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プロフィール
コメント数 1935
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1281.  きっと、うまくいく 《ネタバレ》 
いまさら言うことでもないだろうが、インドという国はまだまだ若い。1970年代の日本の高度経済成長期のように、誰もが前を向き、誰もがただ幸せになることを夢見て努力した結果、国全体がどんどんと豊かになろうとしている。ただ、努力すれば誰でもある程度の中産階級以上となることが出来たあのころの日本と違い、今のインドでは行き過ぎた競争社会の弊害により貧富の格差は拡がるばかり、プレッシャーに負けた若い学生の間には自殺が流行し、そして社会の不満が爆発するかのように多発する女性への暴行事件……。そんな負の側面を抱えながら、それでもまだまだ若い活力に満ちたインドの人々は豊かさを追い求めしっかりと明日を向き歩き続けている。今作の主人公であるランチョーたち3人もまた未来に目を向けている。だが、地方から出てきて全国でも有数の工科大学へと入学した彼らだったが、競争社会が生み出すさまざまな矛盾や悲劇へと直面してしまうことに。「こんな社会、少しでも変えたい!」――。シンプルにそう願う彼らと、競争主義の申し子のような学長との闘争をいかにもインドらしくエネルギッシュで猥雑にそして時にはきつい毒を滲ませたギャグの数々で描き、そんな社会的矛盾を軽快に笑い飛ばすこの映画は今のインドという国を象徴しているようだ。まさにこれぞ〝ボリウッド〟という過剰なまでの人生賛歌コメディなのに、最後まで全く押し付けがましくなく、ちゃんと社会の闇を直視しながらも素直に笑って泣けて元気が出る良質のエンタメ映画に仕上げてしまうところは、活力に満ちたこの若い国のなせる技なのだろう。最後、次々と回収されてゆく伏線もよく練られていて見事だった。正直、これまでインド映画というものをほとんど観てこなかった為、中盤までは「この題材で3時間はさすがに長すぎないか?」と思っていたのだが、この底抜けに明るい雰囲気とパワフルで魅力的な音楽の数々、ほとんど無駄のないシンプルなストーリーとで最後まで一気に見せ切るところなど素直に感嘆させられた。観ている間こんなにも楽しく、観終わってこんなにも爽快な気分になれる映画に久しぶりに出会えたように思う。最近嫌なことがあって少し落ち込み気味だった僕の心に、まだ彼らの歌声が明るく鳴り響いている。「兄弟、きっと、全てうま~くい~く♪ 」
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-20 20:20:31)
1282.  ピアニスト 《ネタバレ》 
「私は音楽一筋で生きてきたわ。覚えておいて、私には感情も欲望もないの。あるとしても、必ず最後は知性が勝る」――。保守的で厳格な母親と2人で暮らし、ほとんど恋愛経験もないまま、これまでずっと独身を通して生きてきた40過ぎの生真面目な音楽教師エリカ。それでも抑えきれない性欲を満足させるため、一人で個室ビデオ店でポルノを鑑賞したり、他人のカーセックスを覗き見ながら放尿したりという、誰も知らない秘密の顔を隠し持っていた。そんな空しい日々を過ごすエリカの元にある日、情熱的な青年ワルターがわざわざ自分にピアノが習いたいと申し出るのだった。いかにも軽佻浮薄な現代の若者といった彼に最初は反発を覚えた彼女だったが、授業を進めていくうちに突然愛の告白をされてしまう。あまりのことに戸惑いを隠せないエリカ。そのことをきっかけに、エリカの心の奥底に溜め込んだ暗い澱のような感情と欲望が徐々に暴走しはじめるのだった……。恋愛にもセックスにも、まして男にもなれていない、そんな誇り高き中年女性エリカの愛と性欲とプライドがいびつに交錯する、いかにもミヒャエル・ハネケ監督らしい歪んだラブストーリー。この監督の作品は何作か観てきて、その人間の酷い感情や欲望、理不尽な暴力を圧倒的な負のエネルギーで映像化する作風には心底うんざりさせられることもしばしばだけど、それでもその高い芸術性は認めざるをえないので、カンヌで初のグランプリを取ったという本作を今回鑑賞してみました。うん、相変わらず鬱ですね~~。もう最後まで絶対に人に見られたくないような自分の恥部を、これでもかこれでもかと見せ付けてくるような暗鬱極まりない作品でございました。愛する青年のモノを欲望のままに咥えたものの馴れていないせいで思わず吐いちゃったエリカが、怒った青年に「お前、口が臭いんだよ!」と追い出されふらふらになりながら歩いて去るシーンなんて、あまりにも鬱過ぎて見てるこっちが吐きそうです(笑)。人間なんて芸術だなんだと言いながら、一皮向けば誰しもこんなもの……、なんという絶望的でシニカルな思想に貫かれた映画なのだろう。それでも、最後にエリカの取った行動には、微かだけど(本当に本当に微かだけど!笑)感情よりも知性が勝った人間の高尚な姿を見たような気がします。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-15 21:27:51)
1283.  ビハインド・ザ・サン 《ネタバレ》 
