスクワッド軍団の濃いキャストも良かったです。ロスにはびこる悪を許さない冒頭の手荒な捜査ぶりに、一人の女の死をめぐる捜査の中で軍の将軍やFBIの思惑も見え隠れ・・・という中盤まではかなり面白くなりそうでしたが、こちらの方は後半に入り徐々にトーンダウン。しかしここでもタフにして男の哀愁を漂わせるニック・ノルティが良かっただけに、彼が演じる刑事のドラマが中心になるのが良かったのか、権力や陰謀に立ち向かうハットスクワッド軍団のドラマとアクションを中心にした方が良かったのかどうか、難しいところです。 [DVD(字幕)] 5点(2011-11-08 20:33:25) |
1293. ナイト&デイ
ラストは絶対ハッピーエンドなんだし、どんなヤバイ状況だって安心して楽しんでいればいい。爽やか笑顔、どんな状況でも余裕しゃくしゃくで無敵のカッコいいトム・クルーズと、そんなトムとは対照的にコミカルにパニクりまくる、いくつになってもキュートなキャメロン、2大スターの競演がとっても楽しい、細かいコト言いっこなしのアクション・エンターテイメント! [DVD(吹替)] 7点(2011-11-06 00:23:02)(良:1票) |
1294. 明日へのチケット
《ネタバレ》 3人の名匠による、老若男女、国籍も様々な人々がそれぞれの事情を抱え乗り合わせるヨーロッパを走る国際列車の車中の3つのドラマ。 僕は3話目が好きです。スコットランドからローマへ、愛するセルティックの試合を応援に行くスーパーで働く貧乏旅行の若者3人組のお話。金は無く口も悪いが気のいい3人組と、アルバニアの不法移民の家族とのチケットを巡る心の交流。厳しい設定の中に優しさが感じられるケン・ローチらしい作品でした。雑踏の中、再会する移民家族、それを見届ける3人組と駅員とローマのサポーターと。本作のラストともなるローマ駅の描写が素晴らしい。 1話目は老教授の秘書への淡い恋心を描いた作品。老教授が温かいミルクを持って席を立つラストがいいですね。2話目は少し老いの悲しさも感じる作品。それぞれの話につながりはありませんが、列車の1両目から2両目へ。そこにはつながった同じ列車でありながら全く別の顔とそれぞれの事情がある。それぞれの車両に、それぞれの味わいがある3つのドラマでした。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-04 22:35:28) |
1295. 13デイズ
第3次世界大戦を回避すべくたたかった男たちのドラマです。戦闘機や海上のシーンはかなり限定され、大統領とその弟と側近達が室内で繰り広げるディスカッションが作品のかなりの部分を占めますが、これがなかなかの緊迫感にあふれ、重厚感のあるポリティカル・サスペンスとなっています。対ソ連にとどまらず、軍部やマスコミ、アメリカ国内、世界に対する情報戦なども見応え十分でした。2時間を軽く越える長尺ですが、無駄が感じられずその長さも全く気になりませんでした。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-03 20:13:14) |
1296. わが教え子、ヒトラー
ドイツ製作のヒトラー映画。おなじみの彼の側近であるゲッベルスやヒムラーも登場する。主人公のユダヤ人教授の回想から始まる本作は最初は実話のような雰囲気を漂わせますが、連発される「ハイル、ヒトラー!」やユダヤ人教授夫婦に添い寝してもらうヒトラー、廃墟のベルリンを張りぼての建物で誤魔化そうとする側近にヒトラーの口パク演説など、孤独な裸の王様ヒトラーと側近達を笑い飛ばそうという趣旨でしょうか。ただ、僕は正直あまり笑えませんでしたが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2011-11-03 20:05:30) |
1297. アウトブレイク
急速に拡大するウィルス感染になす術も無い市民と、対策に立ち上がる人間のドラマを見せる前半は良かったと思います。しかし後半は軍内部の対立を見せる時間帯が無駄に長く感じられました。それよりも、ウィルスの感染源を捜索する人間と、それを待つ人々の刻一刻を争うドラマをメインに持ってきた方が良かったのではないでしょうか。 [地上波(吹替)] 4点(2011-10-30 15:18:30) |
1298. セルピコ
《ネタバレ》 顔中ヒゲだらけでヒッピーのような格好のセルピコ。これでもかという程周りとは異質なイメージです。格好だけは小奇麗だが、何処へ行っても汚職がチラつく警察と、全く警察に見えないむさ苦しい格好のセルピコの対比がいい。 これがもう少し後のパチーノなら、もっと権力に悪態をつき怒鳴り散らし、どこかの場面で大演説が始まるのでしょうが、本作は熱演の中にまだ若さを感じさせるパチーノが、孤立無援の状態で正義を貫くセルピコのキャラクターに見事にはまっていました。一人の小さな力で、力のある大きな何かと闘う男。他の作品でも見られますが、パチーノにはこんな男の役がよく似合います。 冒頭の銃弾に傷つき息も絶え絶えのパチーノの姿は「カリートの道」の冒頭を思い出し、嫌な予感の中見ていたのですが、最後は少しだけほっとした気分になりました・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-28 21:10:23) |
1299. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 楽しかったんですが、考えてみればアホな設定の映画です。エイリアンが地球にやって来た目的が地球の征服とかじゃなく、金を採掘(西部劇らしいんですけど)に来たという微妙なセコさ、人間を一杯捕獲しても、そのまま放置してるだけで見張りも無く簡単に救出成功!最後の見せ場である人間対エイリアンの大決闘もなかなか笑えます。空から攻撃すれば何の問題も無いものを、取り合えず人間に向って無防備に突撃しては山賊のピストルと、インディアンの弓矢の餌食となる。これら数々のツッコミ所はあるんですが、面白かったので良しとしましょう。主演ダニエル・クレイグがカッコいい。面構えもいい。戦いが終わり、ヒーローは平和が戻った村を見届け、馬にまたがり静かに旅立っていく。お約束なんですが、やはりこうじゃなきゃいけませんね。 [映画館(字幕)] 5点(2011-10-26 16:12:50) |
1300. カントリー・ストロング
僕はカントリーは聞きませんが、カントリーの映画は好きなんです。最近ではジェフ・ブリッジスの「クレイジー・ハート」が記憶に新しい。 スマートでオシャレな都会派ロマンスとかと違う、栄光の日々からの転落や挫折、苦労を抱え、アメリカの片田舎を行く公演の旅。そんな作中のカントリー歌手の生き様のようなカントリーの飾り気の無い歌詞がいい。 酒に溺れた、再起を期すかつてスターだった女性シンガー(「クレイジー・ハート」のジェフ・ブリッジスと重なりますね)とその夫に、一人の下積みの男性シンガーと、一人の若い女性シンガーの4人が絡み合う人間模様。淡々とツアーの日々を流す中盤はちょっと長く感じますが、グウィネスが素晴らしい。ラストのステージも見事。スターのオーラを感じたし歌も上手かった。しかしこの結末はどうなんだろう?あのステージで大団円で良かったのではないかな。 何度か作中に登場したロレッタ・リンという名前。この名前を初めて聞いたのは、シシー・スペイセクが素晴らしい演技と歌を披露した「歌えロレッタ愛のために」だった。ロレッタ・リンという人は本当に大スターなんだなと改めて感じたのでした。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-25 22:39:10)(良:1票) |