「あの血に汚れたシャツを見ろ。いいか、前の兄が流したあの赤い血が乾くとき、弟であるお前が兄の名誉を守るために復讐を果たすのだ」――。1910年、古くからの因習と旧態依然とした家父長制に囚われたブラジルのとある田舎町。貧しいサトウキビ農家の次男トーニォは、隣家の男に兄を殺されるという哀しい過去を抱えながらも必死に生きていた。何よりも名誉と外聞を重んじる彼の父親は、トーニォに殺した張本人である男に復讐を果たすように命じる。言われるがまま、男を殺すトーニォ。だが、殺された男の家族もまた彼に復讐を誓うのだった。幼い弟も抱え、生活のために同じところをぐるぐる廻り続けるような日々と、そんなふって湧いたような暴力の連鎖に心底嫌気が差していたトーニォは、ある日、全国を転々と移動興行しながら悠々自適の生活を送る美しい女芸人クララと出逢う。閉塞感の最果てを生きるような自分の人生から、何もかも捨てて逃げ出したい。トーニォは、いつしか彼女に惹かれてゆき、自分も一緒に旅立ちたいと願うようになるのだが……。監督は、南米映画界の俊英ウォルター・サレス。その後、若き日のチェ・ゲバラの南米各国を巡るバイク旅を乾いた映像と繊細な音楽とで瑞々しく描いた青春ロード・ムービーの佳品「モーターサイクル・ダイアリーズ」を撮ることになる彼の出世作は、南米版「ギルバート・グレイプ」と言った趣きの鬱屈した青春ドラマでありました。もう、見ているだけでこちらも全身から汗が噴き出しそうになる暖色系の乾いた映像で描かれた、この家族という牢獄から必死に抜け出そうともがく青年のドラマはなかなか見応えありましたね~。この監督の、社会の不条理に怒りを燃やす若者の心情を南米のからりと乾いた映像の中に繊細に描き出す手腕は、もうこのころから確立してたんですね。特に、トーニォとクララが次第に惹かれあってゆく初々しい恋愛描写は美しい音楽の力も相俟って出色の出来でした。そして一転して訪れるラストの悲劇……。家族とは人を縛り付ける牢獄にすぎないのではないか?ときに家族という社会的システムは弱き者の犠牲の上に成り立っているのではないか?そんな答えのない疑問を抱きながら、それでも人は家族を作る。そう、今より少しでも幸せになるために……。人間の生きることの悲しみと切なさを冷徹に見つめながらも、最後、広い大海原へと歩き出すトーニォの姿に、そんな苦しみを乗り越えうる微かな希望を見出したような気がします。マイナーながら、なかなかの良品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-11 21:29:30)
1284.  さまよう魂たち 《ネタバレ》 
交通事故がきっかけで死んだ人の霊が見えるという特殊能力を身につけてしまったフランク。以来彼は、仲間の幽霊たちとともに怪しげな事件を自作自演し、詐欺まがいの心霊調査員としてなんとか生計を立てていた。そんなある日、フランクはある現場で黒いマントを羽織った恐ろしい死神と出会う。その日を境に村人たちが次々と謎の死を遂げる中、フランクは同じく死神に夫を殺された若く美しい女性ルーシーと共に調査に乗り出すのだった。だが、そこには残虐な殺人鬼が過去に起こした大量殺人事件とフランク自身の悲しい過去が密接に繋がっていて……。「ロード・オブ・ザ・リング」でブレイクを果たす前のピーター・ジャクソンが撮った、コメディタッチのゴーストストーリー。うん、さすがはピーター・ジャクソン監督ですね~。ともすれば、いろいろ詰め込みすぎて荒唐無稽になりかねないご都合主義全開なストーリーと変てこな設定なのに、破綻ぎりぎりのところで見事に成立させたところは凄いと言うしかない。怪しげな洋館を舞台に様々な姿で現れる幽霊から必死に逃げ惑う謎の女性というワクワクするような冒頭部分、相棒のぶっ飛んだ幽霊たちとフランクとのコミカルなやり取り、敵役となる怪しさ爆発なFBI捜査官や脳味噌筋肉のバカ幽霊というバラエティに富んだ登場人物たち、適度にグロく適度に笑えて、そして否が応にもテンションあがっちゃうクライマックス!まあ、許容できない人も中には居るだろうけど、唯一無二のこの摩訶不思議な世界観、僕は最後まで面白く観ることが出来ました。それになんと、あの“ハートマン軍曹”がまさかのゲスト出演!!いやー、「フルメタルジャケット」以外の映画で、彼の雄姿がまさか拝めるとは夢にも思いませんでした。非業の死を遂げたあと、彼はやっぱりあの世でもこうやって幽霊たちをしごきたおしていたのですね(笑)。うん、ジャクソン監督の隠れた(?)良品、お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-09 20:37:51)
1285.  鷹の爪GO 美しきエリエール消臭プラス 《ネタバレ》 
この世の中の全ての人間を、「この社会は弱肉強食、将来のキャリアアップのためにいま何をしてどんな資格をとれば有効かを常に意識し、他人との競争を勝ち抜くことだけを考え、社会にとって有益な人間とみなされるよう日々努力を怠らず、常に目的意識を持ち、将来は子供たちの模範となれるよう、多くの人たちから賞賛と尊敬を求めてやまない人」側と「あーあ、明日仕事行きたくねーなー、出来れば死ぬまで遊んで暮らしたいなぁ~、でも無理だよな~、いっそのこと今から頑張って世界征服して、朝からビール飲んでも嫁から怒られない俺帝国を作っちゃおうかな。あはは……な人」側に無理やり大別したなら、確実に後者グループから圧倒的な支持を受けるであろう本シリーズ。もちろん僕も後者グループに属する人間(それもかなり下のほう!笑)なので昔からずっと大好きです。なので、1作目と3作目で大いに笑わせてもらった自分としてはかなり期待して観始めたのですが、うーん、これはちょっとストーリーに拘りすぎ全体的にギャグのクオリティが下がっちゃって残念な出来に仕上がってしまった2作目に感想が近いかな~。全体的にテンポが悪く、ガジェットゲージもマンネリ気味だし、目新しい要素もそんなにないし、残念ながら僕はあんまり笑えませんでした。ただ単純に僕が年取って、自分でも知らない間に前者グループに入っちゃっただけかもですけどね。次回作がただいま製作中とのことなので、そちらに期待かな。個人的に僕は肉食大家さんが大好きなので、次回は彼女の大活躍が見られることを希望します(今夜はサバトだよ~、サバト)。それと、最初のころの予告編ではサブタイトルが「吉田、秘密結社やめるってよ」になってて、それがけっこうツボだった僕としては、大人の都合か途中からこのタイトルに変わっちゃったこともちょっぴり残念でした。それにしても、もし可能なら今すぐ鷹の爪団に転職して彼らのように社会にとって何の役にも立たない人間になりたい今日この頃の僕っす!タ~カ~ノ~ツ~メ~(いろいろあって、最近、ちょっと病んでるのさ…)。
[DVD(字幕)] 5点(2014-07-06 22:17:34)
1286.  キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 
それはいつものように平穏な船路になる予定だった――。フィリップス船長率いる大型貨物船アラバマ号はその日、大量の積荷と20人の船員を載せてアフリカのソマリア沖を航海中、武装した4人の海賊に乗り込まれシージャックされてしまう。持てる限りの知略と勇気、そして普段からの訓練を活かしてそんな絶体絶命の危機を脱しようとするフィリップス船長。たが、決死の遣り取りの果てになんとか海賊たちを追い返すことに成功しようとした矢先、彼は人質として連れ去られてしまうのだった。同胞の命を救うため、直ちに現場へとやって来るアメリカ海軍。彼らと小さな救命艇に乗り込んで逃亡を図る海賊たちとの決死の攻防をスリリングに描き出すトゥルー・ストーリー。かつて、911で乗っ取られた飛行機に偶然乗り合わせた乗客たちと凶悪なテロリストの攻防をリアルに描いた政治アクションの佳品「ユナイテッド93」を撮ったグリーングラス監督。その海上版とも言える今作も、全編に半端じゃない緊迫感が漲る良質の社会派アクションドラマに仕上がっておりました。相変わらず、観る者をまるでその場に居合わせたかのように思わせる、息をも吐かせぬリアルな描写はさすが。貧しさゆえ海賊行為へと手を染めざるをえなかった痩せ細ったソマリア人たちと対照的にでっぷり太ったアメリカ人船員との静かでリアルな駆け引き。そこからアメリカ巡視艇との迫力の攻防戦へと一気に雪崩込む後半の展開は見応え充分でした。政治的背景は匂わせるだけで、海賊たちとの戦いに特化した見せ方も良かったです。まあ、全編を覆うあまりにもアメリカ礼賛な空気が若干鼻につくきらいはあったものの、船長とは言え平凡な会社員でしかないトム・ハンクスの演技も良かったし、広大な海上でうねるように波打つ美麗な水飛沫の描写も今にも潮の匂いが漂ってきそうだったし、うん、なかなか面白かった。暑い日が続き、夏本番を迎えつつある今日この頃、こういうのを見るとなんだか無性に海に行きたくなりますね(海賊とかは、マジ勘弁だけどさ!笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-05 13:12:11)(良:1票)
1287.  サイド・エフェクト 《ネタバレ》 
4年前、証券会社に勤める夫がインサイダー取引によって逮捕され有罪判決を受けたことをきっかけに鬱病を患ってしまったエミリー。無事服役を終え、ようやく帰ってきた夫と共にこれから失われた人生を取り戻そうとする彼女だったが、鬱という厄介な病は簡単には治まらず、車で自殺未遂を犯してしまう。そんなエミリーのことを診察することになった精神科医バンクスは、彼女にとある新薬を処方するのだった。だが、まだ誰も知らなかった。その抗鬱薬には未知の恐ろしい副作用があることを――。ある夜、夢遊病に似た症状に陥ったエミリーは、心神喪失の状態でなんと夫を刺し殺してしまう。有罪か無罪か。責任の所在は、処方したバンクス医師にも向けられ、彼らの平穏な生活は次第に壊れ始めてゆく……。エンタメ映画界の重鎮スティーブン・ソダーバーグ監督が放つのは、そんな謎が謎を呼ぶミステリアスなストーリーが不穏に展開されるサスペンス作品でした。この、いかにもソダーバーグらしいお上品な雰囲気と極めて分かりやすいストーリーテリングの安定感といったらもはや職人技の域に達してますね。二転三転する脚本の妙もあり、最後までなかなか面白く観ることが出来ました。いつもの如く、彼お得意のハリウッド人脈がなせる技なのかキャスティングされた豪華な役者陣も華があって良かったです(いかにも鬱って感じの情緒不安定なルーニー・マーラと相変わらずセクシーダイナマイトなキャサリン・ゼタ・ジョーンズのレズ絡みシーンはなかなかエロくてたいへん良い感じでした!笑)。まぁ後で思い返してみれば細かい部分に粗が目立つし、いまいち心に深く残るものもないまま最後までさくさく進んで終わるため、速攻で記憶から消え去りそうな薄味作品ではあったけどね。
[DVD(字幕)] 6点(2014-07-05 10:50:53)
1288.  ABC・オブ・デス 《ネタバレ》 
世界各国から集められた26人の俊英監督が、与えられたアルファベット一文字から始まる言葉を選び、自らの才能を自由に駆使して“死”の物語を創り上げた。これはその集大成である――。と、いう訳で2時間強という枠の中に5分前後のお話が26個も収められたホラーオムニバス作品。さすがに物語性のある内容を5分という短さに纏めるのって無理があったんじゃないかな。とにかくみんな、短い持ち時間の中に自分の個性を残そうとするあまり、どれもこれも奇を衒っただけのエログロへと走っていてとにかく下品極まりない作品の連続でありました。血液、ゲロ、唾液、おしっこ、うんこ、おなら、精液、肉片……。ばっちい物が延々と飛び散る映像がひたすら続いてもううんざり!こんなのABC・オブ・エログロじゃん!辛うじて人に見せるレベルに達していたのは、屈強な男と小汚い犬とのボクシングをスローモーションを多用した乾いた映像とそれに見事にマッチしたカッコいい音楽で描いたDの「ドッグファイト」のみ。後はもう映画学校の生徒が卒業制作で創ったような酷い駄作のオンパレードでした。特に日本人監督が製作したいかにもサブカル的悪乗り作品なんて撮ってる現場は楽しかったかも知れんが(レズっ子女子高生が大好きな女教師のおならを嗅いでるうちに肛門へと入っちゃったんだよ、どう?面白いっしょ、あはは~てアホか!)、観ているこっちは不愉快千万!でもまあ、こういう挑戦的な試みをちゃんと映画として成立させたところだけは評価出来るかなぁと4点付けようと思っていたのだけど、最後にどこの馬の骨の日本人が撮ったか知らんが、サブカル風味のくだらない映像で311や原発事故を茶化したような作品が出てきて、もう怒り狂いそうになっちゃいました!理不尽な津波に一瞬にして呑み込まれ怒りや哀しみの声を発することなく海の藻屑と消えざるをえなかった全ての人々や、原発事故で愛する故郷から離れざるをえなくなった人たちを愚弄しているとしか思えず、不快感の塊になって映画を観終えました。最後のZ作品だけでさらに-1点じゃ!!
[DVD(字幕)] 3点(2014-07-03 21:29:24)
1289.  死霊館 《ネタバレ》 
高名な心霊研究家であるエドとロレイン夫妻。これまで科学では解明できない様々な難事件を見事に解決してきた彼らだったが、これは今まで誰にも語らなかった最も邪悪な事件を基に描いた実話である――。71年、アメリカのどこにでもあるような片田舎、格安で手に入れた一軒家に5人の娘と愛する妻と共に越してきたトラック運転手ペロン、だが夜な夜な恐ろしい怪現象がそんな家族たちを襲い始めるのだった。謎の死を遂げる愛犬、怪しげなオルゴールに夢中になる末娘、夜中の3時7分に一斉に止まる家中の時計、そして知らぬ間に妻の全身には謎の痣が拡がってゆく…。藁をも縋るような彼らの依頼を引き受けたエドとロレイン夫妻は、訪れたその館で恐ろしい魔女の呪いが今まさに家族を喰い尽くそうとしていることを知るのだった。かつて「ソウ」シリーズで一世を風靡したジェームズ・ワン監督が新たに挑んだのは、そんなびっくりするぐらいオーソドックスな展開が続く超ベタベタなエクソシスト作品でした。でも、なんでだろう、けっこう面白かったっすよ、これ。最初から最後まで既視感バリバリの怖がらせ演出が延々と続くのに、普通に最後まで観ていられるのは、恐らく監督のこの細部へのこだわりなんだろうね。いちいちセンスを感じるアイテムの数々(最初に出てくる人形の気持ち悪さったらもう!笑)や、凝りに凝ったカメラワーク、全編に横溢するピリリと冴えたホラー&グロ描写。うん、及第点レベルではあるものの、エンタメホラー映画としては充分に楽しめる作品でありました。まあ、実話を基にしたうんぬんのくだりは、恐らく本人たちが長年人に話したり講演したりしていくうちにどんどんと尾ひれが付いて次第にスケールが大きくなって本人が知らないうちに話が一人歩きして…、の結果がこれなんだろうけどね。実際は「あ、ネズミが出た。い、異臭がする。え、変な音が聞こえたよ、あぁ~人が居るような気配がする、きっとここには魔女が居るに違いない…(実際見たわけじゃないが…)」程度の話だったんだろうけど(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-02 20:01:27)(良:1票)
1290.  ランナウェイ/逃亡者 《ネタバレ》 
年の離れた妻を交通事故で亡くしたものの遺された可愛い盛りの娘と共に充実した日々を送る弁護士ジム。だが、彼には30年間隠し続けてきた過酷な過去があった――。それは理想に燃えて身を投じた学生運動の暴走の果てに銀行強盗を行い、人を死なせてしまったという残酷な事実だった。以来、警察の手を逃れ名前も経歴も捨て別人として生きてきた彼だったが、地方紙の新聞記者によってそんな過去が暴かれてしまう。「自分はまだ捕まるわけにはいかない……」。愛する娘を弟に預け、FBIや新聞記者の追撃を逃れながら彼はかつての仲間たちの元を訪ねてゆく。固く閉ざされた真実を求めて……。娘のために孤独な逃避行を続けるある一人の男を淡々と見つめた社会派サスペンス。監督・主演は往年のハリウッドスター、ロバート・レッドフォード。なんだかいかにも彼が好みそうな真面目なキャラクターばかりが登場し、まるで映画学校の教科書のような超オーソドックスなストーリーが展開されてゆくなんとも地味な作品に仕上がってましたね、これ。うーん、さすがにちょっと古臭いっすわ~。てか、これってハリソン・フォード往年の名作『逃亡者』と展開がほとんど一緒ですやん。それならそれでもっと個性的なキャラクターを登場させるだとか、もっと政治的に物議を醸しそうな先鋭的なテーマを扱ってみるとか、他にはないこの作品ならではという個性が欲しかったです。あまりにも地味で古臭いという印象が強いせいで(それにちょっぴり冗長だし)すぐに記憶から消え去りそうな残念な作品でありました。レッドフォード作品ってどれも作りが優等生に過ぎて、僕とはあまり相性がよくないみたいです。あ、あと内容とは全く関係ない話なんですけど、レッドフォードの11歳の娘を演じた女の子が同じ歳ぐらいの頃のクロエ・グレース・モレッツにめちゃくちゃそっくり(血縁関係があるんじゃとさえ思っちゃいました)な、かなりのカワイこちゃんだったのがびっくり!久々に、僕のロリコンレーダーにビビッとくるなかなかの美少女に出会えてラッキーでした。おわり。
[DVD(字幕)] 4点(2014-07-01 13:34:24)
1291.  悪の法則 《ネタバレ》 
麻薬組織と繋がりのある企業の顧問弁護士として、今まさに引き返せない悪の道へと手を染めようとしている男。何も知らない美しい彼の妻。金と女のためならどんな手段でも平気で行う強欲な経営者。淫乱で謎の多い怪しげなその彼女。そして、何もかも分かったように斜に構え全てを冷笑的に見つめる男…。果てしない欲望と愚かで醜い性欲を抱えたそんな彼らが互いに騙し騙され破滅へと向かってゆく姿をシニカルに描き出すピカレスクロマン。「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画の名作を数多く残してきたものの、「グラディエーター」辺りから世間での高評価とは裏腹に僕の中では確かにその映像の美しさやスケールの壮大さなどは認めるものの、いまいち心に響くものが乏しい作品ばかり撮ってきたリドリー・スコット監督。現代アメリカ文学の重鎮マッカーシーの原作を映画化したという今作も、やはり哲学的で難解な作品でありました。でも、この華がありながらちゃんと実力も兼ね備えた豪華な役者陣が織り成すミステリアスなストーリーと、 淫猥な雰囲気がこってり濃厚に漂うこのダークな世界観はけっこう良かったかも。特に、フェラーリのフロントガラスに無毛つるつるのあそこをねっとりぐっちょり擦り付けて絶頂を迎えちゃうキャメロン・ディアスの文字通りのカーセックスシーンはめちゃくちゃエロかったっすね~。久し振りに、映画を観ながら僕の股間がエキサイトしちゃいました(笑)。まあ、見事なまでに最低の人間ばかりが登場する、胸糞悪~い後味最悪な映画ではあったけど(最後に送り付けられるあのDVDの中身なんか、想像しただけで吐きそうやし笑)、全ての人間の根源には必ず悪があるという事実を冷徹に見つめながらもどこかコミカルでエネルギッシュに描いたこの作品、うん、けっこう見応えあったっす。リドリー・スコット、ちょっぴり見直したよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-01 08:40:18)(良:1票)
1292.  オン・ザ・ロード(2012) 《ネタバレ》 
第二次大戦終結後のアメリカ。作家を志す貧しい青年サルと、目の前にある快楽にただひたすら溺れる破天荒な生活を送る青年ディーン。未来も過去もなく、ただ“いま”という時間を実感するためにある日、彼らは何も持たず路上へと旅立ってゆくのだった。生きる喜びを全身全霊で感じるために――。酒とドラックとセックスに明け暮れる若者たちのアメリカ全土を巡る無軌道な旅路を乾いた映像とノリの良い音楽で刹那的に描き出す青春ロードムービー。日本でも根強い人気を誇るジャック・ケルアックの有名な小説を豪華キャストをそろえ映画化したということで今回鑑賞。監督は、若き日のチェ・ゲバラの青春バイク旅を乾いたタッチで描いたロードムービーの佳品『モーターサイクル・ダイアリーズ』を撮ったウォルター・サレス。相変わらずこの監督の南米特有のドライな映像のなかにときおり垣間見せる、詩情豊かシーンは心惹かれるものがありますね。前作の雰囲気がけっこう気に入っていた自分としては、こちらのセンス溢れる映像や音楽もなかなか堪能できました。ただ、ずっと昔に原作は読んだのだけど、はっきり言ってその良さがさっぱり分からなかった自分としては映画化された今作のストーリーもやっぱり受け付けませんでした。べつに僕は必ずしも映画にモラリティを求めているわけではありませんが、それでもこの誰であろうと気に入った女が居ればすぐに口説いてセックスし、友人を含めて乱交やりたい放題、知り合いが後部座席に乗っていようが構わず運転中に女にフェラさせ、金に困れば男とでもやる彼らの姿は、もう倫理観の欠落というより単なるケダモノとしか思えません。確かに映画としてある程度完成度は高いのでしょうが、彼らにこれっぽっちも感情移入できなかった自分としてはそこまで高評価できませんでした。『モーターサイクル~』のチェ・ゲバラのように、長い旅路の果てに未来に繋がる大切な希望のようなものを手に入れるだとか、あるいは自堕落な生活の果てに自業自得の絶望のどん底へと堕ちてしまうとか、そういった心に残る意味のあるラストが欲しかったです。
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-30 15:44:31)
1293.  レッド・ドーン 《ネタバレ》 
ぼくはアメリカぐんのゆうしゅうなへいしなんだ。そんなぼくが、ひさしぶりにこきょうへとかえってきたら、とつぜん、きたちょーせんのへいしがせめてきて、あっというまにアメリカぜんどがせんりょうされてしまったんだ。あれ、せかいさいきょーのアメリカぐんはどこにいっちゃったんだろう?ってぎもんはこのさいむしして、ぼくたちはウルヴァリンってレジスタンスをけっせいして、みんなでゲリラせんをしかけていったんだぜ。まあ、メンバーはまだ10にんもいないし、だれがだれだかわからないし、どいつもこいつもみりょくにかけるやつばっかだけどさ、これから、きたちょーせんのわるいやつをぼこぼこにして、ぼくらのあいするアメリカをとりもどしてやるから、みんなきたいしてまっててくれよな。え、さくせんがおそまつすぎ?ストーリーがばかばかしすぎてしぬ?ラストがあほすぎてぶちぎれそう?そんなこというやつは、もしきたちょーせんのわるいやつにつかまってもたすけてやんないんだからね!あはは…
[DVD(字幕)] 2点(2014-06-30 07:17:04)
1294.  デッドマン・ダウン 《ネタバレ》 
ボスの命令なら簡単に人を殺すことも厭わない凶悪なギャング組織のメンバー、ヴィクター。数ヶ月前から謎の脅迫を受けるボスの忠実なしもべとして組織の中でめきめきと頭角を表していた彼だったが、ある日致命的なミスを犯してしまう。向かいのマンションに住む女性に人を殺すところを見られてしまったのだ――。女性の名は、ベアトリス。顔の目立つところに大きな傷跡のある孤独な女性だった。「このことを警察に知られたくなかったら、あたしの顔を傷物にしたあの男も殺して!」と、飲酒運転によって彼女の顔に傷を負わせた男への復讐を強要されるヴィクター。仕方なく承諾するヴィクターだったが、彼もまた数年前に起こった悲劇的な出来事によって心に深い傷を負った復讐者だった……。都会の片隅で孤独に生きる男と女の互いの過去と未来がスリリングに交錯するクライムサスペンス。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、都会の夜の空気を濃厚に漂わせる大人な雰囲気とまったく先の読めないストーリーとで、僕は最後まで面白く観ることが出来ました。うん、なかなか良かったですよ、これ。感情を必死に抑制しながら淡々と復讐をこなしてゆくコリン・ファレルがけっこう嵌まり役で相変わらずカッコ良かったし。彼が、組織の一員を演じながらビルの屋上から仲間を狙撃するシーンは、まあベタっちゃあベタですけど素直に手に汗握っちゃいましたもん。そんなヴィクターに結果的に騙されてしまうことになる親友役のドミニク・クーパーも、いかにも情熱的な若いチンピラって感じで良い味出てました。まぁあんなに綿密に考え抜いた作戦(いくらなんでも回りくど過ぎるんちゃう?って突っ込みはナシよ笑)が狂っちゃったからって最後は一人で乗り込んでいって、「オラオラオラ!!」って銃ぶっ放してぜんぶ力ずくで解決しちゃうってとこはアレでしたけど(笑)。それでも静かな怒りを胸に秘めた男の重厚な復習劇としてだけじゃなく、心に癒しきれない傷を抱えた男女の大人なラブストーリーとしてもよく出来ていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-29 19:39:16)
1295.  パニッシュメント(2013) 《ネタバレ》 
それはいつものように平凡な一日になるはずだった――。PM2:00、自堕落な母親とまだ生まれたばかりの病弱な赤ん坊と共に暮らしている少年コリーは、とても手が出そうにない高額な薬を手に入れるため銃を手に薬局へと向かっていた。2:02、違法な荷物ばかりを扱うバイク便の女運転手アレクサは、ギャングに追われていた謎の青年をひょんなことから後ろに乗せて助けてやるのだった。2:01、政府のテロ対策捜査班として相棒と共に任務を遂行中のマーティは、爆弾テロを計画中らしき容疑者のアジトへと乗り込んでゆく。2:03、元全国ネットのニュースキャスターだったもののいまや落ちぶれてホームレスとなってしまったドークは、同じくホームレスの友人と共に警官の銃を盗むのだった。2:04、小さな街で、そんなまったく関係なさそうな人々の物語が、「口の中を噛んだことがある?」と何度も問い掛ける黒人の女の子フューによって、とある奇跡へと収斂されてゆく……。都会の片隅で刹那的に生きる様々な人々の夢と現実が複雑に交錯しあう群像劇。明らかにデビュー当時のタランティーノの影響を色濃く受けているであろう、この全編に漂う猥雑な雰囲気は良かったと思います。実力派の役者陣が織り成す渋い演技も見応え充分。ただ、残念ながら本家に比べて圧倒的にセンスが不足しているせいで、奇を衒っただけの単なる凡作どまりの出来に終わってしまったのが本作の残念ポイント。まず、音楽が超ダサい。タランティーノ目指すなら、これは致命的でしょう。そして小さな街の中で様々な人々のくだらない物語が、最後、キリストの奇跡へと繋がってゆくといういかにも〝パルプ・フィクション〟な展開も完全に無理ありありで、見事なまでに破綻しております(笑)。でもね、頑張ってるのは分かるんですよ。全編にわたって、タランティーノを少しでも追い越せるような映画を創りたい!という意欲だけはビシバシ感じます。そんな監督の頑張った感と髭もじゃクリスチャン・スレーターの最近の半端じゃない落ちぶれた感にエールを込めて5点!
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-27 21:18:50)
1296.  モンスター・ハウス 《ネタバレ》 
冴えない学生生活を送る、思春期を迎えたばかりの少年DJ。彼の唯一の親友で、お調子者で太っちょな男の子チャウダー。彼らと偶然知り合うことになる、お高くとまった生意気少女ジェニー。ハロウィンを明日に控えた夜、ひょんなことからともに過ごすことになったそんな3人。彼らはDJの家の向かいに建つ、偏屈な爺さんが独りで暮らしている怪しげな一軒家のとある秘密を知ることに。それは、この家が自らの意志を持って人を襲い食べてしまう恐ろしいモンスターハウスだという驚きの事実だった――。「大変だ!明日はハロウィンでたくさんの子供たちが飴を貰いにこの家にやってきちゃうよ!」。周りの大人たちにいくら話しても全く信じてもらえない。もう僕たちであの恐ろしいモンスターハウスをどうにかするしかない。彼らはそんなモンスターハウスへと一致団結して立ち向かってゆくのだが……。スピルバーグ&ゼメキスというエンタメ映画界の巨匠コンビが製作した、全編美麗なフルCGアニメで描き出すコメディタッチの冒険活劇。娯楽に徹したストーリー、細部にまで拘ったであろうハイクオリティな映像、さすがハリウッドの第一線を突っ走ってきた二大巨匠がダッグを組んだだけあって、映画としてある一定の水準には達していたと思います。ただ、個人的な感想を述べさせてもらうと、全体的に中途半端な印象が拭えない作品でしたね、これ。いまいち魅力に欠ける主人公の少年少女たち(なんか顔が微妙にリアルで怖いんですけど…笑)や、モンスターハウスの全然ワクワクしない地味な造形(アニメなんだからもっとはっちゃけて欲しかった)、スケールがちっちゃ過ぎてなんとも盛り上がりに欠けるストーリー……。何より致命的なのは、館がモンスターと化した原因であるお爺ちゃんとその太った妻との哀しい恋物語がかなりおざなりに描かれちゃってるとこ。どうしてあんなに太った妻をあそこまで愛するようになったのかがさっぱり分からない(お爺さんのそーゆー性癖なの?)せいで、いまいちストーリーに入り込めませんでした。とはいえ徹底的にハードルを下げて観れば、時間も90分とコンパクトだし、適度なヒマ潰しにはなると思います!
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-26 18:35:48)
1297.  路上のソリスト 《ネタバレ》 
LAタイムスという超一流新聞社で、多忙な毎日を過ごす敏腕記者ロペス。彼はある日、何故か路上でバイオリンを弾く一人のホームレス、ナサニエルと出会う。その奇矯な言動と特異な格好とはうらはらに、彼の奏でる美しい旋律に興味を引かれたロペスは、思わずコラムで彼のことを取り上げるとそれが静かな反響を巻き起こすのだった。本格的にナサニエルの過去を調べ始めたロペス、するとそこにはかつてその才能を認められ将来を嘱望されながらも統合失調症によって悲惨な現実を生きざるをえなかった彼の哀しい人生があったのだった――。静かな正義感を胸に秘めた新聞記者と路上という自由で孤独な世界に生きる元ソリストとの、人生の再生をかけた友情を実話を基に描いたヒューマンストーリー。丁寧に紡がれた物語と気品に満ちたクラシックの名曲群のおかげでとても美しい静謐な空気に満ちた、ジョー・ライト監督らしい佳作に仕上がっていたと思います。実話を元にしているということもあり、二人の友情物語が変にドラマティックに描かれていないところも好印象です。統合失調症を発症し、四六時中続く幻聴に次第に追い詰められてゆく若き日のナサニエルと、その後、心がすっかり壊れてしまいホームレスとなった現在の彼を見事に演じ分けたジェイミー・フォックスの熱演も見応えありました。それにしても、これまで適切な治療を受けられずホームレスとならざるをえなかった統合失調症患者は果たしてどれくらいいたのでしょう。ナサニエルのような哀しい人生を歩んでしまった人を少しでも減らすために、公的機関のサポートがもっと充実されることを願うばかりです。ただ、一本の映画としてみれば最後まであまりにも優等生的な演出が続くためちょっとパンチに欠けるような印象もなきにしもあらず。ここは好みが分かれるところでしょうね。それでも僕は、この気品に満ちた作品世界に最後までしっとりと浸ることが出来ました。ジョー・ライト監督とはどうやら相性が良いようなので、これからも観ていこうと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-24 19:04:54)
1298.  ブルーバレンタイン 《ネタバレ》 
ディーンとシンディは、幼い娘を育てるどこにでも居るような若い夫婦。だが、夫ディーンは毎朝缶ビールをかっ喰らってから仕事に向かうという典型的な駄目男だった。対する妻シンディも看護師としての仕事を最優先に考え、いつも家庭は二の次というキャリア志向の強い女だった。当然、そんな二人の結婚生活はもう破綻寸前にまで冷え切っている。家族の紐帯はもはや、可愛い盛りの娘フランキーのみ。そんな夫婦生活をなんとか立て直そうと、ディーンは子供を義父に預け夫婦水入らずでラブホテルに泊まろうという計画を立てるのだが、もはや価値観の全く違う2人はことあるごとに反発することに。そんな夫婦の脳裏によぎるのは、まだ幸せいっぱいだったころの若き日の2人の思い出だった……。絶望的な袋小路へと陥ってしまったそんな現在の夫婦と、彼らがまだ知り合ったばかりのキラキラと輝やくような楽しい日々を対比させるように交互に描き出してゆく濃厚なラブストーリー。最近観た、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」というクライムサスペンスが思いのほか良かったので、同監督のデビュー作となった今作を鑑賞してみました。感想は……、なんちゅう鬱映画やねん!どんなに深い愛情によって結ばれた夫婦でも一歩間違えばこうしてどん底まで堕ちてしまうという過程がかなりリアルに、そして極めて執拗に描かれておりました。監督、最近なんか大失恋でもしたんかいな(笑)。「プレイス~」でも感じたことですが、この監督の緻密に考え抜かれた編集力は素晴らしいですね。センス溢れる美しい映像や音楽、役者陣の熱演(ゴズリングの見事なまでの駄目男っぷりはさすが!)もこの人の才能をビシバシ感じさせます。それにしても、この物語の根底に貫かれる思想はかなりシニカル。人間は男も女も誰もがみんなロクでもなく自分勝手で、どんな幸せな日々もいつかは崩壊へと向かう、そしてその犠牲となるのは常に子供たちのような弱い存在だ。そんな暗鬱な思想に貫かれた本作、なのに最後、打ち上がる花火の下で背中を向けて立ち去るディーンを追いかける娘の健気な姿に、それでも人間はこの大地で必死に生きてゆくという微かな希望のようなものを受け取ることが出来たように思います。これから結婚しようと考えている幸せ絶頂の全ての若いカップルたちに是非とも観てもらいたい(笑)、良質のリアル鬱恋愛ドラマでありました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-18 14:08:46)
1299.  プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 《ネタバレ》 
移動遊園地の曲芸バイク乗りとして全米を転々としているルーク。久々に訪れた田舎町で彼は偶然、昔付き合っていた彼女と再会する。懐かしさから昔の思い出話に花を咲かせるルークだったが、その中で彼女の口から驚愕の事実を知らされる。知らぬ間に彼女は自分の子供を妊娠出産していて、彼はいつの間にか父親となっていたのだ――。考えた末、ルークは息子の側で過ごすためにサーカスの仕事を辞めると地元で仕事を捜すことに。たが、現実はどこまでも厳しく、ルークはろくな仕事にもあり付けずしかも彼女にはちゃんとした新しい彼氏が出来てしまう。半ば自棄になった彼は、手っ取り早く大金を稼ぐためにリスクを承知のうえで銀行強盗へと手を染めるのだった……。物語は、中盤でそんなルークの犯罪ドラマから、偶然彼を追うことになった正義感の強い警察官エイヴリーの警察内部の腐敗と戦う彼の物語へと紡がれてゆく。そして15年後、さらには彼らの子供たちへと物語の種子は受け継がれてゆくことに。まるでそれが親の代から続く彼らの宿命だとでも言わんばかりに。理不尽で残酷な現実社会でもがく親と子の苦悩と救済の物語をドラマティックに描いたクライム・サスペンス。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、久々にこんな骨太の映画に出会えました。2時間20分という決して短くはないこの物語の中に、15年に渡る多種多様な人々のドラマを見事に内包させ最後まで緊張感を途切れさせずに見せ切るこの監督の手腕は素直に素晴らしいと思います。豪華な俳優陣もそんな監督の要求に、プロフェッショナルを感じさせる素晴らしい熱演で応えていて見応え充分。第1部と第2部で主役を演じる、ゴズリング、クーパーもさることながら、第3部で主役を演じたデハーン君のまだまだ荒削りながら、見る者に鋭いナイフを突き付けるような圧倒的な存在感には圧倒されました。カリスマ性や実力、そして将来性をビシバシ感じて今後の成長が今から楽しみ。人間は結局、親や周りの環境から簡単には逃れられない――。それでも必死になってもがき、そんな宿命から逃れようとする人々の姿には感動せずにはいられません。久し振りに作品世界へとどっぷり浸れる良質の映画に出会えました。この監督の過去の作品もあらためて観てみようと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-14 00:11:24)(良:1票)
1300.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
昔から僕はこの「X-MEN」シリーズとは相性がよろしくなくて、確か昔一作目だけは観たと思うのだけど個人的に「うーん…」て感じだったので、以来このシリーズは全く観てきませんでした。なのだけど今回は日本が舞台、しかも監督は『17歳のカルテ』や『アイデンティティー』という良質のエンタメ映画を数多く手掛けてきたジェームズ・マンゴールドということでこの度鑑賞。そんなわけで、僕が「X-MEN」シリーズにこれっぽっちの思い入れもなく観始めたことが功を奏したのか、けっこう面白かったですよ、これ。取り敢えず、ウルヴァリンさんは怒ると手の甲から鉄爪が出てきてすぐに傷が治っちゃう不死身のむさ苦しい髭面のおっさんてだけでなく、過去に奥さん?を殺しちゃった悲惨な過去を持つ哀しいおっさんでもあったのですね。そんな哀愁漂う彼が若い女と日本の観光地をウレシハズカシ巡りながら、その先々で暴れまくるアクションシーンはどれもキレもあって普通に楽しめました。まあ、真面目に突っ込み出したら怒りのあまり鼻血が出そうなほど次々と出てくるおかしな日本描写はご愛嬌だけど。「どうだ、このイレズミ!怖いだろ~、俺たち恐ろしいヤクザなんだぜ!」と、わざわざ裸になって会長の娘を追いかけるお馬鹿なヤクザさんたちが一番面白かったかな~。ラブホの火星探検部屋は、逆に狙い過ぎてスベッてたけどね(笑)。それに新幹線をあんなにズタボロにしちゃったウルヴァリンを簡単に途中下車させちゃうJRってどんなけ甘々やねーん!と、そこらへんに目を瞑れば、新幹線での白熱のバトルやら中2病全開の赤毛の女忍者やら、真田広之のダークサイドに堕ちちゃったサムライっぷりとか、僕はけっこう楽しめた口です。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-10 00:04:50)
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